• 検索結果がありません。

サービスエクセレンス:2.サービスの概念 〜エクセレンスに至る規格開発

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "サービスエクセレンス:2.サービスの概念 〜エクセレンスに至る規格開発"

Copied!
5
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)小特集. Special Feature. [サービスエクセレンス] 基 応 専 般. ②サービスの概念. ~エクセレンスに至る規格開発 水流聡子. 東京大学. 「公」がつくるルール的な規格開発か ら, 「ユーザ」がつくり活用する当該 領域内の良いモデルおよび基準づく りへ. 416. スを得意とし重視している某国の産業領域が,欧州 という域内を視野に入れたこれらの標準を国内適用 版として準備する.次に,欧州連合の域内標準にす る.そして,ISO/IEC などの国際標準を決める際 の投票数を武器に,国際標準化を優位にすすめるこ.   「標準」とは,こうすればうまくいくと分かってい. とができる.. ることを「みえる化」したものであり,標準に従っ.  これらの状況に対して,日本が変化対応していく. て活動することで,思考のエネルギー消費を最小化. ための行動を開始する必要がある.民間で領域標準. し,より重要なことに思考エネルギーをシフトする. を作成する能力,それらを国内標準にしたてあげて. ことができるというすぐれものであるといえる.. いく能力,国際標準への関与能力,国内および国際.  我が国におけるこれまでの標準化は,①研究開発. 標準の認証能力を強化することは,国の産業強化に. と製品化 ②標準化 ③規制化 ④認証体制の整備,. とって重要な活動の 1 つとなることは間違いない.. の順に展開されてきており,それで大きな問題はな. しかしながら,個々の事業組織が,組織としてそれ. かったといえる.しかしながら,近年では,標準化. ら標準を活用して事業をすすめていく組織能力を高. が市場の拡大・獲得や新技術の社会実装のために活. めることが,なにより重要なことと思われる.. 用される状況にあり,これら①∼④が,相互に与え.  このような国際動向から,工業標準化法が約 70. る影響が大きくなってきている.ある企業が長年投. 年ぶりに改正される.品質や安全性の認証基準であ. 資をし,研究開発してきたものが世界標準にならな. る日本工業規格(JIS)の対象を,現在の工業製品. かった場合には,当該企業は大きな被害を受けるこ. に加え,サービス分野まで広げる.名称は「日本産. とになる.このため,研究開発の初期段階から国際. 業規格(JIS)」に変更される. IT や AI の進展に. 標準化の動向を見極めることが,企業にとっては非. よりモノとサービスの境界を越えたビジネス創造が. 常に重要な観点となっている.親企業が受けた被害. 始まることから,幅広い分野で品質を保証する規格. の影響は下請け等の中小企業にもおよぶことから,. の必要性が認識されたといえる.観光や保育,介護. 日本の産業構造上,これらの変化への対応を早急に. などに加え,カーシェアリングといった新形態の. 検討する必要がある.. サービスも対象となる.JIS の制定・改正手続きを.  欧州では,ある産業領域で共有するルール・規. 迅速化するための改正も実施される.. 準・概念モデルを,民間の規格化専門組織が支援し.  我が国の製造業は,標準化による質保証・質マネ. て,当該領域標準として開発・整備する活動が一般. ジメントにより,国際競争力を強化してきた.近年. 的であり,近年活発化している.当該製品やサービ. では,製造業においても顧客が求める価値を重視し,. 情報処理 Vol.59 No.5 May 2018 小特集 サービスエクセレンス.

(2) 品質経営として組み込もうとしている.顧客の求め. 規格協会となっており,両学会と事務局組織の三者. る価値を実現し,その多様性に対応する,より良い. で構築をすすめてきた.. モデルが必要となっている.領域ごとのサービス標.   「科学化」 「標準化」 「実用化」のフェーズの順で,. 準(より良い概念モデル・規準・しくみ・組織的提. スキームは表現される.標準化の SDCA サイクル (S:. 供プロセスなど)が多数整備されると,自組織に適. 標準を作成する,  D:標準を実践する,  C:実践の. する標準をモデルとして参考にして,顧客への価値. プロセスと結果を評価し不具合の有無とその原因を. 提供を効率的に実現し,顧客を支援することができ. 特定する,  A:標準を改良する)を考えるとき,現. る.それによって,提供組織・提供事業の持続性を. 状のサービス(Best Practice と思われるサービス). 担保できる可能性が期待される.. に学ぶところからサイクルは回り始める.既存サー.  本稿では,領域ごとの多様なサービス標準(サービ. ビスを「みえる化」していくための分解・抽象化・. ス規格)の開発・整備・活用・評価改善を日本の中で. 統合化を行い科学化(再現性を高めるための活動). すすめるために展開されてきた諸活動を紹介する.. の素材を準備する.図 -1 のサービス標準化に向けた 全体スキームは,SDCA サイクルで表現すると, 「科. サービス標準のためのスキームと サービス標準化委員会. 学化= C, A」 「標準化= S」 「実用化= D」となる.. サービス標準化に向けた全体スキーム. なる.標準化フェーズは,④標準化優先順位 ⑤サー.  日本品質管理学会の中に設置された「サービスの. ビス規格の基本理念・原則,個別規格開発の指針・. Q 計画研究会」は,他学会の会員を含む活動ができ. 用語の審議 ⑥個別サービス規格の開発・管理 か. る研究会である.本研究会では,日本品質管理学会. らなり,実用化フェーズでは,⑦社会実装・運用へ. とサービス学会との共同研究体制で,オールジャパ. すすめる.この全体スキームは,あくまでも概念で. ン体制ですすめるべき標準化活動の全体スキームを. ある.各コンポーネントの内容は,個別規格を開発・. 図 -1 のように提案した.この全体スキームにおけ. 活用しながら一般化がすすみ,整備・精緻化されて. るサービス標準化委員会・サービス規格委員会の事. いく長期計画となる.. 務局は,国内・国際規格開発にかかわっている日本.  これら 7 つのコンポーネントを推進運用してい.  科学化フェーズは,①サービス類型 ②概念モデ ル③評価方法論の開発の 3 つのコンポーネントから. く組織主体は,科学化フェーズが 「 サ ー ビ ス の Q 計 画 研 究 会 」, 標. 教育化・人財育成化 科学化 C. 標準化. A. 分解 抽象化 統合化. ①サービス類型. D. ④標準化優 先順位. ②概念モデル. 現状の サービス. 実用化. S. ⑤サービス 規格の基本 理念・原則, 個別規格開 発の指針・用 語の審議. 準化フェーズの前半が「サービス 標準化委員会(オールジャパン体 制)」,標準化フェーズの後半から. ⑥個別サー ビス規格の 開発・管理. ⑦社会実装・ 運用. 実用化フェーズが「サービス規格 委員会」となる.産業界は 3 つの フェーズすべてに関与する.. ③評価方法論 の開発.  これら 7 つのコンポーネントを 通過し,社会実装,運用された場. サービスのQ計画研究会. サービス標準化委員会. ■図 -1 サービス標準化に向けた全体スキーム. サービス規格委員会. 合,当該標準の使用に関する情報 がデータ化される IoS(Internet of. 2. サービスの概念~エクセレンスに至る規格開発 情報処理 Vol.59 No.5 May 2018. 417.

(3) 小特集. Special Feature. Service)が構築できると,科学的なサービス評価. の上にある上部の 2 つの層「個別化サービス(第 3. が可能となり,SDCA サイクルが効率的に回り始. 層) ・感動させるサービス(第 4 層)」について取り. めることが期待される.また教育化・人財育成化の. 上げ,その範囲を CEN/TS 16880 が対象とするサー. フェーズにおける活用が始まり,科学的な人財育成. ビスエクセレンスの対象としている(図 -2).. システムの構築が期待される..  一方,サービス規格開発では,サービスの多様性 に対応できるよう,領域あるいは類型に応じた多数. サービスの多様性に対応するサービス規 格(A/B/C)のスキーム. の具体的な「個別のサービス規格」を開発すること.  CEN/TS 16880:2015 では,傑出した顧客体感価. では,サービスエクセレンスピラミッドを踏まえ「個. 値の創出にかかわる原則,要素を記述しており,サー. 別化サービス」と「感動させるサービス」を実現す. ビスエクセレンスを実現するための基礎(サービス. るためのサービス規格開発の体系を,3 つの階層に. エクセレンスピラミッド下部にある 2 つの層で ISO. 分けて,その構造の整合性を担保して整備した規格. 9001 や ISO 10002 など各種規格で記述されている). を開発することとした.. が必要となる.そこで,サービスの Q 計画研究会.  図 -3 に示すように,開発するサービス規格の体 系は 3 つの階層からなる.最上位階層に「サービ レベル4. レベル3. 針(B-Standard:B 規格)」を置くことにより,第. 3 階層の領域・類型ごとに必要となる「個別サービ. ISO 10002. 苦情管理. レベル1. を,第 2 階層に「個別サービス規格開発のための指. CEN/TS 16880. 個別化サービス. レベル2. ス規格の基本理念・原則(A-Standard:A 規格)」. CEN/TS 16880. 感動させる サービス. ス規格(C-Standard:C 規格)」を効率的に開発す ることができる.ユーザは,自分の事業モデルに近. ISO 9001. 中核価値の提案. い個別サービス規格(C 規格)を活用してビジネス の持続性を高めることになる.. ■図 -2 サービスエクセレンスピラッド(CEN/TS 16880). 5  こ れ ら. トップダウン. サービス規格の基本理念・原則 (A-Standard:A規格). 3 つ の 階 層 構 造 を 用 い て,. トップダウンとボトムアップの双方向 でサービス規格開発をすすめることに より,A 規格,B 規格,C 規格の改善 がすすみやすくなる.また,現実世界. ボトムアップ. 個別サービス規格開発のための指針 (B-Standard:B規格). の C 規格ユーザは,他の C 規格にサー ビス連結しようとするとき,これら共 通構造による恩恵を受けることが可能. 個別サービス規格 (C-Standard :C規格). 個別サービス規格 (C-Standard :C規格). 個別サービス規格 (C-Standard :C規格). となる.. サービス標準化委員会 個別サービス規格ユーザ (C-Standard) 個別サービス規格ユーザ (C-Standard) 個別サービス規格ユーザ. 個別サービス規格ユーザ (C-Standard) 個別サービス規格ユーザ (C-Standard) 個別サービス規格ユーザ. 個別サービス規格ユーザ (C-Standard) 個別サービス規格ユーザ (C-Standard) 個別サービス規格ユーザ. ■図 -3 サービスの多様性に対応するサービス規格(A/B/C) のスキーム. 418. 情報処理 Vol.59 No.5 May 2018 小特集 サービスエクセレンス.  サービス標準化活動の意義の理解, および「サービス標準化委員会」の 設置に向け, 「第 1 回サービス標準化.

(4) フォーラム」が経団連会館 カンファレンスにて開. 第 2 階層の B 規格と示されている.これは,最上. 催された(2016 年 10 月 14 日) .. 位の基本理念・原則に基づき,第 3 階層の個別規格.  サービス標準化委員会は,関係省庁,産業界,学. C 規格の多様性を踏まえ,必要とされる要素を網羅. 会などから約 20 名の委員で構成される組織とした.. したものとなる.B 規格を用いて,C 規格の開発者. 2017 年 4 月に開催された「第 1 回サービス標準化. は,当該領域の顧客が求める価値を特定し,価値創. 委員会」では,サービスの標準化に取り組む背景を. 出を実現するためのサービス規格 C 規格を開発す. 共有し,サービス標準化委員会の目的と役割につい. る.具体的には,B 規格に設定されている要素から,. て合意した.この委員会は,関係者の力を結集し. 開発しようとする C 規格に必要とする要素を選択. て「オールジャパン体制」の下で,年に 3 回前後. し,重要な要素がもれないように,効率的に C 規. 開催し,サービス標準化をすすめる.現時点の役. 格を開発する作業となる.. 割は,サービスの Q 計画研究会が提案する A 規格 (サービス規格の基本理念・原則) ・B 規格(個別サー. サービス実現. ビス規格開発のための指針)について,以下のよ.  図 -4 の右上部分に,サービスを実現するにあた. うな観点から審議している.. り,検討すべき要素を示す.個別サービス規格開発. • 消費者が安心し信頼してサービスを利用できる. に重要な概念として,「顧客」・「組織」・「サービス」. ための標準化. の 3 つを置くことで,個別サービス規格開発のため. • サービスの生産性・付加価値の向上を支援する 標準化. に優先される要素が特定しやすくなる.  組織はサービスを「設計」し,サービスは顧客に「提. • 高 品 質 な サ ー ビ ス 技 術 の 再 現 可 能 性 を 高 め, サービスの多様性に応えられる標準化. 供プロセス」を与える.顧客と組織の間ではクレー ム・情報が交換される.組織概念からは, 「組織のサー. • 顧客が求める価値,期待を超える価値の提供に 向けて,価値の共創に貢献する標準化. ビス文化」 「組織能力」 「スタッフ」 「施設・インフラ」 「パートナー」という要素が重視される.顧客概念. • グローバル化の観点から,日本のサービス標準の. からは「顧客」という要素が抽出される.組織が顧. ISO 規格化を推進することによる,国内事業者の. 客に提供したサービスは,「評価」「改善」されなけ. 海外展開における優位性確保に向けての標準化. ればならない..  A 規格による原理・原則を理解し,B 規格を活.  図 -4(右上部分)に示すように,サービスの実. 用して C 規格を開発する,サービス規格委員会が,. 現にとって重要と思われる 10 の要素, 「設計」 「顧客」. 個別サービス規格ごとに設置される体制とする.こ れらの個別サービス規格の開発と管理を支援する事 務局組織が今後設置されることになる.サービス標. 「組織のサービス文化」「組織能力」「スタッフ」「提 供プロセス」 「施設・インフラ」 「パートナー」 「評価」 「改善」が特定される.. 準化委員会は,今後これら個別サービス規格の審議 を担う役割を持つ可能性もあると思われる.. 価値つくりこみ  顧客の価値をサービス提供事業の中につくりこん でいく必要がある.サービスピラミッドの第 4 層は,. 個別サービス規格開発のための指針 (B-Standard:B 規格). 「感動させるサービス」であることから,頂点に「感.  個別サービス規格開発のための指針は,図 -3 に. である.感動を提供するサービス事業を持続するた. 動」という概念をおく.感動を創り出すのは「共創」. 2. サービスの概念~エクセレンスに至る規格開発 情報処理 Vol.59 No.5 May 2018. 419.

(5) 小特集. Special Feature. めには, 「保証」と「生産性」が不可欠といえる.「保. の軸の関係性をもって,2 次元で表現し,C 規格の. 証」の実現には, 「安全」 「信頼」 「機能」という要. 開発者の理解を促すようにした.B 規格は,「サー. 素が重視される.「生産性」の実現には,「投入量の. ビス実現のための要素」ごとに章立てされている.. 最適化」と「高付加価値」という要素が重視される.. 各章は,保証・生産性・感動の 3 つのグループで個. これら 5 つの要素群の活動を基盤とする「組織能力」. 条わけされ,構造化される.. 「組織文化」があって,「共創」を実現し持続するこ.  この構造化を経た後,B 規格は,Part I として,. とが可能となる.. サービス設計から入る,目指すサービスは,サービ.  それぞれの関係性を,感動・生産性・保証の相互. スエクセレンスピラミッドの「個別化サービス」と. 作用と,構成する要素という観点で,図 -4(左下. 「感動させるサービス」である.. 部分) 」のように整理できる.. (2018 年 2 月 19 日受付). 開発する規格の構造化  上述してきた「サービス実現のための要素」ごと に, 「 (サービス事業への)価値のつくりこみの要素」 を記述することができる.現実的には多次元の関係 性があるものを,図 -4(右下部分)のように 2 つ. 水流聡子 [email protected] 1981 年広島大学教育学部卒業.1985 年広島大学医学部医学科助手 (公 衆衛生学講座) .1994 年アメリカ合衆国ミネソタ大学留学.1996 年広 島大学医学部保健学科助教授.2003 年東京大学大学院工学系研究科助 教授.2008 年東京大学大学院工学系研究科特任教授(現在に至る) .. 評価. 改善. 感動 顧客の成長. 顧客の参加. 設計 従業員の成長. 共創. 組織能力. 組織. 高付加価値. 生産性. 投入量の最適化 信頼. 提供プロセス. 従業員の参加. 組織文化. 安全. サービス. 機能. クレーム. 顧客. 情報 組織のサービス文化. 保証. 組織能力. 顧客. スタッフ 施設・インフラ パートナー. 共創. サービス実現 (サービス開発)Service Development. 感動. 保証. 安全 信頼. 生産性 高付加価値 投入量の最適化. 機能 価値つくりこみ Value Built-in. ■図 -4 サービス開発と価値つくりこみからなる B 規格の構造化. 420. 情報処理 Vol.59 No.5 May 2018 小特集 サービスエクセレンス.

(6)

参照

関連したドキュメント

トリガーを 1%とする、デジタル・オプションの価格設定を算出している。具体的には、クー ポン 1.00%の固定利付債の価格 94 円 83.5 銭に合わせて、パー発行になるように、オプション

出来形の測定が,必要な測 定項目について所定の測 定基準に基づき行われて おり,測定値が規格値を満 足し,そのばらつきが規格 値の概ね

(2) 交差軸(2軸が交わる)で使用する歯車 g) すぐ歯かさ歯車.

この規格は,公称電圧 66kV のワイヤーシールド型 CV ケーブルの拘束支持に用いる CV

「JSME S NC-1 発電用原子力設備規格 設計・建設規格」 (以下, 「設計・建設規格」とい う。

17‑4‑672  (香法 ' 9 8 ).. 例えば︑塾は教育︑ という性格のものではなく︑ )ット ~,..

十四 スチレン 日本工業規格K〇一一四又は日本工業規格K〇一二三に定める方法 十五 エチレン 日本工業規格K〇一一四又は日本工業規格K〇一二三に定める方法

従って,今後設計する機器等については,JSME 規格に限定するものではなく,日本産業 規格(JIS)等の国内外の民間規格に適合した工業用品の採用,或いは American