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主体的学習における「主体」の問題-新学力観における学習「主体」をめぐって-

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Academic year: 2021

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(1)主体的学習における「主体」の問題 一新学力観における学習「主体」をめぐって一 教育コミュニケーションコース.          M08015E          服部 英雄.  平成元年の学習指導要領改訂と平成三年の指. で教育改革を行ったことを評価するものである。. 導要録改訂によって,新学力観が登場する。新. それは、当時のマスコミでも同様の評価がされ. 学力観では,学習指導要領のねらいに即して,. ていた。一方,否定的なものは,臨時教育審議. 学習者の主体的な態度をその学力に含み,それ. 会以前から教育問題に取り組んでいた全国生活. を評価するというものであった。この主体的な. 指導研究協議会の言説である。彼らは,臨時教. 態度は,それ以前の学習指導要領には見られな. 育審議会の改革案に抗し,独自の方法や技術で. いが,その後の2回の学習指導要領改訂には継. 実践してきていた。. 承され,現在に至っている。つまり,平成元年.  それは,生活指導における学級集団づくりで. を境にして,学力や学習についてr主体的」と. ある。学級集団づくりでは,民主的な集団で民. いうことが制度的に問題化されたのである。. 主的な人格を形成することをねらいとし,r班づ.  本研究では,この新学力観における主体的で. くり」「核づくり」「討議づくり」を方法として. あれとする主体の問題について,当時の社会的. いた。特に「班づくり」では班競争を通して集. 状況,新学力観以前からの主体的学習の主体概. 団の質を高め,集団のリーダーである核を育成. 念,.新学力観の主体概念について言説を分析し,. していた。. 主体的学習の主体について考察していくことが.  しかし,その学級集団づくりの言説からは,. 目的である。. 教師の権力を否定しながらも,それを内包,あ.  まず,当時の社会的状況について臨時教育審. るいは活用しているという矛盾が見られた。し. 議会をめぐる言説から分析した。当時,学校教. たがって,その学級集団における主体は,自治. 育においてさまざまな問題や課題があった。例. 的,自立的な主体ではなく,フーコーの言う監. えば,児童・生徒の問題行動や病理的行動の増. 視による規律・訓練一権力によって構成される従. 加,学校や学校制度の画一化と閉鎖性,学歴社. 順で服従する主体であった。そして,この学級. 会の偏差値重視などである。これらの問題を解. 集団づくりは,集団嫌い,リーダー嫌いという. 決するために教育改革が必要であるという意識. 児童・生徒の変容によって,沈静化していく。. が,国民的レベルにまで広がっていた。.  この沈静化していくことと,新学力観の誕生.  したがって,臨時教育審議会の答申には,関. は無関係ではない。新学力観は,教育の画一化. 心が高く,それに対する肯定的,否定的な言説. を排除しようとしたからである。この新学力観. が多く見られる。肯定的なものは,国家レベル. の誕生にかかわって,それらを構想し,提唱し. 一32一.

(2) た側の言説を分析した。新学力観は,学習者の. も,新学力観以前の主体概念,すなわち従順で. 意欲,思考力,判断力,表現力を重視する。し. 服従する主体を構築していた。というよりは,. かし,その学力の段階的な認識や態度を評価す. 教育現場の混乱と同じく,主体の主体的なふる. る問題,絶対評価の問題などが見られた。これ. まいに注目するだけで,その主体概念にまで触. らは,いずれも従順な身体,服従する主体が構. れる言説は見られなかったのである。. 築されることを示していた。.  このことは,新学力観が教育界に浸透してい.  新学力観の影響は,学力論への注目となり,. く過程において,新学力観をとらえ直し,新た. 戦後教育の学力論や学力論争の言説が多く見ら. な学力観やそれに基づく学習内容や方法を提唱. れた。そのほとんどが,態度主義を軸にした各. する言説においても,同様であった。つまり,. 論の配置であった。このことは,新学力観の態. 新たな学力論や学習論の言説にも,監視による. 度主義を問題にし,新たな学力論構築をめざし. 規律・訓練一権力の容認とそれに服従する主体概. ていたことを示している。. 念が見られたのである。むしろ,その権力は,.  一方,新学力観以前から,主体的な学習につ. 学習者の主体の性向そのものにまで範囲を広げ. いての学習論がある。それは,全国生活指導研. たかのようでもあった。. 究協議会の学習集団形成と吉本均の学習主体,.  このような権力関係に対して,それを撹乱し. 村上芳夫の主体的学習である。. 変容させるものとして,フーコーの欲望の理論.  学習集団形成の言説を分析すると,学級集団. とバトラーの行為遂行性を検討した。欲望の理. づくりの技術をそのまま学習集団形成に活用し. 論では,主体的学習の「学習要求」に,権力関. ていることが分かった。これは,学級集団づく. 係を揺るがす可能性があることが明らかとなっ. りの主体概念をそのまま学習集団の形成に持ち. た。また,行為遂行性では,言説,発話のもつ. 込むことになる。また,学習主体では,グルー. 行為性やその反復,慣習などに,社会的文脈を. プ学習や教師の指導性(発問)などの重視から,. 切断して新たな社会的文脈を構築する可能性が. その主体は,教師に服従する主体であることが. 見られた。これが,権力関係をずらしたり変容. 明らかとなった。これは,主体的学習も同様で,. させたりする。. その学習方法訓練が,まさに規律・訓練一権力を.  新学力観の主体的な主体が,現在まで続いて. 示すものである。ただ,これらの主体的学習に. いるのであるから,表層的な主体のふるまいに. は,そのような権力・関係を揺るがす可能性も見. のみ着目していては主体的な主体は構築されな. られた。それは,r学習要求」とr学習方法の自. いのではないか。その主体を,欲望する主体,. 覚化」である。. 行為する主体としてとらえ直し,権力関係を変.  このような主体的学習と比較しつつ,新学力. 容させていくことが,主体概念構築に重要なの. 観のいう主体的な主体について分析した。まず,. である。. 教育現場は混乱し,その結果,主体的というこ とを学習者の表層的な態度としてとらえ,主体. 主任指導教諭(杉尾 宏). 的にするための技術重視へと向かった。また,. 指導教員(杉尾宏). 肯定的な言説においても否定的な言説において. 一33一.

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参照

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