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CTガイド下の定位的放射線治療最も単純で効率的な3DCRTをめざして 利用統計を見る

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Academic year: 2021

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CTガイド下の定位的放射線治療 最も単純で効率的な3DCRTをめざして 防衛医大放射線科 植松稔 1.総論  ガンマナイフの登場によって定位照射の有効性が広く認識され、現在ではライナックを 用いた定位照射が比較的小さな脳の腫瘍性病変などに対する第一選択の治療法として世界 中で行われるようになってきた。その効果は素晴らしく、放射線治療の歴史の中でも最大 の進歩の一っといえよう。この優れた照射方法を頭蓋内の治療だけにとどめておくのは賢 明な態度ではない。我々は1994年にFOCAL(fusion・of・CT and・Linac)unitを完成させ、 以降肺癌や肝癌などの体幹部の臓器に対しても定位的放射線治療を行っている。  一方、この10年間のコンピュータ技術の進歩は放射線治療にかかわる画像表示法や照射 野調整法を従来より大きく前進させ、3DCRTは概念だけのものではなく実際に患者に対し て施行可能な技術の一つになった。このような流れが将来の放射線治療の主流になってい くことは間違いがない。例えれば、単純写真とCT画像の情報量の差が、対向2門照射と IMRTの精密さの違いとなって患者に恩恵をもたらすわけである。けれども、それは理想的 な最終到達地点のことであり現状とはまるで異なる。現時点で入手可能な治療計画装置で もinverse planningは十分可能であるし、小さめのマルチリーフと組み合わせれば立派 なIMRTが一応完成する。これは最近の米国の学会や研究会に出席すれば嫌でも目に入って くることである、しかし、我々はradiation physicistではなく、radiation oncologist である。そのような線量分布を提示している施設の癌の治療成績が従来と本当に違ってい るかどうかに注目すべきであろう。中枢神経の定位照射は脳転移に対して8−9割の局所制 御効果をもたらした。これは従来の全脳照射の3割程度の局所制御率と比較して著しい進 歩である。しかし、現在までの3DCRTがこのような具体的なメリットを提示できているか どうか。線量分布の美しさはdose escalationへの誘惑となるが、 rectal bleedingの増 加だけでなく、前立腺癌の生存率を明らかに改善させた時がIMRTを導入すべき時であろう と考えている。(先端の施設での研究はもちろん必要。お金が余って困っている施設ももち ろん別。また、物理をきちんと担当してくれる人材も不可欠。)  3DCRTに限らず、癌の治療というものはすべて、机上の空論に終わることなく臨床の現 場で患者に恩恵をもたらしてはじめて評価されるべきものである。防衛医大でのFOCAL unitの経験を中心に、肺癌や肝癌に対する定位的放射線治療として、現在までに実行でき ていることについて概説する。 2.防衛医大のFOCAL unit  FOCAL・unitでの治療は、 CTで病巣中心を捉え、その点を直にLinacのアイソセンターに 一致させて照射を行うものであり、CTガイド下の放射線治療ともいえるものである。位置

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平成13年4月1日 合わせから治療終了まで、患者に体動の必要はない。すなわち、侵襲的なフレームで固定 しなくても頭蓋の位置が正確に維持できることになるし、肺癌などの体幹部腫瘍に対して も定位照射が可能になる。F㏄AL unitのめざすところは、脳病巣ではフレームレスで患 者にとってより楽な治療を分割定位照射として提供することであり、さらに体幹部でも肺 癌などに対して分割定位照射を実行可能にすることにある。従来のライナックの定位照射 でも直径3cmくらいまでの脳転移の約8−9割を局所制御してしまうことが可能である。肺 癌は脳転移の原疾患として最も頻度の高いものであるから、転移病巣が制御されるのと同 様な照射が可能であれば、原発巣の局所制御も期待できるはずである。FOCAL unitでは、 これに分割の良さが加わるのであるから、理論的には通常の定位照射以上に良好な成績が 得られそうである。体幹部では呼吸性の臓器移動を酸素マスクや腹帯の使用で抑制してX 線シミュレータで評価し、十分に小さければ治療可能、大きければ不可能と判断する。そ の場合には標的領域は実際の腫瘍の大きさに動きを加味したものを構築する。  ファントム実験ではFOCAL unitの機械精度は11㎜未満である(1)。通常のプラスチック シェルだけの固定で頭蓋内病巣を治療する場合も、空間的な位置の誤差を1mm以内に維持 することが可能である(2)。これは通常の侵襲的なフレームを利用した定位照射の位置精度 に比べて全く劣るところがない。治療に要する時間も短く、頭蓋内病巣でアイソセンター がひとつの場合は患者が治療室に入ってから出るまで、CTセットアップや照射時間など すべて合わせて一時間以内である。つまり、患者は通常の頭頚部癌の放射線治療とほとん ど同じ位の身体的負担で脳の定位照射を受けることができるわけである。従って、必要で あればいくらでも分割することが可能であり、一回照射という悪性腫瘍に対する定位照射 の弱点がひとっ克服できるわけである。  肺癌や肝癌を治療する場合は、病巣の動きのために位置精度を定量的に評価することは 困難であるが、多くの場合に誤差は51㎜以下であることが定性的に確認できている(3)。照 射は多軌道の振り子照射を行っても、多数の固定多門照射を行ってもよいが、筆者らは小 さな肺癌には前者を用いることが圧倒的に多い。頭蓋内と比べれば体幹部での治療の場合、 寝台とライナックの回転角度に制限が出てしまうが、それでも十分に良好な線量分布が構 築できている。病巣が不整形であったり、呼吸性の移動が十分に小さくならない場合でも、 アイソセンターを2カ所に設定して照射野の高線量域を膨らませてやれば、臨床的に治療 可能な病巣はかなり増えることになる。腫瘍の動きに対しては、呼吸同期照射も一法であ り、北大、大阪羽曳野病院、国際医療センターなどで実用化が進んでいる(4,5)。ただ、 厳密な呼吸同期を行うと日々の照射時間が数倍に伸びてしまうことは避けられないかと思 われる。  我々め方法では、単発性のcoin lesionを治療するのに位置合わせから照射終了までで 一日平均約30分というごく短い時間しかかからない。日常診療の一環として毎日施行して いる。治療時間が延長すると位置の正確さが低下することを危惧して、呼吸同期はこれま でのところ使用していない。現在、我々が研究しているのは、腫瘍の時間的な移動に合わ

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せて照射野が変化するという「病巣移動捕捉照射法」である。上述した、腫瘍の移動範囲 に高線量域を合致させるためにアイソセンターを2カ所に設定する照射法も、すでにプラ ンニングのなかに腫瘍の時間的な移動の要素を盛り込んだものであるから、頭蓋内の三次 元定位照射に時間の座標を織り込んだ四次元照射ともいえるものであるが、現在はさらに 時間(の変化による腫瘍の移動)の要素を盛り込んだ照射方法を研究している。これから は世界的にもこのような発想に立った治療法の開発がなされていくはずである。 3.これまでの治療経験  平成6年にFOCAL unitを用いた治療を開始してからこれまでに定位照射してきた主な 悪性腫瘍は転移性脳腫瘍(約70病巣)、原発性肺癌(約70病巣)、転移性肺癌(約100病 巣)原発性肝癌(約50病巣)、転移性肝癌(約30病巣)である。  肺癌の定位的照射では手術不能例よりも手術拒否例の方が多くなってきた。病巣は4cm までのものが多い。肺癌の組織型としては腺癌が多いが、肺門部扁平上皮癌に対しても本 治療は実行可能である。照射線量は1日に5−一 10Gyで、1−3週間で50−60 Gyまでというも のがほとんどである(最近は1軌道6Gyで1日2軌道、全部で5−7日間で10軌道のこと が多い)。通常の外部照射は原則として併用していないが、病巣が比較的大きく浸潤傾向が 強い場合には辺縁再発を抑える目的で、また患者や依頼医がリンパ節の予防照射を希望し た場合にも、40−50 Gyの通常分割照射を前後対向2門などで加えることもある。肝癌では 血管撮影でリピオドール塞栓療法を行った後に1週間で50Gyの定位的照射を行うことが 多い(照射法は肺癌と同じ)。  治療はきわめて安全に実行できる。通常分割照射を加えていない患者では、多くの場合 治療中も治療後もほとんど症状の訴えを認めていない。時折、食欲低下や乾性咳漱、軽度 の嘔気、倦怠感を訴えるものがいるが、従来の放射線治療と比べれば、症状の程度も発現 頻度もかなり低い。肝癌の患者でもGOTやGPTの上昇はほとんどない(6)。また、肺癌手術 で最も低侵襲と思われる胸腔鏡下手術(VATS)や肝臓癌でエタノール注入療法(PEI)を受け た経験者で、FOCAL・unitの定位的照射を受けたものが数名いるが、彼らの経験では定位的 照射の方が身体的負担は少なかったとのことである。経過観察のCTを行うと、肺の高線 量域に間質性の変化を認めたり、肝の高線量域に低吸収域を認めることが多いが、その場 合でも2−3センチ離れた部位にはまったく変化が現れず、ダメージが限局していることが 確認できる。本治療を開始してから5年半ほどであり、長期成績を述べるのは時期尚早で あるが、肺癌や肝癌のCT上の局所制御効果はきわめて高く95%以上である。また、早期 肺癌(Tl−2NOMO)の患者の約90%は現在まで再発転移なく生存を続けており、この状態が 今後も続くようであれば、早期肺癌の治療方針に革命的な変化が生じるかもしれない。 4.他施設からの報告や今後の展望  体幹部に関しては、「呼吸性移動のある肺や肝での定位照射などありえない」という意見

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平成13年4月1日 もある。厳密にいえばその通りかもしれない。しかし、数字の上での正確さにこだわり過 ぎてしまうと「生体に対する定位照射などありえない」といった極論にもつながるし、そ もそも位置決めに用いている三次元画像診断装置に真の正確さは保証されていない。よく 引き合いに出される1−2mmという距離も人間の日常生活の基準からすれば小さなものであ ろうが、癌細胞や正常細胞の大きさから考えればとてつもない距離ともいえる。結局ポイ ントは、患者のメリットを考えたときに誤差はどこまで許されるか、そして高線量の照射 を行っても安全な部位はどこかといった臨床のセンスに帰着することになる。(これは言葉 を換えると、setup marginとinternal marginをどう決めるか、標的の近傍がparallel organか否かという表現と全く同義である。)  筆者らは、肺癌や肝癌の治療では1−2mmにこだわる意味がないと考えて本治療を開始し

たわけであるが、おそらく同様な発想を持っていたと思われるのがカロリンスカの

Blomglen, Laxら(7)、北見日赤の有本ら(8)である。 Blomgren, Laxらは体幹部固定装置 (stereotactic body frame)を用いることで位置の再現性を図り一回15Gyで2−3回照射、 有本らはポータルイメージを利用して位置の確認を行い一回7.5Gyで8回照射が標準的プ ロトコールのようである。近年、京大や癌研などの施設でもbody frameを用いた体幹部定 位照射が積極的に行われている。新しい治療法であるから、位置合わせや照射の方法論は 様々であって当然であるし、さらに発展する余地も大きいと思われる。頼もしいことに、 現在まで経過観察期間には幅があるものの、いずれの施設からの報告を見ても、肺癌や肝 癌(原発性および転移性)の定位的放射線治療の試みは安全かつ有効とのことである。  FoCAL unitの最大の利点は位置の確認が容易なことである。毎日の照射の前後にCTを 撮って位置精度を確認しながら治療していくことさえ容易である(9)。従って、皮膚や骨格 に対して腫瘍の位置が日々変化している可能性の高い体幹部臓器に対して、正確かっ精密 な治療を非侵襲的に行う場合の著しく有効な手段となる。定位的放射線治療が実際に示し た臨床上の有効性を、工MRTを頂点とする3DCRTでも示すためには、少なくともplanning 画像での線量分布を、実際の患者の体でも再現する必要がある。FOCAL unitは日々の腫瘍 の存在位置と周囲の正常組織の関係を空間的な歪みなしで表現するための最有効な手段の 一つとも考えられる。21世紀の放射線治療室にはライナックとベッドを共有するCTが標 準装備されるようになるかも知れない。  近年、わが国では陽子線治療や重粒子線治療といった超高額医療機器が注目され新しい プロジェクトも進んでいるが、病巣が小さい場合にはライナックの線量分布はこれらの超 高額医療機器に全く劣らない(10)。医療経済が破綻しっつあるわが国の現状では、安価な 機器を広く有効利用し、高価なものは本当に必要な場合にだけ利用するという合理性が必 要であろう。  ライナック定位照射は実行可能な対象は限られるものの、ひとたび実行可能であれば、 3DCRTのうちで最もシンプルでかつ洗練された、優れた治療実績を証明しえた癌の治療法 である。今後もこれを基盤に様々な方法論が展開され、放射線を用いた癌の局所療法がさ

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らに発展していくだろう。小さな肺癌や肝癌をその最初の突破口として、手術に引けを取 らない放射線治療の確立が望まれており、これからはさらに、三次元的空間線量分布の改 善にとどまらず、時間的な腫瘍の移動をも考慮に入れた四次元照射法へと進んでいくこと が期待される。近年、わが国ではヘリカルCTによる肺癌検診が開始され注目を集めてい るが、このように小さくして見つかった肺癌こそ本治療の最適な標的である。今後、癌の 根治治療のなかで定位的放射線治療を利用して放射線腫瘍医のなすべき役割は大きく増加 するはずである。 文献 1. Uematsu M, Fukui T, Shioda A, et a1:Dual computed tomography linear accelerator し1nit for stereotactic radiation therapy: A new apProach without cranially fixated stereotactic frames. Int J Radiat Oncol Biol Phys. 1996; 35:587−592. 2, Uematsu M, Sonderegger M, Shioda A, et al:Daily positioning accuracy of frameless stereotactic radiation therapy with a fusion of computed tomography and linear accelerator unit.  Radiother Onco1 1999; 50:337−339, 3. Uematsu M, Shioda A, Tahara K, et al:Focal, high dose, and fractionated modified stereotactic radiation therapy for lung carcinoma patients:Apreliminary experience. Cancer 1998; 82:1062−1070. 4. Shirato H, Shimizu S, Shimizu T, et al: Fluoroscopic rea1−time tumor tracking radiotherapy.  Int J Radiat Oncol Biol Phys. 1999; 45 (supP1):204. 5. Tada T, Minakuchi K, Fujioka T, et a1: Lung cancer: Interinittent irradiation synchronized  with  respiratory  motion−  ResultS  of  a  pilot  study,  Radiology 1998;207:779−−783. 6.Sato M, Uematsu M, Shioda A, et a1:Feasibility of frameless stereotactichigh−dose radiation therapy for primary or metastatic liver cancer.   J Radiosurg 1998; 1: 233−238 7. Blomgren H, Lax I, Goeransson H, et a1: Radiosurgery for tumors in the body: Clinical experience using a new method,  J Radiosurg 1998; 1: 63−74, 8.坂本澄彦、有本卓朗:JASTRO研究グループ”放射線治療における空間的要素の解明” 最終報告 日放腫会誌1998;10:153−160. 9.UematsuM, Shioda A, Suda A, et a1:Intrafractional tumor position stability during CT−guided frameless stereotactic radiation therapy for lung or liver cancers with afusion of CT and linac (FOCAL) unit.  Int J Radiat Oncol Biol Phys 2000;48:443−448, 10. Phillips MH, Stelzer KJ, Griffin TW, et al:Stereotactic radiosurgery:Areview and comparison of methods, J Clin Onco1 1994; 12:1085−1099e

参照

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