論 文
トランスレス昇圧DC-DCコンバータ
(昭和48年8月31日受理)数野寛
Transless Step-up DC-DC Converter
HiroshiKAZUNO SyPtopsis In the step・up DC−DC converter built as a tria1, a single phase thyristor bridge furn’ ished with commutating capacitors by means of series・diode−system is applied as an inverter, and a ful1・wave type 4’fold voltage rectifier is used as a step−up equipment. The coitstitution and manipulation of this apparatus is comparatively simple, and only four chemical condensers are required as the main condensers of the step・up equipment part. In order to prevent abnormal rise of the commutation voltage and the output voltage at the case of no load or light load, the feed・back diode bridge is required too・ In this paper, the coP.stitution and an outline of the operation of this converter, and the performance chaどacteristics of it are chiefly described, and thus the optimum condi− tion of the operation is fouRd, and furthermore the points to improve in future are investigated. It is introduced that when the capacitance of a main condenser is 3200μF and the input DC voltage is 40∼50 volts, for the output power of 1∼1.4KW, about 4・fold output DC voltage is obtained, the eMciency is 75∼81タZ, the pulsation factor is 2.5∼0.55%, the voltage regulation is 40∼25%, and then the optimum driving frequency of the inverter is 200∼300 Hz. 1. まえがき 直流昇圧の一般的方法としては,イソバータ,昇圧 変圧器および整流器の組合せによる間接的な方法と, 一名昇圧チョッパと呼ばれる直接的な方法とがある。 昇圧チョッパには,イソダクタンスに蓄えられる電磁 エネルギーを利用するものおよびコソデソサに蓄えら れる静電エネルギーを利用するものがある。電磁エネ ルギーを利用するものは回路構成が比較的簡単ではあ るが,イソダクタンスには主電流を通さなけれぽなら ぬので比較的大形となり,経済的に不利である。ま た,静電エネルギーを利用する方法としては,コンデ ソサを並列充電し,負荷を通じて直列放電するのが一 般的であるが,2群の主力コンデソサを用意し,一群 充電中他群を放電するとすれば,n倍電圧の場合は2η 個の主力コソデンサを要し,サイリスタによる充放電 接続換えの操作が複雑となる。比較的安価な電解コソ デソサが使用できる点は有利であるが,nの増加と共 に複雑性が増しメリットは薄れる。 一方,昇圧変圧器を用いる間接的な方法は信頼度の 高い堅実な方法で,中,大電力用としては有利な方法 ではあるが,何といっても主電力中継のために変圧器 を用いることが,装置の質量的な見地から,また,経 済的見地から必ずしも好ましいこととは言えない。そ こで変圧器を省略しようとする試みは当然の帰結であ るとも言える。 筆者はサイリスタインバータの出力電圧を変圧器を 経ずして,全波形倍電圧整流回路で直接昇圧する方法 を検討した。この方法は原理的には特別斬新的なもの ではないが,この種の具体的な発表にはいまだ接して いない。この方法は構成,操作が比較的簡単で効率も よく,主力コンデンサもn個の電解コンデンサで事足 りる。以下回路構成,動作の大要および特性等につき 順を追って述べる。
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.W. i、(∫1)→ 十・ヨ ∼ヘノ T、 TB し 1∼ ◇ →・/L (・1) CR z(c(,ィ1
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,z O.026Ω (2,・ 2/112∼・、 0.132Ω)i還十
T、 ∼’1|s SF50G11 図一1 トランスレス昇圧DC−DCコンバータ試作回路図 ∼∠、 (∬ム) Fig.1 Circuit diagram of the transless step−up DC・DC converter built as a trial. 2. 回路構成と動作の大要 図一1に試作装置の回路図を示す。この種回路の詳細 なる解析は別の機会にゆずることとし,動作の大要を 述べるに止める。交流変換部としては,準定電圧形の 直列ダイオード方式単相サイリスタブリッジインバー タを使用し,昇圧部としては,全波形(対称形)倍電 圧整流器を使用した。以後四倍電圧整流の場合につき 述べる。インバータには単相ダイオードブリッジを帰 還回路として設けたが,これはイソバータ負荷におけ る無効電力を電源へ帰還するためのものではなく,無 負荷時および軽負荷時における転流電圧および出力電 圧の異常上昇を防止するためのものである。何となれ ば,昇圧部は容量性であり,誘導性の無効電力を電源 ヘフィードバックさせる必要はないからである。 まず,四倍電圧整流回路につき動作の大要を述べ る。昇圧部への入力電圧はほぼ180°通電形の方形波 である。いま,A側正, B側負の期間においては, C1 はD、を通して図示の極性に充電される。また,半周 期前にC2,はD2を通して図示の極性に充電されてい るが,この充電電圧と入力電圧の和によりD4を通し てC4が図示の極性にほぼ電源電圧の2倍の大きさま で充電される。続く半周期において,B側が正, A側 が負の期間,入力電圧とC1の充電電圧の和によりD3 を通してC3が図示の極性にほぼ電源電圧の2倍の大 きさまで充電され,負荷抵抗RLの両端には入力電圧 のほぼ四倍の振幅の直流電圧が得られる。出力電圧脈 動の見地からすれぽ,この方式により全波整流形の四 倍電圧が得られ,半周期ごとにまったく対称的な動作 を行なっている。この他全く同様にして,2倍,6 倍,8倍,10倍,……,すなわち,偶数倍の対称形倍 電圧整流回路を構成することができる。 転流コンデンサCcはLを通して共振充電されるも のとする。もしチョークコイルLを欠く時は,Cσの 充放電電流を制限するのは回路内のリード線抵抗,サ イリスタ,ダイオードの順方向抵抗のみとなり,瞬間 的に巨大な電流が流れてサイリスタ,ダイオードが危 機にひんする。Ccの充放電電流抑制のため抵抗を用 いることも考えられるが,電力損失増加の見地より好 ましくない。また一方,このチョークコイルLは昇圧 部における主力コンデソサCl∼C4の充電電流を抑制 し,サイリスタ,ダイオードを保護する役目をも兼ね ている。C1∼C4は特別な重負荷時を除いては極性が 反転することはほとんどないので,比較的安価で大容 量の得やすい電解コンデンサを使用することができる 点に大きな特徴を有する。ちなみに,耐圧200V, 2200μFは直径約6cm,高さ10 cm程度の円箇であ る。L, Coで構成される回路のQは大きく保ち,共 振充電可能でCoの充放電に伴うエネルギー損失をで きるだけ軽減するように考慮することが大切ではあるトランスレス昇圧DC−DCコソ・ミータ が,Lの大きさは必要にして最低限に止めることが経 済的に有利である。一方,C,∼C4の値はLを通して の充電回路が非振動1生である程度に十分な大きさを有 するものとすれぽ,この場合近似的には,主力コンデ ンサC1∼C4は回路抵抗(2r= 2ri+2r2)のみを通し て充電されるとみても大差ない。 各部の定数は図一1に示す値を有する。ここで転流コ ンデンサ容量について触れる。転流時におけるサイリ スタ電流を約35Aに止めるものとし,転流コンデソ サの最小端子電圧は17Vと仮定する。サイリスタの ターンォフタイムを40μsとすれぽ, 35×40×10−6 ≒40(μF) Cc≧ 2×17×10−6 となる。 倍電圧整流部の主力コンデンサはC1∼C4−3200μF 固定で実験を行なった。 Co−18200μFなる電解コンデンサは直流電源側の 内部インピーダンスの影響をさけ,直流電源をして純 定電圧源とみたてるために挿入したものであるが,電 源の内部イソピーダソスの低い時には,実用的には省 略して差支えない。 つぎに無負荷時につき考える。定常時における転流 コンデソサの充電電圧を求める。サイリスタおよびダ イオードの順方向電圧降下をF’e(V)とする。図一2(a) における破線の閉回路における電圧平衡条件より Ea=・Ed十3e−e=Ed一ト2e となる。また,転流コンデソサの逆充電回路は等価的 にほぼ図一2(b)のように示される。 Ed L 仁一一「 (γ、) Ec十 一 @ 十 @」 一 r−一 一一一一千’1 Q; 1 _ _ _ 一 一 一 一 一 一 一 一 I @I − 、一一 @’ @| @1 一一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 __一一一一 @十Ec_ 一 一’ 十 L ノ、一 一 一 一 ■ Cc
ttK
(r、) (a) 9、 Ed 4e 2L (2r、) (b) 2Cc E4十2e 図一2転流コンデンサ充放電回路 Fig.2 Charging or discharging circuits of the commutating capacitor. 2L吾一(Ed+2・)+2と∫1“現一4の} i(0十)=0 (1) これを解けばi一籠一・i・w量 (・)
となり,Ccが一(E,十2e)一→十(Ed十2e)まで逆充 電されるに要する時間〆は念∫鷲誇・i・2V量4・−2(E・+2e)
(3) より, 1−… ー一鷲≒( 2e1十 Ed)(1+舌)≒1竜 (・)
(∵ e<E,) t’/(2VLCc)は第二象限の角で,そのときは ・i・2710t−≒〆・一(篭)2 (・) となる。Cσの逆充電完了時における。 L中の残留電 流ゐの大きさはつぎのようになる。れ≒莞言ン・一(≧Ed)2 (・)
よって,チョークコイルの保有する電磁エネルギー 丁(2L)・1・(J)が帰還ダイオードを通して循環繊す ることとなり,この消費は半周期に一度の割合で行な われるので,この場合の消費電力は, 丁(2L)・12・2f−8fCa(E・・一一 e)2{1−(劃 ≒8∫Co(E,−e)2働 (7) となる。ただし,fはイソバータの駆動周波数であ る。また,Coの充放電時ダイオード,サイリスタの 順方向電圧降下に基づく損失は . 2f(4e・Jl’i・,)≒32fC・e(E・一・)(・+㌃)㈹ (8) となり,また近似的にこの際の抵抗損は 2小・・2ハ4・−16輌㎡乎(E・−e)2 {・・S−1(竜)+〆i(晋)2・㌃}㈲ ≒16鹸㎡乎(E・ ” e)2{・・s−1(一㌃)+㌃}㈲ (・)
となる。いま,E,==40V, f=200 Hz, e=1V, L=0.25mH, Cσ=40μF,γ1= 0.04Ωの場合につき概算 すれぽ,(7),(8),(9)式より, 帰還ダイオードを通して の循環消滅電力 96.8W ダイオード,サイリスタ の順方向電圧降下に基づ く損失 10.7W 回路内の抵抗損 5.4W 合計112.9Wのi損失とな り,この時の実測結果114.5 Wとほぼ一致する。 以上は無負荷時における 転流コンデンサの充放電に 伴う損失であるが,(7)∼(9) 式より損失はインバータの 駆動周波数fに比例するこ とがわかる。Ccの充電完 了瞬時,残留電流れを残 すチョークコイルLは,そ の瞬時一種の定電流源とし て作用する。この瞬時昇圧 部が120なる電流を吸収し 始めるものと仮定すれぽ,
・Lの保有エネルギー丁
(2L)・・2(J)中S⑳(・・− 120)2(J)なる電磁エネルギ ーが帰還ダイオードを通し て循環消滅する。したがっ て,軽負荷時ほど120が小 なるゆえ,この種の損失は 増加する。無負荷で帰還ダ イオードを欠く場合はCσ の端子電圧は繰返し充放電 により異常な高電圧に達す る。したがって,サイリス タ,ダイナードの耐電圧保 護の見地からも,昇圧部の 主力電解コソデソサの耐圧 の見地からも帰還ダイオー ドは必要となる。また,電 圧変動率改善の見地から も,軽負荷時の多少の損失 [ (1) { (2) (3) (4) (5) (1)∼(5) (1)∼(5)’ (6)’ (1),(1)’ (2), (2)’ (3), (3)’ (4), (4)’ (5), (5)t (6)’ (1)’ (2)’ (3)’ (4)’ (5)’ (6)’ 無負荷時 (1)1・Nt(6)’5A負荷時 20A/div,1msec/div 5A/div,1msec/div 流入電流 チョークコイルの電流 転流コンデンサ電流 帰還ダイオードブリッジ流入電流 昇圧部入力電流 出力電流 図一3各部電流波形 Fig.3 Current wave forms.トランスレス昇圧DC−DCコソ・ミータ 増加は犠牲にしても帰還ダ ①. イオードは必要となる。 出力電圧の脈動軽減の見 地からすれぽ,イソバータ の駆動周波数は高い方が有 利であるが,一方転流損失 ② 軽減の見地からすれば,駆 動周波数は低い方がよい。 したがって,この相反する 二つの要求を同時に満足す (3) るためには,ある適当な駆 動周波数で妥協せざるを得 ない。
3.実験結果
3.1 各部の電圧電流波 (4)形
直流電源電圧瓦一30V, インバータの駆動周波数 f=220Hzの場合における 直流出力電流(1.)が0と5 (5)A時の両者につき,定常時 の各部の電流波形を調べれ ば図一3(1)∼(6)’のようにな る左列が無負荷の場合であ る。無負荷時における流入 (6) 電流は転流コンデソサCc の充放電電流のみであり, 帰還ダイオードを通して循 環する電流は無負荷時は顕 著であるが,5A負荷時は ・ なくなっていることがわか (7) (1)∼⑦ 無負荷時 (1),∼(8)’5A負荷時 (1)∼(7)’20V/div, 1msec/div (8)’0.5V/div, 1msec/div (1),(1)’インバータブリッ ジ入力電圧 (2),(2)tチョークコイルの 電圧降下 (3),(3)「転流コンデンサ端 子電圧 (4),(4)’昇圧部入力電圧 (5),(5)’C,の端子電圧 (6),(6)tC3の端子電圧 (7),(7)’出力電圧 (8)’出力電圧中のリッ プル (1)’ (2)’ (3)’ (4)’ (5)’ (6)’ ⑦’ (8)t 図一4 各部電圧波形 Fig.4 Voltage wave forms. 1る。昇圧部流入電流は流通開始時急峻な立上りをも ち,大きな振幅に達するが,速かに減衰して後ほぼ直 線的に減少する。負荷電流はほぼ平滑な直流である。 また,各部の電圧波形を調べれば図一4(1)∼(8)’のよ うになる。転流コンデンサ端子電圧およびインバータ 出力電圧はほぼ方形波で,C1, C3の端子電圧は5A負 荷時わずかに脈動している。出力電圧はほぼ平滑で, 5A負荷時101.5Vの出力電圧に対し電圧脈動はピー クーピークで約1.1Vである。 3.2 諸特性について イソバータの駆動周波数(f)を固定し,直流電源電 圧(E,)をパラメータとした場合の,直流出力電流 (1.)に対する出力電圧(V.),効率(η),脈動率(δ), 流入電流(1、)の諸特性を実測すれぽ,図一5(a)∼(d)の 220 180 ε!60 ;14・ 響、2。 遷 菰100
80
E4=50V 「一一一一→\◆\
\.、 \ 30V ’\(・) 0 1 2 3 4 5 6 7
直流出力電流II.(A) 1.4 §1.2 R ・.・ 璽・・ 0.6 (c),O ようになる。ただし,脈動率はδ一{(最大値一最小 値)/平均値}×100%を示すものとする。 これらの結果より,直流入力電圧が高まるにつれて 直流出力電圧はほぼ四倍の値を維持し,かつ,効率最 大の点が大きな出力電流の側へ移動していることがわ かる。また,電圧脈動は出力電流の増加につれて増加 するが,同一出力電流に対しては入力電圧の高い程脈 動率の小さいことがわかる。また,入力電流は出力電 流の増加につれてほぼ直線的に増加している。これら のことからして,許される範囲内でなるべく高い入力 電圧で追い込み,大きな出力電流をとらせるような使 い方が,効率ならびに電圧脈動の見地から有利である と言える。 また,直流出力電流(1.)を固定し,直流電源電圧 100 90 80 7060
§ ÷ 50辮40
30
20 10 ・0 f=300Hz一定 50Vヌ(::蚕
30V\。 \. ・E、=2心べ (b) 0 1 40 303
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細 提 10 2 3 4 5 6 7 直流出力電流∫万(A)5・
(d)01234.5・67
直流出力電流IL(A) 直流出力電流互(A) 図一5 動作特性 Fig.5 Performance characteristics.トラソスレス昇圧DC−DCコソバータ 200 180 160 140
9
)120・ ゴ◆ 出100“ 細 奎8° 蓋・・ (a) 40・ 20 5.5’ 5.0 4.5 4.0 §3.5 fO 3.0 繍2.5^ 2.0 1.5 1.0/一一一’/『・
//・Zt30V’
0 100 200 300 400 500 インバータ駆動周波数f (Hz) (c)0・50
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100 90 80 7060
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欝、。 §、。 (d) 20 10 0 0 E, ・= 50V二:=;∼’一・一
./’ 30V!!石
100 200 300 400 500 インバータ駆動周波数f(Hz) 、 r. =7A一定 \. ×x−..19YL..一一一 ■・ここ一二
.”一“一一一一一一一.. ●一一_一一一一・一 夢 50V 10q 200 300 400 500 0 100 200 300 400 500 インバータ糎胴波数f(H・) インバータ纏胴波数∫(H・) 図一6 動作特性 Fig.6 Performance characteristics. E,)をパラメータとした場合の,インバータの駆動 周波数(f)に対する出力電圧(V.),効率(η),脈動 率(δ),電圧変動率(ε)の諸特性を実測すれぽ図一6 (a)∼(d)のようになる。 これらの結果より,実験の範囲内では,駆動周波数 の増加につれて,出力電圧はやや増加の傾向にある が,効率は200∼300Hz付近で最大であり,脈動率は 周波数の増加と共に減少する。また,電圧変動率は入 力電圧の大きいほど小さく,駆動周波数200∼400Hz 付近ではほぼ一定の値を有する。したがって,効率, 脈動率および電圧変動率の見地からすれぽ,この装置 はイソバータの駆動周波数200∼300Hz付近で動作さ せるのが有利であると言える。 3.3 損失分離{遷欝
イソバータ駆動周波数f=200Hz/“出力電圧36.、5v
/l:力電:;㌫
なる場合について,全損失225Wのうち, ①イソバータ部分の損失…167,5W{ ダイオード,サイリスタ損失…107W チョークコイル,リード線,ヒューズ 等の抵抗損(抵抗2r1 ・= O,08Ω)…60.5W ②昇圧部の損失∵…57.5W { ダイナート損失 24W リート線,ヒュース等の抵抗損 335W (抵抗2r2 ==0052Ω) となる。イソバータ部分のサイリスタ,ダイオードの 損失が意外と大きいのに気付く。これは直列ダイオー ド方式をとっているためであり,今後改良の余地のあ る点である。また,抵抗損軽減のためにはチョークコ イルの巻線抵抗をはじめ回路内の抵抗をできるだけ減 ずる必要がある。 4. む す び 以上,イソバータで交流変換したものを,全波形倍 電圧整流回路で昇圧する変圧器を用いない直流昇圧法 について,主として実験的な立場から検討を進めてき たが,入力電圧40V,50Vの場合については出力電 圧はほぼ4倍のものが得られ,効率,脈動率および電 圧変動率の観点からほぼ満足な結果が得られた。取扱 った電力は千数百ワットの範囲内の小電力であるが, これを基礎としてどこまで大電力化しうるか,その経 済的見地よりの検討が今後残された問題となる。ま た,今回の実験においては昇圧部の主力コソデンサは 固定したが,これを変えた時の特性も検討する必要が ある。また,直列ダイオード方式サイリスタブリッジ を採用することは,転流の確実さ,取扱いの簡便さか らすれぽ有利ではあるが,特に低電圧回路に適用する 場合においては,電圧降下,損失増加の見地から好ま しくないので,今後効率向上の見地より他方式のブリ ッジ採用についても検討してみる必要がある。 この方法は回路構成が比較的簡単で,取扱いが簡便 であり,変圧器を使用しない点に大きな特徴を有する わけであるが,直流入力電圧を固定する場合,任意に 出力電圧を可変し得ないのが欠点で,適当な電圧可変 法を付加する必要がある。また,今回は4倍昇圧につ いて検討したが,2,6,8,……倍等についても検 討し,経済的限界を知る必要がある。また,回路解析 の詳細については触れなかったが,これら残された問 題についてはまた機会を改めて述べる。 以上研究を推し進めるに当って,山梨工業会から研 究助成金をいただいたことを付記して感謝の意を表す るとともに,装置試作に当って卒論学生関孝夫,橋本 豊両君ならびに溝田孝夫技官の御i援助をいただいたこ とを感謝する。 参考文献 1)数野:電気学会全国大会,No.694,昭48.4