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山梨県におけるNPO法人経営の持続性意識に関する研究 利用統計を見る

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山梨県における

NPO 法人経営の

持続性意識に関する研究

山梨大学大学院

医学工学総合教育部

博士課程学位論文

2016 年 3 月

王 娜

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目次 第 1 章 序 章 1-1 研究の背景 ... 7 1-2 研究目的 ... 10 1-3 研究対象 ... 10 1-4 研究方法 ... 11 1-4-1 研究方法の検討 ... 11 1-4-2 具体的な研究の手順 ... 12 1-5 研究の位置づけ ... 14 1-6 論文の構成 ... 17 <第 1 章における注記> ... 19 <第 1 章における参考文献> ... 20 第 2 章 NPO 法 人 の 現 状 ・ 課 題 及 び 経 営 要 素 の 抽 出 2-1 第2章の目的 ... 21 2-2 日本の NPO 法の成立 ... 21 2-3 研究対象の定義 ... 23 2-4 山梨県 NPO 法人の発展現状 ... 28 2-5 山梨県内の NPO 法人経営上の課題 ... 32 2-6 山梨県における新しい公共支援事業の取り組み方針 ... 34 2-7 NPO 法人の経営理論 ... 36 2-8 NPO の経営特徴 ... 37 2-9 第 2 章のまとめ ... 39 <第 2 章における注記> ... 40 <第 2 章における参考文献> ... 41 第 3 章 NPO 法人の持続性意識に影響を及ぼす要素の探索 3-1 第3章の目的 ... 43 3-2 第 3 章の調査対象 ... 43 3-3 第 3 章の分析方法 ... 43 3-4 アンケート調査の概要 ... 44 3-5 アンケート調査結果の単純集計 ... 47 3-6 持続性意識の定義 ... 50 3-7 持続性意識と経営時間 ... 51 3-8 持続性意識の違いと各経営要素の 5 段階評価平均値 ... 53 3-9 分類回帰樹木法 ... 54 3-10 分類回帰樹木法分析の結果̶持続性意識と強く関連する経営要素の抽出 ... 55 3-11 持続性意識と活動分野の関連 ... 56 3-12 持続性意識と財源の関連 ... 57 3-13 NPO 法人の財源と経営要素の関連 ... 57 3-14 持続不安群と経営要素の関連 ... 61 3-15 第 3 章のまとめ ... 62 <第3章における注記> ... 64

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第 4 章 NPO 法 人 の 経 営 行 動 と 持 続 性 意 識 4-1 第 4 章の目的 ... 65 4-2 第 4 章の調査対象 ... 65 4-3 ヒアリング調査の内容 ... 65 4-4 分析方法(テキストマイニング) ... 66 4-4-1 テキストマイニングの概要 ... 66 4-4-2 分析の流れ ... 67 4-5 テキストマイニングの結果 ... 70 4-5-1 基本情報および単頻度分析による省察 ... 70 4-5-2 ネットワーク分析について ... 71 4-5-3 ネットワーク分析の結果 ... 72 4-5-4 対応バブルチャート分析について ... 77 4-5-5 対応バブルチャートの結果 ... 78 4-6 第 4 章のまとめ ... 88 <第 4 章における注記> ... 90 <第 4 章における参考文献> ... 90 第 5 章 考 察 と 結 論 5-1 考察 ... 91 5-2 結論 ... 96 5-3 今後の展開 ... 101 <第 5 章における注記> ... 102 <第 5 章における参考文献> ... 102 謝辞 ... 103 添付資料 資料 1 山梨県行政の施策内容 ... 104 資料 2 アンケート調査の単純集計結果 ... 107 参考文献 ... 116

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図目次 図1-1 社会を構成する3つのセクター ... 1 図1-2 経営要素・持続性意識・経営行動の関係仮説 ... 6 図1-3 論文の構成 ... 11 図2-1 特定非営利活動法人の認定数の推移 ... 18 図2-2 特定非営利活動法人への関心度 ... 18 図2-3 全国NPO 法人の年間解散数の推移 ... 19 図2-4 NPO 法人の活動分野の変遷 ... 20 図2-4 NPO 法人の活動分野の変遷 ... 20 図2-5 山梨県内の解散NPO 法人の推移 ... 25 図3-1 アンケートにおけるNPO 法人の経営の特性要素 ... 40 図3-2 アンケート用紙の内容 ... 41 図3-3 アンケートの調査記入者の職位の割合 ... 42 図3-4 財源収入の割合 ... 43 図3-5 持続性意識を持つNPO 法人の成立年分 ... 46 図3-6 持続性意識を持たないNPO 法人の成立年分 ... 46 図3-7 持続性意識の有無でグループ分けをしたときのアンケート項目毎での点数の比較 ... 48 図3-8 持続性意識があるNPO 法人に対する分類回帰樹木法の結果 ... 50 図3-9 終結ふし毎でのNPO 法人の活動内容の割合 ... 51 図3-10 収入を応答とした時の多変量回帰樹木の樹木図 ... 55 図3-11 持続不安群に対する分類樹木法の結果 ... 56 図4-1 単語頻度分析の結果 ... 65 図4-2 「NPO 法人を経営して苦労していること」に対するネットワークの結果 ... 66 図4-3 「NPO 法人を経営して工夫していること」に対するネットワークの結果 ... 68 図4-4 「NPO 法人を経営してよかったこと」に対するネットワークの結果 ... 70 図4-5 「NPO 法人を経営して苦労していること」に対する対応バブルチャートの結果 ... 73 図4-6 「NPO 法人を経営して工夫していること」に対する対応バブルチャートの結果 ... 76 図4-7 「NPO 法人を経営してよかったこと」に対する対応バブルチャートの結果 ... 79

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表目次 表2-1 法人格を持つ民間非営利組織 ... 17 表2-2 年度別山梨県NPO 法人認証件数 ... 22 表2-3 都道府県別NPO 法人解散状況 ... 23 表2-4 政令市別NPO 法人解散状況 ... 24 表2-5 株式会社とNPO の違い ... 30 表3-1 山梨県内におけるNPO 法人の活動分野 ... 43 表3-2 目的変数と説明変数の相関行列 ... 44 表3-3 持続希望と持続自信に関するアンケートのクロス集計表 ... 45 表3-4 持続性意識の有無よりNPO 法人の成立年代の割合 ... 45 表3-5 ふし毎の主な収入源に占める割合(%)の平均値 ... 52 表4-1 文数、単語数、単語種別数 ... 64 表4-2 品詞出現回数 ... 64 表4-3 ことばネットワーク係り受け頻度表(苦労していること) ... 67 表4-4 ことばネットワーク係り受け頻度表(工夫していること) ... 67 表4-5 ことばネットワーク係り受け頻度表(よかったこと) ... 70 表4-6 対応バブル分析表現・属性クロス表 (苦労していること) ... 75 表4-7 対応バブル分析属性スコア(苦労していること) ... 76 表4-8 対応バブル分析表現・属性クロス表 (工夫していること) ... 77 表4-9 対応バブル分析属性スコア(工夫していること) ... 78 表4-10 対応バブル分析表現・属性クロス表 (よかったこと) ... 80 表4-11 対応バブル分析属性スコア(よかったこと) ... 81

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第 1 章 序 章

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1-1 研究の背景 日本は戦後、1950 年後半から 1970 年前半にかけての高度経済成長により、経済的に は先進国の仲間入りを果たした。しかし、現在の成熟した社会においては、物質に対する 欲求は飽和しつつあり、市民はそれに代わる価値として、自己実現や精神的な豊かさを追 求し始めている。また、1990 年前半にバブル経済が崩壊し、発展経済から成熟経済に移 行してからは、その成長を支えてきた、政治・経済・社会の仕組みが、足かせになってい る。また、少子高齢化会社の到来、不登校児数の増大、ホームレス数の増大、在日外国人 数の増大、シングルマザー数の増大、経済発展と環境保全調和、循環型社会の構築、安全 な食品の提供、中心市街地の空洞化など、日本には、解決すべき課題が山積している。こ れらの課題は、行政のみによる問題解決が難しいため、公共システムの限界が叫ばれてい る。あらゆる社会の課題解決をすべて行政に委ねるシステムは、もはや持続不可能である (1) (2) 内閣府の公開資料(3)では、『一般に、「官から民へ」という場合、「官=政府」、「民=企 業」というイメージがある。しかし「市場メカニズムを通じた価値創造」という企業の根 源的なミッションを考えた場合、たとえ最大限の努力をしたとしても、企業がすべての社 会的課題に対応することは不可能である。“民”は必ずしも企業のみを指しているのではな い。そこで、政府でも企業でもない、「民間非営利組織(NPO:Nonprofit Organization)」 も“民”の重要な主体として認識すべきである。政府と企業を補完し、社会の不安定化を防 ぐシステムが必要である。そのような意味でも、「非政府」「非営利」の両面を併せ持つ NPO は、先駆性、柔軟性、当事者性などを活かした公益的な活動に期待が寄せられてい る。』と指摘されている。 図1-1 社会を構成する3つのセクター(4) NPO は、「自主性」、「個別性」、「先駆性」、「迅速性」、「柔軟性」、「多元性」など様々な 特性を持っており、行政の持つ公平性や、企業の利潤追求という社会的価値にとらわれな い。そのため、社会的課題に対して、迅速で先駆的な取り組みができると言われている。

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それぞれの組織が持つ多様な価値観に基づく自由な意思により、個別的で柔軟なサービス の提供が可能である。身近にある社会的な課題を市民の立場で解決しようという動きが NPO の活動である。また、こうした取り組みから社会への問題意識を持ち、行政や企業 に対して、市民の立場からチェックをし、独自の提言が行えるのもNPO の特徴と言える。 このようなことから、NPO は、行政(第 1 セクター)、企業(第 2 セクター)と並ぶ第 3 のセクターとして期待されている。これからの社会では、これらがバランスよく機能して いくことで、豊かで活力のある社会が構築されていくものと考えられ、NPO の存在は社 会、国民にとって深い意味があると考えられる。また、NPO は、時代のさきがけとなる 新しい動きとして注目されている。これは、企業や行政ではできない会社サービスを提供 する新たな担い手として期待されている証拠といえるだろう(1) (5)。 社会的課題を解決しようとする取り組みの多くは、一定期間を経たないと成果とミッ ションの達成が難しい。そのため、NPO が社会的な影響力を持ち社会に定着していくに は、利用もしくはサービスの対象者に対して長期的で良好的な活動を持続的に行っていく 必要がある。しかし、NPO 法人の良好な経営を持続させることは困難が存在している。 金治(6)は次のように述べている。『現状では多くのNPO が慢性的な人材・資金不足といっ た自転車操業的といっても過言ではない状況におかれ、持続性をもって活発に活動してい るNPO はあまり多くないことが想像できる。たとえば、田尾は「今、活動をしていても、 10 年も経てば、それを持続させている NPO は半分以下、一割以下という厳しい報告も あり」、「それほど持続が難しいのである」と言っている。また、跡田も「組織としてNPO を維持・拡大することの困難さを指摘している。」NPO の実践者にとって、ミッション達 成に向けて設立した組織をいかにして持続的に発展させるかが大きな課題となってい る。』 企業に比べてNPO 法人の経営の持続性に関する研究は進んでいない。山内は次のよう に述べている。『財務諸表などで組織の成果を把握できる企業では、もし成果に不足があ れば、何を改善すれば、どのような向上を達成できるかを予測できる。しかし、NPO 法 人では可視的な指標(7)を得ることが本質的に困難である。具体的に言うと「利益」に代表 される財務情報は、NPO 法人では、評価の主たる基準ではない。すべての活動を定量的 に表現できるとは限らない。それに、サービス利用者からの評価の視点は甘いことがある。 社会からの信頼、期待に応え、ミッションの達成度などの代理指標を用いても間接的な改 善のみが可能とされるだけである。』(8)そのため、NPO 法人の良好的な経営方法を研究す る時、企業のように可視化指標に着目して、経営問題を発見・解決することは難しい。 従来、NPO 法人の経営の持続性に関する既存研究は、NPO 法人の財務に着目して、 多様な財源を確保し、資金繰りが不安定になるリスクを軽減することを通じて、組織の持 続経営できるという仮説と検証に焦点があてられているようである。しかし、企業と異な って、NPO 法人は様々な社会貢献活動を行い、団体の構成員に対し収益を分配すること を目的としない団体である。収益を出資者の間で分け合う「収益分配」を行うことができ ない。営利企業との違いはそこにある。NPO 法人は収益を目的とする事業を行うこと自 体は認められるが、事業で得た収益は様々な社会貢献活動に充てることになる。したがっ て、NPO 法人にとっては財政の充実に加えて意識面が活動を続ける原動力としてより重 要であると考えられる。 NPO 法人の意識と経営の良好性の関連を問題にすると、以下の二つの関連の仕方がが 予想される。一つは、活動を持続させようとする意識は何らかの経営要素(経営行動の種

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れは鶏と卵のような因果関係で、どちらが先かは分からないが、このような持続性意識と 経営要素の関連を明らかにすることは、今後、NPO 法人の活動を持続させていくヒント を与えてくれると思われる。 しかし、NPO 法人の持続性意識と経営活動の関連に着目して定量的に分析する研究は ごくわずかであり、NPO 法人の持続性意識に影響を与える経営要素に着目した研究も少 ない。 また、NPO法人の持続は地方においてより厳しい状況にある。特に、山梨県において は取り巻く環境は深刻である。すなわち、 ① 山梨県は、農業と観光産業の連携など新しい産業に期待が集まる地域であり、ま た高齢化率が高く福祉等に需要があり、労働力流失と地域衰退問題が起こっている。 NPO 法人は山梨県の地域再生に対する要請も負いつつある。 ② 地方の山梨県においては、大都市に比べると社会経済基盤が弱い。従来言われて いるような持続性に効果のある「多様な財源確保」や「会費・寄付金の増資」に頼 ることが難しい。 山梨県のような地方においては、NPO 法人に対する必要性が高まる一方で社会経済基 盤が弱く、NPO 法人の持続的で良好な経営に課題を抱えている。さらに、地方と言って も、それぞれの地域方の歴史、文化、伝統は異なり、それによって例えばNPO 経営に関 わりが深い市民の寄付慣習やボランティア意識や行政の協働意識なども異なると考えら れる。NPO 法人の抱える課題や解決方法は地方によって異なる可能性がある。そこで、 地方の一地域である山梨県に限定して詳細に検討する必要があると考えられる。

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1-2 研究目的 本研究は、山梨県の NPO 法人を対象として、運営主体者の持続性意識が、NPO 法人 の良好な経営を促す重要な要因と捉えて、持続性意識に影響を与える経営行動面での要素 を定量的、統計的な方法を用いて、明らかにする。それによってNPO 法人の良好な経営 を促す知見を得ることを目的とする。 具体的には、 (1) 調査票調査によるアプローチ:持続性意識と経営要素の関連を明らかにする。経営要 素が持続性意識に影響を与えるとする立場をとり、持続性意識に強く影響を与える 経営要素を特定する。調査票調査を用いて影響を与える経営要素の絞り込みをおこ なう。 (2) ヒアリング調査によるアプローチ:持続性意識と経営行動の関連を明らかにする。さ らに、(1)で明らかにした持続性意識に強く影響する経営要素に関する行動と持続 性意識の関連を検証する。調査票調査では捉えきれない経営行動の実態を把握する ためにヒアリング調査を用いる。 (3) 得られた知見を整理し、既存の知見も踏まえながら、山梨県の NPO 法人が良好な経 営を持続させるための提案をおこなう。 なお、目的(1)において、「経営要素が持続性意識に影響を与えるとする立場をとる」 とは次のような意味である。経営要素と持続性意識との因果関係は、経営要素の努力が持 続性意識に影響を与えるという因果関係と、持続性意識が経営要素の努力に影響を与える という因果関係が考えられるが、本研究では前者の立場に立って、分析を行う。その理由 は、研究方法で述べる。 1-3 研究対象 本研究の対象は山梨県内のNPO 法人とする。平成 23 年度3月時点に登録されていた NPO 法人(325 法人)を対象とする。

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1-4 研究方法 1-4-1 研究方法の検討 本研究はNPO 法人が持続的で良好な経営を実現するための知見を得ることを目的とし ている。このとき、NPO 法人の経営特性(経済的利益ではなくミッション達成を目標と する経営特性)を考えると、特に法人経営者の「意識の面」は経営に大きな影響を与える と考えられ、意識と経営の関連を明らかにすることが必要だという問題設定をした。さら に意識とは「持続性意識(持続したいという希望、持続できるという自信)」が重要であ ると考えた。 そこで、「何らかの経営要素に対する努力や達成感」が、「持続性意識」に影響を与え、 「持続性意識」の差が「実際の経営行動(課題を認識し、解決策を考え、実行する一連の 行動)」に結びついているのではないかという仮説を設定する(図1-2)。すなわち、NPO 法人の持続的で良好な経営を実現するためには、「持続性意識」が媒介となっているとい う仮説であり、その仮説が正しいかを統計的手法によって明らかにし、持続性意識を向上 させる手立てや条件を明らかにすることを目指す。 ところで、持続性意識が良い経営と関連していたとしても、NPO 法人に「持続性意識 を高める努力をしてください」というアドバイスには意味が無い。おそらく持続性意識と は次のような好循環を生み出す媒介のようなものであろう。“経営努力の結果によって生 み出された達成感・満足感によって持続性意識が醸成され、持続性意識がさらに努力すべ き重点を押さえた経営努力に繋がってさらに良好な経営が実現され、その達成がさらに持 続性意識を高める・・・”、という循環である。 この想定に立った場合、①「持続性意識を高める経営要素を明らかにすること」と、② 「持続性意識が良い経営行動に結びついていることを証明すること」が、NPO 法人に対 する示唆のために求められる検討事項であると考えられる。本研究では①を目的1に、② を目的2に対応させた。 目的1で「経営要素が持続性意識に影響を与えるとする立場をとる」と記した。経営要 素と持続性意識の因果関係は上記の循環のように卵が先か鶏が先かの問題であり、現実に は意識と行動の循環の中でその関係・影響が繰り返されるものであろう。因果関係を想定 しないで関係性を見る手法(例えば数量化3類とクラスター分析など)の適用も考えられ るが、その場合に得られる関係性は、因果関係モデル(説明変数と目的変数との関係をみ るモデル)よりも曖昧なものになるため、本研究では因果関係モデルを適用したい。一方、 本研究では考え得る多くの経営要素を網羅的に設定しその中から特に持続性意識に強い 影響を与える経営要素を探索しようとするため、サンプル数に対して説明変数が多く、適 用する統計手法には工夫が必要である。また、意識を捉えるため、得られるデータは離散 的であり、母集団分布も確定できないという状況もある。そこで本研究ではこれらの状況 下でも信頼性の高い探索結果が得られる分類回帰樹木法および多変量回帰樹木法を用い ることとした。 先に述べた2つの因果関係は卵と鶏の関係であるのでどちらで設定しても良いが、「意 識が経営要素に影響を与える」という設定では、NPO 法人に対する示唆は(因果関係を 厳密に表現して言えば)「この経営要素を高めたければ、持続性意識を高める努力をして ください」という内容となり、「持続性意識を高める努力」はどう努力すればよいか分か らず意味の無いことになる。そこで本研究では「経営要素が持続性意識に影響を与えると

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する立場をとる」とした(図1-2 の左側)。 目的2では、ヒアリング調査によるテキスト・データを扱う。テキスト・データの分析 をより客観的に統計的におこなうため、本研究ではテキストマイニングの手法を用いる。 ここでは持続性意識と経営行動の関連を見るが、経営行動は膨大なテキスト・データであ り因果関係モデルを適用するのは難しく、テキスト・データを事前に絞り込んでしまって は目的1をさらに深めた分析ができない。そこで本研究では対応バブル分析(関連性の分 析であり因果の方向は特定しない)を中心に用いて持続性意識と経営行動の間にどんな関 連性があるのかを明らかにすることを考えた(図1-2 の右側)。 以上の基本的な考え方を踏まえ、以下のような研究手順をとった。 図1-2 経営要素・持続性意識・経営行動の関係仮説 次は、研究方法の流れについて、詳細に説明する。 1-4-2 具体的な研究の手順 (1)経営要素の抽出(第2章) 持続性意識に影響を与える経営要素が何かを明らかにするために、まず、NPO 法人の 経営要素を網羅的に抽出する必要がある。方法は既存文献(先行研究および文献資料)調 査による。文献で指摘されているNPO 法人に関する政策及び普及の現状を整理する。ま た、山梨県のNPO 法人の経営課題を明らかにするために、以下のようなヒアリング調査 を行った。 ———————————————————— 調査対象:山梨県企画県民部 県民生活・男女参画課 NPO・人権担当 石山様

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(2)持続性意識に影響を与える経営要素の探索(第3章) 抽出された経営要素をアンケート項目として、それらの持続性意識への影響を明らか にするためにアンケート調査(量的調査)を行う。 調査対象は、2011 年 3 月末日に登録されている山梨県内の NPO 法人(384 法人)の うち、休止状態にあるいは、住所不明となっているNPO 法人を除く 325 法人を対象に実 施する。 アンケート調査で得られたデータは分類回帰樹法を用いて、持続性意識と経営要素の関 連を分析する。 一方、NPO 法人の持続的な良好な経営にとって財務状況(特に財源の確保)は重要な 経営要素である。財務状況については、事業報告書等のデータが入手可能である。そこで、 山梨県のNPO 法人の財務状況や活動の種類を、山梨 NPO ネットワークで公開されてい る法人情報、事業報告書、決算書(収支計算書、貸借対照表)から抽出し、多変量回帰樹 木法によって、持続性意識と財源の関連を分析する。 アンケート調査の概要は以下の通りである。 ———————————————————— 調査期間:2012 年 11 月 26 日~12 月 7 日 NPO 法人:325 法人 回答数:97 法人 有効回答率:29.8% ———————————————————— (3)持続性意識と経営行動の関連分析(第4章) 経営行動の実態を明らかにするために、アンケート調査で回答を得たNPO 法人を対象 として、ヒアリング調査を行う。 得られたテキスト・データを用いて、テキストマイニングによって定量的統計的分析 をおこない、持続性意識と経営行動との関連を分析する。 ヒアリング調査の概要は以下の通りである。 ———————————————————— 調査対象:アンケートで調査したNPO 法人(97 法人) 調査期間:2013 年 10 月 8 日〜10 月 15 日 調査手段:電話により行い、ボイスレコーダーにより内容を録音したもとですべての 内容をテキスト・データに変換した。ヒアリング調査に協力いただいた NPO 法人数は 58 法人(有効回答率:59.8%)だった。 ———————————————————— (4)持続性意識と経営行動の関連分析(第4章) 経営要素について、その課題や、それを改善・充実させるための工夫や努力手法の提 案が、いくつかの文献の中で、断片的ではあるが、論じられている。本研究が明らかにで きた「持続性意識と関連する経営要素・経営行動」について論じられている事項を整理し 考察することによって、本研究対象である山梨県のNPO 法人の持続性意識を高め、良好 な経営状況になるための具体策を示し、さらに今後重点的に検討すべき課題を指摘したい。

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1-5 研究の位置づけ NPO 法人の経営に関する研究では、主に財務状況に着目した報告が散見される。とく に近年では、財務データベースを用いて実証的な研究が進展し始めている(9)。 田中ら(10)2008)は、多くの NPO の実務者たちが訴える「資金不足」を財務データ ベースから明らかにし、その構造を探っている。この論文では、資金不足を組織経営の持 続性の問題と捉えている。組織の成長・発展段階によって持続性の意味が異なるが、この 論文で扱ったデータが2003 年度当時のものであることから、対象となった NPO を「誕 生期」にあると位置づけた。誕生期の NPO は主として資金繰りの問題に直面している。 そこで、NPO 法人財務データベース作成委員会が構築した NPO 財務データベースを用 いて、主として資金繰りにかかる費目や財務指標を用いて分析を試みた。その結果、「収 入規模の大小にかかわらず、1 ヶ月程度の支出分に当たる現預金、3 ヶ月程度の流動資産 を保有している団体が多いことがわかってきた。しかし、それは人件費など固定費を極端 に抑え、理事や団体関係者からの短期、中長期の借入で維持されているものであった。 NPO の経営者は、持続性を担保するためには一定規模の現預金や流動資を維持する必要 があることを経験的に理解し、努力している。しかし、その実情は無理を重ねたものであ り、決して真の持続性とは言えないだろう」と指摘している。 馬場ら(11)(2010)は、NPO 法人の収入構造と経営的持続性の関係について、大阪大学 NPO 研究情報センターが公開する NPO 法人財務データベースを用いて、計量モデルに よる実証分析を行なった。その結果、「短期持続性については事業収入を集中的に拡大す ることが有効であり、中長期持続性については寄付金や会費などの多様な財源を獲得する ことが有効であること」を明らかにした。現在、多くのNPO 法人では、日々の業務に追 われ、ファンドレイジング活動に労力を割けないという実態がある。しかし、寄付などの 幅広い財源を確保できなければ中長期的に疲弊して、NPO 法人が活動を持続できなくな る可能性がある」と指摘している。 藤澤(12)は、自然環境保全分野のNPO 法人・市民活動団体の長期継続要因に関する研究 を行った。長期継続的な市民活動に関する調査研究及び日本の自然環境保全活動の歴史的 展開を鳥瞰した後、国内における当該分野の長期継続団体 150 件に対するアンケート調 査結果(回答数68 件)を分析した。調査結果から明らかになった点は以下の通りである。 (1)担い手組織の多くは、会員数・予算とも小規模で、無償スタッフによって運営さ れている。 (2)自然環境保全団体の長期継続要因の主要な要素には、理性、感性、組織運営、活 動特性、社会的要素、地域性、日常性、体験性がある。最後の3 項目は、「地域生活密着 性」という呼び方でまとめられる。 (3)理性と感性は対立的な要素であるが、「実践体験」が両者を結びつける。 (4)「伝達」は、組織内外における情報共有を通して、意識共有、共感を促進する。 (5)目的達成という視点から見た非営利組織の成長は規模の拡大とばかりは言えず、 企業進化論とは異なる展開モデルが想定できる。 藤澤はNPO 法人の一つの分野に対して、継続要因を研究したものである。しかし、全 体のNPO 法人を研究対象として、持続可能性に影響を与える要素に関する研究ではない。 また、自然環境保全団体の長期継続要因の主要な要素の一つは感性と指摘されるが、その

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している。そこでは、NPO 法人の財源の多様性に着眼し、財務データベース(website) に掲載されている全国のNPO 法人の財務データを用いて、HHI(Herfindahl Hirschman Index)(14)を算出し、これを応答変数として用いている。説明変数には、活動分野や団体 の活動規模、活動年数や所在地などの団体属性や地理的条件を考慮している。そして、ト ービット・モデル(15)による推定を行った結果、財源の多様性には活動内容が影響してお り、支出規模が大きく、活動年数が長く、所在地の人口規模が大きいほど、財源の多様性 が高まることが示されている。 小田切他(16)は、滋賀県の財政データベースを用いて、クラスター分析及び主成分分析 を行い、NPO 法人の各種類の財源を経常収入に占める比率を基に類型化している。その 結果、多様な収入構造をもつ「分散型NPO 法人」の持続性が高い可能性があり、これら のNPO 法人についてより詳細に検討することが NPO 法人の組織や活動を発展させる経 営モデルを概念化する鍵になることを指摘している。 経営的理念に基づく持続可能性の検討(17)では、財務指標により持続可能性を定義して いる。すなわち、「資金が不安定になるリスクを軽減することを通じて、組織の持続的経 営を行うこと(以下、持続性財務)」を持続可能性があるとしている。そして、諸種の統 計モデルを通して、財務的持続可能性に与える要因を検討している。しかしながら、これ らの研究では、法人運営主体者の意識が持続を促す重要な要素と捉えていない。他方、野 口(18)は、NPO 法人のミッションが社会に与えるインパクトについて検討を行っている。 そこでは、京都府で認定を受けているNPO 法人の定款の目的欄をテキストマイニングに よって分析している。その結果、NPO 法人ではミッション・ステートメントが曖昧であ り、また、認証という観点から、類似した目的をもつNPO 法人の定款の内容が類似して いることが指摘されている。しかし、この研究はNPO 法人の活動に不可欠なミッション に関する検討を行っているが、定款のみの検討であり、実際の活動の現況を調査したもの ではない。 いずれの研究も、NPO 法人の財務に着目して、多様な財源を確保し、資金繰りが不安 定になるリスクを軽減することによって、良好な経営ができるという仮説の検証に焦点が あてられている。そして、諸種の統計モデルを通して、財務的持続可能性に与える要因を 検討している。これらの研究では、法人運営主体者の意識が持続を促す重要な要素とは捉 えていない。 金治(19)は、財源だけでなく持続可能な経営方法について検討しており、本研究の問題 意識に近い。「在住外国人を支援する NPO の中心的存在」と評される神戸市の「たかと りコミュニティセンター」のフィールド調査をおこない、NPO 法人が持続する必要性を 指摘して、持続のための条件を考察している。結論としては、筆者はNPO の主体的な側 面と外部環境とのダイナミックな相互作用を強調した。つまり、単に外部環境の意向に従 うだけでなく、外部環境を構成する行政組織等に対して主体的な働きかけを通じて影響を 与え、新たな関係性を構築していくという今まで看過されてきたNPO の能動的な姿勢が 持続にとって重要であることを指摘している。対象は1つの NPO 法人ではあるものの、 その経営実態を深く分析した成果として重要な示唆を含んでいるが、結論を導く過程は主 観的な考察であり、また能動性を高める方法について突っ込んだ分析はない。 本研究は持続性意識を媒介として、経営要素と持続性意識の関連、および経営行動と 持続性意識との関連を、計量的統計的な分析過程を用いて明らかにする点、および重点を おくべき具体的行動を検討する点に特徴がある。

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従来の NPO 法人の経営に関する研究では、NPO 法人の財務に着目して、多様な財源 を確保し、資金繰りが不安定になるリスクを軽減することが良好な経営を支えるという仮 説の検証に焦点があてられていた。しかし、地方都市のNPO 法人は大都市より、人材や、 特に金銭などの資源に乏しい。この背景の下に、本論は新しい道を切り開く、法人運営主 体者の持続性意識が、地方都市のNPO 法人の良好な経営を促す重要な要因と捉えて、持 続性意識に影響を与える経営行動面での要素を明らかにすることを目的としている点に 特徴がある。 さらに、地方都市の再生を担う地方NPO 法人の振興を研究目的と設定する課題も十分 な意味があると考えられる。地方都市のNPO 法人を対象とする研究成果の意義や適用性 は従来の研究成果とは異なり、地方において有用な知見を得られると考えられる。

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1-6 論文の構成 第1章では、研究の背景・研究対象・研究目的・論文の構成・既存研究と比較した本 研究の位置づけを述べる。 第2章では、研究対象として取り上げた「山梨県のNPO 法人」の現状と課題を明確に して、NPO 法人の経営要素を明らかにする。 第3 章では、経営に関する要素を設定し、アンケート調査を利用して、持続性意識に 影響を与える経営要素を明らかにする。 第4 章では、NPO 法人の経営現状を分析する。アンケート調査では、アンケート用紙 の内容以上の情報を得ることができない。アンケート調査で得られた内容を深く掘り下げ て、調査票調査では捉えきれない情報を収集して持続性意識と経営行動との関連を明らか にする。そのために、アンケート調査を行ったNPO 法人に対してヒアリング調査による 定性的な調査をおこなう。持続性意識の差異によってNPO 法人の経営活動の現状に違い や特徴があるか明らかにする。 第5 章では得られた知見を整理して山梨県の NPO 法人が良好な経営を持続させるため の提案をおこなう。 論文の構成を下図に示し、各章の内容及び方法を説明する。 図1-6 論文の構成 第1 章 序 背景・対象・目的・構成・研究の位置づけ 第2 章 NPO 法人の現状・課題及び経営要素の抽出 第5 章 考察 得られた知見を整理して山梨県の NPO 法人が良好な経営を 持続させるための提案をおこなう 第3 章 NPO 法人の持続性意識に影 響を及ぼす要素の探索 量的調査によって持続性意識と経営要 素の関連を明らかにする 第4 章 NPO 法人の経営行動と持続 性意識 質的調査によって持続性意識と経営行 動の関連を明らかにする

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第1章 背景・対象・目的・構成・既存研究に対する本研究の位置付けを述べる。 第2章 研究を展開するための基礎的な知見の整理として、日本のNPO 法人の成立と経 営の特徴を明確にする。特に選定した研究対象山梨県内のNPO 法人の発展現状 と課題をヒアリングおよび文献資料収集調査によって明らかにする。これらの知 見を受けて、NPO 法人の経営要素を選定する。 第3 章 アンケート調査を用いて、経営要素を設定し、それらの持続性意識への影響を 明らかにするために調査を行った。具体的には、2011 年 3 月末日に登録されて いる山梨県内のNPO 法人(384 法人)のうち、休止状態にあるいは、住所不明 となっているNPO 法人を除く 325 法人を対象に量的調査(アンケート調査)を 実施する。入手したデータを分類回帰樹木法と多変量回帰樹木法を利用して、分 析を行う。 第4 章 アンケート調査(量的調査)で得られた内容を深く掘り下げて、調査票調査で は捉えきれない情報をヒアリング調査(質的調査)によって収集する。入手した テキスト・データはテキストマイニングよって分析する。テキストマイニングを 用いて、持続可能性の有無によってヒアリングでの回答にどのような違いが生じ ているかを属性と係り受けのデータ点の位置から探索できる。それによって、持 続性意識と経営行動との関連を明らかにする。 第5 章 経営要素について、その課題や、それを改善・充実させるための工夫や努力手 法の提案が、いくつかの文献の中で、断片的ではあるが、論じられている。これ らを整理することによって、本研究対象である山梨県のNPO 法人の持続性意識 を高め、良好な経営状況になるための具体策を示したい。 その上で、第5 章では、本論の結論及び今後の課題も述べる。

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<第1章における注記> (1)王娜(2013)「山梨県における NPO 経営の持続性に関する研究」山梨大学大学院 医学工学総合教育部修士論文、p.5 を引用した。 (2)詳しくは、山岡義典編著(1997)『NPO 基礎講座』ぎょうせい pp.2-5 を参照する。 (3)ここでの引用は、内閣府、「官から民へー政府部門の再構築とその課題」p.114 であ る。 (4)図 1-1 の出所は、社団法人・経済同友会(2005 年)社会変革に挑む NPO には優れた 経営者と志ある資金が必要である-企業経営者からの提言、企業経営者としての行動 計画-、p.2 である。 (5)NPO 法人の特性と社会地位については、山岡義典編著(1997)『NPO 基礎講座』 ぎょうせい、pp13-18 を参照する。 (6)NPO 法人の良好な経営を持続させることは困難が存在することについて、金治宏 (2008)「NPO 持続の条件」神戸大学大学院経営学博士論文、p.153 を参照する。 (7)可視的な指標というと、例えば、企業の場合、所有者である株主から経営陣が委託 を受けて企業を経営し、その働きについて株主から評価される仕組みがある。 (8)NPO 法人と企業の評価の区別については、島田恒(2005)『NPO という生き方』 PHP 研究所、p.159 を参照する。 (9)財務データベースを用いて、NPO 法人の財務に着目して、多様な財源を確保し、 資金繰りが不安定になるリスクを軽減することを通じて、組織の持続経営できると いう仮説と検証に焦点があてられているようである。 (10)田中弥生・栗田佳代子・粉川一郎(2008)「NPO の持続性と課題―財務データベ ースから考える―」『The Nonprofit Review』Vol.8、No.1、pp.33-48。

(11)馬場英明・山内直人・石田祐(2007)「NPO 法人財務データベースの構築から見 える課題と展望」『公益法人』Vol.36、no.4、pp.4-10。

(12)藤澤 浩子(2010)「自然環境保全分野における市民活動とその長期継続要因」日本 NPO 学会ノンプロフィット・レビュー 10(1)、pp.37-48。

(13)石田祐(2008)、「NPO 法人における財務多様性の要因分析―非営利組織の存続性の 視点から―」『The Nonprofit Review』Vol.18、No.2、pp.49-58。

(14)ある産業の市場における企業の競争状態を表す指標の一つ。その産業に属する全 ての企業の市場占有率の2 乗和と定義される。HHI は独占状態においては 1(数値 に%表示のものを用いるときには10000)となり、競争が広くいきわたるほど 0 に 近づく。寡占度指数とも呼ばれる。 (15)トービット・モデルとは、回帰分析の一種で、説明変数がある一定値までは被説 明変数が常に0 の値を取るが、説明変数がある「しきい値」を超えると、説明変数 に比例して被説明変数が増加するような関係を分析する時に使われる手法である。 (16)小田切康彦、浅野令子(2009)「財務データからみた NPO 法人の収入構造―滋賀 県を例として―」『同志社大学大学院総合政策科学会』pp.15-23。 (17)石田祐(2008) と小田切康彦、浅野令子(2009)は財務指標により持続可能性を定 義している。 (18)野口寛樹(2012)「探索的定量研究に基づいたミッションの理解―定款のテキストマ イニングから―」『The Nonprofit Review』Vol.12.No.1、pp.21-33。

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<第1章における参考文献> 足立清史(2008)『福祉 NPO の社会学』東京大学出版会。 雨森孝悦(2007)『テキストブック NPO 非営利組織の制度・活動・マネジメント』東 洋経済新報社。 馬場英明・山内直人・石田祐(2007)「NPO 法人財務データベースの構築から見える課 題と展望」『公益法人』Vol.36、no.4、pp.4-10。 藤澤浩子(2010)「自然環境保全分野における市民活動とその長期継続要因」日本 NPO 学会ノンプロフィット・レビュー 10(1)、pp.37-48。 服部崇(2002)「NPO による雇用創出-緊急地域雇用特別交付金制度の活用実態-」『The Nonprofit Review』Vol.2、No.1。 石田祐(2008)「NPO 法人における財務多様性の要因分析―非営利組織の存続性の視点 から―」『The Nonprofit Review』Vol.18、No.2、pp.49-58。

金治宏(2008)「NPO 持続の条件」神戸大学大学院経営学博士論文。

上条茉莉子、椎野修平(2003)『NPO 解体新書——生き方を編み直す』公人社。 内閣府、「官から民へー政府部門の再構築とその課題」。

野口寛樹(2012)「探索的定量研究に基づいたミッションの理解―定款のテキストマイニ ングから―」『The Nonprofit Review』Vol.12、No.1、pp.21-33。

王娜(2013)「山梨県における NPO 経営の持続性に関する研究」山梨大学大学院医学工 学総合教育部修士論文。 小田切康彦、浅野令子(2009)「財務データからみた NPO 法人の収入構造―滋賀県を例 として―」『同志社大学大学院総合政策科学会』pp.15-23。 島田恒(2005)『NPO という生き方』PHP 研究所。 島田恒(1999)『非営利組織のマネジメント』東洋経済新報社。 社団法人・経済同友会(2005)「社会変革に挑む NPO には優れた経営者と志ある資金が 必要である-企業経営者からの提言、企業経営者としての行動計画-」。 谷本寛治・田尾雅夫(2003)『NPO と事業』ミネルヴァ書房。 田尾雅夫・吉田忠彦(2009)『非営利組織論』有斐閣アルマ。 田尾雅夫(2004)『実践 NPO マネジメント』ミネルヴァ書房。 田中弥生・栗田佳代子・粉川一郎(2008)「NPO の持続性と課題―財務データベースか ら考える―」『The Nonprofit Review』Vol.8、No.1、pp.33-48。

山内直人・馬場英明・石田祐(2007)「NPO 法人財務データベースの構築から見える課 題と展望」『公益法人』Vol.36、no.4、pp.4-10。 山岡義典・ 田代正美・久住剛・早瀬昇・片山正夫(1997)『NPO 基礎講座~市民社会の 創造のために~』ぎょうせい。 山岡義典・和田敏明・伊藤道雄・高比良正司・山口智彦・桜井陽子・鎌田宜夫『NPO 基 礎講座2~市民活動の現在~』ぎょうせい。

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2-1 第2章の目的 本章では、次の点を明らかにすることを目的とする。 (1)研究を展開するための基礎的な知見を整理し、日本のNPO 法人の成立、発展状況 と経営の特徴を明確にする。 (2)特にこの論文の研究対象山梨県内のNPO 法人の発展状況と課題をヒアリングおよ び文献資料収集調査によって明らかにする。 (3)これらの知見を受けて、NPO 法人の経営要素を選定する。 2-2 日本のNPO法の成立(1) NPO 法成立の直接の契機となったのは、1995 年 1 月に発生した「阪神・淡路大震災」 において、多くの人命が失われてしまった震災において、全国から多数のボランティアが 被災者の救援等のために駆けつけたことである。1 日約 2 万人、3 ヶ月で延べ約 117 万人 のボランティアが活躍し、1500 億円を超える寄付や義捐金が全国から集った。活発に展 開されたボランティア活動への評価が高まり、こうした人々の自発的な行動は、国会議員 の注目するところともなり、衆議院予算委員会での質問に対して、当時の官房長官が「ボ ランティア支援立法」の用意がある旨を回答するに至った。ここから、政府が立法に向け て動き出し、それに対して市民団体や政党も行動を起こすこととなった。渡辺(2008) は、その成立経緯について、政府・市民団体・政党の 3 つ動向(主たる点のみ)をレビ ューした(2) (1) 政府の動向 1995 年 2 月、18 省庁から成る「ボランティア問題に関する関係省庁連絡会議」が経済 企画庁(当時)を事務局として結成され、ボランティアや市民活動団体への支援に向けた 法制度化の検討を開始した。その後、『ボランティア問題に関する関係省庁連絡会議中間 報告』が作成されるが、与党側の反発にあい、結果として「中間報告の発表は当面行わな い」こととなり、政府側による試みは立ち消えとなった。 (2) 市民団体の動向 「シーズ=市民活動を支える制度をつくる会」、「NPO 研究フォーラム」、「市民公益活 動の基盤整備を考える会」、「自由人権協会」などの市民団体は、市民活動やNPO の促進・ 改革に関して、1995 年 2 月以降、それぞれ、要望、提言、報告、試案の発表・集会の開 催などを行った。そして、同年 4 月には、それらの団体が中心となって「市民活動の制 度に関する連絡会」(1996 年に「市民活動制度連絡会」と改め)が結成され、以後、多数

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(3)政党の動向 1995 年 2 月、当時の自由民主党、社会民主党、新党さきがけによる「与党 NPO プロ ジェクトチーム」が結成され、1996 年 12 月には『市民活動促進法案』が国会に提出さ れた。 1997 年 6 月、『市民活動促進法案(修正案)』が衆議院にて可決され、参議院の審議へ と回されたが、国会閉幕に際して継続審議となる。同年11 月、国会で同修正法案の趣旨 説明が行われるも、国会閉幕に際して、またもや継続審議となる。1998 年 1 月、国会(参 議院労働・社会政策委員会)にて、再度『市民活動促進法案』に関する趣旨説明が行われ、 法案名称を『特定非営利活動促進法』としたうえで、3 月 19 日、全会一致にて成立、同 年12 月 1 日に施行されることとなる。なお、ここで注目しておきたいことは、1995 年 2 月以降、成立直前まで「市民活動促進法」として立法が進められてきた法案が、最終的に は「特定非営利活動促進法」となった点である。「市民」という名称が議員(の一部)に 受け入れられなかったことがその一因と見られるが、“市民活動”という主張性のある名称 に対して、“特定非営利活動”という曖昧性の強い名称は、施行後、認証を受けた「特定非 営利活動法人(通称・NPO 法人)」の実態に少なからぬ影響を及ぼしている。 また、2008 年、明治以来の公益法人制度が 110 年振りに大改正され、新たな「公益法 人制度」が12 月 1 日から施行された。これら 2 つの法人制度において、“NPO 法人制度” は「米国型」、“新公益法人制度”については「英国型」と言える(3)。このように、2008 年 12 月からは、日本の民間非営利セクターにおいては、2 つの制度が併存する状況となっ た。 上記のような経緯を経て成立したNPO 法であるが、その基本的なねらいは次の通りで ある。 1) 民による自由な社会貢献活動を促進する。 2) 行政とは異なる価値観に基づく社会変革を推進する。 3) 行政の関与を出来る限り最小限に抑え、政府からの独立性を高める。 4) 公益性の判断を市民社会に委ねるとともに、情報開示による事後チェックを前提と する。

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2-3 研究対象の定義(4) 日本において、「民間」かつ「非営利」の組織を広く捉えると、実はさまざまな法人格 を持った組織が含まれ、一般のイメージよりもかなり幅広いことがわかる(表 2-1)。学 校(学校法人)、病院(医療法人)、そして経済同友会(社団法人)も広い意味では「NPO」 と言えるのである。 一方、狭義において、日本では「NPO」という場合、通常、「市民活動団体等」と定義 されているものを指す。これは表2-1 では「狭義の NPO」に当たる。その定義は、「継続 的、自発的に社会貢献活動を行う、営利を目的としない団体で、特定非営利活動法人(NPO 法人)及び権利能力なき社団(いわゆる任意団体)」である。つまり定義上、「市民活動団体 等」は2 種類に分けられる(5)。

一つは、NPO 法に基づき法人登録された市民活動団体(NPO 法人)、もう一つは、NPO 法に基づいた法人登録がされていない市民活動団体(「任意団体」)である。前者のNPO 法人が、表2-1 での「最狭義の NPO」に当たる。「狭義のNPO」の定義を広げていくと、 民法34 条の規定によって設立された社団法人・財団法人・社会福祉法人・学校法人・宗 教法人・医療法人などが「広義のNPO」と定義される。さらに、非収益団体であるが、 会員の利益追求を中心とする私益・共益を目的とする「非公益団体」、つまり労働団体・ 経済団体・協同組合等(共益団体を含む)などの「互助的団体」も NPO として含む場合が ある(「最広義のNPO」)。 本論の研究対象は最狭義の特定非営利活動法人(NPO 法人)である。あらためて本論 文で用いる NPO を定義すると、「そのミッションに対する同意や共感に基づいて、社会 から寄付を募り、無償・有償のボランティアの労務の提供によって必要資金を節約しなが ら、みずからも稼ぎ出す収入によって継続的に社会的課題の解決に取り組む組織」(6)とな る。 表2-1 法人格を持つ民間非営利組織(4)

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図2-1 特定非営利活動法人の認定数の推移 (出所)内閣府NPO ホームページ(平成 27 年 10 月 31 日現在資料より作成 各年度末における法人数を示す。ただし平成27 年度は 10 月末時点) (https://www.npo-homepage.go.jp/about/toukei-info/ninshou-seni) 1998 年 12 月に特定非営利活動促進法が施行されて以来、毎年新しい特定非営利活動 法人(以下はNPO 法人)が認証されている。平成 27 年度 10 月末現在の認証・認定法人 数は51.399 法人にのぼる。図 2-1 は近年の NPO 法人の認定数の推移をしめしたもので ある。NPO 法人の数は着実に急増しており、今後法人数はさらに増加することが予想さ れる(7) 図2-2 特定非営利活動法人への関心度(n=3,000) (出所)内閣府特定非営利活動法人の実態及び認定特定非営利活動法人制度の利用状況に 関する調査報告書(平成23 年度) 平成23 年度、内閣府は、市民の NPO 法人に対する関心度を震災前後で比較する調査 をおこなっている。これによると、震災前に対して、震災後は、「とても関心がある」、「多 少関心がある」の割合が増加し、「あまり関心がない」、「まったく関心がない」の割合が 減少している(図2-2)。世の中の NPO 法人への関心度も高まっていることが分かる。

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図2-3 全国 NPO 法人の年間解散数の推移 (出所)内閣府ホームページより筆者作成(4) NPO 法人の数が急増することは、NPO 法人同士の競争が激化することにも繋がる。 NPO 法人は、社会的なミッションを掲げて、それに沿った活動をすることが必要である。 しかし、ミッションや志だけでは生き残ることはできず、経営戦略、マーケティング、人 材活用と組織運営、資金源の開拓と成果の測定などといった、まさに企業と同じように「経 営する」という視点が必要になる。特に日本におけるNPO 法人の財政基盤は、必ずしも 確立されているとはいえない。日本においては、NPO 法人の財政基盤の弱さが種々の文 献によって指摘されている(8)。財政基盤の弱さは活動を不安定、不確実にするだろう。 図 2-3 は、解散した NPO 法人数の推移を見たものである。これを見ると、2012 年 3 月末時点までに解散したNPO 法人は 5642 である。加えて、認証取消となった NPO 法 人は823 である。法人数は増加しているが、解散する NPO 法人も少なくない。2012 年 をみると、この年の総NPO 法人数は 47947 で解散した NPO 法人数は 5642 であるから、 約1割のNPO 法人が解散したことになる。日本の NPO 法人の経営持続可能性が不足し ていると考えられる。ミッションが達成され積極的に解散するのであれば問題は無いが、 現実には人材・資金・経営の失敗によって持続性を失ったNPO 法人が多いと考えられる。 日本では震災のボランティア活動が契機となり、東日本大震災でもボランティア活動が 活躍し、災害時に人々に支えるNPO 法人の活動が期待されている。また従来の家族制度 の崩壊、地域コミュニティーの崩壊などから、介護保険など公的な相互扶助制度が必要に なり、それを支える形で福祉系のNPO 法人が必要になってきた。今後、特に福祉につい ては大きな政府(北欧型)か小さな政府かの政治判断によってもNPO 法人の仕事は変わ るかもしれないが、超高齢社会・低経済成長化は確実で、高齢者の生き甲斐も含めたNPO 法人の活動は重要になると考えられる。また、例えば、都市計画の分野でも官民協働まち づくりは重要な課題である。前近代には道普請など公共事業の少なくない部分を民が担っ ていたり、福祉も農村社会の結などの相互扶助が役割を担っていたが、近代に入り地域協 働の多くを官が担うようになっていった。近年の行政の財政悪化を受けて管理部門の一部 は指定管理者制度などによってNPO 法人等の中間組織が担うようになったが、都市計画 7 30 80 174 382 659 1203 1889 2637 3595 4508 5642 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 2005 年 2006 年 2007 年 2008 年 2009 年 2010 年 2011 年 2012 年

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する「まちづくり」活動が都市計画の重要な取り組みになり、その担い手としてNPO 法 人の活動が重要になっている。また、例えばインバウンド観光にも期待が集まるなか、地 域資源の発見・資源磨きによる観光資源化、もてなしの工夫は従来の公共セクターでは活 性化が難しく、今後はこの分野でもNPO 法人の活躍が期待されている。 図2-4 は NPO 法人の活動分野の変遷を示している。平成 10 年、平成 15 年、平成 24 年の比較の結果によって、NPO 法人の活動分野は、社会ニーズの変化につれて変遷しつ つあることがわかった。日本では震災のボランティア活動が契機となり、NPO 法人が成 立したが、成立した頃の初期には、災害救援、社会教育、環境保全などの活動分野がNPO 法人に求められている。平成15 年になると、学術、情報化社会の発展、科学技術の振興、 職業能力の開発または雇用機会の拡充、消費者の保護に関する新しい分野が出現した。こ の変遷からNPO 法人の成立の最初には慈善型の活動が求められていたが、その後、事業 型、功能型の活動が求められるようになったことがわかる。その後、2010 年「観光立国」 が宣告されたことを契機に、観光を通じた地域活性化、雇用機会の増大に係わる活動が求 められるようになった。観光産業は21 世紀の日本を支える成長産業の一つとして位置づ けられ、注目を集めている。それとともに日本社会は観光振興に関するニーズが高まりつ つある。近年、農山漁村または中山間地区の労働力流失と地域衰退・地域消滅問題が起こ っている。NPO 法人はこれらの地域再生要請も負いつつある。このような社会背景の下 で、平成24 年、観光振興と農山漁村または中山間地域の振興という活動分野が増加した。 図2-4 NPO 法人の活動分野の変遷 出所:内閣府NPO ホームページ (https://www.npo-homepage.go.jp/uploads/kiso_katudou_hensen.pdf)

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以上のように、時代とともにNPO 法人に求められる仕事は時代の要請に合わせながら 変化し様々な分野に拡大している。NPO 法人は今後の日本政治・社会・経済の環境変化 の下で、ますます必要性が高まることが予想され、さらにその分野拡大の変遷を見ると、 より継続的・持続的な活動が求められる分野(例えば、初期からの社会教育・環境保全に 加え、近年では、科学技術・人材育成・地域再生・地域活性化などより複雑な課題に長期 的に取り組まなければならない分野)への必要性が高まってきていることがわかる。そし て、それらのNPO 法人の社会的目的を達成するためには、活動を継続することがますま す必要となり、そのためには「良好な経営状態を如何に保持するか」が重要な課題となる だろう。NPO 法人に関する持続的良好な経営に関するさらなる研究の必要があると考え られる。

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2-4 山梨県NPO法人の発展現状(9) 研究対象地である山梨県の人口は、864,305 人(平成 22 年 12 月 1 日現在:本研究の 調査対象NPO 法人の調査年の状況を示す)であり、人口の年別齢構成をみると、年少人 口(15 歳未滿)は 14.4%、生産年齢人口(15-64 歳)は 63.6%、老年人口(65 歳以上) は21.9%である。2035 年には 74 万人にまで减少、老年人口の割合は 35.3%にもなると 推計されている。 このような人口减少による経済縮小や税收减少、高齢化による社会保障負担の増加は、 国や地方自治体の財政負担をますます加速させることが予測される。 これに対し、「新しい公共」を担う代表的な民間の団体として、知事認証 NPO 法人は 340 法人、内閣府認証 NPO 法人は 60 法人、合計 400 法人(平成 23 年 3 月 31 日現在) である。山梨県内の平成23 年度初めの NPO 法人数は 384 法人であった。人口当たりの NPO 法人数は全国平均より多く、10 万人当たりの NPO 法人数は全国平均 37.5 法人な のに対して、山梨県では47.4 法人であった(平成 23 年度末)。NPO 法人の絶対数は少な いものの、相対的にみると人口当たりのNPO 法人数は多い。 また、公益法人(都県知事所管(平成22 年 3 月 1 日現在)。都道府県教育委員会所管 (平成22 年 11 月 1 日現在))は 216 法人、社会福祉法人は 229 法人(平成 22 年 9 月現 在)。学校法人は71 法人(平成 22 年 4 月 1 日現在)、自治会・区などの地縁組織は約 2,000 である。 表2-2 年度別山梨県 NPO 法人認証件数 表2-2 をみると、山梨県内の NPO 法人の発展状況は順調であると考えられる。登録さ れた法人数は毎年平均30 法人の速さで向上している。今後、団体数はさらに増加するこ とが予想される。 表 2-3 と表 2-4 をみると、山梨県は NPO 法人の解散率が全国より最も低い県である。 今までの経営状況は良い(あるいは持続性意識が高い)と考えられる。NPO 法人の人口 当たりの多さに加え、持続の点でも山梨県は先進県と言える。本研究が今後明らかにする 年度 知事認証件数 内閣府認証件数 年度別認証件数 累計 H10 2 0 2 2 H11 7 4 11 13 H12 11 5 16 29 H13 13 4 17 46 H14 28 4 32 78 H15 32 9 41 119 H16 35 5 40 159 H17 31 6 37 196 H18 51 7 58 254 H19 38 7 45 299 H20 27 5 32 331 H21 33 3 36 367 H22 32 1 33 400 合計 340 60 400

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成果は、持続性が(今のところは)比較的良いNPO 法人が多い地域の結果であるとも言 える。 表2-3 都道府県別 NPO 法人解散状況(平成 27 年 12 月 31 日累計) 出典:内閣府NPO ホームページ (http://www.npo-homepage.go.jp/about/toukei-info/ninshou-zyuri) 所轄庁名 認証法 人数 解散 数 解散率= 解散数/ 認証法人 数 所轄庁名 認証法 人数 解散 数 解散率= 解散数/ 認証法人 数 都道府県計 39,496 9,598 24% 静岡県 696 156 22% 山梨県 454 45 10% 埼玉県 1,674 377 23% 福島県 867 95 11% 兵庫県 1,384 314 23% 徳島県 337 37 11% 石川県 352 80 23% 鳥取県 273 30 11% 山口県 428 99 23% 奈良県 536 65 12% 北海道 1,151 267 23% 富山県 358 49 14% 沖縄県 573 133 23% 山形県 429 59 14% 滋賀県 591 138 23% 秋田県 338 56 17% 青森県 393 94 24% 佐賀県 375 65 17% 愛知県 1,089 261 24% 岐阜県 771 135 18% 岡山県 454 110 24% 愛媛県 441 78 18% 福井県 246 60 24% 栃木県 599 106 18% 熊本県 402 109 27% 島根県 278 50 18% 千葉県 1,635 451 28% 鹿児島県 880 159 18% 三重県 702 195 28% 高知県 320 59 18% 東京都 9,446 2,637 28% 香川県 360 67 19% 京都府 517 145 28% 宮崎県 426 83 19% 長崎県 468 133 28% 茨城県 775 157 20% 大分県 507 146 29% 岩手県 472 96 20% 広島県 478 138 29% 新潟県 438 91 21% 宮城県 383 113 30% 長野県 962 204 21% 神奈川県 1,467 493 34% 和歌山県 380 82 22% 福岡県 835 294 35% 群馬県 846 184 22% 大阪府 1,710 603 35%

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表2-4 政令市別 NPO 法人解散状況(平成 27 年 12 月 31 日累計) <上記の都道府県のデータには下記の政令市は含まない> 政令市名 認証法人数 解散数 解散率=解散数/認証法人数 札幌市 946 172 18% 仙台市 413 43 10% さいたま市 384 57 15% 千葉市 350 90 26% 横浜市 1,447 183 13% 川崎市 351 50 14% 相模原市 200 17 9% 新潟市 248 25 10% 静岡市 319 40 13% 浜松市 252 21 8% 名古屋市 830 110 13% 京都市 823 105 13% 大阪市 1,577 315 20% 堺市 267 49 18% 神戸市 750 145 19% 岡山市 328 28 9% 広島市 379 59 16% 北九州市 295 50 17% 福岡市 647 133 21% 熊本市 339 43 13% 指定都市計 11,145 1,735 16%

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山梨県の地方自治体の財政負担の加速はNPO 法人を増加させる要因にもなると考えら れる。今までのNPO 法人の増加の状況も全国の平均以上のレベルである。 しかし、平成17 年から、山梨県内の解散 NPO 法人の数が多くなってきている。図 2-5 からみると、平成24 年度までに 23 法人が解散し、持続性低下は加速の傾向にある。実 際に休止状態のNPO 法人の数量は統計上の数字以上であるかもしれない。さらに、平成 23 年度時点で 59 法人が休止状態にあった。先ほどみた累計で全国的に解散率の低い NPO 法人が多いという山梨県の状況は、地域力の低下に伴う状況下でのNPO 法人の増加と地 域の社会情勢に応えようとするモチベーションに依存しているかもしれない。現在解散数 の推移状況からみると、今後の経営の持続性は安泰とは言えない。山梨県においてもNPO 法人の良好な経営に関する課題の研究が急務であると考えられる。 図2-5 山梨県内の解散 NPO 法人の推移 (出所)山梨NPO 情報ネットより筆者作成 (http://www.yamanashi-nponet.jp/search/index.php) 1 2 4 7 12 14 16 23 0 5 10 15 20 25 H17年度 H18年度 H19年度 H20年度 H21年度 H22年度 H23年度 H24年度

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2-5 山梨県内のNPO法人経営上の課題 研究対象である山梨県内のNPO 法人の経営課題を把握するため、山梨県企画県民部県 民生活・男女参画課のNPO・人権担当にヒアリング調査を行った。インタビューの概要 は以下の通りである。 実施対象:山梨県企画県民部県民生活・男女参画課 NPO・人権担当 石山様 実施時間:2012 年 12 月 21 日(13 時~14 時) ヒアリング調査は、山梨県庁で行った。山梨県内のNPO 法人経営上の課題(不足して いる点)について石山様に伺った。石山様の回答と県庁の活動課題資料(10)を参考として、 以下に内容をまとめた(11) (1)人員体制面 ・行政等との協働促進の中核となるコーディネーター(つなぎ役)の不足 (県内NPO と行政等とのコーディネーターに経験を積んだ人材は、数える程しかい ない。) ・效果的な活動PR の実施能力の不足 (例:自らホームペーを作成、更新できるNPO 法人は、NPO 法人全体の約5割) ・優れた事業企画力を持つ人材の不足 (取組もうとする課題について専門的知識をもった人材やネットワークが不足して いるため、事業企画力に難のある NPO 等が多い。また、NPO 活動の経済的目立を 達成するうえで有效な、ビジネスの手法を活用した事業企画や経営改善を行う等の取 り組みが普及していない。) ・住民主体の地域づくり活動の促進役となる人材の不足 (県内では、住民が地域資源を活かして内発的な地域づくりに取り組む活動を支援す る、経験を積んだファシリテーター(促進役)は殆ど存在しない。) ・財務会計、税制、関係法令等に見識を有する人材が不足 (一部の事業系NPO 法人を除き、多くの NPO 法人が該当。) (2)組識体制面 ・業務改善、経験基盤強化のための機会が不足 (税理士や中小企業診断士等の専門家のアドバイスを受けて業務改善等に取り組ん でいるNPO 法人は少ない。) ・NPO を支援する中間支援組織の強化が必要 (山梨県ではボランティア・NPO 全般を支援する中間支援組織は山梨県ボランティ ア協会のほかは殆どない。) (3)連携促進面 ・NPO 法人間や行政との交流の機会が不足 (県内では、NPO が行政に協働事業を提案・協議する機会は少ない。) (4)財政マネジメント面 ・寄付金や助成金等の獲得、円滑な融資利用についてのノウハウが不足

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(県内NPO は、財政規模が 500 万円未満の小規模な NPO 法人が多い。また、そう した法人は自主事業收入の割合が小さく、会費が大きな收入源となっている。) (5)協働事業進面 ・ 地域における諸課題の解決に向けて、県・市町村とNPO 等との優れた協働事業が 不足しており、モデル的な取組の充実が必要。 山梨県行政による NPO 法人に対する新しい公共支援事業の取り組み方針や山梨県が 実施しているNPO 法人支援策の現状は、論文構成上付録にまとめた。 本論の2-7 節で NPO 法人の経営要素として 7 項目(13 要素)を挙げたが、山梨県の NPO 法人の現状課題をみても PR 能力(「広報活動」「知名度」)、組織内の人材活動や人 材供給(「後継者育成」「スタッフのやる気」「スタッフの充足度」「外部変化に対応する能 力」)、寄付金や助成金の獲得(「資金調達(財務)」)といった同様の経営要素が課題であ ることがわかった。また連携や協力の促進も課題となっていた。

図 2-1   特定非営利活動法人の認定数の推移 (出所)内閣府 NPO ホームページ(平成 27 年 10 月 31 日現在資料より作成 各年度末における法人数を示す。ただし平成 27 年度は 10 月末時点) ( https://www.npo-homepage.go.jp/about/toukei-info/ninshou-seni ) 1998 年 12 月に特定非営利活動促進法が施行されて以来、毎年新しい特定非営利活動 法人(以下は NPO 法人)が認証されている。平成 27 年度 10 月末現在
表 2-4   政令市別 NPO 法人解散状況 ( 平成 27 年 12 月 31 日累計 )  <上記の都道府県のデータには下記の政令市は含まない> 政令市名 認証法人数 解散数 解散率=解散数/認証法人数 札幌市 946  172  18%  仙台市 413  43  10%  さいたま市 384  57  15%  千葉市 350  90  26%  横浜市 1,447  183  13%  川崎市 351  50  14%  相模原市 200  17  9%  新潟市 248  25  10%  静
図 3-5   持続性意識を持つ NPO 法人の成立年分
表 3-4   持続性意識の有無より NPO 法人の成立年代の割合 持続性意識 1999 年〜 2004 年 2005 年〜 2011 年 合計 ある 29%  71%  100%  なし 16%  84%  100%  差 13%  13%  図 3-5 と図 3-6 を比較してみると、持続性意識を持つ NPO 法人は、持続性意識を持た ない NPO 法人に比べて、 2004 年以前(すなわち調査年である 2012 年の 7 年前以上)の NPO 法人が若干( 13% )多い。全体で見れば、持続性意識を持
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