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群馬大学医学部附属病院における感染制御部の活動

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Academic year: 2021

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175 ─  ─ 2018;68:175~176

 昭和キャンパス点描

群馬大学医学部附属病院における感染制御部の活動

徳江  豊

1 1 群馬県前橋市昭和町3-39-15 群馬大学医学部附属病院感染制御部 はじめに  群馬大学医学部附属病院の感染制御部は,院内措置によ り編成され感染対策活動を行ってきたが,平成15年4月 に正式な設置が認められ,新たな部門として発足した.当 時より感染制御部のスタッフは,医師,看護師,薬剤師, 臨床検査技師からなる多職種連携で業務に当たってきた. 感染制御部の活動内容には,教育・広報活動,調査研究・ 企画活動,感染制御実施活動があるが,定例のミーティン グや運営委員会において感染対策上の諸問題を協議し,活 動計画の検討や実施された感染対策の評価を行っている. 感染対策巡視および抗菌薬適正使用の推進  現在,群馬大学医学部附属病院は,感染防止対策加算1 および抗菌薬適正使用支援加算を取得しており,従来の病 院感染対策に加え薬剤耐性(AMR)対策の推進に重点を 置いて活動している.さらに地域連携加算として加算2の 病院と連携し定期的にカンファレンスを開催している.4 職種で構成されるICTメンバーによる院内ラウンドを行っ ており,重点部署は毎週,病棟は毎月,その他患者対応の ある全ての部署は2ヶ月毎に巡視しており,患者毎の感染 対策の遵守状況を確認している.それに加えて,毎月感染 対策委員会による感染対策巡視を行い,手洗いなどの標準 予防策の実施状況,感染性廃棄物の処理状況などいくつか のチェック項目を決め,病院内の全ての部署を対象に年2 回の巡視を計画し,感染対策の状況の調査ならびに評価を 行っている.抗菌薬適正使用支援業務としては,院内紹介 による感染症治療に関するコンサルテーション,血液培養 陽性者および広域抗菌薬使用患者のスクリーニングを毎日 行っており抗菌薬適正使用の推進を図っている. 感染制御部ミーティング、感染対策委員会  定期的に開催している感染制御部ミーティングでは,感 染症に関連する情報交換や,コンサルテーションのあった 症例の報告,血液培養陽性の症例の検討が行われている. 感染対策委員会では1ヶ月間の当院における申請が必要な 抗菌薬(カルバペネム系薬,第4世代セフェム系薬,注射 用キノロン系薬,抗MRSA薬)の使用状況,周術期の抗 菌薬予防投与の状況,病棟別の分離菌の報告,院内巡視の 結果報告と協議,細菌検査室からのMRSA感染情報の報 告がなされる.MRSAについては前月や前年との比較, 薬剤耐性型から推定した分離菌の関連性も報告され,病院 内感染多発時(アウトブレイク)には,MRSAのみなら ず多剤耐性緑膿菌,セラチア,バンコマイシン耐性腸球菌 なども,必要に応じて細菌検査室で菌の相同性をPOT法 という遺伝子解析を施行し感染経路の推定に重要な情報が 提供される.これらの情報は各部署から構成された感染対 策担当者会議で報告され情報の周知を図っている. 文献情報 投稿履歴:  受付 平成30年5月14日  採択 平成30年6月7日 論文別刷請求先:  徳江 豊  〒371-8511 群馬県前橋市昭和町3-39-15        群馬大学医学部附属病院感染制御部  電話:027-220-8549  E-mail: tokue49@gmail.com

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176 ─  ─ 群馬大学医学部附属病院における感染制御部の活動 健康管理業務  医療従事者の健康管理もまた感染制御部の重要な業務で ある.針刺し事故発生時には24時間体制で検査部におい てHBs抗原・抗体,HCV抗体,HIV抗体の検査が実施さ れ,事故後の迅速な対応が可能となっている.針刺し事故 対策として,EPINetを導入し現状の解析と対策を行って いる.針捨てボックスの使用の励行や安全器材の導入を推 進し,使用法やその必要性について講習会を通じて教育し 対策に役立てている.さらに研修医,学生を含む医療従事 者のウイルス抗体検査(肝炎,水痘,麻疹,風疹,ムンプ ス)とワクチン接種も実施している.現在は,新入職職員 に対してワクチン接種歴の確認および必要なワクチン接種 を義務づけており,さらに病院内で患者に接触するすべて の他施設からの研修者に対しても同様の記録の提出を求め ており,院内感染のリスクの最小化を図っている. 感染症診察室の設置  平成214月に南病棟1階の総合診療部の西側に,病 院玄関を通らずに直接入室できる陰圧の感染症患者の外来 診察室が設置された.その後に流行した新型インフルエン ザpandemicH1N12009の疑いを含む患者の診察を行っ た.現在は,他の患者への水平感染を防止する目的で,イ ンフルエンザのみではなく結核,麻疹,水痘などの感染症 患者や原因菌不明の不明熱や呼吸器感染症の診察に利用し ている. 第一種感染症指定医療機関  群馬県内には各診療地域に第二種感染症指定病院が整備 されていたが,厚生労働省の配置基準により各都道府県に 1医療機関を設置することとなった.第一種感染症指定機 関は一類感染症(エボラ出血熱,クリミアコンゴ出血熱, 痘瘡,南米出血熱,ペスト,マールブルグ病,ラッサ熱) 患者の入院を担当する医療機関である.群馬県内には設置 されていなかったため,平成22年度国・県補助事業とし て群馬大学医学部附属病院内のサイクロトロン棟を改築し て第一種感染症病床を整備し,平成23年4月1日,第一 種感染症指定医療機関に指定された.7月には施設見学会 を開催し,その後2年毎に群馬県,前橋市とともに患者搬 送シミュレーションを行っている. 群馬県感染症対策連絡協議会  平成21年8月,群馬県医師会ならびに群馬県医師会政 策総合研究機構からの依頼により,「感染症対策」をテーマ に政策提言を行うことを目標とした政策実行委員会が開催 された.アドバイザーとして参加し医師会員に向けた「知っ ておきたい感染症とその対策」と題する諸冊子を作成し配 布した.同時に、県内ICDの相互理解とメーリングリス トによる情報の共有化を目的に,群馬ICD連絡協議会を 設立した.県内病院の耐性菌のアウトブレイクに対して改 善支援調査を行っていった過程で群馬県感染症対策連絡協 議会へ改組し,地域連携加算のための相互チェックの調整 や県全体でのカンファランスの立案を行っている. 国公立大学病院感染対策連絡協議会  全国の国公立大学病院からなる感染対策協議会において, 感染対策の相互チェックやサーベイランス,ガイドライン の策定等に多職種で参加している.デバイス関連感染症発 生率,抗菌薬使用量,耐性菌分離率,血液培養総数や複数 セット率,汚染率などの項目が毎年データとして公表され, 自施設の感染対策が全国の他大学と比較してどの位置にあ るか確認し,感染対策の改善目標の算定に役立てている. 謝辞  日頃より感染対策にご協力いただいている全ての部署の 皆様と感染制御部のメンバーに感謝いたします.

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