【研究ノート】韓国における近時の会社法改正につ
いて
著者
井上 貴也
著者別名
Inoue Takaya
雑誌名
アジア文化研究所研究年報
巻
38
ページ
81-87
発行年
2003
URL
http://id.nii.ac.jp/1060/00009385/
Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja[
研
究
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韓国における近時の会社法改正について
はじめに 韓 国 の 会 社 法 は 、 一 九 六 二 年 に 公 布 さ れ 、 一九六三年施行された商法典 の﹁第一二一縮会杜﹂中に規定されている。韓国の会社法は、歴史的な背景か ら日本の会社法に類似している。韓国の会社法もわが国と同様に授権資本 制度や経営機構などアメリカ法の影響を受けている部分も多い。会社の種 類も株式会社、有限会社、合資会社、合名会社の四種類があり、各種会社 ( 1 ) の定義もわが国のものとほぼ同じものと考えられている。 一九九七年末のIMF
管理下での社会全体にわたる構造改革が進められ て以来、急速な経済復興を遂げた韓国においても会社法制度のグローバル 化の波が押し寄せている。韓国における会社をめぐる事情を紹介しておく と、会社全体のうち株式会社が九O
%
を占めており、所有と経営が未分離 であること、総会屋については日本ほど問題にはなっていないそうである。 総会屋については外資が流入し始めたころから入ってきたということであっ た。最近の傾向としては、NGO
株主の企業に対するモニタリングが活発 に行なわれるようになり、マスコミでも多く取り上げられているそうである。井
上
貴
也
二OO
三年八月に、韓国外国語大学校法科大学李均成博士にお会いして 最近の韓国会社法の動向ついてお話を伺うことができた。そこで、本稿で は、インタビューさせていただいた事項を整理し、わが国の会社法との差 具について若干指摘をしてみたいと思う。 韓国会社法の概観 最近の韓国における主要な会社法の改正は、 一 九 九 八 年 改 正 、 一 九 九 九 年改正、二O
O
一年改正の三度の改正が挙げられる。これら改正の主な改 正項目について概観する。 1 一九九八年改正 一九九八年改正の主要な改正点は次のとおりである。 企業の資金調達の効率性を高めるため、①株式の最低券面額の引き下げ ( 五000
ウ ォ ン か ら 一0
0
ウォンへ)(韓国商法三二九条四項)、これに より株価急騰のとき、株式分割を通じて株式の流通性の回復が図られると いうメリットと新株発行の際、企業の資金調達の便宜が図られるというメ J¥韓国における近時の会社法改正について リットを享受できるようになった。 会社合併段階の準備段階において、株価調節と高株価の流通性を回復さ せるため、②株式分割制度が(三二九条の二)が導入された。 営業年度末の利益配当以外に営業年度中一回に限って金銭による利益配 当を行なうことができるように、 いわゆる、③中間配当制度の導入(四六 二条の三第一一項)も図られた。中間配当は、定款の規定に従い、取締役会 の決議によって行なわれる。中間配当制度の導入により、株主側からは投 下資本回収期間を短縮することができ、投資の活性化を図ることができる、 会社側からすれば配当を年二回とすることにより配当資金の負担を軽減す ることが期待されている。 つぎに、企業の透明性を高め、経営者の責任を強化するために、④株主 提案制度(三六二一条の二)が新設された。発行済株式総数の二一%を有する 株主が取締役に対して会日の六週間前までに一定の事項を会議の目的たる 事項とするよう提案できるようにしたのである。この制度はわが国の制度 と同様に株主の積極的な経営参加と経営監視に期待するものである。株主 権の強化を図る制度としては、①少数株主権の行使要件の緩和があげられ る。株主代表訴訟の提訴株主要件(四
O
三条)、株主の違法行為差止請求 権(四O
二条)については持株要件を五%から一%に引き下げられた。ま た、取締役・監査役の解任請求権(三八五条二項)、少数株主の総会招集 請求権士一一六六条)、株主の会計帳簿請求閲覧権(四六六条)などについ ては持株要件を五%から三%に緩和する措置がとられた。さらに、株主側 からみたコl
ポ レl
ト・ガパナンスという点では、少数株主の利益を代表 する取締役の選任可能性を保障するため、⑥累積投票制度の導入が図られ 入 た(三八二条の二 ) o この制度は、二名以上の取締役を選任する場合に、 三%以上保有する株主の請求がある場合に行なわれる。累積投票制度を定 款の規定で排除できることについてはわが国と同様である。 取締役の責任強化により適法経営を図ろうとする制度としては、まず、 ⑦取締役の忠実義務規定の新設(三人二条の三)があげられる。コ一八二条 の三は、﹁取締役は法令及び定款の規定により会社のためにその職務を忠 実に遂行しなければならない﹂と規定している。この義務の内容について の内容を定めたものと は 、 い わ ゆ る 忠 実 義 務 ( 出 向 日 ロ 己 貸 可E
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え さ 苫- q )
( 2 ) 説明されている。つぎに、@業務執行指示者(事実上の取締役)等の責任 規定(四O
一条の二)が新設された。会社に影響力を行使し、取締役に対 し業務執行を指示したり、直接業務を執行したりした支配株主や経営権を 事実上行使した者を﹁事実上の取締役(母P
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。 ︻ 田 町 宮 古 ﹃ ) ﹂ と み な し て 、 会社および第三者に対して取締役と連帯して賠償責任を負わせることにし た。この規定により、支配株主や事実上の経営権の行使者、さらには財閥 等の企画調整室などに対しても経営責任の追及が可能になった。 企業の経営の効率化という観点から、①取締役の員数についての自律化 が図られた (三八三条)。取締役の法定人数を原則として=一名と規定し、 資本の額が五億ウォン未満の会社については、取締役の人数を一名または 二名とすることができるようにし、企業の規模に応じた経営機構が採用で きるようにした。わが国でも会社法の改正事項とされているが株式会社と 有限会社制度との調整が韓国でも課題となってくるであろう。2 一九九九年改正 一九九九年改正は、九八年改正に引き続き行なわれたということで、九 八年改正で積み残された課題について改正作業が行なわれた。 まず、株式関係では、①従業員のインセンテイブを高めるため、いわゆ ( 3 ) るストック・オプション制度が導入された(三四
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条のごから五 ) 0 また、株式関係では規制緩和の一環として、②自己株式取得制限の緩和 が図られた(三四一条の二)。会社がストック・オプションの行使に備え るため、会社が自己株式を取得する場合や、退任する取締役・監査役また は退職する従業員の保有する株式を会社が譲り受ける目的で取得する場合 には、発行済株式総数の一O%
まで会杜は自己株式を取得できることになっ た 。 つぎに、機関関係について見てみると、企業経営の効率性を高めるため に、取締役会の機能が強化された。今回改正により、テレビ会議方式が新 たに認められるようになった。三九一条二項で、﹁取締役会は取締役の全 部または一部が直接会議に出席せず、取締役全員が動映像および音声を同 時に送受信する通信手段により決議することができる。この場合、当該取 締役は取締役会に出席したものとみなす﹂という規定が新設された。 取締役の議事録記載事項の整備と閲覧要件の整備も図られた(三九一条 の三)。株主が営業時間内に取締役会議事録の閲覧又は謄写を請求するこ とができるという規定が新設された。同時に、会社は、株主からの閲覧請 求に対して理由を付してこれを拒むことができる旨も規定された。さらに 会社が議事録の謄写・閲覧を拒絶したこの場合、株主は、裁判所の許可を 得て取締役会議事録を閲覧又は謄写することができることが規定されたの 韓国における近時の会社法改正について である。これらの規定は、株主権の強化を図ることにより経営チェック機 能を充実させるものである。 今回改正では、取締役会の効率的な運営を図ることを目的として取締役 会内に委員会を新設することが可能になった(三九三条の二第一項)。取 締役会決議で委員会を設置することができる。委員会は取締役二名以上で 構成される(三九三条のご第三項)。委員会は取締役会により委譲された 権限に限り決定することができる。ただし、ω
株主総会の承認を要する事 項 の 提 案 、ω
代表取締役の選任および解任、ω
委員会の設置とその委員の 選任および解任、ω
定款で定める事項等は取締役会が委員会に委任するこ とはできない。委員会で決議した事項は各取締役に通知しなければならな ぃ。通知を受けた各取締役は取締役会の招集を要請することができること になっており、取締役会は委員会が決議した事項について再び決議するこ ともできる規定になっている(三九三条のニ第四項)。 韓国においては、新株の発行、社債の発行、取締役の競業・自己取引の 承認、支配人の選任等の重要事項も委員会に委譲できる。委員会設置がか えって取締役会の形骸化をもたらす結果を招くことも考えられ、実務の対 応についてさらに調査をする必要がある。 取締役会関連の改正として新たな制度としては監査委員会の新設が挙げ られる。会社は、既存の監査役制度と新たな監査委員会制度のどちらかを 選択し、採用できることになった。監査委員会は、取締役会の下位機関と して位置づけらている。監査委員会は、三人以上の取締役で構成される。 た だ し 、ω
会社の業務を担当する取締役及び使用人又は選任された日から 二年以内に業務を担当した取締役及び使用人であった者、ω
最大株主が白 }¥韓国における近時の会社法改正について 然人である場合、本人・配偶者及び直系尊・卑属、
ω
最大株主が法人であ る場合、その法人の取締役・監査役及び使用人、ω
取締役の配偶者及び直 系 尊 ・ 卑 属 、ω
会社の親会社又は子会社の取締役・監査役及び使用人、ω
会社及び取引関係等重要な利害関係にある法人の取締役・監査役及び使用 人 、ω
会杜の取締役及び使用人が取締役である他の会社の取締役・監査役 及び使用人は、委員の総数の三分の一を超えることはできない ( 四 一 五 条 の 二 ) 。 機関関係では、株主総会の運営も弾力化も図られ、総会議長の秩序維持 権限を与え、﹁議長は、故意に議事進行を妨害するために発言・行動する など顕著に秩序を撹乱する者に対してその発言の停止または退場を命ずる ことができる﹂と規定し、議長の権限強化を図っている。総会屋の横暴を 防止させるための規定である。少数株主の会社経営の関与を促進させ、外 国人株主の議決権行使において便宜を図ることを目的として書面投票制度 も認められることになった(三六八条の三)。 3 二OO
一 年 改 正 二OO
一年改正についてみてみると、韓国企業の更なるグローバル化の ため国際的競争力強化を目的として、次のような改正が行なわれた。 ①一人会社の設立の許容(一人の発起人の認定) 韓国の学説で議論のあった一人株式会社と一人有限会社の設立を立法上 認めた(二八八条、五四三条一項)。 ②親子会社関係の持株要件の基準引き上げ調整(三四二条の二第一項) 韓国商法三四二条の二第二項の規定によれば、子会社は例外的な場合を 人 四 除いて親会社の発行株式を取得してはならないと規定している。今回改正 では、従来、親会社の要件について発行済株式の一O
O
分の四O
としてい たものを、他の会社の発行済株式総数の一OO
分の五O
という要件に緩和 した。今回の改正は、﹁独占禁止及び公正去来に関する法律﹂の持株要件 ( 4 ) を意識しての措置である。 ①一株主招集通知の電子化(三六三条一項) 外国人株主の議決権行使の便宜を図ることができる点において意義があ ( 5 ) る。一二六三条一項では、﹁書面または電子文書で通知を発しなければなら ない﹂と規定している。ここにいう電子文書には電子メl
ルも含まれると ( 6 ) 解 さ れ て い る 。 また、招集通知が株主名簿にある株主の住所に三年間継続して到達して いないときには、会社は当該株主に招集通知の省略ができる。 ④会社営業に重大な影響を及ぼす会社の営業一部の譲受の場合、株主総会 の特別決議が必要とする明文の規定の新設(三七四条一項第四号) 会社経営の重要事項については株主総会の権限を強化した。わが国商法 の二四五条と同趣旨である。制度趣旨としては、営業の譲受について重要 性の基準を譲渡会社から譲受会社に移した。本号の規定は、譲受会社の株 主利益の保護に主眼が置かれている。したがって、重要性の基準は譲受会 杜に与える影響を考慮して判断されることになる。 ①取締役・監査役の秘密保持義務(三八二条の四、四一五条) 取締役に一定の秘密保持義務を課した。また、監査役にもこの義務を準 用している。改正商法では、﹁取締役は在任中だけではなく退任後も職務 上知り得た会杜の営業上の秘密を漏洩してはならない﹂と規定している。この規定は、社外取締役が職務上知り得た会社営業上の秘密を漏洩する可 能性があるとの指摘によるものであるが、社内取締役にも適用される。退 ( 7 ) 任後についても秘密保持義務を課すというところに本条の意義がある。 ①取締役の取締役会招集請求権の認定(三九
O
条二項) 三 九O
条二項の規定は、招集権のある取締役が取締役会の招集請求を受 けたにもかかわらず、正当な理由なしに取締役会を招集しないときには、 他の取締役が取締役会の招集ができることを定めたものである。具体的な 招集手続に関する内容が欠けており解釈上の論争がある。また、 一 定 の 期 間内に招集権者が手続を行なわないときというような要件にもなっておら ず、他の取締役が招集できる時期が不明であり法運用に委ねられている部 分 も 多 い 。 ⑦取締役の情報接近権の強化(報告義務)(コ一九三条三項、四項) 立法目的としては、社外取締役が会社内部の情報にアクセスしやすいよ うにするためのものである。社外取締役は、社内取締役と比して会社の内 部情報に疎いため、情報格差を是正するために設けられた。情報接近権の、 具体的な行使方法は、取締役が代表取締役に対して必要な情報について要 求をし、その要求に応じて代表取締役が担当の取締役や使用人に対して情 ( 8 ) 報の提供を求める方法がとられるようである。この規定は実務界からの権 利の内容が具体的に明瞭であってほしいとの要望により設けられたもので ある。報告義務については、わが国商法二六O
条三項と同趣旨である。 ③株主総会の特別決議による株式消却制度の導入さ一四三条の一一) 会社の株価管理等の便宜を図るために利益配当の範囲内で、定時株主総 会の特別決議により株式を買い受け、消却できる旨の規定を新設した。買 韓国における近時の会社法改正について い受けの方法は、株主総会の決議で、買い受ける株式の種類、総数、取得 価格の総額および株式を買い受ける期間を定めなければならない ( 同 条 項・二項 ) 0 従前、韓国における株式消却制度は、その聞の定款に定めたときに限り、 消却することが可能であったが、今回の改正で定款に定めがなくても総会 の特別決議のみで買い受けが可能になった。株価の下落を回避することが できるようになった。取得財源については、決算期における配当可能な利 益の範囲内という条件が設定されている。会社は、定款変更などの煩雑な 手続を経ることなく株主総会の特別決議のみで株式消却ができるようにな り、上場企業等にとっては株価管理の手段として期待されている。 わが国のように金庫株の制度は韓国においては認められておらず、保有 することはできない。動向としては、金庫株制度の導入の検討が行なわれ ( 9 ) て い る 。 ①定款により第三者に対する新株発行等の配定要件の強化(新技術の導入・ 財務構造の改善等の経営上の目的の場合)(四一人条) 原則として、株主はその者が有する株式数に従い、新株の配分を受ける 権利がある (四一入条一項)。しかし、第三者割当増資を行なう場合につ いては明文の規定で目的を限定することにした。改正商法では、定款の定 めに従って株主以外の第三者に新株を割り当てる場合、﹁新技術の導入・ 財務構造の改善﹂等、会社の経営上必要な場合に目的を限定することにし た(四一八条二項)。既存の株主の権利強化を図った規定であり、従前よ ( 叩 ) り規制を強化する結果となった。 ⑬株式の包括的交換・移転制度の新設 )¥ 五韓国における近時の会社法改正について 持株会社の設立を容易にするため、会社が株式の包括的交換または移転 により、他の会社の発行株式の全部を所有できる制度を新設した士一一六
O
条のこないし三六O
の二三)。持株会社の設立を容易にし、企業のリスト ラクチャリングを後押しする目的で設けられたものである。 日本法との差異 わが国の会社法制度と韓国の会社法制度との差異について指摘しておく。 ①株式について 韓国では額面株式(最少額一0
0
ウォン)を認めている。韓国における 額面株式の制度は平成一三年改正前の日本の額面株式に関する規制の内容 と同様の規制を設けている。 ②自己株式について わが国では平成一三年の改正により、配当可能利益の範囲内において自 己株式の取得・保有が可能となったが、韓国では会社債権者保護の要請か ら保有することはできない。また、わが国においては配当可能利益の範囲 内において取得目的の如何を問わず総会の通常決議により自己株式を取得 することが可能であるが、韓国では目的がストック・オプションの目的に 限られ、手続面でも総会の特別決議が必要である。また、韓国商法コ一四一 条に基づき自己株式を取得した場合であっても、取得後、消却の場合には 遅滞なく失効させ、それ以外の場合には相当期間に処分しなければならな、
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( 三 四 二 条 ) 0 ③ 一 種 類 株 式 に つ い て いわゆる、トラッキングストック ( 吋E
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と呼ばれる、特定 T、 、 ﹂ 、
F ノ 一 ノ 事業部門または子会社の収益連動型の優先株・劣後株、(狭義の)議決権 制限株式、強制転換条項付株式の制度は韓国では認められていない。 ④監査役について 韓国では、監査役の任期は三年である。また、選任の公平性を保つとい う観点から議決権のない株式を除外した発行株式の総数の三%を超過する 数の株式を有する株主は、その超過する株式に関して、議決権を行使する ことができない。この制限は一九八四年改正で設けられた(韓国商法四O
九条)。監査役の選任について保有持株割合で議決権を制限する制度は、 わが国商法にはない制度である。 ①取締役制度について 先にも述べたが、 いわゆる﹁事実上の主宰者﹂、﹁事実上の取締役﹂につ いても取締役と連帯して責任を負うとする規定は、わが国商法二六六条ノ 三の取締役の対第三者責任に関する下級審裁判例で散見されるところでは あるが、商法上明文の規定は置いていない。また、わが国で平成一三年商 法改正により導入された取締役の責任軽減規定のような規定は韓国商法に は置かれていない。なお、取締役の責任に関連して株主代表訴訟に関する 和解については、韓国商法四O
三条六項で﹁当事者は、裁判所の許可を得 なくては、訴の取下、請求の放棄・認諾、和解をすることができない﹂と する規定を置いている。 四 結びにかえて わが国の商法改正の動向を脱みつつ先んじて改正された項目も多数見受 けられるところである。特に、わが国より先行して改正されている項目については韓国での運用実績等を学ぶべき意義も大きい。わが国の会社法の 国際的競争力の維持確保という観点からも韓国で今後予定されている商法 (会社法)改正の項目を注視してゆく必要があるとの認識を得た。 み + 占 圃 ﹄ 一 毎 回 ( 1 ) 安田信之﹁アジア会社法入門部韓国会社法︹ 1 ︺ ﹂ 国 際 商 事 法 務 二 O 巻 三 号 コ 一 二 六 頁 ( 一 九 九 二 年 ) 。 ( 2 ) 金斗燦﹁最近の韓国会社法の主な改正内容について︹上︺﹂国際商事法務一二 一 巻 三 号 三 三 一 一 貝 ( 二 O O 三年)。いわゆる同質説をとるものとして、李哲 松﹁韓国の会社法の改正とその背景﹂国際商事法務二七巻四号三九九頁 ( 一 九 九 九 年 ) 。 ( 3 ) 韓国においては﹁株式買取選択権﹂と呼んでいる。 ( 4 ) 孫珠環﹁二 O O 一年韓国商法(会社法)改正の問題点と今後の課題﹂法学 雑誌(大阪市立大)四八巻四号三頁(二 O O 二 年 ) 。 ( 5 ) 孫 ・ 前 掲 論 文 三 頁 。 ( 6 ) 孫 ・ 前 掲 論 文 四 頁 。 ( 7 ) 李均成・洪承仁・金東勲﹃企業法論﹄五 O 一頁(エデユケ 1 シヨン、二 O O 三 年 ) 0 ( 8 ) 孫 ・ 前 掲 論 文 九 頁 。 ( 9 ) 金 斗 換 ﹁ 最 近 の 韓 国 会 社 法 の 、 王 な 改 正 内 容 に つ い て ︹ 下 ︺ ﹂ 国 際 商 事 法 務 一 一 一 一 巻 五 号 六 五 O 頁 ( 二 O O 三 年 ) 0 ( 叩 ) 孫 ・ 前 掲 論 文 一 O 頁 。 ︽ 主 要 参 考 文 献 ︾ 金秦住﹁韓国の改正商法の概要﹂国際商事法務一二巻八号五四二頁(一九人四 年 ) 金津理﹁韓国の会社法改正﹂ジュリ八一四号二五頁(一九八四年) 王舜模﹁経済の急成長を受け独自の発展へ韓国会社法の現在﹂法セミ四二 九号四 O 頁(一九九 O 年 ) 李範燦﹁韓国商法の大改正