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産科婦人科の領域から : 出生前診断

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Academic year: 2021

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東京女子医科大学学会 第54回総会演説抄録

〔シンポジウム〕

1.消化器領域から一超音波内視鏡診断一 (東京女子医大消化器内科)光永 篤 超音波内視鏡(Endoscopic Ultra Sonography以下

EUS)は,1980年Ciassenらによって開発され,消化 管内からの超音波検査により,消化管内ガスに影響さ れない消化管周囲臓器の超音波画像を得られることが 期待された.これにより,特に胃寄隆部のガスに影響 されやすい膵体尾部癌の診断に役立つものと考えられ た,当初このような目的によって始められたEUSだ が,その後消化管の壁構造がEUSによって5層に描 出されることが分かり飛躍的に進歩した.これら土構 造と病変との相互関係を調べることによって病変の性 状を正しく把握することができる.潰瘍病変では,潰 瘍の深さを客観的に把握することが可能である.また, 一般に消化管の癌はEUSにおいて低エコー域として 認められ,層構造内における低エコー域の広がりを描 出することによって,癌の侵潤範囲とその深達度を診 断することができる.さらに消化管周囲の所属リンパ 節の描出によって,リンパ節転移の有無を評価できる. 近年我々はリンパ節転移の少ない長径2cm以下の隆 起型m癌に対して,高齢者などの適応を限って内視鏡 的治療を行なっているが,その際EUSによる術前の リンパ節転移の有無を含めた深達度診断は必須となっ ている.消化管粘膜下腫瘍はレントゲンあるいは内視 鏡検査により,bridging foldの有無や可動性,鉗子で 押したときの波動の有無や硬さなどを参考に診断され るが,消化管壁外腫瘍の圧点との鑑別は必ずしも容易 ではなく,さらにその性状を診断することはかなり難 しい.EUSでは,腫瘤と消化管壁画構造との関係を描 出することによって,粘膜下腫瘍であるか否かの診断 と同時に,その性状をも診断することが可能である. その他,消化管のMalignant Lylnphomaなど, EUS がその診断に非常に有用となってきている現状につい て,具体的症例を示しながら紹介する. 2.循環器領域から一ドプラー心エコー図一 (東京女子医大循環器内科)中村 憲司 心エコー図法は大別して (1)Mモード心エコー図 (2)断層心エコー図 (3)ドプラー心エコー図 (パルスドプラー法,連続波ドプラー法,カラード プラー法) の三者に大別される. 断層心エコー,Mモード心エコーの組合せにより, 構造物の解剖学的異常と詳細な弁・壁運動の評価が可 能となった.そしてこれらの泣き所である血流の評価 も,ドプラー法により一段と詳しくなされつつある. カラードプラー法で,異常血流(逆流,短絡血流) の有無,拡がり,方向などが容易に診断され,パルス ドプラー法,連続波ドプラー法で正確に血流波形を記 録することにより非侵襲的に血行動態数値の獲得を可 能にする新しい分野が開かれてきた.そしてこれらの 診断情報をもとに心臓カテーテル,心血管造影などで 手術にふみきる施設も増えつつある. 一方ではリアル・タイム性,簡便性のために,スク リーニングとしての用法である. 情報処理,画像処理の方法によっては,予想外の発 展をすると考えられるが,心臓超音波診断法としては これらの方法が主流をなすであろう. 3.産科婦人科領域から一出生前診断一 (東京女子医大産婦人科)武田 佳彦 出生前診断は当初羊水中の剥離細胞を用いた染色体 検査や羊水中の吸光度分析によるビリルビン様物質や 胎児成熟度評価に関連する測定などが行われて来た. 最近さらに超音波断層法など画像診断法が急速に進歩 し,妊娠の比較的早期からの部位別診断が可能となり, しかも無侵襲的に反復検査ができるようになった.こ のことが胎児異常の治療に対する選択の巾を拡大し, 胎児外科治療を含む胎内治療あるいは出生後の根治治 療を目標として,分娩時期,分娩方法をそれぞれの症 例に対応して決定する個別化された胎児治療が可能と なって来た. そこで,胎児期から新生児期に亘って一貫して周産 期管理が可能となった先天奇型を中心として,出生前 診断の有用性と適応について,当科の成績をもとに概 説する。 当科における先天奇型は1984年10月から1987年11月 までの3年間で分娩総数2,258例中55例2.43%で極め て高率であり,周産期センターの性格を反映した結果 一655一

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84 と解される. 出生前診断では,妊娠初期の染色体異常の他に,根 治療法を前提とした奇型の管理が重視されるが,水頭 症,消化管閉鎖,伝導系障害,血液型不適合における 感作胎児などを対象にそれぞれの管理法を含めて報告 する. 4 (1).脳脊髄の領域から一MRI一 (東京女子医大脳神経センター神経放射線科) 小林 直紀

磁気共鳴画像(magnetic resonance imaging, MRI) は1945年の核磁気共鳴(nuclear magnetic resonance, NMR)の発現を元にして,1970年代の終りに世に出た が,最近,その画像の改良にようやく上限が見られ, これから広く普及する兆しを見せている.特にその頭 部の診断における有用性は高く,臨床経験の蓄積と相 侯って,その高い評価は定着しつつある. 脳および脊髄の疾患に対しては,MRIは脳脊髄実質 と脳脊髄液とのコントラストの大きいこと,骨による アーチファクトがないことおよび誌面を電気的に自由 に選択できることの3点でX線CT(CT)よりも格段 の優越性を有している. プロトンを元にしたMRIはプロトン即ち水素元子 密度,T1およびT、緩和時間および流速より成り立っ ている.T1およびT、緩和時間は病変部の水分の量に 主に影響を受ける.従って,初期に期待されたような 病変のspeci五cityにはあまり影響されず,むしろ,そ の水分の検出に非常に敏感であることがMRIの大き な特徴であると言える.今後,燐やナトリウムなどの 代謝の状態を画像化する方向に大いに期待される所記 でもある. 4 (2).脳・脊髄の領域から一ポジトロンCT一 (放射線医学総合研究所臨床第一研究室長) 山崎統四郎

放射性同位元素,RIを用いるCT(Emission

Computed Tomography, ECT)には99mTCのような

普通のRIを用いるSingle Photon Emission CT (SPECT)とポジトロン放出RIを用いるポジトロン

CT(Positron Emission CT, PET)とがある. ECT の中で特にPETが注目されるのは,15C,13N,11Cの ような生理的な元素が使えるという点にある.また測 定原理の違いから,PETはSPECTに比べて精度の高 い定量性のある情報を提供してくれ点も見逃せない. PETは単なる形態診断法では知り得ない情報を捉え ることができるものとして,その期待は大きいが,物 理半減期が2∼110分程度のポジトロンRIを入手す るには,利用施設内にサイクロトロンを設置する必要 がある. PET(ポジトロンCT)測定の意義とその応用面での 可能性は,測定に際して使用するトレーサによって異 なる,一般的な応用としては,脳局所の血流やエネル ギー代謝の測定が行なわれているが,最近では脳本来 の機能である神経情報伝達に直接かかわる神経伝達物 質やその受容体(レセプター)の測定も行われるよう になった.また酵素活性の測定も始められている,と くに生きた人間を対象としたPETによる脳内の受容 体と酵素活性の測定は,脳を「こころ」との関連のも とに捉えるうえで,もっとも有用な手段となろう. ここでは最近の進歩が著しいPETによる脳内レセ プター測定,特に11C・Nメチルスピペロンによるドー パミンD2レセプター測定と,11GRo15−1788による中 枢性ベンゾディアゼピソレセプター測定の結果を中心 にして,その意義を述べるとともに,PET技術の将来 を展望する. 5.画像管理システム(PACS) (大阪大学医療技術短大部)稲本 一夫 最近話題になっているPACSは, Picture Archiv・ ing and Communication Systemの略称で,総合画像 管理システムと訳されている.デジタル画像診断機器 が1973年のCTを始めとして出現してから,画像診断 情報を連結し利用せんと提唱したのは,1974年,放医 研の飯沼武氏が東女医大誌44(2)に発表したのが最初 であり,米国ではカンザス大学のドアイヤー教授等が 1980年代初頭に試験システムを作ったのを始まりとす る. PACSの要素技術である画像読取り装置(レーザー スキャナー),収納装置(光ディスク),ディスプレイ (CRT)等の開発進歩は近年著しく,今後とも民生電子 機器の技術進歩に合わせ発展が予想される.しかしそ れら機器をシステムとして構成し,臨床の場に使うの には,まだ問題点が多い.例えば,放射線科医を始め 医師が長年親しんできたフイルム読影が,CRT診断に 変換できるのか,シス.テムの維持管理に誰が当るのか, 議論はつきない. それでも,PACSはすでに現実の姿になりつつあ る.北海道大学には昭和63年度予算でPACSが認めら 一656一

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