Title
水面波ジェットと砕波後の乱流特性に関する研究( 内容の要
旨(Summary) )
Author(s)
水谷, 夏樹
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(工学) 甲第135号
Issue Date
2001-03-24
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/1856
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。氏名 (本籍) 学 位 の 種 類 学位記号番号 学位授与年月 日 専 攻 学位論文題 目 水 谷 夏 樹(愛知県) 博 士(工学) 甲 第 135 号 平成13 年 3 月 24 日 生産開発システム工学専攻 水面波ジェットと砕波後の乱流特性に関する研究
(Characteristics of plunging jet and turbulent flov after YaVe
breaking) 学位論文審査委員 (主査) 教 授 安 田 孝 志 (副査) 教 授 藤 田 裕一郎 教 授 山 下 新太郎
論文内容の要旨
本論文は砕波現象の基礎的研究であり,第一に砕波現象に対する理解を深めることを目的とした. 砕波限界からジェットの放出およびその突入,スプレイの生成およびその再突入を通して組織渦が形成されそれら組織渦を介して波動場におけるエネルギーの再分配が行われることで,波高減
衰過程が進行する.こうした一連の現象を詳細に検討し,それぞれの特性を明らかにしていくこと で,既存の理解との相違点を踏まえたさらに新しい考え方について論じたものである. 以下に主要な検討項目とその結論について示す. 1.砕波におけるジェット放出特性について検討するため,境界積分法(BIM)を用い,特に砕波形 式によらないジェットの相似性,各運動諸量の時空間特性について明らかにした.また,砕波 過程における各運動諸量の極大値発生の時空間特性と砕波形式の関係についても明らかにし た. 2.砕波形式を変化させる様々な要因として2次波峯の存在,砕波過程における水深急増の影響, ジェット放出に対する表面張力の影響について検討した.2次波峯の存在については,主に境 界積分法を用いて検討し,2次波峯が主波峯との間で相互干渉を引き起こし,それが砕波形式 に大きく影響を及ぼすほか,砕け寄せ波型砕波の発生機構などに深く関わっていることを明ら かにした.ついで砕波過程における水深急増の影響について実験および境界積分法の両面から 検討し,砕波限界を過ぎても水深増加によって波速およびジェット先端の水平速度に大きな影 響を及ぼすことを明らかにした.また,それらの速度比にジェットの発達およびその規模が対 応することも分かった.さらに砕波・非砕波の境界付近に発生するジェット生成のない砕波に ついて実験的に明らかにし,その発生および現象の変化特性を明らかにした.また,入射波高 を増大させることで既存の砕波形式への遷移過程を示し,ジェットの生成における表面張力の 影響について明らかにした. 3.リーフ上の孤立波の砕波過程をVOF法に乱流モデルであるA→Eモデルを組み込むことによ-28-って数値的に再現した.数値モデルはレイノルズ応力の渦粘性近似に線形,非線形の各近似モ デルを適用し,水理実験結果と比較することで最適なモデルの構築を行った.その結果,砕波 間題へのVOF法の適用に関するいくつかの問題点を明らかにするとともに,ジェット突入に よって生成された組織渦構造がouterregion/innerregionによらず波峯先端部で次々.に生成 され,新たに生成される渦の後方に存在する既存の渦は,順次,波動場から切り離されて残留 するという機構を明らかにした.さらに,それらの分離・残留する大規模組織渦が乱流エネル ギ」だけでなく,平均場の運動エネルギーをも保有しており,しかも平均場の運動エネルギー が乱流エネルギーのオーダーと比較して一桁以上大きい値を示すことが分かった.この事実は 大規模組織渦が波動場から平均場の運動エネルギーを切り離すことによって,波動場の保有す るエネルギーを低下させ,それによって波高が低下するという機構を説明するものであり,従 来考えられてきた波峯先端部に恒常的に存在する大規模渦によって,波動場のエネルギーが乱 流エネルギーを介して散逸するという機構を根本的に修正する結果である. 4.数値的に検討した砕波後の組織渦構造を水理実験によっても検討した.水理実験については主 にPⅣを用いて空間的な組織渦構造を明らかにするとともに,10回の繰り返し実験を行うこ とでアンサンブル平均を求め,乱流諸量を算出することによって渦構造と乱流エネルギー,平 均場の運動エネルギーなどとの関係についても明らかにした.その結果,数値計算結果より立 てた仮説を裏付ける結果を得,波動場における組織渦を介したエネルギー分配機構を明らかに した.また,2次元造波水路の横断方向の流速成分についても検討し,表層における砕波後の 3次元特性についても明らかにした. 5.砕波を統一的に捉える試みの第一歩として,浅海砕波に対する深海砕波の代表として風波を取 り扱い,特に風洞実験水槽を用いた風波砕波の特性を検討した.風の吹き始めから平衡状態に 至るまでの検討を行い,風から波,流れへの運動量の分配機構を明らかにするとともに,高周 波乱流に特徴づけられた風波砕波の特性を明らかにし,海洋表層に存在するバースト層の特性 について示した.
論文審査結果の要旨
本論文は,砕波現象をジェットの生成・放出から突入による組織渦の生成とその移流・拡散に至 る過程と捉え,主にリーフ上の孤立波のジ土ツトに着目して砕波現象の解明を数値計算および水理 実験によって試みたものセある.これによって得られた成果は以下のように要約される. 1)放出ジェッ・トの大きさは入射波高およびリーフ高に応じて変化するが,形状および水粒子速度 場は極めて高い相似性を保ち,ジェットサイズによって砕波形式は一義的に定まる・ 2ト水平水粒子速度および加速度の極大値はジェットサイズに依らず一定値を保つが,鉛直成分は ジェットサイズに対応している. 3)入射波峯の前面に生成される2次波峯の発達に応じて砕波形式が巻き寄せ波型や複合型と多 様化するだけでなく,ジェットサイズも大きく変化する.4)ジェットの発達が弱い場合埠,表面張力が支配的となるジェット放出のない微小砕波が生じる・
5)ジェットの突入によって生成される大規模渦は乱流エネルギーよりも1桁以上大きな平均場 の運動エネルギーを保有し,これが波動場から切り離されることによって波動エネルギーの散-29-逸,すなわち波高減衰が生じることを初めて明らかにした.この結果はsu血cerollerモデル の問題点を明らかにし,それに代わるモデルの方向を示している.