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76 第 1 章第 2 境界 ( 筆界 ) を確認 確定する方法 文例 1214 境界確認書 5( 境界確認に際し 関連する事項についても確認する場合 ) DL 境界 ( 筆界 ) 確認書 甲野太郎 ( 以下 甲 という ) と 乙野次郎 ( 以下 乙 という ) は 土地の境界に関して協議し 次の

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(1)

文 例

1 2 14

境界確認書⑤(境界確認に際し、関連する事項につ

いても確認する場合)

DL 境界(筆界)確認書 甲野太郎(以下「甲」という。)と、乙野次郎(以下「乙」という。)は、土地の境界 に関して協議し、次のとおり確認した。 1 境界を確認した土地の表示 甲の土地 〇〇市〇〇町一丁目1464番1 乙の土地 〇〇市〇〇町一丁目1464番2 2 立会年月日 令和〇年〇月〇日 3 確認した境界の位置 別紙図面ア・イの各点を直線で結んだ線(朱線位置)に示すとおり。 4 その他の確認事項 (1) 甲と乙は、土地家屋調査士〇〇〇〇に、別紙図面のア点及びイ点に金属プレート の境界標の設置を依頼する。費用は甲及び乙の折半とする。 (2) 甲と乙は、第3項の境界線付近に設置されている甲所有のブロック塀(以下「本 件ブロック塀」という。)は、甲の土地内にあり、越境していないことを確認する。 (3) 甲と乙は、本件ブロック塀の最上段にある笠木が、〇㎝分、乙の土地に越境して いることを確認する。甲は、ブロック塀の新設時に越境を解消することを約束し、 乙は、それまでの間、当該越境部分の撤去等を猶予する。 以上のとおり、甲と乙は互いに境界を確認の上合意したので、ここに本書2通を作成し、 甲乙それぞれ1通ずつ所持するものとする。 後日、甲又は乙が土地を第三者に譲渡する場合は、土地と共に本書を譲受人に引き渡 し、本書における地位を承継させるものとする。 令和〇年〇月〇日 甲 住所 〇〇市〇〇町一丁目〇〇番地2 氏名 甲野 太郎 ㊞ 乙 住所 〇〇市〇〇町一丁目〇〇番地3 氏名 乙野 次郎 ㊞ 上記のとおり境界を確認したことを証明する。 第1章 第2 境界(筆界)を確認・確定する方法 76

(2)

令和〇年〇月〇日 土地家屋調査士 〇〇〇〇 職印 別紙図面〔省略〕(【文例1 2 10】の図面参照) 解 説 境界確認書には、単に境界を確認した旨だけでなく、それに付随する事項について も確認し、又は合意したことを記載することができます。 具体的には、例えば、境界標を設置する旨の合意、確認した境界付近の造作物など が越境しているか否かの確認、越境物がある場合にはその将来的な解消方法の確認な どを記載することが考えられます。 なお、土地家屋調査士には、立会い時に相手方と交渉する権限は認められていませ んので、本文例のような合意をする場合は相手方を説得するようなことはせず、両者 で合意ができたら、その書面化に協力するような立場をとることが必要です。

(3)

第3 所有権(所有権界)を確認・確定する方法

<フローチャート>

(4)

概 説

1 所有権(所有権界)の紛争とは

Aさんが、長年にわたり、隣人のBさんとの間で、境界がどこかを争っているとし ます。この紛争は、形式的には「筆界」の紛争ですから、筆界特定などにより解決す るのが原則です(第1章第2)。 しかし、例えばAさんとBさんの土地の間に30年前に建てた古いブロック塀がある としたらどうでしょう。取得時効(後述)により、Aさんはブロック塀より手前の土 地の所有権を取得できますし、逆にBさんはブロック塀の向こうの土地の所有権を取 得できます。つまり、「筆界」がどこであるかに関係なく、「所有権界」はブロック塀 の中心線の位置になり得ます。 このような場合、筆界特定などにより「筆界」だけ確定しても、紛争が解決しない 可能性があります。最初から「所有権界」の紛争と考え、所有権確認調停や所有権確 認訴訟を提起していく(筆界についてはその手続の中で主張していく)という選択肢 も検討すべきかもしれません。

2 手続の選択 〜話合い(交渉)・調停・訴訟〜

所有権界紛争は隣人同士のトラブルであり、トラブル解決後も隣人としての人間関 係が続きますので、多くの場合、穏当な手続から順番に検討していくことになります。 まずは当事者同士の話合い(交渉)で解決できないかを検討しましょう。 当事者同士の話合いが難しい場合には、民事調停や土地家屋調査士会ADRの利用 を検討します。これらは、公的な場所で、中立的な第三者を介して話合い(交渉)を 行う制度です。 それでも解決しない場合は、所有権確認訴訟を提起するしかありません。多くの場 合、民事調停やADRを試み、それが奏功しなかったときに、訴訟を提起することにな ります。 以上が手続選択に関する基本的な考え方ですが、例えば当事者の感情的な対立が激 しく、話合いの余地が全くない場合には、民事調停やADRに時間をかけるのは無意味 という考え方もあります。早期解決を実現するために、いきなり訴訟を提起する場合 もあるかもしれません。

3 事前の調査・検討の重要性

どの手続をとるにしても、事前に十分な調査を行い、あるべき妥当な結論について の見込みを立てることが重要です。

(5)

例えば、大阪地方裁判所の計画審理検討小委員会は、所有権確認訴訟における判断要 素として、①公簿面積比、②分筆の経緯、③地図・公図上の形状・位置関係、④境界標識、 ⑤係争部分の過去・現在の利用形態、⑥現地の形状、⑦占有状況、⑧紛争の経緯、⑨関係 者の合意の存否等があるとしています(大阪地方裁判所計画審理検討小委員会「訴訟類型に着 目した訴訟運営(2) 隣接紛争型土地所有権確認訴訟の審理」判例タイムズ1117号22頁以下)。 これらの判断要素は、訴訟に限らず、話合い(交渉)、調停、ADRなどを行う場合で も、事前に検討しておくべきです。 そのためには、現地調査、関係者からの聴き取り、参考資料の入手といった準備が 肝要です。

4 取得時効について

境界紛争は長年にわたる紛争であることが多いため、取得時効の成否が一大争点と なることがしばしばあります。例えば、前記1で挙げた例のように古い境界塀がある 場合などは、取得時効を必ず検討しなければなりません。 20年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の土地を占有した者は、 その土地の所有権を取得します(民162①)(「悪意の取得時効」)。 20年間に足りない場合でも、10年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と 他人の物を占有した者は、占有開始時に善意無過失であれば、その土地の所有権を取 得します(民162②)(「善意の取得時効」)。 「10年間」「20年間」という期間の判定に当たっては、占有をいつ始めたか(占有開 始時期)を確定しなければなりません。例えば、工事に関する業者との契約書など、 「境界塀の設置日」が明確に分かる証拠が残っていればベストです。残っていなけれ ば、当事者の記憶、古い写真、塀の形状、建物工事や他の塀との先後関係などを手掛 かりにして、「遅くとも昭和〇年頃までには境界塀を設置して、占有を開始した」など と抽象的な形で確定することになります。 「所有の意思」「平穏に」「公然と」「善意無過失」といった点も一大争点となります。 紙面の都合上、本書では詳述しませんが、期間の長さだけに目を取られていると、結 論を誤ることになりかねないことに注意が必要です。

5 相続と取得時効の関係について

境界紛争は長年にわたることが多いため、途中で当事者が亡くなり、相続により土 地の所有者が変わっていることがしばしばあります。 このような場合、相続人は、取得時効との関係で、①自己の占有のみを主張するか、 第1章 第3 所有権(所有権界)を確認・確定する方法 135

(6)

文 例

1 3 3

合意書(筆界と異なる所有権界を定め、分筆・所有

権移転の登記手続について合意する場合)

DL 境界確認合意書 土地の表示 1 〇〇市〇〇町一丁目1464番1(以下「本件土地1」という。) 2 〇〇市〇〇町一丁目1464番2(以下「本件土地2」という。) 1 甲野太郎(以下「甲」という。)と、乙野次郎(以下「乙」という。)は、次の各号記 載の事実を相互に確認する。 ① 甲が所有する本件土地1と、乙が所有する本件土地2の筆界は、別紙図面記載のK54 点とK55点を直線で結んだ線であること。 ② 別紙図面記載のK54点、K55点、K56点、K57点、K58点を順次直線で結んだ範囲 の土地(以下「本件係争地」という。)は、本件土地1に属し、したがって甲が所有し ていること。 ③ 本書作成時点において、乙が本件係争地を占有していること。 2 甲は、乙に対し、本日、本件係争地(地積2.5㎡)を金30万円で売却する。 3 乙は、甲に対し、前項の金30万円を、本日、和解の席上で支払い、甲はこれを受領した。 4 甲は、本件係争地について、令和〇年〇月〇日までに、本件土地1からの分筆登記手 続をした上で、乙に対し、令和〇年〇月〇日売買を原因とする所有権移転登記手続をす る。 分筆登記手続の費用は甲の負担とし、所有権移転登記手続の費用は乙の負担とする。 5 甲及び乙は、本件に関し、本合意書に定めるほか、何らの債権債務もないことを相互 に確認する。 6 本書2通を作成し、各自その1通を所持するものとする。 令和〇年〇月〇日 甲 住所 〇〇市〇〇町一丁目〇〇番地2 氏名 甲野 太郎 ㊞ 乙 住所 〇〇市〇〇町一丁目〇〇番地3 氏名 乙野 次郎 ㊞ 別紙図面〔省略〕(【文例1 2 10】の図面参照)

(7)

解 説 基本的な境界(筆界)確認書の書式例については、【文例1 2 10】から【文例1 2 14】 をご参照ください。本文例では、応用的な書式として、筆界と所有権界が一致しない 状況を当事者間の話合いにより解決するための合意書の一例を示します。 土地家屋調査士による現地調査や測量などの結果、もともとの筆界の位置が現況(例 えば、現に存在する境界塀の位置)と少しずれていた、ということがしばしばありま す。そのような事態を円満に解決するために、本文例のように、境界付近の土地の売 買を行うことは多いと思われます。 このような場合に作成する合意書では、もともとの筆界の位置を確認する(本文例 の第1項①)だけでなく、それと異なる利用状況を確認し(第1項②③)、売買による金 銭的解決をすることを明確にします(第2項〜第4項)。 第1項①の部分だけ見れば「境界(筆界)確認書」であり、第2項から第4項の部分だ け見れば「土地売買契約書」ですが、両者は一体不可分の関係にあり、全体としてみ れば、甲乙間の境界問題を解決するための「和解契約書」である、ということになり ます。 境界紛争の和解契約には、これ以外にも様々なパターンがあります。訴訟に関する 【文例1 3 21】から【文例1 3 25】にまとめていますので、そちらもご参照ください。 なお、和解契約の書式には、特にこれでなければならないという決まりはありませ ん。例えばタイトルは「境界合意書」「和解契約書」など様々な名称が考えられます。 どのようなタイトルであっても、内容に相違なければ、後日の境界紛争の予防という 効果に変わりはありません。 また、署名は各自が自筆で行い、印鑑も登録された印を捺印し、印鑑証明書を添付 するのがよいと考えます。 第1章 第3 所有権(所有権界)を確認・確定する方法 141

(8)

1 通行地役権

文 例

2 5 1

通行地役権設定契約書

DL 通行地役権設定契約書 地役権設定者甲野太郎(以下「甲」という。)と地役権者乙野次郎(以下「乙」という。) は、本日次のとおり、乙所有の後記物件目録1記載の土地(以下「本件1の土地」という。) を要役地とし、甲所有の同目録2記載の土地(以下「本件2の土地」という。)を承役地と する地役権設定契約を締結する。 第1条 甲及び乙は、乙所有の本件1の土地のために、甲所有の本件2の土地に、通行(自 動車による通行を含む。)を目的とした地役権を設定する。〔注1〕 第2条 本件地役権の存続期間は、本日より30年とする。〔注2〕 第3条 償金は、1年当たり金〇〇円とし、乙は毎年12月末日限り翌年分を甲が指定する 方法により支払うものとする。〔注3〕 2 通路の開設費用は乙の負担とする。 第4条 乙が次の各号の一に該当する場合、甲は何ら催告を要することなく直ちに本契 約を解除することができる。 (1) 本件1の土地に隣接する部分に公道ができるなどして、本件承役地の利用の必要 がなくなった場合〔注4〕 (2) 乙が前条の償金の支払を1回でも怠った場合〔注5〕 第5条 甲は乙に対し、令和〇年〇月〇日限り、本件2の土地につき、本件地役権設定を 原因とする地役権設定登記手続をする。ただし、登記手続費用は乙の負担とする。 本契約の成立を証するため、本書を2通作成し、甲乙署名押印の上各自1通保有する。 〔注6〕 令和〇年〇月〇日 甲 住 所 〇〇県〇〇市〇〇1丁目〇番〇 氏 名 甲野 太郎 ㊞ 乙 住 所 〇〇県〇〇市〇〇1丁目〇番〇 氏 名 乙野 次郎 ㊞

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記 物件目録 1 要役地 所 在 〇〇市〇〇町〇丁目 地 番 〇番〇 地 目 宅地 地 積 〇〇.〇〇平方メートル 2 承役地〔注7〕 所 在 〇〇市〇〇町〇丁目 地 番 〇番〇 地 目 宅地 地積〇〇平方メートルのうち、別紙図面①②③④①の各点を順次直線で結んだ線に より囲まれた部分の土地〇〇.〇〇平方メートル 別紙図面〔省略〕 〔注1〕 特定の要役地のために特定の承役地を通行の用に供するものであるとすることを明示し ます。単に「通行のため」と記載した場合に、自動車通行を許されるかどうか客観的な状況 を踏まえ判断した裁判例がありますが(東京高判平11・7・5判時1687・88)、紛争予防のた めに合意の内容とすべきです。 〔注2〕 期間の定めについて法律上の制限はありませんが、期間を永久と定めることも可能と解 されています。現行法上登記する方法は定められておらず、期間の定めを契約書に記載し たとしても第三者に対抗することはできません。 〔注3〕 判例は地役権の設定について有償であることを要件としておらず、有償とするためには 特約を定める必要があります(大判昭12・3・10民集16・255)。 〔注4〕 将来、通行地役権を存続させる必要がなくなると考えられるときは通行地役権設定契約 を解除条件付とすることも認められています(東京地判昭52・4・28判時877・79)。 〔注5〕 対価の不払いを原因とする地役権の消滅を特約で定めない場合には、地上権、永小作権の 定めに準じて、2年以上の支払遅延がない限り、通行地役権の消滅は請求できないとする見 解(安藤一郎『私道の法律問題〔第6版〕』366頁(三省堂、2013))や、対価の不払いが著し い背信行為に当たると認められる場合には、民法276条の類推により通行地役権の消滅を請 求できるとする見解があります(能見善久ほか編『論点体系判例民法2〔第3版〕』438頁(第 一法規、2018))。 〔注6〕 地役権は性質上要役地の所有権に伴い移転しますが、現在の要役地所有者にのみ地役権 を認めるというように異なる特約を定めることも可能です。ただし、登記をしなければ第 三者に対抗することはできません(不登80①三)。 〔注7〕 承役地は土地の一部においても成立します。通行の範囲を特定する方法として、「東側の 長さ10m、幅4mの40㎡の土地」といった表示の上で、図面を作成すべきです(前掲・安藤264 頁)。 第2章 第5 私道の通行 300

(10)

解 説 明示の設定契約により通行地役権を設定する場合には、契約の形式には制限があり ませんが、その具体的な内容として、通行の範囲(幅員等)、存続期間、通行の目的・ 態様等を定めることが必要です。 明示の設定契約を締結していたとしても、合意の内容が一義的に明確ではなく、具 体的な通行地役権の内容につき争われることも多く、このような場合には当事者の合 理的意思解釈により通行地役権の内容が判断されることになります。

参照

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