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情報処理学会論文誌

推薦論文

2

次元コードを利用した情報連結方式

川 喜 田

裕 之

†1

西

†1

†1 AV 機器などの機器どうしを連携制御するさまざまな技術方式がこれまで研究・提 案されてきている.従来の方式では,機器の ID をバーコードなどで提示し制御端末 で読み取らせる方式が提案されてきているが,読み取らせる情報に単に機器の ID だ けではなく機器の制御情報を含ませれば,ユーザはそれらの情報を直接制御端末に入 力する手間が省け,より操作しやすい環境が構築できる.そこで,筆者らは,制御端 末としてほとんどのカメラ付き携帯端末に搭載されている QR コードリーダの利用を 前提に,QR コードの構造的連接機能をそのまま活用し,読み取った機器 ID や機器 の制御情報を制御端末上で連結する方式を開発した.提案方式では,構造的連接機能 を活用することを前提として,任意の機器 ID などの情報(文字列を想定)を連結す るために,情報のパリティ値が一致するように情報にさらに特定の文字列を付加した うえで QR コード化する手法とした.本方式による QR コード生成・表示プログラ ムをデジタル放送受信機で動作させ,表示されたシンボルを市販の携帯電話で読み取 り,機器 ID と制御情報を連結できることを確認した.本方式は QR コードの仕様の 範囲内で実現できるので,現在普及している多くの携帯電話に搭載された QR コード リーダを用いることができ,だれもが利用しやすい環境を低コストに構築することが できる.

A Method for Combining Information

on Several Devices Using 2D Codes

with Structured Append-function

Hiroyuki Kawakita,

†1

Yusei Nishimoto

†1

and Tomoyuki Inoue

†1

We propose a method for combining information, such as identification or con-trol information, about several audio visual devices for the purpose of simple harmonized operation of these devices using the QR Code. To control devices simply via mobile phone, it is important to minimize the complexity of user op-eration of the mobile phone. Therefore, we employed preprocessing algorithm,

which appended specific characters to the information such as identification to avoid parity check errors, before QR Code encoding with the structured append function. We confirmed that identification and control information as QR Code on two digital broadcasting receivers was correctly combined on a mobile phone by using our algorithm. A wide range of mobile phones can be used because the proposed method doesn’t change the specification of the QR Code. The proposed method can achieve simple harmonized operation of the devices that anyone can perform.

1. は じ め に

アナログ放送からデジタル放送への完全移行が2011年に控えているが,筆者らはその先 を見すえ,放送と通信とがよりいっそう密接に連携したサービスやそれに必要な技術の研究 を行っている.その1つとして,デジタル放送受信機(以下,受信機)を中心にAV機器 どうしが連携するモデルを検討している.このような連携モデルは,これまで視聴者が慣れ 親しんだ受信機が中心となるので,いつでも,どこでも,だれでも利用できるような操作環 境を構築することが重要となる. 受信機を含めたネットワークAV機器を相互に接続する規格としては,DLNA(Digital Living Network Alliance)1)がよく知られており,制御する端末(受信機を含む)上には, 利用可能な機器のIDやそのメーカ名などが表示される.この方法は,制御される機器が少 なく,かつ制御端末の近くに設置されている場合には,ユーザは制御したい機器を認識でき るので問題は発生しないが,機器が増えたり,制御端末から離れた位置に設置された機器を 制御したりする場合は,機器の指定間違いなどによるユーザの混乱や誤操作の発生が考えら れる.これは,制御端末上において抽象的な機器IDなどから機器間の連携を行うことが一 因と考えられる. 一方,増井ら2)は,ジャイロなどを搭載した端末で機器IDを含むバーコードを読み取る ことにより,制御対象となる機器を指定する方法を提案した.この方法は,印刷したバー コードを「機器接続図」に貼り付けるなどし,ユーザは,たとえば機器の接続条件を指示す るといった特定のアクションをともないながら出力機器∼入力機器の順でバーコードを読み †1 NHK 放送技術研究所

Science & Technology Research Laboratories, NHK

本論文の内容は 2009 年 7 月のマルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2009)シンポジウムにて 報告され,同プログラム委員長により情報処理学会論文誌ジャーナルへの掲載が推薦された論文である.

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取ることで,機器IDなどを隠蔽し直感的に制御対象の機器を指定できる.ただし,この方 法では,特定のアクションをユーザが事前に定義し,端末に設定する必要がある.さらに, 正しく端末に入力するためには,設定したアクションに従った動作を行う必要がある. このように,制御対象の機器の指定といった設定の簡単化は,参考文献3)でも指摘され ているように,だれでも利用できるような環境を構築するために重要である.たとえば,制 御対象の機器を直接指定することができ,かつ“機器からの出力”あるいは“機器への入力” などの制御情報の入力が不要もしくは必要最小限の方法が望まれる. 制御端末としては,日本では携帯端末の普及率が約9割4)と高いことなどを背景に,携帯 端末を制御端末として使い,ユーザの周辺にある機器を連携させる研究が行われている5). 携帯端末によって複数の機器を制御する場合,対象となる機器IDなどの情報を取得するこ とが必要になるが,携帯端末による情報取得手段としては,ネットワークの構築が不要な, バーコードや2次元コードがよく用いられている. そこで本論文では,ユーザによる機器IDや機器情報などの省入力化を目的として,2次 元コードに機器IDなどの情報だけではなく当該機器の制御情報も含めたうえで,各機器か ら2次元コードを読み取り,携帯端末上で被制御機器の情報を連結する方式を提案する.携 帯端末で連結された機器の制御情報は,たとえばBluetoothなどの通信インタフェースを 介して連携させるすべての機器または一部の機器に伝える方法を想定する.被制御機器の情 報を携帯端末上で連結することにより,特定のサーバやゲートウェイなどを設置することな く機器どうしの連携制御ができるようになる. 本論文では,2章において提案方式における制約条件を述べ,3章では,提案方式の詳細を説 明する.4章では提案方式の実機検証を行い,有効性を示す.最後に5章で本論文をまとめる.

2. 提案方式における制約条件

提案する方式では,1つの2次元コードにおいて,1つの機器IDとその機器の制御情報を 含むように符号化する.たとえば,2つの機器の連携を考えた場合,文字列として“SRCid1 ” と“DSTid2 ”のような情報をそれぞれ2次元コード化する.ここで,文字列“id1 ”および “id2 ”とは各機器に対応する機器IDの文字列を示し,文字列“SRC”および“DST”は各 機器に対する制御情報を示す.たとえば,“SRC”は当該機器から出力する動作を示す.生 成された各2次元コードは,それぞれ携帯端末で読み取られ,2次元コードに含まれる機器 IDおよび制御情報に従って機器を制御することを想定する. 今回,2次元コードの連結手法として,複数の2次元コードを連結することができるQR コード6)–8)の構造的連接機能6)に着目した.QRコードの構造的連接機能とは,事前に定 められた複数のシンボルを順不同で続けて読み取り,それぞれに含まれるデータを連結し 一連のデータとする機能である.ここでシンボルとはQRコードの白と黒のパターンのこ とである.現在普及している多くの携帯電話では,構造的連接機能に対応したQRコード リーダ機能を備えている. QRコードの構造的連接機能は,もともと1つのデータを複数のシンボルで表現する目的 で設計されており,その仕様から読み取りを行うシンボルは次の条件を満たす必要がある. (条件1) すべてのシンボルのパリティデータの値は連結後のデータから計算されるパリ ティデータの値と等しいこと. ここで,パリティデータとは,連結後のデータを8ビットごとに排他的論理和演算を行って 得られる値で,構造的連接機能に対応した各シンボルには付加情報として含まれる. 提案方式では1章で述べたように別々の機器IDなどを連結するため,各シンボルの生成 時に連結後のデータを想定することができない.したがって,各シンボルに含まれるパリ ティデータを事前に計算することもできない.仮に単純に読み取りを行うシンボルのパリ ティデータを揃えたとしても,連結後のデータから計算されるパリティデータは,シンボル に含まれるパリティデータとは異なる確率が高く,異なった場合はQRコードの仕様から データの連結ができない.以上から,条件1,すなわちすべてのシンボルのパリティデータ と連結後のデータから計算されるパリティデータとを等しくするためには,連結しようとす るデータを調整するなどの処理が必要になる. そこで,QRコードの仕様は変更せずにパリティデータの検証が成功するように,新たな文 字列を機器IDなどに付加し,追加した文字列を含んだままシンボル化する手法が考えられる. この手法について適用を検討すると,各シンボルにはデータとして使用できる文字の種類 を定めたモード指示子が含まれているため,この手法は次の条件を満たす必要がある. (条件2) 付加する文字列は各シンボルに含まれるモード指示子により指定される種類の文 字を使用して構成すること. 本研究では,QRコードの構造的連接機能をそのまま利用するために,前記した2つの条 件を満たす方式を開発した.

3. 提案方式の詳細

提案方式の概要を図1に示す.提案方式は,2章で述べたように,制御情報と機器IDとが連 結された文字列を各機器においてシンボル化し,携帯端末上でさらに連結するモデルである.

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1 提案方式の概要

Fig. 1 Overview of the proposed method.

まず,任意の機器IDの連結を可能にするために,機器IDにパリティテキストと呼ばれ る文字列を連結する.このとき,パリティテキストを含んだ機器IDのパリティ値(8ビッ トごとの排他的論理和)が,特定の値(パリティパラメータ)になるようにパリティテキス トの文字を選択する.パリティパラメータを機器間で同一になるようにすれば,任意の機器 IDの連結が可能になる. 制御情報には,対象となる機器の機能に従った適当な文字列を事前に割り当てる.また, 機器制御は,あらかじめ決めた制御情報の組合せによって実現されると想定する.したがっ て,制御情報のパリティ値は事前に計算することができる.たとえば,2章の例では,制 御情報は“SRC”と“DST”であり,これらを合わせた文字列“SRCDST”のパリティ値は 0x01となる.提案方式では,シンボルに制御情報と機器IDとパリティテキストが含まれ ることから,各シンボルに設定すべきパリティデータはあらかじめ決定できる.すなわち, パリティデータは,最終的に連結するシンボルに含まれるすべての制御情報のパリティ値 と,機器ID数分のパリティパラメータの排他的論理和演算の結果である. 被制御機器では,得られたパリティデータ,パリティテキストを付加した機器IDおよび その機器の制御情報を機器ごとにシンボル化して表示し,携帯端末でそれぞれのシンボルを 読み取り,連結を行う. 3.1 パリティテキストの生成方法 まず,2章に示した条件1から求められるパリティテキストの要件を以下に示す. 入力する機器IDの文字列をi,入力するパリティパラメータをpp,パリティテキスト をpt,パリティテキスト付き機器IDの文字列をi,文字列sから計算されるパリティ値を P (s),文字列s1と文字列s2の連結文字列をA(s1, s2)とすると, i=A(i, pt) P (i) =p p となるようなptを求めればよい. 2つの式を代入すると, P (A(i, pt)) =pp であり,パリティ値の計算方法から, P (i) ⊕ P (pt) =pp となる.ここで,は排他的論理和演算を示す.パリティ値の計算結果がpである文字列 をP−1(p)とし,ptで整理すると, pt=P−1(P (i) ⊕ pp) (1) が得られる. 以上から,パリティテキストの要件は,「機器IDのパリティ値とパリティパラメータの 排他的論理和と,パリティテキストのパリティ値が等しくなるように,パリティテキストの 文字列を選択する」となる. ここで,パリティテキストは,QRコードの仕様で許容されている入力文字列とする必要 があり,制御文字などを含まないようにする必要がある.また,QRコードの仕様により, シンボルに含めることができる文字列の長さ(データサイズ)が制限されていることから, データ領域の有効利用のために,パリティテキストはできるだけ短い方がよい. 本節では,以上の要件を満足するパリティテキストの生成方法について,2章に示した条 件2を考慮して2つ提案し,考察する. 3.1.1 汎用的なパリティテキストの生成方法 式(1)で算出したパリティテキストのパリティ値(右辺のP−1( )の引数)は,8ビット であることから{0x80, 0x40, 0x20, 0x10, 0x08, 0x04, 0x02, 0x01}のうち所要な項の排他的 論理和で表現できる.そこで,各項の値と同一のパリティ値を持つ文字列(以下,構成文字

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1 QR コードの各モードに対応する P (i) がとりうる範囲 Table 1 Ranges of parity values for each mode of QR Code.

2 QR コードの各モードに対応する構成文字列の集合

Table 2 Elements of characters for adjusting parity value for each mode of QR Code.

列)を用意し,それらの構成文字列を連結してパリティテキストとする方法を提案する. QRコードの仕様において,入力可能な文字の種類は,8ビットバイトモード,漢字モー ド,英数字モードおよび数字モードの4つのモードに分かれており,QRコードの生成パラ メータの1つであるモード指示子により指定する.そこで,4つのモードに関して,パリ ティテキストの生成方法について考察した. 各モードにおける機器IDのパリティ値のとりうる範囲は,QRコードの文字コード仕様 から算出できる.その算出結果を表1に示す.本方式は,パリティテキストを付加した機 器IDのパリティ値を固定値にする方式であるから,排他的論理和の性質より,パリティテ キストが持つべきパリティ値も表1の範囲となる.そこで,パリティパラメータを表1の 範囲で設定すれば,パリティテキストを構成できることが分かる. 表2に,各モードに対する構成文字列の集合を示す.たとえば,8ビットバイトモードにお いて,パリティテキストのパリティ値を10110001とする場合,この値を0x80⊕0x20⊕0x10⊕ 0x01と表し,各項に対応する構成文字列{P−1(0x80), P−1(0x20), P−1(0x10), P−1(0x01)} を用意し,パリティテキストとして“P−1(0x80) P−1(0x20) P−1(0x10) P−1(0x01)” となる文字列を構成する.ここで,は文字列を連結する演算子を示す.一方,英数字モー ドと数字モードについては,パリティテキストのパリティ値を排他的論理和で表現したとき, それぞれ0x80,{0x80, 0x40}の項を持たないので,その項に対応する構成文字列を用意す る必要がない.また,数字モードでは,QRコードの文字コードの制約から,P−1(0x10)お よびP−1(0x20)に対応する文字列の文字コードがないが,表1から上位4ビットは0x0か 0x3であるので,P−1(0x30)で代用できる. 3.1.2 機器IDを数字に限定した場合 前項において,数字モードのパリティテキストは最大5つの文字列から構成されること を示した(表2).本項では,パリティテキストの最大文字列長をさらに短く構成する方法 を提案する. QRコードの仕様より,数字“0”∼“9”の8ビット符号は0x30∼0x39であることから, パリティテキストのパリティ値は,上位5∼8ビット目は機器IDによらず固定であるため 無視でき,4ビット目を数字“0”,“8”,1∼3ビット目をまとめて数字“0”∼“7”で構成で きる.よって,機器IDを数字で構成する場合は,パリティテキストを2桁の数字で表現で きる.本手法は,英数字モードにおいて機器IDに数字のみを利用する場合にも適用でき, 同様の効果が得られる. 3.2 シンボルの生成方法 パリティテキストを付加した機器IDと制御情報を入力文字列として,QRコードの構造 的連接機能を使用しシンボルを生成するフローを図2に示す. 具体的な生成手順の詳細を以下に示す. 【QRコードシンボルの生成手順】 (1) 機器ID・パリティパラメータを入力し,機器IDを調整する. (2) (1)で得られたパリティテキスト付きIDに制御情報を付加する. (3) (2)で得られた文字列を入力文字列として,QRコードを生成する. QRコード生成パラメータとは,構造的連接機能を用いてシンボルを生成する際に必要と なるパラメータであり,パリティデータ,連結順序,連結数や文字コードの種別(モード指 示子)である.ここで,連結数は事前に決定し,連結する各シンボルに同じ値を設定する必 要がある. 本方式は,機器IDなどの入力文字列を調整し,既存のQRコードの構造的連接機能を仕

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2 シンボル生成フロー

Fig. 2 Flowchart of the proposed method.

様変更することなく使用する.市販品のカメラ付き携帯電話の多くは,QRコードの構造的 連接機能を備えており,本方式で生成したシンボルを読み取ることができる.また,構造的 連接機能により16個までの機器IDを連結でき,それらのシンボルを順不同で読み取るこ とができる.

4. 提案方式の検証

4.1 実 機 検 証

本方式の有効性を示すために,本方式によるBML(Broadcast Markup Language)プ ログラムを市販のデジタル放送受信機で動作させ,シンボルを表示し,市販のカメラ付き携 帯電話で読み取る実機検証を行った.現在のデジタル放送受信機にはQRコードを生成す る機能は搭載されていないが,筆者らはすでにBMLを使ってQRコードを生成するプロ グラムを開発しており9),今回はこれを利用した.また,デジタル放送受信機には限定受信 用のICカードが使われており,BMLからICカード番号(10進20桁)を機器IDとして 図3 実験装置の概要

Fig. 3 Block diagram of receivers for the experiment.

3 実験した QR コードの主なパラメータ Table 3 Parameters of QR Code for the experiment.

利用できるため,今回の検証にあたってはこの環境を採用した. 本検証では,2台の受信機間で映像音声信号などを入出力させる連携を想定する.出力用 受信機と入力用受信機を2台ずつ用意し,任意の入出力の組合せにより全4通りの連携で 検証を行った. 図3に,実験装置の概要を示し,表3に実験したQRコードの主なパラメータを示す. ここで,制御情報については,出力用受信機とするために受信機1および3に“SRC”を, 入力用受信機とするために受信機2および4に“DST”を設定した. また,パリティテキストの生成方法は,ICカード番号がすべて数字であることから,3.1.2項

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4 パリティテキスト

Table 4 Characters for adjusting parity value.

4 出力シンボル(機器 ID が数字の場合) Fig. 4 Symbols output from receivers (ID is numeric).

で提案した手法を適用した.表4に,今回使用したパリティテキストを示す. 図4 に受信機に表示されたQRコードの出力シンボルを示す.シンボルに含まれる文 字列は,どの受信機も“制御情報+機器ID +パリティテキスト”となっている.それぞ れ“機器ID +パリティテキスト”のパリティ値は設定したパリティパラメータ0x0Fで 一致しており,全4通りの読み取りシンボルの各組合せにおいて連結後のパリティデー タが 0x01となり設定値と一致する.市販のカメラ付き携帯電話で各受信機に表示され たシンボルを連続して読み取ると,たとえば受信機 1と受信機2の組合せでは文字列 “SRC0000320104123552118001DST0000320113814434064203”が得られ,正しく連結す ることを確認できた. 4.2 パリティテキストの構成文字列の検討 3.1.1項でパリティテキストの生成方法を述べ,パリティテキストが持つべきパリティ値 について示した.実際に,本方式を利用するためには,QRコード仕様の文字コードテーブ ルから,所望のパリティ値を持つ文字列を選び出す必要がある.その際,パリティテキスト の文字列長を短くしたいので,選び出す文字列の文字数は少ない方がよい.そこで,8ビッ トバイトモード,漢字モード,英数字モードおよび数字モードの各々のモードにおいて,で きる限り少ない文字数となるパリティテキストの構成文字列について検討した. QRコードにおける文字コードの仕様から,モードごとに文字コードの性質を考慮して整 理すると,構成文字列は次の考え方で選択すればよい. (8ビットバイトモード) 構成文字列のパリティ値が0x40と0x20の場合は1バイト文字 とし,それ以外の場合は1バイト文字コードで1文字を割り当てることができないの で,シフトJISコードで1文字とする. (漢字モード) すべて,シフトJISコードで1文字とする. (英数字モード) 1バイト文字コードの“@”(0x40)が利用できないため,構成文字列の パリティ値が0x20の場合についてのみ1バイト文字コードで1文字とする.それ以外 については,パリティ値が0x40を除き1バイト文字コードで2文字とする.パリティ 値が0x40については,1バイト文字コードで2文字では構成できないため,3文字と する. (数字モード) 使用可能な文字の種類が英数字モードのサブセットであるため,構成文字列 のパリティ値が0x30以外の場合は英数字モードと共通の構成文字列を利用する.パリ ティ値が0x30の場合は,1バイト文字コードで1文字とする. 表5および表6に,考案した方法を用いて選択したパリティテキストの構成文字列の例 を示す.構成文字列の2バイト文字コードはシフトJISコード10)である.提案方式は,こ れらのパリティテキストの構成文字列を使うことにより,英数字表現が一般的な機器IDの 連結だけでなく,漢字などの2バイト文字コードを含む機器の詳細情報の連結も可能な方式 である. 表5および表6に示す構成文字列を確かめるために,構成文字列と機器ID以外は4.1節 と同じ条件で検証を行った.機器IDとしては,10進20桁のICカード番号を16進17桁 に変換したものを用いた. 図5に,受信機に表示されたQRコードの出力シンボルを示す.このシンボルを市販の 携帯電話で読み取り,正しく連結することが確認できた.

(7)

5 パリティテキストの構成文字列の例(数字モード以外)

Table 5 Instance of elements of characters for adjusting parity value for each mode of QR Code (excluding numeric mode).

6 パリティテキストの構成文字列の例(数字モード)

Table 6 Instance of elements of characters for adjusting parity value for numeric mode of QR Code.

最後に,連結した文字列による機器制御について,簡単に論じる.1章で述べたように, 本論文では特定のサーバやゲートウェイを介した機器制御は想定していない.そのため,携 帯端末と被制御機器間とは,マルチキャスト通信もしくはブロードキャスト通信で結ばれて いることを想定する.たとえば,BluetoothやWi-Fiのマルチキャスト通信のペイロード に携帯端末上で連結された文字列を重畳して送信し,被制御機器では機器IDによるフィル タリングで自機器への制御情報を解釈する方式などが考えられる.実際の機器制御につい ては,被制御機器間で映像音声信号などを送受するためのリンクを生成し,セッション管理 図5 出力シンボル(機器 ID が英数字の場合) Fig. 5 Symbols output from receivers (ID is alphanumeric).

を行うなどの必要があるが,この方式については,たとえば既存のDLNAの利用が考えら れる.

また,本方式は,連結された文字列全体をURL(Uniform Resource Locator)とすれば, 特定のサーバやゲートウェイなどを利用するモデルにも適用することが可能となる.

5. お わ り に

本論文では,ユーザによる機器IDや機器情報などの省入力化を目的として,2次元コー ドに機器IDなどの情報だけではなく当該機器の制御情報も含めたうえで,複数の2次元 コードを読み取り,携帯端末上で制御する機器の情報を連結する方式を提案した.提案方式 では,QRコードの仕様にある構造的連接機能の利用を前提に,機器IDにパリティテキス トを付加する方法とした. 本提案方式によるQRコード生成・表示プログラムをBMLで実装し,デジタル放送受信 機に表示されたシンボルを市販の携帯電話で読み取り,正しく連結できることを確認した. また,QRコードの仕様で規定されるすべての文字の種類に対応したパリティテキストの生 成方法を示した. 本方式はQRコードの仕様の範囲内で実現できるので,現在普及している多くのカメラ 付き携帯電話に搭載されたQRコードリーダを用いることができ,だれもが利用しやすい 操作環境を低コストに構築することができると考えている.

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参 考 文 献

1) DLNA. http://www.dlna.org/home 2) 増井俊之,椎尾一郎,福地健太郎:紙GUIによる情報家電制御,第59回情報処理学 会全国大会特別セッション(1)講演論文集,pp.73–74 (1999). 3) 前田和貴,曽根裕文:ネット家電時代のホームネットワークと携帯電話の連携,信学 技報,AP2004-282, pp.19–24 (2005). 4) 総務省情報通信統計データベース. http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/field/tsuushin02.html 5) 毛利隆夫,福田茂紀,竹間 智:ユーザを中心とした携帯電話・情報家電連携,Fujitsu, Vol.58, No.2, pp.129–134 (2007). 6) 日本工業標準調査会(JISC):二次元コードシンボル―QRコード―基本仕様書,JIS X0510:2004 (2004). 7) 長屋隆之,山崎知彦,原 昌宏,野尻忠雄:高速読み取り対応2次元コード[QRコード] の開発,1996年情報処理学会全国大会,Vol.52, No.2, 4G-11, pp.2.253–2.254 (1996). 8) 原 昌宏:QRコードの開発,自動車技術,Vol.62, No.1, pp.59–64 (2008). 9) 川喜田裕之,西本友成,石川清彦,今泉浩幸,佐藤義胤,前田幹夫,井上友幸:個別 QRコード生成BMLプログラムの開発,映情技報,Vol.33, No.9, pp.9–12 (2009). 10) 日本工業標準調査会(JISC):7ビット及び8ビットの2バイト情報交換用符号化漢 字集合,JIS X0208:1997 (1997). (平成22年1月25日受付) (平成22年9月17日採録)

推 薦 文

QRコードの連接機能を用いて複数のデバイス間の連携を図る取り組みで,QRコードの 仕様と放送とテレビという環境制約を適切に解決する有用な提案である.ユビキタスコン ピューティングの実用化を目指した研究事例として高く評価できる. (マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2009)シンポジウム プログラム委員長 土井美和子) 川喜田裕之(正会員) 2004年東京工業大学大学院理工学研究科修士課程修了.同年NHKに 入局.広島放送局を経て,2007年より放送技術研究所に勤務.現在,放 送技術研究所次世代プラットフォーム研究部にて,放送と通信の連携技術 の研究に従事.映像情報メディア学会会員. 西本 友成 1996年熊本大学大学院工学研究科修士課程修了.同年NHKに入局. 熊本放送局を経て,1999年より放送技術研究所に勤務.放送コンテンツ の権利保護技術,アクセス制御技術の研究に従事.現在,放送技術研究所 次世代プラットフォーム研究部専任研究員.博士(工学).映像情報メディ ア学会,IEEE各会員. 井上 友幸(正会員) 1981年電気通信大学電波通信学科卒業.1983年同大学院電気通信学 研究科修了.同年NHK入局.大阪放送局を経て1986年より放送技術研 究所勤務.1999年より営業局受信技術センター,技術局計画部を経て, 2009年より放送技術研究所次世代プラットフォーム研究部主任研究員.現 在,CAS(限定受信),RMPを中心にセキュリティ関係の研究に従事.映 像メディア学会会員.

図 1 提案方式の概要
表 2 QR コードの各モードに対応する構成文字列の集合
図 2 シンボル生成フロー Fig. 2 Flowchart of the proposed method.
表 4 パリティテキスト
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参照

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