ベ ン
チ
ャ
ー
企 業
の
デ ザ
イ
ン
の
課
題
tndustrial
Design
Subjects
for
VentureCompany
松 丸 武
長 岡 造 形 大 学
MATSUMARU
,
Takeshi
Nagaoka lnstitute of Design
1 .
は じ めに 産 業が 「産 業革 命」以来の大転 換 期にあると 言 わ れて久 し く、
今 日では そ れ ぞ れの ス テー
ジでさ まざ ま な 次代の 産 業ビジ ョンが描か れ、
その新 た な 目標 へ 向 か う実 践の行 動が進 行してい る。
その 具体 的 な 行 動の一
つ の表れ がいわ ゆる 「ベンチャー
企業」 で あ ろ う。
「ベ ンチャー
企 業」 を 生 ん だ背景、
大 き な 要 素 と し て、
社会、
生活が変 化し、
小 規模であ る か らこそ 可能な、
レ スポン スの 良い決 断、
小 回り の効 く企画・
設計・
生 産・
販売 等々 を大き なメリッ ト と す るモノづ く りを成立 さ せる状 況 に なったこと な ど が挙 げられ て い る。
従 来は 規模が 小 さい ことは大き なハ ンディ で あっ た が、
そ れが む し ろ経 営 資源とし て メリッ トとし て作用する モ ノづ く り環 境 が 生 ま れ た というこ と である。
ここでは、
こ の 「ベ ン チ ャー
企業」(こ こでは 主と し て製造 業 )の 「デ ザ イン」 の導 入 や 取組みの現状 に みられる多 くの 課 題の なか か ら、
最も 大 きい、
早 急 に 解 決 したい課題につ いて考える。
ま た、
こ の 「ベ ン チ ャー
企業のデ ザイン」 の 課題は、
別な視 点か ら す る と 「地 域 産業のデザイン 」が 今日抱 えて いる 課 題 と 非常に重 なる部 分が大きい。
従っ て こ こ で の内 容は 「地 域 産 業の デザイン 」 の今 後にも 大 き く 関 係 し た 共 通の課題である と考えてい る。
こ の背景に は、
わ れ わ れが 新 潟県 内、
特に 長 岡 市、
燕 市、
三条 市な どの全 国有 数の 産 業 集 積 地に お い て、
これ まで 産 学官 連携 事 業とし て調 査 や実 務的 なデザイ ン を 行っ て き た中で得た さ まざま な 情 報 が あ る。2 .
「広い意 味のデザイ ン」導 入こそ がベン チャー
「ベ ンチャ
ー
企 業」はその 「ベ ンチャー
」を志 向す ると き、
さ まざ まな経 営 資 源 (核) とな る ノ ウハ ウ を 持っ て ス ター
トし て いる。
そ れぞれの企 業や個人 が そ れ ま で培っ てき たノウハ ウ、
例え ば、
長い伝統 のな かで培っ た 技 術、
加工・
製 造な どの先 端 技 術、
大きな 企業の 協 力・
関 係会 社と し て の生産 技術、
流 通・
販 売な どの独 自性 等々が挙 げら れるが、
この ス ター
トまで の経 緯、
背 景が、
「デザイン 」の理解、
考 え方に 大いに 関 係する。「ベ ンチャ
ー
企業1
がベ ンチャー
展 開する以前の 場 面で 「デザイン 」 に どのよ う に 関 わっ て き た か を みる と、
次のよ う に2
タ イプ (A 、B
)に大き く分け て考え ら れる。
A
タ イプは、
規模のよ り大 き な企 業 (親 会 社 )の 生産や流通の労 働力 支 援 を 担 うい わゆる協力 ま た は 関連企業 (OEM
)であって、
それ まで独 自 開 発 商 品 が 無い か 少 なく、
企 画、
開発、
デザイン に責任を持っ て関わる機会が非常 に 少 ない状 況で経 過してき た 企 業。
B
タ イプは、
長い歴 史の中で地域性 (立 地 条 件 ) などの 有 利性で得てき た 素材や 加工の 技術、
流 通の 利 点 等を 生 か し、
規模は小さ いが独 自開 発で独 自商 品 を 成立させ育み続 けてき た 企 業。
こ の よ うに分 け て 「デザイン 」へ の 関 わり を み る と、A
タ イプは、
デ ザインの 理解 が 浅いま た は 無い企 業 で あ り、B
タ イプは、A
タ イ プに比べ る とデ ザイ ン の経 験が あ り、
理解は 深い企 業と い え る。
こ のよ う な 現状で は、
一
見A
タ イプの み に課 題が あ る よ う に考え られ が ち であるがそうでは ない。
「ベ ンチャー
企業のデ ザイ ン 」の視点 か らす る とこ の双方に性格の違っ た課題 が ある と考 える。
A タ イ プ は
、
「デザイン」につ い て は初心者であ る に も か か わ らず、
非常に浅く表 層的なデザインを投 入 し、
デ ザイン は これで充分 と考え るこ とが多く、
こ の 「デザイン 」に 取 り組 む姿 勢に課 題が ある。
ま たB
タイブ は、
「デザイ ン」の経 験を 重 ねてきて い る の で、
そ の重 要 性 や 有 効性につ いての認 識度 や 理解 度は高いが、
そこに は 「ベ ンチャー
企 業のデ ザイン 」 は 従 来の延長だけでは及 ばない部 分 が あ り、
再考し たい 「基 礎 的で広い意 味のデザイン の思考」が 必 要 で ある こと を認 識していない と い う課 題 が ある。
NII-Electronic Library Service
乱 暴 な 言い方をすれば
、
「デ ザイン」の 理解に関し ては双 方の タ イプと も ま だ ま だ狭く、
表層 的であ り、
「広い意 味の デザイン 」 を獲 得して ほ し い状況 に ある と いえ る。
これ は「ベ ン チ ャ
ー
企 業」に限らず多くの産 業、
企 業にいえ ることであるが、
「デ ザイン」の ポテ ン シ ャ ル を 経 営 資 源 と して いっ そ う有 効に 活 用 すべ く、
「デ
ザ イン 」 を も う一
度 見 直し、
今 考え ている よ り 広 く深い、
体 系 的な資源 と して捉え て い くこ とが 望 まれる。
3 .
企 業 競 争 力 と 「広い意 味のデ ザイ ン」「デ ザ イン」は産 業
、
企 業に とっ て ますます 有 効 な 資 源 と して 重要 性は高まっ てい る。
に も か か わ ら ず、
活 用し きれ ないでい る未発掘の潜在資源 と なっ てい る部 分が ある。
そ れ が 「広い意 味のデ ザ イン を 捉 え る」 という資源で ある と考え る。
「ベ ン チャ
ー
」は社 会、
生活 、 産 業、
企業、
モノ な どの見方に新し い視 点 を持つ こと から始まる とすれ ば、
こ の未 発 掘の 「広 い意 味の デザイン」資 源の 開 発にも果 敢に挑み 活 用 してい こう とする姿 勢が先 ず あっ てほ しい もの で あ る。
「ベ ン チ ャ
ー
」 に限 らず、
企業力 を決 定 するの は、
社 会、
生 活者に提 供、
訴求してい こう と する企業の 総合 力 (コ ンテンツ、
コ ン セ プト)を集約、
具 現 化 す る 「商品.
1
であるこ とには 変 わ りは ない。
し か し、
社会、
生 活 が 変 化 し、
商品に込 めるコ ンテ ンツ、
コ ン セ プ ト は変 化、
多 様化し た。
そ の様 相は、
企業 規 模や 資 本の大 きいことが 可能にする領 域 が ます ま す 拡 大 する一
方、
その規 模や資 本要素だけでは な く、
小規 模でな け れば対 応、
実 現が 不可 能 な 領域 が 生 ま れて きて いる。一
般に言 わ れ る よ う に、
こ の状況が 今日の 産 業 構 造の転 換、
「ベ ンチャー
企 業一
1発 生 な どの根 源と なっ ている。
と もか く商品 開 発 環 境 は変 化し
、
コ ンテンツ (コ ン セプト) を 形化 する 「デ ザイン」 の 重 要 度は一
層 増していること は確かである。
そ し て、
こ のよ う な 商品 開 発 環 境 に あっ て、
「デザイン 」 も果 た すべ き 役割の重 心が移 動し て きてい る。
「広い意 味の デザ イン」 がいよいよ 重 要性を 増 してい る。
さ て、
次 に 「ベ ンチャー
企業」が 「広い意 味」 の 理解に基づく 「デザ イン」を経営資 源として有 効に 生 か そ う とする ときに必要 と 思 わ れる最 も基 本的な 事 項 を 挙げる。
これ はこれ までた び た び地域の企 業や 異業 種 交流 会な どに出 るこ と か ら抽出 さ れ たもの であり、
デザ インする側、
デ ザインを有効 に 活 用 してきて い る企 業に とっ て は、
今さ らの感 が あ る だ ろ う が、
こ こ で はデザ イン の再考、
再 確 認の 資 料 と して ほ しい。
「広い 意 味のデ ザ イン 」の重 要 性の 認 識
一
般に 「ベ ンチャー
」が 語 られると き、
金 融 政 策 (ベ ンチ ャー
キャ ピ タ ル )の側面と オ リ ジ ナル技術 開発の側 面の議 論が 圧倒的 に 多い。
し か し 本 来、
「ベ ンチャー
企 業」は「ベ ン チ ャー
に値 する商 品」を創っ て い く こ とが 目 的であ る 筈であ る。
とい うこ とは、
開 発 生産する商品は、
従来と は 異 な る、
新 た な 社 会、
生活へ の 提 案が 「ベ ンチャー
」要 素 を含ん で い なけ れ ば ならない。
「生 活 者 最 優 先」、
「顧 客 満足 (CS
)」、
「ラ イフ スタイル提 案」、
「生 活創 造 産 業」等々 の今 日 的コ ン セプトが 盛 り込 ま れ た商品でなければ な ら ない。
その よ う な 商 品の開 に は次に述べ て い く よ うに、
「広い意 味のデ ザ イン ] が大き く関 わっ て くる こと に気 付き、
そこに 取 り組 も う と する姿 勢が先 ず在り たい。
企 業 像の 明確 化
=
「企業ドメ イン 」の 明 確 化大規 模 企 業が多くの 「ベ ンチャ
ー
企 業」 に勝る点 と して先ず挙 げられる こと は、
開 発 姿 勢、
企 画 力、
具 体 化 (技 術・
造 形 )力等々 の川上 の力 で あ る が、
こ の背景に は、
「ベンチャー
企業」 には、
企業の根 本 と なる立脚 点、
「企業ドメ イン」 (「CII
の概 念 と 重な る が、
こ こ では 「ドメ イン 」 と いう。
) が 明 確 に語ら れ て いない状 況 が ある。
「企業ドメイン 」 はその製品の性格、
サー
ビス、
対 象 と して いる市 場や顧 客 層や地 域、
その企 業が 研 究 し保 有 し てい る 技 術の領域 等々 を 明確にする もので あ り、
「企 業戦 賂」 の最 も大き な 枠 組 と して企業、
商 品を特徴 付け る 要素で あ り、
だか らこそ「デ ザイン 」 との関係が大きい。 「商品 は企業の顔」 とい わ れる よ うに、
「デ ザ イン 」を進める にあ た っ ての第一
要 デ ザ イン学研 究 特 集 号 SPECIAL ISSUE OF JSSD Vo[.
8 NQ.
3 2001 17 N工 工一
Eleotronio Library素は こ こにあるとい え る
。
どの よ う な 商 品 も
、
デ ザイン開 発を 始 める に あ たっ ては、
先ずコ ン セプ トの明 確 化作 業 が 行わ れる が、
「企 業ドメ イン 」が 語 ら れ ないまま個々 の商 品 ア イ テ ムのコ ンセプト論 議 か ら始まるとい うこと は、
発表される商 品ご と に 異 なる性 格 付け が行われ る ということ に な りな りか ねず、
企 業の独 自性や訴 求力 が相乗 効 果を もたらすこと が ない。
こ こ で 「企 業 ドメ イン 」 の輪 郭を 示 す参 考 資 料と して
、
『企 業 ドメ イン の戦 略論一
構 想の大き な 会 社 と は』 (榊原 清 則著・
中 公新 書 )か ら引用し た キー
ワー
ドを挙 げる。
・
経 営 者は 自 分の環境を自分で創る 責 任 が ある。・
市場の成 熟期ある いは衰退期を 迎 え、
どの よ うな 領 域を自社の存 在 領 域と し て構想 す る か が戦
略 決定の第
一
歩 とし て重要。
・
どの よ う な活 動を行い、
どの よ う な活 動 を 行 わ ない か を明確に。
・
ドメインの 「物 理的定 義」か ら「機 能 的定 義」へ。
(缶詰 会 社 が 「缶を作る会 社」 というのは前 者
、
「包装を考える会 社」 と い えば後 者 )
・
「物 理 的 定義」は カ バー
して いる範囲、
領 域が 空間的に狭く
、
その方 向性 がはっ き り し ない。
・
「機 能的 定 義」は競 争にさ ら さ れ たときの適応の柔 軟性は高く
、
付 加 価 値を高く し や すい。
ま た、
社 内の学習 意 欲 を 旺盛にする
。
・
モ ノ に 対する愛着は 入間の最も本質的な 属 性の一
つ。
「物理的定 義」では企 業が内向き 志 向 に なり
、
フ ィ ティ シズム (物 心崇 拝) を 生 み 出す。変化を 阻 止する危 険 性にな る
。
・
ド メイン は時 間 と と もに変えて いく 必 要 が あ る。
どのよ う に 変 え て きたかが 重要。
・
ドメ イン・
コ ン セ ンサスが 必 要。
=
組織のメンバー
や外部の 人々 に よっ て広 く指示され た と き
、
始め て機 能 する。
=
企業組 織 と 外部環境と のや り と り を 通じて形成さ れ る社 会 的 合 意。
=
範囲+方向性や発 展の道筋を 示唆+一
般性=
時 間+空 間+意 味の広 が り商品像 (コ ン テ ン ツ)の 明確 化
=
「商 品コ ンセプ ト1
の明 確 化・
「商品1
= 「機 能」 + 「意 味」 + 「造 形」・
デザ インはコンセプトの形 化「ベ ンチャ
ー
企業」の商 品 開 発の 現 状は 「新し い技 術」へ の挑戦、
それ も 「IT
」関連 が 極めて多い。
こ こ ではこ の 状況につ い て云々する こと は しないが、
この状 況をデザイン の視 点 か ら みると、
最も 挑 戦す べ き は 「新し い商 品 加 で あり、
そ の商 品 開発 は先 ずそれ に関わ る全ての 要素の見 直し、
再 構築か ら着 手さ れ、
実 行に 移 さ れねば な らない の に、
挑 戦する 的が短絡 的 に決 定され、
限ら れ た部分に偏っ て し まっ て いることが 非常に 気に か か る。
一
般的に 「商 品」を構 成 する3
要素 と し て「機 能」、
「意 味」、
「造形」が挙 げられるが、
「技 術」は その 「機 能」要素で、
非常に重要で比 重が大き い要素では あ る が一
要素に過ぎない。
商品力はこれ ら3
要素の総 合力であ る。
そ して 「デザ イン」 は、
こ れ ら3
要素 の全ての 内容 (商品コ ンセプト)を商 品と しての実 体 に造形 (形 化) す る 作 業である。
商品の 「デザイン」 に際し
、
こ の3
要素の全 体 を 包含し よ うとするプロセスを 踏 まず、
例えば「機能」 要素一
つ に力 が 偏っ た ままに形 化 し て いくこと は、
「デ ザイン」が本来持っ てい るポテン シ ャル や 「モ ノ づ く り」に果た す 役割の理 解が あ ま り に も浅い こ と に な り、
商 品 力の強 化に有 効に作用しき れてい な い こと に な る。
「ベ ンチャー
の デザ イン」 と は言え ない。
これ は 「モ ノ づ く り」、
「商 品 づ く り」 そ して 「デザ イン」 を考える姿 勢とし て非常に基 本 的 な と ころが問われてい るこ とで ある。
「商 品」 を構 成 す る3
要素 全 体の精 緻 なバラ ン ス を 取 り、
完 成 度の高 い商 品 を 打 ち出し て い く企 業 を志 向する企業が「ベ ンチャー
企 業」 であると考 えた い。
さ て
、
「商 品 開 発」は先ず、
その と きの 「企 業ドメ イン 」の ベク トル内で、
そ の構 成 要素である 「機 能」、
「意 味」、
「造形」 に力を持たせ る こ と、
す な わ ち強 い コ ン セ プ トを確立 するこ とか ら 始 ま る。
しか し、
現 状で は、
その方 法論、
手 法を持た ないま まに進 行 されて い くことが 多い。先 ず 各企 業 は こ の導入 を考 え たい。
こ こに 参 考と し て
、
新 潟 県が推 進 する 「生 活 文 化NII-Electronic Library Service 創 造 産業 振興」の
一
環 と して、
わ れ わ れ も参画 し、
新潟県工業 技術総 合 研 究 所のデ ザインセンター
が 編 集し た「商品 開発手 法の調 査 研究一
商品 開 発フ ォー
マ ッ ト1 か ら、
「コ ンセ プ ト立案」 に関する一
端を 掲 げる。
(これ は、
県の財 団法人IDS
(lndustrial
Designing
Systems
)が 毎年開催する講 習会「商品 開 発ワー
クシ ョッ プ」の 「商品企画フ ォー
マ ッ ト」 の テキス トと して使用 されている。
参加企 業に はいわ ゆる 「ベ ンチャー
企業」が 多いが、
そ こで はコ ン セ プ トを押さ える こ の作 業が非常に新鮮に感じ られ て いたのが印象に 残っ ている。
) 〈 商品 企 画フ ォー
マ ッ ト〉 :記 述 方 式の シー
ト [A ]マー
ケ ティ ングのまとめ=
情 報分析か ら 商 品 開 発に必 要 な 基 本的与件と開 発すべ き方 向性を 抽 出する。
・
ター
ゲ ッ ト特 性:タ
ー
ゲッ ト& ニー
ズ・
機 能&魅 力・
自社に とっ ての 開 発の意 味 :自社 に とって の商 品 開発の 目的・
自社 資 源の活 用の方 向 性 ↓・
商品 開 発の 方 向 性 (テー
マ) :自社に とっ ての開 発の 意 味を 踏 ま え、
開 発すべ き商品の方 向 性 を 確 定 する [B
]商 品 開発フォー
マ ッ ト・
開 発の 方向 性・
開発 領 域 :生 活関 連 商品・一
般商品・
開 発 商 品 :商品 領 域・
商 品コ ンセプト・
商 品 ア イテム・
商 品名・
ター
ゲッ ト・
使用者・
購 買 者・
商品設計 (仕様):機 能
・
素 材・
サ イ ズ・
デザ インタ イプ・
単価設定・
開発ポ ジショ ン :開発アイテ ムポ ジショ ン・
商品ポ ジショ ン・
開 発 手 法・
販 売 戦 略 :販売 計画・
チャネ ル 戦 略・
情 報戦 略 ↓・
デ ザイン・
イ メー
ジ デザ イン評価の実行;
商 品コ ンセ プ トと造形の相 似 性の確認 言 うまで も 無 く 商 品はモ ノ、
実 体であ る。
コ ンセ プ トの質がい か に高くともそ れ がモノ、
実体として の造形 に投 影さ れな けれ ば意 味をなさ ない。
こ こ で はこれ を 「商 品コ ンセ プ ト と造形の相 似 性」と して 厂デザイン評 価」 の 重要性につ い て言 及 してお き た い。
(これ ま で 「企 業ド メ イ ン」、
「商品コ ン セプト」 に 関 わ るデ ザイ ン を 「広い意味のデ ザイ ン」と考え て き たので、
そ れ と対 比する と、
こ こでのコ ンセプ トの 形化 (造形)に関 わる の 「デザ イン 」は 「狭い 意 味のデ ザイン」 とい うこと に な る。
) 「ベ ンチャー
」 に 限 らずさ まざま な ところ で こ の テー
マ は研 究さ れ て は い るが、
そ の内容は企業、
商 品 な ど に よっ て大 き く状 況 は 異 な り、
多 様であ る と ともに、
「デ ザインとは何か」 の本質に ま で議 論が 発 展する内 容でも ある こと から、
こ こに方 法 論と し て望ま しい フォー
マ ッ トを提 案でき る状況では な い。
しかし、
「ベ ンチャー
企業」 の多くに見られる 「デ ザイン決定」過 程は現状の ま までよい と はいえ ない。
オー
ナー
や社長と いう経 営 責 任を持つ 者の 決 定 が 最 終的である こと は よいが、
その 「評価の方法 論1
に は 課 題 が 多い。
社長、
重役 や 営業担 当者の一
声、
社員に よ る多 数決、
ユー
ザー ・
モニ ター
の多 数 決、
限 ら れ た使用者の フィー
ジビリ ティ・
スタディ などは重要であるが そ れだ けで は 「総 合 的な評 価」 と はいえ ない場 合 が 多い こと は 確 かである。
こ とに 「ベ ンチャー
企 業」 に おいて はコ ラボレー
ショ ン に よっ てデザ インする場 合が多いが、
そ のと き、
外部 へ の 「デザ イン」 の依 頼の仕方と、
こ の 「デザイン 評価」の あり方が非 常に重要である。
商品 力を大き く 左右 する こ のプロセスが充 分に行 わ れていない のが現状で ある。
最も 重要なプロセス と捉え る意 識 改 革と と もに、
も う一
歩 「客 観 化」 し た評価 軸を持つ こ とが求め ら れる。
新 潟 県 デザインセンター
で は、
前 掲の 「商品企画 フォー
マ ッ ト」に続い て 「デザ イン評 価」 のな かで も 「コ ンセプトと 造 形 問の相 似 性の 検 証・
評 価」 の 方 法 論につ いて 研究が進め ら れ ている。 その研 究 は、
コ ン セプ トで ある 「商品企画フ ォー
マ ッ ト」 のデ ザ イ ン学研 究特集号 SPECIAL
ISSUE
OF
JSSD Vo1
、
8 No,
3 200119記 述と対比 させ
、
案と して出 さ れ た さ まざま なデザ イン (造 形 ) との 整 合・
相 似 性の 高さ を観る中に よ り高い相 似 性の案を探るた めの検 証 をするそいう ア プロー
チである ようだ が、
それ もこ こに 示 す までに は至っ ていない。
4 ,
地域ベン チャー
企 業の商品事 例 こ こに、
我々が前述の 考え方を 示しなが ら進めて き た 「ベ ンチャー
企 業」の商品 例のな かから、
長 岡 市の 異業種 交 流グルー
プ 「長岡デザ イン研究会」と ともに開発し た商 品2
点を掲 げる。
■例 1:(写 真 1参 照 ) 再生紙 利用の紙 製 担 架 「レ スキュー ・
ボー
ド」 1安 達 紙器工業株 式 会 社一
紙 を 主 素 材 に 商 品 開 発 を 進 め る製 造メ イ カー
が 地 域の異業 種 交 流活動で開発 した 商 品一
開 発へ の出 発 点 は 阪 神 淡 路大震 災 (数万 人の死 者、
災 害の 問 題 点 研究か ら)一
主 素材は再 生紙 :極め て硬質で強 度の ある工 業 写真1
再 生紙利用の紙 製担架「レスキュー・
ボー
ド」 用再生紙 (パ ス コ)。
再 原 料 化 可 能。
一
廃 棄 後 も土 に 戻 り=
環境 配 慮 (エ コ ロジ カ ル)一
焼 却 し て有害物 質を出さない=
無 公 害。
・
一
大人一
人 を 運 ぶと いう機 能上 は充 分な対応 力。
− 3.
5kg
と軽 量で持ち 運びや すい。
一
救 急活動の現 場でよ り多 くの 支援 者 がすば や く 簡 易利 用でき る。
一
女性 や 子 供 に も 楽 に 持 ち 運べ る。一
現 場の ス タディ を 繰 り返 し、
緊急 性へ の対応の 形の 追及。
一
誰で も使えるユ ニ バー
サ ルデザ イン=
形 状の 意 味付 けも。
一
長 手 方 向で3
つ に折りた た め、
収 納し や すい。
(自動車の トランクに入る)一
防災用具 倉庫で の保 管 場所の負 担 が 少 ない。
一
車の トラ ンクに数 個 も 積め る コ ン パク トな折り た たみ式。
一
紙 製のた め、
使用 に あ たっ ての 指示 や情 報の印 刷、
書き 込みがし やすい。
一
視 覚 言 語で 使用方 法を印刷。
一
価 格は一
般の布 製 担 架 に 比べ 割安 (約 半 分 )。一
既 に 消 防 署の救 急 車、
警 察 署のパ トカー
に徐々 に浸 透 ■例2
: 楽 し む園芸 作 業 専 用 机シリー
ズ 「菜木花・
ガー
デニ ング・
ピッ ト1・
「菜 木 花・
アップ ガ
ー
デン 」:五十 嵐工業 株 式会 社+
安達コ ン ク リ
ー
ト 工業株 式会社 写真2
菜 木 花・
ガー
デニ ング・
ピッ トNII-Electronic Library Service
.
.
.
座 った ま ま(車 椅子で も)楽に作業ができ る。
ま た、
作 業 机の奥まで手が 届 く。一
使用 環境 (家庭、
公 園、
養 護 施 設 等)に対応し、
多 様に展 開する シ リー
ズ化。
一
環 境、
景 観 設計に対 応 し た 展 開 ができ る 造 形。
写 真3
菜 木 花・
アッ プ・
ガー
デンべ
_
・… ・ ス ・ ・
一
噛
覊
.. ル。淋 そ。 。 サ イ ズ Wl]samax05S7ffmxbiア
れ
諜
靉 コ ン テナンェ
ル フ誕
_ 広い公 園に、
住宅、
施 設 等の庭に。
一
「園 芸療 法」=
「土いじり 」 をする こ と で、
言 葉、
年 齢、
障害を超えてコ ミュ ニ ケー
シ ョン で き、
心と脳の 治療に効 果が ある こと が 医 学 的 に 実 証さ れ た。 これに基づいた 療 法 プロ グラ ム は 様々 な施 設で導入 さ れて い る。・
「菜 木 花・
ガー
デニ ング・
ピッ ト」(写 真2
参照 )一
屋 外、
屋 内 どこへ でも移 動でき るワゴンタイ プ。
一
さ まざま な オプシ ョ ンを 備 え、
使用者の多 様な 要求に応 え る。
(図1
参 照 )一
ス テ ン レ ス パ イ プの構 造体。
木製の作 業 台。
・
「菜 木 花 :アップ・
ガー
デンj
(写真3
参 照 〉一
コ ン ク リー
ト製の据 え 置 き 設 置 タ イプ。
一
木製の手摺。
一.
成 型・
運 搬・
施工 の しやすい組立てキッ ト化。
5.
全て のベ ンチャー
が デ ザイ ン を「個の 時代」
、
「パー
ソナ ル 化」、
「カスタマイ ズのデ ザ イン 」などと商品のラ イフス タ イ ル 提案の一
面 を み て も、
多 様な 「個の欲 求」 に応える仕 組み として 「ベ ン チ ャー
企 業」へ の期 待 が ま す ま す 高 まる と と も に、
戦 える環 境は ますます 拡大し て い る。
その潮 流を しっ か り 自 社の ものと するた め に、
基 礎的な 大 き なポテ ン シャル の の一
つ と し て 「広い意味の デザ イン」 の 理 解 を 持 ち たい。
現 状のベ ンチャー
の多く が「技 術の新 規開 発」を 目指すこ と は 理 解でき る が、
その 商 品 化 に 関 してはそ の後に 「デ ザ インー
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「流 通 亅 「販売」な ど との 要 素 が 連 なっ てい く、
そ こに も「技 術の新 規 開発」 と同様なエ ネルギー
を 注ぎ、
競 争力 の ある商品と してい く開 発 姿 勢がなくて は、
「ベ ン チャー
」 と は いえ ない の では ない だろう か。
図1
菜木 花・
アッ プt ガー
デ ン のオ プ シ ョンデ ザイン学 研 究 特 集 号 SPECIAL ISSUEOF JSSD Vol