• 検索結果がありません。

身体教育医学研究 14:17-25, 資 料 ロングパイル人工芝グラウンドにおける暑熱環境とサッカー プレーヤーの脱水との関連 : パイロット観察研究 Association between the hot environment of a field with long pile a

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "身体教育医学研究 14:17-25, 資 料 ロングパイル人工芝グラウンドにおける暑熱環境とサッカー プレーヤーの脱水との関連 : パイロット観察研究 Association between the hot environment of a field with long pile a"

Copied!
9
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

●代表者連絡先:〒156-8502 東京都世田谷区桜丘 1-1-1         東京農業大学地域環境科学部身体教育学研究室 上岡洋晴         TEL/FAX:03-5477-2587         E-mail:[email protected]

●資 料

ロングパイル人工芝グラウンドにおける暑熱環境と

サッカー・プレーヤーの脱水との関連:パイロット観察研究

Association between the hot environment of a field

with long pile artificial turf and dehydration of soccer

players : A pilot observational study

濱口 雄悟

a

     上岡 洋晴

b

 

Yugo HAMAGUCHIa  Hiroharu KAMIOKAb

a 東京農業大学地域環境科学部造園科学科

b 東京農業大学地域環境科学部身体教育学研究室

a Department of Landscape Architecture Science, Faculty of Regional Environment Science, Tokyo University of Agriculture

b Laboratory of Physical and Health Education, Faculty of Regional Environment Science, Tokyo University of Agriculture

Abstract

  The purpose of this pilot observational study is to clarify the relationship between the hot environment of a long pile artificial turf and dehydration of soccer players.

  The study was carried out on the Setagaya campus field of Tokyo University of Agriculture with long pile artificial turf (hereinafter referred to as artificial turf) during the period from August 15, 2012 to October 26, 2012. Measurements were conducted every day when it was not raining and were cancelled when it rained. Measurements were taken a total of 30 times: 12 times in August, 10 times in September, and 8 times in October.

  The following items were measured:

  1. The surface temperature of the artificial turf;

  2. The temperature, humidity and wet bulb globe temperature (WBGT) at a height of 50 cm and 160 cm above the artificial turf;

  3. The difference in body weight (the amount of dehydration).

(2)

Ⅰ.緒言  現在では多くのグラウンドで土から人工芝へと 変わってきている。多くの人工芝グラウンドはロ ングパイル人工芝で,次世代人工芝と呼ばれ,パ イル・基布・充填材で構造されている。従来の人 工芝と違い,パイルの長さが長くなり,現在最も 天然芝に近い人工芝として注目されている。  国際サッカー連盟(FIFA)が 2001 年に人工芝 の品質基準を定めてロングパイル人工芝のピッチ を推奨グラウンドとして認定し,日本サッカー協 会(JFA) も 2003 年 10 月 よ り「JFA ロ ン グ パ イル人工芝基準」・「JFA ロングパイル人工芝ピッ チ公認規定」を施行し,2004 年には,ラグビー 界も国際ラグビーボード(JRB)が人工芝メー カーに向けた仕様書を作成し,各国に使用許可の 適用方法を通達するという経過があった。1)  2000 年に日本に導入されて以来,急速に拡大 しているロングパイル人工芝は,導入当初は緩や かな増加にすぎなかったが,2010 年には約 1,130 施設以上の施設で使用されている(図 1)。  ロングパイル人工芝増加の普及の要因として は,天然芝と比べたときの維持管理費の軽減,天 候に左右されないこと,メンテナンスが容易なこ と,などの多くのメリットが挙げられる。  一方,問題点として,「夏季の表面温度の上昇」 があり,これによるプレーヤーの人体に与える影 響が懸念される。しかし,夏季におけるその実 態,特に東京都内におけるロングパイル人工芝の 表面温度を継続的にモニターした報告は見あたら ない。さらには,毎年,激しい暑さで熱中症対策 がなされている中で,ロングパイル人工芝の環境 下でプレーするサッカー選手の脱水の実態につい ても明らかにされていない。  そこで,本パイロット観察研究では,ロングパ イル人工芝の暑熱環境とプレーヤーの脱水との関 連を明らかにすることを目的とした。 Ⅱ.研究方法  調査は 2012 年 8 月 15 日から 10 月 26 日の期間 に,ロングパイル人工芝(以後,人工芝)を有す る東京農業大学世田谷キャンパスのグラウンドで greater than 60℃. In addition, those days when the WBGT was 31℃ or higher, which meant there should be ʻin principle cessation of exerciseʼ, accounted for about half of the total, which was greater than the observed record in Tokyo. There was a significant positive correlation between the surface temperature of the artificial turf, the WBGT, and the amount of dehydration.

  The amount of perspiration and the amount of dehydration increased as the temperature increased when exercising on the artificial turf in the summer. Therefore, it is necessary to promote heat acclimatization while monitoring the WBGT. Also, the results suggested that there is a need for more frequent hydration and for measures to prevent low-temperature burn on the soles of the feet when the temperature is high.

Key words:long pile artificial turf,surface temperature,soccer,dehydration        ロングパイル人工芝,表面温度,サッカー,脱水

(3)

実施した。雨天時は中止とし,雨天時以外は毎日 実施し,8 月に 12 回,9 月に 10 回,10 月に 8 回 の合計 30 回の測定を行った。  測定項目は,大きく分けて 3 つで,①人工芝の 表面温度,②人工芝上の 50cm と 160cm の高さ での気温・湿度・WBGT(湿球黒球温度),③体 重差(脱水量),であった。  ①人工芝の表面温度は,株式会社エーアンド デー社製の「赤外線放射温度計 AD-5671」を用い, 3 回連続して測定してその平均値を採用した。② 人工芝上の 50cm と 160cm の高さでの気温・湿 度・WBGT(湿球黒球温度)では,株式会社エー アンドデー「熱中症指数モニターAD-5693」を用 いた。人工芝上方の 50cm と 160cm の高さで,1 分間測定器を静止させて測定した。①と②の測定 は,毎回,午前 11 時 30 分に測定を行った。③の 脱水量の指標としての体重差は,東京農業大学 サッカー部の男子選手 20 名に協力を依頼し,練 習開始直前と練習終了直後に 50g まで測定可能 な精密体重計(株式会社タニタ社製,「デジタル 体重計 WB150」)を用いて測定し,その差を単純 に脱水量の指標とした。この測定では,着衣の重 さを考慮し,上半身は裸で,裸足にて統一して測 定した。また,練習中の水分摂取は,平素の練習 どおり,各自自由とした。練習時間は,午後 0 時 から 2 時までの 2 時間であった。練習内容は日に よって異なっていた。  また,本学における気温と WBGT を,参考値 として東京都の観測データと比較するために,気 温は気象庁2)が同日の 11 時 30 分時に東京都で測 定した記録,WBGT は環境省3)が同日の 12 時 00 分時に東京都で測定した記録を採用した。  統計分析として,各平均値や度数による基本統 計量と,脱水量と気温・WBGT との単相関係数 (決定係数)を算出した。分析ソフトは,エクセ ル 2010 を用いた。  なお,倫理面への配慮として,サッカー選手に は,秘匿性やデータの活用方法を入念に説明した 上で協力を得た。当部は,選手のコンディショニ ングのために,従来から体重測定を毎日実施し て,そのデータを活用していることから,上述を 遵守することで選手に還元するために有効活用す ることには問題は生じないと考えた。 Ⅲ.結果 1.表面温度  表 1 は,参加者の身体特性である。大学サッ カー選手としては,ほぼ平均的な身長・体重・ BMI であった。  図 2 は,8 月から 10 月までの計 30 回測定した 表面温度の結果である。70℃以上が 3 回,60℃~ 70℃未満が 12 回,50℃~60℃未満が 6 回,40℃ ~50℃未満が 5 回,30℃~40℃未満が 3 回,20℃ ~30℃未 満 が 1 回 と, 測 定 の 半 分(15 回 ) は 60℃以上を記録した。最高温度は 71.2℃,最低温 度は 28.4℃,平均温度は 56.0℃とであった。 表 1 参加者の身体特性*

ID 身長(cm) 体重(kg) Body Mass Index A 174.0 65.5 21.6 B 173.0 70.4 23.5 C 176.0 69.7 22.5 D 175.0 67.4 22.0 E 169.0 63.4 22.2 F 172.0 62.2 21.0 G 161.0 60.9 23.5 H 173.0 72.6 24.3 I 179.0 70.0 21.8 J 164.0 59.3 22.0 K 169.0 57.3 20.1 L 183.0 70.6 21.1 M 170.0 56.5 19.5 N 178.0 63.5 20.0 O 163.0 55.5 20.9 P 183.0 70.7 21.1 Q 174.0 61.6 20.3 R 172.0 58.8 19.9 S 173.0 63.2 21.1 T 177.0 61.1 19.5 平均 172.9 64.0 21.4 * 東京農業大学サッカー部の 20-22 歳男子

(4)

 月別に結果を見ると,8 月の測定回数は 12 回。 最高温度は 71.2℃,最低温度は 52.3℃,平均温度 64.6℃という結果となった。12 回中 3 回が 70℃ 以上,7 回が 60℃~70℃未満,2 回が 50℃~60℃ 未満という高い温度が記録された。  月別で平均表面温度を見ると,8 月は 64.6℃, 9 月は 56.3℃,10 月は 42.7℃,平均温度は 56℃ という結果となった。このことから,夏季の表面 温度の高さが極めて高温であることが明確となっ た。 2.人工芝上と東京都の気温の比較  図 3 は,人工芝上と東京都の気温の比較の結果 である。人工芝上での気温の方が明らかに高かっ た。東京都の温度が,人工芝上の温度を上回った 記録は 1 度だけ(10 回目の記録)であった。8 月 の人工芝上と東京都の気温の比較では,それぞれ の最高気温は,41.2℃(50cm),39.5℃(160cm), 34.1℃(東京都)と記録され,最低気温は 30.7℃ 10 月別の平均表面温度

(5)

(50cm),31.2℃(160cm),31℃(東京都)とい う結果となった。人工芝上では 35℃以上を両高 さともに 9 回記録し,50cm では 40℃以上を 2 回 記録した。東京都でも,すべての記録で 30℃以 上となったが,35℃以上は 1 回も記録されず,人 工芝上より気温が高い日も 1 回しか記録されな かった(10 回目の記録)。  8 月 の 平 均 気 温 の 比 較 で は, 人 工 芝 上 で は 36.2℃(50cm),36.5℃(160cm), 東 京 都 で は 32.5℃と約 4℃差で,人工芝上での気温の方が高 い結果となった。人工芝上の結果を比較すると, わずかな差だが 160cm の方が約 0.3℃高い気温で あった。  9 月の人工芝上と東京都の気温の比較を見る と,それぞれ最高気温は 36℃(50cm),38.5℃ (160cm),32.4℃(東京都)であった。人工芝 上 で は 9 月 で も 35 ℃ 以 上 が 3 回(50cm),6 回(160cm)記録された。最低気温では 26.9℃ (50cm),27.5℃(160cm),21.1℃( 東 京 都 ) と 20℃台が記録された。東京都では 4 回 20℃台が 記録されたが,人工芝上(50cm,160cm)では 共に 2 回,それも 30℃よりの気温であった。  9 月の平均気温の比較でも,東京都と人工芝上 との気温差は約 4~5℃差と,人工芝上の方が高 い気温が記録された。また人工芝上では,33℃ (50cm),34.1℃(160cm)と約 1.1℃ 160cm の方 が高い温度であった。東京都では 9 月になり平 均温度が 29.1℃と 20℃台という結果となったが, 人工芝上では平均温度 33℃以上と 9 月も 30℃以 上の結果となった。  10 月の人工芝上と東京都の気温の比較を見る と,東京都が 20℃前後の気温に対し,人工芝上 では 30℃以上を記録する結果となった。10 月 2 日には,東京都と人工芝上において,約 12℃差 都と

(6)

も気温差が離れる結果となった。  各月いずれにしても,人工芝上での気温は,東 京の値よりも明らかに高いことが明らかとなっ た。 3.人工芝上と東京都の湿度の比較  図 4 は,人工芝上と東京都の湿度の比較であ る。測定 30 回中 19 回は,人工芝上よりも東京都 の方が高い湿度であった。8 月の比較(1-12 回 目)を見ると,測定 12 回中 9 回が,東京での湿 度が高い結果となっていた。人工芝上(50cm, 160cm)を比較すると,50 ㎝の方が,8 回 160 ㎝ に比べ高い湿度であった。人工芝上ではあまり差 は出なかったが,東京都と人工芝上での湿度の差 は,大きく離れることが何度かあった。1 回目の 記録では,東京都と人工芝上で約 25%と 1 番差 があった。 4.人工芝上と東京都の WBGT の比較  図 5 は,2012 年 8 月 16 日から 9 月 29 日まで, 計 22 回測定した人工芝上と東京都の WBGT の 比較の結果である。気温と同様に WBGT も,東 京都の温度よりも人工芝上での温度の方が高い 結果となった。WBGT では,22 回の測定におい て,すべて人工芝上の温度の方が高い結果となっ た。  8 月 の 最 高 温 度 は 34.3 ℃(50cm),34.1 ℃ (160cm),30.7℃(東京都)と,人工芝上では 0.2℃差しか差がなかったが,人工芝上と東京都 では,最高温度差約 3.5℃差もあった。また,東 京都では,測定 12 回中 3 回が,30℃以上と記録 されたが,人工芝上では,11 回が 30℃以上と, 東京都より明らかに高い結果となった。  9 月の比較においては,東京都では,30℃以 上を 1 度も記録されなかったが,人工芝上では,

(7)

測定 10 回中 7 回が 30℃以上と記録された。最 高 温 度 差 を 比 較 す る と 31.4℃(50cm),32.9℃ (160cm),29.2℃(東京都)と,人工芝上と東京 都では約 3℃差,人工芝上が高く,人工芝上での 比較では,約 1.5℃差,160cm の方が高い温度と なった。  9 月の比較では,30.1℃と 160cm の平均 WBGT が 1 番高く,東京都とは,約 3.7℃差があった。  日本体育協会(2006)の熱中症予防のための 運動指針4)では,31℃以上は「運動は原則中止」, 28~31℃は「厳重警戒」,25~28℃は「警戒」,21 ~25℃は「注意」,21℃以下は「ほぼ安全」と 定めている。この運動に関する指針に,人工芝 上(50cm,160cm)と東京都の WBGT をまとめ た測定結果が,表 2 である。測定 22 回中,9 回 (50cm),15 回(160cm),0 回(東京都)と,人 工芝上では,「運動は原則中止」の暑熱レベルを 多く示す結果となった。「厳重警戒」レベルにも 表 2 WBGT で 31℃(運動は原則)を超えた日数 * 観測地 運動は原則中止(31℃以上) (28~31℃)厳重警戒 (25~28℃)警戒 (21~25℃)注意 (21℃未満)ほぼ安全 高さ 50cm 9 回 11 回 1 回 1 回 0 回 高さ 160cm 15 回 5 回 1 回 1 回 0 回 東京都 0 回 16 回 3 回 2 回 1 回 * 8 月と 9 月の 22 日間の結果

(8)

11 回(50cm),5 回(160cm),16 回(東京都)と, 夏季の人工芝上での運動が非常に危険であること が明らかとなった。 5.運動前後の体重差(脱水量)  図 6 は,運動前後の体重差を月ごとに平均し た図である。8 月平均では 1.16kg,9 月平均では 1.12kg,10 月平均では 1.03kg であった。これは, エネルギー消費量も含め,1 回の練習で約 1kg も 体重が減少していたことを意味している。  図 7 は,表面温度と体重差との相関である。決 定係数 R2= 0.398(p < 0.05)で有意な正な相関 が見られ,表面温度が高いほど発汗量が増加し, 体重差(脱水量)が高くなったことを示している。 図 8 は,WBGT(160cm での測定記録)と体重 差との相関である。R2= 0.410(p < 0.05)で有 意な正の相関が見られ,WBGT 温度が高いほど, 体重差(脱水量)が高くなったことを示している。 Ⅳ.考察  本研究は,夏季における人工芝環境の実態を明 らかにし,その中でプレーする大学サッカー選手 の体重差から推定される脱水量がかなり大きいこ とを見出すことができた。人工芝の表面温度およ び WBGT と脱水量とは,有意なやや高い正の相 関を明らかにすることができた。さらに,表面温 度は極めて高く,夏季日中では連日 60℃以上と なっており,足底部の低温やけどや擦過傷の危険 性も著しく高いことを示すことができた諸点が成 果であった。  人工芝上の暑熱環境は,東京都と比較した場 合,平均気温値は約 5℃差,平均 WBGT 値は約 3℃差,と明らかに人工芝上の温度の方が高温で あることが確認された。特に 8 月の WBGT の平 均値は 31.9℃(50cm)と 31.7℃(160cm)と「運 動は原則中止」の暑熱レベルを示していたが,東 京都のではそれに達する日は 1 日だけであった。 このように,人工芝上では,天気予報などで報告 されている値よりも高いことを想定して練習を行 う必要があることが示された。  わざわざ昼間の暑い時間帯に練習を行わずに朝 晩の涼しい時間帯に行えば熱中症を回避できると

(9)

考えられがちだが,現実には中学校や高校のサッ カー大会や大学生のサッカーの試合は,夏季の昼 間の時間帯に実施されており,その過酷な暑熱環 境に慣れるべく,暑熱順化が求められている実情 がある。また,大学によっては,複数の部活でグ ラウンドを使用するために練習時間帯の調整が難 しい状況もあると考えられる。最終的には,大会 時期・期間や時間帯の見直しも必要となるだろう。  しかし,現実的な対策としては,1)ミネラル を含む水分補給をより頻繁に行うこと,2)日陰 で間歇的に休息をする,3)休息の間に頭部や首 や腋下などの動脈が皮膚表面に近い部位を冷却す る,などで対処しているのが,ほとんどだと考え られる。さらには,足底のケアも必要であるこ とも重要事項であることが明らかになった。実際 に,当部員は,練習直後に足裏の火照りを和らげ るために,裸足になり水道水を流し続けて対処し ていた。スパイクを履いていても,長時間の練習 では,足底はかなりの温度に達していることが推 測され,低温やけどを予防する対策,例えば靴の 改良なども新たなリサーチ・クエスチョンとなっ た。また,夏季の人工芝上の練習中の転倒やスラ イディングによる擦過傷の実態把握も,新たなス ポーツ傷害の予防の視点として重要だと考えられ た。  本研究には,いくつかの限界がある。まず,気 温・湿度・WBGT の測定位置を 50cm(膝付近) と 160cm(顔付近)に設定したが,160cm の高 さの方が 50cm よりも温度が高い傾向にあった。 この理由は不明であるが,測定に伴う系統誤差が 考えられる。次に,脱水量を単純に練習前後の体 重差としているが,活動に伴うグリコーゲンや脂 肪の減少や筋の損傷による減少も関与している。 この点を間接的に評価できていない点も,本研究 の弱点である。さらには,風力や湿度の影響もあ り,そのことの議論ができていないが,今後の研 究課題としたい。 Ⅴ.結論  東京の夏季における日中の人工芝の表面温度 は 60℃を超えることがほとんどであり,また, WGBT も 31℃以上である「運動は原則中止」と する日が約半分を占めた。人工芝の表面温度お よび WBGT と脱水量は,有意な正の相関関係が あった。したがって,夏季に人工芝で運動を行う 場合には,温度が高いほど発汗量が増加し,脱水 量が多くなるので,WBGT をモニターしながら, 暑熱順化を進める必要がある。また,それらが高 い場合には,より水分補給を頻繁に促すととも に,足底の低温やけどを防ぐための対策が必要で あることが示された。 ●参考文献 1) 株式会社体育施設出版ホームページ.月間体育 施設 2008 年増刊号ロングパイル人工芝特集号 〈http://www.taiiku.co.jp/cgi/master/master.cgi?id =478&mode=rev&type=master〉.参照 2012-12-10 2) 気象庁ホームページ. 〈http://www.jma.go.jp/jp/yoho/〉.参照 2013-01-10 3) 環境省ホームページ. 〈http://www.env.go.jp/index.html〉.参照 2013-01-10 4) 公益財団法人日本体育協会ホームページ.熱中 症を防ごう. 〈http://www.japan-sports.or.jp/medicine/ tabid/523/Default.aspx〉.参照 2012-12-15 ●付記  本研究は,平成 24 年度日本学術振興会「科学 研究費助成事業(学術研究助成基金助成金 基盤 研究(C))「レクリエーションへの教育・健康 増進効果に関するエビデンスとフィージビリティ (研究代表者:上岡洋晴,課題番号 23500817)」 の一部として実施した。  また,東京農業大学地域環境科学部造園科学科 の平成 24 年度卒業論文「ロングパイル人工芝グ ラウンドにおける暑熱環境とプレーヤーの脱水と の関係:サッカーの練習に着目して」濱口雄悟の 一部として投稿しました。この場をお借りして, 測定にご協力いただいた東京農業大学サッカー部 の関係各位に感謝の意を表します。過酷な暑熱環 境下での健康管理をしっかりとしていただき,選 手と部の競技力の益々の向上・発展を祈念いたし ます。

参照

関連したドキュメント

Let X be a smooth projective variety defined over an algebraically closed field k of positive characteristic.. By our assumption the image of f contains

First, the theory characterizes the category of sets and mappings as an abstract category in the sense that any model for the axioms which satisfies the additional (non-elementary)

We show that a discrete fixed point theorem of Eilenberg is equivalent to the restriction of the contraction principle to the class of non-Archimedean bounded metric spaces.. We

Keywords: continuous time random walk, Brownian motion, collision time, skew Young tableaux, tandem queue.. AMS 2000 Subject Classification: Primary:

Related to this, we examine the modular theory for positive projections from a von Neumann algebra onto a Jordan image of another von Neumann alge- bra, and use such projections

It turns out that the symbol which is defined in a probabilistic way coincides with the analytic (in the sense of pseudo-differential operators) symbol for the class of Feller

We give a Dehn–Nielsen type theorem for the homology cobordism group of homol- ogy cylinders by considering its action on the acyclic closure, which was defined by Levine in [12]

While conducting an experiment regarding fetal move- ments as a result of Pulsed Wave Doppler (PWD) ultrasound, [8] we encountered the severe artifacts in the acquired image2.