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短期大学におけるコンピテンスの育成とその評価について

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Academic year: 2021

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要旨  平成 28 年度「大学教育再生加速プログラム」に採択された本学の補助事業は,コンピテンス(汎用的能 力)の育成を柱とする。昨年度,本学の教育を通して育成すべきコア・コンピテンスを選定するとともに, 各科目におけるコンピテンス育成の評価を共通化するため,ルーブリックを作成した。  今年度,当該科目について知識の定着を促すだけでなく,コンピテンスも育成しようとする取組の導入プ ロセスにおいて,学生と教員の双方がコンピテンスに着目した学習成果を得ようと意識を高めていることが 成果として現れ始めている。他方で,コンピテンス育成に対する捉え方や姿勢について,全教員が一様であ るとは言い難く,目標を共有し,共通認識のもと,コンピテンスの育成を充実化させていくことなどが課題 として浮き彫りになった。 キーワード:コンピテンス,ルーブリック,ディプロマ・サプリメント

Ⅰ.はじめに

 平成 28 年度「大学教育再生加速プログラム」に採 択された本学の補助事業は,コンピテンス(汎用的能 力)の育成を柱として学習成果を可視化し,学生が自 分の成長を把握しながら主体的に学習を進める環境を 整備するとともに,卒業時における質保証を図ること を目的とする。  昨年度は,本学の教育を通して育成すべきコア・コ ンピテンスを抽出するとともに,各科目におけるコ ア・コンピテンス育成の評価を共通化するため,達成 すべき目標を段階的に整理したルーブリックを作成し た。このルーブリックを用いた評価をもとに,「ディ プロマ・サプリメント」(学位証書補足資料)を発行 し,当該学生のパフォーマンスを企業や社会に提示す る仕組みを構築する。  本研究では,コア・コンピテンスの育成とルーブ リックによる評価に焦点を当て,本学の取組における 具体的な成果と課題について明らかにする。

Ⅱ.育成すべきコンピテンスの抽出

1.コンピテンス育成の取組  本学では,コンピテンスの育成を図る教育手法を積 極的に取り入れてきた。なかでも,平成 21 年度教育 GP に選定された『メモ力育成を核とした単位制度実 質化の取組』の一部である「出席レポート」は,コン ピテンス育成においても効果が示されている1)  本学のカリキュラムには簿記,パソコン,経済など のビジネス系の科目のほか,医療事務,図書館司書, ファッションビジネス,ブライダルなど,16 フィー ルドの多彩な科目が揃っている。この中で“経済・金 融”,“経営・法律”の科目群には,重点的に学ぶよう に促している「選択必修科目」がある。「選択必修科 目」は,6 科目中 3 科目以上の単位取得が卒業要件と なっている。先に述べた「出席レポート」は,この 「選択必修科目」での継続的な取組である。  「出席レポート」とは,毎回の授業で課し,次の授 業で出欠を兼ねて提出させるレポートのことで,通常 のレポートと区別している。学生は授業中,メモを取

短期大学におけるコンピテンス

の育成とその評価について

The Journal of Economic Education No.37, September, 2018

On development and evaluation of competence in junior college

KANEKO, Noko 金子 能呼(松本大学松商短期大学部)

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り,そのメモをもとに「出席レポート」を作成する。 学生が提出した「出席レポート」は,教員が添削し, 評価とコメントを書き入れ,翌週の授業中に返却する。 この「出席レポート」により,教員は学生の理解度を 把握し,授業内容や授業展開を学生の理解状況に応じ たものに改善することができる。  学生は「出席レポート」に質問や感想なども記入す るため,教員は無機質に添削するのではなく,個別に 解説や説明を加えたり,アドバイスや励ましの言葉を 記して返却する。「出席レポート」を介して学生一人 ひとりに対して学習をサポートするとともに,教員と 学生による双方向型学習の構築を可能にしている。 「出席レポート」の教育効果として,①メモ力の強化, ②学習時間の増加,③授業内容の理解,④知識の定着, そして⑤コンピテンスの育成があげられる2)  担当科目である「マーケティングの基礎」は,「選 択必修科目」であり,平成 21 年度より「出席レポー ト」を導入したところ,学生の受講態度に変化が見ら れた。「出席レポート」を作成するために必要なメモ を取るため,とりわけ授業中の集中力,傾聴力の向上 が著しい。  授業外学習時間は,アンケート調査の結果によると, 学生は平均して週に 2 時間以上,最長では週に 8 時間 以上を確保している。また,メモを取るだけでなく, レポートにまとめ直すことによって理解が深まり,知 識が身につくことは,学生自身が実感していることが わかった。「出席レポート」は,学生に対して負荷を かけることに他ならない。とはいえ,時間を費やし, 負担感も大きくなるはずの学生ほど,授業に対する満 足感が大きい3)  「選択必修科目」の科目特性はもちろん,授業を通 じて育成するコンピテンスも,「出席レポート」の内 容や作成方法も異なる。よって,学生が鍛えられてい ると実感するコンピテンスもまた,科目ごとに違う4) 2.コア・コンピテンスの抽出  コンピテンスの育成を柱とする AP 補助事業では, 全学共通で育成すべきコア・コンピテンスを明確化す るために,指標作成委員会が組織された。  指標作成委員会では,本学でこれまで取り組んでき たコンピテンス育成の成果を見直すとともに,本学の 学生に足りない力,身につけさせたい力などについて, 多面的な視点から検討した。同時に視察などを通して, 他大学の取組についても情報を収集し,議論を重ねた。  また,これまでに実施した卒業生及び卒業生の就職 先である企業を対象とした,アンケート調査結果につ いての分析も加えた。さらには昨年度も同様のアン ケート調査を実施し,企業が求める具体的な能力を明 らかにしようと試みた。  図 1 が昨年度実施したアンケート調査の結果である。 企業に対するアンケート調査(過去 10 年間に本学卒 業生の採用実績がある 600 社を対象とし,うち 137 社 から回答を得た)では,企業が求める能力と,本学の 卒業生に対する評価を比較することができる。  この中で,企業が求める以上の能力を,本学の卒業 生が有していることが示されるのは,「パソコンの操 作能力」のみである。また,企業の求める能力と本学 の卒業生の能力が同程度とみなされるのは,「経理・ 会計の知識や資格」のみである。以上の 2 項目以外は, 企業が求めるレベルに,本学卒業生の能力が達してい ないことを示唆している。さらに言えば,この 2 項目 についても,企業が求める能力として,相対的に重要 度が高いとは言えない。  企業が求めているのは,「コミュニケーション能力」, 「行動力・実行力」,「積極性・主体性」,「協調性」, 「責任感」,「忍耐力」などである。「コミュニケーショ ン能力」は,本学の卒業生を対象としたアンケート結 果(卒業後 1 年,3 年,5 年経過者 603 人を対象とし, 49 名から回答を得た)から読み取れるように,必要 とする卒業生の人数がもっとも多い。  「積極性・主体性」,「コミュニケーション能力」, 「行動力・実行力」などについては,企業が社員に求 める能力の平均点と,本学卒業生に対する評価の平均 点との乖離がとりわけ大きいため,重点的に育成すべ きコンピテンスであることが確認された。  最終的に,本学のカリキュラムポリシー,各科目の 科目特性や学習到達目標なども踏まえ,本学で育成す べきコア・コンピテンスを,「情報リテラシー」,「論 理的思考力」,「コミュニケーション力」,「課題解決能 力」,「チームで働く力」の 5 つに絞り込み,それぞれ のキーワードを提示した。  これについて,企業関係者と高校関係者で構成され る「外部評価委員会」に諮り,外部評価委員の意見を 参考に,改善を加えて完成させたのが「コンピテンス 表」(図 2)である。これが事業推進の主体となる 「AP 実施委員会」で承認され,併せて FD・SD 活動 等を通して教職員間の共通理解が促された。

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図 1 企業および卒業生アンケート結果 5 4 3 2 40 30 20 10 0 (平均点) 社員に求めえる能力 本学学生の評価 社会に出て必要と感じた(卒業生) (人) 基礎学力 ( 一 般常識や教養 ) 経理 ・ 会計 の 知識や資格 高度な専門知識や技術 語学力 情報 の 管理 ・ 処理能力 パ ソ コ ン の 操作能力 事務処理能力 論理的思考 判断力 傾聴力 表現力 コ ミ ュ ニケ ー シ ョ ン 能力 課題発見 ・ 解決能力 創造力 ・ 企画力 行動力 ・ 実行力 柔軟性 ・ 発想力 リ ー ダ ー シ ッ プ 積極性 ・ 主体性 協調性 セル フ マ ネジ メン ト ビ ジ ネス マ ナ ー 責任感 忍耐力 ホス ピ タ リ テ ィ 精神 向上 心 ・ 探究 心 情報リテラシー 論理的 思考力 課題解決 能力 チームで働く力 コミュ ニケー ション 力 図 2 コンピテンス表 情報リテラシー 知識や技能を相互に関連させながら習得する力,情報を収集する力,情報を 管理・整理・加工する力,習得した知識や技能の活用・応用力など 読解力,要約力,根拠に基づいた論知的な思考力,クリティカル・シンキング, 判断力,結論を導く力など 論理的思考力 傾聴力,質問力,伝える力,表現力,プレゼンテーション力,議論する力, 分かり合う力など コミュニケーション力 課題探求・発見力 , 目標設定 , 課題分析力 , 調査能力 , 考え抜く力 , 計画実行力 , 行動力 , 想像力 , 発想力 , 柔軟性 , チャレンジ精神など 課題解決能力 リーダーシップ , 積極性 , 主体性 , 強調性 , 共感力 , セルフマネジメント , スト レスコントロール , 規範遵守 , 役割認識 , 責任感 , 忍耐力 , 状況把握力 , 適応力 , 達成志向 , ホスピタリティ精神など チームで働く力

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Ⅲ.ルーブリックを用いた評価方法

 コア・コンピテンスの達成目標を明確化したものが 「ルーブリック」であり,これを活用することにより コア・コンピテンスの育成に対する評価の共通化を図 ることができる。「ルーブリック」は,絶対評価の “ものさし”となり得る。そのため,現実や実情に即 した実用性と汎用性,そして客観的な視点からの公平 性と透明性などを重要視し,指標作成委員会において 修正を加えながら,慎重に本学のコンピテンス育成に 適した「ルーブリック」を作成した(表 1 参照)。  学生は,ルーブリックに基づく評価を確認すること で,自らのコンピテンスについて状況を把握すること ができる。そして次期に履修する科目の選択に役立て ることもできる。  教員はコンピテンス表を基に,担当科目で育成する コア・コンピテンスを選択し,シラバスに明記する。 併せて科目一覧表にそのコア・コンピテンスを記載し た「コンピテンス配分表」を,学生に配布している。  これにより,シラバスと「コンピテンス配分表」を 活用し,コンピテンス育成についての説明や指導を加 えながら,学生の履修相談に乗ることが可能になった。  コンピテンスの評価は,従来の成績評価とは別に行 うもので,従来の「成績表」に加えて,「ディプロ マ・サプリメント」(学位証書補足資料)を発行する。 そのため,ルーブリックの活用に向けて,FD・SD 活 動において研修等の機会を設け,ルーブリック評価の 共通化が徹底されるよう努めている。  なお,「ディプロマ・サプリメント」の形式や記載 事項についてのひな形は「AP 実施委員会」で作成し, これまでに様式をほぼ確定している(図 3 参照)。今 年度中には,学習支援システムと学内基本システム内 で,「ディプロマ・サプリメント」が作成できるよう システム改修を行う。

Ⅳ.コンピテンス育成の成果と課題

1.コンピテンス育成の取組と成果  各科目でのコンピテンス育成は,専任教員が中心と なって取り組んでおり,授業でコンピテンスを育成す る方法については,担当教員に任されている。取組を 進める中で,ルーブリック評価について理解を深める 学びの機会を得たり,FD 活動を通じて意見交換を行 いながら,それぞれが試行錯誤している状況である。  担当科目である「マーケティングの基礎」では, 「出席レポート」の取組を継続しながら,コア・コン ピテンスである「情報リテラシー」と「コミュニケー ション力」の育成を目指す。  「出席レポート」には,従来通りレポートの内容に 対する評価を記載するだけでなく,ルーブリックに基 づくコンピテンス評価も記した。それにより学生は, 毎回の「出席レポート」で自分のコンピテンス評価を 知ることができる。  この取組の成果として認識できることは未だ多くは ないが,教員がコンピテンス育成を意識することは, 授業を見直すきっかけともなり,それが授業改善に結 びつくことが期待される。また,数値化された評価を 示すことは,学生の向上心を刺激する効果がある。 「出席レポート」を活用したコンピテンス育成では, 回数を重ねるごとに評価の平均値が高くなっているこ とがわかり5),手応えを得ることもできた。 2.コンピテンス育成の取組を通じて明確化し た課題  コンピテンス育成を実践に移す中で,来年度に向け て浮き彫りになった課題は以下の通りである。  第 1 に,現状ではコンピテンス育成に対する捉え方 や姿勢が教員によって異なり,足並みを揃えた取組に なっているとは言い難い。また,今年度は全科目中, コンピテンスを育成する科目は 3 分の 1 程度に留まっ ている。今年度の成果などについて意見交換する場や, コンピテンス育成の意義を再認識する機会を設けるな どして,共通認識のもと,コンピテンス育成を全学的 な取組として充実化させていくことが求められる。  第 2 に,コンピテンス育成の評価に示される教員間 の格差があげられる。これについては,ルーブリック を用いた評価手法が定着していないことが要因である と考えられる。しかしながら,評価が適切かつ公平に なされなければ,コンピテンス育成の取組が学生に不 利益を与えたり,ディプロマ・サプリメントの有効性 が失われることになろう。  ルーブリック評価をするためには,評価課題に対す るパフォーマンスを観察する必要がある。その方法は 多様であるが,各教員が科目に沿ったやり方を模索中 である。教員同士で情報交換を行ったり,先進事例を 学ぶ機会などを得ることが対応策となろう。  第 3 に,コンピテンス育成の取組について学生の理 解を促し,コンピテンス育成の意識づけをする必要が ある。5 つのコア・コンピテンスは,入学時から卒業 時までに向上,強化されることが望ましい。そのため

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表 1 コア・コンピテンスとルーブリック評価 ○情報リテラシー 必要な情報を収集し,取捨選択した上で,適切に活用することができる 1 2 3 4 5 必 要 な 情 報 を, 指示にしたがっ て集めることが できる。 必 要 な 情 報 を, 技術を駆使する など,目的に応 じた方法で集め る こ と が で き る。 必 要 な 情 報 を, 技術を駆使する とともに,目的 に応じて複数の 方法で集め,活 用することがで きる。 必要な情報を,技術を駆使す るとともに,目的に応じて複 数の方法で集め,取捨選択し た上で情報処理,分析を行 い,適切に活用することがで きる。 必要な情報を,技術を駆使するととも に,目的に応じて複数の方法で工夫し て集め,信頼性が高い情報を精査する など取捨選択した上で,主体性により 効果的な手法を探求し,情報処理,分 析を行い,適切に活用し,独自の見解 を加えて発信することができる。 ○論理的思考力 本質を理解し,根拠に基づき考え,明確に説明することができる 1 2 3 4 5 事 象 を 整 理 し, 理解しようとす る こ と が で き る。 事 象 を 整 理 し, 理 解 し た 上 で, 考えをまとめる ことができる。 事 象 を 整 理 し, 本質を理解した 上で考えをまと め,説明するこ とができる。 事象を整理し,本質を理解し た上で,根拠に基づいて考え をまとめ,筋道を立てて明確 に説明することができる。 事象を整理し,本質を理解した上で, 多角的な視点を持ちながら,主体的か つ客観的に判断し,根拠に基づいた結 論を導き出すことができる。それにつ いて,理解を得られるよう,筋道を立 てて明確に説明することができる。 ○コミュニケーション力 他者を尊重し,相互理解しようと努め,関係を分かち合うことができる 1 2 3 4 5 受容的態度で相 手の意見を聴き, 理解しようと努 力することがで きる。 受容的態度で相 手の意見を聴き, 正 し く 理 解 し, 自分の意見を伝 えることができ る。 受容的態度で相 手の意見を聴き, 正 し く 理 解 し, 自分の意見を伝 えることができ る。相互理解に 努めることがで きる。 受容的態度で相手の意見を聴 き,正しく理解し,自分の意 見を伝えることができる。相 手を尊重し,相互理解に努め, 議論や発表の場でもそれを発 揮することができる。 受容的態度で相手の意見を聴き,相 手の意見を人物理解や状況把握にも 繫がるように傾聴し,正しく理解す ることができる。また,自分の意見 を円滑に伝えようと工夫することが できる。相手を尊重し,相互理解に 努め,自分とは異なる意見を持つ相 手との議論や,発表の場でもそれを 主体的に発揮することができる。 ○課題解決能力 課題を発見し,解決に向けて計画を立て,実行に移すことができる 1 2 3 4 5 現状と目標を把 握し,問題を見 つけ出そうとす る こ と が で き る。 現状と目標を把 握し,解決すべ き 課 題 を 発 見 し,解決策を考 えることができ る。 現状と目標を把 握し,解決すべ き 課 題 を 発 見 し,解決策を考 え,示すことが できる。 現状と目標を把握し,解決す べき課題を発見し,柔軟で多 角的な考え方で解決策を導き 出し,計画・実行に移すこと ができる。 現状と目標を把握し,解決すべき課題 を発見し,柔軟で多角的な考え方で解 決策を導き出すことができる。また, 解決に向けて主体的に目的と目標を設 定し,それを達成するための具体的か つ最適な方法を選び,計画を立て,着 実に実行することができる。 ○チーム力で働く力 共通の目標を達成するために,自分の役割を意識し,責任感を持って行動することができる 1 2 3 4 5 共通の目標を理 解し,作業や行 動に加わること ができる。 共通の目標を理 解し,達成する ために協調性を 持って行動する ことができる。 共通の目標を理 解し,達成する ために自分の役 割を意識し,協 調性と責任感を 持って行動する ことができる。 共通の目標を理解し,達成す るために自分の役割を意識 し,協調性と責任感を持って 行動することができる。状況 に応じて臨機応変に対応する こともできる。 共通の目標を理解し,達成するために 自分の役割を意識し,協調性と責任感 を持って,主体的に行動することがで きる。常に客観的な視点から状況把握 に努め,臨機応変に対応することもで き,多様性を有する集団の中でも,信 頼関係を構築・維持しながら,目標達 成に貢献することができる。

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には,学生に対して具体的に何をすればよいかを明示 したり,学生のモチベーションを上げ,維持できるよ うな工夫をすべきであろう。  第 4 に,授業改善の課題があげられる。コンピテン ス育成の取組では,パフォーマンスを見るための評価 課題として,レポートや課題などを提出させたり,新 たにグループディスカッション,グループワーク,意 見発表を取り入れるなど,授業の内容や進め方を変え ることが検討課題となる。コンピテンス育成の取組は, 授業改善と歩調を合わせて進めるべきである。

Ⅴ.おわりに

 本学の AP 補助事業は,全学共通の評価基準を作成 し,学生に対して育成すべきコンピテンスを確認させ, 主体的・能動的な学習を通して卒業時にその成果を確 認できる仕組みを構築することを目指す。  緒についたばかりの取組であるが,すでに課題が明 らかになってきた。来年度からは,本 AP 事業に非常 勤講師も順次加わることになるため,新たな課題が表 面化する可能性もある。  本学が抱える課題に対しては,ルーブリックを活用 した教育を展開している大学関係者 2 名が委員に加わ り,外部評価委員会の体制が強化されることから,解 決の方策を見出す場として機能することが期待される。  他方で,学生に寄り添ったコンピテンス育成を実現 するためには,個々の教員による創意工夫に加え, FD・SD 活動などを活発化し,教員が研鑽を積むこと が不可欠となろう。 註 1) 「出席レポート」については,経済教育学会第 26 回全国 大会(2010 年)で報告し,同学会誌『経済教育』で報告 内容を発表している。「出席レポート」は,添削や返却に 時間がかかるなど課題も指摘されるが,コンピテンス育 成を促す授業展開を可能にしていることが確認された (参考文献[1])。 2) 「出席レポート」の効果については,経済教育学会第 27 回全国大会(2011 年)において報告し,同学会誌『経済 教育』で報告内容を発表している(参考文献[2])。 3) 「出席レポート」の取組に対する学生の個人差を明確化し, 個々の学生の成績と授業への満足度との相関を分析した。 「出席レポート」の作成に費やす時間が長い学生ほど成績 が高くなるのは当然のこととして,負荷が大きいにも関 わらず,授業の満足度が高いことが明らかになった(参 考文献[3])。 4) 「出席レポート」の取組を実施している「選択必修科目」 の,科目によって学生が得られる教育効果やコンピテン スが異なることを,アンケート調査によって明らかにし た(参考文献[4])。経済教育学会第第 29 回全国大会 (2013 年)で報告し,同学会誌『経済教育』などで報告内 容を発表したように,「出席レポート」の取り組みでは, 担当教員がそれぞれにおいて異なるコンピテンスを育成 しようと試みているため,学生は複数科目を受講するこ とにより幅広いコンピテンスを鍛えることが可能になる (参考文献[5])。 5) コンピテンス評価の平均を算出し,「出席レポート」提出 の初回と最終回とを比較すると,「情報リテラシー」につ いては商学科 1.99 から 2.07,経営情報学科 2.03 から 2.14, 「コミュニケーション力」については商学科 1.57 から 2.12 に,経営情報学科 1.67 から 2.07 にと,それぞれ向上が示 されていた。 参考文献 [1] 金子能呼・飯塚徹・糸井重夫(2011)『「出席レポート」 を活用した「就業力」と「学士力」向上への取り組み』 経済教育』第 30 号 pp.147-154 [2] 金子能呼(2012)『「出席レポート」の効果に関する一考 察』『経済教育』第 31 号 pp.48-53 [3] 金子能呼(2017)「授業外学習時間の確保とその効果に関 する一考察」『松本大学研究紀要』第 15 号 pp.115-122 [4] 金子能呼(2014)『「出席レポート」に関するアンケート 調査結果』『松本大学研究紀要』第 12 号 pp.125-133 [5] 金子能呼(2014)『「出席レポート」を活用したコンピテ ンスの育成』『経済教育』第 33 号 pp.92-97

図 1 企業および卒業生アンケート結果 5 4 3 2 40302010 0(平均点)社員に求めえる能力本学学生の評価社会に出て必要と感じた(卒業生) (人)基礎学力 ( 一 般常識や教養 ) 経理・会計の知識や資格 高度な専門知識や技術 語学力 情報の管理・処理能力 パソコンの操作能力 事務処理能力 論理的思考 判断力 傾聴力 表現力 コミュニケーション能力 課題発見・解決能力 創造力・企画力 行動力・実行力 柔軟性・発想力 リーダーシップ 積極性・主体性 協調性 セルフマネジメント ビジネスマナー 責任
表 1 コア・コンピテンスとルーブリック評価 ○情報リテラシー 必要な情報を収集し,取捨選択した上で,適切に活用することができる 1 2 3 4 5 必 要 な 情 報 を, 指示にしたがっ て集めることが できる。 必 要 な 情 報 を,技術を駆使するなど,目的に応じた方法で集め る こ と が で き る。 必 要 な 情 報 を,技術を駆使するとともに,目的に応じて複数の方法で集め,活用することがで きる。 必要な情報を,技術を駆使するとともに,目的に応じて複数の方法で集め,取捨選択した上で情報処理

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