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免荷式歩行器を使用し運動失調の軽減が得られたオリーブ核損傷者

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Academic year: 2021

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(1)理学療法学 第 47 巻第 1 号 49 ∼免荷式歩行器を使用し運動失調の軽減が得られたオリーブ核損傷 54 頁(2020 年). 49. 症例報告. 免荷式歩行器を使用し運動失調の軽減が得られた オリーブ核損傷者* 佐 藤 圭 祐 1)2)# 石 倉   隆 2) 末 永 正 機 3). 要旨 【目的】運動失調症状により運動調節が困難となった症例に対し,免荷式歩行器を使用し,能力の向上 をみたので報告する。【症例】30 代男性,くも膜下出血および右延髄小脳梗塞を発症し運動失調が出現。 ®. 【方法】免荷式リフト「POPO (モリトー社製)」を使用した歩行練習を実施した。POPO の歩行速度はゆっ くりとしたスピードで行った。運動失調の評価は,Scale for the Assessment and Rating of Ataxia(以下, SARA)を初回と退院時の 2 回実施した。 【結果】SARA は初回 35 点から退院時 30 点へと改善し,失調 症状の軽減を認めた。Function Independence Measure(以下,FIM)は総合で初回 54 点から退院時 68 点へ向上した。【結論】免荷式歩行器を用いた理学療法は,オリーブ核を介する運動の誤差修正を必要と しない運動が行いやすく,運動失調および運動調整の困難さを軽減させる可能性が示唆された。 キーワード 運動失調,オリーブ核,免荷式歩行器. 決め,運動プランを実行するための具体的なプログラム. はじめに. を作成し,一次運動野をはじめとする運動関連領野にそ.  オリーブ核は延髄にあるオリーブ内にあり,錐体外路. の情報を伝え,運動の開始と同時に作成された運動プロ. 系伝導路の中継核として,運動調節に関与している。運. グラムと実際の運動軌道との誤差をモニターし,誤差が. 1). 「目標軌道と実現軌道の間 動調節について道免らは ,. 少なくなる方向に運動プログラムを随時修正する学習機. の誤差は,誤差信号として下オリーブ核から小脳に伝達. 2) 能を併せもっている 。運動学習を行うためには誤差情. され,小脳の内部モデルの修正が行われる」と報告して. 報を明らかにし,運動の修正を行う必要があるが,オ. いる。また,小脳と大脳は強力な閉ループ構造をもち,. リーブ核の損傷により小脳回路網の断裂がみられると運. 小脳からの出力は,視床核を介し運動野,前頭連合野な. 動失調や運動学習障害によって,患者の Activities of. どの大脳皮質へ投射しており,大脳皮質からの出力につ. daily living(以下,ADL)に多大な影響をもたらすだけ. いては,感覚野,高次運動野,連合野を含む広範囲の領. ではなく,治療に難渋することも少なくない。. 域から橋核および下オリーブ核を経由して,各々苔状線.  運動失調に対するリハビリテーションには従来から,. 2) 維および登上線維が小脳皮質の広範囲に投射している 。. フレンケル体操,視覚誘導によるバランス練習,歩行練. さらに小脳は,筋への出力量,活動順位,活動時間等を. 習,重錘負荷や弾力包帯による圧迫等があるが,オリー. *. The Effect of Gait Training using a Walking Aid with Lift to a Patient who Had a Severe Ataxia Caused by Olive Nuclear Damage after Stroke: A Case Report 1)ちゅうざん病院沖縄ちゅうざん臨床研究センター (〒 904‒2151 沖縄県沖縄市松本 6‒2‒1) Keisuke Sato, PT: Okinawa Chuzan Clinical Research Center, Chuzan Hospital 2)大阪保健医療大学大学院保健医療学研究科 Keisuke Sato, PT, Takashi Ishikura, PT, PhD: Osaka Health Science University 3)ちゅうざん病院リハビリテーション科 Masaki Suenaga, MD: Chuzan Hospital # E-mail: keisuke.sato0815@gmail.com (受付日 2019 年 6 月 17 日/受理日 2019 年 9 月 19 日) [J-STAGE での早期公開日 2019 年 12 月 20 日]. ブ核の損傷は誤差信号の検出と内部モデルの修正が困難 となる. 3). ことから,従来の運動療法による効果が期待. ® できない。しかし,免荷式リフト「POPO (モリトー 4) 社製) 」 は,免荷により筋活動量を軽減させることが. でき,運動学習へつながる可能性があると考えられた。 なお,この改善は POPO を用いた歩行練習によって誤 差修正が少ない運動を可能とすることから得られる効果 であると推論される。  今回,POPO をオリーブ核損傷による失調症状で日常 生活動作の介助量増加と運動調節が困難となった症例に.

(2) 50. 理学療法学 第 47 巻第 1 号. 図 1 発症時頭部 CT 画像 (左右)脳底部や脳幹周囲の脳槽などに血液の貯留を認める.. 図 2 転入前の MRI T2 強調画像 (左右)小脳核の損傷は認めないものの延髄はオリーブ核を含む損傷を認めた.. 用い,運動学習から運動失調軽減に向けたリハビリテー. 下,CT)で動脈瘤の再発あり,2 回目のコイル塞栓術を. ションを実施したので報告する。. 施行。嚥下は困難との判断で胃瘻造設され,他院(2 医. 症   例. 療機関)で約 3 年の入院,訪問リハビリテーションを実 施。その後,家族の強い希望があり,発症から 1,042 日.  30 代,男性. 目に当院回復期リハビリテーション病棟へ転入となった。. 診断名. 神経放射線学的所見.  くも膜下出血(右延髄小脳梗塞合併).  発症時の CT 画像を図 1 に示す。脳底部や脳幹周囲の. 現病歴. 脳槽などに血液の貯留を認める。さらに転入前の Mag-.  X 年 Y 月に解離性椎骨動脈瘤破裂によるくも膜下出血. netic Resonance Imaging(MRI)の T2 強調画像を図 2. および右延髄小脳梗塞と診断。発症当日にコイル塞栓術. に示す。小脳核の損傷は認めないものの延髄はオリーブ. 施行。その後,意識障害遷延し人工呼吸器管理となり,. 核を含めた損傷を認めた。. 気管切開術施行後,フォロー Computed Tomography(以.

(3) 免荷式歩行器を使用し運動失調の軽減が得られたオリーブ核損傷. 51. 図 3 初期評価時の端座位および立位姿勢 左図は座位姿勢を示す.右図は POPO を用いた立位姿勢を示す.座位,立位ともに大きく 崩れ,自己にて立ち直ることは困難であった.立位では,20% 程度の免荷を行っても足関 節上に体重を移動させることは困難であった.. 理学療法初期評価. グ支持,ステップ動作は困難で,重度介助レベルであっ.  意識レベルは清明,明らかな運動麻痺は認めなかっ. た。歩行は POPO を用いた練習時においても,歩隔,. た。眩暈や嘔吐,味覚の障害はみられないものの,嚥下. 歩幅が一定せず,そのリズムも不規則であり,継ぎ足と. 障害および複視を認めた。感覚では,運動覚は正常で. なるなど,振り出し脚の接地位置が不定であった。. あった。軽度の筋力低下を認め,運動失調は企図や動作 時などの身体的,認知的課題で増強し,また,動作ス. 説明と同意. ピードに依存し増減した。運動失調により円滑に運動や.  本報告はちゅうざん病院倫理委員会(20180920181). 動作が遂行できない状態であった。運動失調の程度は. の承認を得たものであり,症例には本報告の目的と趣. SARA. 5‒8). で評価した。一般的に SARA の総合得点は. International Cooperative Ataxia Rating Scale と Barthel Index の間に高い相関性が認められている. 旨,個人情報の保護に関する説明を書面と口頭にて行い 同意を得た。. 5‒8). 。. 当該患者では SARA の結果は 35 点であり,動作を行お. 方   法. うとすると失調症状が増強するため,起居動作や端座位.  リハビリテーションは,理学療法士,作業療法士,言. 保持,立位等は自力では行えず,補助具や介助が必要な. 語聴覚士に処方された。作業療法士,言語聴覚士の治療. 状態であった。意図的にバランスを保とうとすると運動. は,自助具の設定や嚥下,摂食機能改善などが目的であ. 9). 失調が増悪するため,Berg Balance Scale(以下,BBS). り,理学療法士が目的とする運動失調の改善には関連し. は 0 点であった。セルフケアは自助具や補助具などを用. ない内容であった。. いて実施し,FIM. 10). は 54 点,運動項目は 23 点であった。.  理学療法は約 3 ヵ月間,1 日 60 ∼ 120 分実施した。.  基本動作能力は,寝返り,起き上がり動作は柵を使用. 本症例は明らかな運動麻痺がないものの,失調症状によ. し一部介助で可能であったが,柵に手や足をぶつけてし. り介助量が増大していた。まず日常生活動作を改善する. まうことがあった。また,動作スピードが早いと失調症. にあたり,失調症状の軽減が必要であった。症例は,起. 状が増強し,起居動作が困難になることがあった。なお,. 居動作時に手足を柵にぶつけてしまうことや端座位姿勢. 腹部も低緊張で,ベッド端座位姿勢および立位姿勢は大. では非対称的な姿勢であり,把持するものがあっても対. きく崩れており(図 3),座位姿勢は前傾が強く保持が. 称的な姿勢コントロールが不十分で常に介助を要してい. 困難であり,支持物がなければ,左側への傾きを大きく. た。そのため理学療法では,免荷により筋活動量を軽減. 認めていた。移乗動作は失調症状に加え,膝はロッキン. さ せ る こ と で, 誤 差 修 正 が 少 な く な る 運 動 と co-.

(4) 52. 理学療法学 第 47 巻第 1 号. 図 4 POPO を用いた歩行練習の様子 左図は左下肢の振り出し時を示す.右図は右下肢の振り出し時を示す. 免荷量は 20% とし, 後方からのアシストが必要であった.POPO の操作は理学療法士が行い, 歩行速度は運動修正の必要が少ないゆっくりとした歩行スピードで行った.. contraction が生じる運動スピードを意識した運動を反. いてわずかに向上した。起居動作等で柵を手足にぶつけ. 復して行い,運動学習を図った。具体的には,POPO を. てしまう現象は著明に軽減した。また,端座位姿勢の対. 使用した歩行練習を行った(図 4)。免荷がない状態で. 称性の改善を認め,立位,歩行時の姿勢の改善も認めた. は大きく姿勢が動揺するため,POPO を用いて動揺が生. (図 5)。理学療法開始初期は,歩行は POPO を用いた練. じないように体幹を免荷した条件で反復して両足底への. 習時においても,歩隔,歩幅が一定せず,そのリズムも. 荷重を繰り返し行った。運動失調例に対する免荷量の明. 不規則であり,継ぎ足となるなど,振り出し脚の接地位. 確な設定根拠がないため,部分免荷型トレッドミル歩行. 置が不定であったが,3 ヵ月後に至り歩隔が拡大し,継. 練習における先行研究. 11)12). を参考に初期は 20% とし,. ぎ足の頻度が減少するなど歩容の改善を認めた。. 経時的に免荷量を減少させた。POPO の操作は理学療法.  移乗動作は,継続してロッキング支持でありながらも. 士が行い,本人の足が振り出されるタイミングで前進す. ステップ動作が出現し,介助量は監視から最小介助で可. る運動調節の少ないゆっくりとした歩行スピードから開. 能となった。FIM は総合で初回 54 点から退院時 68 点,. 始し,運動失調の改善に伴った足の振り出しタイミング. 運動項目は 23 点から 35 点となり,特に食事,移乗動作. のスピードアップに応じて歩行スピードも漸増した。こ. の項目において点数が向上した。また,運動失調症状の. れらの運動は入院から退院まで継続して実施した。. 軽減に伴い,ADL での介助量軽減や本人,ご家族のリ. 理学療法経過. ハビリテーション意欲の向上,生活範囲の拡大を得るこ とができた。介入から 2 ヵ月以降には在宅で継続した練. 1.理学療法開始後 1 ヵ月. 習を行えるように訪問事業所の担当者と連携を図りなが.  症例自身や御家族からはこれまでの病院では経験して. ら,機能を維持できるように動作指導を行った。. いなかった歩行練習に満足しているという心理的な側面 はあったが,SARA および BBS の改善はなく,失調症. 考   察 13). 。. 状の程度も変化がなかった。FIM は入院時同様 54 点で.  運動失調は ADL に深く影響することが知られている. あり,ADL に関しても変化を認めなかった。この時点. 本症例は軽度の筋力低下を認めたものの,明らかな運動. での免荷量は不変であり,入院時と同様の練習を続けて. 麻痺はなく,運動失調により動作に影響をきたしてい. 行った。. た。本症例の脳画像所見から小脳核の損傷を認めないこ とから,運動失調は可逆的に改善可能であると考え,運. 2.理学療法最終評価(3 ヵ月後). 動失調の改善を目標とした理学療法を展開した。.  SARA は 35 点 か ら 30 点 へ と 改 善 し, 指 追 い 試 験,.  オリーブ核は運動に対する目標軌道と実現軌道の誤差. 鼻―指試験,踵―脛試験において両側ともに失調症状の. を小脳に伝達する役割を有しており,運動の調節に関与. 軽減を認めた。BBS は 0 点から 3 点と移乗の項目にお. している。小脳を介した運動の調節系として,赤核→下.

(5) 免荷式歩行器を使用し運動失調の軽減が得られたオリーブ核損傷. 53. 図 5 最終評価時の端座位および立位姿勢 左図は座位姿勢を示す.右図は POPO を用いた立位姿勢を示す.座位,立位姿勢ともに 改善したが,最終評価時においても把持物がない状態では保持が困難であった.. オリーブ核→小脳皮質→小脳核→赤核に至る小三角と,. は 0 点から 3 点と移乗の項目においてわずかに向上した。. 大脳皮質運動野→橋核→交叉し小脳半球外側部→小脳歯. POPO を用いた歩行練習では,歩隔が拡大し,継ぎ足の. 状核→交叉し視床外側腹側核(VL 核)→大脳皮質運動. 頻度が減少するなど歩容の改善を認めた。さらに,FIM. 野に至る大三角という 2 つのループが存在する。小三角. は 54 点から 68 点,運動項目は 23 点から 35 点となり,. は小脳を介して運動の調節を行っているとされており,. 特に食事,移乗動作の項目において点数が向上した。こ. 大三角は運動指令の計算結果を再び運動野に戻し,運動. れらは,運動修正の必要が少ない POPO を用いたゆっ. の調整が行われている. 14). 。本症例の脳画像所見から,. くりとした運動の反復による効果だと考えられる。. オリーブ核は損傷,小脳核や上小脳脚,中小脳脚の損傷.  今回,理学療法に POPO を使用したが,POPO は装. は認めないこと,臨床所見において動作スピードに依存. 着するハーネスが下部体幹,股関節周囲を覆うように. し運動失調が増減していたことから,フィードバック誤. なっており,腹圧を高めることで姿勢の安定化を図るこ. 差学習が困難であると考え,小三角を用いた運動調節は. とができる。また,ベルトは下方から坐骨を包み込むよ. 困難と判断し,損傷を免れた大三角を用いた運動調節が. うになっており,上方への牽引力が生じる。これにより. 必 要 で あ る と 考 え ら れ た。 運 動 学 習 に つ い て,長谷. 下肢への負担を軽減するだけでなく,抗重力筋の筋活動. ら. 15). の論文の中で,Kawamoto らは「誤差を学習した. を減少させることができ,課題難易度の調節が容易に 11). は,健常成人を対象と. 結果,小脳には適切な運動指令,いわゆる内部モデルが. なったと考えられる。高橋ら. 形成されて,意図した運動を素早く正確に達成するため. した研究で,機械による体幹支持機構から患者の運動負. 13). 」と述べているが,本症. 荷量を軽減させることができると報告している。本症例. 例ではフィードバック誤差学習が困難な状態であること. も入院時は co-contraction が困難で動作の円滑性は低下. から,フィードバック誤差学習ができるだけ生じない. していたものの,POPO を用いたことで,過剰な筋収縮. ゆっくりとした動作,かつ co-contraction を引き出すよ. や運動調節の必要が少ないゆっくりとした歩行スピード. うな運動によるフィードフォワード機構を用いた小脳内. で行うことができ,失調症状の軽減が得られたと考える。. 部モデルの再構築を図ることを意図した POPO による.  一般的に運動失調に対するリハビリテーションには従. 治療を選択した。最終的には,SARA は 35 点から 30. 来から,重錘負荷や弾力包帯による圧迫,フレンケル体. 点へと改善し,指追い試験,鼻―指試験,踵―脛試験に. 操,歩行練習,視覚誘導によるバランス練習等があり,. おいて両側ともに失調症状の軽減を認めた。また,BBS. POPO を使用したリハビリテーションの報告はきわめて. の予側制御を実現している.

(6) 54. 理学療法学 第 47 巻第 1 号. 少ない。これまでの部分免荷の歩行練習に関しては,脊 髄損傷患者に対する効果が数多くされてきたが,運動失 調症状を呈した症例に使用した報告は散見する程度で あった。本症例の運動失調の表出を抑えるため,大三角 を用いたフィードフォワード機構を考慮した,運動の誤 差修正が少なく co-contraction が生じるできるだけゆっ くりとした動作を遂行することで,大三角を用いた フィードフォワード機構を稼働させることを意図した。 POPO は免荷して体幹を保持することで,筋の過剰収縮 や過剰な運動をコントロールでき,運動失調の出現しに くいゆっくりとした動作が可能となり,フィードフォ ワード機構を用いた誤差修正の少ない運動が可能とな り,小脳内部モデルの再構築が促進された可能性が考え られた。  今回の結果は,運動失調を呈した患者に対する免荷式 歩行器の有用性を示しただけでなく,オリーブ核を介さ ない運動の誤差修正を必要としない運動が行いやすく なったのではないかと推測され,オリーブ核損傷に伴っ て生じる運動失調および運動調整の困難さを軽減させる 可能性が示唆された。 結   論  運動失調を呈し,運動調節が困難であった症例に対し て,POPO を使用した理学療法を展開した。本症例の損 傷部位から,オリーブ核,すなわち小三角を介さず大三 角 の み を 用 い た 運 動 調 節 と な る よ う に 模 索 し,cocontraction が生じる運動スピードを意識した運動を実 施した。結果,企図,動作時の失調症状は軽減し,座位・ 立位姿勢の改善,ADL の介助量軽減を認めた。POPO は免荷して体幹を保持することで,筋の過剰収縮や過剰 な運動をコントロールできた。また,今回用いた方法論 は運動失調の出現しにくいゆっくりとした動作が可能と なり,誤差修正の少ない運動が可能となり,小脳内部モ デルの再構築が促進され,学習へつながったことが推察 された。. 利益相反  本論文に関して,開示すべき利益相反状態はない。 文  献 1)道免和久:運動学習とリハビリテーション.バイオメカニ ズム学会誌.2001; 25: 177‒182. 2)  省次 : 小脳と運動失調.中山書店,東京,2013,pp. 17‒32, 45‒62, 120‒124, 270‒294. 3)嘉戸直樹,伊藤正憲:運動学習はここまでわかった.J Kansai Phys Ther. 2008; 8: 49‒52. 4)谷口佳奈子:体重免荷式リフト(POPO)よる歩行.理学 療法ジャーナル.2015; 49: 905‒912. 5)Schmitz-Hubsch T, du Montcel ST, et al.: Scale for the assessment and rating of ataxia: development of a new clinical scale. Neurology. 2006; 66: 1717‒1720. 6)Yabe I, Matsushima M, et al.: Usefulness of the Scale for Assessment and Rating of Ataxia (SARA). J Neurol Sci. 2008; 266: 164‒166. 7)Weyer A, Abele M, et al.: Reliability and validity of the scale for the assessment and rating of ataxia: a study in 64 ataxia patients. Mov Disord. 2007; 22: 1633‒1637. 8)佐藤和則,矢部一郎,他:新しい小脳性運動失調の重症 度評価スケール Scale for the Assessment and Rating of Ataxia(SARA)日本語版の信頼性に関する検討.Brain Nerve.2009; 61: 591‒595. 9)Berg K, Wood-Dauphiness S, et al.: Measuring bal-ance in the elderly: preliminary development of an instrument. Physiother Can. 1989; 41: 304‒311. 10)才藤栄一:脳卒中患者の新しい評価法 FIM と SIAS につ いて.医学のあゆみ.1992; 163(5): 285‒290. 11)高橋一揮,佐藤洋一郎:体重免荷トレッドミル歩行におけ る下肢筋活動と呼吸循環応答.理学療法科学.2011; 26(1): 83‒88. 12)武井圭一,金子誠喜,他:脳卒中片麻痺者への発症後早期 部分免荷トレッドミル歩行練習の短期介入適応の検討.理 学療法科学.2010; 25(3): 349‒355. 13)Kelly PJ, Stein J, et al.: Functional recovery after rehabilitation for cerebellar stroke. Stroke. 2001; 32: 530‒534. 14)寺島俊雄 : 神経解剖学ノート(第 2 版).金芳堂,京都, 2017,pp. 54‒56. 15)長谷公隆:脳障害と運動学習.理学療法ジャーナル.2012; 46: 37‒44..

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