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受験風土記
第
9
回
宮崎
県
【シリーズ】 ●宮崎県の人口:1,142,017人(2008年2月1日現在) ●大学数(短大除く):7 ●高校数:公立43、私立14高い地元国立大志向
国立大入学率は全国4位
昨年の流行語大賞にもなった「宮 崎をどげんかせんといかん」のスロ ーガンのもと、東国原英夫知事が就 任。宮崎県はいま、さまざまな意味 で注目を浴びており、街も人々も活 気にあふれている。 その宮崎県の受験風土を、92年と 07年のデータで比較したのが<表1 a ><表1 b >だ。 まず、大学・短大等進学率は、92 年31.7%→07年40.6%(全国51.2%)。 全国 25 位から 40 位となる一方で、 就職率は92年は46.6%で7位だった のが、07 年は 32.5 %(全国 18.5%) で3位になっている。就職率の高い 鹿児島県 熊本県 大分県 延岡市 宮崎市 都城市 延岡 宮崎北 宮崎西 宮崎大宮 宮崎南 都城西 都城泉ヶ丘難関校へのチャレンジ意欲を
喚起する進路指導が活発化
宮崎県庁(宮崎市) 宮崎大社(宮崎市) はにわ園(宮崎市)だが、近年は、より視野を広げて、 首都圏や近畿圏を含めて、難関校に チャレンジする意欲を喚起しようと いう動きが活発化している。 例えば、宮崎北高校では、4年前 に「難関大 100 プラン」を立ち上げ た。入学と同時に難関大を志望する 生徒を 100 名募集し、特別指導を展 開するというプランだ。現在は、こ のプランを発展的に解消し、1・2 年次に、上位 50 名の生徒を対象に、 週3回、50分1コマずつ、3教科の 放課後課外を実施する「ハイレベル 講座」に移行している。 「実力のある生徒でも、地元国立 大で十分といった意識があり、なか なか難関校にチャレンジしようとし ない。ですから、難関校をターゲッ トとする指導は、ぜひ継続していき たいと思っています。本校は、比較 的学力が高いサイエンス科の生徒 や、ハイレベル講座で鍛えた生徒が、 他地区の難関校を受験するケースが 増えており、それが他の生徒たちに も波及効果を及ぼしています」(宮 崎県立宮崎北高校・川h史朗先生) 宮崎大宮高校では、授業改善の一 環として「東大入試問題研究」を行 っている。「全教科の教員の研究会 であり、良問が多い東大の入試問題 を研究しています。単に研究するだ けでなく、最終的に東大前期の入試 問題を解けるようにするためには、 時期ごとにどのような指導が必要に なるのかを検討してもらい、各学年、 学期ごとの指導計画書を立案してい ます」(宮崎県立宮崎大宮高校・宮 野原章史先生) 宮崎西高校では、1年次の夏休み に、約50名が参加して、OBがキャ ンパスを案内する「東大見学会」が 年35.7%と推移。占有率は減ってい るが、これは私立大の総定員が増え たことによる全国的な傾向であり、 07 年度の国立大入学率は全国4位 だ。 しかも、宮崎大にこだわる生徒は 多く、県内の大学への入学率は92年 19.8 %→07年24.3 %と上昇している <表1 b >。近隣の鹿児島大、熊本 大を目指す生徒も少なくない。 「特に都城地区は、鹿児島、熊本 に近いので、伝統的に両県の大学を 身近に感じているようです。本校の 07年度の合格者数を見ても、宮崎大 30名に対して、鹿児島大に14名、熊 本大には10名が合格しています」(宮 崎県立都城泉ヶ丘高校・木許裕夫先 生) 要因として、高校の先生方からは 「 か な り 成 績 の 良 い 生 徒 で も 、 商 業・工業など、専門高校へ入学する ケースが少なくない。それが就職率 の高さにつながっているのではない か」といった声が聞かれた。 「ただし、最近は、専門高校の卒 業生の大学進学率が上昇していま す。高度資格を取り、推薦で国公立 大に進学するケースも少なくありま せん。また、県としても『専門高校 キャリアアップ総合推進事業』を展 開するなど、専門高校の生徒の勤労 観・職業観を育成するためのサポー トに力を入れています」(宮崎県教 育庁学校政策課・佐藤公洋主幹) 進学先として目立つのは、国立大 志向の高さだ。 国立大入学率は、92年45.2%→07 ※学校基本調査より 専修学校(専門課程)進学率 就職率 大学・短大等進学率 専修学校(専門課程)進学率 就職率 大学・短大等進学率 専修学校(専門課程)進学率 就職率 12.6% 46.6% 27.1% 17.8% 34.3% 36.5% 22.5% 27.2% (42位) ( 7 位) (19位) (47位) ( 8 位) (31位) (24位) ( 7 位) 16.4% 33.1% 25.2% 15.8% 33.3% 40.2% 17.0% 32.9% 全 体 男 女 18.2% 32.5% 37.4% 14.9% 36.7% 43.8% 21.5% 28.3% (18位) ( 3 位) (43位) (18位) ( 3 位) (38位) (19位) ( 1 位) 16.8% 18.5% 49.9% 13.5% 21.2% 52.4% 20.2% 15.8% < 表1 b> 宮崎県の高校卒業者の入学大学(都道府県別) ※学校基本調査より 1 位 2 位 3 位 4 位 5 位 6 位 7 位 8 位 9 位 10位 全体 宮 崎 福 岡 東 京 熊 本 鹿児島 神奈川 大 阪 広 島 大 分 愛 知 862 750 477 325 291 167 150 129 124 98 4,355 19.8% 17.2% 11.0% 7.5% 6.7% 3.8% 3.4% 3.0% 2.8% 2.3% 1992年度 2007年度 都道府県 [人] [%] 宮 崎 福 岡 東 京 熊 本 鹿児島 大 分 神奈川 大 阪 長 崎 京 都 1,090 896 430 287 257 169 142 115 114 96 4,480 24.3% 20.0% 9.6% 6.4% 5.7% 3.8% 3.2% 2.6% 2.5% 2.1% 都道府県 [人] [%]
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回 宮崎県
第一は、全公立高校普通科に学力 向上案を立案してもらい、その中か ら9校(飯野高校、高千穂高校、妻 高校、延岡星雲高校、福島高校、都 城泉ヶ丘高校、宮崎大宮高校、宮崎 西高校、宮崎南高校)を学力向上推 進校に指定。各高校の取り組み内容 を発表し、優れた実践例を他校に広 げていくことを目的としている。 第二は、教科指導力向上支援教員 だ。6教科で教科指導力に優れた教 員を計 54 名、「支援教員」という名 称で任命。9∼12月に公開授業と協 議会を開催し、若手を中心とした教 員が見学することによって、県全体 の指導力アップを目指している。 第三は、普通科高校合同学習会の 開催だ。宮崎大宮高校を会場に、県 立18校、私立4校の生徒が一堂に会 して講座が開講される。2007年度は 683 名が参加した。「東京大」「九州 大などの難関大」「センター試験対 応」の3つの講座があり、80分4コ マで3日間行われる。担当するのは、 「支援教員」であり、この講座にも 他の教員が見学に訪れる。 「受講した生徒のアンケート調査 結果を見ると、98%が参加してよか ったと記述しており、満足度はかな り高いようです。『日ごろ受けてい ない先生の授業が新鮮だった』『他 校の生徒の学ぶ姿勢に刺激を受け た 』 と い っ た 声 が 聞 か れ ま し た 」 (佐藤主幹) そのほか、宮崎県には、高校の枠 を超えて、進路指導部が連携を図る 「進学指導研究会」も組織されてお り、宮崎大宮高校に事務局が置かれ ている。「県進学研模試」を実施し ており、その作問研修会や、大学の 研究最前線や他県の先進事例などを 聞く進路指導研修会など、活発な活 動が行われている。 「全普通科高校の進路指導主事が 集まる理事会が年5回ほど開催され ており、貴重な情報交換の場になっ ています。自分が在籍している高校 の実績向上だけでなく、県全体の学 力を伸ばしていこうという雰囲気が 醸成されています」(宮崎県立宮崎 南高校・押方修先生)保護者と連携を図り
進路指導を強化
もう1つ、宮崎県で特徴的なのは、 保護者との連携が強固なことだ。家 庭訪問も行われており、保護者対象 の説明会などの出席率は約 9 割と極 めて高い。それが進路指導の強化に つながっている面もあると言えるだ ろう。 例えば、宮崎西高校には、4年前 から、父親委員会というユニークな 組織があり、各クラスから3名、約 100 名の父親が参画している。夏休 みには、この委員会の企画・運営で、 1・2年生を対象とした「YUME講 座」が開催される。内容は、父親自 身が自分の職業を語るもので、約30 講座が開講されている<表2>。 開催される。また、4年前から、東 京大の前期合格発表当日に、2年生 を引率し、目の前で合格の胴上げシ ーンを見せるという試みも取り入れ られた。「母校の先輩が合格したり、 学生生活を謳歌している姿に触れる ことで、はるか遠くの存在だったの が敷居が下がり、現実的な目標にな る 効 果 が 大 き い と 考 え て い ま す 」 (宮崎県立宮崎西高校・井上泰二郎 先生) 都城泉ヶ丘高校では、4年前から 「サクセス」というグループを編成 している。「東大、九大など、難関 大の志望校別にグループを作り、1 年次の後半から、放課後に週3回、 3教科の少人数制指導を実施してい ます。クラスを超えて、同じ目標を 持つ生徒が集まることで『浮きこぼ れ』がないようにすることが目的で す」(木許先生) 都城西高校では、土曜講座の中で、 成績上位者を対象とした個別指導を 展開している。「3教科各 30 ∼40 名 の成績上位者でグループを編成し、 難関大入試に対応した講座を実施し ています。実力はあるのに、難関大 に目が向いていない生徒が多いと感 じており、意識づけを図りたい。今 年度以降は、土曜講座以外でも、組 織的に取り組む予定です」(宮崎県立 都城西高校・小村則弘先生)「ハイスクール学力アップ
総合推進事業」の成果
宮崎県では、05年度から「明日の 宮崎を担う子どもたちを育む戦略プ ロジェクト」が発足。確かな学力を 育成することを目的に、さまざまな 事業が展開されている。 そのうち、普通科高校を対象とし たものが、05∼07年度の「ハイスク ール学力アップ総合推進事業」で、 大きく3つの事業で構成されている。 <表2> 宮崎西高校「YUME 講座」実施講座一覧(2007年度) 法律関係(弁護士)、公認会計士・税理士、国家公務員、地方公務員、警察官、 自衛官、接客・サービス、金融(銀行)、会社経営、保育士、小学校教師、 中学校教師、研究職、大学教師、マスコミ(放送、新聞・雑誌)、設計(建築士)、 コンピュータ、エンジニア、栄養士、看護師、保健師、薬剤師、作業療法士、 理学療法士、心理カウンセラー、社会福祉、医師、獣医師、 音楽関係(音響・舞台設営)、航空関係(管制・整備)、環境調査、農業経営延岡高校では、「杜のセミナー」 という母親たちの学習グループがあ る。月に1回程度のペースで、進路 についてや子育てに関する講座を開 催。夏には貸し切りバスを利用して、 保護者だけで大学の視察にも出かけ るという。さらには、趣味の講座ま で開かれている<表3>。 「25 年ほど前に自主的に発足した 組織で、自らで会費を集めて、企 画・運営しており、パワフルな保護 者が多いと感じています。保護者が 高校に足を運ぶ機会が増えることに よって、教員とのコミュニケーショ ンも緊密になっており、さまざまな 情報が口コミで広がっていく効果も 大きいと考えています」(宮崎県立 延岡高校・藤田吉史先生)
2008年度から公立高校普通科が
「全県一学区」になる影響
ところで、宮崎県では、公立高校 普通科の入試システムが大きく変化 する点も注目される。 かつては、10学区に分かれる中学 区制をとっており、そのうち宮崎市、 都城市、延岡市では合同選抜が併用 されていた。その後、03年に合同選 抜が廃止され、さらに08年からは全 県一学区になった。 「居住地域によって、普通科5校 から選択できるところもある一方 で、普通科が1校しかない学区もあ ります。全県一学区にしたのは、こ うした選択に差があるという不公平 感を改善することも狙いの一つとし ています。特定の高校に志願者が集 中することが懸念されるかもしれま せんが、宮崎県の場合、学区ごとに、 地域に根ざした高校として認知、確 立している伝統校が存在していま す。ですから、ある程度の流入・流 出はあるでしょうが、極端な動きに はならないと考えています」(佐藤 主幹) とはいえ、やはり多少の影響は生 じるだろう。特に普通科高校の多い 宮崎、都城、延岡の3地区には、周 辺学区からの流入が想定される。逆 に他学区からの流入の影響で、この 3 市内の生徒が他学区への流出を余 儀なくされることも考えられる。新 たな学力層が入学することによっ て、進路指導の体制を検討する必要 も出てくるかもしれない。 以上、このような宮崎県の進学状 況と受験風土を踏まえた上で、各高 校で実施されている進路指導の特色 を見ていくことにしよう。県立高校
●宮崎県立延岡高校
100 年以上の歴史を有する延岡地 区の伝統校。普通科4クラス、理数 「近くに国家試験合格率の高さに 定評がある九州保健福祉大があり、 女子を中心に人気が上昇していま す。受験科目として化学が必須です が、1年次に選択科目として配置す ると、避けてしまいがちで、入試に 対応できなくなってしまいます。そ こで、2年次に化学を全員必修にし て、全員理科2科目を履修させる形 にしました。以前は早い時期から数 学、理科をあきらめる生徒がいまし たが、このカリキュラムに変更した ことによって、最後まで粘り強く取 り組むようになり、国公立大を目指 す上でも効果的だと考えています。 全員必修となると、学力もモチベー ションも差があり、化学の担当教員 は苦労しているようですが、2 年次 は基礎事項を重視し、本当に入試で 必要な生徒に対しては 3 年次で高度 な内容を展開するなど、工夫して授 業を行っています」(藤田吉史先生) 朝課外は全学年7時25分から45分 間。放課後課外は 3 年次からスター トし、総体までは部活に入っていな い生徒を対象に 50 分1コマの自習。 総体以降は70分1コマで5教科の講 座が開講される。 また、小論文指導にも力を入れて いる。1年次にいくつかの大学の自 己推薦書の書式や模範例を理解させ た上で、2年次に志望動機や高校生 活で力を入れたことなどを実際に記 述させている。 また、担任は副担任や教科担任と も連携をとり、生徒との面談も活発 におこなわれている。 そのほか、理数科には、筑波研究 学園都市や、地元の旭化成、プラス チック再利用工場、酒造メーカーな どを見学し、最先端技術に触れる 第 2 回 第 3 回 第 4 回 第 5 回 第 6 回 第 7 回 第 8 回 7月 8月 9月 10月 11月 12月 2月 バス研修・熊本大学訪問 卒業生の話を聴く会(延岡高校卒業生:大学4年生) 手芸教室 進路講話(進路・各学年主任) 料理教室(地元レストランシェフ) 陶芸教室 閉講式 先輩会長の講話新
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えています」(藤田先生)●宮崎県立都城泉ヶ丘高校
2006年の選抜高校野球に出場する など、文武両道の校風を堅持する伝 統校。東国原英夫知事の母校でもあ る。普通科5クラス、理数科2クラ スの構成で、文理分けは2年次から 行われる。 朝課外は、全学年とも7時45分か ら8時20分までで、1年次は3教科、 2・3年次は5教科。そのほか、毎週 木曜日の朝に、全学年一斉の文字力 テストも実施される。 また、理数科は、全学年、学期に 1回「学習会」が開催される。校内 の宿泊施設「いずみ会館」で難問に 取り組むなど、授業より難度の高い 学習が展開されている。 同校の大きな特色といえるのが、 異学年の生徒同士の交流を活用した 取り組みだ。その 1 つが「FITS」。 入学直後の1年生に、2年生が勉強 方法や学校生活態度などを教える場 だ。5名前後のグループを編成し、 2 日間、辞書の引き方やノートの取 り方などを含めて、きめ細かな指導 が行われている。「1年生にとって は、質問しやすいし、先輩後輩の関 係も自然に生まれてきます。2年生 にとっても、新入生に勉強方法を指 導することで、自分ももっとしっか り勉強しなければと反省する機会に なっていると思います」(木許裕夫 先生) また、今年からセンター試験の自 己採点終了直後に、受験した 3 年生 「学科研修」がある。1・2年次を対 象に、大学教員による研究内容紹介 の「出前講座」も開講されている。 一方で、普通科では出前講座の実 施を中止した。「担当講師の話が上 手かどうかによって、生徒のモチベ ーションに大きく影響します。極端 な場合、かえってその大学に行きた くないということもあります。そこ で、志向が明確な理数科では実施し ていますが、普通科はオープンキャ ンパスへの参加を推奨しています。 これまでは進路行事によって生徒の 目的意識を高める方法を模索してき ましたが、結局のところ学力を養う ことが第一であり、そのためには授 業の充実が肝心です。今後も、進路 行事を構築する際には、授業時間の 確保をまずは優先していきたいと考 <表4>都城泉ヶ丘高校「チェック・プラン表」くさんで、1 ・2年生も真剣に読ん でいるという。 毎年7月には、3学年共通の3教 科の問題を出題して、優秀者を表彰 する「泉コンテスト」も開催される。 発想や応用力を重視した問題であ り、1・2年生が高得点をあげること も少なくなく、切磋琢磨する雰囲気 が生まれている。 さらに、10月の土曜日には、同校 を志望する中学生を招き、2年生が 勉強を教える「合同学習会」も開催 されている。 もう1つ、今年から進路指導部が 力を注いでいるのが、実力試験の改 善だ。「実力試験を実施する目的、 問題レベルの設定などを、学年およ び教科で共通理解を図るように努め ています。1カ月前から作問検討を 開始する体制を取るとともに、作問 意図、到達目標、講評、アドバイス などを明示した CP(チェック・プ ラン)表<表4>を作成し、生徒に 配布しています。試験後の学習アド バイスをよりきめ細かく行うことが 目的であり、そのために、出題の見 直しも含めて、組織的に取り組んで いきたいと思っています。本校は授 業評価にも積極的で、それらの相乗 効果によって、授業改善につなげて いくつもりです」(木許先生)
●宮崎県立都城西高校
1962年創立。2004年に外国語科を 開設し、現在、普通科6クラス、外 国語科1クラスで構成されている。 理系の人材にとっても、英語コミ ュニケーション能力は不可欠である ことから、外国語科は文系限定の課 程にはなっていない。そのため、普 1日2ページずつの自宅学習ノート 作成を義務付け、担任がチェックし ています<写真5>。3年終了時で平 均1800ページのノートが作成されて おり、生徒にとって自信になってい ますし、自主的な学習、リサーチの 姿勢の涵養にも結び付いていると考 えています」(小村先生) 課外の体制は、朝課外が全学年を 対象に、7時半から 8 時 15 分まで。 その直前には、遅刻指導を兼ねて、 教員が校舎の入口で声かけ指導を実 施している。放課後課外は、3年次 の総体後に開始。以前はクラス単位 で開講していたが、今年から、各自 が必要な講座を選択して履修するス タイルになった。 キャリア教育も活発で、1年次1 学期に、いくつかのグループに分か れ、職業調べを行い、プレゼンテー ションさせている。2学期は同校の 卒業生を講師に招き、職業に関する 講座を約15講座開講。また、2年次 4月には鹿児島大学、3年次は宮崎 県内の数大学に全生徒を引率する。 単なる学校見学ではなく、教室を借 り切って自習させるなど、大学の雰 囲気を味わう機会になっている。 通科とともに2年次から文理分けさ れる。実際に、医学部など理系学部 志望の生徒もいる。 2005年から3年間、外国語科を中 心にSELHiの指定を受け、さまざま な取り組みが行われた。その1つが 高度なディベート能力の育成だ。 「国語科とも連携して、コミュニ ケーション能力や、ディベートの論 理的思考力などを強化しました。そ の結果、今年の卒業生は、GTEC (英語コミュニケーション能力テス ト)で、通常3年間で 100 点アップ すれば上々といわれるところを、180 点もの伸びを示しています」(小村 則弘先生) また、英検2級所持率は約 80 %、 準2級は100%を達成。「国際理解・ 国際協力のための高校生の主張コン クール大会」で優勝し、外務大臣賞 を受賞したり、外国語科の2年生が 全員参加する県英語ディベート大会 で入賞するなど、着実な成果が出て いる。 さらに、SELHiの一環として、英 語の自宅学習の改善にも力が注がれ ている。「授業との連携を意識し、 学習カテゴリー分けを行った上で、新
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●宮崎県立宮崎大宮高校
創立 120 周年を迎えた伝統校。普 通科8クラス、文科情報科2クラス を設置。ともに2年次から文理分け が行われる。 普通科は、文系クラス、理系クラ スのほかに、他ではあまり例を見な い文理クラスが1クラス設けられて いる。「文理クラスは選抜クラス的 なものではありません。本校は、選 抜クラスは一切設けない方針を貫い ています。学力で生 徒を分けて指導する のではなく、自然な 形で集団を形成し、 生徒同士が切磋琢磨 する中で成長してほ しい。その方が活気 が生まれ、生徒のモ チベーションが持続 す る と 考 え て い ま す。学力別クラス編 成では、下位クラス の生徒の意欲を削い だり、上位クラスか ら落ちる不安がスト レスになったりと、 弊害の方が大きい気 がします」(宮野原 章史先生) 文理クラスが設け られているのは、生 徒の志望校の入試形 態 に 対 応 す る た め だ。同校には、東京 大、京都大志望で地 歴2科目が必要な生 徒、および国立大医 学部志望で理科3科 目が必要な生徒がい るが、ともに独自ク ラスを構成する人数 には届かないため、 それらを混在させて 編成したのが文理ク ラスだ。そのため、 他はクラス単位での 同一授業がほとんど だが、文理クラスに 関しては、選択する 科目ごとに分割する <表6>宮崎大宮高校「面談指導の流れ」3年次の総体以降スタートする。レ ベル別の講座を開講し、選択できる ようにしている教科もある。 「ただし、成績によって機械的に 振り分けるわけではありません。あ くまで生徒の希望制であり、苦手な 科目は中級、得意なら上級の講座を 受けるといったように、自主自立性 を尊重しています」(宮野原先生) また、文科情報科は数学が「理数 数学」という名称で、高度な内容に なっているほか、英語はコミュニケ ーションツールとして使えるレベル に高める授業を展開。国語は小論文 指導を充実させ、表現力を強化して いる。 「さらに、文科情報科では、2008 年度から、従来の文科情報科独自の 科目を発展深化させて、探究活動を 重視した新科目(仮称:クリティカ ルシンキング)を開講する予定です。 特定のテーマについて、10名前後の グループで共同研究を実施。本校の 教員のほか、大学などの協力を得て、 ゼミ形式の指導を展開し、最終的に は論文作成とプレゼンテーションを 行います」(宮野原先生) もう1つ、同校で注目されるのが 面談の充実だ。以前から、面談は豊 富で、各学年4回程度行われてきた が、2007年度から進路指導部が主導 して、より組織的な取り組みになっ ている。すなわち、進路指導部で、 回ごとの面談の目的、具体的な質問 例などを提示<表6>。面談ファイ ルを作成し、ポートフォリオにして、 次の担任に引き継ぎ、3学年を通し て、それぞれの生徒の志向の流れを 共有できるように工夫されている。 さらにユニークなのが、2年前に 組織された「生徒学習委員会」だ。 員会だ。合宿も行われ、「何のため に勉強するのか」といった根源的な 議論が活発に展開されているとい う。そんなところにも自主自立の校 風が感じられる。
●宮崎県立宮崎北高校
普通科7クラス、サイエンス科1 クラスを設置。普通科の文理分けは 2年次からである。従来は文系 4 ク ラス、理系3クラス編成だったが、 新2年生は文系3、理系4と逆転し た。「これまで文系は3年次で私立 コースを設けていましたが、3クラ スに減少したことで、それが可能な のか、および増加した理系クラスに 以前設置していた私立コースのニー ズがあるのか、今後の検討課題です」 (川h史朗先生) 2年次からは文系、理系各1クラ スずつの選抜クラス(アルファクラ ス。他はベータクラスと呼ばれる) も設けられる。ただし、希望制であ り、成績が上位であっても部活動な どの関係でベータクラスを希望する ケースもあるという。 サイエンス科はSSHの指定を受け ており、大学教員の協力を得て、ハ イレベルな課題研究に取り組んでい る。科学技術に関する研究を進める だけでなく、英語のプレゼンテーシ ョン能力向上も視野に入れ、宮崎国 際大学の教員による「海の科学」の 講座は、英語でのディスカッション が行われている。「高校在学中から こうした教育が受けられる効果は大 きく、普通科の生徒が比較的地元志 向が強いのに対して、サイエンス科 の生徒は、自分のやりたい研究が可 能な大学を全国から選ぼうという姿 施される。学年ごとに異なる放送を 同時に流せるように、放送系統を整 備。1年次では短い英文を2回、3 年次では約5分の長文を聞いて、課 題プリントを解いている。模試など の成績を見ても、リスニングの得点 力には手応えを感じているそうだ。 リスニング終了後には、先述した 「ハイレベル講座」(P16)や、3年 次には放課後課外が行われる。 また、注目されるのが宮崎大学と 連携した「ブリッジシステム」だ。 推薦で合格した生徒に対して、入学 前教育として、大学側から綿密な課 題が与えられるシステムだ。 「学科ごとに、入学後に必要にな る知識がきめ細かく指定されます。 大学の授業で使用するプリント・問 題が配布され、高校で習った範囲で 予習しておくように指示される学科 もあります。そのため、推薦合格者 も気を抜かずに授業を受けていま す」(川h先生) もう1つ、ユニークな取り組みが 「進路別担任制」だ。1 ・ 2 年の教員 を中心として、志望者の多い十数学 部に関して、2名ずつの担当教員を 決定している。つまり、文学部担当、 薬学部担当といったように、学部ご との担当教員が配置されている。生 徒は学部の内容などについて、疑問 を持った時は、その学部の担当教員 のところに相談に行く<表7 a >。 「10 月に、2週連続で進路別担任 による説明会も実施しています<表 7 b >。1週目は学部の概要、2週 目は入試対策アドバイスなど、それ ぞれ工夫しています。担当学部につ いては、相当に調べる必要があり、 かなり大変ですが、特に若手教員に は、自分の専門以外の学部を受け持新
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回 宮崎県
「発展」の3段階程度に分割。2年 次以降は「超難関」「九大」など、 志望校を冠した講座も増える。 また、同校は医学部志望者が多い ことから、3年前から「医学部講座」 も設けている。宮崎大学医学部の協 力のもと、医学部生に必要な資質、 地域医療の現状などに関する講演を 聞くとともに、学生との交流の機会 もある。第1回目は同校主催、その 後は県主催で行っている。 「単に成績が良いから医学部を目 指すというのでは困ります。特に、 臨床医を志向する生徒には、人間教 育に力を注ぐことが不可欠です。で すから、医学部志望者には、掃除な どもきちんとし、日常生活をしっか りしなさい。人に優しく接しなさい。 そういうことを徹底的に指導するよ うに心掛けています」(井上先生) さらに、3年次の年末年始は、理 数科は全員、普通科の生徒も一部参 加して、校内で勉強会が開かれる。 学実績を高めていきたいと考えてい ます」(篠田俊彦先生) 朝の課外は、全学年とも7時半か ら45分間行われる。 「また、1 ・2学期は一定の期間、 45分授業に短縮し、余った35分間を 使って、放課後に『無言学習』の時 間を設けています。何を勉強するか は生徒の自主性に委ねており、いわ ば学習の習慣付けを狙いとした取り 組みです」(井上泰二郎先生) 放課後の課外講習は、普通科は3 年次の総体以降にスタート。50分1 コマ開講される。そのほか、学年に よっては、放課後の課外講習終了後、 生徒に呼びかけて19時ごろまで自学 自習の時間を設定することもあるそ うだ。 一方、理数科は、1年次後半から、 週 1 回、難関大学向けの放課後講座 を開講。土曜日もレベル別の講座が 実施される。1年次はまだ志望校が 確定していないため、「基礎」「標準」 ってもらうようにしており、いい意 味での研修にもなっていると思いま す」(川h先生)●宮崎県立宮崎西高校
普通科8クラス、理数科2クラス を設置。普通科、理数科ともに2年 次に文理分けが行われる。また、普 通科に「理数クラス」を設けている 点も特徴だ。 「理数科が第一志望だった生徒を 対象としたクラスで、理数科主催の 講演会、課題研究、東大見学会など に一緒に参加できるようにしていま す。一方で、文系にも習熟度上位ク ラスを設置しており、難関校への進 ・ 就職状況について →2校ぐらいで比較 (例)熊本大学文学部 鹿児島大学文学部 (例)宮崎大学医学部看護学科 宮崎県立看護大学看護学部 ・ 学部、学科の研究の特徴について →3校ぐらいで比較 (例)熊本大学、鹿児島大学 福岡大学の文学部で比較 ・ 大学のシステムについて (例)一般教養と専門科目 などの比較 (例)大学・専門学校の比較 (例)入学後学科をどのように選択するか ・ 取得資格について →資格の違い・就職状況など (例)幼稚園教諭と保育士 (例)栄養士と管理栄養士 (例)理学療法と作業療法 学 習 内 容 指 導 上 の 留 意 点 ・ 就職状況であまり変化がない場合は、就職の特徴 を説明する。 (例)出版関係やメディア関係が 多いなど ・ 就職が決まっているような学部の場合 (例)県内就職と県外で比較、 民間と公務員等 の比較 ・ よくわからないことは大学の入試課に電話して聞く。 ・ 実際にカリキュラムなどを生徒に見せると良い。 学 習 活 動 ・ 大学などの「赤本」「パンフレット」「インターネット」 などで調べられることを知る。 ・ 今回の授業を参考にして、自分の進路について調 べ、ワークシートにまとめ提出する。 <表7 a > 宮崎北高校「進路別担任制」 学科系統分け状況 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 文学 経済・経営・商学 法学 福祉関係 外国語・国際関係 教育 心理学 工学(電気電子・機械・土木) 工学(材料・資源・応用化学) 工学(生命工学・生物システム) 理学(物理・地学系) 理学(化学系) 理学(生物系) 農学・獣医学 医学・歯学 薬学 看護学 作業・理学療法・衛生 芸術(音楽) 芸術(美術) 芸術(書道) 幼稚園・保育 食物 体育 就職・専門学校 NO. 学 科 系 統 <表7 b >宮崎北高校 進路別担任による説明会 指導例(抜粋)豚汁を作ってくれたりと、学校をあ げての伝統行事になりつつありま す。正月返上で、教員の負担も大き いのですが、そういう姿勢があるか らこそ、保護者の協力も得られてい ると考えています」(篠田先生) なお、同校は、2007年度から附属 中学校が併設され、中高一貫校にな った。この生徒たちは理数科に全員 進学する予定だが、高校からの入学 者とのクラス編成等は検討中である。