第6巻第台車(1954)
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組織粉末比重測定の際の材料
粉末の量及び滞親についで(予報)1)
荻・原 怜 二A consideration、、on the quantity and,{fineness Of powdetin themeastlr・ingOf thespecificpowder
gravity(apreliminary note).
By REIJI OGIHARA
(Laboratory ofplaI】t Physiology and ecology) (Received jtlly30,1954) 組織粉末比重とほ植物組織の乾燥粉末の単位容量に対する容量塞即ち・−健の倣比重であるが,この 比重の億ほ植物の橡薪,韓官の相異により、又降一由織でも体内部の事嘩の不日異によらて明ちかな変異 を示すものであることを繍緻氏(1924)が明らかにされた.その後,額碩・深城氏(1927),蹄繰・ 小坂氏(1928)等に用いられ始めてより,相次いでこの方洪による業績が報告され,1その効掛こつい て今更云々するまでもないが,・一・披に/手繰法でこの比国を測定サると/き,容量測定に用いノる材料粉末 を少くとった場合忙,又材料粉末の粒子の粗大である即ち粉末化の程度の不発金である場合に.求めら れる比重がどのように変異するかそ・の仕組みと.その程度に・ついて解析を試み,この方法利用のため′の 参考に供し度いと考え,若干の実験考察を行い簡単に報告する. この仕事は深城助教授の指導のもとに行われたもので,橙々の御教示と便宜を与えられた同助教授 に・深く感謝の意を襲す芦.
〔材料及び方法〕
で 充分乾燥された白米の粉末を使用したのであるが,これを乳鉢で粉末にするときに準め粉末化を種 々の程度に加減して,その程度に.より程々の材料(A,B及びC)を,更に粉末材料をオふる 各堪ヰの大きさ叩こ選別し一定の大きの粒子のみからなる稜々め材料(S,T及びU)を用いて手繰洪で粉■末比重を測哀した.
粒子の大きさ別に・選別した材料SメT及びUについてその組成は次に.示す通りである. S:42∼100mesh小T:100∼170mesh
U:200mesh.以上 粒子の選別に200meshl・奴上は不可能であったので材料Uは一億して200mesh.以上のもめをすべ て含ませてある. 倍,材料A,B及びCについてその粉末粒子の組成は後に.述べる.〔結果及び考察一〕
先ず粉末粒子の大きさ別の材料S,T及びUの各について,軽々の畳(gr・)の粉末をとって粉末比 鑑1 露を測定したのであるが,このサムプルの畳の多少によって測定される比重の借が変って来る.叉 1一)香川県立農科大学植物生理生態学研究室業続第フ写162
香川興立農科大学学術野合材料の粉末粒子・の大きさが異ること.によっても比重の値が変って来る・この関係は次のようであ
る(第1囲). 即ち.1)測定に用いる粉末の盈が少なければ比重 は低く測定されがちである.しかし.粉■末の畳が」一定の 値を越えると比重はほゞ足って来る. 2)粉末粒子の大きなものからなる材料ほど比重は高 く測定される. 1)に.ついて簡単な考察を試みると.比重測定の際に 問題と.なろのほサ卑プルの容量(c・C・)を測定すること である.常にJ正確にサムプルの容重(gr)に、比例してそ の癖盈が測定され得るかどうかと云うことである. 先ずⅩgr.のサムプルの測定された容盈をyc.c.と すると,当然次の閲係式が成立する・ y=aX こゝで,所謂粉末比重をZとすると, Ⅹ 1 Z=■寺 ̄= ̄ ̄㌃㌔,0♪・一一一− ̄、 ̄ ̄‘ S○
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サムプルの量 (第1図) サンプルの畳と.それに.よ ぅで測定される粉末比重との関係 と.ころが,手繰港に.よって測定される粉末の容盈yはある誤差を伴い,その誤差がⅩの如何にかゝわ らず一骨だと仮定して.次の関係式を得る. y=aX十b 当然 1 b Z  ̄ i「a(ax+恒こゝで,実際の測定値から各材料S,T及びUについで南関係式を求め夫々についてyに関する残差
の平方和を算■出して見ると関係式y=aX十bの雰が妥当であること.がわかる(第・一義).
(第一義)各材料S,T及びUについて∴求められた南関係式の常数及び容盈yの不変分散の
比較 y=aX+bについて y=a耳に・ついて ※各材料に.於けるbの不偏分散に閲す−る自 由度 であるとすると粉末比重に対して前述の影響をあたえるものを∂と.すると, (第二義) 材料S,T及びUに・おいて∂の借が 1/50及び1/100ですむうよなサムプルの盈(Ⅹ) a(ax・十b) で,Ⅹ即ちサムプルの畳(gr)が充分大であれ ば∂が無税される.∂ の 値」 S I T I U
; ・.、二・・ −・(夢二表),材料によってⅩの値に・相当の巾が
現れてくる.普通,組織粉末法において慣行と.しでサムプルを約3c.c.になるように・と.ることとなって
第6巻第2骨(1954)
163いるのに較べて之等の材料では大き過ぎるⅩの借が出た..しかし,慣行のようにサムプルの最を一億
に・しで比富の比較を試みなければならないことば了解出発る.
女)の粒子の大きな材料程比重が高く測定されることほ,土壌の倣比重を求める場合の孔隙畳の間
感に比較して考えるとこの現象も解析出来るようである.これほ.後に遜べる各粒子の大きさのものか
らなる複合系とも云うべき材料の場合,比重が非常に高くなること.からもうなづける小 英酪の場合に.於ける材料S,T及びUについて,■前述の∂を無 税した場合の比重Zを比較しで見ると(第三表),満足な結論 はこれだけの実験でほ決められないけれども,ある程度奴上に 粉末粒子が小さくなって来ると.比重もほゞ・−・足して来るような こと.が考えられる(第2図). (欝≡表)材料S,T及びUにつ いてZ=−∂の跨0なると きのZの借 材料】Z の 値
更に実際に測定して得た 比重に.ついて,サムプルが 3gr.以上の場合の比重の平㌔紳
均借を材料S,T及びUについて欝≡表に.比較するように決めて 見た(第四表).実測値はサムプルの3∼5grの範囲で測定せ 杜蜃 、○_ ーー___0.. られたから笥≡表における より低いととは当然であ る. 材料S,T及びUに・つい ては以上のようであったが 種々の (五表)材料A, (四表) 材料S,T及びUにつ いてサムプルの畳3gr・以上で 求められた粉末比重5 ●†、丁 .†u
100加捉£ 200仇‘㌶ (第2図) 勢三菱に於ける材料 粉末の大きさと比重の関係 B及びCの粒子の大きさの組成 材 料l比霊 の 平 均 S T U 0.907±0.002 0.828±0.003 0.80ユ.±0.008 大きさ の粒子粒子の大きさ【 A 】 B I C
の混在している材料即ち複合系のものに/つい ても同様な結果が得られた.この材料A,声 及びCの粒子の組成を示せば次の通りである (第五表及び第3図). これ等の材料についてもサムブルの盈(gr) と容量(y)の関係式(第六表),これから 得られる比重の借(1/a,∂=0)及び実測値 の平均による比富の備に.ついても前述の材料 繋 数字は重畳組成で%を示す. ※ 200TneSh以上に小である粉末はこれを細分する ことが出来なかつたから・一潜した。 と同様な結果が得られた(第七表).この場合においても材料粒子・の大きなものを多く含むものほど 沌% 0Ⅰ64 香川県立選科大学学術報告
材料S,T及びUとA,B及びCの比較であるが,大体視
合系の材料町方が高い比嘉が得られる(第三,四及び 七表)・このことに・?いてほ前述の土壌における孔聯云 々について,複合系のものほど孔傾が′j、さくなり,仮 比革が贋の比重:に接淀することから,比蛋の億が高く なると考えられよう. 最後に各材料から求められた関係式す=、ax十bにおけ (第七袈)材料A.B及びCに.おける 比重において,1/aと.サムプル3gr 以上で測定された平均値の比較 る中の備についでであるが,これが白米の材粁であると云うこと.の七めに大体一定してはい町、だろ うか(第八表). bの備に一定性があると仮虚してニ,手繰法 で測定されたサムプルの容量(y)を補正し で比重を計算したもの声ミ第九表である. (第九表)サムプルの春草(y)をbで 補正して求めた粉末比重と/補正されな いものとの比較(材料Sについてb=0 二 (第八表) 各材料のbの借 材 料卜b′ の 値】 b一平均値l(b・一丁一平均値) サÅプル の容墓 (Ⅹ) 0.′00フ.1 0.フ.1 粉末通牒蛋量れ暦琵蓋㌣ 容盈(yノ) 平 均卜 0.、12土0.084 以上のように手繰洪による粉末比重測定にこ?程の 仕組みがあると考え.られるが,こ.ゝで最も泳者すべ きこと.はサムプルの容量笹bのような・一・定の顔差が出 ることで,これは測定に用いるメスシタンドルが不.正 確であれば当然この可能性が考えられる= であるから メスシリ▲ンドルは(径約1cmの10cいC..のもの)ヤ数本 のもゝの中から目盛の正確なもの二本を選定したもの を用いたことを附記して置く. 門値=01932±0・004註1)こゝに用いるサムブルの盈とは測憩こ用いる粉末 1/a=0・926 の盈のことである 。以下同様に〝サムブル〝なる言 葉はこの意味に用いてある。 註2)粉末比重に於けるサムアルの盈とは所謂容盈のことであるが,サムブルの適意を考える場合こゝでは容 歪を親準とした。 〔ま と め二〕 粉末比重測定に用いる粉末の畳が少いと比露は低く求められがちである..これほ粉末の容盈測定の とき笹生ずる−・定の誤差に.起因するものらしい.従って測定のための粉末の畳は多い程よく,比重の 誤差が1/由以下で’ぁるた捌こは,この実験に用いた白米の粉末材料においては,少くとも粉末材料4 gが必要であった. 更に材料粉末の粒子が粗大である程比重:が高く求められた.これほ土壌の仮比重測定の場合におけ る孔隙畳の問題に比して考えられるのではないかと思われる. このことは稜々の大きさの粒子の混在している粉末材料が単一・の粒子からなっている材料より比重 が高くなることからもうなづける. 以上の結論を椅白米の粉末材料から導いた.第6巻簡2骨(1954) ユ65
〔参 考 文 献〕
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VolumenGewebe・・PulverlP・…… Jour.Dept.KyushuImpいUniv小Vol.l−151 2)描線・深城(192フ):植物体内物質含有畳測訊こJ「組織粉末汲」を 学芸雑VpL 3)−・今村(1937)‥植物体各部の痴天主ヒ畠の湖東と其の窪痙的意義.植物学雑Vol..51・−317 4)−・小坂(−1・92∂):植物体内物質含有塵測勧こ「組織粉末汲」を利用すること.了の効果について址 九大農学 芸雑Vol.3−56 5)佐野・田口(土§姐):層日操作転よるホウ‘セシカの乾燥物質及含水盈の変化に就いて 植物学雑Volい55− 13l 6)田口(1944):発育過程に於ける植物の組織粉末比重.含水盈動こ細胞液濃度の変化より見たる日長効果 九 大戯学芸雑Vol.11 7)内田 8)山下(ユ940)‥植物喋り多汁皮を比較する方便と.しての組織粉末比翼の細胞液濃度 九大農学芸雑Vd、.9−3ら R占s u m(三