牛乳中のアセトン体について-香川大学学術情報リポジトリ

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156 香川大学農学部学術報告 牛乳中のアセト ン体について

官 辺 豊 紀,欠 部

菜 Ⅰ 緒 p 反射動物はカロリーの栄養源を主に脂肪酸からとっている..炭水化物ほ筋一周内で酪酸,プロピカ・ン酸,酪酸まで 微生物によっで分解され,これらは低級な揮発性脂肪酸として前胃から吸収される.健康な乳牛では酎酸,酪酸など すべて.酸化されて−熱源となり,またグリコーーゲンの合成にも役立つのである.しかしいったん何らかの生理的圧迫( 副腎皮質ホルモンの不足であると言われでいる)が加えられたときほ脂肪酸の酸化が中止され血中のアセトン体が増 嵐して乳牛に中毒症状を呈する“これがケトー・汐スである血中のケトン体が増盈すれば牛乳中のケトン休も増加す るしたがって年乳中の脂肪とアセトン体ほ関連性をもっていると考えられる牛乳中のアセトン体についてはこれ まで余り報告がみられないが,前野氏(1)ほアルコール不安定乳の分泌原因を究明する目的で乳中のアセトン体およ ぴクエソ酸の定患を行ない,その結果アセナン体ほ常乳と殆んど変りがなく,治療によりアルコL−ル反応が陰転して も必ずしも減少しないので,アンドーレスが主原因でほないと述べている 著者らもこの異常乳(アルコール不安定乳)の研究の一・環として.ヰ乳中の脂肪とアセトン体の関係について研究を 行ったので報告する Ⅱ 実 験 方 法 供試乳ほ当大学附近.に飼育するホルスタイン種の搾乳直後の新鮮乳を使用したい(1)牛乳検査:アルコ、−ルテスト ほ占8%で行ない,酸度ほ供試生乳20m梗フェノ−ルフタレインを指示薬としてロ.1規定苛性ソーダ溶液で滴定し,皿1 /dlの単位で表示した.(2)総蛋白質:全乳を5,500回転の遠心分離な行ない,2回脱脂して.脱脂乳を得,これを分析 に供した‖ 脱脂乳1mlに.10%硫酸銅溶液2ml,粉末硫酸加壁2乱 濃硫酸5mlを加えて加熱分解し,セミミクロケル タール法紅よって窒素を定鼻し,これに占…58を乗じて総蛋白質盈とした.(3)カゼイン:脱脂乳を10%酪酸と1規定 酢酸ソープでpH4.るとし,カゼインを凝固させて:のち濾過し,濾彼のいわゆる非カゼイン溶液から一・定盤をとって前 記1司様に定量した。(4)脂肪:ゲルベル法の常法によった,(5)全アセトン休:GREENBERG‘隻LESTER法(2)(1944) を改良した小山,向山 守田の方法(3)に.よっで定愚した全アセトン休すなわらアセトン,アセト匡措酸およびβ− オキン酪酸総監の測定のためにほこの三者よりF・b来するアセトンの和を測定するすなわち脱脂乳0.15Ⅳ−Ba(OH)2 10mlと2..5%ZnSO4・7H2010mlで除蛋白し,この除蛋白液20mlを欲望試験管に熔封し,封管を1000Cの水浴中で 50分間加熱した冷却後この分解液20mlを繍酸酸性Ⅹ2CI2074mlと共に試験管に封入し1000Cの水浴中て汚0分間加熱 してβ一一オキジ酪酸を酸化させアセトンに変化させた50分後冷却して三内容の反応液20mlを取出し,遠沈管を水冷し ながら,7.5%Na2SO41mlを加えて過剰のK2CI207を完全に還元し,次いで7.5Ⅳ−NaOH7mlを短めて徐々に加えて 水冷しつつ過剰のH2SOまで中和して弱酸性としたこ.れに0い5%2,4−汐ニトロフ.ェ.ニルヒドラジン(DNP)2mlを加 えて25◇Cで5分間放置し,これに2.5mlのCCl集を加えで振記機で15分間席数し,アセトンのヒドラゾンを抽出した 上層をすて下層のCCl4屑を5mlの蒸溜水で2臥 0∩5Ⅳ−NaOHで1回,叔後に未潜水で1回5分間振歯し,充分批 准したこれに5mlの純ユタノ1−ルを加え,2N−NaOHを01ml加えると贅色のCCl4屑が赤色に変化する.この液 をS4.$またはS47のフィルターで吸光度を測定した Ⅱ 実験結果および考察 牛乳(正常乳)中の脂肪合晶とアセトン体の関係についてしらべた実験結果ほ第1表に示した通りである.供試乳 は20頭分を分析に供した占8%アルコーールテストは陰性,酸度ほ122から18.5の範囲であってすべて正常であった 試料番号は脂肪合愚が大であったものから順次に述べた.酸度の平均ほ15。1であった.脂肪含盈の扱高は5..7%,最 低ほ2..る%,平均ほ5りる%であった.アセトン体ほ217γ%から578γ%の範囲のものが大部分で平均は5D8γ%であった 脂肪含孟の最高は5.7%でこの牛乳1点だけは他の牛乳に比べて著しく脂肪%が大であったがアセトン休も459γ%と

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第14巻第2号(1963) いう大きな含盈を示した..この試料だけは例外的で あったが,他の19点の試料についてみると牛乳中の 脂肪合盟とアセトン体の間には何等相互の関係はな いことが認められたまた酸度と脂肪含盈,酸度と アセトン体との問にも相関性は認められなかった (欝1表). 第1表の結果を牛乳中の脂肪含盈の高いものある いほ低いものに5区分してみると脂肪合盈が5.2− 5…7%の普通の範囲のものほ他のこの範囲より高い ものあるいは低いものに比べてアセトン体を多立合 有することが認められたが,著しい差異ではない (第2表) もともと動物体が脂肪を摂取すると体内で脂肪酸 となり,脂肪酸ほ酢酸,酪酸を経てCH8COX(ア セチール化合物)となり,更にこれがCoAと共にオ キザロ酪酸を合してク.エン故になりTCAサイクル に入って酸化されエネルギーを得るかまたほCH8C OXがピルピン酸を経てグリコーゲンに再合成され る場合ほケトン休ほ増盈しないのでケトージスも起 り雉くなるしかしC‡iBCOXがCoAと結合しなけ ればアセt酪酸,アセトン,β−・オキン酪酸のよう なケトン体を生じ牛乳中のケトン体を増すこととな るり このように脂肪代謝とグトン体の生成とほ密接 な関係ほあるが,牛乳中の脂肪舎監とケトン体の間 にほ必ずしもそのような結果は得られなかったす なわち牛乳中の月旨肪含盈の多いもののうちにアセト ン体舎監の多いものや少ないものがあり,脂肪合盈 157 第1表 年乎L中のアセトン体と脂肪合盈 5.5る 1 507.8 (註)アルコールテストはる8%,酸度ほ生乳10口mlに 対するフェノールフタレインを指示薬としたと きの01.1規定苛性ソー・ダの所要盈mlを表わす. 年乳とほ正常乳のことである 欝2表 牛乳中の脂肪含意とアセトン体の関係 の少ないもののうちにもアセトン体の 多いものや少ないものがあったからで あるり ただ例外的に顕著にアセトン体 の多かったのが試料No.1,その次に 多かったのがNoるであったこのう ちNo1は前述の通り脂肪含蒐も顧著 に高く,いわば−・種の高脂肪性の異常 乳であったが,蛋白質含量ほ5、7占%( 全空茶100分中のカゼイン儲窒素の分 \ 脂肪含蒐 、、、、 項目 5‖2一5.7% (範 囲) 5.8−4いる% (範 囲) 2.る−5.1% (範 囲) 総 平 均 2..85 1 5.45 1 4.5占 1 5.44 月旨 肪 % アセトン体 γ%】270巾2 1528.5 1285。4 1500.9 試験牛の頭数lる頭の平均I9頭の平均14頭の平均119頭の平均 (註)この表ほ第1表の供試料No一.2−20までの月旨肪合盈の範囲別の値 布は78L7)で正常であった.No.るは脂肪合盈ほ5.7%でとくに多いというはどのことはなかったが,ただ金堂索100 分中のカゼイン儲窒素の分布蒐(カゼイン分布盈)が僅か58.7(蛋白質含盈ほふ27%)で著しく小さい値を示した. 著者(4・56)によると正常乳であれぼカゼイン分布鼻ほ平均約78で75−82の範囲であるい 正常乳でもときにはる5一−74あ るいほ.85以上の傾のものもあるが割合にこのような牛乳はすくない“故にNo.占ほアルコ・−ルテストは陰性でも特殊 の正常乳であると考えて差支えない‖ この例外的なNo.1,dを除いた他の年乳の蛋白質合盈は2.59−5.7占%であっ たただNo.2だけが4い40%の高い蛋白質含畠を示した、カゼイン分布蒐は殆んど大部分が75−82の正常値でNo.18だ けが占4.7であってやや小さい値を示した 異常乳(アルコ・−ル不安定乳)のアセトン体含塁は正常乳と余り変りがなかった脂肪含盟とアセトン体の間紅も 何等相関性ほ認められなかった(第5表)い 異常乳の蛋白質合丑は2.70「5.弧 カゼイン分布盈は.Noい2を除いては正

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香川大学戯学部学術報告 常備より小さい値を示したい カゼイン分布星が小さ い値を示すのほ異偏乳の特徴である 異常乳qlのアセトン体合意が正常乳と変りがなか った点については前野民(1)の報告と同じであっ た アンド−・レスがこの異常乳の分泌の原因となっ ている場合もあると考えられるがこれがすべででは なく,繁殖障害,飼料による栄養障害,乳腺機能の 故障などが庶医トであると考えられる.乳房炎乳とア ルコーール不安定乳とほ全然区別して考えた方がよ い 要 158 第3表 異常乳中のアセトン体と脂肪合重

ー ー

アセトン体 γ% 25占、.9 518.4 509小1 330 2 アルコ− ルテスト 酸 度 10.9 14り口 12.2 1占5 + + + +

平均f +il5−4 −

(註)異常乳とほアルコール不安定乳のことないう 酸度ほ第1表に同じ Ⅳ 摘 牛乳中の脂肪含量とアセトン体の関係について乳牛24頭(うらアルコール不安定乳の乳牛4頭を含む)の試料乳を 分析した結果を要約すると次の通りである (1)牛乳(正常乳)中のアセトン体の含愚の平均は508γ%であった(脂肪合致は平均5…占%) (2)牛乳中の脂肪合蚤とアセトン体との間にほ何等相関性ほ認められなかった(脂肪含量ほ2ふ4りる%の簡閲) ただ例外として脂肪含最が頚著に多いものでアセトン体を多景含有するものがあった (3)異常乳(アルコール不安定乳)のアセトン体含盈ほ平均504√y%であって正博乳と変りがなかったまた脂肪 合塁とアセトン体との間にもとくに相関性ほ認められなかった (郵 政に異常乳の分泌がアシドーンスに原因している場合もあるかも知れないが,これが原因のすべてではないと 考えられた 終りに御指導細々卿運を賜った川村信一廿郎教授に厚く御礼申し上げます 引 用 文 献 (1)前野正L久,斉藤番・−■J・,高村幹男:日畜会報,2る,1 (1955) (て955) (4)官辺豊紀:農化,る4,544(19占0) (2)GREENBERG,LA.,LESrER,D.:I。Biol (5)一−−:同上,54,548(1960) Cカβ∽‖,154,177(1944) (6)−−−−【:栄養と食料,12,558(19占0). (3)小出 5私 向山弘茂,守田トミ:法化学,25,50占

On the acetone bodyin cow’s milk

ToyokiMIYABE and KaoIu YABE

Summary The relations between the fat content and the acetone bodyin the milk fr’Om 24 cows (including themi1k of normalacidity and positivealcoholtest from4cows)were studied and results of examination come to a conchsion shown below.

(1)The average value for acetone body ofnormalcow’s mi1k was 508ry%(the average for mi1k fat

WaS5♪占%).

(2)Nearly no correlation was recognized between fat content and acetone bodyin the normalcow’s

mi1k(the range2.6−4.6%of themilk fat content),althoughin the case of an exceedingly highcontent Of血Ik fat the acetone body content was also high

(3)The aveIage Value for acetone body of the 皿ilk of normalacidity and positivealcoholtest was 504γ%、Whichindicates no ditferencein co工nPariso‡lWith the value of nor皿almilk.Moreover no special

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159 第14巻第2号(1963)

correlationwasrecognizedbetweenthemilkfatandacetonebody・

(4)Fromthesefactsitwas consideredthatthesecretionofabnormalmi1kmaybeduetotheacidosis in certain cases althoughitis not a unlque CauSe・

(Received October26,19占2)

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