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調理時における衛生管理と細菌性食中毒の防御に関する意識について

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調理時における衛生管理と細菌性食中毒の

防御に関する意識について

西 堀 すき江

  The Survey of the Consdousness toward H:yg童en皇caHy

  Management and:Food Poisonlng oぞBacteria ln Cooklng

      Su.kie NISHIBORI  The survey was made on 125 college students about sanitary management and defense of food poisoning by bacteria in cooking. The persons had been washing with only water more than soap and water on the way of washing hands before cooking. Achopping board was pasteurized with an antiseptic the malority of home。 The remainder sterilized the chopping board in boiling water。 Twenty six point two percent of persons have two separate chopping boards, one for vegetable and the other for fish and meat. To separate chopping boards is the best defense of food poisoning by bacteria. Everyone must heat foodstuffs enough, especially in season where occur food poisoning frequently. All oblects in this stu.dy were intensely interested in matters concerning the heating of foodstuffs for the defense of food poisoning by bacteria. 璽.はじめに  食中毒の発生率はD,1995年までは横ばい状態で,毎年3∼4万人前後の発生を見ていたが, 1996年5月下旬以降,全国各地で0457:H7による大規模な食中毒が続発したため,事件数, 患者数ともに大きく増加した,1996年における0457による事件数は,小学校が6事例,保育園 が3事例,事業所2事例,老人ホーム3事例,小・中学校,中学校,病院,仕出弁当屋各1事 例,計18事例である.短期間内に全国規模でこれほどの発生例が見られたことは世界的にも初めて のことであった.仕出弁当が原因となった事例以外はそれぞれの施設での集団給食が原因とされた. さらに,日本全地域での散発下痢患者も多数報告され,1996年7∼9月中旬1,211名にものぼり, 家庭内感染も49・例が報告された。この年の食中毒の事件数は1,217件,患者数46β27人であった。  近年,赤痢菌,腸チフス菌の患者は下水道の普及につれて急速に減少したが,一方ではサル モネラ菌属による下痢症は急激に増加し,1992年には食中毒件数,患者数とともにサルモネ ラ菌属が1位となった2).1999年の発生状況を見ると,サルモネラ菌属35.5%,腸炎ビブリオ

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156 東海学園大学紀要 第7号 28.1%,カンピロバクター5.4%で,サルモネラ菌属では3名,腸炎ビブリオでは1名の死者 がでた.原因施設別の食中毒患者数は飲食店が10,403人と最も多く,次いで仕出屋,製造業, 旅館事業場学校,販売店と続き,家庭は8番目である.しかし,発生件数で見ると家庭が 392件と,飲食店の456件に次いで多く,3番目の旅館121件,仕出屋99件,事業場67件な どに比べると格段に多いことがわかる.  そこで今回は,家庭における「食」の衛生管理について調査を行い,細菌性食中毒の防御へ の関心度を調べることにした.

2、概究方法

(1)調査対象  本学生活環境学科食物栄養専攻の学生計125人を対象に行なった, (2)調査期間 平成9年7月. (3)調査方法  表1に示す調査用紙を用い,対象者が自己記入した. (4)調査内容  食事づくりにおける衛生管理についての意識調査した。

3、結果および考察       霧

① 家庭における調理担当者について        姉妹  「あなたの家庭では調理担当者は誰ですか」とい   跳 う質問では,母69.、5%,祖母17。9%,本人11.3%と いう結果であった(図1).家庭における「食」の担 当は圧倒的に母親が多かった。次に,調理担当者が 「食」の衛生管理と食中毒の防御について関心を示し ているかを知るために,下記のような質問をした、 (2) 調理担当者の手洗い方法について  「家庭で調理をする人が,食事の支度をするとき どのように手を洗いますか」という質問では, よく水洗いする」が32.、1%,「つめブラシを使用する」が0%で, みで手洗いを済ませている人が多いことがわかった(図2). 図1 料理担当者        「水洗いのみ」が全体の69%,「石鹸を使用し,       食事を作る際に,水洗いの       集団給食施設では,石鹸の使用 はもちろんのこと,必ずつめブラシを使用して,爪の中まで徹底してきれいにしなければなら ない.家庭においては,施設と同じレベルで衛生管理を行うことは難しいが,面倒くさがらず

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。艇﹂粥β馳bや却るO総萩鰹b    二層浮図,駒Q層羅魍G 二層農螺慧駒懸,簑や螺慧轡鄭齢G        二層農螺慧駒鄭躰,身心鍵慧轡懸會        二や農螺嚇勾柵噸お や鍵嚇勾鞠却翁 心黙璽潭Q        。灸価粥 二黙脚下罵濫e綿姻,綴脚。や粥﹂融誕緯冒二〇罵二黙柵e潅Q綿綴罵蔦         ︵   ︶翠Q専守 熱蝋お 蝋翼翁 転恥争Q      。食価轡一蝋蝋ス凝心蝿Q勾.価幅﹂融謎韓罵く毅癩緯却凹二慧﹂        捉二二禽 二慧Q        。褻や粥﹂暇潔脚一聲qスゆ価鉱超          鎌裸㌫翁 鞍.礁︵噂 鯉潔命 鰹醤翁 鯉汁Q   。二拍喫Vりむ○脚○罵華華。灸価粥⊃璽脚※罵糞鉱饗ゆ%Q勾罵胡        綻二β爲 二慧Q        。灸価粥β㎏ o趣細脈ゆ%撫肩砲ざ﹀蝿罵馨鉱。価粥﹂舶置興り二〇罵薫長Q端鉱”織蒋        ︵  ︶翠e寧︵噂        懸く心へ陣孟承︵。っ 蝶ミーnミト翁 唖一轍螺二黙確鉱Q 。灸や粥﹂醗鰹脚Qψ静や憾Q勾慧曙灘傘蕪螺.鞠却ゆ価憂黙脚賦蹄聯罵        ゆ価暇趣砲端灘藁蕪鍵禽 給Q二螺曇︵門        。灸価粥二螺罵や粥Q勾盤Q申        捉二二禽 二慧Q      。褻や粥二審○知墜−脚﹃[釦皐運饗粥製﹂齪超,冒。蝿罵奪姻        捉ニニ翁 二慧Q        ︵V鐘脚愈螂心潔 翼−やψり﹂憂螺︶。灸価粥ニリむ余砲﹃[刷ゆ価購離脚聚裸㌫却懸.礁・僅        綻二β爲 二慧Q        ︵▽趣砲畑螂や潔翼−心ψり﹂ 癒黙︶。灸や粥二冒む余脚謬や粥ゆや聯聡姻懸蘇蛍却鎌.礁・僅.濫ゆや聯聡        碇二二翁 二慧Q        。灸や粥ニレ 。超砲蝦心蝿価却瀧﹀%砲蕪螺。価幅﹂柵誕緯罵く妻綻緯却ゆ価冊鰹脚晋轍鍵 、呂 .鎗 .◎○︻ 。ト︻ .糞 、雲 .薫 .。っ︻ .。“円 、二 .嚢        ゆ価ゑ螺耗,﹂醍超砲羅鍵翁 癒e零下耗禽  。灸や粥戸隠罵ゆ蝿Q勾慧還鉱。価粥﹂融誕緯冒二〇罵超羅Q曙姻罵蔦        ︵  ︶課Q寧︵鴫        璽。噸∼轡箕會 璽噂∼。っ鞭︵。っ 墜儒∼一烈翁 璽緯︵一       。食価粥﹂ 轡翼騒Qゑ心▽Q立脚鐘囎Q溢竈。価粥﹂融謎韓り二〇罵超遊Q溢碩罵巡        ︵  ︶翠Q申禽        璽儒∼榊ぼ︵噂 墜噂∼。っ烈お 璽㏄∼一鞭︵儒 璽潭Q        。灸価嘱﹂緯震轡翼縣聯Q二愈Ve勾       緯黙黙艇翁 緯潔曙灘Q     。灸無傷﹂緯潔罵心%Q勾。価幅﹂融謎緯葺く製癩緯却ゆ価㈱襲        ゑ層﹂㈱襲爲 ゆ価緯辺禽       。灸価構﹂ 荒鍬脚緊縛鱗片轡翼騒e延齢総。価粥﹂柵置興飛天〇罵緯襲e郭静粥”甲高 似e鵜姻 .① .◎。 螺艶 .瞬 砲○罵肛膵ゆ粥慧冒総 孟一お八トQり二〇罵羅誼Q騨岳鉱蛆穐適累却割迦酬羅ゆむ興思襲超鉱  二聴ゑΨな灸罵嫉O粥総︵。っ ゆ〆“㎏二〇簑螂瓢や黙姻申︵儒        ︵Φ灸勾静掻壇−︶ゆや鴨島V蝿㎏二〇罵二黙申︵一     。資糧﹂鞠護興難聴ゆ蔓﹂○憩二e慧櫓下標、蝦Qト属学齢4\.齎       綴野離剤お 縫鰹8 譲欄Q       。灸価轡eψ凝心蝿Q勾慧綴樽Q二螺ら、.。っ        ゆ価醗趣脚誌準ト£○お      ゆ総論安曇V蝿,⊃窪押脚綴陣︵儒 沁Q二螺曇Q        。灸価嘱二螺脚柵罵心蝿e勾鞠細ゆ価砲認  ,簑くゆ齢砲聯蕪駒翼懸。価櫛﹂舶謎韓り二〇罵β螺柵,慧魅櫛 .。“        ︵  ︶翠Q申︵◎。 <終ρ 煮慧︵⑩ 線、頃G 贈會 叙お 嘩細翁 叙細禽       。灸や轡龍慧榊鄭馴聯蕪.慧轡麗騒e製饗総,,一        ︵営緯験蝋琿皿辱畑︶。β駒トリむ‡       。価粥﹂露餌り二〇罵聯即超羅ゆむ緯”ゆ聰超鉱Q製縛総 綴曜孟一山ハト  騨構

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158 東海学園大学紀要 第7号 に,せめて石鹸を使用して手を洗うことは,食中毒防止の点から大切である.また,つめブラ シも安価であるので家庭の台所に備え,使用することが望まれる. ⑪% ⑳% 4⑪%      嚇⑪%      融⑪%  図2 調理前の手洗いの方法 ⑪% 口水洗い □石けん □逆性石けん 1⑪⑪% (3) 手洗い石鹸の種類について  「石鹸を使用し,よく水洗いする」と答えた人に,「手洗い石鹸はどのようなものですか」 とさらに質問すると,半数以上の家庭が固形の石鹸を使用していた,液体石鹸を使用している 家庭も多く,全体の41%を占めていた、一方,逆性石鹸は,家庭では全くといってよいほど 使用されていないことがわかった.しかし,1996年から騒がれている腸管出血性大腸菌0457 には,逆性石鹸による消毒効果が高いことから,家庭における食中毒防止対策として,今後家 庭でも使用することが望まれる3・4), (4) 小学生以下の弟,妹の手洗い指導について  次に,あまり「食」の衛生管理について知識の少ないと思われる小学生以下の子供の家庭で の手洗い指導について質問した、  「あまり気にかけていない」という答えが全体の50%であり,「手を洗う習慣がついている」 が40%であった、この結果から,家庭での手洗い指導を普及する必要がある. (5) まな板消毒について  調理器具,食事を作る環境について質問をした(図3)。「あなたの家庭ではまな板を消毒し ますか」という質問で,「消毒する」と答えたのは59。6%,「消毒しない」は40。3%であった. ここで半数以上の家庭はまな板消毒を行っていることがわかったが,消毒していない家庭も多 かった.  「消毒する」と答えた回答者に「どのように消毒しますか」と質問すると,薬晶消毒を行っ ている家庭が66。7%,煮沸消毒を行っている家庭が333%だった。市販でまな板消毒薬も販 売していることもあり,薬品消毒を行っている家庭が多かった、また,煮沸消毒も家庭で簡単 にできる消毒方法として普及しているといえる,どちらも家庭で手軽にできる消毒方法なので, 薬晶消毒,煮沸消毒の併用が望ましい.  「どのくらいの頻度で消毒しますか」という質問では,頻度の高い家庭では週1∼2回(34、 8%),大部分の家庭が月1∼2回程度(40.、7%)であった、意外に消毒の頻度が低いが,目に 見えないまな板の細菌類を駆除するためにまな板消毒の頻度を増やすようにすることと,調理

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消毒をする @騒輪% 消羅はしない

@鱒4%

消毒の方法 薬晶消毒        煮沸消毒 ヘ嚇7%       3欝。欝%    その他 毎日 騒% 器% 消毒をする頻度 週翫》4回  葡% 月唱∼艶回  4灘% 週嘔一艶回  灘4%       図3 まな板の消毒 の際にこまめに熱湯をかける等の工夫も必要である. (6) 台所掃除の洗浄方法について  「台所の掃除をどのくらいの頻度でしますか」という質問では,毎回している家庭が多く 38.3%,週1∼2回という家庭が27.1%,週3∼4回が1&7%,という結果であった(図4)。 台所は汚れやすく,臭いもつきやすいためか,掃除の頻度が高いと考えられる.        その他 4% 月望一慧園 @鱗% 毎日 撫7% 週藩一斑欄 鴛% 週唱∼慧 痰V% 図4 調理をする場所の掃除

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160 東海学園大学紀要 第7号 (7) 食材の洗浄方法について  家庭での食晶の取り扱い上の衛生観念について調べるために,「食材はどのように洗います か」という質問では,「水洗いのみ」の家庭が91.9%であった(図5),洗剤を使用する家庭は 8.1%であり,そのなかで「洗剤をよく落すようにしている」と答えた家庭が833%であるこ とがわかった.       洗剤をよく落とす       いいえ        洗剤使用 α纏%       樵7% い憾 はい 難篇%       水洗い 麗。7%        図5 :食材の洗浄方法 (8) まな板,包丁の使い分けについて 給食施設等で食中毒予防対策として行われている調理器具の使い分けが,家庭においてどの くらいなされているかを調べた(図6). 肉・魚と野菜を切る場合 まな板の使い分けする 肉・魚と野菜を切る場合 包丁使い分けする         食材が変わった時          嵌な板を毎回洗浄する

       ⑪艶⑪4⑪嚇。蔀⑪1⑪⑪

      人数(%)       図β 調理器具の衛生  「調理する時,肉・魚類と,野菜類を調理するまな板を分けていますか(洗浄してもう一度 使う場合を除く)」という質問で,「はい」と答えた家庭は262%,一方,「いいえ」と答えた 家庭は73.8%であった。また,「肉・魚類と野菜類を調理する包丁を分けていますか(洗浄し てもう一度使う場合を除く)」という質問においても,「はい」と答えた家庭は2L9%であり, 「いいえ」と答えた家庭が7&1%を占めていた。生肉や生魚から生食する野菜類等への汚染を 防止するために,まな板や包丁の使い分けが推奨される。家庭で使用するまな板はすべての料 は い いいえ は い いいえ は い いい緬

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理に使い回しすることが多いが,市販で小さめのまな板野も販売されているので,肉用や魚用 にもう一枚用意することが望ましい。  上記の質問で家庭における調理器具の使い分けがあまりおこなわれていないことがわかった が,調理時にその洗浄がどのくらい行われているかを調査した、「食材によって,使用したま な板や包丁を一回ずつ洗いますか」という質問では,「はい」と答えた家庭は84。5%,「いい え」と答えた家庭は15.4%であった。  その洗浄方法を調べるために「その時どのように洗いますか」という質問をしたところ, 「水洗いのみ」と答えた家庭が91.8%,「洗剤や薬晶を使用する」と答えた家庭が8。1%であっ た.「調理器具を洗浄する時,洗剤や薬品はどのようなものを使用しますか」という質問では, 「食器洗い洗剤」が96。4%,「アルコール類」が0。8%,その他漂白剤や,自家製石鹸を使用し ている家庭が,2.7%であった,調理器具の洗浄は行われているが,ほとんどの家庭が水洗い で済ませていることがわかった。食晶の汚染を防ぐため,調理器具の使い分けをするかわりに, 使用することにしっかりと洗剤や,薬晶を使用して洗浄することは大切である.よく使われて いる洗剤は食器洗い洗剤であることがわかったが,これは各家庭にたいてい置いてあるものな ので,使用して洗浄を行った方がよいといえる. (9)食晶の加熱について  食材の加熱殺菌についての関心度を調べるための質問をした.「食材によく火を通すよう気 を使っていますか」という質問では,「はい」と答えた家庭が100%であった。「主にどのよう な食材に火を通しますか」という質問では,牛肉18。9%,豚肉5L8%,鶏肉292%,魚類86、 5%,野菜類87.4%という結果であった、  肉類では,一般的に牛肉と鶏肉は生食でき,調理時に特によく火を通さなくてもよいと思わ れがちであることが調査結果からわかった。豚肉に関しては,ジストマ菌を死滅させるために 念入りな加熱が必要であることがよく知られているためか,よく火を通すようにしている家庭 が多い。しかし,それでも5L8%である。1996年から騒がれている病原性大腸菌0457に対 しての感染予防対策が行われているかということを調査結果から見てみると,驚くほど関心が 薄いことがわかった、わが国では病原性大腸菌0457は,主に牛肉を感染源としているとい われている.しかし,諸外国では牛肉以外にも豚肉,鶏肉,羊肉の汚染が明らかにされている. 輸入肉が多く出回っている今日,家庭での食中毒防止対策が重要視されている、豚肉に限らず, 肉類全てにおいて念入りな加熱を行うべきである.  魚類では,大半の家庭がよく火を通して食べていることがわかった。腸炎ビブリオ菌は食塩 のないところでは発育できず,また熱に弱いため,腸炎ビブリオによる食中毒は大半が生食す る海水魚の刺身や寿司から発生する、日本人は魚をよく食べることから,腸炎ビブリオによる 食中毒の発生は,サルモネラ二二(発生件数825件,患者数11,888人)に次いで発生件数667

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162 東海学園大学紀要 第7号 件,患者数9β96人と多い.適切な衛生管理を行えば食中毒の発生を十分防止できる.食中毒 の発生頻度の高い季節には刺身等生食を避け,できるだけ加熱することが望ましい.特に,抵 抗力の弱い幼児,老人や,体調が優れない人に魚を提供する場合は,十分加熱することが必要 である.  野菜類においても,肉類魚類または水からの食中毒菌の二次汚染が起こることが予想され るため,食中毒の発生しやすい時期には,特に子供や老人など抵抗力の弱い人の食事や調理後 喫食までの時間が長い集団給食などでは生食できるものも加熱することが求められている.  食管の加熱殺菌についての関心度を調べるための質問をした.「食材によく火を通すよう気 を遣っていますか」という質問では,「はい」と答えた家庭が100%であった. (10) 食事前の手洗いについて  最後に,食事をする本人の手洗いの習慣を調べるため,「食事の前の手洗いについてお聞き します.毎食,食事の前に手を洗いますか」という質問をした(図7)。  毎回洗う  時々洗う 時々洗わない  家では洗う 学校では洗う  洗わない ⑪     咽⑪    艶⑪    欝⑪    40    騒⑪    艦⑪        人数(%)       図7 食自前の手:荒い  半数は毎回,食事前の手洗いをするよう心がけているが,あとの半数は,洗ったり,洗わな かったりであることがわかった,

4、まとめ

 食事づくりにおける衛生管理についての意識調査を,本学短大食物栄養専攻の学生125名を 対象に行った,  調理をする前の手洗いについての質問に対しては,「水洗いのみ」が全体の69%を占め, 「石鹸を用いてよく洗う」は32。1%,「ブラシを使う」は0%で,手洗いが十分行われていな いことが伺える。  また,日本では肉や魚が汚染源と考えられるサルモネラ附属や腸炎ビブリオによる食中毒が 毎年多発しているが1),これを防止するために有効と考えられる調理器具の使い分けに関する 質問では,使い分けをしている家庭が262%と少なかった.使い回しをしている場合,「水洗

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いのみ」が9L8%と大多数を占めていた.肉や魚の調理に使ったまな板を水洗いし,そのまな 板を使って野菜を切った場合,その野菜が加熱調理されれば菌が付着していても殺菌でき食中 毒には至らないが,サラダなど生食で用いられる場合は食中毒が発生する危険性が大である3・4). 使い回しをする場合,生食の野菜から先に調理するか,肉や魚を切ったまな板は十分洗剤で洗 い,野菜用として用いることが望ましい.  今回の調査を通し,腸管出血性大腸菌0457に対しての関心は高いが,各家庭における食 の衛生に関する意識・行動変容までは至っていないことが推測された.更に,調理実習,給食 管理実習などを通し,啓蒙する必要があることがわかった。 参考文献 1)(財)厚生統計協会1厚生の指標 国民衛生の動向,48,280,2001年 2)伊藤武・甲斐明美・尾畑浩魅・仲西寿男著1食品に起因する新しい感染症,臨床栄養,89,832,1996   年 3)太田和枝著:給食施設におけるHACCPシステム,臨床栄養,90,121,1997年 4)上田成子著10−157と給食,月刊メニュー・アイデア,1月号,1996年

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