視聴者視点によるNHK評価
平成21年度報告書
平成22(2010)年6月
視聴者視点によるNHK評価委員会
目 次
はじめに...1 I 「視聴者視点によるNHK評価委員会」の位置づけ...3 II 「視聴者視点によるNHK評価委員会」の評価指標・項目...4 1.評価指標開発の考え方と方法...4 2.評価指標・項目『2つの信頼・8つの指標』...6 III 評価の基本方針と平成 21 年度の委員会の活動... 12 1.評価の基本方針... 12 2.平成21 年度の委員会の活動 ... 17 IV 平成 21 年度視聴者視点によるNHK評価... 20 IV-1 評価結果の総括... 20 Ⅳ-2 「放送の信頼性」の評価結果 ... 23 1.「放送の信頼性」の評価総括... 23 1)「独立性・公正さ」... 23 2)「質の高さ」... 25 3)「役に立つ」... 27 4)「親しまれる」... 29 5)「社会への貢献」... 31 2.「放送の信頼性」を構成する評価項目ごとの評価... 33 1)「自主・自律」... 33 2)「公平・公正」... 35 3)「多様性を踏まえた編成」... 37 4)「迅速・正確な報道」... 40 5)「丁寧な取材・制作」... 41 6)「良質な番組の開発」... 43 7)「ジャーナリズム性の発揮」... 46 8)「人にやさしい放送」... 49 9)「品位ある放送」... 53 10)「緊急・災害時の迅速・正確な情報提供」 ... 55 11)「生活情報の提供」 ... 57 12)「学習機会の提供」 ... 60 13)「国内外の社会情報の提供」... 62 14)「利用しやすいサービスの開発・提供」... 64 15)「わかりやすい放送」 ... 6817)「話題性の提供」... 72 18)「娯楽性の提供」... 74 19)「社会的課題の情報共有」 ... 77 20)「地域社会の発展」 ... 80 21)「文化芸術の発展」 ... 83 22)「記録・伝承」 ... 85 23)「放送技術の発展」 ... 88 24)「世界への情報発信」 ... 93 25)「デジタル化促進」 ... 96 Ⅳ-3 「経営の信頼性」の評価結果 ... 99 1.「経営の信頼性」の評価総括... 99 1)「誠実さ・透明性」... 99 2)「経済性・効率性・効果性」... 101 3)「変化への対応力・柔軟性」... 103 2.「経営の信頼性」を構成する評価項目ごとの評価... 105 1)基準得点について... 105 2)「説明責任」... 108 3)「視聴者意向の反映のしくみ」... 114 4)「コンプライアンスの徹底」... 118 5)「環境経営」... 122 6)「VFM向上」... 125 7)「意思決定と実行の迅速性」... 131 8)「効率的・効果的な業務運営」... 134 9)「職員の活性度」... 138 10)「長期的視点に立った組織設計と人材育成」... 143 11)「長期的視点に立った予算・事業計画」 ... 146 12)「危機管理」... 150 参考;平成21 年度の評価の加減点で考慮した要素一覧... 154 V 「視聴者視点によるNHK評価委員会」による考察... 156 1.視聴者からみた公共放送に関する考察... 156 2.NHKにおける「地域性」に関する考察... 176 参考;NHK経営9方針に対する視聴者の期待度と実現度... 193
はじめに
「視聴者視点によるNHK評価委員会」(以下、評価委員会)は、平成21 年 4 月 1 日に 発足した。発足1年目の本年度は、NHKの活動を評価する独自の指標ならびに項目の開 発にかなりの活動を注力した。 公共放送としてのNHKに視聴者が求めている期待や価値、放送を取り巻くメディア環 境の変化を踏まえ、公共放送の価値を中長期的な視点からも捉えることができる評価指標 とするため、視聴者のNHKに対する期待、要望、評価を様々な角度から分析し、議論を 重ねた。 視聴者調査では、評価に関わる多くの項目に対して、視聴者からの期待がいずれも高い ことが明らかになった。NHKは、今なお高い期待の中にある。評価委員会は、その高い 期待を前提に、評価指標を『2つの信頼・8つの指標』としてまとめた。それら『2つの 信頼・8つの指標』は、NHKを捉える指標であると同時に、視聴者が公共放送としての NHKに求める価値でもある。 本報告書は、新たに開発した『2つの信頼・8つの指標』で、平成21 年度のNHKの活 動を評価したものである。平成17 年度に、NHKは受信料収入の減少という危機に直面し た。様々な努力が積み重ねられた結果、受信料収入は回復した。それに伴うように、NH Kに対する視聴者からの信頼も改善しつつある。この状況を踏まえ、評価委員会では、信 頼を回復しつつあるNHKが、公共放送としてさらに高い価値を発揮し、視聴者から深く て高い信頼を確保するために、視聴者の視点をNHKに伝えることを目標として評価した。 そのため、評価委員会は、視聴者がNHKの活動にどのような期待を持ち、それらの期 待がどの程度実現されたと考えているか(「期待の充足率」=視聴者の期待をどの程度NH Kの活動が充足しているか)を、評価の基本的尺度とすることにした。NHKの活動が生 み出す価値が高まると、視聴者の期待も高まるであろう。期待の高まりも、視聴者の一つ の評価である。しかし、評価委員会は、あえて厳しく、期待の充足率を評価の基本的尺度 とした。変化する視聴者の期待や要望に十分に応えるとともに、期待を超えるような先導 的価値を提供して新たな期待を形成する。さらに、それらを高い水準で充足する。そうし たことは、公共放送としてのNHKの役割であると考えるからである。 評価を行うに際しては、視聴者調査を基本にしたが、視聴者からは見えにくいNHKの 活動についても可能な限り評価するという考えから、NHK職員調査、NHK役員ヒアリ ング、四半期業務報告等局内資料の読み込み、有識者アンケート、地域放送局視察、職員 との意見交換などを通して、NHKの活動の把握に努めた。評価委員会は、可能な限り中 長期的な視点を確保する努力をしたが、評価を主に行ったのは、NHKが平成21 年度に重 点的に取り組んだ活動とそこから得られた成果であった。評価は総合的に行ったが、この立性・公正さ」、「質の高さ」、「役に立つ」、「親しまれる」、「社会への貢献」という5つの指 標に分解して、評価する。「経営の信頼性」は、「誠実さ・透明性」、「経済性・効率性・効 果性」、「変化への対応力・柔軟性」に分解して、評価する。こうして、『2つの信頼・8つ の指標』となる。 視聴者による評価を基本にして評価が導かれた。「放送の信頼性」については、評価委員 会が、公共放送としてのNHKが達成しなければならないと考える評点を上回った。他方、 「経営の信頼性」については、下回ることになった。評価結果は、NHKの様々な活動の 問題点を指摘するものではなく、現状を見つめ、より高位の放送や経営をめざすためのも のであり、将来の放送や経営の出発点となるものである。それゆえ、報告書は、得られた 評点の意味を明らかにするとともに、今後の課題を指摘するように構成した。 さらに報告書は、『2つの信頼・8つの指標』の内容を明らかにした上で、「視聴者の公 共放送への期待の構造」、「公共放送を支える受信料に対する視聴者の意識」を考察し、「放 送の信頼性」を高めるための政策的課題を指摘した。あわせて、「地域の力」が、NHKの重 要な経営戦略となっていることから、視聴者との接点の最前線となっている地域放送局の 活動を重視し、地域放送局の取り組みを把握するとともに、地域放送に対する視聴者の期 待や要望の特性を明らかにし、地域放送の役割や仕組みについても考察を加えて課題を抽 出した。 このように、評価委員会は、可能な限り総合的に評価を加えたが、もとより完全なもの ではない。評価のあり方、課題の抽出も、社会状況、放送を取り巻く状況によって変化す る。したがって、環境の変化に細心の注意を払って、評価軸や指標の見直しがなされなけ ればならない。その意味で、この報告書は、公共放送NHK評価の出発点に過ぎない。今 後、多くの人々から意見をいただいて、さらに洗練されたものにしていきたいと考えてい る。 報告書の作成にあたっては、多くの方々から協力をいただいた。調査に快くお答えいた だいた多くの視聴者の皆様、放送番組モニターの皆様、有識者の皆様、NHKの職員の皆 様に御礼申し上げます。また、評価を導き出すために、多くの情報を積極的に開示し、放 送の各分野についての現状と課題を忌憚なく明らかにしてくれた福地茂雄会長、今井義典 副会長以下、理事の皆様にも感謝を申し上げます。 平成22 年 6 月 22 日 視聴者視点によるNHK評価委員会 委員長 谷藤 悦史(早稲田大学 教授) 委員 江上 節子(武蔵大学 教授) 委員 山内 弘隆(一橋大学 教授)
I 「視聴者視点によるNHK評価委員会」の位置づけ
(位置づけ) ・ 「視聴者視点によるNHK評価委員会」(以下、評価委員会)は、NHKが、視聴者 の意見や意向を的確に事業運営に反映させていく仕組みとすることをねらいに、NH K会長の諮問機関として、平成21 年 4 月 1 日に設置された。平成 20 年度まで活動し てきた「NHK“約束”評価委員会」の役割の一部を引き継ぎ、NHK執行部からは 独立し、客観的にNHKの活動を評価する。 ・ 評価委員会は、中長期的にNHKが公共放送として果たすべき役割を視聴者視点で検 討した上で、独自の評価指標・項目を開発し、アウトカム(視聴者視点でどの程度の 成果があったのか)を重視して評価する。NHKの活動の全てが視聴者から見えるも のではない(例えば、放送技術の研究開発やコンプライアンス対策など)ため、アウ トカムでの評価には限界があり、一部、アウトプット(NHKがどの程度の活動を行 ったか)で評価を補う面もある。しかしながら、最終的には視聴者に伝わる活動をし ていくことが公共放送に求められるという考え方のもと、敢えて視聴者視点のアウト カムを重視し、定期的にNHKの活動を点検していくことは意義があると考えている。 ・ 評価委員会の評価は、平成 21 年度末の時点で視聴者がNHKをどのように見ている か(とりわけ視聴者の期待にNHKがどの程度応えているのか)を調査・分析して評 点化し、わかりやすく表現したものである。 ・ 評価結果は、評価委員会よりNHK執行部に報告するとともに、広く一般に公開する。 (平成21 年度の活動方針) ・ 平成 21 年度は評価委員会の活動の初年度であり、独自の評価指標・項目を仮説的に 開発し、それを用いてNHK評価を行う。 ・ 評価委員会は、評価を通じて見えてくる課題も指摘する。課題への対応のあり方はN HKが判断するものであり、評価委員会は視聴者視点での課題の指摘にとどめる。 図表Ⅰ-1 視聴者視点によるNHK評価委員会の位置づけ 事業計画 インプット アウトプット アウトカム ・達成目標の設定 ・その実現のため の施策 ・施策の実行に 際して投入した 経営資源 ・施策の実行結果 ・視聴者の受け止め NHK全体 視聴者 視聴者視点によるNHK評価委員会 評価指標(NHKに対する 見方)と評価結果でNHKを わかりやすく伝える 評価結果を伝えるII 「視聴者視点によるNHK評価委員会」の評価指標・項目
1.評価指標開発の考え方と方法
・ 評価委員会では、次のような考え方のもとに、評価指標を開発した。①公共放送に対する視聴者ニーズを反映し、わかりやすい評価指標とする
・ 視聴者が公共放送に求めていることに対してNHKがどの程度応えられているか、と いうのが視聴者視点での評価の基本スタンスであり、評価指標の開発の出発点は、視 聴者ニーズの把握・分析にある。このため、NHK放送文化研究所の調査やNHKに 寄せられた視聴者の声などを分析し、評価委員会の評価指標仮説を設定した。 ・ 評価委員会の仮説が視聴者ニーズからずれていないか、意味がわかりにくいものでは ないかを検証するために予備調査(全国在住16~69 歳の男女を対象とする Web 調査。 サンプルは1,800 件)を実施し、その結果に基づいて仮説の見直しを行った。②メディア環境の変化を踏まえ、中長期的な公共放送の価値を見通した評価指標
とする
・ 放送と通信の融合の進展、若年層を中心とするテレビ離れなどを背景に、NHKとし ても、放送のみならず、通信分野も含めたメディアとしての価値のあり方を検討して いかなければならない。 ・ 時代環境や技術革新などによって、公共放送に対する視聴者ニーズは変化する。NH Kには、こうした変化を中長期的に見据えた価値の創出が期待される。したがって、 評価指標は、数年先に求められる公共放送の価値という意味合いで開発した。 ・ 開発の過程では、NHK“約束”評価委員会が研究してきた「公共放送の21 の価値」 を踏まえた。③公共放送としての責務や法制度上、NHKに求められることも踏まえる
・ NHKとして確実に実現しなければならない公共放送としての責務や法制度上規定 されている業務なども踏まえておくことは評価指標開発の大前提である。このため、 「放送法」、「新放送ガイドライン」、「NHK倫理・行動憲章」などの規程や指針にう たわれているNHKの役割や価値などについて確認を行った。④視聴者からは見えにくいNHKの経営面も評価し、視聴者に伝えていく
・ 視聴者とNHKとの接点は、放送番組の視聴、イベントなどへの参加がほとんどであ り、多くの視聴者にとって、NHKの経営に触れる機会は極めて少ない。このため、 NHKの経営面の評価指標については、視聴者ニーズを反映するという観点に加えて、 どのような視点でNHKの経営を見ていくとよいのかを視聴者に対して委員会が伝 える、ということもねらいとして開発した。2.評価指標・項目『2つの信頼・8つの指標』
(1)『2つの信頼・8つの指標』の概要 2つの信頼①「放送の信頼性」と「経営の信頼性」をNHK評価の2本柱とする
・ 公共放送としてのNHKは、公共の利益に寄与することを目的に、視聴者からの受信 料で放送サービスを提供しており、視聴者からの信頼の上に成立している。この観点 から、NHKが視聴者から受ける評価の基本的な価値として、「信頼性」をすえた。 ・ 評価委員会は、NHKが提供する放送サービスとそれを支えるNHK全体の活動を評 価する。このため、NHKが提供する放送サービスについては「放送の信頼性」、そ れを下支えするNHK全体の活動については「経営の信頼性」として評価を行う。 8つの指標②「放送の信頼性」の5つの評価指標
・ 「放送の信頼性」の結果を評価する指標として「役に立つ」、「親しまれる」、「社会へ の貢献」を置き、結果を担保するプロセスの評価指標として、「独立性・公正さ」、「質 の高さ」を置く。 ・「独立性・公正さ」 …自主・自律を守り、多様性、多元性の確保に努めているか ・「質の高さ」 …良質さと高い品位の実現に努めているか ・「役に立つ」 …情報が容易に得られ、生活の中で役に立っているか ・「親しまれる」 …幅広く親しみを持って利用されているか ・「社会への貢献」 …社会の様々な分野の発展に寄与しているか③「経営の信頼性」の3つの評価指標
・ NHKの経営の恒常的な側面を評価する指標として「誠実さ・透明性」、「経済性・効 率性・効果性」を置き、中長期的な側面を評価する指標として「変化への対応力・柔 軟性」を置く。 ・「誠実さ・透明性」 ・「経済性・効率性・効果性」 ・「変化への対応力・柔軟性」 …意見や要望を受け止め、誠実に行動し、説明責任を果たし ているか …より少ない経費で、より多くの成果をあげているか …視聴者の要望や環境の変化に、柔軟に対応する体制やしく みとなっているか ・ 上記8つの評価指標の細目である評価項目を含め、評価委員会の評価指標・項目の体 系を図表Ⅱ-2-1 に示す。図表Ⅱ-2-1 視聴者視点によるNHK評価委員会 評価指標・項目体系 『2つの信頼・8つの指標』 放送の信頼性 独立性・公正さ 結果を 担 保す る プロ セ ス の 評 価 指 標 ・ 項 目 自主・自律 緊急・災害時の迅速・正確な情報提供 公平・公正 多様性を踏まえた編成 迅速・正確な報道 丁寧な取材・制作 良質な番組の開発 ジャーナリズム性の発揮 人にやさしい放送 品位ある放送 質の高さ 役に立つ 生活情報の提供 学習機会の提供 国内外の社会情報の提供 利用しやすいサービスの開発・提供 親しまれる わかりやすい放送 感動の提供 話題性の提供 娯楽性の提供 社会的課題の情報共有 地域社会の発展 文化・芸術の発展 記録・伝承 放送技術の発展 世界への情報発信 社会への貢献 デジタル化促進 結果 の 評 価 指 標 ・ 項目 経営の信頼性 誠実さ・透明性 恒常 的 側 面 の 評価 指 標 ・項 目 説明責任 職員の活性度 視聴者意向の反映のしくみ コンプライアンスの徹底 VFM注向上 意思決定と実行の迅速性 効率的・効果的な業務運営 経済性・効率性・効果性 変化への対応力・柔軟性 長期的視点に立った組織設計と人材育成 長期的視点に立った予算・事業計画 危機管理 環境経営 中長期的側面 の 評価指標 ・ 項 目 評価の柱 評価指標 評価項目
(注) VFMは、Value for Money の略。コストに見合う成果を意味する。NHKの生み出す成果を金額換 算した時に、それがコストに見合っているかをはかる指標。
(2)『2つの信頼・8つの指標』の説明 ・ 評価委員会で開発した評価指標『2つの信頼・8つの指標』について、評価委員会で どのような考え方から設定しているのか、説明を加える。
≪「放送の信頼性」の5つの評価指標≫
①独立性・公正さ
・ 「独立性・公正さ」とは、自主・自律を守り、多様性・多元性の確保に努めているか を評価する指標である。 ・ 放送法においても、放送が公共の福祉に適合し発展していくために、「放送の不偏不 党、真実及び自律の保障」、「放送番組編集の自由」などがうたわれている。こうした 放送のスタンスは公共放送として視聴者から信頼されるための生命線である。 ・ 評価委員会では、「独立性・公正さ」を次のように分解して評価した。 評価項目 評価の内容 自主・自律 ・どのような圧力や働きかけにも左右されず、番組の取材・制作・編集を行って いるか 公平・公正 ・公平・公正を保って放送しているか ・様々な年代や地域に配慮した多様な放送をしているか ・異なる価値観や立場を踏まえて、様々な角度から放送しているか 多様性を踏まえた編成 ・特定のジャンルにかたよらず、全体に調和のとれた放送をしているか②質の高さ
・ 「質の高さ」とは、良質さと高い品位の実現に努めているかを評価する指標である。 ・ 公共放送だからこそ、信頼できる情報の提供、視聴率にとらわれすぎない番組の質の 追求が求められる。さらには、従来の枠にとどまらず、最新の技術や演出方法などを 取り入れて、新しい良質さを開発することも求められている。 ・ 評価委員会では、「質の高さ」を次のように分解して評価した。 評価項目 評価の内容 迅速・正確な報道 ・迅速な報道をしているか ・情報を正確に放送しているか 丁寧な取材・制作 ・丁寧に取材・制作した番組を放送しているか 良質な番組の開発 ・良質な番組を放送しているか ・従来の枠にとらわれない新しい形式の番組を創りだしているか ジャーナリズム性の発揮 ・重要課題を継続的に追求しているか ・真実に迫ろうとする姿勢をつらぬいているか 人にやさしい放送 ・高齢者や障害者などに十分配慮した放送に取り組んでいるか ・人権、人格を尊重した放送をしているか 品位ある放送 ・公共放送として品位と節度が保たれているか ・社会の規律や倫理に沿った放送をしているか③役に立つ
・ 「役に立つ」とは、情報が容易に得られ、生活の中で役に立っているかを評価する指 標である。 ・ 公共放送は、人々の役に立つものでなければならない。特に、生命・財産の危機に関 わる事態の予防と、発生時の被害拡大防止が重視されるべきである。また、日々の人々 の日常生活にも役立つという意味で、生活情報、社会情報など、幅広く情報提供をし ていくことが求められる。 ・ 評価委員会では、「役に立つ」を次のように分解して評価した。 評価項目 評価の内容 緊急・災害時の迅速・正 確な情報提供 ・災害時や緊急時に、迅速かつ正確な報道をしているか ・災害時や緊急時に、被害の拡大を防ぐのに役立つ情報を提供しているか 生活情報の提供 ・暮らしに役立つ生活情報を提供しているか ・日ごろから、防災や減災のための情報を積極的に提供しているか 学習機会の提供 ・あらゆる世代に、学習の機会を提供しているか 国内外の社会情報の 提供 ・国内外の情報を豊富に提供しているか 利用しやすいサービスの 提供 ・テレビ、パソコン、携帯端末など利用しやすいメディアで情報や番組を見られる か④親しまれる
・ 「親しまれる」とは、幅広く親しみを持って利用されているかを評価する指標である。 ・ 多くの人々に親しみを持ってもらうことで、広くあまねく放送サービスを提供する公 共放送としての視聴者層に広がりが出てくる。 ・ 評価委員会では、「親しまれる」を次のように分解して評価した。 評価項目 評価の内容 わかりやすい放送 ・わかりやすい番組を放送しているか 感動の提供 ・人々の心に残り、感動できる番組を放送しているか 話題性の提供 ・世の中で関心の高いテーマの番組を放送しているか 娯楽性の提供 ・娯楽性の高い、楽しめる番組を放送しているか⑤社会への貢献
・ 「社会への貢献」とは、社会の様々な分野の発展に寄与しているかを評価する指標で ある。 ・ 「社会への貢献」は、視聴者一人一人が直接的に受け取るというよりも、社会全体、 あるいは放送産業全体にもたらす公共放送の価値、という観点の指標である。公共放 送だからこそ求められる役割として、次のように分解して評価した。 評価項目 評価の内容 社会的課題の情報共有 ・番組などを通じて、国民が互いに議論し合える機会を提供しているか ・重要な課題について、判断の助けとなるような情報を伝えているか ・世の中に知られていない大切な問題をほりおこしているか 地域社会の発展 ・地元の人たちの暮らしを、災害や事件・事故から守る報道をしているか ・地域が抱える課題について、様々な視点から情報を提供しているか ・地元の人たちの暮らしが豊かになったり元気になったりするような情報を提供し ているか ・地域社会に関する情報を全国に向けて発信しているか ・イベントなど、地域の活性化につながる取り組みを行っているか 文化・芸術の発展 ・文化・芸術の発展へ貢献しているか 記録・伝承 ・国民的財産である映像記録を次世代のために蓄積・保管し、継承しているか 放送技術の発展 ・放送技術の発展に貢献しているか 世界への情報発信 ・世界に対して、日本やアジアに関する情報を発信しているか デジタル化促進 ・デジタル放送の促進・周知活動を実施しているか≪「経営の信頼性」の3つの評価指標≫
⑥誠実さ・透明性
・ 「誠実さ・透明性」は、意見や要望を受けとめ、誠実に行動し、説明責任を果たして いるかを評価する指標である。 ・ 視聴者との接点を重視し、受信料制度の理解促進を図るとともに、法令を遵守し、環 境にやさしい経営を行っていくという、NHKのあるべき経営姿勢を示すものである。 ・ 評価委員会では、「誠実さ・透明性」を次のように分解して評価した。 評価項目 評価の内容 説明責任 ・経営について情報を積極的に公開し、視聴者に適切に説明しているか ・視聴者に受信料制度を理解していただくための活動を十分にしているか 視聴者意向の反映のしくみ ・業務運営に視聴者の意向を活かしているか コンプライアンスの徹底 ・コンプライアンス対策が徹底しているか 環境経営 ・環境にやさしい経営をしているか⑦経済性・効率性・効果性
・ 「経済性・効率性・効果性」は、より少ない経費で、より多くの成果をあげているか を評価する指標である。 ・ 現在の受信料水準に見合った成果をあげているかをはじめとして、コストとの見合い の観点からの経営の適切性を示すものである。 ・ 評価委員会では、「経済性・効率性・効果性」を次のように分解して評価した。 評価項目 評価の内容 VFM向上(注) ・NHKがコストに見合う成果をあげているか 意思決定と実行の迅速性 ・職場の日常業務での意思決定が迅速か ・職場横断的な課題に対する意思決定が迅速か ・NHK執行部や経営委員会の意思決定が迅速か ・決定事項を迅速に実行に移しているか 効率的・効果的な業務運営 ・職場の業務の進め方が効率的・効果的か(注) VFMは、Value for Money の略。NHKの生み出す成果を金額換算した時に、それがコストに見合 っているかをはかる指標。
⑧変化への対応力・柔軟性
・ 「変化への対応力・柔軟性」は、視聴者の要望や環境の変化に柔軟に対応する体制や 仕組みとなっているかを評価する指標で、中長期的視点での組織の発展力を示すもの である。 ・ 評価委員会では、「変化への対応力・柔軟性」を次のように分解して評価した。 評価項目 評価の内容 職員の活性度 ・職場に活気があるか ・職員は仕事にやりがいを感じているか 長期的視点に立った組織設 計と人材育成 ・放送を取り巻く環境変化を見通して、組織設計や人材育成が行われている か 長期的視点に立った予算・事 業計画 ・放送を取り巻く環境変化を見通して、長期的視点に立った予算・事業計画 になっているか 危機管理 ・危機管理対策が徹底しているかIII 評価の基本方針と平成 21 年度の委員会の活動
1.評価の基本方針
(1)基本的な考え方 ・ NHKの活動が視聴者の期待に応えているか、さらには上回っているか、という観点 での評価を基本とする。 ・ 評価結果は、1~5点の評点として示す。評点は、「評価の柱」、「評価指標」、「評価 項目」の3つのレベル全てについて、1~5点で示す。 ・ 評点の意味を図表Ⅲ-1-1 に示した。「視聴者の期待値にほぼ応えている状態」を3点 に置き、公共放送として問題のない水準(必要水準)とした。 ・ 評点4点は、現段階で顕在化している視聴者の期待値に対しては十分に応えている状 態にある水準(十分水準)とした。 ・ 評点5点は、現段階ではまだ視聴者の期待が及ばないような先導的な価値を発揮でき た際に到達できる水準(卓越水準)とした。 ・ 評価委員会としては、評点3点は公共放送としてNHKが達成しなければならない水 準と考えており、さらに、評点4点以上をNHKに求めたいと考えている。 図表Ⅲ-1-1 評点の意味 ● ● ● ● ● 1 2 3 4 5 期待値に ほぼ応えている状態 期待値を 大きく下回る状態 期待値を 超えた先導的状態 評点の意味 評点▲必要水準
▲十分水準
▲卓越水準
公共放送 としての水準(2)評価の手順と方法 ・ まず、評価項目を評価し、次いで、評価指標、評価の柱、という順序で評価を行う。 それぞれの評価方法について、順次説明する。 評価項目の評価方法 ・ 原則として、「基準得点」を設定し、それに委員会が加減点を加える方法とする。
①「基準得点」の設定
・ 視聴者調査で把握した視聴者の期待度と実現度から「期待の充足率」を算出し、それ をもとに基準得点を設定した。「期待の充足率」は、視聴者からの期待をNHKがど の程度満たすことができているかをあらわす数値であるため、評価委員会の評価の出 発点とする。期待の充足率=
期待度
注1実現度
注2 (注 1)期待度とは、視聴者調査において、各評価項目・指標に対して「期待している」または「どちらかと いうと期待している」と回答した視聴者の割合。 (注 2)実現度とは、視聴者調査において、各評価項目・指標に対して、「実現している」または「どちらか というと実現している」と回答した視聴者の割合。 ・ 「期待の充足率」の値に応じて、1~5点の基準得点に換算した。「期待の充足率」 が 100%であれば基準得点が5、「期待の充足率」が 50%以下の場合は、基準得点が 1となるようにする。 1 2 3 4 5 基準得点 「期待の充足率」の値 ● ● ● ≦50% 75% 100% ● ● ● ● ● ※「経営の信頼性」については、評価指標についてのみ期待度と実現度を視聴者調査で把握する。評価項 目の内容について判断するためには様々な情報が必要であり、視聴者がこのような情報を持ちえない 点を考慮して、評価指標についてのみ質問した。このため、「経営の信頼性」については、評価指標に 対する「期待の充足率」を、それぞれの評価指標を構成する評価項目に適用し、基準得点を設定した。②加減点
・ 加減点は、視聴者から見えにくいNHKの活動を補完する意味合いで行った。加点、 減点ともに、基準得点に対して±0.5 点の範囲内とした。 ・ 平成 21 年度の評価において加減点で考慮した要素については、後掲の「参考;平成 21 年度の評価の加減点で考慮した要素一覧」に掲載している。※原則と異なる方法で評価した評価項目
■「放送技術の発展」 ・ 「放送技術の発展」については、放送技術という専門的分野であり、視聴者からは判 断しづらい項目のため、基準得点を放送技術分野の有識者調査の結果をもとに設定し た。 ■「世界への情報発信」 ・ 「世界への情報発信」については、国内の視聴者にはわかりにくいと判断し、視聴者 調査の調査対象外とした。このため、基準得点は設定せずにNHK取り組み実績で評 価した。 ■「VFM向上」 ・ 「VFM向上」は、視聴者調査で把握したWTP(Willingness to Pay;支払意思額) をもとに算出されるVFMの数値で評価している。基準得点は設定していない。 評価指標の評価方法 ・ それぞれの評価指標を構成する評価項目を総合して評価する。 ・ 評価指標レベルでは加減点を行わない。 ・ 「放送の信頼性」を構成する評価指標の評価については、視聴者にとっての評価項目 の重要度の違いを評価に反映するため、重みづけを行った。 ・ 重みづけは、視聴者調査で把握した、各評価項目に対する視聴者の期待度で行った(図 表Ⅲ-1-2)。ただし、視聴者調査の設問対象とはしなかった、「世界への情報発信」の 重みは、便宜的に、「放送の信頼性」を構成する評価項目への視聴者の期待度の平均 値を置いた。 ・ 「経営の信頼性」の評価については、それぞれの評価項目の重要度は全て同じと仮定 し、特に重みづけを設定しなかった。(視聴者調査においては、「経営の信頼性」の評 価項目の期待度については質問していない。)図表Ⅲ-1-2 「放送の信頼性」の評価項目に対する視聴者の期待度 78.4 80.7 76.1 89.2 84.3 75.3 77.8 84.4 84.3 91.8 84.0 79.0 79.0 66.8 81.8 81.6 78.6 60.9 74.4 78.1 80.5 82.4 73.0 79.6 74.9 0 20 40 60 80 100 自主・自律 公平・公正 多様性を踏まえた編成 迅速・正確な報道 丁寧な取材・制作 良質な番組の開発 ジャーナリズム性の発揮 人にやさしい放送 品位ある放送 緊急・災害時の迅速・正確な情報提供 生活情報の提供 学習機会の提供 国内外の社会情報の提供 利用しやすいサービスの開発・提供 わかりやすい放送 感動の提供 話題性の提供 娯楽性の提供 社会的課題の情報共有 地域社会の発展 文化芸術の発展 記録・伝承 放送技術の発展 世界への情報発信 デジタル化促進 独立性・公正さ 質の高さ 役に立つ 親しまれる 社会への貢献 評価指標 評価項目 (%) ※ 期待度とは、それぞれの評価項目に対応する設問に対し、「期待している」または「どちらかというと 期待している」と回答した視聴者の割合。複数の設問が対応する評価項目については、平均値としてい る。 ※ 母数は留置調査の全回答者(N=1,981) (出所) 視聴者視点によるNHK評価委員会 視聴者調査(平成 22 年 3 月実施)
評価の柱の評価方法 ・ 「放送の信頼性」と「経営の信頼性」の評価は、それぞれを構成する評価指標の評価 を総合して評価する。その際、視聴者にとっての評価指標への重要度の違いを評価に 反映するため、重みづけを行った。 ・ 重みづけは、視聴者調査で把握した、各評価指標に対する視聴者の期待度で行った(図 表Ⅲ-1-3)。(評価指標に対する期待度は「放送の信頼性」を構成する評価指標、「経営 の信頼性」を構成する評価指標のいずれについても、視聴者調査で質問している。) ・ 「放送の信頼性」と「経営の信頼性」の評価においては、NHKの経営目標である「接 触者率」と「支払率」をそれぞれ加減点の要素とする。 図表Ⅲ-1-3 評価指標に対する視聴者の期待度 78.8 82.3 83.9 73.0 79.5 77.2 69.9 71.1 0 20 40 60 80 100 独立性・公正さ 質の高さ 役に立つ 親しまれる 社会への貢献 誠実さ・透明性 経済性・効率性・効果性 変化への対応力・柔軟性 放送の信頼性 経営の信頼性 評価の柱 評価指標 (%) ※ 母数は留置調査の全回答者(N=1,981) ※ 期待度とは、それぞれの評価項目に対応する設問に対し、「期待している」または「どちらかというと 期待している」と回答した視聴者の割合。 (出所) 視聴者視点によるNHK評価委員会 視聴者調査(平成 22 年 3 月実施)
2.平成 21 年度の委員会の活動
1)委員会の独自調査・視察など①視聴者調査
・ 評価委員会で設定したNHK評価指標に対する視聴者の意向を把握することを目的 として実施したアンケート調査。 ・ 平成22 年 3 月に、層化2段無作為抽出法で抽出した全国の 16 歳以上の男女 3,600 人 を対象に、面接法および訪問留置法で実施した。 ・ 面接法で実施する設問と訪問留置法で実施する設問は、全ての対象者で同一とした。 ・ 有効回答数は面接調査は2,070 件、留置調査は 1,981 件(それぞれ、有効回答率 57.5%、 55.0%)。②NHK放送番組モニター調査
・ 上記の視聴者調査を補完することを目的として、NHK放送番組モニター(注)を対象 に、NHKの放送に対する課題認識を把握するために実施したアンケート調査。率直 な意見を把握するため、自由回答欄を多く設けた。 ・ 放送番組モニター(全国計1,050 人)のうち、調査協力の許諾をいただいた方々を対 象に、平成22 年 3 月に Web 調査で実施した。 ・ 有効回答数は642 件。 (注)NHK放送番組モニターは、国内番組について、考査の参考とするとともに番組制作にその意向を反映さ せるため、NHKが委嘱している。③視聴者フォーカスグループインタビュー
・ 地域放送に対する視聴者ニーズを把握することを目的として実施したフォーカスグ ループインタビュー調査。 ・ 平成21 年 11 月に、松山市に居住する 10 代、20~30 代、40~50 代、60 代の4つの グループ、各5名程度で実施した。④放送技術分野の有識者調査
・ 放送技術の分野は視聴者からは見えにくい領域であることから、放送技術分野の専門 家の意見を把握することを目的として実施したアンケート調査。 ・ 平成22 年 3 月に、NHKの放送技術研究委員会(15 名)と放送技術審議会(15 名) の委員各位を対象として郵送法(一部FAXを併用)で実施した。 ・ 有効回答数は22 件(有効回答率 73.3%)。⑤NHK職員調査
・ NHKの経営面は視聴者からは見えにくい部分なので、NHK職員の経営に対する意 見を把握することを目的として実施したアンケート調査。 ・ 平成22 年 4 月に、NHK職員(平成 22 年 4 月 1 日現在の在籍職員。ただし、在籍 1 年未満の新入職員、出向職員・海外支局勤務者を除く10,290 名)を対象に、Web 調 査(ASP 方式。インターネット上の回答用サーバーに回答者がアクセスして回答する 仕組み)で実施した。 ・ 有効回答数は6,604 件(有効回答率 64.2%)。⑥経営面の有識者調査
・ NHKの経営面の評価にあたり、有識者からのアドバイスをいただくことを目的とし て、平成22 年 2 月に学識者へのヒアリング、平成 22 年 4 月にNHK情報公開・個人 情報保護審議委員会との意見交換を実施した。⑦NHK役員ヒアリング
・ 平成21 年 5 月と 12 月にNHK副会長・理事へのヒアリングを実施した。 ・ NHKの様々な活動の実態、NHK役員の経営執行状況を把握することを目的として 実施したヒアリング調査。 ・ 平成21 年度は評価委員会の評価指標が開発段階にあったため、12 月の役員ヒアリン グは、評価指標に関する意見交換も含めて行った。⑧NHK地域放送局視察
・ 地方放送局の実態を把握することを目的として、平成21 年 11 月に松山放送局、平成 22 年 3 月に宇都宮放送局を視察した。 ・ 各局の取り組み状況や放送局内の視察のほか、若手職員との意見交換を実施した。⑨視聴者コールセンターおよび営業コールセンターの視察
・ コールセンターの実態を把握することを目的として、平成 21 年 9 月に、視聴者コー ルセンターおよび営業コールセンターの視察を行った。 ・ 業務状況の視察のほか、実際に視聴者からの意見や問い合わせを日々受けているオペ レーターの方々へのヒアリングを実施した。⑩国際放送局視察
・ NHKの国際放送の業務状況を把握することを目的として、平成21 年 11 月に、国際 放送局の視察を実施した。⑪技研公開 2010 への参加
・ NHKの放送技術の研究成果を把握することを目的として、平成 22 年 5 月に、技研 公開2010 に参加した。 2)NHK既存情報のうち、評価委員会が主要な評価基礎情報としたもの ・ 「視聴者対応報告」 ・ 「視聴者サービス報告書2010」 ・ 「四半期業務報告」 ・ 「全国個人視聴率調査」 ・ 「全国接触者率調査」 ほか 3)委員会の開催 ・ 平成21 年度の評価委員会の主な活動は下記の通りである。 ・ 平成21 年4月から平成 22 年6月までの間に、全 29 回の委員会を開催した。 平成21 年 4 月 会長からの諮問内容の説明、委員長互選、委員長代行指名 NHKの組織、業務の概要、NHK“約束”評価委員会成果の説明 5 月 役員ヒアリング(NHK執行部の課題認識の説明) 6 月 委員会の活動方針、評価方針についての検討 7 月 平成 21 年度視聴者視点によるNHK評価 評価方針公表 9 月 営業コールセンター、視聴者コールセンターの視察 10 月 評価指標・項目の検討 11 月 松山放送局視察 視聴者フォーカスグループインタビューの実施 国際放送局視察 12 月 NHK役員ヒアリング(NHK執行部からの中間的な成果の説明、評価委 員会の評価指標・項目についての意見交換) 視聴者予備調査(評価指標・項目の検証) 平成22 年 2 月 評価指標・項目の公表 3 月 宇都宮放送局視察 放送番組モニター調査の実施 視聴者調査の実施 放送技術分野の有識者調査の実施 4 月 職員調査の実施 5 月 評価報告書の検討 6 月 評価報告書の検討、公表IV 平成 21 年度視聴者視点によるNHK評価
IV-1 評価結果の総括
「放送の信頼性」:3.6 点、 「経営の信頼性」:2.5 点 放送の信頼性の評価 経営の信頼性の評価 ・ 「放送の信頼性」の評点は 3.6 点で、 構成する5つの評価指標が全て必要水 準である評点「3」を上回った。 ¾ 「質の高さ」の評点が最も高く3.9 点で、次いで「社会への貢献」と「役 に立つ」が3.7 点となった。「親し まれる」(3.4 点)と「独立性・公 正さ」(3.2 点)の評点はやや低め となった。 ¾ 「独立性・公正さ」は公共放送とし て視聴者から信頼されるための生 命線とも言える評価指標であり、こ の評価が相対的に低かったことを 真摯に受け止める必要がある。 ・ NHKが経営計画で掲げている「NH Kへの接触者率」は「放送の信頼性」 をあらわす指標として有効と考えられ る。平成 23 年度の目標 80%に対し、 平成21 年度は 76.8%であり、概ね目標 達成に向けた水準となっている。 ・ 「経営の信頼性」の評点は 2.5 点で、 構成する3つの評価指標はいずれも評 点「3」に達しなかった。 ¾ 「誠実さ・透明性」(2.7 点)では、 視聴者に対する受信料制度の理解 促進が順調には進んでいない点が 課題である。 ¾ 「経済性・効率性・効果性」(2.5 点)では、職場横断の意思決定のス ピードや、業務分担の見直しなどの 検討が必要である。 ¾ 「変化への対応力・柔軟性」(2.3 点)では、組織の硬直化の改善、要 員が限られた中での人材育成など への対策が課題である。 ・ NHKが経営計画で掲げている「受信 料の支払率」は「経営の信頼性」をあ らわす指標として有効と考えられる。 平成 23 年度の目標 75%に対し、平成 21 年度は 72.2%であり、概ね目標達成 に向けた水準となっている。図表Ⅳ-1-1 「放送の信頼性」の評価指標の評点 図表Ⅳ-1-2 「経営の信頼性」の評価指標の評点
3.2
3.9
3.7
3.4
3.7
0
1
2
3
4
5
独立性・公正さ
質の高さ
役に立つ
親しまれる
社会への貢献
2.7
2.5
2.3
0
1
2
3
4
5
誠実さ・透明性
経済性・効率性・
効果性
変化への対応
力・柔軟性
図表Ⅳ-1-3 評点一覧 放送の信頼性 3.6点 独立性・公正さ 3.2点 自主・自律(2.8点) 緊急・災害時の迅速・正確な情報提供(4.3点) 公平・公正(3.4点) 多様性を踏まえた編成(3.3点) 迅速・正確な報道(4.4点) 丁寧な取材・制作(4.1点) 良質な番組の開発(3.4点) ジャーナリズム性の発揮(3.1点) 人にやさしい放送(4.0点) 品位ある放送(4.2点) 質の高さ 3.9点 役に立つ 3.7点 生活情報の提供(3.7点) 学習機会の提供(3.6点) 国内外の社会情報の提供(3.4点) 利用しやすいサービスの開発・提供(3.5点) 親しまれる 3.4点 わかりやすい放送(3.7点)感動の提供(3.7点) 話題性の提供(3.2点) 娯楽性の提供(3.1点) 社会的課題の情報共有(2.7点) 地域社会の発展(2.8点) 文化・芸術の発展(4.0点) 記録・伝承(4.2点) 放送技術の発展(4.6点) 世界への情報発信(3.7点) 社会への貢献 3.7点 デジタル化促進(4.0点) 経営の信頼性 2.5点 誠実さ・透明性 2.7点 説明責任(2.5点) 職員の活性度(2.4点) 視聴者意向の反映のしくみ(2.8点) コンプライアンスの徹底(2.7点) VFM向上(3.5点) 意思決定と実行の迅速性(1.9点) 効率的・効果的な業務運営(2.1点) 経済性・効率性・効果性 2.5点 変化への対応力・柔軟性 2.3点 長期的視点に立った組織設計と人材育成(2.1点) 長期的視点に立った予算・事業計画(2.3点) 危機管理(2.3点) 環境経営(2.6点) 評価の柱 評価指標 評価項目
Ⅳ-2 「放送の信頼性」の評価結果
1.「放送の信頼性」の評価総括
1)
「独立性・公正さ」
≪評価結果≫
「独立性・公正さ」 3.2 点 ・ 「独立性・公正さ」を構成する評価項目の中で、「自主・自律」の評価が最も低かっ た。特に、男性30~50 代、女性 40 代の期待の充足率が低い。 ・ 放送番組モニターからは、政治、経済に関する報道に対して「問題の掘り下げが不十 分だ」という意見、ドキュメンタリーや討論番組などに対して「少数派の意見の放送 が不足している」などの意見があり、視聴者の受けとめ方は厳しい。こうした視聴者 の受けとめは、過去からの様々な出来事の影響が蓄積していることも、視聴者から寄 せられた声などからうかがわれる。 ・ 「独立性・公正さ」の評価が低くなった一因として、「独立性・公正さ」の視聴者の 解釈が多様であることがあげられる。NHKとしても改めて、公共放送に求められる 「独立性・公正さ」を視聴者とともに考え、共有していくことが重要と考えられる。 自主・自律を守り、多様性、多元性の確保に努めているか (構成する評価項目) 「自主・自律」、「公平・公正」、「多様性を踏まえた編成」図表Ⅳ-2-1-1 「独立性・公正さ」の評価項目ごとの評点 図表Ⅳ-2-1-2 「自主・自律」に関する期待の充足率 (どのような圧力や働きかけにも左右されず、番組の取 材・制作・編集を行っている) ※「期待の充足率」とは、「実現している」と答えた人の 割合を、「期待している」と答えた人の割合で割った数 値。視聴者の期待をどの程度満たしているかをあらわ す。 (出所) 視聴者視点によるNHK評価委員会 視聴者調査 (平成 22 年 3 月実施) 2.8 3.4 3.3 0 1 2 3 4 5 自主・自律 公平・公正 多様性を踏まえた編成 73.1 86.8 73.6 64.9 63.8 63.4 71.0 80.4 72.4 84.3 67.7 62.2 76.1 72.1 87.3 0 20 40 60 80 100 全体 (性・年代) 男性・16~19歳 20代 30代 40代 50代 60代 70代以上 女性・16~19歳 20代 30代 40代 50代 60代 70代以上 (%)
2)
「質の高さ」
≪評価結果≫
「質の高さ」 3.9 点 ・ 「質の高さ」を構成する評価項目の中で4.0 点以上の高い評価となったのは、「迅速・ 正確な報道」、「品位ある放送」、「丁寧な取材・制作」、「人にやさしい放送」だった。 ・ データ放送、インターネットなどを組み合わせた選挙の開票速報や、膨大な証言テー プをもとに制作した『NHKスペシャル 日本海軍 400 時間の証言』などにみられる ような取材・制作の丁寧さが視聴者にも実感されているものとみられる。 ・ 「人にやさしい放送」では、字幕放送などの従前からの継続的な放送に加えて、「E TV子どもサポートネット」で子育て世代が助け合う仕組みづくりを行うなど、新た な取り組みがみられた。 ・ 「品位ある放送」は評価は高いものの、放送番組モニターからの指摘で、若者向けの 番組などの一部で、品位の低下を懸念する声もあげられていることには留意する必要 がある。 ・ ニュース・報道番組や情報・ドキュメンタリー番組に対する視聴者の満足度が極めて 高い一方、「ジャーナリズム性の発揮」に対する視聴者の期待の充足率が低かった。 視聴者がNHKに対して、より高い次元のジャーナリズム性の発揮を期待しているこ とのあらわれと考えられる。 ・ 「良質な番組の開発」については、イタリア賞や国際エミー賞など大きな受賞歴があ ったものの、「新しい形式の番組の開発」という側面の視聴者の期待の充足率が低か った。視聴率にとらわれない良質な番組の追求という従来からのNHKの姿勢を維持 しつつも、新しい形式の番組などを継続的に開発することを視聴者は期待している。 良質さと高い品位の実現に努めているか (構成する評価項目) 「迅速・正確な報道」、「丁寧な取材・制作」、「良質な番組の開発」、「ジャーナリズ ム性の発揮」、「人にやさしい放送」、「品位ある放送」図表Ⅳ-2-1-3 「質の高さ」の評価項目ごとの評点 図表Ⅳ-2-1-4 番組ジャンルに対する視聴者の重要度と満足度 (注 1)重要度:「あなたにとって、NHKのテレビ(総合・教育・衛 星3波含む)が提供する各番組区分は、それぞれど の程度重要ですか」にて、「重要である」または「や や重要である」と回答した視聴者の割合 (注 2)満足度:「あなたは、NHKのテレビ(総合・教育・衛星3波 含む)が提供する各番組区分に対して、それぞれど の程度満足していますか」にて、「満足している」 または「やや満足している」と回答した視聴者の割 合 ※ 母数は面接調査の全回答者(N=2,070) (出所) 視聴者視点によるNHK評価委員会 視聴者調査 (平成 22 年 3 月実施) 4.4 4.1 3.4 3.1 4.0 4.2 0 1 2 3 4 5 迅速・正確な報道 丁寧な取材・制作 良質な番組の開発 ジャーナリズム性の発揮 人にやさしい放送 品位ある放送 86.5 68.9 54.7 51.7 43.1 37.2 25.3 46.8 29.7 45.1 78.2 63.3 51.4 43.2 40.8 32.1 22.3 38.4 26.6 39.6 0 20 40 60 80 100 ニュース・報道番組 情報・ドキュメンタリー番組 スポーツ番組 教養番組 ドラマ番組 音楽・劇場公演番組 バラエティ番組 教育番組 映画・アニメ番組 趣味・実用番組 (%) 重要度 満足度 注1 注2
3)
「役に立つ」
≪評価結果≫
「役に立つ」 3.7 点 ・ 「役に立つ」を構成する評価項目の中では、「緊急・災害時の迅速・正確な情報提供」 の評点が4.3 点で最も高かった。新型ヘリコプターを導入するなど、緊急・災害時の 対応体制の整備が進んでいる。 ・ 「生活情報の提供」については、生活情報部の新設による生活情報提供体制の充実、 「学習機会の提供」については、小中学校などへの教育コンテンツの提供サービス (「ティーチャーズ・ライブラリー」)などの、新たな取り組みがみられる。 ・ 「国内外の社会情報の提供」については、日々のニュース番組を着実に放送している。 ただし、男性20~40 代の視聴者の期待の充足率が低い。これらの社会情報への感度が 高い年代への対応が課題である。 ・ 「利用しやすいサービスの提供」については、皆既日食をインターネットと放送を融 合させて効果的に伝えたり、NHKオンデマンドのサービス充実、ワンセグ独自サー ビスの開始など、様々な取り組みが展開されている。しかしながら、NHKオンデマ ンドのサービスの実利用は伸び悩んでいる。 情報が容易に得られ、生活の中で役に立っているか (構成する評価項目) 「緊急・災害時の迅速・正確な報道」、「生活情報の提供」、「学習機会の提供」、「国 内外の社会情報の提供」、「利用しやすいサービスの開発・提供」図表Ⅳ-2-1-5 「役に立つ」の評価項目ごとの評点 図表Ⅳ-2-1-6 期待の充足率: 「国内外の社会情報の提供」に関する期待の充 足率 (国内外の情報を豊富に提供している) 4.3 3.7 3.6 3.4 3.5 0 1 2 3 4 5 緊急・災害時の 迅速・正確な報道 生活情報の提供 学習機会の提供 国内外の社会情報の提供 利用しやすいサービスの 開発・提供 79.8 78.8 72.2 74.0 68.6 76.1 79.0 86.2 89.3 90.9 79.5 76.0 77.4 81.5 87.8 0 20 40 60 80 100 全体 (性・年代) 男性・16~19歳 20代 30代 40代 50代 60代 70代以上 女性・16~19歳 20代 30代 40代 50代 60代 70代以上 (%) (出所) 視聴者視点によるNHK評価委員会 視聴者調査 (平成 22 年 3 月実施)
4)
「親しまれる」
≪評価結果≫
「親しまれる」 3.4 点 ・ 「親しまれる」を構成する評価項目をみると、「感動の提供」と「わかりやすい放送」 がいずれも3.7 点と評価が高かった。「感動の提供」については、多くの反響が寄せら れた『夏の北アルプス あぁ絶景!雲上のアドベンチャー』、ピアニスト辻井伸行氏 の関連番組、視聴者層を拡大した大河ドラマ、「わかりやすい放送」では、インター ネット・データ放送・ワンセグを活用した選挙報道、ニュースや情報・ドキュメンタ リー番組を連携させて伝えた新型インフルエンザ報道などがあげられる。男性30 代、 40 代の「感動の提供」に対する期待の充足率がやや低い。 ・ 「話題性の提供」については、バンクーバーオリンピック、皆既日食などで中継映像 を駆使し、関連番組で多角的に伝えるなど、視聴者の関心に応えた。 ・ 「娯楽性の提供」については、『ブラタモリ』などの新感覚の番組が開発された。ま た、21 年度からNHKが測定しはじめた新規接触拡大度(注)の調査によると、各種イベ ントへの新規参加者の割合は6割を占めた。 ・ オリンピックなど話題性の高い番組の放送にあたっては、通常放送している定時番組 との時間配分などに対する視聴者からの要望が一様ではない。また、娯楽性について も、放送番組モニターからは、「おもしろいバラエティ番組が少ない」など、さらな るおもしろさを求める意見があった。一方、「おもしろさを追求するあまり、品位が 欠けてしまっている」などの意見もあった。 (注) NHKのイベントに初めて参加した人の割合 幅広く親しみを持って利用されているか (構成する評価項目) 「わかりやすい放送」、「感動の提供」、「話題性の提供」、「娯楽性の提供」図表Ⅳ-2-1-7 「親しまれる」の評価項目ごとの評点 図表Ⅳ-2-1-8 期待の充足率: 「感動の提供」に関する期待の充足率 (人々の心に残り、感動できる番組を放送している) 3.7 3.7 3.2 3.1 0 1 2 3 4 5 わかりやすい放送 感動の提供 話題性の提供 娯楽性の提供 83.5 87.9 92.6 75.2 75.0 78.9 85.1 85.3 82.9 83.0 81.3 83.6 81.9 85.8 91.1 0 20 40 60 80 100 全体 (性・年代) 男性・16~19歳 20代 30代 40代 50代 60代 70代以上 女性・16~19歳 20代 30代 40代 50代 60代 70代以上 (%) (出所) 視聴者視点によるNHK評価委員会 視聴者調査 (平成 22 年 3 月実施)
5)
「社会への貢献」
≪評価結果≫
「社会への貢献」 3.7 点 ・ 「放送技術の発展」、「記録・伝承」、「デジタル化促進」、「文化芸術の発展」はいずれ も高い評価となった。 ・ スーパーハイビジョンや立体テレビなどの放送技術の研究開発、地上デジタル放送の 普及が着実に進んでいることなど、放送技術面での評価は高い。 ・ 「文化芸術の発展」と「記録・伝承」については、文化芸術的なイベントの開催、蓄 積した映像や記録の公開などのNHKの活動が着実に継続されている。加えて、日本 各地の多様な暮らし・文化・自然を記録し番組化するとともにデジタルアーカイブス 化する大型プロジェクト『新日本風土記』の開始など、新たな取り組みも進んでいる。 ・ 「世界への情報発信」については、NHKワールドTVの世界での視聴可能世帯が着 実に広がっているほか、英語の独自制作番組が強化され、その成果は海外の映像祭で の受賞にもあらわれている。 ・ 「社会的課題の情報共有」と「地域社会の発展」の評価は相対的に低かった。 ¾ 報道局に「あすの日本」プロジェクトを設置し、社会の絆の崩壊などをテーマに、 様々な社会的な課題を伝えた。しかしながら、視聴者調査では、世の中に知られ ていない課題の掘り起こしに対する期待の充足率が低く、特に男性30~40 代でそ の傾向が強い。 ¾ 「放送局のちから」を通じて地域に根差した放送局をめざす活動が展開されてい るが、「地元の人々の生活を守る報道」以外の「地域社会への貢献」の評価項目に ついては期待の充足率が低かった。視聴者から寄せられた声を分析すると、地元 への密着を求める声と、NHKだからこそ、地元の民放やCATVとは一線を画 した全国情報を求める声とが併存するなど、地域放送への視聴者の期待は多様で ある。公共放送としての地域社会への貢献は、継続的な課題である。 ・ BSアナログ放送終了の受信者向けの周知、広報は必ずしも進んではおらず、NHK 固有の問題として早急に取り組むべき課題である。 社会の様々な分野の発展に寄与しているか (構成する評価項目) 「社会的課題の情報共有」、「地域社会の発展」、「文化芸術の発展」、「記録・伝承」、 「放送技術の発展」、「世界への情報発信」、「デジタル化促進」図表Ⅳ-2-1-9 「社会への貢献」の評価項目ごとの評点 図表Ⅳ-2-1-10 期待の充足率: 「社会的課題の情報共有」に関する期待の充足率 (世の中に知られていない大切な問題をほりおこしている) 2.7 2.8 4.0 4.2 4.6 3.7 4.0 0 1 2 3 4 5 社会的課題の情報共有 地域社会の発展 文化芸術の発展 記録・伝承 放送技術の発展 世界への情報発信 デジタル化促進 67.1 74.1 65.1 51.8 51.5 60.8 65.6 76.8 89.5 72.8 69.0 61.7 64.0 70.1 77.5 0 20 40 60 80 100 全体 (性・年代) 男性・16~19歳 20代 30代 40代 50代 60代 70代以上 女性・16~19歳 20代 30代 40代 50代 60代 70代以上 (%) (出所) 視聴者視点によるNHK評価委員会 視聴者調査 (平成 22 年 3 月実施)
2.「放送の信頼性」を構成する評価項目ごとの評価
1)
「自主・自律」
≪視聴者調査における設問≫
9 どのような圧力や働きかけにも左右されず、番組の取材・制作・編集を行っている≪評価結果≫
評点;2.8 点 (基準得点:2.8 点、加減点設定なし) ■基準得点 ・ 視聴者調査の結果、「どのような圧力や働きかけにも左右されず、番組の取材・制作・ 編集を行っている」という設問項目に対する期待の充足率は73.1%となり、基準得点 を 2.8 点とした。期待の充足率の水準は、放送の信頼性に関する評価項目 25 個の中 で3番目に低い。 ・ 放送番組モニターからは、政治に関するニュース・報道番組において、「政権政党の 情報が多い」、「政治問題に対して消極的な印象を持つ」などの意見があった(図表 Ⅳ -2-2-2)。また、過去の出来事を指摘した意見もあり、「自主・自律」に対する視聴者 の評価は、単年度のNHKの取り組みだけでなく、過去からの様々な出来事の影響が 蓄積した上で行われていると推察する。 ・ NHKでは、放送するニュースや番組について考査を実施し、内容が放送法や国内番 組基準などに照らし合わせて問題がないかをチェックしている。≪課題≫
・ 視聴者調査によると、男性30 代~50 代、女性 40 代の期待の充足率が低い(図表 Ⅳ -2-2-1)。 NHKが第三者からの圧力や働きかけに左右されず、番組を制作・放送しているか図表 Ⅳ-2-2-1 期待の充足率: 「どのような圧力や働きかけにも左右されず、番組の取材・制作・編集を行っている」 73.1 86.8 73.6 65.0 63.8 63.4 70.9 80.4 72.4 84.3 67.7 62.3 76.0 72.0 87.2 0 20 40 60 80 100 全体 (性・年代) 男性・16~19歳 20代 30代 40代 50代 60代 70代以上 女性・16~19歳 20代 30代 40代 50代 60代 70代以上 (%) ※ 「期待の充足率」とは、「実現している」と答えた人の割合を、「期待している」と答えた人の割合で 割った数値。視聴者の期待をどの程度満たしているかをあらわす。 (出所) 視聴者視点によるNHK評価委員会 視聴者調査(平成 22 年 3 月実施)結果より作成 図表 Ⅳ-2-2-2 NHK放送番組モニターからの意見: 「どのような圧力や働きかけにも左右されず、番組の取材・制作・編集を行っている」が なぜ実現できていないと思うか ・ 政治絡みの問題や声の大きい団体が絡む問題を取り上げることに対して消極的な 印象がある。 ・ 政治的な問題を積極的に取り上げているとは思えない。 ・ 政治ニュースを見ると、政権政党を支持し、応援する内容のように感じる。 ・ 過去の出来事を考えると、全く圧力に屈せず報道がなされるということはあり得な いのではと思ってしまう。 (出所) 視聴者視点によるNHK評価委員会 NHK放送番組モニター調査(平成 22 年 3 月実施)
2)
「公平・公正」
≪視聴者調査における設問≫
9 公平・公正を保って放送している 9 様々な年代や地域に配慮した多様な放送をしている 9 異なる価値観や立場を踏まえて、様々な角度から放送している≪評価結果≫
評点;3.4 点 (基準得点:3.4 点、加減点設定なし) ■基準得点 ・ 視聴者調査の結果、本項目に関する3つの設問についての期待の充足率は以下のよう になった。 ¾ 「公平・公正を保って放送している」:81.2% ¾ 「様々な年代や地域に配慮した多様な放送をしている」:81.4% ¾ 「異なる価値観や立場を踏まえて、様々な角度から放送している」:77.0% ・ それぞれ設問の期待度は順に 83.5%、80.7%、77.8%であったので、それぞれの期待 度で重みづけした2つの設問の期待の充足率の平均値は79.9%となり、基準得点を 3.4 点とした。≪課題≫
・ 3つの設問の中では、「異なる価値観や立場を踏まえて、様々な角度から放送をして いる」の期待の充足率がやや低い(図表 Ⅳ-2-2-3)。 ・ 放送番組モニターからは、「少数派の意見の取り扱いが不足している」、「都合のよい 意見ばかり放送している」などの意見があった(図表 Ⅳ-2-2-4)。 NHKが、出来るだけ幅広い視点から情報を提供し、意見が対立する問題では双方の意 見を取り上げるなど、中立的に制作した番組を放送しているか図表 Ⅳ-2-2-3 期待の充足率:「公平・公正」の3つの設問 81.2 81.4 77.0 0 20 40 60 80 100 公平・公正を保って放送している 様々な年代や地域に配慮した多様な放送をし ている 異なる価値観や立場を踏まえて、様々な角度 から放送している (%) (出所) 視聴者視点によるNHK評価委員会 視聴者調査(平成 22 年 3 月実施)結果より作成 図表 Ⅳ-2-2-4 NHK放送番組モニターからの意見: 「異なる価値観や立場を踏まえて、様々な角度から放送している」がなぜ実現できていないと 思うか ・ 固定概念や多数派の意見に基づいた一般論を中心に番組が制作されていると感じ るから ・ ドキュメンタリーや討論番組で、自分たちに都合のいい話をしてくれる人を選んで いるような印象を受ける。 ・ ニュースなどで街の声を拾っているが、作り手の都合の良い意見だけを採用し、世 論として紹介しているように感じる。 (出所) 視聴者視点によるNHK評価委員会 NHK放送番組モニター調査(平成 22 年 3 月実施)