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地方公共団体(市区町村)が懸念している地域の課題とその要因

~地方公共団体に対するアンケート調査結果に基づく分析~

2013年11月30日(土)

地域・中小企業研究所

峯岸 直輝

生活経済学会関東部会

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1

研究の目的

 信金中央金庫は、地域金融機関である信用金庫が、地元の地方公共団体との連携のあり方や、 地域活性化・地域貢献等の地域経済社会に対する支援の方向性などを検討する際の参考情報を 提供する目的で、 13年1~2月に 『地方公共団体アンケート調査』を実施した。  各信用金庫に、地元の基礎自治体である市区町村がどのような地域の課題を特に懸念している のかという情報を提供する必要がある。  市区町村が、地域社会・経済構造を背景に、どのような地域の課題を特に懸念するのかという要 因を解明することで、地元の市区町村が抱いている喫緊の課題を各種統計指標から推測できるツ ールを構築することが求められる。

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3

信金中金が『地方公共団体アンケート調査』を実施

 信金中央金庫では、地域金融機関である信用金庫が、地元の地方公共団体との連携のあり方 や地域経済社会に対する支援の方向性などを検討する際の参考とするため、全国の主要な地 公体に対し、13年1~2月にアンケート調査を実施した。  本調査では、様々な地域の課題に対する懸念度合い、課題解決のための対策への取組み度合 い、地域金融機関に期待する役割などを尋ねている。  詳細は、 http://www.scbri.jp/chikoutai.htm <調査対象(626団体)、有効回答数(545団体、回答率87.1%)> ① 都道府県 ② 特別区(東京23区) ③ 政令指定都市、中核市、特例市 ④ ③以外の市のうち都道府県内で人口規模が上位10位以内 ⑤ 都道府県内で人口規模が上位10位以内かつ人口3万人以上の町村 ⑥ 信用金庫の本店が所在する市区町 ⑦ ①~⑥以外で信用金庫または本中金が選定した市町村 ① 都道府県 36 ② 特別区(東京23区) 16 ③ 政令指定都市 16 ④ 中核市、特例市 66 ⑤ ③~④以外の人口10万人以上の市 118 ⑥ ③~⑤以外の人口5万人以上の市 148 ⑦ ③~⑥以外の市、町村 145 合計 545 <回答のあった地公体の種類別団体数> (図表1)調査の対象、有効回答数 (図表2)回答のあった地公体の種類別回答数 (備考)信金中央金庫『地方公共団体アンケート調査』より作成 (備考)信金中央金庫『地方公共団体アンケート調査』より作成

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今回の発表で取り上げる質問項目

 本調査では、対象となった市区町村に、地域社会が抱えている以下の主な10の課題の中から、 “特に懸念度合いが高い”課題を最大3つまで選択してもらった。 ① 高齢化の進行 ② 人口の減少 ③ 世帯構造の変化 ④ 中心市街地・商店街の衰退 ⑤ 地元製造業・地場産業の衰退 ⑥ 雇用・所得環境の悪化 ⑦ 住民の生活環境・利便性の悪化 ⑧ 地域コミュニティの関係希薄化 ⑨ 災害発生への備え ⑩ 治安の悪化

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 「高齢化の進行」を選択した市区町村の割合は全国で62.3%。大阪府と奈良県は約9割、千葉県は約8割、東京都も約 75%と高い。高度経済成長期に人口流入が活発だった都市圏で「高齢化の進行」を懸念している市区町村は多い。  「人口の減少」を選択した市区町村の割合は全国で53.6%。北海道・山形県・島根県・香川県・佐賀県・宮崎県では80% 超え。一方、低いのは東京都・滋賀県・沖縄県で20%以下  「世帯構造の変化」を選択した市区町村の割合は全国で7.5%にとどまる。しかし、南関東は2割弱、近畿や北関東甲信 越は1割超と、関東や近畿などの大都市やその周辺地域で2ケタに。 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 北 海 青 森 岩 手 宮 城 秋 田 山 形 福 島 茨 城 栃 木 群 馬 埼 玉 千 葉 東 京 神 奈 新 潟 富 山 石 川 福 井 山 梨 長 野 岐 阜 静 岡 愛 知 三 重 滋 賀 京 都 大 阪 兵 庫 奈 良 和 歌 鳥 取 島 根 岡 山 広 島 山 口 徳 島 香 川 愛 媛 高 知 福 岡 佐 賀 長 崎 熊 本 大 分 宮 崎 鹿 児 沖 縄 全 国 高齢化の進行 人口の減少 世帯構造の変化 (%) (図表3)“特に懸念度合いが高い”と選択した市区町村の都道府県別割合

“特に懸念度合いが高い”と選択した市区町村の都道府県別割合Ⅰ①

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7  埼玉県・千葉県・神奈川県などの大都市のベッドタウンは、現在の高齢化率は低いものの、将来は高齢者数が大幅に増加 すると見込まれる。高齢化率が現在低くても、総じて「高齢化の進行」を懸念する傾向がある。  東北・北関東甲信越・北陸・中国・四国・九州沖縄といった地方圏では、高齢化率が高い市町村は「人口の減少」、低い市町 村は「高齢化の進行」の方が懸念している割合が高い(北海道は共に「人口の減少」が高い)。  北関東甲信越と北陸では、高齢化率が高い市町村の方が低い市町村よりも「高齢化の進行」を懸念している割合が低い。  都市圏では、おおむね「人口の減少」より「高齢化の進行」の方を懸念している市区町村が多い。 沖縄 鹿児島 宮崎 大分 熊本 長崎 佐賀 福岡 高知 愛媛 香川 徳島 山口 広島 岡山 島根 鳥取 和歌山 奈良 兵庫 大阪 京都 滋賀 三重 愛知 静岡 岐阜 長野 山梨 福井 石川 富山 新潟 神奈川 東京 千葉 埼玉 群馬 栃木 茨城 福島 山形 秋田 宮城 岩手 青森 北海道 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 17 19 21 23 25 27 29 高齢化率(10年) 将来の老年人口 増加率(10→25年) (%) (%) 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 北 海 道 東 北 甲 信 越 北 関 東 南 関 東 北 陸 東 海 近 畿 中 国 四 国 沖 縄 九 州 全 国 人口の減少 (高齢化率が高い市区町村) 高齢化の進行(      〃      ) 人口の減少 (高齢化率が低い市区町村) 高齢化の進行(      〃      ) (%) (図表4)高齢化率(10年)と老年人口増加率(10→25年) (図表5)地域別・高齢化率別の「人口の減少」 「高齢化の進行」の割合

“特に懸念度合いが高い”と選択した市区町村の都道府県別割合Ⅰ②

(備考)信金中央金庫『地方公共団体アンケート調査』などより作成 (備考)総務省統計局『国勢調査』、国立社会保障・人口問題研究所『日本の 地域別将来推計人口』などより作成

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“特に懸念度合いが高い”と選択した市区町村の都道府県別割合Ⅱ①

 「中心市街地・商店街の衰退」を選択した市区町村の割合は全国で45.2%。特に、群馬県・富山県・福井県・滋賀県は8 割超。北陸、北関東などの乗用車保有台数が多い県が上位に 。滋賀県などの人口が増加している市町村では、住宅 地の郊外化やロードサイドの大型ショッピングセンターの出店で、中心市街地の空洞化が懸念されるケースも。  「地元製造業・地場産業の衰退」を選択した市区町村が多いのは鳥取県・静岡県・長野県、「雇用・所得環境の悪化」は 青森県・福井県・鳥取県・秋田県・山形県・山口県など。長野県・鳥取県などの円高進行などで工場の閉鎖・縮小が相 次いだ電機関連の工場が多く立地している地域や、青森県 などの雇用の受け皿が小さい地域で懸念が強い。 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 北青岩宮秋山福茨栃群埼千東神新富石福山長岐静愛三滋京大兵奈和鳥島岡広山徳香愛高福佐長熊大宮鹿沖全 中心市街地・商店街の空洞化 地元製造業・地場産業の衰退 雇用・所得環境の悪化 (%) (図表6)“特に懸念度合いが高い”と選択した市区町村の都道府県別割合

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9  モータリゼーションの進展を背景に、世帯当たり乗 用車保有台数が多い地域ほど、「中心市街地・商 店街の衰退」を懸念する市区町村の割合が高い。 特に、北陸や北関東甲信越では、車社会の進展で 大型小売店や飲食店のロードサイド店舗が多く立 地しており、県庁所在地や主要駅がある中心地で 商店街の衰退を懸念する傾向がある。  地方圏では、中心地周辺の郊外は自動車が欠か せない車社会を前提とした生活スタイルが確立し ている。一方、地方都市のように、駅などが立地し て交通の便が比較的良好であり、その郊外より乗 用車保有台数が少ない中心地の方が、商店街等 の衰退を懸念している傾向が強い。  逆に、南関東・東海・近畿の世帯当たり乗用車保 有台数が少ない地域では、人口が密集して公共交 通網が整備されており、鉄道の利用者が多く、駅 前商店街などは活気があることから、中心市街地 や商店街の衰退を懸念している割合が低い。  自動車産業集積地の東海は車社会が根付いてい るため、総じて懸念している割合が低い。 北海道 東北 北関東 甲信越 南関東 北陸 東海 近畿 中国 四国 九州 沖縄 南関東 北海道 近畿 四国 中国 九州 沖縄 東北 東海 北関東 甲信越 北陸 15 25 35 45 55 65 75 0.50 0.75 1.00 1.25 1.50 1.75 2.00 世帯当たり乗用車保有台数 「中心市街地・ 商店街の衰退」 への懸念度合い が高い市区町村 の割合 (%) (台) 乗用車保有台数 ◆;少ないグループ ◇;多 いグループ (図表7)「中心市街地の衰退」への懸念と乗用車保有台数

“特に懸念度合いが高い”と選択した市区町村の都道府県別割合Ⅱ②

(備考)1.地域別の世帯当たり乗用車保有台数は、該当市区町村の単純平均とした。 2.信金中央金庫『地方公共団体アンケート調査』などより作成

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 「災害発生への備え」を選択した市区町村の割合は全国で39.6%。特に高いのは、東海3県(静岡県・愛知県・三重県)や 和歌山県・高知県などの太平洋側、東京都・神奈川県・千葉県といった南関東沿岸部、宮城県・岩手県などの東北東部  「地域コミュニティの関係希薄化」を選択した市区町村の割合は全国で21.3%。特に、茨城県・埼玉県・神奈川県・滋賀県 ・広島県・大分県・沖縄県などで高い。都市部周辺のベッドタウン、宅地開発などで新住民が流入している地域で多い。  「住民の生活環境・利便性の悪化」や「治安の悪化」を選択した市区町村は全国的に少なかった(各々5.5%、1.4%)。「住 民の生活環境・利便性の悪化」は北海道・東北・北陸・中国の市町村、「治安の悪化」は南関東・東海・近畿などの都市部 、人口の増加や工場の集積が顕著な市町村で比較的懸念している傾向が強い。 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 北青岩宮秋山福茨栃群埼千東神新富石福山長岐静愛三滋京大兵奈和鳥島岡広山徳香愛高福佐長熊大宮鹿沖全 災害発生への備え 地域コミュニティの関係希薄化 住民の生活環境・利便性の悪化 治安の悪化 (%)

“特に懸念度合いが高い”と選択した市区町村の都道府県別割合Ⅲ①

(図表8)“特に懸念度合いが高い”と選択した市区町村の都道府県別割合

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11  「災害発生への備え」を選択した市区町村の割合が高いのは、東海3県(静岡県・愛知県・三重県)や和歌山県・高知 県などの太平洋側、東京都・神奈川県・千葉県といった南関東沿岸部、宮城県・岩手県などの東北東部  南海トラフ巨大地震や首都直下地震などのおそれがある地域や東日本大震災の被災地で災害発生への備えを懸念 する傾向が強い。  地公体の庁舎施設等の耐震化率は東海3県や南関東で高く、災害発生への懸念が強い地域では、防災対策を優先 課題として取り組んでいる様子がうかがえる。 50 55 60 65 70 75 80 85 90 95 100 北 海 道 青 森 秋 田 山 形 茨 城 栃 木 群 馬 埼 玉 千 葉 東 京 神 奈 川 新 潟 富 山 石 川 福 井 山 梨 長 野 岐 阜 静 岡 愛 知 三 重 滋 賀 京 都 大 阪 兵 庫 奈 良 和 歌 山 鳥 取 島 根 岡 山 広 島 山 口 徳 島 香 川 愛 媛 高 知 福 岡 佐 賀 長 崎 熊 本 大 分 宮 崎 鹿 児 島 沖 縄 合 計 庁舎施設等(構造体) 教育施設(構造体) 医療施設等(構造体) (%) (図表9)都道府県別の主な公共建築物の耐震化率

“特に懸念度合いが高い”と選択した市区町村の都道府県別割合Ⅲ②

(備考)会計検査院『公共建築物における耐震化対策等に関する会計検査の結果についての報告書』より作成

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二項ロジスティック回帰分析を行う目的

 市区町村が地元の社会・経済構造を反映して、以下の各課題を、“特に懸念度合いが高い” として選択する確率を算出する。  市区町村は、地域社会・経済構造を背景に、どのような地域の課題に対して強い懸念を抱 いているのかを解明することで、市区町村の問題意識の所在や今後の施策の方向性を把 握し、地域活性化や地域貢献などにおける地公体との協力のあり方などを探る。 ① 高齢化の進行 ② 人口の減少 ③ 世帯構造の変化 ④ 中心市街地・商店街の衰退 ⑤ 地元製造業・地場産業の衰退 ⑥ 雇用・所得環境の悪化 ⑦ 住民の生活環境・利便性の悪化 ⑧ 地域コミュニティの関係希薄化 ⑨ 災害発生への備え ⑩ 治安の悪化

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 被説明変数(y);当該課題を“特に懸念度合いが高い”として「選択した」(1)か「選択しなかった」か(0)  説明変数(x) ①人口(10年)←市区町村の規模 ②人口増減率(10年の対05年比)←成長性 ③昼夜間人口比率(10年)←中心性 ④高齢化率(10年)←年齢構成 ⑤世帯人員数(一般世帯当たり、10年)←世帯構造 ⑥離婚件数(人口当たり、10年)←家族生活の安定性 ⑦第2次産業就業者比率(10年)←産業構造 ⑧完全失業率(10年)←雇用情勢 ⑨課税対象所得(納税義務者当たり、11年)←所得環境 ⑩地方税収(人口当たり、10年度)←地方財政 ⑪大型小売店数(09年、人口当たり)←生活利便性 ⑫乗用車保有台数(一般世帯当たり、12年)←生活利便性 ⑬介護老人福祉施設数(65歳以上人口当たり、10年)←生活利便性 ⑭保育所在所児数(5歳以下人口当たり、10年)←生活利便性 ⑮地域ダミー ←地理的特性(「災害発生への備え」のみ採用)

二項ロジスティック回帰モデルによる分析方法

最尤法で算出 (対数尤度を最大化する定数と係数を算出)

i i ij j j

x

p

p

Ln

1

            

i ij i i ij i j x Exp x Exp p       1 ,



        

j j j j j y p y p Ln , 1 , 1 max ,      • 説明変数の選択はステップワイズ法(尤度比による変数減少法)による。

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説明変数間の相関

人口 人口増減率 高齢化率 昼夜間 人口比率 世帯人員数 完全失業率 離婚件数 第2次産業 就業者比率 課税対象 所得 地方税収 大型 小売店数 乗用車 保有台数 介護福祉 施設数 保育所 在所児数 人口 1.000 0.398 -0.386 0.050 -0.370 -0.076 0.217 -0.224 0.470 0.333 0.200 -0.446 -0.338 -0.352 人口増減率 0.398 1.000 -0.855 -0.085 -0.161 -0.109 0.313 -0.083 0.725 0.456 0.365 -0.317 -0.455 -0.486 高齢化率 -0.386 -0.855 1.000 0.119 0.087 0.000 -0.446 0.032 -0.671 -0.485 -0.425 0.209 0.487 0.545 昼夜間 人口比率 0.050 -0.085 0.119 1.000 -0.309 -0.070 0.022 -0.095 0.078 0.202 0.245 -0.076 0.037 0.085 世帯人員数 -0.370 -0.161 0.087 -0.309 1.000 -0.072 -0.345 0.580 -0.459 -0.156 -0.111 0.829 0.184 0.326 完全失業率 -0.076 -0.109 0.000 -0.070 -0.072 1.000 0.415 -0.232 -0.247 -0.329 0.037 -0.071 -0.079 -0.072 離婚件数 0.217 0.313 -0.446 0.022 -0.345 0.415 1.000 -0.272 0.177 0.021 0.246 -0.262 -0.266 -0.374 第2次産業 就業者比率 -0.224 -0.083 0.032 -0.095 0.580 -0.232 -0.272 1.000 -0.213 0.260 -0.027 0.641 0.065 0.146 課税対象 所得 0.470 0.725 -0.671 0.078 -0.459 -0.247 0.177 -0.213 1.000 0.595 0.314 -0.611 -0.425 -0.560 地方税収 0.333 0.456 -0.485 0.202 -0.156 -0.329 0.021 0.260 0.595 1.000 0.317 -0.104 -0.297 -0.336 大型 小売店数 0.200 0.365 -0.425 0.245 -0.111 0.037 0.246 -0.027 0.314 0.317 1.000 -0.071 -0.324 -0.279 乗用車 保有台数 -0.446 -0.317 0.209 -0.076 0.829 -0.071 -0.262 0.641 -0.611 -0.104 -0.071 1.000 0.275 0.386 介護福祉 施設数 -0.338 -0.455 0.487 0.037 0.184 -0.079 -0.266 0.065 -0.425 -0.297 -0.324 0.275 1.000 0.403 保育所 在所児数 -0.352 -0.486 0.545 0.085 0.326 -0.072 -0.374 0.146 -0.560 -0.336 -0.279 0.386 0.403 1.000  (人口増減率,高齢化率;負)、(世帯人員数,乗用車保有台数;正)、(人口増減率,課税対象所得;正)、 (高齢化率,課税対象所得;負)、(課税対象所得,地方税収;正)の組などで相関係数が高い。  多重共線性のおそれがある ⇒ 一方のみ説明変数に採用 (図表10)説明変数間の相関係数 (備考)総務省統計局『国勢調査』『統計でみる市区町村のすがた2013』などより信金中央金庫 地域・中小企業研究所が算出、作成

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分析結果(1/2)

 「人口の減少」;係数;人口増減率は-1.75075、人口は 0.29360、世帯人員数は0.26767。人口増減率が低く、人口規 模や世帯人員数が多い市区町村で懸念する傾向が強い。  「高齢化の進行」;係数;第2次産業就業者比率は-0.34847、 昼夜間人口比率は-0.32302、完全失業率は-0.25019、高齢 化率は0.26994、地方税収は0.22054。高齢化率が高く、昼夜 間人口比率が低いベッドタウンのような市区町村で懸念する 傾向が強い。一方、製造業等の第2次産業が集積していた り、雇用環境が悪かったりする市区町村は懸念度が低い。  「世帯構造の変化」係数;人口増減率は0.54303、保育所在 所児数は-0.37618。人口増加率が高く、保育施設が十分に 整備されていないような市区町村で懸念する傾向が強い。  「中心市街地、商店街の衰退」係数;乗用車保有台数は 0.24692、完全失業率は0.20813、人口は-0.20239、大型小売 店数は0.18919、地方税収は0.18598。乗用車保有台数が多 く、大型小売店が立地しており、雇用環境が厳しい市区町村 で懸念する傾向が強い。  「地元製造業、地場産業の衰退」係数;人口増減率は-(図表11)分析結果 β 標準誤差 Wald 有意確率 Exp(β ) 「人口の減少」が“特に懸念度合いが高い”と回答 人口増減率 -1.75075 0.17678 98.08417 0.00000 0.17364 人口 0.29360 0.12689 5.35392 0.02068 1.34125 世帯人員数 0.26767 0.12860 4.33216 0.03740 1.30691 定数 0.12269 0.10930 1.25998 0.26165 1.13053 回帰式の有意性 カイ2乗 189.99179 有意確率 0.00000 「高齢化の進行」が“特に懸念度合いが高い”と回答 第2次産業就業者比率 -0.34847 0.10535 10.94158 0.00094 0.70576 昼夜間人口比率 -0.32302 0.10448 9.55774 0.00199 0.72396 完全失業率 -0.25019 0.10187 6.03160 0.01405 0.77865 高齢化率 0.26994 0.11794 5.23897 0.02209 1.30989 地方税収 0.22054 0.13015 2.87122 0.09018 1.24675 定数 0.52856 0.09445 31.31819 0.00000 1.69649 回帰式の有意性 カイ2乗 24.29044 有意確率 0.00019 「世帯構造の変化」が“特に懸念度合いが高い”と回答 人口増減率 0.54303 0.18512 8.60493 0.00335 1.72122 保育所在所児数 -0.37618 0.23174 2.63504 0.10453 0.68648 定数 -2.77279 0.20856 176.75786 0.00000 0.06249 回帰式の有意性 カイ2乗 20.57526 有意確率 0.00003 「中心市街地、商店街の衰退」が“特に懸念度合いが高い”と回答 乗用車保有台数 0.24692 0.10560 5.46783 0.01937 1.28008 完全失業率 0.20813 0.09945 4.37955 0.03637 1.23137 人口 -0.20239 0.11602 3.04304 0.08108 0.81678 大型小売店数 0.18919 0.09883 3.66416 0.05559 1.20827 地方税収 0.18598 0.11018 2.84910 0.09142 1.20439 定数 -0.20685 0.09146 5.11525 0.02372 0.81314 回帰式の有意性 カイ2乗 22.51879 有意確率 0.00042 「地元製造業、地場産業の衰退」が“特に懸念度合いが高い”と回答 人口増減率 -0.33354 0.11030 9.14417 0.00250 0.71639 定数 -1.16670 0.10619 120.70915 0.00000 0.31139

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分析結果(2/2)

 「雇用・所得環境の悪化」係数;課税対象所得は-0.83413、人口は0.37612、大型小売店数は0.26930。所 得水準が低い一方で、人口規模は比較的大きくて大型 小売店が立地しているような市区町村で懸念する傾向 が強い。  「地域コミュニティの関係希薄化」係数;人口増減率は 0.96263、昼夜間人口比率は-0.33617、完全失業率は 0.26862。人口増減率が高い新興住宅地や雇用環境が 良好でない市区町村で懸念する傾向が強い。  「災害発生への備え」係数;東海は1.88932、四国は 1.83493、北陸は1.43992、南関東は1.19725、近畿は 1.15508、東北 は0.84385、高齢化率は-0.43564、世帯人 員数は-0.31656。東海・四国・北陸・南関東・近畿・東北 の市区町村で懸念する傾向が強い。  「治安の悪化」係数;人口増減率は1.85950、第2次産業 就業者比率は1.45087、離婚件数は1.26768。人口の流 入が顕著であったり、離婚件数が多く、家族生活の安定 性が弱い地域や製造業が集積していたりする市区町村 で懸念する傾向が強い。 • 「住民の生活環境・利便性の悪化」に関しては、二項ロジスティック回帰 分析で回帰式に有意な結果が得られなかったので、分析結果の掲載を 割愛した。この課題を「選択した」のは28市区町村、「選択しなかった」の は479市区町村だった。 (図表12)分析結果 (備考)総務省統計局『国勢調査』『統計でみる市区町村のすがた2013』 などより信金中央金庫 地域・中小企業研究所が算出、作成 β 標準誤差 Wald 有意確率 Exp(β ) 「雇用・所得環境の悪化」が“特に懸念度合いが高い”と回答 課税対象所得 -0.83413 0.16018 27.11846 0.00000 0.43425 人口 0.37612 0.11799 10.16121 0.00143 1.45662 大型小売店数 0.26930 0.10660 6.38269 0.01152 1.30905 定数 -0.89783 0.10504 73.06237 0.00000 0.40745 回帰式の有意性 カイ2乗 37.28702 有意確率 0.00000 「地域コミュニティの関係希薄化」が“特に懸念度合いが高い”と回答 人口増減率 0.96263 0.13252 52.76368 0.00000 2.61858 昼夜間人口比率 -0.33617 0.11045 9.26388 0.00234 0.71450 完全失業率 0.26862 0.11897 5.09774 0.02396 1.30816 定数 -1.57703 0.13261 141.42520 0.00000 0.20659 回帰式の有意性 カイ2乗 81.84446 有意確率 0.00000 「災害発生への備え」が“特に懸念度合いが高い”と回答 東海 1.88932 0.33314 32.16340 0.00000 6.61488 四国 1.83493 0.40657 20.36890 0.00001 6.26466 北陸 1.43992 0.45188 10.15406 0.00144 4.22038 南関東 1.19725 0.34413 12.10402 0.00050 3.31101 近畿 1.15508 0.33339 12.00375 0.00053 3.17428 東北 0.84385 0.35445 5.66788 0.01728 2.32531 高齢化率 -0.43564 0.11356 14.71659 0.00012 0.64685 世帯人員数 -0.31656 0.12282 6.64284 0.00996 0.72865 定数 -1.29110 0.17075 57.17465 0.00000 0.27497 回帰式の有意性 カイ2乗 92.56786 有意確率 0.00000 「治安の悪化」が“特に懸念度合いが高い”と回答 人口増減率 1.85950 0.54791 11.51804 0.00069 6.42051 第2次産業就業者比率 1.45087 0.45995 9.95035 0.00161 4.26681 離婚件数 1.26768 0.51589 6.03820 0.01400 3.55260 定数 -7.03989 1.24305 32.07419 0.00000 0.00088 回帰式の有意性 カイ2乗 28.36907 有意確率 0.00000

(19)

モデルの評価;的中率

 確率が50%以上⇒“特に懸念度合いが高い”課題として選択すると仮定(予測A、遮断値;一律50%) ⇒ 的中率は「人口の減少」は76.3%、「高齢化の進行」は64.7%、「中心市街地、商店街の衰退」は56.8% 、「雇用・所得環境の悪化」は69.8%、「地域コミュニティの関係希薄化」は79.7%、「災害発生への備え」 は67.9%であった。ただ、「世帯構造の変化」などは、どの市区町村も選択しないと予測  “実際に選択した市区町村に対する的中率”と“実際に選択しなかった市区町村に対する的中率”を掛 けた値が最大になるように遮断値を設定(予測B) ⇒ 「世帯構造の変化」(遮断値10%)は、実際に選択した38市区町村のうち20市区町村が選択すると予測 (的中率52.6%)。「地場製造業、地場産業の衰退」(遮断値25%)は123市区町村のうち66市区町村(的 中率53.7%)、「治安の悪化」(遮断値10%)は7市区町村うち5市区町村を的中(的中率71.4%) (図表13)的中率 選択しない 選択した 計 的中率 選択しない 選択した 計 的中率 「人口の減少」 確率50%未満 確率50%以上 確率55%未満 確率55%以上 選択しない 168 67 235 71.48936 180 55 235 76.59574 選択した 53 219 272 80.51471 64 208 272 76.47059 計 221 286 507 244 263 507 的中率 76.01810 76.57343 76.33136 73.77049 79.08745 76.52860 「高齢化の進行」 確率50%未満 確率50%以上 確率60%未満 確率60%以上 選択しない 38 153 191 19.89529 92 99 191 48.16754 選択した 26 290 316 91.77215 101 215 316 68.03797 計 64 443 507 193 314 507 的中率 59.37500 65.46275 64.69428 47.66839 68.47134 60.55227 「世帯構造の変化」 確率50%未満 確率50%以上 確率10%未満 確率10%以上 選択しない 469 0 469 100.00000 364 105 469 77.61194 選択した 38 0 38 0.00000 18 20 38 52.63158 計 507 0 507 382 125 507 的中率 92.50493 - 92.50493 95.28796 16.00000 75.73964 「中心市街地、商店街の衰退」 確率50%未満 確率50%以上 確率45%未満 確率45%以上 選択しない 202 76 278 72.66187 147 131 278 52.87770 選択した 143 86 229 37.55459 99 130 229 56.76856 計 345 162 507 246 261 507 予測A 予測B 実績 実績 実績 実績 選択しない 選択した 計 的中率 選択しない 選択した 計 的中率 「雇用・所得環境の悪化」 確率50%未満 確率50%以上 確率30%未満 確率30%以上 選択しない 339 11 350 96.85714 182 168 350 52.00000 選択した 142 15 157 9.55414 37 120 157 76.43312 計 481 26 507 219 288 507 的中率 70.47817 57.69231 69.82249 83.10502 41.66667 59.56607 「地域コミュニティの関係希薄化」 確率50%未満 確率50%以上 確率20%未満 確率20%以上 選択しない 381 18 399 95.48872 280 119 399 70.17544 選択した 85 23 108 21.29630 31 77 108 71.29630 計 466 41 507 311 196 507 的中率 81.75966 56.09756 79.68442 90.03215 39.28571 70.41420 「災害発生への備え」 確率50%未満 確率50%以上 確率35%未満 確率35%以上 選択しない 233 73 306 76.14379 196 110 306 64.05229 選択した 90 111 201 55.22388 52 149 201 74.12935 計 323 184 507 248 259 507 的中率 72.13622 60.32609 67.85010 79.03226 57.52896 68.04734 「治安の悪化」 確率50%未満 確率50%以上 確率10%未満 確率10%以上 選択しない 499 1 500 99.80000 486 14 500 97.20000 選択した 7 0 7 0.00000 2 5 7 71.42857 計 506 1 507 488 19 507 実績 実績 実績 実績 予測A 予測B

(20)

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市区町村が懸念している課題の予測方法の具体例

平均 標準偏差 1パーセンタイル値 99パーセンタイル値 単位 人口(10年) 15.050 18.554 0.795 104.184 万人 人口増減率(10年の対05年比) 98.548 4.011 89.520 109.596 05年=100 高齢化率(10年) 24.937 5.056 14.620 37.991 % 昼夜間人口比率(10年) 97.625 9.213 79.313 146.928 夜間人口=100 世帯人員数(10年、一般世帯当たり) 2.585 0.285 1.841 3.220 人 完全失業率(10年) 6.525 1.644 3.597 12.649 % 離婚件数(10年、人口1000人当たり) 1.863 0.364 0.940 2.882 組 第2次産業就業者数(10年) 25.788 7.720 10.179 42.995 % 課税対象所得(11年、納税義務者当たり) 289.474 44.350 225.515 478.682 万円 地方税収(10年、人口当たり) 12.734 3.211 7.034 23.150 万円 大型小売店数(09年、人口1000人当たり) 0.133 0.051 0.000 0.267 店 乗用車保有台数(12年、一般世帯当たり) 1.403 0.366 0.319 2.009 台 介護老人福祉施設数(10年、65歳以上人口1万人当たり) 2.174 1.002 0.585 6.308 施設 保育所在所児数(10年、5歳以下人口100人当たり) 39.610 15.226 13.007 77.182 人

   i i i i x x prob     exp 1 exp

0.12269 0.29360 0.61 1.75075 0.57 0.26767 0.32

0.7364 exp 1 32 . 0 26767 . 0 57 . 0 75075 . 1 61 . 0 29360 . 0 12269 . 0 exp ≒                   A市が「人口の減少」を“特に懸念度合いが高い”課題であると選択する確率は?  A市 人口;約3.8万人、人口増減率;約96(05年=100)、世帯人員数;約2.7人  各説明変数の数値を標準化 ⇒ 人口;-0.61、人口増減率;-0.57、世帯人員数;0.32  「人口の減少」の回帰式 ⇒ 定数;0.12269、係数;人口0.29360、人口増減率-1.75075、世帯人員数0.26767 約73.6% ⇒選択する (図表14)説明変数の基本統計量 (備考)総務省統計局『国勢調査』『統計でみる市区町村のすがた2013』などより信金中央金庫 地域・中小企業研究所が算出、作成

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まとめ及び今後の研究課題

 「人口の減少」は実際に人口減少率が大きい、「高齢化の進化」も、実際に高齢化率が高いと確率が 高まることが数値的に裏付けられた。  「高齢化の進行」は、人口が増加しているような都市部でも懸念度合いが高く、回帰式の定数が 0.52856と高いため、総じて全国的に懸念される喫緊の課題である。  「高齢化の進行」の懸念度合いが低い市区町村は、中心地や製造業集積地のような産業が集積して いる地域である。地域経済の疲弊といった産業政策をより重視している可能性がある。  「雇用・所得環境の悪化」は、課税対象所得の水準が低い市区町村で関心が高い。  「中心市街地、商店街の衰退」は、モータリゼーションの進展やロードサイドの大型小売店の進出動向 などの影響を受けることが判明した。  「地域コミュニティの関係希薄化」や「治安の悪化」は人口の流入が顕著なベッドタウンで懸念度合い が高く。特に「治安の悪化」は、外国人労働者や離婚件数が多い地域で懸念度が高い。  「災害発生への備え」は、地理的特性の影響が大きく、南海トラフ巨大地震や首都直下地震のおそれ がある太平洋側地域に加え、北陸でも懸念度合いが強い傾向がある。  各市区町村は地域の課題に対して、おおむね地元の地域社会・経済構造の実態を反映した懸念度 合いを示していることが明らかになった。  今後の研究の課題としては、他の説明変数の可能性を十分に検討することで、回帰モデルの精度向 上に努めることが必要である。

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<参考文献>

[1] 会計検査院[2013]『公共建築物における耐震化対策等に関する会計検査の結果についての報告書』 会計検査院 [2] 国立社会保障・人口問題研究所[2013]『日本の地域別将来推計人口(平成25年3月推計)』国立社会 保障・人口問題研究所 人口構造研究部 [3] 信金中央金庫[2013]『地方公共団体アンケート調査「地域経済社会の現況と地方公共団体の対応」』 信金中央金庫 地域・中小企業研究所 [4] 総務省[2013]『統計でみる市区町村のすがた(2013)』総務省統計局

参照

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