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● Hay Group Newsletter Vol.11 No.1 2010 ● 2010年 5月発行 ●編集協力 (有)MGI ●撮影 大澤 誠 ●印刷(株)ティー・プラス ●発行人 浅川 港
Hay Group 2010( 本誌記事・写真の無断複写・転載はご遠慮ください)
ノバルティス ファーマ株式会社
代表取締役社長
三谷 宏幸
高野 研一
(株)ヘイ コンサルティング グループ
代表取締役社長
株式会社デンソー 常務役員
田島 明雄
帝人株式会社 採用・人財開発部長
相原 洋介
ヘイグループ コンサルタント
塩尻 出穂
ヘイグループ プリンシパル
浅川 港
Vol.11 No.
1 2010
シリーズ/経営イノベーション対談
Contents
グローバル時代の企業を支える
価値観と文化、
さらにリーダー育成法とは?
グローバル企業にとって大切なものは「規模」、「開発力」、「人と企業文化」と語る三谷氏。
国内外の豊富なビジネス経験で培ったグローバル基準の企業経営術とは?
先端企業ケーススタディ
グローバル化を担う人材を
どう確保し、育成するか
HAYマネジメントセミナー
ヘイからのお知らせ
日本から派遣するスタッフと、現地のナショナルスタッフをいかに発掘し活用するか?
グローバル化を積極推進する、デンソーと帝人の先端事例に学ぶパネルディスカッション
『世界賞賛企業』や『リーダーシップ・ベスト企業ランキング』など、ヘイグループが
ビジネス誌と共同で実施するそれぞれの調査は、どのように行われているか?
ヘイグループが実施する世界規模の
企業ランキングをご紹介します
ヘイ コンサルティング グループ
ヘイからのお知らせ
三谷氏
「欧米企業も日本企業と同等以
上に、“人”を大切にします」
ヘイグループのニュースレターは、そのとき
どきに求められる変化や進歩について、さま
ざまな企業とご一緒に学び、分析し、提案し
てまいります。
小さい媒体ですが、多くの企業の皆様とと
もに、ビジネスの革新を通じて社会に貢献す
る一助でありたいと考えております。
p.8
p.14
p.16
7
29
ヘイグループは1943年に米国フィラデルフィアで創設され、過去60年以上にわたり人事・組織に関わるコンサルティングを展開し
てまいりました。ヘイシステムはフォーチュン1000社の過半数以上でも採用され、報酬制度の世界標準となっております。現在
は、世界50ヵ国近くに86あまりのオフィスを構え、2600人以上のコンサルタントを抱える世界最大の人事経営コンサルティング
会社として広く認知されております。
日本支社は1979年に東京に開設され、各産業界を代表する数多くの日本企業や在日外資系企業に対して、人事制度の改革、人材能
力の開発、報酬制度の設計のみならず、企業変革のアーキテクトとして各種コンサルティング・サービスを提供してまいりました。
21世紀に入り、ますます複雑化する人事・組織の課題解決に真正面から取り組んでおられるマネジメントの皆様に対して、最も頼
れるビジネス・パートナーとして、今後とも満足度の高いサービスを提供していきたいと考えております。
http://www.haygroup.com/jp/
いま人事の世界は大きく変わっています。成果主義的改革、コンピテンシー導入はすでに多くの企業で定着し、いま
はリーダーシップ開発、そしてグローバル対応へのニーズが急速に拡大しています。旧来の「人事の常識」では、対応
しきれない環境変化が 起こっています。
そこでヘイグループでは、こうした変化に対応できる人事戦略、さまざまなシステム、スキルさらにはノウハウを体
系的に学んでいただけるコースを、2006年より年1回のペースで開催しており、今回で5回目のご案内となります。
いままでの修了生の方々の声もご覧いただけますので、
「人事マネジャー養成コース」で検索していただき、オンラインでお申し込みください。
テーマ
開催期間 2010年
5月28日
(金)
∼
8月6日
(金)
全7回
コース概要
今回は、人事制度設計・運用、コンピテンシー、リーダーシップといった従来から提供してい
るテーマに加えて、複雑化する経営環境の中でクローズアップされている「タレントマネジ
メント」、「人事のビジネスパートナー化」といったテーマも盛り込んだ内容といたしました。
ぜひ、ご参加いただきますようご案内申し上げます。
・主な参加対象:人事・人材開発業務に3年以上従事した経験を有す将来の人事マネジャー候補、またはそれに準じ
る方/現職の人事マネジャー以上でさらなるレベルアップを目指されている方
・参 加 費 用:1名様につき 26万2,500円(税込) ※1回単位でのご参加はご遠慮下さい。
これからの人材マネジメントに関する基本的な問いかけ/役割を設計する/等級制度を設計する/
報酬制度を設計する/目標を設定する/結果を評価する/戦略的な『タレントマネジメント』とは/
タレントを『可視化』する/リーダーシップ開発/経営課題を踏まえ人事施策を考える
第5回 人事マネジャー養成コース
(旧人事プロ養成コース)
開催のご案内
デンソー 田島氏 帝人 相原氏
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K 特1 特2
(2)高野 研一
早めに変化していけば
メリットが多くなる
高 野 社長になられて 3年近くですが、まずは
ノバルティス ファーマにおける三谷さんのミッショ
ンについてうかがいたいと思います。
三 谷 大事なミッションは、会社を成長させるこ
とです。当社の企業目的は「人々のいのちと健康に
貢献する」で、この大事なミッションを果たすため
には会社を成長させなければならない。成長とい
うのは、売り上げの向上だけではなく、人の成長も
含めてということです。
高野 そのために、三谷さんが社長になられてか
ら、実施されたことは何でしょう?
三 谷 グローバル企業は「規模」、「開発力」、「人
と企業文化」の三つを、それぞれを強化していかな
ければなりません。例えば私たちは、製薬会社です
ので、「開発力」に関しては、グローバルの機能を
十分利用しながら、かつ日本に同等のスキルを持
つチームが必要です。また、「人」や「企業文化」
などのソフトのスキルも大切です。私はそういう
三つの要素を強化してきたつもりです。
高野 価値観や行動規範のようなところは、三谷
さんご自身の経営観の中でも重要な位置を占めて
いると感じるのですが。
三谷 なぜそれが大事かという話を簡単に述べま
すと、例えば成長するとか、大きくなる、売り上げ
が上がるといったハードの強さをつくるのは、全
部人、つまり社員なのです。ですから、人を育てる
ということを軸としてきました。
そのためには新しいことも始めました。例えば、
年初に全社員向けのキックオフミーティングを実
施する、会社のミッションや将来にむけての展望を
定期的に社員に発信する、ラウンドテーブルと称
して社員の意見を聞く、他部門同士の社員が意見
交換できるような環境づくりをするといったこと
を行ってきました。
価値観としては、私自身はGEに15年もいたの
で、あの会社の一つの強さである、価値観や文化
といったものをずいぶん見てきました。実は、当初、
人に対する考え方は、日本企業の方がしっかり持っ
ていると思っていました。しかし、欧米の企業に
勤めることによってその考えは変わりました。
ともすれば、海外の企業は「社員は、業績だけ上
げてくれればいい」といった業績偏重主義がある
と思われがちです。しかしそうではなく、まずは
人を大切にし、「この会社はどういう考え方をする
人たちの集団で、どちらを向くべきだ」という話を
大切にするのを見て、驚くとともに共感したのです。
ノバ ルティスは、もともとそういう文化を持っ
ています。それをさらに増幅してきたというのが
私のやってきたことであり、これからもやってい
くべきことだと思っています。
高 野 もう一つ、「変化に対する対応力」も三谷さ
んが非常に重視されている領域だと聞いています。
「5 年先を見て動かないといけない」ともおっしゃっ
ていますね。
三谷 問題は「なぜ変化をしなければいけないの
か」ということです。例えば 5年経ったら、世の中
は必ず変わっている。そう考えたときに、いまは
苦しいかもしれないが、事前に準備ができていた
としたらどうだろうか。皆が同じように考える時
になって、ようやく自分も同じことをしていたの
では、競争上不利です。ところが、世の中が変わ
ることをある程度見越して、初めからそちらの方
向に向いていたとしたら、変化への対応は早い。
競争上有利です。準備はしやすいのです。
高 野 早めに動くことが大事だ、というのはそ
の通りですね。
三谷 この業界に入って最初に言われたのは、「三
谷さん、前の業界は知りませんが、この業界は‥‥」
という言葉。「この業界」という枠の中で判断を
する考え方です。もちろん、彼らの意見は、7割
8割は正しい。ですが、いつも正しいのでしょ
うか? この業界だけは変わらず、ずっと特殊性
が保てるのでしょうか? 違いますよね。それな
のに、「いや、実はこの業界では‥‥」とか、「三
谷さん、お言葉ですが‥‥」と言われる。これで
はやはり変われないのです。
たとえば、世界的にはトップクラスの規模の製
薬会社である当社も、日本ではまだ知名度が低い。
そのため、社長就任披露のパーティを企画し、他
業界の方々も招待しようと企画しました。周りの
反応は「 医師は、昼間は忙しくてまず参加はむ
ずかしい」あるいは「医師以外の他業界の方々
を招待しても意味がないのでは?」というもので
した。つまり、自分の営業範囲から抜け出せな
いし、視野が狭くなっている。
高野 確かにそう思い込みがちですね。
三谷 ところが、会社の接点は必ずしも医師だけ
ではありません。例えば、セミナーを開催するた
めには、会場も必要だし、参加者にとって満足度の
高い企画にするには、クリエイティブな人たちの力
を借りなければいけない。製薬会社だから製薬業
界に留まるのではなく、他業界の皆さんとうまく
連携することで、より幅の広い、完成度の高い企画
に仕上げることが可能になる。さらに、「会社は将
来このように成長をしていきます」「こういうリー
ダーを育てています」というビジョンを語ること
が必要です。ただ、業界ではそれがまだあまり行
われていないので、保守的な人は「三谷さん、そ
三谷 宏幸 高野 研一
(株)ヘイ コンサルティング グループ
代表取締役社長
ノバルティス ファーマ株式会社
代表取締役社長
グローバル時代の企業を支える
価値観と文化、
さらにリーダー育成法とは?
スイスに本部を持つ世界有数の製薬企業ノバルティス ファーマの日本法人トップは、
川崎製鉄
(現JFEスチール)
を皮切りに、
ゼネラルエレクトリックなど、国内外の企業を経験してきた三谷
宏幸氏。企業の成長は売上や利益だけでなく、人材力の向上によってもたらされると確信す
る三谷氏のリーダー論、企業文化論は、
航空機エンジンから医療、医薬事業まで幅広いビジネ
ス経験に裏打ちされているだけに、多くの企業の参考になる。
三谷 宏幸
(みたに ひろゆき)
1977年東京大学工学部卒業後、川崎
製鉄(現JFEスチール)に入社。83年
カリフォルニア大学バークレー校工学
修士。84年スタンフォード大学経営
工学修士。88年ボストン・コンサルティ
ング・グループ入社。92年日本ゼネラ
ルエレクトリック入社。98年GE航空
機エンジン北アジア部門社長。2002
年GE横河メディカルシステム社長。
2005年GE本社副社長。2007年5月
より現職。2008年より、ノバルティ
スホールディングジャパン株式会社代
表取締役社長を兼任。
7
●Hey-newsletter
●Hey-newsletter
●Hey-newsletter
●Hey-newsletter
K 特1 特2
(3)高野 研一
早めに変化していけば
メリットが多くなる
高 野 社長になられて 3年近くですが、まずは
ノバルティス ファーマにおける三谷さんのミッショ
ンについてうかがいたいと思います。
三 谷 大事なミッションは、会社を成長させるこ
とです。当社の企業目的は「人々のいのちと健康に
貢献する」で、この大事なミッションを果たすため
には会社を成長させなければならない。成長とい
うのは、売り上げの向上だけではなく、人の成長も
含めてということです。
高野 そのために、三谷さんが社長になられてか
ら、実施されたことは何でしょう?
三 谷 グローバル企業は「規模」、「開発力」、「人
と企業文化」の三つを、それぞれを強化していかな
ければなりません。例えば私たちは、製薬会社です
ので、「開発力」に関しては、グローバルの機能を
十分利用しながら、かつ日本に同等のスキルを持
つチームが必要です。また、「人」や「企業文化」
などのソフトのスキルも大切です。私はそういう
三つの要素を強化してきたつもりです。
高野 価値観や行動規範のようなところは、三谷
さんご自身の経営観の中でも重要な位置を占めて
いると感じるのですが。
三谷 なぜそれが大事かという話を簡単に述べま
すと、例えば成長するとか、大きくなる、売り上げ
が上がるといったハードの強さをつくるのは、全
部人、つまり社員なのです。ですから、人を育てる
ということを軸としてきました。
そのためには新しいことも始めました。例えば、
年初に全社員向けのキックオフミーティングを実
施する、会社のミッションや将来にむけての展望を
定期的に社員に発信する、ラウンドテーブルと称
して社員の意見を聞く、他部門同士の社員が意見
交換できるような環境づくりをするといったこと
を行ってきました。
価値観としては、私自身はGEに15年もいたの
で、あの会社の一つの強さである、価値観や文化
といったものをずいぶん見てきました。実は、当初、
人に対する考え方は、日本企業の方がしっかり持っ
ていると思っていました。しかし、欧米の企業に
勤めることによってその考えは変わりました。
ともすれば、海外の企業は「社員は、業績だけ上
げてくれればいい」といった業績偏重主義がある
と思われがちです。しかしそうではなく、まずは
人を大切にし、「この会社はどういう考え方をする
人たちの集団で、どちらを向くべきだ」という話を
大切にするのを見て、驚くとともに共感したのです。
ノバ ルティスは、もともとそういう文化を持っ
ています。それをさらに増幅してきたというのが
私のやってきたことであり、これからもやってい
くべきことだと思っています。
高 野 もう一つ、「変化に対する対応力」も三谷さ
んが非常に重視されている領域だと聞いています。
「5 年先を見て動かないといけない」ともおっしゃっ
ていますね。
三谷 問題は「なぜ変化をしなければいけないの
か」ということです。例えば 5年経ったら、世の中
は必ず変わっている。そう考えたときに、いまは
苦しいかもしれないが、事前に準備ができていた
としたらどうだろうか。皆が同じように考える時
になって、ようやく自分も同じことをしていたの
では、競争上不利です。ところが、世の中が変わ
ることをある程度見越して、初めからそちらの方
向に向いていたとしたら、変化への対応は早い。
競争上有利です。準備はしやすいのです。
高 野 早めに動くことが大事だ、というのはそ
の通りですね。
三谷 この業界に入って最初に言われたのは、「三
谷さん、前の業界は知りませんが、この業界は‥‥」
という言葉。「この業界」という枠の中で判断を
する考え方です。もちろん、彼らの意見は、7割
8割は正しい。ですが、いつも正しいのでしょ
うか? この業界だけは変わらず、ずっと特殊性
が保てるのでしょうか? 違いますよね。それな
のに、「いや、実はこの業界では‥‥」とか、「三
谷さん、お言葉ですが‥‥」と言われる。これで
はやはり変われないのです。
たとえば、世界的にはトップクラスの規模の製
薬会社である当社も、日本ではまだ知名度が低い。
そのため、社長就任披露のパーティを企画し、他
業界の方々も招待しようと企画しました。周りの
反応は「 医師は、昼間は忙しくてまず参加はむ
ずかしい」あるいは「医師以外の他業界の方々
を招待しても意味がないのでは?」というもので
した。つまり、自分の営業範囲から抜け出せな
いし、視野が狭くなっている。
高野 確かにそう思い込みがちですね。
三谷 ところが、会社の接点は必ずしも医師だけ
ではありません。例えば、セミナーを開催するた
めには、会場も必要だし、参加者にとって満足度の
高い企画にするには、クリエイティブな人たちの力
を借りなければいけない。製薬会社だから製薬業
界に留まるのではなく、他業界の皆さんとうまく
連携することで、より幅の広い、完成度の高い企画
に仕上げることが可能になる。さらに、「会社は将
来このように成長をしていきます」「こういうリー
ダーを育てています」というビジョンを語ること
が必要です。ただ、業界ではそれがまだあまり行
われていないので、保守的な人は「三谷さん、そ
三谷 宏幸 高野 研一
(株)ヘイ コンサルティング グループ
代表取締役社長
ノバルティス ファーマ株式会社
代表取締役社長
グローバル時代の企業を支える
価値観と文化、
さらにリーダー育成法とは?
スイスに本部を持つ世界有数の製薬企業ノバルティス ファーマの日本法人トップは、
川崎製鉄
(現JFEスチール)
を皮切りに、
ゼネラルエレクトリックなど、国内外の企業を経験してきた三谷
宏幸氏。企業の成長は売上や利益だけでなく、人材力の向上によってもたらされると確信す
る三谷氏のリーダー論、企業文化論は、
航空機エンジンから医療、医薬事業まで幅広いビジネ
ス経験に裏打ちされているだけに、多くの企業の参考になる。
三谷 宏幸
(みたに ひろゆき)
1977年東京大学工学部卒業後、川崎
製鉄(現JFEスチール)に入社。83年
カリフォルニア大学バークレー校工学
修士。84年スタンフォード大学経営
工学修士。88年ボストン・コンサルティ
ング・グループ入社。92年日本ゼネラ
ルエレクトリック入社。98年GE航空
機エンジン北アジア部門社長。2002
年GE横河メディカルシステム社長。
2005年GE本社副社長。2007年5月
より現職。2008年より、ノバルティ
スホールディングジャパン株式会社代
表取締役社長を兼任。
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K 特1 特2
(4)れはやめましょう」となるのです。
これは小さな変化かもしれませんが、実際こう
したことを実施していると、「この会社は、様々な
業界ともつながりを持っていて、こんなこともで
きるのだな」といった、いわば社会の中での会社の
ポジショニングができてくる。ところが、それを
なかなかやりたがらない。
高 野 どういう業界の会社でもそうなりがちで
すね。
三谷 普段、当社が訪問するのは、処方をされる
医師です。MR(医療情報担当者)は、担当領域の
医師に面会します。しかし、会社としては、いつ
までも担当領域という「点」ではなく、病院全体
という「面」での接点を考えていかなくてはなり
ません。そうして、「こういうことを一緒にできま
せんか?」といった新しい試みを提案していく。
つまり、点で付き合うことをよしとしていると、そ
この範囲の中に自分が埋もれてしまい、それ以上
に発展しない。
私が、「理事長や病院長にもお目にかかってい
るのか?」と営業に聞くと、「理事長や病院長は処
方をしません」となる。しかし、理事長や病院長
に知ってもらわなければならない情報もあるの
です。
もう少し視野を大きく持って、自分が今の仕事
を、どのように様々な角度から見て、どのような人
の力を使いながらやっていくのかということまで
考える必要がある。それも、私は価値観だと思い
ます。最近では、「5年後10年後を視野に入れる
こと」とか、「点の付き合いだけじゃだめだ」、「面
の付き合いをするためには、何が必要か」という
ことを繰り返し言ってきて、少しずつ社内で有
機的につながる話が出てきました。
高 野 お話を聞いていますと、相手が気づくまで
相当時間をかけて我慢をしながら指導しておられ
るように思います。
三谷 最初はスロースタート。最初からトップス
ピードに入れるのはやめています。ゆっくりのスター
トでも、クリアすれば皆に達成感が出てきます。
そしたらまた次に乗せるという形で、スピードを上
げていきます。
高 野 大勢の人を動かしたり、人の心の中を変え
たりしいていくようなことには、やはり一定の時間
が必要だということですね。
三谷 ある面ではポートフォリオマネジメントだ
と思います。例えばいま、「短期と中期の目標を両
方やらないとダメだ」という話をしています。中期
が人の成長だとしたら、短期的に数字だけを出そう
と思うと、人の成長が置き去りになりがちです。そ
ういう意 味では、ローハンギングフルーツ ( l o w
-hanging fruit ) 、つまり手の届くところを最初に目
指し、2年目にはこの事業を引っ張る、3年目には
あの事業を引っ張るといったポートフォリオを考
えています。同じことを同じペースで全部やろう
というのは無理ですから、そういった濃淡を付けて、
短期と中期を合わせて達成するということを目指
しています。
管理職とリーダーは
まったく違うもの
高野 そういうメリハリのある意思決定にも、リー
ダーシップが求められると思います。三谷さんの
考えるリーダー像は、どんなものですか?
三 谷 よく私は、「リーダーと管理職は違う」と
いう話をします。管理職というのは、そのポジショ
ンをどう使って、どう枠の中でやっていくか。つま
りポジションパワーですね 。一方リーダーという
のは、必ずしもポジションではありません。自分自
身が持っているパーソナルパワーを、変化に応じ
ながら使っていくべきだと思います。当然、そのミッ
クスもあります。
ポジションを持って枠の中でやってくれる人と、
いつも変化をつくりながら前向きにやっていく人。
つまりリーダーは、自分が前に出て背中を見せな
がら仕事に取り組む。管理職は後ろを向いて、
人の管理や指示のようなことをする。ですから
私の考えるリーダー像は、「前を向いて背中で
教える人」です。そういう能力をリーダー的な人
たちに持たせないといけません。後継者も含め、
引っ張る方向をはっきり教えていかないとダメ
ですね。
ノバルティスは価値観 がしっかりしています。
リーダーが持つべきもの、例えばチームや人を鼓
舞する力、自分自身の情熱、正直さなどの上に、さ
らにいろいろな専門的な能力やビジネス知識を
つくっていかないといけない。
高野 三谷さんが考えているリーダーシップのあ
り方を浸透させるために、日頃意識してやってお
られることを、おうかがいできますか?
三谷 もちろん会議でも方向性を示すことを意識
していますし、ラウンドテーブルもそういった形で
やります。ただ、本当のリーダー育成という話に
なると、例えば「ノバルティス・ユニバーシティ」
や「トップガン・スクール」、少し毛色は違います
がダイバーシティなど、それぞれのレベルや土壌
に合わせてのトレーニングプログラムがあります。
おそらく、日本の会社に比べると、当社はそういう
トレーニングが多いのではないかと思います。
高 野 そういう場で考え方を示したり、目線を引
き上げるようなことをされているわけですね。
三 谷 そうです。研修は普段の日常の作業から
離れて行います。そういう場に来て、同期入社
とか、同じようなクラスの違う部門の人たちに会
う。そうすることによって、彼らが同じ命題に向
き合ったときに、例えば、解法が違う、やり方が
違うのを見て学ぶことができます。また、当然
ですが、先生から一斉に教えを受けます。そうい
うことから、お互いの刺激になる経験を得るこ
とはいいことだと思います。
私自身は、GEでそういうトレーニングをずいぶ
んやらせてもらいました。やはり自 分にとって一
番刺激になるのは、そういったロールモデルや憧
れの人と同じ場で、一緒に考えるような経験をす
ることですね。
高野 三谷さんにとってリーダーのロールモデル
というのは、どなたですか?
三 谷 原体験はGE です。ジャック・ウェルチも
そうですし、ジェフリー・イメルトもそうですが、
GEにはリーダーがゴロゴロいます。
私の上司になったり、同僚になったりというい
ろいろな局面で、どういう判断をするかを経験さ
せてもらいました。そして、自分の考えに対する
軌道修正を、OJTでよくやらされました。上司で
あろうが、部下であろうが、その判断を見たときに、
「この人はこんな考えをするんだ」という発見は、
ものすごい刺激になります。
自分自身にそういう原体験があり、そういうロー
ルモデルが多くいたことは、勉強になりましたね。
だから、自分も部下に対して良いロールモデル
になってあげなければという使命感は当然あり
ます。
複数の視点から物事を考え
感性を磨いていくことが必要
高 野 優 れたリーダーや同僚との接点の中で、
物事の判断基準やその人の価値観、目線や視点
を学ぶことが大事だということですね。
三 谷 大事です。枝葉末節かもしれませんが、ネ
ゴシエーションのタクティクスなども学べますよ。
GEで聞いた話ですが、何百億円もの投資案件の話
の最後の方にさしかかって、「もうちょっと上げて
ほしい」という相手の要望に対して、こちらが「ノー」
だというときに、最後の最後に1ドルだけパンと
テーブルに出して「これでどうだ?」と言ったと
いう有名な話があります。ああいうネゴシエーショ
ンのタクティクスというのは卓越しているなと感
心しました。
高 野 人々を鼓舞する情熱も、リーダーにとって
非常に重要な側面だと思いますが、そういう面は
育成が可能だと思われますか?
三 谷 ある程度なら可能でしょう。ただし、人が
人についていくためには、最低限のテクニックと
ともに、やはり本人が持っている何かが必要です。
そういった意味で、全部トレーニングできるとは言
いません。ただ、最低限のテクニックはトレーニン
グできます。
要は、知識というものと知能や知恵というものは
違っていて、テクニックである知識は教えることが
「ジャック・ウェルチ等、GEの
リーダーたちから、ものすごく
刺激を受けました」
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K 特1 特2
(5)れはやめましょう」となるのです。
これは小さな変化かもしれませんが、実際こう
したことを実施していると、「この会社は、様々な
業界ともつながりを持っていて、こんなこともで
きるのだな」といった、いわば社会の中での会社の
ポジショニングができてくる。ところが、それを
なかなかやりたがらない。
高 野 どういう業界の会社でもそうなりがちで
すね。
三谷 普段、当社が訪問するのは、処方をされる
医師です。MR(医療情報担当者)は、担当領域の
医師に面会します。しかし、会社としては、いつ
までも担当領域という「点」ではなく、病院全体
という「面」での接点を考えていかなくてはなり
ません。そうして、「こういうことを一緒にできま
せんか?」といった新しい試みを提案していく。
つまり、点で付き合うことをよしとしていると、そ
この範囲の中に自分が埋もれてしまい、それ以上
に発展しない。
私が、「理事長や病院長にもお目にかかってい
るのか?」と営業に聞くと、「理事長や病院長は処
方をしません」となる。しかし、理事長や病院長
に知ってもらわなければならない情報もあるの
です。
もう少し視野を大きく持って、自分が今の仕事
を、どのように様々な角度から見て、どのような人
の力を使いながらやっていくのかということまで
考える必要がある。それも、私は価値観だと思い
ます。最近では、「5年後10年後を視野に入れる
こと」とか、「点の付き合いだけじゃだめだ」、「面
の付き合いをするためには、何が必要か」という
ことを繰り返し言ってきて、少しずつ社内で有
機的につながる話が出てきました。
高 野 お話を聞いていますと、相手が気づくまで
相当時間をかけて我慢をしながら指導しておられ
るように思います。
三谷 最初はスロースタート。最初からトップス
ピードに入れるのはやめています。ゆっくりのスター
トでも、クリアすれば皆に達成感が出てきます。
そしたらまた次に乗せるという形で、スピードを上
げていきます。
高 野 大勢の人を動かしたり、人の心の中を変え
たりしいていくようなことには、やはり一定の時間
が必要だということですね。
三谷 ある面ではポートフォリオマネジメントだ
と思います。例えばいま、「短期と中期の目標を両
方やらないとダメだ」という話をしています。中期
が人の成長だとしたら、短期的に数字だけを出そう
と思うと、人の成長が置き去りになりがちです。そ
ういう意 味では、ローハンギングフルーツ ( l o w
-hanging fruit ) 、つまり手の届くところを最初に目
指し、2年目にはこの事業を引っ張る、3年目には
あの事業を引っ張るといったポートフォリオを考
えています。同じことを同じペースで全部やろう
というのは無理ですから、そういった濃淡を付けて、
短期と中期を合わせて達成するということを目指
しています。
管理職とリーダーは
まったく違うもの
高野 そういうメリハリのある意思決定にも、リー
ダーシップが求められると思います。三谷さんの
考えるリーダー像は、どんなものですか?
三 谷 よく私は、「リーダーと管理職は違う」と
いう話をします。管理職というのは、そのポジショ
ンをどう使って、どう枠の中でやっていくか。つま
りポジションパワーですね 。一方リーダーという
のは、必ずしもポジションではありません。自分自
身が持っているパーソナルパワーを、変化に応じ
ながら使っていくべきだと思います。当然、そのミッ
クスもあります。
ポジションを持って枠の中でやってくれる人と、
いつも変化をつくりながら前向きにやっていく人。
つまりリーダーは、自分が前に出て背中を見せな
がら仕事に取り組む。管理職は後ろを向いて、
人の管理や指示のようなことをする。ですから
私の考えるリーダー像は、「前を向いて背中で
教える人」です。そういう能力をリーダー的な人
たちに持たせないといけません。後継者も含め、
引っ張る方向をはっきり教えていかないとダメ
ですね。
ノバルティスは価値観 がしっかりしています。
リーダーが持つべきもの、例えばチームや人を鼓
舞する力、自分自身の情熱、正直さなどの上に、さ
らにいろいろな専門的な能力やビジネス知識を
つくっていかないといけない。
高野 三谷さんが考えているリーダーシップのあ
り方を浸透させるために、日頃意識してやってお
られることを、おうかがいできますか?
三谷 もちろん会議でも方向性を示すことを意識
していますし、ラウンドテーブルもそういった形で
やります。ただ、本当のリーダー育成という話に
なると、例えば「ノバルティス・ユニバーシティ」
や「トップガン・スクール」、少し毛色は違います
がダイバーシティなど、それぞれのレベルや土壌
に合わせてのトレーニングプログラムがあります。
おそらく、日本の会社に比べると、当社はそういう
トレーニングが多いのではないかと思います。
高 野 そういう場で考え方を示したり、目線を引
き上げるようなことをされているわけですね。
三 谷 そうです。研修は普段の日常の作業から
離れて行います。そういう場に来て、同期入社
とか、同じようなクラスの違う部門の人たちに会
う。そうすることによって、彼らが同じ命題に向
き合ったときに、例えば、解法が違う、やり方が
違うのを見て学ぶことができます。また、当然
ですが、先生から一斉に教えを受けます。そうい
うことから、お互いの刺激になる経験を得るこ
とはいいことだと思います。
私自身は、GEでそういうトレーニングをずいぶ
んやらせてもらいました。やはり自 分にとって一
番刺激になるのは、そういったロールモデルや憧
れの人と同じ場で、一緒に考えるような経験をす
ることですね。
高野 三谷さんにとってリーダーのロールモデル
というのは、どなたですか?
三 谷 原体験はGE です。ジャック・ウェルチも
そうですし、ジェフリー・イメルトもそうですが、
GEにはリーダーがゴロゴロいます。
私の上司になったり、同僚になったりというい
ろいろな局面で、どういう判断をするかを経験さ
せてもらいました。そして、自分の考えに対する
軌道修正を、OJTでよくやらされました。上司で
あろうが、部下であろうが、その判断を見たときに、
「この人はこんな考えをするんだ」という発見は、
ものすごい刺激になります。
自分自身にそういう原体験があり、そういうロー
ルモデルが多くいたことは、勉強になりましたね。
だから、自分も部下に対して良いロールモデル
になってあげなければという使命感は当然あり
ます。
複数の視点から物事を考え
感性を磨いていくことが必要
高 野 優 れたリーダーや同僚との接点の中で、
物事の判断基準やその人の価値観、目線や視点
を学ぶことが大事だということですね。
三 谷 大事です。枝葉末節かもしれませんが、ネ
ゴシエーションのタクティクスなども学べますよ。
GEで聞いた話ですが、何百億円もの投資案件の話
の最後の方にさしかかって、「もうちょっと上げて
ほしい」という相手の要望に対して、こちらが「ノー」
だというときに、最後の最後に1ドルだけパンと
テーブルに出して「これでどうだ?」と言ったと
いう有名な話があります。ああいうネゴシエーショ
ンのタクティクスというのは卓越しているなと感
心しました。
高 野 人々を鼓舞する情熱も、リーダーにとって
非常に重要な側面だと思いますが、そういう面は
育成が可能だと思われますか?
三 谷 ある程度なら可能でしょう。ただし、人が
人についていくためには、最低限のテクニックと
ともに、やはり本人が持っている何かが必要です。
そういった意味で、全部トレーニングできるとは言
いません。ただ、最低限のテクニックはトレーニン
グできます。
要は、知識というものと知能や知恵というものは
違っていて、テクニックである知識は教えることが
「ジャック・ウェルチ等、GEの
リーダーたちから、ものすごく
刺激を受けました」
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K 特1 特2
(6)H
できるんです。ところが、「どういうときにそのテ
クニックを出すのか」、「どういう顔をした瞬間に
何を言うのか」といった知恵というのは、なかなか
教えることができません。
高野 一方で、三谷さんは人の育成に対しては、非
常にポジティブにお考えの方という印象も受けて
います。「感性を磨く」ということに関して、何かお
考えなり、独自の方法論みたいなものがおありか
と思いますが。
三 谷 やはり、視点を変える癖をつけないとだめ
なのではないでしょうか。感性というのは、最後
は本人がどうやって気づくかということだと思い
ます。同じものを見ても、違うように見える。そん
な中、どうすれば本人の気づきが出てくるのかと
いうのは非常に難しいもので、普段から視点を変
える練習、例えば、大所高所に立ってものを見る、
違う部門から見ることを想像する、お客様の言葉
の意味を考えるなど、視点を変える練習をしない
といけない。
一例を挙げると、明日までに3000万円売らなけ
ればならないという気持ちだけで顧客に会いに行
くと、もうその言葉しか出てきません。しかし、「こ
の顧客が 3 0 0 0 万円分を購入するとしたら、なぜ
買うんだろう?」、「どうすれば 買う気になるのだ
ろう?」、「もともとこの顧客は何をしてきた人な
のだろう?」と考える必要があります。その判断
の中で「営業する」という話があるわけで、目力
を強くすれば売れるというものじゃない。
視点を変える癖を普段から付けておくというの
は、実は感性の部分です。そういうものの中で「こ
うしたら売れた」という自分の成功体験を積んで
いく。
要するに「人の仕事能力は、感性と経験の掛け
算だ」という表現をよく言っているのですが、や
はり感性が高いと、いくつかの変化球が繰り出
せたり、相手の表情の見方も異なってきます。な
ぜ掛け算かというと、感性がある分だけ、経験年
数をカバーするぐらいたくさんのものが、瞬間的
にくみ取れるということがあるからです。
例えば我々は、新聞記事などでさまざまな会
社の評判を目にします。「記者はなぜあのように
書いたのだろうか?」「どの言葉があのように
書かせたのだろう?」「どうしてあのように書
かなければいけなかったのだろう?」、また私なら、
「競合相手はこの記事をどのように読んだのだろう?」
などと考えていきます。普段からそのように考え
るように訓練していれば、「話すべきポイントはこ
の辺りにしよう」「こういう話し方をしよう」と、
判断できます。
私は、次のリーダーたちを育てるときに、常にそ
ういうアングルで話をしています。例えば、「こう
しようと思っています」と提案してきたときに、「そ
れを、皆はどう思うだろうか?」「部下は?」「お客
さんは?」というふうに確認します。こうして最
低限の感性は鍛えられるかもしれません。しかし、
やはり最後は本人の気づきに頼るしかありません。
高 野 そう考えると、先ほどからおうかがいし
てきた、三谷さんがノバルティスさんでやってこ
られたことというのは、基本的に視点を変えて見
る訓練をさせることで共通点がある。それはあ
る面で、人の無意識の世界に影響を及ぼしている
ような感じにも聞こえるのですが。
人は、意識してものを考えているときと何も考
えていないときとで、脳を使っている量はそれほ
ど違わないと言われています。人は意識的にロジ
カルにものを考えているだけではなく、無意識の
うちにも何かを考えている。自分では気づいてい
ないけれど何かを考えている領域というものがあっ
て、そこに「視点を変える訓練」が効くのかと思う
のですが。
三 谷 お話ししていると、そういう気がしてきま
した。「一晩寝てみると答えが出る」などというの
はよくありますし、あるいは、会議の最初に出し
た三つのチャートを見て、「こう話そう」と思って
いたのに、違うことを言ってしまうことがありま
すよね。矛盾していることを言ってしまうという
のではなく、「こう話そう」と考えているうちに、
発言の際にはもう次の段階のことまで話してし
まっている。そして自分で話しながら、「ああ、そ
う思っていたんだ」と、逆に自分で言葉として理
解する。
私は、どの場面で何を話したかということを覚
えていないときもありますが、同じトーンで、同じ
チャートを見せて、同じ話をしてもらったら、いつ
も同じ答えをすると思います。ですから、その部
分の感性トレーニングというのは、正しいか正しく
ないかは別として、自分自身ではできていると思
います。つまり、おっしゃる無意識という中でもの
を考える癖ができているんですね。
なぜアジアのトップが中国人や
韓国人に変わっているのか
高野 ところで、これからはどこの国の企業でも、
ある程度の規模を追求する場合、グローバル展開
無しにはすまないと思います。三谷さんのお話を
うかがっていて思ったのですが、いまの日本の
場合は、様々な文脈に縛られて、着眼点や目線
が限られる傾向があるのに対して、アメリカやヨー
ロッパの多くの国、多様 性のあるカルチャーの中
では、いろいろな見方や着想が出てくるようにも
思います。そういったことを踏まえて、日本の企業
リーダーの皆さんに何か提案はありますか?
三谷 やはり日本は飢餓感がないですね。例えば、
感性一つ磨くにしても、飢餓感があってこそだと
思います。例えば「俺は親父に勝つぞ」とか、「あ
いつに勝つぞ」といった飢餓感があってこそ、感
性を磨くインセンティブも出てきます。
中国や韓国がすごいなと思うのは、何かを言
うと、その反応が 瞬時にサッと広がるということ。
日本の企業は、何かをポトッと落としただけでは
広がらず、何度も言わないと反応しない。もちろん
日本人は能力があり、高い教育を受けている分だ
けいいものを持っているので、理解力は早い。と
ころが飢餓感のなさで、成長スピードが遅いんで
すよね。
このことを物語るかのように、徐々にアジアのトッ
プが、中国人や韓国人になっています。GEであっ
てもマイクロソフトであってもそうで、「これだけ
の市場を抱えていて、日本人は何をやっているんだ?」
と思ってしまう。けれども私は、残念ながらこれに
すぐに効く特効薬はないと思っています。結局、
イギリスがそうであったように、ここからの発展
は横ばいになってしまう。
高野 日本人が、新しい視点を見つけられないで
いる?
三 谷 おっしゃるように人の視点の問題です。人
の問題ですが、どのぐらいのスピードで育つのか
というと、時間がかかるだろうと思います。です
から、優れた人材は、早いうちに海外に出したり、
責任のある仕事につかせたりすることが必要です。
そういった意味では、「平等に」という発想の中
で人事や経営をやっていると、絶対に会社は変わ
りません。
やはり変化をある程度許容できるようなリーダー
を育てていかないと、海外でビジネスはできませ
ん。すごいと思うのは、我々の前の世代の商社や
メーカーの方々が、アルジェリアからアメリカまで、
果敢に世界中でビジネスを展開していったパワー
には驚かせられます。よくこんな世界的ビジネス
を、こんな小さな国がつくったなと感心します。
彼らがあまりにも偉大だったために、次の世代の
我々は自分でチャレンジしようと思わなくなり、
ただそれを守っていくだけの人たちが出てきた。
そういった意味では、時代が切り替わる時期で
ある今日、いまのリーダーは発想を新たにしてい
く必要があると思います。
高 野 高度成長という時期があったからといっ
て、その流れに乗って 30年後もいけるかといっ
たら、明らかにあり得ないですね。
三谷 あり得ない。
高野 見方を変えられれば、飢餓感や危機感が
深いところで起こってくるのに、見方を変えると
いうことがなかなかできない。
三谷 まったくそうです。だからことなかれ主義
になってしまいます。コンテクストが狭いと、そう
いうものだけを大事だと思ってしまう。
高 野 相当思い切って考え方や価値観を変えて
いく必要がありそうですね。
「時代が切り替わろうとしている
いま、リーダーは発想を新たにし
ていく必要があると思います」
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K 特1 特2
(7)H
できるんです。ところが、「どういうときにそのテ
クニックを出すのか」、「どういう顔をした瞬間に
何を言うのか」といった知恵というのは、なかなか
教えることができません。
高野 一方で、三谷さんは人の育成に対しては、非
常にポジティブにお考えの方という印象も受けて
います。「感性を磨く」ということに関して、何かお
考えなり、独自の方法論みたいなものがおありか
と思いますが。
三 谷 やはり、視点を変える癖をつけないとだめ
なのではないでしょうか。感性というのは、最後
は本人がどうやって気づくかということだと思い
ます。同じものを見ても、違うように見える。そん
な中、どうすれば本人の気づきが出てくるのかと
いうのは非常に難しいもので、普段から視点を変
える練習、例えば、大所高所に立ってものを見る、
違う部門から見ることを想像する、お客様の言葉
の意味を考えるなど、視点を変える練習をしない
といけない。
一例を挙げると、明日までに3000万円売らなけ
ればならないという気持ちだけで顧客に会いに行
くと、もうその言葉しか出てきません。しかし、「こ
の顧客が 3 0 0 0 万円分を購入するとしたら、なぜ
買うんだろう?」、「どうすれば 買う気になるのだ
ろう?」、「もともとこの顧客は何をしてきた人な
のだろう?」と考える必要があります。その判断
の中で「営業する」という話があるわけで、目力
を強くすれば売れるというものじゃない。
視点を変える癖を普段から付けておくというの
は、実は感性の部分です。そういうものの中で「こ
うしたら売れた」という自分の成功体験を積んで
いく。
要するに「人の仕事能力は、感性と経験の掛け
算だ」という表現をよく言っているのですが、や
はり感性が高いと、いくつかの変化球が繰り出
せたり、相手の表情の見方も異なってきます。な
ぜ掛け算かというと、感性がある分だけ、経験年
数をカバーするぐらいたくさんのものが、瞬間的
にくみ取れるということがあるからです。
例えば我々は、新聞記事などでさまざまな会
社の評判を目にします。「記者はなぜあのように
書いたのだろうか?」「どの言葉があのように
書かせたのだろう?」「どうしてあのように書
かなければいけなかったのだろう?」、また私なら、
「競合相手はこの記事をどのように読んだのだろう?」
などと考えていきます。普段からそのように考え
るように訓練していれば、「話すべきポイントはこ
の辺りにしよう」「こういう話し方をしよう」と、
判断できます。
私は、次のリーダーたちを育てるときに、常にそ
ういうアングルで話をしています。例えば、「こう
しようと思っています」と提案してきたときに、「そ
れを、皆はどう思うだろうか?」「部下は?」「お客
さんは?」というふうに確認します。こうして最
低限の感性は鍛えられるかもしれません。しかし、
やはり最後は本人の気づきに頼るしかありません。
高 野 そう考えると、先ほどからおうかがいし
てきた、三谷さんがノバルティスさんでやってこ
られたことというのは、基本的に視点を変えて見
る訓練をさせることで共通点がある。それはあ
る面で、人の無意識の世界に影響を及ぼしている
ような感じにも聞こえるのですが。
人は、意識してものを考えているときと何も考
えていないときとで、脳を使っている量はそれほ
ど違わないと言われています。人は意識的にロジ
カルにものを考えているだけではなく、無意識の
うちにも何かを考えている。自分では気づいてい
ないけれど何かを考えている領域というものがあっ
て、そこに「視点を変える訓練」が効くのかと思う
のですが。
三 谷 お話ししていると、そういう気がしてきま
した。「一晩寝てみると答えが出る」などというの
はよくありますし、あるいは、会議の最初に出し
た三つのチャートを見て、「こう話そう」と思って
いたのに、違うことを言ってしまうことがありま
すよね。矛盾していることを言ってしまうという
のではなく、「こう話そう」と考えているうちに、
発言の際にはもう次の段階のことまで話してし
まっている。そして自分で話しながら、「ああ、そ
う思っていたんだ」と、逆に自分で言葉として理
解する。
私は、どの場面で何を話したかということを覚
えていないときもありますが、同じトーンで、同じ
チャートを見せて、同じ話をしてもらったら、いつ
も同じ答えをすると思います。ですから、その部
分の感性トレーニングというのは、正しいか正しく
ないかは別として、自分自身ではできていると思
います。つまり、おっしゃる無意識という中でもの
を考える癖ができているんですね。
なぜアジアのトップが中国人や
韓国人に変わっているのか
高野 ところで、これからはどこの国の企業でも、
ある程度の規模を追求する場合、グローバル展開
無しにはすまないと思います。三谷さんのお話を
うかがっていて思ったのですが、いまの日本の
場合は、様々な文脈に縛られて、着眼点や目線
が限られる傾向があるのに対して、アメリカやヨー
ロッパの多くの国、多様 性のあるカルチャーの中
では、いろいろな見方や着想が出てくるようにも
思います。そういったことを踏まえて、日本の企業
リーダーの皆さんに何か提案はありますか?
三谷 やはり日本は飢餓感がないですね。例えば、
感性一つ磨くにしても、飢餓感があってこそだと
思います。例えば「俺は親父に勝つぞ」とか、「あ
いつに勝つぞ」といった飢餓感があってこそ、感
性を磨くインセンティブも出てきます。
中国や韓国がすごいなと思うのは、何かを言
うと、その反応が 瞬時にサッと広がるということ。
日本の企業は、何かをポトッと落としただけでは
広がらず、何度も言わないと反応しない。もちろん
日本人は能力があり、高い教育を受けている分だ
けいいものを持っているので、理解力は早い。と
ころが飢餓感のなさで、成長スピードが遅いんで
すよね。
このことを物語るかのように、徐々にアジアのトッ
プが、中国人や韓国人になっています。GEであっ
てもマイクロソフトであってもそうで、「これだけ
の市場を抱えていて、日本人は何をやっているんだ?」
と思ってしまう。けれども私は、残念ながらこれに
すぐに効く特効薬はないと思っています。結局、
イギリスがそうであったように、ここからの発展
は横ばいになってしまう。
高野 日本人が、新しい視点を見つけられないで
いる?
三 谷 おっしゃるように人の視点の問題です。人
の問題ですが、どのぐらいのスピードで育つのか
というと、時間がかかるだろうと思います。です
から、優れた人材は、早いうちに海外に出したり、
責任のある仕事につかせたりすることが必要です。
そういった意味では、「平等に」という発想の中
で人事や経営をやっていると、絶対に会社は変わ
りません。
やはり変化をある程度許容できるようなリーダー
を育てていかないと、海外でビジネスはできませ
ん。すごいと思うのは、我々の前の世代の商社や
メーカーの方々が、アルジェリアからアメリカまで、
果敢に世界中でビジネスを展開していったパワー
には驚かせられます。よくこんな世界的ビジネス
を、こんな小さな国がつくったなと感心します。
彼らがあまりにも偉大だったために、次の世代の
我々は自分でチャレンジしようと思わなくなり、
ただそれを守っていくだけの人たちが出てきた。
そういった意味では、時代が切り替わる時期で
ある今日、いまのリーダーは発想を新たにしてい
く必要があると思います。
高 野 高度成長という時期があったからといっ
て、その流れに乗って 30年後もいけるかといっ
たら、明らかにあり得ないですね。
三谷 あり得ない。
高野 見方を変えられれば、飢餓感や危機感が
深いところで起こってくるのに、見方を変えると
いうことがなかなかできない。
三谷 まったくそうです。だからことなかれ主義
になってしまいます。コンテクストが狭いと、そう
いうものだけを大事だと思ってしまう。
高 野 相当思い切って考え方や価値観を変えて
いく必要がありそうですね。
「時代が切り替わろうとしている
いま、リーダーは発想を新たにし
ていく必要があると思います」
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K 特1 特2
(8)先端企業ケーススタディ○
29
グローバル化を担う人材を
どう確保し、
育成するか
グローバルで12万人を
抱えるデンソー
浅川 このパネルのテーマは「グ
ローバル化を進める上で、日本
側から出す人材、さらに現地の
期待人材をどう選抜育成するか」
です。いま多くの企業が取り組
んでいるグローバル化に関しては、
このあたりが非常に大事な鍵に
なるのではないかと思いますが。
田 島 当社はここ数年、まさに
日本からの派遣人材、また各国
の中心人材の育成、確保という
課題の解決に向けて取り組んで
きました。
今日お話しする内容は成功し
たものばかりではなく、必死になっ
て取り組んでいる部分のお話を
させていただいて、少しでも参
考になればと思っております。
当社は、設立が1 9 4 9 年ですの
で、昨年で60年が経過しました。
従業員は連結で約12 万人、デン
ソー単独では37,000人ほどで、
売上高は3兆円の規模になります。
売上は日本がほぼ半分、豪亜、
欧州、北中南米がそれぞれ6分の
1程度です。
グローバルネットワーク(図1参
照)としては、日本、北米、欧州、
豪亜、中国には統括本部を置い
ています。統括本部は各機能の
センターとして、各地域のマネ
ジメントに横串を刺す機能を持
ちます。
12万人の社員のうち、デンソー
ジャパンおよび、国内のグルー
プ会社で約半分、残りの半分が
各地のローカルスタッフという構
成です。
グローバル化する
帝人の人財戦略
浅川 では、続きまして、帝人さ
んの概要をうかがいます。
相原 当社の設立は1918年、当時、
鈴木商店という三井、三菱と並
ぶ大きな財閥があって、その中
の一ベンチャー企業として、山
形県の米沢市でレイヨンの製造
からスタートしております。
売上高は、今年の3月の時点で
7,600億円ぐらいで、合成繊維は
赤字を出していますが、化成品
はだいぶ戻ってきました。医薬
医療事業は、過去最高益を更新
しています。流通リテールとIT
新事業は、規模は大きくないで
すが、安定した状態です。
主要な素材の製品では「アラ
ミド繊維」がありますが、これは
自動車のブレーキパッドなどに
も使用されるもので、強さが鉄
の8倍、軽さが5分の1で、デュポ
ンと弊社が世界のシェアを2分
しています。
そのほか、将来成長する素材
の一つと位置づけている「炭素
繊維」(鉄の10倍の強さと、4分の1
の軽さ)や、デュポンと一緒にやっ
ている、世界シェアナンバー1の
「フィルム」があります。またCD、
DVDや新幹線の窓にも採用され
ている「ポリカーボネート樹脂」(強
さがガラスの200倍、軽さが2分
の1)は、世界シェアの11%、第3
位という状況です。
「医薬医療事業」は、骨・関節、呼
吸器の領域では日本の中でトッ
プクラスにおり、また、在宅医療
は帝人が始めた事業で、国内シェ
ア6割ぐらいのビジネスを展開
しています。
社員数は帝人グループ全体
で 2 万人 弱。そのうち日本人が
1 万 人 、ノ ン ジ ャ パ ニ ー ズ が
9,000人といったところです(図2
参照)。
浅 川 ありがとうございます。
両社の概要をうかがいましたが、
それぞれ、グローバル化という
視点で重点的に取り組んでおら
れるポイントは何ですか?
小集団活動で価値観共有
をグローバルに推進する
デンソー
田 島 四つほどご紹介します。
図の 3 にあるように1 番 、2 番
は「価値観の共有」「基本的な
教育」で、グローバルの全社員対
象の施策になります。
3番はデンソージャパンの社員、
日本人に対する取り組みです。
4番はローカルのコアスタッ
フを対象にした取り組みです。
1番の「デンソースピリット
の浸透」は、競争力の源泉となっ
てきた大事な事柄を言葉に落と
し込んで、それを12万人で共有
しようという取り組みです。
具体的には「先進、信頼、総智・
総力」という三つの大項目があり、
さらに、それぞれに三つずつの
小項目があります。「総智・総力」
はデンソーの造語で、すべての
智恵と力を結集するという意味
です。これを皆で共有し、さら
にこれに基づいて、“考えて行動
を起こす”社員にしていきたい
という思いがあります。
2005年からは、冊子やビデオ
をつくって、グローバルな「共有
活動」を始めましたが、2007年
からは各地域に合わせた教育活
動に移行しました。先述の地域
本部の人事が、その地域の人事
のスタッフと話し合って、北米なり、
豪亜なりの地域に合ったやり方で、
浸透を図っている段階です。
息の長い話で、10年計画ぐら
いでやっていますが、浸透の仕
方は、やはり最後は小集団活動
だと思っています。職場で上司
と部下がスピリットを語り合い、「あ
なたにとってのスピリットは何
だ?」「私にとってのスピリット
はこうなんだ」というところま
で落とし込んでいかないと、腹
に落ちる展開にはなっていかな
いと思っています。
2番の「グローバル共通教育」は、
2009年度にまとめた「DGS=デ
ンソー・グループ・スタンダード」に
基づく教育です。これは例えば、
人事、経理、生産、調達といっ
た機能の中で、デンソーが大事
にする理念、ルールを、昨年すべ
て英語でつくり、海外の人にも
全部サイトで見られるようにし
ました。
本社のグローバル化
を図る
浅 川 図3の中で3番目の項目
として、「内なるグローバル化」
とあるのは、興味深い取り組み
ですね。
田島 ちょっとこれは難しいの
ですが、デンソージャパンの、各
職場のグローバル度を高めるた
帝人(株) 相原氏
(株)デンソー 田島氏
●パネリスト/株式会社デンソー 常務役員
田島 明雄
帝人株式会社 採用・人財開発部長
相原 洋介
ヘイグループ コンサルタント
塩尻 出穂
●コーディネーター/ヘイグループ プリンシパル
浅川 港
図3:デンソーが最近取り組んでいる主な事項
図2:帝人グループの会社/従業員数
東南アジア:9社/3,426人
日本:45社/10,668人
米州:14社/1,569人
※2009年3月末:連結ベース
日本 海外 アジア 米州 欧州 合計
従業員数 10,668 8,785 5,307 1,569 1,909 19,453
会社数 45 42 20 14 8 87
デンソーグループとして大切にする価値観の共有を土台に、現地人材が
活躍する場を広げ、能力発揮、モチベーションアップにつなげていく。
ビジョンの実現“世界の知恵で進化する企業へ”
1
2
3
4
デンソースピリットの浸透
グローバル共通教育
デンソー本社の「内なるグローバル化」
現地幹部人材の育成
図1:デンソーのグローバルネットワーク
拠点数:33
従業員数:14,752人
欧州
拠点数:5
従業員数:1,915人
インド
拠点数:17
従業員数:7,667人
中国
拠点数:68
従業員数:61,639人
日本
拠点数:32
従業員数:12,850人
北中米
拠点数:6
従業員数:3,165人
南米
拠点数:26
従業員数:17,931人
豪亜
■全拠点数:219社(32の国と地域 ※日本含む) ■連結子会社数:187
■持分法適用関連会社数:32
●
…デンソー直接出資会社
※2009年3月31日現在
*売 上 高 : 地域セグメント間の売上を含む所在地別の売上高
*従業員数 : 就業人員数
人員
日本
インド
中国
豪亜
欧州
南米 北中米
デンソー、 帝人というグローバル化を積極的に進めてきた先端
企業の事例に学びながら、日本から派遣する人材、現地で雇用す
るナショナルスタッフの両方で、いかに優れた人材を発掘し活か
すことが出来るか? これが多くの企業の死命を制すと言われます。
この課題をめぐって名古屋で開催されたパネルディスカッション
から、 ハイライトを要約してお届けします。
欧州:8社/1,909人
東アジア:11社/1,881人
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K 特1 特2