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波動

この章では、波動を3つの節に分けて学ぶ。 第1節では、波動の表し方を学ぶ。実際の現象を数式で表し、式変形し、再 び数式から現象をイメージするのが物理だ。だから、まずは、波動を数式で表 せるようになろう。 第2節では、ホイヘンスの原理から説明できる波動の性質を学ぶ。物理は「現 象を可能な限り分割し、理解したら、統合する」という態度を一貫してとって いる。平面波をこの考え方に基づいて説明するのがホイヘンスの原理だ。平面 波の反射・屈折といった性質を、この原理から説明する。 第3節では、その他の性質として、干渉・ドップラー効果・うなりを説明す る。公式を暗記するのではなく、現象のイメージを正しくつかみ、その都度、式 を立てられるようになることが目標だ。   波動の表し方 波動関数 波動の性質 ホイヘンスの原理 その他 反射・屈折 干渉・ドップラー効果 うなり

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4.1 波動の表し方

大学受験では正弦進行波せいげんしんこうは正弦進行波という波を扱う。こ の波の性質は次のとおりだ。 • 波形が正弦波である。(y − x グラフがサインカーブ) • 媒質が単振動をしている。(y − t グラフがサインカーブ) この波は、まず、波形がサインカーブの形をしている。そして、この波が平行 移動すると媒質は単身動(正弦関数で表される振動)するのだ。正弦進行波を 表すグラフは、波形を表す y − x グラフと、媒質の振動の様子を表す y − t グラ フの 2 種類がある。どちらもサインカーブで表されるから、横軸の文字に注意 してはっきりと区別することが必要だ。この節では、y − x, y − t の 2 種類のグ ラフから波動関数 を導く方法を学ぶ。

§4.1.1

波動関数

¥ y − x グラフから導く

まず、tを固定! y − x グラフから導くのは 2 Step ! ¶ ³ (Step 1) グラフから y(x, 0) を求める。 (Step 2) グラフを ±V t だけ平行移動して y(x, t) を求める。 µ ´ Iy − x グラフから波動関数を求 める解法をマスターする! 例題 54 図1の実線は t = 0 のときの波形を表している。この波は +x 方向に速 さ V で進んでいるものとする。波動関数 y(x, t) を書け。 y − x グラフ ¨ § ¥ ¦ 解説&解答 波長が λ のとき、x が λ 変化すると変位 y はもとの値に戻るか O y x A −A P P0 V t λ 図1 Check! λ を波数という。 ら、 三角関数の中身(これを位相という)は 2π 変化している。よって位相を θ とおくと、 x : λ = θ : 2π ) θ = λ x 図1から ± sin ± cos を判断して、t = 0 のときの波動関数を書くと、 y(x, 0) = A sin2π λx この波は速さ V で +x 方向に進んでいるから、t 秒後には、波は +V t だけ平行 移動している (図1の点線)。よって、 y(x, t) = A sin2π λ(x − V t) = A sin 2πx λ− V t λ «

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4.1 波動の表し方 87 λ = V T より、 y(x, t) = A sin 2πx λ− t T «

¥ y − t グラフから導く

まず、xを固定! y − t グラフから導くのは 2 Step ! ¶ ³ (Step 1) グラフから y(0, t) を求める。 (Step 2) ±x V 秒の時間遅れを考えて、y(x, t) を求める。 µ ´ Jy − t グラフから波動関数を求め る解法をマスターする! 例題 55 図2は、x = 0 の媒質の変位の時間変化を表している。+x 方向に速さ V で進んでいるとき、この波の波動関数を書け。 y − t グラフ ¨ § ¥ ¦ 解説&解答 振動の周期が T のとき、t が T だけ変化すると変位 y はもとに O y t A −A T 図2 (x = 0 の変位) 戻るから、位相 θ は 2π 変化している。よって、 t : T = θ : 2π ) θ = T t 図2から ± sin ± cos を判断して関数を書くと、 y(0, t) = A sin2π T t x = 0 から、P 点 (位置 x) に波が伝わるのに x V 秒かかるから、位置 x の媒質 Check! ω =2π T を角振動数という。 の変位は x = 0 の媒質の変位から、x V 秒遅れて振動する。図3にその様子を示 した。原点を山が通過(実線矢印)してから、x V 秒遅れて P 点を通過(点線矢 印)する。よって、P 点の振動の様子は、原点の y − t グラフを t の正方向に x V だけ平行移動したものになり、 O y t A −A 図3 x V y(x, t) = A sin2π Tt − x V ” = A sin 2πt T x V T « λ = V T より、 y(x, t) = A sin 2πt T x λ «

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§4.1.2

横波と縦波

この節では、y − x グラフから振動の様子を読み取る方法を学ぶ。次の例 を考えてみよう。 Aさんは、国道を走る車の色を記録するアルバイトをしている。道路は渋滞 していて、1 分あたり 1 台の割合でAさんの前を通過する。終了時間まで残り 5 分だが、寒いので、これから 5 分の間に通過するであろう車の色を記録して 帰ることにしたい。どのように記録したらよいのだろう。 緑 赤 青 白 黒 Aさん 図のように、これから通過する車は、国道の上流側にいて、Aさんに近い順か ら順番に通過する。だから、 黒 → 白 → 青 → 赤 → 緑 と記録すればよいことが分かる。 波動の場合も、この例と同じように、上流の波が媒質に近い順から通過して いくので、Aさんの立場になって、グラフを見ていけばよい。

¥ 横波

弦の振動のように媒質が波の進行方向と垂直に単振動している波を横波と いう。 I 横波のグラフの読み取り方をマ スターしよう! 図2 速度最小 速度最大 加速度最大 加速度最小 復元力 例題 56 図1は t = 0 のときの波形を表している。波は +x 方向に進んでいるも のとして、以下の問いに答えよ。 (1) 媒質の速度が 0 の位置を O ∼ F より答えよ。 (2) 媒質の速度が最大の位置を O ∼ F より答えよ。 O y x V 図1 (t = 0 のときの波形) A B C D E F 横波 ¨ § ¥ ¦ 解説&解答 (1) 正弦進行波では、媒質は単振動をしている。よって、変位が 最大と最小の位置(一番上と一番下)で速度が 0 になる。よって、求める位置は A, C, E

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4.1 波動の表し方 89 (2) 正弦進行波では、媒質は単振動をしている。よって、媒質の速さ(速度の大き さ)は y = 0 の点(振動中心)O, B, D, F で最大になる。そのうち、v > 0(上 向きに移動) である点を選ぶ。媒質の移動の向きは、その媒質の上流を見て、こ れから通過する波の様子を見れば分かる。これから「山」が通過するのは、 B, F 媒質が動く向きは上流を見て決めろ! ¶ ³ 今、Aさんが浮き輪につかまって水面に漂っているとしよう。上流から大 きな波が押し寄せてくる。そのとき、Aさん上流の波の様子を見て思うは ずだ。「これから下 →0→ 上 →0 と移動する」と。媒質の移動の向きを決 めるコツは、

上流を見よ!

下 → 0 → 上 → 0 µ ´

¥ 縦波

横波に直して考えよ 音波のように、媒質が波の進行方向と平行に振動する波を縦波という。縦波で は、媒質の変位の向きが x 軸と重なってしまい、そのまま波形をグラフに描く ことはできない。そこで、 振動中心からの +x 方向の変位を +y 方向の変位に変換してグラフを描く ことにする。つまり、振動中心よりも図の右側に動いていれば上側に、左側に 動いていれば下側に描くのだ。 Check! 縦波では密度の疎の部分と密な部 分ができるため疎密波と呼ぶ。 y x O 横波は y 方向に単振動 縦波は x 方向に単振動

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横波を縦波に直すのは 4 Step ! ¶ ³ (Step 1) 代表点 (山,谷,0) に○をつける。 (Step 2) x 軸上の振動中心から垂直に○ヘ向けて矢印(点線)を 描く。 (Step 3) +y ⇔ +x と対応させ、上向きの矢印を右向きに、下向 きの矢印を左向きに直す。 (Step 4) 直した矢印の先に●をつける。 ※ 縦波を横波に直すときはこの逆を行う。 µ ´ y x O 図2 I 縦波のグラフの読み取り方をマ スターする。 y x 図3 (t = 0 の波形) O P Q R S T U V 例題 57 図3は −x 方向に進む縦波を表している。以下の問いの答えを P ∼ T か ら選べ。 (1) 媒質の密度が最大の位置を求めよ。 (2) 媒質の左向きの速さが最大の位置を求めよ。 縦波 ¨ § ¥ ¦ 解説&解答 (1) 図3のグラフを横波 → 縦波と変換し、図4のように描き変 えると、密度の最大の位置は Q, U。 y x O 図4 下 → 0 → 上 (2) 「縦波の左向き (−x 方向) ⇔ 横波の −y 方向」だから、横波で表した図4 で下向きの速さが最大の位置を求めればよい。媒質が振動中心にあり、上流を 見ると「下 → 0 → 上 . . .」となっているのは、Q, U。

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4.1 波動の表し方 91

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4.2 波の干渉

2つの波源から出ている場合、媒質の変位は、両方の波の変位の和になる。 これを、重ね合わせの原理という。今、同じ振幅の2つの波源から出た波を考 えよう。「山」と「山」、「谷」と「谷」が出会う位置では、媒質は 2 倍の振幅 で振動する。これを「強め合いの位置」という。また、「山」と「谷」が出会う 位置では、変位の和は 0 になり、媒質は振動しない。これを「弱め合いの位置」 という。このように、強め合いや弱め合いが起こる現象を干渉という。この節 では、強めあいや弱めあいが起こる条件(干渉条件)について説明する。

¥ 重ね合わせの原理

y t yB yA y t yA, yB D 点の振動 C 点の振動 図2 図1は、同位相の波源 A, B から同心円状に出る波の t = 0 における波形を 表している。振幅はともに等しく A であり、図の点 C, D はこの後、どのよう な振動をするだろうか。 A B C D 図1 まず、C 点の振動について考えてみよう。A からの波による変位 yA、B から の波による変位 yBは、t = 0 のとき、ともに A であり、波がやってくる方向 (上流)を見ると、0 → −A → 0 . . . となっているから、図2(上)のように振 動する。 次に、D 点の振動について考えてみよう。A からの波による変位 yAは、t = 0 のとき 0 で、上流を見ると、−A → 0 → A → 0 . . . となっているから、図2 (下)の実線ように振動する。また、B からの波による変位 yBは、t = 0 のと き 0 で、上流を見ると、A → 0 → −A → 0 . . . となっているから、図2(下) の点線ように振動する。よって、重ね合わせの原理により、Q 点の変位は図2 (下)の太線のようになり振動しないことが分かる。

¥ 干渉条件と腹線・節線

図1で、振幅が 2A になって強めあう点を実線で、振幅が 0 になって弱めあう 点を破線で結ぶと図3のようになる。この実線を腹線、破線を節線という。こ こでは、腹線と節線がどのような条件を満たす点の集合になっているのかを考 えてみよう。

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4.2 波の干渉 93 A B 図3 m = 0 m = 1 m = 2 m = −1 m = −2 A B P 図4 Q 山 山 図1の例で、ある点 P が強めあうための条件を考えてみよう。P 点が強めあう ためには、A 点からくる「山」と B 点からくる「山」が同時に P 点を通過しな くてはならない。そのためには、PB = PQ を満たす点を Q とすると、B 点が 「山」のときには、Q 点も「山」でなくてはならない (図4参照)。A と B は同 位相の波源だから、結局、A と Q が同位相で振動していればよい ことになる。 正弦進行波において、進行方向に QA = PA − PB だけはなれた2点が同位相で 振動する条件は、 PA − PB = mλ (m = 1, 2, 3, . . .) . . . 1° また、同様に考えて、弱めあう条件は、 PA − PB =m −1 2 « λ (m = 1, 2, 3, . . .) . . . 2° 1 °で m = 0 のとき、PA = PB となり、これを満たす P は A, B の垂直二等分 線上になる。また、m = 1, 2 のときは、それぞれ、図 3 の実線のようになる。 線分 AB 上では、常に変位が 0 になる節と、振幅 2A で振動する腹が交互に 並び節の位置は時間によって変化しない。このような波のことを定常波という。 定常波は、この例のように、同じ振幅で同じ波長の波がすれ違うときにできる。

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¥ 定常波の解法 (1)

進行波のグラフから腹・節の位置を見抜く! 腹と節の位置は次のようにして見つけることができる。 腹・節の位置はこうやって見抜け! ¶ ³ 腹 ‥「山」と「山」、「谷」と「谷」が出会って強めあう位置 節 ‥「山」と「谷」が出会って弱めあう位置 µ ´ x y 図5 例題 58 図5において、実線は右向きの進行波、点線は左向きの進行波を表して いる。腹の位置を図に描き込め。 グラフから腹の位置を見抜く ¨ § ¥ ¦ 解説&解答 「山」と「山」、「谷」と「谷」が出会って強めあう位置が腹だか ら、図6のようになる。 x y 図6 腹 腹 腹 腹

¥ 定常波の解法 (2)

波源間の距離から、腹・節の位置を求める! 腹と腹、節と節の間隔は必ず λ 2 になるから、腹 or 節になる1点を見つけるこ とができれば、そこから、λ 2ごとに点を打っていくことで、腹 or 節の数が数え られる。 節の数え方は 3 Step ! ¶ ³ (Step 1) 領域をλ 2 単位で区切る。 (Step 2) 節 or 腹が分かる点を見つける。 中点 → 8 < : 腹(同位相) 節(逆位相) 反射面 → 8 < : 腹(自由端) 節(固定端) (Step 3) その点からλ 2 ごとに作図する。 µ ´

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4.2 波の干渉 95 I 波源が同位相の場合の定常波の 解法をマスターする。 例題 59 図7に示すように、3.5λ 離れた A, B が同位相で振動している。A と B の間にできる節の数を求めよ。 定常波(同位相) ¨ § ¥ ¦ 解説&解答 A, B は同位相なので、A から出た「山」と B から出た「山」が A B 図7 中点で出会うから、中点が腹になる。 AB = 3.5λ = 0.5λ × 7 より、AB 間を7等分し、中点から作図していく。 Check! 対称性より、半分だけ図を描けば 十分! 中点 B 図8 A 図8より、中点と B の間には節が 3 個できる。よって、AB 間には 3 × 2 = 6 個 できる。 J 腹線・節線を用いた解法 A B x y 図9 −λO λ 例題 60 図9のように、2λ 離れた A, B が逆位相で振動している。直線 x = 2λ 上で弱めあっている点の個数を求めよ。 定常波(逆位相) ¨ § ¥ ¦ 解説&解答 A, B は逆位相なので、A から出た「山」と B から出た「谷」が 中点で出会うから、中点が節になる。 初めに AB 間の節の位置を求める。AB = 2 = 0.5 × 4 より、AB 間を4等分 し、中点から作図していくと、図 10 を得る。さらに、そこに節線を描き込んで 直線 x = 2λ との交点の個数を数えると、弱めあう点の個数は、3 個 A B x y 図 10 −λ O λ

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4.3 反射波の波動関数

§4.3.1

自由端反射

下へ移動! 図1 図2 自由端は腹!

¥ 自由端とは

水面波などのように、境界にある媒質が自由に移動できるような端を自由端 という。自由端に進入した波は反射し、実際に観測できるのは、入射波と反射 波の合成波だ。ここでは、自由端の性質から合成波を求め、そこから、反射波 がどのような波でなくてはならないかを求めていく。 自由端の例として、図1のように弦に質量の無視できるリングをつけ、滑 らかな棒に通したものを考える。張力の向きが棒と垂直でないとき、リングに は棒に平行な力成分が加わり、リングはその成分が 0 になる位置、つまり、弦 と棒が直行する位置まで移動する。リングの質量を 0 とすると移動に要する時 間は 0 だから、自由端では、弦は棒に常に直交する。図2を見ると、入射波と 反射波の合成波は、自由端で腹になっていることが分かる。よって、そうなる ために反射波は、y 軸に対して、入射波と線対称になっていればよい(図3)。 入射波 合成波 図3 y 反射波 波源

¥ 自由端反射の作図

ここでは、波の反射を「波形のグラフの折り返し」と見なす。この見方は、干 渉条件を考えるときに都合がよい。次の手順で反射波を描くと、図3と同じ波 形を描くことができる。 折り返す 図3 y x 透過波 反射波 入射波 自由端の反射波の作図は 2 Step ! ¶ ³ (Step 1) 入射波を延長して透過波を描く。 (Step 2) 透過波を自由端に対して折り返す。 µ ´ 透過波 y y 反射波 透過波を描く 自由端に対して折り返す 図4

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4.3 反射波の波動関数 97

¥ 自由端反射の位相変化

図4は、自由端反射の反射波が y 軸で折り返した波になっていることを示し ている。そのまま折り返しているので位相変化は 0 である。

§4.3.2

固定端反射

¥ 固定端とは

図5 y x 固定 図6 y x 固定 固定端は節! 気柱での閉口端や、弦の振動のように、境界で媒質の変位が y = 0 に固定さ れているような端を固定端という。 固定端の例として、図5のように弦に質量の無視できるリングをつけ、リン グを y = 0 に固定した場合を考える。リングは y = 0 に固定されているから、 固定端での合成波の変位は常に 0 になる。図6を見ると、入射波と反射波の合 成波は、固定端で節になっていることが分かる。よって、そうなるための反射 波は、原点 O に対して、入射波と点対称になっていればよい(図7)。 入射波 反射波 合成波 図7 y

¥ 固定端反射の作図

折り返す 図8 y x 透過波 反射波 入射波 π ずらす 固定端の反射波の作図は 3 Step ! ¶ ³ (Step 1) 固定端から延長して透過波を描く。 (Step 2) 透過波を x 軸に対して折り返す。(位相を π ずらす) (Step 3) 固定端に対して折り返す。 µ ´ 透過波 y y y 透過波を描く x 軸に対して折り返す 固定端に対し折り返す π ずらす 反射波

¥ 固定端反射の位相変化

図8は、反射波が位相を π ずらしてから y 軸で折り返した波になっていること を示している。よって、位相変化は π である。

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¥ 定常波の波動関数

逆向きの進行波の重ね合わせ y x 図1 O ここでは、振幅 A、周期 T 、波長 λ で、逆向きに進む 2 つの進行波の波動関 数を合成して、定常波の波動関数を導いてみよう。+x 方向に進む波 y1と、−x Check! ω =2π T を角振動数 k =2π λ を波数という。 方向に進む波 y2はそれぞれ、 y1(x, t) = A sin2π λ (x − vt) = A sin λx − T t « . . . 1° y2(x, t) = A sin2π λ (x + vt) = A sin λx + T t « . . . 2° と表される。三角関数の和積の公式

sin α + sin β = 2 sinα + β 2 « cos „ β − α 2 « を用いて、2つの波の和を計算すると y1(x, t) + y2(x, t) = 2A sin2π λ x | {z } 振幅項 cos T t | {z } 振動項 . . . 3° 3 °式を定常波の波動関数という。ここで、2A sin2π λx の部分は位置 x だけで決 まり、時刻 t によらないから、その位置での合成波の振幅を表している。 sin λx = 0 の点、つまり、 λ x = 0, π, 2π, . . . を満たすところでは、振幅は時刻によらず 0 になり振動しない。つまり、この点は節になっている。また、 Check!  節になる点の座標は x = 0,λ 2, λ, . . . Check! 図 2 は 図 1 と 異 な り、 ア °→°→°→°→°と 変 化 し て 行 く 波 を 同 時 に 表 し た もの。 sin λx = ±1 の点、つまり、 λx = π 2, 2 , . . . を満たすところでは、振幅は 2A となり最大 となる。つまり、この点は腹になっている。腹 定常波を図示すると図2のよう Check! 腹になる点の座標は、 x =λ 4, 4, . . . になる。 y 図2 O 節 節 節 ア °°°

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4.4 ホイヘンスの原理と反射・屈折 99

4.4 ホイヘンスの原理と反射・屈折

物理では、複雑な物理現象を理解するために、まず単純な現象に分解してか ら、それを足し合わせるという方法をとる。ホイヘンスの原理は、波動現象を この方法で理解するための原理だ。

§4.4.1

平面波の反射と屈折

作図の手順をマスターせよ

¥ ホイヘンスの原理

波の伝播のメカニズムを表すのがホイヘンスの原理だ。 ホイヘンスの原理 ¶ ³ 新しく形成される波面は、それ以前の波面上の各点を点波源と見なして、 そこから球面波が発生した波を考え、その無限に多くの球面波の重ねあわ せになっている。 µ ´

¥ 反射の法則

図1のように、境界面と角 θ をなす左上方から速さ v の平面波を入射させた 場合を考えよう。AC は平面波の「山」を表している。この波がどのように反 射するのかを、ホイヘンスの原理を使って理解してみよう。まず、平面波を細 い帯状の波に分解すると、点 A, B を球面波を出す点波源と見なすことができ る。この球面波の重ねあわせとして反射波を構成しよう。 C 点の「山」が B 点まで達するのに ∆t 秒かかったとすると、CB= v∆t に なる。よって、A 点で反射して広がった球面波の半径は、v∆t になる。同様に して、AB の中点、さらにその中点と帯状の波を増やして重ね合わせていくと、 次第に図2のような反射波面が見えてくる。結局、B から円周に引いた接線が 反射波の波面(山)になるから、正しいイメージが持てたら、作図には2本の 光線を用いればよい。以下に作図の手順をまとめる。 A での反射波 接線 射線 A B 反射波 入射波 θ C 図1 D A B θ 図2 反射波の作図は 3 Step ! ¶ ³ (Step 1) A 点を中心に半径 BC の円を描く。 (Step 2) B から円周に接線を描く。(反射波の波面) (Step 3) A から接点へ直線を引く。(反射波の射線) µ ´ 射線 波の進行方向を矢印で示したもの を射線といい、波面に垂直になる。 次に、入射角と反射角が等しい(反射の法則)ことを示そう。

AB は共通、BC = AD、\ACB = \BDA = 90◦より、4ACB と 4BDA は合 同である。よって以下の関係が成り立つ。

反射の法則

¶ ³

(入射角) = (反射角)

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¥ 屈折の法則

屈折率 n の定義 屈折率 n の媒質を伝わる波の速 度は、 v0= v n と表される。振動数は媒質によっ て変化しないから、波長は、 λ0=v0 f = λ n と表される。 A B 入射波 C A からの波面 接線 射線 図3 θ1 θ2 D 屈折波 領域 I 領域 II 屈折率の定義より、n = 1 の媒質での速度を v とすると、各領域の速度を以 下のように表すことが出来る。 v1=nv 1 (領域 I), v2= v n2 (領域 II) . . . 1 ° 図3は入射角 θ1で領域 I から領域 II へ平面波を入射させた場合を表してい る。AC は入射波の「山」だ。C の山が B に達するまでに要した時間を ∆t と すると、BC =v1∆t だ。また、A の山が媒質 II のなかを同じ時間 ∆t の間に進 む距離は v2∆t だから、山は半径 v2∆t の円周上にある。よって、B から円周に 引いた接線 BD が屈折波の波面だ。また、BD に垂直に引いた直線 AD が屈折 光の射線だ。以下に作図の手順をまとめる。 屈折波の作図は 3 Step ! ¶ ³ (Step 1) A を中心に半径 v2∆t の円を描く。 (Step 2) B から円に接線を引く。(屈折波の波面) (Step 3) A から接点に直線を引く。(屈折波の射線) µ ´ 図2より、 Check! 屈折の法則は、 n1sin θ1= n2sin θ2 の形(保存則型)で覚えておいた ほうがよい。いくつもの媒質を波 が通過するときに、

n1sin θ1= n2sin θ2= n3sin θ3

と書き連ねることができるからだ。 BC = v1∆t = AB sin θ1 AD = v2∆t = AB sin θ2 辺々わると、v1∆t v2∆t = AB sin θ1 AB sin θ2 . . . 2° 1 °を 2°に代入して、 v1 v2 = sin θ1 sin θ2 = n2 n1 この式を屈折の法則という。分母を払って式変形すると、次の式を得る。 屈折の法則(保存則型) ¶ ³ n1sin θ1= n2sin θ2 µ ´ I 屈折の法則の使い方をマスター する。 θ 図4 θ θ0 n n1 n n1 例題 61 図4のように、水中に2枚のガラスを間隔を空けて置く。ガラスと水の 屈折率をそれぞれ n1, n (n1< n) とする。上方から入射角 θ で光を入射 したとき、下のガラスの下方から出た光の屈折角を求めよ。 屈折の法則 ¨ § ¥ ¦ 解説&解答 ガラスの下方から出る光の屈折角を θ0とすると、屈折の法則より、 n sin θ = n1sin θ1= . . . = n sin θ0

) θ0= θ ¨ § ¥ ¦ 研究 この例のように、「媒質をいくつ通過しても nisin θiは一定」というよう に保存則型で理解している方が、屈折という現象の規則性をより深く理解して いると言える。

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4.4 ホイヘンスの原理と反射・屈折 101

¥ 全反射

θ r 入射光 反射光 屈折光 n1 n2 図1 θc 入射光 反射光 n1 n2 図2 図1のように、屈折率が n1の媒質 から屈折率が n2の媒質 へ光が入射す るときについて考える。境界では一部が屈折し、残りが反射しており、入射光 のエネルギーは、屈折光と反射光に分配されている。屈折の法則は、 n1sin θ = n2sin r . . . 1° となるから、n1> n2のときは、 1°より r > θ となる。ここで、θ を大きくし ていくと、ある角度 θ = thetacのときに r = 90◦となる (図2)。このとき、屈 折光の強度は 0 になる。光についてのエネルギー保存則を考えると、θ > θcで は、入射光のエネルギーはすべて反射光に分配される。つまり、まったく強度 が減ることなく反射する。このような反射のことを全反射といい、θcを臨界角 という。 臨界角の求め方 ¶ ³

屈折の法則 n1sin θc= n2sin 90 ) sinc= n2

n1 µ ´ θ n 1 図3 θc n 1 図4 θ1 θ2 P O 例題 62 図3のような、屈折率 n の媒質でできた光ファイバーを空気中におき、 入射角 θ でレーザー光を入射させた場合を考える。空気の屈折率を1とし て以下の問いに答えよ。 (1) レーザー光が境界で全反射を繰り返して進むための θ についての条 件を求めよ。 (2) どのような入射光にたいしても、(1) の条件が成り立つための条件を 求めよ。 光ファイバー ¨ § ¥ ¦ 解説&解答 (1) 図4のように、O, P 点を取る、P 点における臨界角を θ1と Check! 全反射をくり返して進むかどうか の境界線は、P 点での臨界角で決 まる。そこで、°から θ1 1を求め る。 Check! θ1は観測不可能な角度なので、観 測可能な角度 θcへ変換しなくて はならない。三角形の内角の関係 と、°式を用いて変換していく。2 おき、図のように θ2, θcをとる。屈折の法則は、 n sin θ1= 1 sin 90 . . . 1° n sin θ2= 1 sin θc . . . 2° 1 °より、 ) 1 = n sin θ1 = n sin(90◦− θ2) = n cos θ2 = q n2− n2sin2θ2 = pn2− sin2θ c ) sin θc= p n2− 1 求める条件は、 sin θ <pn2− 1 . . . 3° (2) すべての θ (0 < θ < 90◦) について 3°が成り立つためには p n2− 1 > 1 ) n >2

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4.5 光波の干渉

光は波動性をもち、水面波と同様に干渉する。この節では、屈折や反射があ るときの干渉条件の作り方を学ぶ。媒質中での波長の変化や反射による位相の 変化をどのように扱ったらよいのかを説明していく。

¥ 光学距離

媒質中の経路長を真空での経路長に換算 スクリーン L 図1 n = 2 A0 A B0 B L 図2 真空での経路長に換算 A0 B0 2L 屈折率が n の媒質中では、光の波長は λ0 = λ n に変化する。図1のように、 真空中を通過する光と、屈折率 n = 2、長さ L のガラス中を通過する光とが強 めあう条件を考えてみよう。経路 AB と A0B0を比べてみると、距離はともに L で等しい。けれども、波の速度が媒質中では1 2 倍になっているから、通過する のに要する時間は、2 倍かかる。よって、経路 A0B0を通過するということは、 真空中であれば 2L の長さを通過することに相当することが分かる。よって、強 めあいの条件は、 2L − L = mλ (m = 1, 2, . . .) 光学距離の定義 ¶ ³ 屈折率 n の媒質中を光が L〔m〕進むとき、光学距離 L0は、 L0= n · L µ ´ 光学距離を考えると、屈折率の異なる媒質中を通過した光の経路長を真空での 経路長に換算して比較することができる。このようにして比較した光学距離の 差を光路差という。一般的な強めあいの条件は、 光路差 = mλ (m = 1, 2, . . .) I 強めあいの条件を立てられるよ うになろう! 例題 63 図3のように波長 λ の光線をスリット A, B にあてると、回折して広が り、それぞれ点 P に達する。今、スリットの右側は屈折率 n の物体で満た されている。点 P で強めあう条件を求めよ。 干渉 ¨ § ¥ ¦ 解説&解答 光路差を計算すると、 P A B LA LB 図3 ∆L(光路差) = |nLA− nLB| よって、強め合う条件は、 n|LA− LB| = mλ (m = 0, 1, 2, . . .) または、 n(LA− LB) = mλ (m = 0, ±1, ±2, . . .)

(19)

4.5 光波の干渉 103 J 弱めあいの条件を立てられるよ うになろう! スクリーン L 図4 l n1 n2 例題 64 真空中に屈折率 n1、厚さ L のガラスと、屈折率 n2、厚さ l のガラスを 図4のように並べておく。波長 λ の光を左から当てたとき、スクリーン上 で弱めあうための条件を求めよ。 干渉 ¨ § ¥ ¦ 解説&解答 経路長を真空での長さに換算して光路差を計算すると、 ∆L(光路差) = |n1L − {(L − l) + n2l} | よって、弱め合う条件は、 |(n1− 1)L − (n2− 1)l| =m +1 2 « λ (m = 0, 1, 2, . . .) または、 (n1− 1)L − (n2− 1)l =m +1 2 « λ (m = 0, ±1, ±2, . . .)

(20)

§4.5.1

反射を含む干渉

¥ 固定端型反射と自由端型反射

光波は、屈折率の違う媒質の境界で反射する。入射側の媒質の屈折率を n1、 透過側の屈折率 n2とすると、その大小関係によって反射したときの位相変化 が異なる。 反射による位相変化 ¶ ³ n1< n2とすると 位相変化 0 位相変化 π 自由端型反射 固定端型反射 n2 n1 n1 n2 µ ´ 固定端型反射があると位相が π ずれる。簡単に言えば、「山」が「谷」に変 化する。その結果、強めあいと弱めあいの条件が逆転する。よって、固定端型 反射を含むときの干渉条件は以下のようになる。 反射を含む干渉条件 ¶ ³ 固定端型反射が奇数回 ∆L =m +1 2 « λ 固定端型反射が偶数回 ∆L = mλ µ ´ I 反射を含む干渉条件の作り方を マスターする! 1 n 1 π ずれる ずれない 図1 d a b 例題 65 図1のように、真空中に、厚さ d、屈折率 n(> 1) のガラスを置き、上 方から波長 λ のレーザー光をあてる。ガラスの上面で反射した光 a と、下 面で反射した光 b が強めあう条件と弱め合う条件をそれぞれ求めよ。 反射を含む干渉条件 ¨ § ¥ ¦ 解説&解答 光路差は、○から●までの距離を比較して、 ∆L = 2nd − 0 経路 a の反射は 1 → n(1 < n) より、固定端型反射。ここで位相が π 変化す る。一方、経路 b の反射は n → 1(n > 1) より、自由端型反射。位相の変化は 無い。経路 a で1回位相が π ずれているから、強めあいと弱めあいの条件が逆 転する。 8 > < > : 強めあいの条件: 2nd =m +1 2 « λ (m = 0, 1, 2, . . .) 弱めあいの条件: 2nd = mλ (m = 0, 1, 2, . . .)

(21)

4.5 光波の干渉 105 J 屈折と反射を含む薄膜の干渉を マスターしよう! 例題 66 図2のように、屈折率 n0のガラス上に、屈折率 n の油の薄膜が張って ある。薄膜の厚さを d とする。上方から入射角 θ で、波長 λ のレーザー光 を入射すると、油の上面で反射した経路 a と下面で反射した経路 b が干渉 する。以下の問いに答えよ。ただし、n0> n とする。 (1) 屈折角を r としたとき、強めあいの条件を r を用いて答えよ。 (2) 強めあいの条件を、入射角 θ を用いて答えよ。 薄膜 ¨ § ¥ ¦ 解説&解答 (1) 経路 a の反射点を A、その点から経路 b に下ろした垂線の θ r 1 n n0 d 図2 θ r 1 n n0 d b a B A C D 図3 b a 足を B とすると、AB は同位相面だから A と B は同位相で振動している。油の 下面で反射した経路 B → C → ●と上面で反射した経路 A → ●を比較すると、 光路差は、 ∆L = n(BC + CA) − 0 = n(BC + CD) = n(AD cos r) = n · 2d cos r 油の上面での反射が 1 → n(1 < n) より、固定端型反射。油の下面での反射が n → n0(n < n0) より、固定端型反射。固定端型反射が2回あるので、強めあい と弱めあいの条件が2度入れ替わって結局もとに戻る。よって、 強めあいの条件: 2nd cos r = mλ (m = 1, 2, 3 . . .) (2) 屈折の法則 Check! 屈折角 r は、油の内部の角度なの で、実際に制御・測定ができない 角度だ。実験と比較できるように するためには、測定可能な入射角 θ で条件を表す必要がある。屈折 の法則を r から θ への変換式とし て用い、書き直していこう。 1 sin θ = n sin r よって、 ∆L = 2nd cos r = 2ndp1 − sin2r = 2dpn2− n2sin2r = 2d p n2− sin2θ 強めあいの条件: 2d p n2− sin2θ = mλ (m = 1, 2, 3 . . .)

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4.6 レンズ

光線を作図してレンズの公式を導け!

¥ 光線の作図と像

3本の光線を使いこなせ 像 物体によって散乱された光が、レ ンズによって再び一点に集められ る点 正立像と倒立像 像ができる位置にスクリーンを置 くと、物体の形がスクリーン上に 映る。このとき、上下が正しく映 る場合 (正立像) と逆さまになって 映る場合 (倒立像) がある。 レンズが、物体 AB の像をどこにつくるのかを考えてみよう。十分に薄いレ ンズを通る光線は以下のように進む。 光線の作図は 3 Point! ¶ ³ 1 ° 中心を通った光は、直進する。 2 ° 光軸に平行な光は、焦点を通る。 3 ° 焦点を通った光は、光軸に平行に進む。 µ ´ 図1のように、物体上の点 A で散乱した光は四方八方に広がる。レンズに よってこれらの光が再び一点に集められる点を像という。像の位置は、散乱光 線の交点になるから、光線 1° ∼ 3° の中から2本の光線を選んで作図し、交点 を求めればよい。 F0 F B A A0 B0 図1 2 ° 1 ° 3 ° I 光線の作図方法をマスターしよ う! 例題 67 図2のように、点 F を焦点とするレンズに光線を入射させると、光線は どのように進むか、作図せよ。 光線の作図 ¨ § ¥ ¦ 解説&解答 すべての光線はレンズによって像に集められるから、まず像の F F 光源 像 図2 図3 位置を求めるのがコツだ。 初めに、図3のように入射光線上の適当な位置に自分で光源を設定する。性 質 1° 2°より像を求める。与えられた光線も像へと進むから、像へ向けて直線を 引いて出来上がり。

¥ レンズの公式

2組の相似な三角形を見つけろ! 物体からレンズまでの距離を a、レンズから像までの距離を b、焦点距離を f と すると、a, b, f の間には以下の関係式が成り立つ。 レンズの公式 ¶ ³ 1 a+ 1 b = 1 f µ ´ レンズの公式の符号は、物体の位置やレンズの種類(凸 or 凹)によって変 わってくる。各場合について暗記するのではなく、レンズの公式を作図から導 く方法を理解しよう。

(23)

4.6 レンズ 光線を作図してレンズの公式を導け! 107 レンズの公式は 3 Step ! ¶ ³ (Step 1) 性質 1°∼ 3°を用いて像を求める。 (Step 2) 2組の相似な三角形を見つけ、倍率を2通りで表す。 (Step 3) 両辺を b でわって、整理する。 µ ´ J 作図してレンズの公式を導こう! (a) (b) (c) 図4 例題 68 図4 (a)(b)(c) の各場合についてレンズの公式を導出せよ。ただし、物 体からレンズまでの距離を a、レンズから像までの距離を b、焦点距離を f とし、光軸上の黒丸は焦点を示すものとする。 レンズの公式 ¨ § ¥ ¦

解説&解答 (a) 下図のように作図する。4ABO ∽ 4A0B0O, 4OMF ∽

コツ (a), (b), (c) において、2組の相 似な三角形を以下のようにすると 見つけることができる。 1組目 物体 AB と像 A0B0とレ ンズの中心 O とでできる。 2組目 物体 AB をレンズの位置 まで平行移動し、MO と A0B0 焦点 F とでできる。 4B0A0F より、倍率は、 m = b a = b − f f ) 1 a + 1 b = 1 f F B A O M A0 B0 a f b (b) 下図のように作図する。4ABO ∽ 4A0B0O, 4OMF ∽ 4B0A0F より、倍 率は、 m = b a = b + f f ) 1 a 1 b = 1 f A B B0 A0 O M F f b a (c) 下図のように作図する。4ABO ∽ 4A0B0O, 4OMF ∽ 4B0A0F より、倍 率は、 m = b a = f − b f ) 1 a− 1 b = − 1 f F B A O M A0 B0 f a b

(24)

4.7 ドップラー効果とうなり

§4.7.1

ドップラー効果

¥ ドップラー効果とは

波源や観測者が移動することによって、観測される波の振動数が変化するこ とをドップラー効果という。その原理は「波源が動く場合」と「観測者が動く 場合」とで異なる。

f =

V

λ

(観測者が動くと変化) (波源が動くと変化) V 〔m〕 λ〔m〕 V 〔m〕 V が大きいと f は大きくなる V 〔m〕 λ〔m〕 λ が小さいと f が大きくなる 図1

¥ 振動数とは

1秒間の振動回数 1秒間に媒質が振動する回数を振動数といい、 f =V λ . . . 1° の関係にある。では、どのようにして 1°式が成り立つのか考えてみよう。波の 代わりに新幹線をイメージしてみたい。今、新幹線が速さ V〔m/s〕でホームを 通過するとしよう。列車には λ〔m〕間隔に窓がついているものとする。ホーム にいる観測者の前を1秒間に通過する窓の数が振動数 f に相当する。列車は、 1秒間に V 〔m〕進み、f はその中に含まれる窓の個数になるから、V λ 個とな る。これが、 1°式のイメージだ。速さ V が大きいほど f は大きくなるし、間隔 λ が大きいほど f は小さくなる。ドップラー効果では、この V や λ が変化す る。変化した V0, λ0を計算して 1°式に代入し、f0を求めていくことになる。

¥ 観測者が動く場合

原理(1) 相対音速が変化する λ〔m〕 V 〔m/s〕 u〔m/s〕 図2 観測者が動くと、観測者に対する波の相対速度が変化する。先ほどの新幹線 の例で再び考えてみよう (図2)。観測者が動いても波長(窓の間隔)は変化し ないから、λ = V f。右向きに速さ V で進む新幹線に対し、観測者が左向きに速 さ u で移動しているとすると、観測者の目の前を新幹線は速さ V + u で通り過 ぎることになる。よって、観測者の聞く振動数 f1は、 f1= V + u λ = V + u V f . . . 2° となる。このように、観測者が動くときは、波の相対速度が変化する。

¥ 波長とは

波と波の間隔! V T 波源 図3 波の伝わる速さを V とすると、ある山を出してから次の山を出す時間 T の 間に初めの山は V T だけ進んでいる。よって、波と波の間隔は V T となる。こ の山と山の間隔が波長であり、 λ = V T = V f と表せる。

(25)

4.7 ドップラー効果とうなり 109 V T 図4 vT λ2 図5 短い 長い C D

¥ 波源が動く場合

原理(2) 波長が変化する 波源が速度 v で観測者 C に向って移動する場合を考える。(図4, 5) ある 山を出してから次の山を出す間に初めの山は V T だけ進んでいる。しかし、そ の間に波源も vT だけ進んでいるから、波と波との間隔 λ2は λ2= V T − vT となり、λ より狭くなる。よって、 Check! D の観測する波長は、 λ3=V + v f になり、λ より長い。 λ2= (V − v)T = V − vf . . . 2° このように、波源が動く場合は波長が変化する。よって、振動数は、 f2=λV 2 = V V − vf . . . 3° となる。 J ドップラー効果によって変化し た振動数を求める解法をマスター しよう! v f v f f1 f2 図4 V1= V + u λ V λ2= V − u f1 例題 69 図4のような装置で反射音の振動数を測定した。スピーカーは地面に固 定されていて、振動数 f の音を出すことができる。反射板が速さ v でス ピーカーに向って近づいてくるとき、反射音の振動数を求めよ。 ドップラー効果 ¨ § ¥ ¦ 解説&解答 波長、相対音速を求めて、振動数 f = V λ を計算していこう。 初めに、反射板が受け取る振動数 f1を求める。このとき、反射板を動く観測者 と見なす。波長は λ = V f のまま変化せず、相対音速が V + v に変わるから、 コツ 反射板は 波を受け取るとき → 動く観測者 反射波を出すとき → 動く波源 と見なせばよい。 f1=V + vλ = V + vV f 次に、地面に対して静止している観測者が聞く反射音の振動数 f2を求める。こ のとき、反射板を動く波源と見なす。音速は V のまま変化せず、反射音の波長 λ2λ2= V − v f1 と短くなるから、 f2= V λ2 = V V − vf1= V + v V − vf

(26)

§4.7.2

うなり

¥ うなりとは

振動数の全く同じ2つ波を合成すると、同じ向きに進んでいれば振幅一定の 進行波が生じ、逆向きに進んでいれば定常波が生じる。では、わずかだけ振動 数が異なる2つの波を合成するとどのような波が生じるだろうか。この場合、 波の強度が周期的に大きくなったり小さくなったりする「うなり」という現象 が現れる。この節では、この「うなり」現象の原理を2通りの方法で説明する。 うなり振動数 ¶ ³ 振動数 f1, f2の2つの波によるなり振動数 f0は、 f0= |f1− f2| . . . 1° µ ´

¥ うなり周期から求める

次にそろうまでt0秒 図1は振動数が f1, f2 (f1< f2) の2つの波を表している。 f1 f2 合成波 tt t tt t0 図1 t1 t2 時刻 t1では、山と山がそろっていったん強め合っている。その後、振動数が f1の波のほうが周期が大きいので、位相が少しずつ遅れてくる。時刻 t2で、位 相の遅れがちょうど 2π になり、1回遅れで再び強め合う。t0= t2− t1秒とす ると、再び強め合うまでの振動回数は2つの波でそれぞれ、f1t0回、f2t0回に なる。1 回ずれてそろうから、 アドバイス 振動数 f は「1秒間に振動する回 数」だから、t0秒間の振動回数は f t0回 f2t0− f1t0= 1 よって、うなり周期(強め合ってから再び強めあうまでの時間)t0は、 t0=f 1 2− f1 よって、うなり振動数(1秒間に強めあう回数)f0は、 f0= 1 t0 = f2− f1 一般に、絶対値記号を用いて、 f0= |f1− f2|

(27)

4.7 ドップラー効果とうなり 111

¥ 合成波から求める (発展)

振幅項と振動項に分ける 次に、波動関数を合成してうなり振動数を導いてみよう。2つの波の波動関 数を以下のように書く。 Check! k = λ を波数という。 y1 = A sin (ω1t − k1x) . . . 2° y2 = A sin (ω2t + k2x) . . . 3° ここで、ω1=.. ω2, k1=.. k2が成り立っているとする。2つの音波の合成波は、 y1+ y2= 2A cosω1− ω2 2 t − k1+ k2 2 x « | {z } 振幅項 (ゆっくり変化) sin „ ω1+ ω2 2 t − k1− k2 2 x « | {z } 振動項 (速く変化) . . . 4° ωL= |ω1− ω2| 2 とおくと、ωL=.. 0 であるから、時間に対して振幅項はゆっく り振動する。一方、ωS =ω1+ ω2 2 とおくと、ωS=.. ω1=.. ω2だから、振動項は y1, y2とほぼ同じ周期で振動する。よって、 4°式は、「振幅がゆっくり変化す る振動」を表している。図2の黒丸は音が大きく聞こえる時刻を表している。 合成波 tt 図2 TS= f1 S TL= f1 L ここで、ω1= 2πf1, ω2= 2πf2とおくと、 ωL= 1− ω2 2| = 2π ·|f1− f2 2| 対応する振動数 fLは、 fL=ωL = |f1− f2|2 うなり振動数 f0(1秒間にうなる回数)は、振幅項の1周期に2回うなりが生 じるから、 f0= 2fL= |f1− f2| と表される。

(28)

法則のピラミッド(波動編)

      波動関数 y(x, t) = A sin 2πx λ− t T « 和積の公式 y(x, t) = 2A cos2π λx sin T t 合成波 位相差 ∆Φ = λ∆L = 2πm 光路差 ∆L = n(L2− L1) = mλ 干渉の解法 ドップラー効果 波源が動くとき 8 > < > : λ2=V − v f f2= V λ2 = V V − vf 観測者が動くとき f1=V1 λ = V + v λ うなり f0= |f 3− f4| 反射・屈折の法則 n1sin θ1= n2sin θ2 (入射角)=(反射角) レンズの公式 1 a+ 1 b = 1 f 光線として扱う 中身を取り出す λ をかける 波の基本式 λ = V T f = 1 T 屈折率の定義 v0= v n λ0= λ n

参照

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