25
第4章 建築物の耐震診断及び耐震改修を促進するための施策
基本的な取り組み方針
4.1.
耐震化促進への取り組みにおいては、市民の主体的な取り組みが重要です。行政は、市民 自らの取り組みの促進・支援を行います。目標の達成に向けて、住宅所有者の防災意識啓発 を行うとともに、耐震診断及び耐震改修などの所有者の取り組み促進につながる支援策を講 じます。 特定建築物については、公共建築物の計画的な耐震化推進とあわせて、震災時の防災拠点 となる建築物や多数の者が利用する建築物の所有者に対して、促進法に基づく指導・助言を 行い、耐震診断及び耐震改修を促進します。市民への情報提供・啓発の充実
4.2.
(1) 身近な住宅耐震化に関わる建築相談への対応充実 市役所・建築指導課の窓口において、市民からの住宅耐震化に関する相談に応じます。技 術的な相談については、群馬県建築士事務所協会太田支部と連携し、耐震化の指導・助言を 行います。 (2) 市民向け相談会の開催 県が実施している木造住宅の耐震化に関する講習会と連携し、市民向けの相談会を開催し、 耐震診断及び耐震改修に対する理解を広めていきます。 (3) 本市ホームページでの耐震情報の公開 ホームページを活用し、耐震化に関する補助制度や特例措置など、耐震診断及び耐震改修 に関連する情報公開・提供に努めます。 (4) 広報誌など多様な媒体の活用 市広報など、多様な媒体の活用機会を活かして、耐震化促進に関する情報発信に努めます。 (5) 耐震診断及び耐震改修に関する情報の収集・活用 耐震診断及び耐震改修を実施した方から、制度の満足度や実施理由など、具体の情報を収 集し、各種施策の効果の把握に活用します。 (6) ターゲットを絞った耐震化の普及・促進 県との協働により、重点的な取り組み地域を抽出し、耐震化に関する講習会を実施するな ど、ターゲットを絞った耐震化の普及・啓発を行います。第4章 建築物の耐震診断及び耐震改修を促進するための施策
26 (7) 地震防災マップの更新・配布による啓発及び知識の普及 「群馬県地震被害想定調査(平成 24 年6月)」では、第一期計画では確認されていなか った太田断層による被害想定が行われており、本市に大きな被害が発生することが予測され ています(詳細は2章参照)。 本市では、平成 20 年3月に地震防災マップを発行し、市民への啓発を行ってきましたが、 より大きな被害が見込まれている状況を踏まえ、地震防災マップの更新・配布を行います。 図 太田市地震防災マップ(平成 20 年 3 月)
27
改正促進法に基づく耐震診断及び耐震改修の指導・助言等の実施
4.3.
(1) 指導・助言等の流れ 改正された促進法に基づき、既存耐震不適格建築物の所有者に対する指導・助言を行なっ ていきます。 また、一定規模以上の特定建築物や避難路沿道の特定建築物(以下、「指示対象特定建築 物」という。)、要緊急安全確認大規模建築物、要安全確認計画記載建築物(以下、「義務 付け対象特定建築物」という。)について指示及び結果の公表を行います。 あわせて、損傷、腐食、その他の劣化が進み、そのまま放置すれば著しく保安上危険とな る恐れがあると認められる建築物については、建築基準法第 10 条に基づく勧告・命令を行 うことで、適切な耐震化を図ります。 図 促進法に基づく既存耐震不適格建築物に対する指導等の流れ ◆既存耐震不適格建築物 ◆義務付け対象特定建築物 ◆指示対象特定建築物 既存耐震不適格建築物の耐震化 実施 未実施 促進法 建築 基準法 未実施 未実施 未実施 未実施 実施 命令 勧告に従わない場合、命令を行う。 実施 指示 必要な耐震診断または耐震改修が 行われていない場合、指示を行う。 指導・助言 既存耐震不適格建築物の所有者に対し、耐震化を図るよう指導・助言を行う。 義務付け・結果の公表 耐震診断及び結果の報告を義務 付け、診断結果の公表を行う。 実施 実施 実施 公表 正当な理由がなく耐震診断 や耐震改修が行われない 場合、その旨を公表する。 公表 報告がない、虚偽の報告 の場合、その旨を公表す る。 勧告 公表の後、指示に従わなかった場合、勧告を行う。 実施 未実施 未実施28 (2) 対象建築物 促進法における耐震診断及び耐震改修の「指導・助言」、「指示(公表)」、「義務付け (結果の公表)」の対象建築物の要件は次のとおりです。 表 促進法による耐震診断及び耐震改修の指導等の対象建築物 対象建築物 指導・助言 (促進法第 16 条) ○ 全ての既存耐震不適格建築物が対象 指示(公表) (促進法第 15 条第2項) ○ 以下の特定建築物で一定の規模以上のもの 多数の市民または不特定多数の人々が利用する建築物 被災することで被害の発生が想定される危険物等を取り 扱う建築物 ○ 都道府県、または市町村が指定する避難路の沿道建築物 ※指示を受けた所有者が正当な理由なく、その指示に従わな かった場合、公表の対象となる(促進法第 15 条第3項) 義務付け (結果の公表) (促進法第7条) ○ 以下の特定建築物で大規模のもの(要緊急安全確認大規模 建築物) 不特定多数の者が利用する建築物 小学校、老人ホーム等避難弱者が利用する建築物 (促進法附則抄第3条) ○ 都道府県または市町村の耐震改修促進計画に位置づけら れるもの(要安全確認計画記載建築物) 都道府県が指定する庁舎、避難所等の防災拠点建築物 都道府県または市町村が指定する緊急輸送道路等、重要 な避難路沿道建築物 ※上記結果の報告内容は公表の対象となる(促進法第9条)
29 表 耐震診断義務付け対象となる特定建築物の要件 (出典:建築物の耐震改修の促進に関する法律施行令) 促進法 不適格建築物の要件特定既存耐震 指示対象となる特定既存耐震不適格建築物の要件 耐震診断義務付け対象建築物の要件 学校 小学校、中学校、中等教育学校の 前期課程、盲学校、聾学校もしく は養護学校 階数2以上かつ1,000㎡以上 *屋内運動場の面積を含む 1,500㎡以上 *屋内運動場の面積を含む 階数2以上かつ3,000㎡以上 ※屋内運動場の面積を含 む。 上記以外の学校 階数3以上かつ1,000㎡以上 階数1以上かつ1,000㎡以上 階数1以上かつ2,000㎡以上 階数1以上かつ5,000㎡以上 階数2以上かつ500㎡以上 階数2以上かつ750㎡以上 階数2以上かつ1,500㎡以上 第14条 第2号 法令で定める数量以上の危 険物を貯蔵、処理する全ての 建築物 500㎡以上 階数1以上かつ5,000㎡以上 (敷地境界線から一定距離以 内に存する建築物に限る) 第14条 第3号 耐震改修等促進計画で指定 する避難路の沿道建築物で あって、前面道路幅員の1/2 超の高さの建築物(道路幅員 が12m以下の場合は6m超) 左に同じ 耐震改修等促進計画で指定 する重要な避難路の沿道建 築物であって、前面道路幅員 の1/2超の高さの建築物(道 路幅員が12m以下の場合は 6m超) 耐震改修等促進計画で指定 する大規模な地震が発生し た場合においてその利用を 確保することが公益上必要 な、病院、官公署、災害応急 対策に必要な施設等の建築 物 防災拠点である建築物 階数2以上かつ1,000㎡以上 階数2以上かつ2,000㎡以上 階数2以上かつ5,000㎡以上 階数3以上かつ1,000㎡以上 階数3以上かつ2,000㎡以上 階数3以上かつ5,000㎡以上 階数3以上かつ2,000㎡以上 階数3以上かつ5,000㎡以上 第14条 第1号 階数3以上かつ2,000㎡以上 階数3以上かつ1,000㎡以上 階数3以上かつ5,000㎡以上 階数3以上かつ2,000㎡以上 階数3以上かつ5,000㎡以上 自動車車庫その他の自動車または自転車 の停留又は駐車のための施設 保健所、税務署その他のこれらに類する公 益上必要な建築物 幼稚園、保育園 博物館、美術館、図書館 遊技場 公衆浴場 百貨店、マーケットその他の物品販売業を 営む店舗 賃貸住宅(共同住宅に限る)、寄宿舎、下 宿 卸売市場 危険物の貯蔵場又は処理場の用途に供す る建築物 避難路沿道建築物 飲食店、キャバレー、料理店、ナイトクラブ、 ダンスホールその他これらに類するもの 理髪店、質屋、貸衣装屋、銀行その他これ らに類するサービス業を営む店舗 工場(危険物の貯蔵場又は処理場の用途 に供する建築物を除く。) 車両の停車場又は船舶若しくは航空機の 発着場を構成する建築物で旅客の乗降又 は待合の用に供するもの 老人福祉センター、児童厚生施設、身体障 害者福祉センターその他これらに類するも の 用途 体育館(一般公共の用に供されるもの) ボーリング場、スケート場、水泳場その他こ れらに類する運動施設 病院、診療所 ホテル、旅館 老人ホーム、老人短期入所施設、身体障害 者福祉ホームその他これらに類するもの 事務所 劇場、観覧場、映画館、演芸場 集会場、公会堂 展示場
30 (3) 義務付け対象特定建築物の状況 1) 要緊急安全確認大規模建築物 要緊急安全確認大規模建築物の規模要件に該当し、耐震性が確保されていない特定建築 物は、民間建築物で3棟存在しています。 表 要緊急安全確認大規模建築物の用途別棟数 2) 要安全確認計画記載建築物 要安全確認計画記載建築物は、現在のところ、市内に該当するものはありません。 特定建築物 要緊急安全確認大規模建築物 用途 公共建築物 民間建築物 促 進 法 第 14 条 第 1 号 (1)災害時の拠 点となる建 築物 市役所、警察署、消防署、幼稚園、 小中学校、高校、病院、診療所、 老人ホーム、老人福祉センター、 体育館等 0 1 (2)不特定多数 の者が利用 する建築物 百貨店、飲食店、ホテル旅館、映 画館、遊技場、美術館、博物館、 銀行等 0 1 同 第 2 号 危険物の貯蔵場または処理場の用途に供する建築 物 0 1 合計 0 3
31
耐震診断及び耐震改修費用の補助等
4.4.
(1) 住宅に対する耐震診断及び耐震改修費用補助施策 1) 耐震診断者の派遣 昭和 56 年以前に建築された木造の戸建て住宅を対象に、一般診断の受診を希望される 所有者には、耐震診断者の派遣を行います。 表 耐震診断者派遣概要 項目 事業内容 事業名 太田市木造住宅耐震診断者派遣事業 補助対象 【対象住宅】 (1) 昭和 56 年5月 31 日までに建築または着工された建築基準法の集団 規定等に抵触していない一戸建てのもの(併用住宅であって、住宅 部分の延べ面積が2分の1以上のものを含む)。 (2) 平屋建てまたは2階建てのもの。 (3) 在来工法、伝統的工法及び枠組壁工法によるもの 【対象者】 (1) 市内に対象住宅を所有し、かつ、当該対象住宅に居住している方。 (2) 市税等を滞納していない方。 自己負担額 耐震診断者の交通費(1 千円) (※建物図面がない場合は図面作成費として別途 1 万円が必要 ) ※耐震診断:建物について、築年や地盤の情報、壁の位置や屋根の仕様などを調査し、地震に対する強 さを総合的に診断することをいいます。そのうち一般診断は、耐震改修などの必要性の判 定を目的として、原則、内装材や外装材を剥がさずに行う診断方法です。32 2) 耐震改修費用の補助 a) 木造住宅耐震改修補助事業 耐震改修が必要な木造住宅を対象に、その費用の一部を補助します。 表 耐震改修に係る補助事業の概要 項目 事業内容 事業名 太田市木造住宅耐震改修補助事業(精密診断を含む) 補助対象 市内・外に居住する者が、昭和 56 年5月 31 日以前に建築された旧耐震基 準の戸建て木造住宅を所有し、その診断・改修を経て居住する場合。 補助条件 建設業法第3条の建設業の許可を得たものに発注すること(市内外の事業 者を問わない)。 補助金額 改修費用(精密診断費用含む)の1/2以内。ただし、限度額 60 万円 木造住宅の倒壊(新潟県中越地震の被災例) b) 建替えへの補助拡大 現行の「太田市木造住宅耐震改修補助事業」は、耐震性のない木造住宅の改修のみを対 象としています。しかし、築年数の古い耐震性のない住宅の所有者は、改修より建替えに よる耐震化を希望している場合が考えられます。こうした需要に対応できるよう、建替え への補助を拡大します。 表 建替えへの補助概要(案) 項目 事業内容 事業名 太田市木造住宅耐震改修補助事業(建替えへの補助拡大) 補助対象 昭和 56 年5月 31 日以前に建築された旧耐震基準の戸建て木造住宅 を除却し、既存敷地内に耐震性が確保された住宅を新築した場合。 補助金額 建替え費用の1/2以内。ただし限度額 120 万円
33 c) 部分改修による減災化への補助制度 居間や寝室などの簡易(部分)的な耐震改修による生活空間の安全性の確保は、低コス トで減災化に一定の効果が得られることから、部分改修への補助を新設します。 表 部分改修への補助概要(案) 項目 事業内容 事業名 部分改修に対する補助制度 補助対象 昭和 56 年5月 31 日以前に建築された旧耐震基準の戸建て木造住宅 において、日常生活している最低限の居住スペース(居間や寝室等) のみを補強する部分改修工事。 補助金額 部分改修費用の1/2以内。ただし限度額 60 万円 寝室空間を部分的に耐震化する防災ベッド(写真左)、ホームシェルターベッド(写真右) (出典:静岡県ホームページ、アイヒーリングHP) 補足)防災ベッドとは、資金面などから、住宅の耐震補強工事が困難な方などが、1階で就寝中に地震に襲われ て住宅が倒壊しても、安全な空間を確保でき、命を守ることができることを意図して開発されたベッド。2~10 トンの落下物に耐える機能で、設置費用は 10~50 万円程度。 耐震シェルター (出典:安価で信頼できる木造住宅の「耐震改修工法・装置」の事例紹介 東京都都市整備局)
34 d) リフォームにあわせた耐震改修の誘導 本市が実施している「住宅リフォーム支援事業※」との連携を行います。 ※住宅リフォーム支援事業:本市が隔年で実施している助成事業。対象となる住宅リフォーム工事 に対し、事業費の 30%(上限 15 万円)を助成。 (2) 特定建築物に対する耐震診断及び耐震改修費用補助施策 1) 義務付け対象特定建築物に対する支援策 平成 25 年 11 月の促進法改正により、耐震診断の義務付け対象となる建築物に対し、そ の所有者などが行う耐震改修などに係る負担軽減のため、補助制度(耐震対策緊急促進事 業)が新設されています。 表 耐震対策緊急促進事業の補助割合・適用期限 建築物の区分 建築物の所在地の地方公共団体による 当該建築物への補助制度の整備状況 整備されていない場合 整備されている場合(太田市) 要 緊 急 安 全 確 認 大規模建築物 国が窓口となり、直接的に補助を 実施 ○補強設計※ 国1/3 ○耐震改修 国 11.5% *勧告・指導を受けた建築物につい ては除却へも補助拡大 市が窓口となり、国・県・市の補 助を併せて実施 ○補強設計 国・県・市5/6 ○耐震改修 国・県・市 44.8% 適用期限 平成 31 年度末までに補強設計に着手したもの ※補強設計:耐震診断の結果、耐震性能が所定のレベルに達していないと判断された場合に、倒壊しな いようにどのように補強するかを具体的に計画すること。
35 (3) 耐震改修の実施にかかる税制優遇、融資制度 1) 税の特例措置 所定の要件を満たす住宅・建築物の耐震改修を行った場合には、所得税、固定資産税の 控除などの特例措置があります。 表 耐震改修における所得税及び固定資産税の特例措置(住宅) 税制概要 耐震改修促進税制(住宅) 対象住宅 それぞれ、以下の要件を全て満たす住宅 【所得税の特例措置】 (1) 申請者が自ら居住の用に供していること (2) 昭和 56 年5月 31 日以前に着工された既存住宅 (3) 現行の耐震基準(昭和 56 年6月1日施行の建築基準法施行令)に適 合しないもの 【固定資産税の特例措置】 (1) 申請者の所有する住宅であること (2) 昭和 57 年1月1日以前から所在する既存住宅であること (3) 現行の耐震基準に適合した改修であること (4) 1戸あたりの耐震改修工事費が 50 万円以上の住宅 ※平成 25 年3月末までに契約した工事については、30 万円以上が対象 所得税の 特例措置 平成31年6月30日までに行った耐震改修工事に係る標準的な工事費用相当 額の10%相当額(上限25万円)を所得税から控除 固定資産税 の特例措置 平成27年12月31日までに耐震改修工事を行った住宅の固定資産税額(120㎡ 相当部分まで)を1年間1/2に減額(ただし、 通行障害既存耐震不適格 建築物である住宅の耐震改修は2年間1/2に減額) 表 耐震改修における法人税、所得税及び固定資産税の特例措置(建築物) 税制概要 耐震改修促進税制(建築物) 対象建築物 耐震改修促進法により耐震診断が義務付けられる建築物で耐震診断結果が 報告されたもの 法人税、所得 税の特例措置 平成27年3月31日までに耐震診断結果の報告を行った者が、平成26年4月 1日からその報告を行った日以後5年を経過する日までに耐震改修によ り取得等をする建築物の部分について、その取得価額の25%の特別償却 固定資産税 の特例措置 平成26年4月1日から平成29年3月31日までの間に政府の補助を受けて改修 工事を行った場合、固定資産税額を2年間1/2に減額(改修工事費の2.5% が限度)
36 表 耐震改修における住宅ローン減税 対象住宅 現行の耐震基準に適合させるための工事で、100 万円以上の耐震改修 工事を行い、平成 31 年6月 30 日までに自己居住の用に供したもの 所得税の特例措置 10年間、ローン残高の1%を所得税額から控除 2) 融資制度 所定の要件を満たす耐震改修工事における融資制度があります。 表 住宅に関する金融機関による融資制度 住宅金融支援 機構(リフォ ーム融資) 耐震改修または耐震補強に関する工事に対する融資 ○戸建て住宅 融資限度額:1,000 万円 基 準 金 利:1.04~1.28% (平成 27 年6月時点) ○マンション 融資限度額:500 万円/戸 (共用部分の工事費の 80%が上限) 基 準 金 利:0.77% (平成 27 年6月時点)
37
耐震改修の多様化等促進施策
4.5.
(1) 耐震改修計画の認定基準緩和及び容積率・建ぺい率等の特例措置 これまで、耐震改修計画の認定対象となる工事は、建物形状の変更を伴わない改築や、柱・ 壁の増設などに限定されていましたが、促進法改正により、増築・改築などの制限が撤廃さ れました。また、耐震性を向上させる増築の場合、その耐震改修計画が、所管行政庁からや むを得ないと認められた場合、容積率・建ぺい率の特例が適用される制度が新設されていま す。 (2) 耐震性に係る表示制度 所管行政庁から、耐震性が確保されている旨の認定 を受けた建築物について、所有者がその旨を表示でき る制度(右図:基準適合認定建築物マーク)が新設さ れました。 (3) 区分所有建築物の決議要件の緩和 所管行政庁から、耐震改修の必要性に係る認定を受 けた区分所有建築物(マンションなど)は、大規模な 耐震改修工事により共用部分を変更する場合の決議要 件が、3/4以上から1/2超に緩和されました(区 分所有法の特例)。 図 基準適合認定建築物マーク (出典:日本建築防災協会)38
市有建築物に対する施策
4.6.
(1) 市有建築物の耐震化状況の公表 本市が所有する公共施設については、市民が安心して利用できるよう、耐震化の状況につ いて公表を行います。 (2) 市有建築物の計画的な耐震化推進 本市が所有する特定建築物は、その多くで耐震化が図られていますが、以下に示す3施設 で耐震性が確保・確認されていない状態です。 これらの施設については、「太田市公共施設等総合管理計画(平成 28 年6月)」に基づ き、計画的な耐震化を推進していきます。 表 耐震性が確保・確認されていない市有特定建築物 名称 延べ床面積等 建築年 耐震診断 備考 尾島体育館 1F 1,491 ㎡ S55 年 済 補強設計中 尾島第 2 体育館 1F 1,368 ㎡ S47 年 済 解体予定 運動公園野球場 3F 1,229 ㎡ S56 年 済 平成 30 年3月 建替え予定 (3) 指定避難所の耐震化 本市の指定避難所は、「太田市地域防災計画(平成 28 年3月)」により 79 箇所が指定さ れており、指定避難所の主要施設は全て耐震化が図られています。今後は、指定避難所に付 随する施設についても順次耐震化を進めていきます。39 表 指定避難所の耐震化状況(1/2) 番号 施設名 所在地 避難所の種類 耐震性 1 太田小学校 本町31-1 指定避難所 ○ 2 太田東小学校 東本町53-30 指定避難所 ○ 3 西中学校 八幡町24-1 指定避難所 ○ 4 県立太田高校 西本町12-2 指定避難所 ○ 5 県立太田女子高校 八幡町16-7 指定避難所 ○ 6 太田行政センター 本町20-1 基幹避難所 ○ 7 太田公民館東別館 東本町53-20 指定避難所 ○ 8 九合小学校 飯塚町1534 指定避難所 ○ 9 中央小学校 飯田町1166 指定避難所 ○ 10 旭小学校 東矢島町1249 指定避難所 ○ 11 東中学校 飯塚町80 指定避難所 ○ 12 旭中学校 東矢島町1082 指定避難所 ○ 13 九合行政センター 飯塚町591-1 基幹避難所 ○ 14 武道館 内ヶ島町384-2 指定避難所 ○ 15 沢野小学校 福沢町226-1 指定避難所 ○ 16 南小学校 高林東町1372 指定避難所 ○ 17 沢野中央小学校 富沢町73 指定避難所 ○ 18 南中学校 高林北町955-1 指定避難所 ○ 19 市立太田高校 細谷町1510 指定避難所 ○ 20 沢野行政センター 高林西町882-5 基幹避難所 ○ 21 南ふれあいセンター 高林東町1302 指定避難所 ○ 22 韮川小学校 台之郷町999 指定避難所 ○ 23 韮川西小学校 安良岡町51 指定避難所 ○ 24 駒形小学校 植木野町7 指定避難所 ○ 25 北中学校 熊野町2-1 指定避難所 ○ 26 城東中学校 韮川町1 指定避難所 ○ 27 県立太田東高校 台之郷町448 指定避難所 ○ 28 韮川行政センター 東長岡町1853 基幹避難所 ○ 29 鳥之郷小学校 鶴生田町83-2 指定避難所 ○ 30 城西小学校 新野町127 指定避難所 ○ 31 城西中学校 新野町74 指定避難所 ○ 32 高齢者総合福祉センター 鳥山上町2313 福祉避難所 ○ 33 鳥之郷行政センター 新野町203 基幹避難所 ○ 34 強戸小学校 天良町858-2 指定避難所 ○ 35 強戸中学校 天良町72-3 指定避難所 ○ 36 強戸行政センター 菅塩町345 基幹避難所 ○ 37 強戸ふれあいセンター 石橋町856-1 指定避難所 ○ 38 休泊小学校 龍舞町3816-3 指定避難所 ○ 39 休泊中学校 龍舞町3867-2 指定避難所 ○ 40 県立太田工業高校 茂木町380 指定避難所 ○ 41 休泊行政センター 龍舞町4053 基幹避難所 ○ 42 宝泉小学校 由良町1738-1 指定避難所 ○ 43 宝泉南小学校 中根町261-1 指定避難所 ○ 44 宝泉東小学校 藤久良町1 指定避難所 ○ 45 宝泉中学校 宝町735 指定避難所 ○ 46 太田養護学校 藤阿久町26-1 福祉避難所 ○ 47 県立太田フレックス高校 下田島町1243-1 指定避難所 ○ 48 第一老人福祉センター 細谷町1689 福祉避難所 ○ 49 宝泉行政センター 西野谷町38-2 基幹避難所 ○ 50 毛里田小学校 只上町970-1 指定避難所 ○ 51 毛里田中学校 矢田堀町242-2 指定避難所 ○
40 表 指定避難所の耐震化状況(2/2) ※避難所の区分 ・基幹避難所:災害時に特に速やかに避難準備が開始される施設 ・指定避難所:建物及び避難敷地が確保されている避難所 ・福祉避難所:要配慮者(障がい者や高齢者など)を収容可能な施設 (出典:太田市地域防災計画(平成 28 年3月)) 番号 施設名 所在地 避難所の種類 耐震性 52 毛里田行政センター 矢田堀町244-5 基幹避難所 ○ 53 老人福祉センターかたくりの里 吉沢町5292 福祉避難所 ○ 54 尾島小学校 亀岡町61-2 指定避難所 ○ 55 尾島行政センター 亀岡町63-1 基幹避難所 ○ 56 尾島中学校 亀岡町584-1 指定避難所 ○ 57 尾島ボランティアセンター・尾島庁舎 粕川町520 指定避難所 ○ 58 尾島健康福祉増進センター利根の湯 備前島町196-1 福祉避難所 ○ 59 世良田小学校 世良田町3113-7 指定避難所 ○ 60 世良田行政センター 世良田町1535-4 基幹避難所 ○ 61 木崎行政センター 新田木崎町1215-1 基幹避難所 ○ 62 木崎小学校 新田木崎町1121 指定避難所 ○ 63 木崎中学校 新田木崎町301 指定避難所 ○ 64 生品行政センター 新田村田町1107-1 基幹避難所 ○ 65 生品小学校 新田村田町1365 指定避難所 ○ 66 新田福祉総合センター 新田反町町831-3 福祉避難所 ○ 67 生品中学校 新田市野井町121 指定避難所 ○ 68 新田文化会館・総合体育館 新田金井町607 指定避難所 ○ 69 新田武道館 新田上江田町721-1 指定避難所 ○ 70 綿打行政センター 新田大根町953-1 基幹避難所 ○ 71 綿打小学校 新田上田中町795-3 指定避難所 ○ 72 綿打中学校 新田上田中町182 指定避難所 ○ 73 県立新田暁高校 新田大根町999 指定避難所 ○ 74 藪塚本町小学校 藪塚町1741 指定避難所 ○ 75 藪塚本町中央公民館 大原町505 基幹避難所 ○ 76 藪塚本町社会体育館 大原町383-70 指定避難所 ○ 77 藪塚本町中学校 大原町695 指定避難所 ○ 78 藪塚本町南小学校 大原町2201-1 指定避難所 ○ 79 老人福祉センター藪塚いこいの湯 大原町641-2 福祉避難所 ○
41
第5章 体制づくり
市民と行政の役割分担
5.1.
(1) 基本的考え方 住宅や特定建築物の耐震化を進めるためには、所有者が建築物の耐震化や防災対策を自ら の問題または地域の課題としてとらえ、主体的に取り組んでいくことが重要です。 耐震促進の主役は市民であり、行政は市民の取り組みの促進・支援を行います。 (2) 役割分担 市は、所有者の取り組みを支援するため、住宅などの耐震化の必要性や耐震診断及び耐震 改修に関する情報提供や耐震化促進の環境づくり、資金面での支援など、耐震化促進におい て市民にもっとも身近な行政組織として、相談・支援する体制づくりを進めていきます。ま た、体制づくりにおいては、国や県、関係団体などとの連携・協力を深めていきます。 図 耐震化推進の役割分担イメージ支援体制の整備
5.2.
(1) 民間事業者の育成・支援 本市で耐震診断及び耐震改修を行う事業者には、群馬県建築士事務所協会が行う木造住宅 耐震診断調査資格者向けの講習会や、県が行う木造住宅耐震診断技術者養成講習会への参加 を促進し、技術力の維持向上に努めます。 国 法や制度などの整備 (補助制度) 建築関係団体 群馬県建築士事務所協会 太田支部 NPO団体 等 連 携 市民・隣組等 耐震化の主役は市民 自らの生命・財産は自ら守る 支 援 太田市 群馬県 身近な地方公共団体として 市民を支援 県内市町村を支援 自 助第5章 体制づくり
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第6章 その他の地震時の総合的な安全対策の促進
家具の固定による転倒防止策
6.1.
住宅内において、家具が地震の揺れにより転倒・移動して負傷者が発生することを防止す るため、家具の固定方法を本市のホームページで紹介する他、「太田市民のための危機管理 行動マニュアル」を発行し、周知を行っています。 図 家具の転倒防止啓発(太田市ホームページ)第6章 その他の地震時の総合的な安全対策の促進
43
ブロック塀などの倒壊防止対策
6.2.
地震発生時にブロック塀などが倒壊すると、下敷きになり死傷者が発生する場合がありま す。子供が通う通学路などを中心に、危険箇所の把握・指導を進めます。 ブロック塀の倒壊(新潟県中越地震の被災例)窓ガラス・屋外看板・大規模空間の天井落下の防止策
6.3.
平成 23 年3月に発生した東日本大震災では、天井の高い屋内運動場などの天井材が落下 する被害が多くみられました。また、窓ガラスが窓枠ごと落下するといった危険なケースも 発生しています。ビルや店舗などの周辺において、屋外に取り付けてある看板や外壁タイル が落下する場合もあります。 これらの震災教訓をふまえ、天井や窓ガラス、看板などの取り付け箇所を点検し、現行の 基準に合っていない危険箇所に対して、改修を行うよう指導・啓発を行います。 天井材・外壁が崩落したRC造大型店舗(新潟県中越地震の被災例) (出典:平成 16 年新潟県中越地震被害調査報告書 土木学会)エレベーター内の閉じ込め・脱落防止対策
6.4.
東日本大震災では、エレベーターの緊急停止による閉じ込めが、東京都内だけでも 84 件 発生し、加えてエレベーター、エスカレーターの脱落事故も発生しています。 震災教訓や今後の災害予測をふまえ、通常時の維持管理体制のほか、非常時の救出や復旧 体制の整備、脱落防止対策について、所有者・保守点検業者及び消防部局と連携した取り組 みを促進します。44
事業所における設備機器・什器類の転倒・落下・飛散防止対策
6.5.
阪神・淡路大震災において、事業所で、機器・什器類の転倒により死傷者が発生しました。 この教訓をふまえ、事業所における震災時の転倒・落下・飛散防止対策に活用できる融資制 度の情報を提供し、安全対策の促進を支援します。 表 事業所に関する各種金融機関による融資制度 日本政策金融公 庫(特例貸付) 防災・環境対策資金(環境対策関連貸付) 融資限度額:一般貸付または振興事業貸付の融資額+3,000万円 融資期間:原則15年以内、ただし、振興事業に係る資金証明書の添 付がある場合30年以内 基準金利:0.6~1.5%(平成27年11月時点)空き家等の利活用、耐震化、除却の促進
6.6.
今後見込まれる人口減少に伴い、空き家、空き建築物が増加することで、地震時の倒壊に よって道路を閉塞し、周辺住民の避難を妨げるなど安全性の低下を招く恐れがあります。 所有者が明確で一定の管理がなされている空き家については、耐震化とあわせたリノベー ションを行う等、地域の活性化にも資するような利活用を促進します。 所有者が不明で老朽化が著しい空き家については、景観上の問題はもとより、上記のよう な安全性の課題もあることから、「空家等対策の推進に関する特別措置法」及び「太田市空 家等対策の推進に関する条例」に基づき適切な指導・勧告を行います。45
用語解説
か
課税台帳(固定資産税課税台帳) 市町村が、固定資産の状況及び固定資産税の課税標準である固定資産の評価を明らかにす るために備えなければならない台帳。本計画ではこの台帳から、対象となる建物の情報を 抽出・集計している。き
旧耐震基準 昭和 56 年6月の耐震基準の見直し以前に用いられていた耐震基準。阪神・淡路大震災では、 旧耐震基準による建築物の被害が顕著であった。け
建築物の耐震改修の促進に関する法律(促進法) 地震による建築物の倒壊等の被害から国民の生命、身体及び財産を保護するため、平成7 年 10 月に制定された法律。近年の大地震の頻発や東海地震、東南海・南海地震、首都直下 地震の発生の切迫性などから、平成 18 年6月、平成 25 年 11 月に改正が行われている。 建築物の耐震診断及び耐震改修の促進を図るための基本的な方針 促進法第4条第1項に規定された、国土交通大臣が定める耐震診断及び耐震改修の促進を 図るための基本的な方針。同方針では、住宅及び多数の者が利用する建築物の耐震化率を、 平成 27 年までに少なくとも 90%、住宅については平成 32 年までに少なくとも 95%とする ことを目標としている。こ
国土強靭化アクションプラン 2015 国土強靱化基本法(平成 25 年 12 月施行)に基づき、平成 26 年 3 月に策定された国土強靱 化基本計画の具体的な実施施策等を示したもの。「起きてはならない最悪の事態」を念頭に、 プログラムごとに毎年度取り組むべき個別施策等をまとめている。し
住宅・土地統計調査 住宅とそこに居住する世帯の居住状況、世帯の保有する土地等の実態を把握し、その現状と 推移を明らかにすることを目的に、統計法に基づく基幹統計調査(総務大臣が指定する特に 重要な統計)として国が行うもの。昭和 23 年以来5年ごとに実施しており、直近では平成 25 年に行われた。用語解説
46 首都直下地震緊急対策推進基本計画 首都直下地震対策特別措置法第4条に規定される、首都直下地震に係る地震防災上緊急に講 ずべき対策の推進に関する基本的な計画。首都中枢機能の維持を始めとする首都直下地震に 関する施策の基本的な事項を定めている。 新耐震基準 昭和 53 年の宮城県沖地震の後、昭和 56 年6月の建築基準法改正により新耐震基準が施行さ れた。新耐震基準の考え方は、建築物が中規模の地震(震度5強程度)に対しては、ほとん ど損傷を生じず、極めて稀にしか発生しない大規模の地震(震度6強から震度7程度)に対 しては、人命に危害を及ぼすような倒壊等の被害を生じないことを目標としたものである。
た
耐震化率 建築基準法の耐震基準を満足している建築物数の割合。本計画では、昭和 57 年以降に建築 されたもの、昭和 56 年以前に建築されたもののうち、建築当初から耐震性を保有している と思われるもの(推計値)、耐震診断の結果、耐震性ありと診断されたもの及び耐震改修を 行ったもの(住宅においては一部推計値)を、耐震基準を満足している建築物としている。ち
地域防災計画 地域並びに地域の住民の生命、身体及び財産を災害から保護し、被害を最小限に軽減し、社 会秩序の維持と公共の福祉を確保することを目的として策定する計画。災害対策基本法第 42 条の規定及び中央防災会議が作成する「防災基本計画」に基づき、地方防災会議が地域 にかかる防災に関する事務または業務について各主体の役割を明確化し、総合的な運営を計 画化したもの。 中央防災会議 内閣の重要政策に関する会議の一つとして、内閣総理大臣をはじめとする全閣僚、指定公共 機関の代表者及び学識経験者により構成されており、防災基本計画の作成や、防災に関する 重要事項の審議等を行う組織。第二期 太田市耐震改修促進計画
発 行 太田市
(平成 29 年 2 月)
〒373-8718 群馬県太田市浜町 2 番 35 号 太田市 都市政策部 建築指導課