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自閉症児の表現する人物画と自己理解のあり方との関連について [ PDF

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Academic year: 2021

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(1)自閉症児の表現する人物画と自己理解のあり方との関連について キーワード:自閉症児・図形模写・人物画・自己理解 人間共生システム専攻 石澤 美紀 1.問題と目的. 佐久間・遠藤・無藤(2000)は、Lee&Hobson(1998). 描画にとびぬけた能力を示すサヴァン症候群の人. が採用した Damon and Hart(1982)の分類枠組みを改. を除く大多数の自閉症児者は、描画能力に優れても劣. 作し、健常児の自己理解について検討を行った。本研. ってもおらず、精神年齢に相応した絵を描く. 究ではこの佐久間らの分析枠組みに基づいて自閉症児. (Charman&Baron-Cohen,1993;Lewis&Boucher,. の自己理解のあり方を検討する。. 1991;Eames&Cox,1994; 原・中西、2000) 。 しかし、一門・山下(1983)は自閉症児は知的発達 年齢に対して稚拙な人物画を描いていることを明らか にした。一方 Lewis&Boucher(1991)は人物画の成熟度. 2.方法 1.対象者 自閉症児は、ビネー式知能検査あるいは WISCⅢに. に統制群と有意な差は見られなかったと報告している。. よ る IQ = 70 以 上 の 者 で 、 DSM- Ⅳ ( American. このように自閉症児の人物画が精神年齢相応なのかど. Psychiatric Association)の自閉性障害またはアスペル. うかについての見解は一致していない。だが、一門ら. ガー障害に合致した者である。. は人を 1 人描くように教示しているのに対し、Lewis. 表1対象者. らは絵の一部として自発的に描かれた人物画について. 自閉症群( N=12)5歳児(N=4) 8歳児(N=4) 10歳児(N=4) 健常児群( N=36)5歳児(N=12) 8歳児(N=13) 10歳児(N=11). 検討しており、見解に一致がみられないのは方法論が 異なっていることによるとも考えられる。 そこで本研究の第 1 の目的は、一般に精神年齢に相. CA MA IQ 7:07(6:10∼7:09) 5:11(5:07∼6:05) 79(76∼83) 9:03(7:00∼11:07) 8:02(8:03∼9:04) 91(75∼99) 10:07(10:00∼11:03) 10:08(10:02∼11:07) 102(94∼116) 5:07(4:11∼6:02) 8:02( 7:07∼8:06) 10:00(9:08∼10:06). *上記の5歳児・ 8歳児・ 10歳児はMA5歳群・ MA8歳群・ MA10歳群を表している。以下同様に表記する。. 応した絵を描くとされる自閉症児において、人物画に ついては精神年齢に比べて未熟であるのかどうかにつ. 2.課題. いて検討することである。. (1)人物画課題. 人物画は、視覚−運動系の発達段階をとらえようと. A4 の紙と B2 の鉛筆を提示し、①人及び②自分を描. する知能検査(小林、1977)としても、あるいは自己. くよう次のように教示した。 「人をひとり(自分を)描. 像・重要な人物への態度・人間一般の認知の仕方などさ. いてください。頭から足の先まで丁寧に描いてね。上. まざまなものが多義的に表されている(高橋・高橋、. 手か下手かは関係ありません。」①において‘自分’を. 1991)とする性格検査としても用いられている。性格. 描いた対象者においては②は施行されなかった。. 検査としての利用は青年期以降において有効とされる. (2)図形模写課題. が、程度の差こそあれ人物画には描き手の人や自己に ついてのとらえかたが表現されると考えられる。 Lee&Hobson(1998)は自閉症児者の自己に関する. ベンダーゲシュタルトテストのうち児童にとって比 較的困難とされる(高橋、 1968)図形Ⅲ、Ⅵ、Ⅶを模写 課題とした。. 描出について、対人的領域のみ叙述数が顕著に乏しい. (3)自己理解インタビュー(佐久間・遠藤・武藤、2000). ことを明らかにし、さらに自閉症児者は自己を定義す. ①から⑥の順に質問した。. る際に他者を視野に入れていないと指摘した。このよ うに特異的な自己概念をもつとされる自閉症児は、な んらかのかたちで人や自己についてのとらえかたが反 映されると考えられる人物画をどのように描くのだろ うか。本研究の第 2 の目的は、自閉症児の表現する人 物画と自己理解のあり方との関連について検討するこ とである。. 表 2 自 己 理 解 イ ン タビ ュ ー < 自 己 評 価 > ① ∼ ち ゃ ん は 自 分 の ど ん な とこ ろ が 好 き ? ど うして ② 自 分 の ど ん な とこ ろ が 嫌 い ? ど うして ? ③ 自 分 の い い とこ ろ は ど こ か な ? ど うして ? ④ 自 分 の 悪 い とこ ろ は ど こ か な ? ど うして ? < 自 己 定 義 > ⑤ ∼ ち ゃ ん は ど ん な 子 か な ? ど うして ? < 自 己 の 関 心 > ⑥ ∼ ち ゃ ん は ど ん な 子 に な りた い ? ど うして ?.

(2) 3.手続き. 3.結果と考察. 2.の課題を(1) (2) (3)の順で個別に施行した。な. 1. 図形模写能力と人物画描画能力について. お自閉症児については保護者同席のもと行われた。課 題中の様子はテープレコーダーで録音された。. BGT 得点、DAM 得点それぞれを従属変数として、 群2(被験者間;Nor/Aut)×年齢 3(被験者間;5 歳/8 歳/10 歳)の二要因分散分析を行った(表 4) 。. 4.得点化及び分類. 群 の 主 効 果 は 、 BGT 得 点 で は 有 意 で は な く. (1)図形模写課題(BGT 得点) ;Townsend(1951)の. (F(1,42)=1.78,p>.10;図1)DAM 得点では有意であ. 児童の描写能力判定基準 4 項目のそれぞれに1点を与. った(図2) 。つまり、自閉症児と健常児の間に図形模. え、3つの図形合わせて12点満点で採点された。. 写能力については差はなく、人物画描画能力には差が. (2)人物画課題;小林・小野(1977)の方法に従った。. みられた。このことから自閉症児は人物を描くことに. 人課題と自分課題の平均得点を人物画得点(DAM 得. 困難があるといえる。. 点)とした。1 枚のみ描いた者については、描かれた 絵の得点を DAM 得点とした。さらに小林ら(1977) の 50 の評価項目を「身体の部分に関するもの」「身体 の部分の比率に関するもの」 「明細化に関するもの」 の. B G T 得 点. 8 6 4 2 0. 5歳児 8歳児 10歳児 自閉症児. 3 つにわけ、それぞれ身体の部分得点、身体の部分の. 図1 群×年齢の交互作用. 比率得点、明細化得点とした。 (3)自己理解インタビュー;佐久間ら(2000)を一部 改変した分類枠を使用した。 表3 反応分類カテゴリー カテゴリー 下位カテゴリー 1) 身体的・ 1. 具体的特徴 外的属性 2. 抽象的特徴 1. 活動 2. 外向的行動 2) 行動 3. 協調的行動 4. 勤勉的行動 5. 能力評価を含む行動 1. 外向性 2. 協調性 3) 人格特性 3. 勤勉性 4. 全般的評価語. 具体例 顔、心臓、 洋服、名前 かわいい、 かっこいい、 男らしい サッカーをする、 ピアノ を弾く よく しゃべる、思ったことが言えない 助ける、仲良く する、けんかする、いう ことをきかない 勉強をきちんとする、規則を守る 勉強ができる、 テスト で100点をとる、 走るのが速い、 スポーツが苦手 明るい、元気、 おもしろい、おしゃべり やさしい、親切、素直、わがまま、 暴力的 真面目、不真面目 いい子、ふつう の子、悪い子、おりこう、 頭がいい. A) 質問を理解しているか否かは明らかではないが、 質問をかわそうとする反応、 B) わからない、 という反応、 C) 質問を理解していないと思われ、 質問に対して的確に答えていない反応. 上位カテゴリーについて:6 つの質問項目ごとに、 描出を6つのカテゴリーのどれに言及しているかを調 べ、言及している場合には 1 点、言及がない場合は 0 点を与えた。①∼⑥の質問の得点をカテゴリー1)2)3) ごとに合計し、上位カテゴリー言及得点を算出した。 さらに 3 つの上位カテゴリー言及得点を合計した、上 位カテゴリー総合言及得点を算出した。. 健常児. D 30 A 20 点 M10 得 0 自閉症児. 健常児. 図2 群の主効果. 表4 分散分析結果 従属変数. 有意差のみられたもの. BGT得点. 群×年齢の交互作用(図1) F(2.42)=4.20,p<.05 Aにおける年齢の単純主効果 F(2.42)=14.48,p<.05 Ryanの法による多重比較 MSe=3.49,p<.05 Nにおける年齢の単純主効果 F(2.42)=13.03,p<.01 Ryanの法による多重比較 MSe=3.49,p<.05. 5歳児、8歳児<10歳児. 5歳児<8歳児、10歳児 8歳児<10歳児 F(1.42)=9.29,p<.01 A<N 群の主効果(図2) F(1,40)=11.47,P<.01 A<N DAM得点 年齢の主効果 F(2,40)=22.79,p<.01 Ryanの法による多重比較 MSe=26.44,p<.05 5歳児<8歳児、10歳児 8歳児<10歳児 年齢の主効果(図3) F(2.42)=3.52,p<.05 上位カテゴ Ryanの法による多重比較 MSe=1.47,p<.05 5歳児、8歳児<10歳児 F(2.84)=4.84,p<.05 リー言及得点 行動における群の単純主効果 F(1.126)=4.42,p<.05 A<N F(1,126)=10.21,p<.01 A<N Aにおける上位カテゴリーの単純主効果 F(2.84)=2.54,p<.10 Nにおける上位カテゴリーの単純主効果 F(2.84)=5.97,p<.01 身体<行動、人格特性 上位カテゴ 群の主効果(図4) F(1,42)=6.06,P<.05 A<N F(2,42)=3.52,p<.05 リー総合言及 年齢の主効果 Ryanの法による多重比較 MSe=4.42,p<.05 5歳児、8歳児<10歳児 得点 群の主効果(図5) F(1,42)=4.45,P<.05 A<N カテゴリーの 年齢の主効果 F(2.42)=5.24,p<.01 広がり得点 Ryanの法による多重比較 MSe=2.05,p<.05 5歳児、8歳児<10歳児. 下位カテゴリーについて:上位カテゴリー1)2)3) に 分類された描出について、各下位カテゴリーに言及し. 2.自己理解のあり方について. ているか否かを調べた。6つの質問を通して各下位カ. (1)自己についての言及内容の特徴. テゴリーに言及していれば 1 点、そうでなければ0点. 上位カテゴリー言及得点を従属変数として、群2(被験. を与え、下位カテゴリーのいくつに言及したかを表す. 者間;Nor/Aut)×年齢 3(被験者間;5 歳/8 歳/. カテゴリーの広がり得点を算出した。. 10 歳)×上位カテゴリー 3(被験者内;身体/行動/人格. 上記(1)(2)(3)の採点・分類はすべて評定者 2 人によっ て行われ、評定者間の一致率はそれぞれ 85.1%、75.7%、. 特性)の三要因分散分析を行った(表4) 。 群×上位カテゴリーの交互作用(図3)がみられたので. 78.0%であった。一致がみられなかったものに関して. 下位検定を行ったところ、 「行動」 「人格特性」におけ. は、2 人が合議した上で決定した。. る群の単純主効果が有意であった。つまり自閉症児は.

(3) 健常児より「行動」及び「人格特性」について自己に ついての言及が少なく、自己の「身体的・外的属性」. 3.人物画描画能力と自己理解のあり方との関連 人物画描画能力と自己理解のあり方との関連につ. についての言及については健常児と比較して差がない. いて相関分析を用いて検討した(図5、6) 。. といえる。. 表5自閉症児における人物画と自己理解との関係. 上 位 カ 及 テ 得 ゴ 点 リ ー 言. 自己理解. 3. 身体. 2 2 1. 身体 行動 人格特性. 1 0 健常児. 上位カテゴリー総合言及得点、カテゴリーの広がり得点それ ぞれを従属変数として、群2(被験者間;Nor/Aut) ×年齢 3(被験者間;5 歳/8 歳/10 歳)の二要因分 散分析を行った(表 4) 。 上位カテゴリー総合言及得点(図4)、カテゴリーの広がり 得点(図5)いずれにおいても群の主効果が有意であ った。つまり自閉症児は健常児より自己についての言 及量が少なく、自己についての言及内容の広がりが小 さいといえる。. 総. 上位カテゴリー カテゴリーの広 ABCの合計得 総合言及得点 がり得点 点. r=.73,p<.05 r=.24 r=.35 r=.35. r=.20 r=-.07 r=.26 r=.11. r=.54 r=.15 r=.34 r=.30. r=.08 r=-.16 r=.14 r=.12. r=-.61,p<.05 r=-.26 r=-.21 r=-.24. 人物画. 行動. r=.-.36,p<.05r=.25 r=-.14 r=.15 身体の部分の比率得点 r=-.34,p<.05 r=.22 r=-.45,p.<.01r=.20 明細化得点 DAM得点. 身体の部分得点. 人格特性. 上位カテゴリー カテゴリーの広 総合言及得点 がり得点. r=.47,p.<.01 r=.29 r=.48,p<.01 r=.45,p.<.01. r=.30 r=.23 r=.30 r=.21. r=.33 r=.31 r=.48,p<.01 r=.42,p.<.05. 自閉症児は、 「行動」についての自己言及が多いほど、 またカテゴリー A・B・C の言及が少ないほど、人物画描画 能力が高いといえる。健常児は、 「身体的・外的属性」 についての自己言及が少ないほど、「行動」「人格特 性」についての自己言及が多いほど、身体の部分を描 くことを除く人物画描画能力が高い。また健常児は、 自己言及の内容の広がりが大きいほど、人物を身体の 部分の比率よく描いたり、人物画の明細化をよりよく するといえる。. 5 4 3 2 1 0. 本研究においては各上位カテゴリーの言及数が年齢に よって異なることはなかった。一方、健常児について 本研究と同じ年齢群について検討した佐久間ら(2000) では、幼児と小学生にカテゴリーごとに差がみられ、幼児 自閉症児. 健常児. 図4 群の主効果 カ テ が ゴ り リ 得 ー 点 の 広. 人格特性. 表6健常児における人物画と自己理解との関係 自己理解 身体. (2)自己についての言及量と言及内容の広がり. 合 言 及 得 点. 身体の部分得点. 自閉症児. 図3 群×上位カテゴリーの交互作用. 上 位 カ テ ゴ リ ー. r=.26 r=.02 身体の部分の比率得点 r=.15 r=.12 明細化得点 DAM得点. 人物画. 行動. から小学生になるにつれ、 「身体的・外的属性」につい ての自己言及は減少し、「行動」及び「人格特性」につ. 4. いての言及は増加することが示された。本研究と佐久. 3. 間ら(2000)で結果が一致しなかった理由としては、. 2 1. 本研究では被験者数が十分でなかったことがあげられ る。再度この点について検討される必要がある。. 0 自閉症児. 健常児. 図5 群の主効果. (3)カテゴリーA・B・C. 佐久間ら(2000)の結果から、年齢があがるにつれ、 自己についての言及は「身体的・外的属性」から「行動」 及び 「人格特性」 へと比重が移っていくと推察される。. カテゴリー A に分類される言及は自閉症児にのみ 2 人. このことを考えあわせると、比較的自己理解の早期の. (16.6%)にみられた。カテゴリーBに分類される言及は、. 段階と考えられる「身体的・外的属性」についてより. 自閉症児 4 人(33.3%) 、健常児 18 人(50%)にみら. 多い自己言及をする段階においては、人物をよりよく. れた。カテゴリーCに分類される言及は、自閉症児 7 人. 描くことが難しいと推測される。また「行動」 「人格特. (63.6%)、健常児 5 人(13.9%)にみられた。カテゴリー C に. 性」についてより多い自己言及をし、自己についてよ. 分類される反応は、質問に応じようとするがその意図. り多側面から言及する、自己理解のより進んだ段階に. しているところを理解できずに的確に答えることがで. なると、 人物をよりよく描くようになると考えられる。. きないことを表していると思われる。このような反応. したがって、自閉症児に人物を描くことの困難がみら. をする子どもは自己を対象化することが難しく、自己. れるのは、自閉症児は、健常児において人物画をより. 理解の乏しいものであると考えられる。. よく描くことと密接に関連していた「行動」「人格特.

(4) 性」についての自己言及がより多く、自己言及の内容. あることから、自閉症児は人物を描くことに困難があ. の広がりがより大きいという、自己理解のあり方とは. ることが示唆された。. 異なった特異的な自己理解の発達をしていることによ. 2.自閉症児は、 「身体的・外的属性」についての自己. るものと考察される。. 言及に健常児と差はないが、健常児より「行動」 「人格 特性」についての言及数が少なく、また全体的な自己. 4.人物画課題への取り組みと表現された人物画. 言及数が少なく、 自己言及内容の広がりが狭いという、. 表7に人物画課題への取り組み方と表現された人物. 自閉症児の自己理解のあり方の特徴が示された。. 画について各項目にあてはまる人数を集計した。各項. 3.人物画描画能力と自己理解のあり方と関連がある. 目ごとに 2×2 のフィッシャーの検定を行った。人数の偏り. ことが自閉症児、健常児ともに示されたが、そのあり. が有意であったものについては、残差分析を行った。. 方が自閉症児と健常児では異なっていた。. 表7 人物画課題への取り組みと表現された人物画. 4.自閉症児に人物画課題( 「人」 )に対する拒否・失 自閉症児. 人課題における拒否・失敗. 実際度数. 3. 期待度数. 1.25 1.91 +. 3.75 -1.91 +. みられなかった 実際度数. 9. 34. 期待度数. 10.75. 32.25. 残差. -1.91 +. みられた. 残差. 人物画課 題への取り 自分課題における拒否・失敗 組み 人課題における躊躇・困難. みられなかった みられた. 6. 8. 6 4 4 3 0.64. 28 12 19 0 2.36. 3.40 *. -3.40 *. 15 17.36 -3.40 * 3 9 0 12. 67 64.64 3.40 * 5 31 7 31. みられた. 描かれなかった 実際度数 期待度数 残差 描かれた. 実際度数 期待度数 残差. 表現された 人課題において’自分’を描いたもの 人物画. 描いた 描かなかった. 人課題において身近な人を描いたもの 描いた 描かなかった. 人課題において実験者を描いたもの. 1.91 + 3 28. みられなかった. 人の全体が描かれないもの. 2. 0 9. みられた. みられなかった. 自分課題における躊躇・困難. 健常児. 描いた 描かなかった. 人課題において現実的かつ特定の人. 描いた. ではない人を描いたもの. 描かなかった. 1 11 3 9. 3 33 17 19. 「人」課題において自閉症児に、有意に多い拒否・ 失敗がみられることが示された。 自閉症児において、人の姿全体が描かれない人物を. 敗が多かった。 5.自閉症児に人の姿全体を描かないものが多く、人 の姿の全体をまとまりをもったものとして捉える傾向 が低いと推測された。 6.自閉症児の人物を描くことの困難は、自己理解の あり方の特徴と人の全体をとらえる傾向の低さから説 明されると考えられた。 6.引用文献 Charman,T.&Baron-Cohen,S. 1993 Drawing development in autism:The intellectual to visual realism shift. British Journal of Developmental Psychology 11 171-185 Eames,K.&Cox,M. 1994 Visual realism in the drawing of autistic,Down’s Syndrome and normal children. British Journal of Developmental Psychology 12 235-239 Damon&Hart 1982. 描いたものがより多いことが示された。自閉症児は部. 小林 1977 グッドイナフ人物画知能検査ハンドブック 三京房. 分に着目しやすく、人の姿の全体をまとまりをもった. Lee,A&Hobson,R.P. 1998 On developing Self-. ものとしてとらえる傾向が低いと推測される。人の全. concepts:A Controlled Study of Children and. 体が描かれないと DAM 得点は低くなることから、自. Adolescents with Autism Journal of Child. 閉症児の DAM 得点の低さは、人の姿の全体をまとま. Psychology and Psychiatry 39-8 pp.1131-1144. りをもったものとしてとらえる傾向の低さからも説明 されると考えられる。. Lewis,V&Boucher,J 1991 Skill,content and generative strategies in autistic children’s drawings British Journal of Developmental. 5.まとめ 本研究は、自閉症児の人物画は精神年齢に比べて未 熟であるのかどうかについて検討すること、自閉症児. Psychology 9 393-416 原・中西 2000 知的障害をもつ自閉症者のバウムテスト 心理臨床学研究 18-4 390-395. の表現する人物画と自己理解のあり方との関連につい. 佐久間・遠藤・無藤 2000 幼児期・児童期における自. て検討すること、の2つを目的とした。結果は次の通. 己理解の発達:内容的側面と評価的側面に着目して. りである。. 発達心理学研究 11-3 pp.176-187. 1.MA をマッチングされた自閉症児と健常児との間に、. 高橋 1968 ベンダー・ゲシュタルト・テストハンドブック 三京房. 図形模写能力に差がなく、人物画描画能力にのみ差が. 高橋・高橋 1991 人物画テスト 文教書院.

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