居住収縮の進行する斜面住宅地における住宅・宅地の利用動態 [ PDF
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(2) 3. 地区全体の画地利用の変化. なったものが 2 割近くあるのみで、他の用途への変化. まず、2003 年と 2008 年の地区全体の土地利用構成. は見られない。また、駐車場は、未利用や菜園と比較. を見ると ( 表 2)、この 5 年間で住宅用地と事業所用地. してさらに変化が少なく、新築入居や建築中のものは. 共に建物の滅失が進んでいる。さらに住宅用地では空. わずかであり、他の用途に比べて接道条件が整ってい. 家 ( 入居なし ) の増加も大きく、入居世帯のある住宅. る割には新築フローの受け皿とはなっていない。. 用地の総面積は -1.2ha(-6.4% ) 減少している。. 4. エリア別の画地利用動態. 次に、住宅用地と事業所用地 ( 計 28.25ha) の画地. 次に、変化パターンを用いて、エリア別の画地利用. 利用の変化について詳しく分析する。図 2 は 2003 年. 動態について分析する ( 図 4)。全体的には、車輌進入. から 2008 年の画地利用面積の変化を用途別に示した. 困難な画地が多いエリアほど顕著に空家・空宅地の発. ものであり、図 3 はこの動きを 「 入居世帯のある住宅. 生、残留がみられるが、平地や中腹 A・B は空家・空. 」「 空家 」「 空宅地 」「 事業所用地 」 間の変化パターンと. 宅地の割合が 2 割強であるのに対し、地形が急峻で道. して表したものである。まず、2003 年に入居のある. 路条件の悪い中腹 C や地区の最上部に位置する山手で. 住宅のうち 2 割近くは転入居が起きているが、1 割弱. は 4 割近くに及び、特に中腹 C は新規空家、山手は残. が空家または除却されて空宅地となっている。一方、. 留空家の割合が高い。これに対して空家や空宅地への. 2003 年時点の空家は、入居が 2 割強であり、半数以上. 新規入居はどのエリアも少ないが、中腹部でも南斜面. が現在まで空家のまま残留している。加えて、空家が. に位置し道路条件の比較的よい中腹 A では新規入居の. 除却されて空宅地となった場合も入居世帯のある住宅. 割合がやや高い値を示している。また、転入居の割合. が除却された場合に比べて、未利用の割合が高く、利. は共同住宅の多い平地で高く、中腹部でも 1 割弱の転. 活用が進んでいない。また、2003 年時点の空宅地につ. 入居がみられるが、山手は非常に少なく、住宅ストッ. いて、未利用、菜園、駐車場の別に現況を見ると、未. クの回転がきわめて鈍い。. 利用は、約 1 割で新築入居があり、2 割が菜園や駐車. 次に、残留空家と残留空宅地を取り上げ、用途構成. 場に転用され、約 7 割は変化がない。菜園は未利用と. と劣化状態を図 5 に示す。いずれのエリアでも、車輌. 表 2. 調査対象地区の土地利用構成. 進入可の画地では残留空家の割合が低く、残留空宅地. 住宅用地 建物あり. 入居あり 入居なし. 1.62 3.6% 2.22 5.0%. 5.23 11.7% 5.86 13.1%. -1.20. 0.60. 0.63. 2008年. 1.96 4.4% 1.84 4.1% -0.12. 公園 自然地 公共施設 緑地. 道路. 建物なし 建物あり 建物なし. 18.81 42.0% 17.61 39.3%. 2003年. 2008年 −2003年. 事業所用地. 単位:ha. 0.62 1.4% 0.73 1.6%. 10.48 23.4% 10.48 23.4%. 0.11. ー. 1.65 3.7% 1.65 3.7% ー. の大部分が駐車場となっている。逆に、車輌進入不可. 総計. (グロス面積). の画地では、残留空家の割合が高いものの、倉庫など. 4.39 44.76 9.8% 100.0% 4.39 44.76 9.8% 100.0% ー. への転用が一定見られ、残留空宅地では菜園化が進ん. ※「道路」には都市計画道路拡幅用地面積を含む。 入居世帯のある住宅. 転入居 ( 建替え 入居を含む ). ー. 空宅地 事業所用地 入居世帯のない住宅. 6.3%. 2003-66.6% 2008-62.3%. 3.9%. 画地利用 2003 年. 1.3%. 5.9. 3.9. 66.6. 1.3. 宅 地. 駐車場. 3.4. 0.1. 0.2. 0.3%. 0.1%. 継住. 転入居. 新築・ 建替え 入居. 40. 入居世帯のない住宅 建築中. 空家. 0.02%. 空宅地. 0.2%. 事業所用地化. 事業所建物の 除却. 0.4%. 0.4%. 事業所用地. 9.1. 0.4. 20. 建築中. 新築入居. 0.4 11.1. 8.5. 入居世帯のある住宅. 事業所用地化. 2003-18.5% 2008-20.7%. 4.9 2.5. 10.3. 0.1. 0.2. 凡例. 0.2. 2.1. 事業所 0.1 用地. 0. 0.8. 0.9%. 5.8. 0.8. 3.4. 空家の除却. 新築後、未入居 及び建築中. 0.5%. 0.5 0.4. 0.2%. 空家. 新築入居. 未利用 空 菜園. 事業所用地化. 2.1%. 2003-5.8% 2008-7.8%. 0.4. 空家. 新規空家 新規空宅地. 住宅の除却. 空家化. 空家に入居. 54.0. 転入居. 入居世帯 のある住宅. 2.1 0.2. 入居世帯 のある 住宅. 凡例 ( 変化パターン ). 事業所用地化 新規入居. 60 未利用. 空宅地 菜園. 80 駐車場. 2003-9.1% 新規空家 転入居 (建替え入居含む ) 1.9 残留空家 2008-9.1%. 全体の変化. 100[%]. 事業所用地. 8.4. 事業所 用地. 0.6. 継住 54.0. 既存事業所用地 事業所用地化. 画地利用 2008 年 ※数字は全体面積 (28.25ha) に対する割合 [%]. 6.3 4.4 3.43.4. 17.4. 残留空宅地. 新規入居 新規空宅地 ※数字は全体面積 (28.25ha) に対する割合 [%]. 図 3. 画地利用の変化パターンと画地利用面積の変化. 図 2. 住宅・事業所用地の画地利用面積の変化. 41-2.
(3) でいるが、中腹 B、C では未利用地の割合が高い。また、. を、表 3 に各世帯型の不在住化注 3)後の戸建て住宅画地. 残留空家は立地条件にかかわらず劣化が進んだものが. の現況を示す。高齢者のいる世帯では、世帯が縮小す. 多く、残留空宅地も特に中腹エリアで劣化大 ( 擁壁の. るにつれて不在住化する率が高くなり、高齢単身世帯. 傷んだもの ) のものが多く、維持管理が不充分である。. は 3 割以上が不在住化している。不在住化後に入居世. 5. 戸建て住宅画地の利用動態. 帯がある割合はいずれの世帯型も 3 割程度だが、高齢. 続いて、戸建て住宅画地の利用動態について詳しく. 単身世帯及び高齢者のみ世帯では空家となる割合が高. 分析する。図 6 に示すとおり、住宅のある画地の約 7. く、その半数近くは家財道具を残したままの一時空家. 割を戸建て住宅が建つ画地が占め、地区内の空家の大. 注 4) . 半は戸建て住宅である。転入居や新規入居も、他の建. 変化を経て不在住化する場合がほとんどであり、結果. て方に比べて少なく、ストックの回転は鈍い。. 的に、高齢単身世帯の不在住化が空家の増加とその利. である。なお、高齢者のみ世帯は高齢単身世帯への. 事業所用地. まず、図 7 に戸建て住宅画地の世帯型別の居住動態 事業所用地. 入居. 空家. 空家 除却. 入居. 空宅地. 0.4. 0.2. 7.0. 中腹 C 0.3. 11.4. 中腹 B 0.1. 1.0 0.6. 2.5. 12.5. 0.9 1.3 0.8 0.9 0.3. 3.9. 19.8. 0.7. 0.2. 12.3. 1.1 0.6 0.7 0.6. 3.1. 18.6. 2.1. 12.8. 戸建て. 0.3. 57.2. 2.1. 建て方 2003 年. 山手. 4.1 3.7 2.4 71.4. 1.3. 0.2. 中腹 A. 1.3. 0.3. 6.7. 0.8 0.5 0.5 0.2. 0.3. 併用住宅 長屋. 0.2 0.4 0.3 0.2 0.3. 6.2. 0.03. 2.6. 8.3. 1.2. 0.3. 7.4. 14.2. 1.3. 0.1. 平地. 6.6. 0.4. 16.6. 3.3. 1.5 1.1 0.6 0.6. 共同住宅. 36.3. 5.7. 3.2. 3.3. 0. 20. 40. 事業所用地. 20. 40. 事業所用地 既存 事業所 用地. 凡例. 60. 80. 入居. 事業所 用地化. 空家. 空宅地. 従前世帯が不在住化. 0.3. 1.1. 0.6. 0.5. 8.4. 4.5. 8.8. 3.1. 2.7. 1.1. 世帯型 (2003 年 ). 2.5. 10.2. 7.7. 2008 年時の画地利用 従前世帯が継住. N値 140. 高齢夫婦及び 高齢者のみ世帯. 163. 不在住化率 10.4%. 高齢者を 含む普通世帯. 208. その他の世帯. 3.2. 中腹 A. 残留空家 新規空宅地. 不在住化率 5.8%. 中腹 C. 中腹 B. 新規空家. 不在住化率 34.3%. 残留空宅地 1.4. 新規入居. 転入居. 高齢単身世帯. 残留空家 0.3 0.6. 100[%] 除却. 図 6. 住宅の建て方別の画地利用面積の変化. 新規. 図 4. エリア別の画地利用動態. 1.1. 80 空家. 画地利用 2008 年 ※数字は 2003 年の建物ありの画地面積 (20.33ha) に対する割合 [%]. ※数字は全体面積 (28.25ha) に対する割合 [%]. 山手. 継住. 100[%]. 残留 転入居 新規入居 新規空家 残留空家 空宅地 空宅地. 継住. 60. 入居. 凡例 事業所用地化. 0. 0.05 7.0 0.1 0.2 0.1. 0.4 0.1 0.8. 0.4. 0.6. 0.4. 0. 20. 40. 不在住化後の画地利用 事業所用地 空宅地. 8.6. 2.3. 空家. 入居. 60. 不明 2008 年の世帯型. 3.0. 2.0. 100[%]. 80. 高齢単身世帯 高齢夫婦及び高齢者のみ世帯 高齢者を含む普通世帯 高齢者のいない世帯. 凡例. 8.3. 6.8 0.1. 不在住化率 16.9%. 9.6. 3.9. 356. ( 世帯型不明含む ). 12.7. 7.6. 0.9. 0.4. 2.9. 0.8. 1.8. 0.2 0.3. 6.2. 図 7. 戸建て住宅画地の世帯型別の居住動態 平地. 1.6. 1.4 0.4. 0.2. 0. 凡例. 表 3. 不在住化した戸建て住宅画地の現況. 28.2. 24.7. 0.3. 20. 0.8. 40. 残留空家 未利用空家 一時空家 転用空家 車輌進入可 車輌進入不可. 2.1. 0.8. 60 未利用. 80. 残留空宅地 菜園. 高齢単身. 100[%] 駐車場. 単位:画地(棟). 空宅地 空家 事業所 入居 未利用 一時 転用 世帯型(2003年) 用地 駐車場 菜園 未利用 空家 空家 空家 建築中. 0.1. 高齢夫婦のみ 及び高齢者のみ世帯 高齢者を含む 普通世帯 その他の世帯 (不明含む). 劣化小. 劣化大 劣化小. ※数字は残留空家・空宅地面積 (5.75ha) に対する割合 [%]. 総計. 図 5. 残留空家・空宅地の用途別・劣化状態別面積構成. 41-3. 1 2.1%. 2 3.3% 3 2.2%. 3 6.4% 2 11.8% 1 8.3% 6 10.0% 12 8.8%. 4 8.5%. 2 3.3% 2 1.5%. 2 16.7% 8 13.3% 14 10.3%. 13 27.7% 5 29.4% 4 33.3% 18 30.0% 40 29.4%. 10 21.3% 4 23.5% 1 8.3% 2 3.3% 17 12.5%. 1 5.9%. 3 5.0% 3 2.2%. 1 0.7%. 16 34.0% 5 29.4% 4 33.3% 19 31.7% 44 32.4%. 総計 47 100.0% 17 100.0% 12 100.0% 60 100.0% 136 100.0%.
(4) 活用が滞る大きな要因となっている。現状では、居住. 定進んでいるものの、住宅・宅地の劣化が大きいもの. 世帯の縮小が今後さらに進むと予測され、高齢単身世. が車輌進入可・不可を問わず半数以上を占めている。. 帯の不在住化による空家・空宅地の増加傾向が強まる. よって、現状で市場性を有する戸建て空家ストックは. と考えられる。. 少なく、むしろ、住環境保全の観点から維持修繕や除. 次に、図 8 に 2003 年時の居住世帯が不在住化した. 却の促進が急務といえる。. 戸建て住宅画地のエリア別の現況とそれに占める従前. 6. まとめ. 高齢単身世帯の割合を示す。2008 年時の入居率は、中. 本研究では以下のことが明らかになった。. 腹 A、B、山手では 4 割を超えるが、平地は 3 割弱、中. 1)2003 年から 2008 年の間の地区の画地利用動態は、. 腹 C は 2 割弱である。これに対して中腹部では空家の. 入居世帯のある住宅の空家化・空宅地化が多く、従前. 割合が高く、特に中腹 C では 6 割以上と突出している。. 空家の除却や利活用は鈍い。また、エリア別には、特. 従前高齢単身世帯のものの占める割合との関係で見る. に車輌進入困難な画地が多いエリアほど空家や空宅地. と、いずれのエリアも入居住宅に比べて空家の方に従. の発生・残留が多く、それらの老朽化も進行している。. 前高齢単身世帯の占める割合が高い。また、平地以外. 2) 戸建て住宅は新規空家・残留空家の割合が高く、新. のエリアでは空宅地に占める従前高齢単身世帯の割合. 規空家の約半数は従前の高齢単身世帯が不在住化して. は非常に低く、空家残留の大きな要因となっていると. 発生したものである。高齢単身世帯の不在住化は空家. 考えられる。一方、5 エリアの中でも空家増加が著し. の増加とその利活用が滞る大きな要因となっている。. い中腹 C では高齢単身世帯以外の不在住化によって生. 3) 中腹 C においては高齢単身世帯が不在住化した割. じた空家が多く、居住収縮の進行による住環境の悪化. 合及び不在住化後の入居率が低く、住環境の悪化が二. が世帯流出を助長する傾向を示唆している。. 次的な世帯流出を助長する傾向を示唆している。. 最後に、2008 年時の戸建て空家ストック ( 残留空家・. 4) 戸建て空家ストックは利用状態、接道条件、劣化状. 新規空家 ) の市場性を空家の利用状態、宅地の接道条. 態から見ると、市場性が低いものが多い。特に残留空. 件、住宅・宅地の劣化状態をもとに検討する ( 図 9)。. 家は利活用が見込めないものが大半を占め、維持修繕. 戸建て空家 115 棟のうち中古持家需要の受け皿として. や除却の促進が求められる。. 期待できる、車輌進入可かつ劣化小の未利用空家は全. 地区の保全・再編のためには、将来更なる発生が予. 体の 2 割に満たない。新規空家は、車輌進入可で劣化. 測される空家を残留させず、中古住宅ストックとして. も小さいものが多いが、流動性が低い一時空家の割合. 流動化させる仕組みづくりが大きな 課題として考えら. が高い。また、残留空家は、倉庫や車庫への転用が一. れる。空家・空宅地の残留を抑制し、適切な維持管理. 入居. 山手. 空家. 1.5. 4.4. 空宅地. 1.5. 2.2. を行うことができれば、住環境の保全にもつながる。 0.7. 今後の研究課題としては、各変化のプロセスと属性. 9.8. の分析を通して再編課題を追究することが挙げられる。 中腹 C. 14.7. 5.1. 中腹 B. 8.8. 2.9. 0.7 0.7 1.5. 4.4. 2.2. 注. 0.7 27.1. 2.9. 1.5. 1) 利用状況に応じた境界または物理的境界によって区切られたひとまとまりの宅地。 また、空家住棟の立地する宅地および空宅地を空画地とする。 2) 画地の水平投影面積 (GIS を使用して求積 )。 3) 調査対象地区から死亡や転出、入所・入院等によって世帯が居住しなくなること。 店舗利用や倉庫利用、二次的住宅に用いている場合も不在住とみなす。 4) 入所・入院等により家財道具が置かれたままの状態の、一時的な空家。. 21.1. 謝辞 中腹 A 0.7. 本研究にあたり、枝光一区民生委員、枝光第一自治区会ならびに枝光一区地域 まちづくり協議会の皆様に多大なご協力を頂きました。記して深謝いたします。 6.6. 0.7 0.7. 5.9. 15.8. 2.2. 残留空家. 車輌 進入可. 26.3. 平地. 1.5. 0 事業所用地. 7.4. 20 入居世帯あり. 40. 32.4. 3.7. 60 空家 未利用空家. 全体 2.2. 2.2 1.5. 5.1. 29.4. 7.8. 0.9. 新規空家. 5.2. 14.8. 0.90.9 40.0. 9.6. 5.1. 80. 22.6. 7.8. 5.2. 22.6. 1.7. 60.0. 空宅地. 転用空家建築中. 転用. 未利用. 12.5 2.2. 10.3. 10.3. 一時空家. 車輌 進入不可. 100[%]. 0. 20. 40. 未利用空家 一時空家. 従前が 0.7 従前が高齢単身世帯以外 高齢単身世帯:41.2% ※数字は 2003 年以降に不在住化した世帯の戸建て住宅 136 画地 ( 棟 ) に対する割合 [%]. 凡例. 図 8. エリア別の不在住化した戸建て住宅画地の現況. 車輌進入可 車輌進入不可. 空家 転用空家. 60 建築中. 80. 劣化大 劣化小. 図 9. 車輌進入可否別の戸建て空家の劣化状態. 41-4. 100[%]. ※数字は戸建て空家 115 棟に対する割合 [%] 劣化小.
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