鋼構造骨組の柱梁耐力比が損傷集中に及ぼす影響
(その3履歴型ダンパー付骨組)
正会員○友澤悟史* 同 小川厚治**
2.構造-10.鉄骨構造
柱梁耐力比,履歴型ダンパー,梁崩壊型,損傷集中, 最大層間変位角
断力のベースシヤ係数相当値を振動特性係数Hfで 除した値で,横軸は層間変位角である.
、主体骨組,ダンパーの歪硬化係数は0.02とした.
PA効果を考慮し,粘性減衰は剛性比例型を仮定し,
1.序履歴型ダンパーのような耐震要素は各層独立に せん断耐力を付与するので,履歴型ダンパー付骨組は 通常のラーメン骨組より特定層に変形が集中し層崩壊 を起こしやすい可能性がある.本報では,履歴型ダン パー付骨組について,柱梁耐力比の影響を検討してお
く.
2.解析骨組解析骨組は,層数1Vが,4,8,12の3 種類とし,すべての層にダンパーを取り付けた.本報 その3では前報その1の結果と対比きせながら検討 を進めるが,その1で示した解析骨組と区別するため,
以後,その1で示した骨組を基本骨組,ここで示す骨 組をダンパー付骨組とする.階高/2,重量は基本骨組 と同じとし,柱脚は固定とする.部材の剛性,耐力は 以下のように設定する.
・振動特性係数Rt算定用の固有周期は,建物の高さ に0.03を乗じた値とする.
・層せん断力係数は,前報その1(3)式のA2分布に 従う.
・主体骨組の弾性限での層間変位角を基本骨組と同じ 3/400とする.柱と梁の剛比は1であり,それぞ れの弾性限での材端弾性回転角を3/800とした.主 体骨組,ダンパーの復元力特性はいずれもbilmear 形とした.
・ダンパーと主体骨組の弾性剛性比を2とする.
・標準せん断力係数COが02のとき全ての層のダン パーが降伏する.
・柱梁耐力比が1の基準骨組では,標準せん断力係数 COが0.4のとき全ての柱,梁端が全塑性モーメン
トに至る.
・柱梁耐力比がγの骨組では,柱と最上層の梁の全塑 性モーメントは,柱梁耐力比が1の基準骨組のγ倍 とし,他の梁は基準骨組と同じとする.図1は各層 の荷重変形関係を示したものである.縦軸は層せん
1次の減衰定数を 0.02とした.入力地04
震波は,前報その’08/3
と同じである.0.2
0.4/3
3.角早析結果その1 と同様|こ,ダンパー 0
間2
と同様に,ダンパー ̄3/16003/400 付骨組の各層の最大 図1ダンパー付骨組 層間変位角の最大値 荷重-変形関係 Rmaxを検討する.図
2は,ダンパー付骨組の各層の最大層間変位角の最大 値Rmaxと柱梁耐力比γの関係を示したものである.
図中の◇で示した点は,1aOlから1a40の各地震波 を用いたときの,γに対するダンパー付骨組のRmax の応答値である.また実線は,各骨組の応答値が対数 正規分布すると仮定したときの中央値である.ざらに 基本骨組とダンパー付骨組では,Rmaxにどの程度違 いがでてくるのかを比較するため,前報その1で示し た基本骨組のRmaxの対数正規分布の中央値を図中の 破線で示している.
図2によると,ダンパー付骨組では基本骨組と同様 に,Rmaxはγの増大に伴い減少していき,γがある 値を超えるとほぼ一定になる.しかし,実線で示した
中央値について,柱梁耐力比がγのときの値Rmaxγ と柱梁耐力比が2のときの値Rmax2の比は,本解析 中最も大きい4層骨組のVam=3.0m/sでも1.3程 度である.γによるRmaxの変化は,基本骨組に比べ るとダンパー付骨組は小きく,ダンパー付骨組の Rmaxでは,基本骨組ほど柱梁耐力比の影響は認めら れない.また実線と破線を比べると,ダンパー付骨組 EffbctofColumn-to-beamStrengtllRatioonDamageConcentrationofSteelFrames
(Part3:FrameswithHystereticDampers)TOMOZAWASatoshiandOGAWAKOji
-67‐
は基本骨組に比べてRmaxが全体的にかなり小さいこ とが認められる.Vam=1.5m/sの場合,ダンパー 付骨組は基本骨組のおよそ40%から50%,Vam=
2.25m/sの場合はおよそ30%から40%,Vam=
3.0m/sの場合はおよそ20%から30%,IBmaxが 小きくなっている.
このように,ダンパー付骨組は,ダンパーによる履 歴減衰効果によって,基本骨組に比べて,最大層間変 位角はかなり小言〈なり,柱や梁に生じる塑性変形も
本骨組の中央値で除した値である.また(b)の縦軸は Vam=30m/sのときのダンパー付骨組の中央値を Vam=2.25m/sのときの基本骨組の中央値で除した 値である.(a)(b)共に,縦軸の値はおよそ1.0程度に なっている.柱梁耐力比を小きぐして1に近付けると,
特定層への変形集中が起こり,Rmaxも増大すること は既に述べた通りであるが,図3によると,γを小き ぐして1に近付けると,6例中(a)図の4層骨組を除 く5例は縦軸の値が小さくなっている.これは,図3
小さくなる.そのため,柱0.035
梁耐力比の影響もあまり0.03 顕著に現れていない.OO25
上記のように,ダン002
0.015
パー付骨組'よ基本骨組と。.。,
比較して応答は減少し,0.005 柱や梁に生じる塑性変形o が小きくなることが,ダ007
ンパー付骨組で柱梁耐力006
比の影響が現れにくい主0050.O4 な原因である.それで'ま,003
ダンパー付骨組の柱や梁CO2 が基本骨組と同程度の塑0.01
町Ⅱ→--’一毎n--L,二」-0
0.035 0.03 0.025
0.02 0.015
0.01 0.005 0
0.07 0.06 0.05 0.04 0.03 0.02 0.01 0 0.035
0.03 0.025 0.02 0.015 0.01 0.005
0
0.07 0.06 0.05 0.04 0.03 002 001 0 1.01.21.41.61.820
(a)N=4,Va),!=1.5m/s 1.01.21.41.61.82.0
(b)1V=8,Va),,=1.5m/S
1.01.21.41.61.820
(c)N=12,W、=1.5m/S
性変形を受けたとき,柱vLOL2L416L820
(。)1V=4,W、=2.25m/8 1.01.21.41.61.82.0
(e)1V=8,VU)〃=2.25m/s
1.01.21.41.61.82.0
(f)Ⅳ=12,W,"=2.25m/S
梁耐力比の影響はどのよ0.12 うになる力画を考える. 0.10
図21二よると,Vam= 0.08
15m/sのときの基本骨0.06
組と,Vam=2.25m/sのoo4 ときのダンパー付骨組は,0020
20864211000000●●●●●000000 、、肥肥叫皿0△●●●●●000000
Rmaxの中央値がいずれLoL2L4L6L8201.01.214161.820-1o1.21.41.6182.0(9)1V=4,W、=3.0m/s (h)Ⅳ=8,VH)"=3.0m/S(i)N=12,W"u=3.0m/B
も0.02程度で近い値と 図2ダンパー付骨組の各層の最大層間変位角の最大値Rmax なっている.また,vam=1,
2.25m/sの基本骨組とVam=3.0m/sのダンパー 付骨組は,Rmaxの中央値がいずれも0.03程度で近い 1.0
値となっている.ここでは,このRmaxの中央値が近0.9 い値を取る骨組の応答を比べることにした.なお,主 0.8 体骨組の弾性限変形角|ま基本骨組もダンパー付骨組も 同じであるので,最大層間変位角が等しいことは主体0.7 骨組の塑性率が等しいことを意味している.
図3の(a)の縦軸は,Vam=2.25m/sのときのダ ンパー付骨組の中央値をVam=1.5m/sのときの基
1.1
1.0
0.9
0.8
11.21.41.61.8211.21.4161.820.7
(a)ダンパーVaj1I=2.25m/白(b)ダンパーViX"`=3.0m/B 弓藍末~▽面テニー1万~五7F可未了示了二万5面目一
図3Rmaxにおける
ダンパー付骨組と基本骨組との比較
-68‐
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基本骨組の中央値で除した値である.また(b)の縦軸 はVam=3.0m/sのときのダンパー付骨組の中央値 をVam=2.25m/sのときの基本骨組の中央値で除 した値である.(a)(b)共に,縦軸の値はおよそ1.0程 度になっている.柱梁耐力比を小きぐして1に近付け ると,特定層への変形集中が起こるばかりでなく,
Emeanも大きくなるということは,前報その1で既に 述べているが,図5によると,γを1に近付けると,
6例全て縦軸の値が減少している.柱や梁に同程度の の縦軸に表した値の分子であるダンパー付骨組の方が
柱梁耐力比を小ざ〈ても変形集中が起こり難いことを 表している.図3から判断すると,最大層間変位角が 同程度で,柱や梁に同程度の塑性変形が生じる場合で も,ダンパー付骨組のほうが純ラーメン骨組より大き な柱梁耐力比を必要とする理由は認められない.
次にダンパー付骨組のRmeanについて検討する.た だし,ダンパー付骨組の各層の最大層間変位角の平均 値Rmeanは前報その1で定義した値である.図4は Rmeanと柱梁耐力比γと
の関係を示したものであ る.図中の◇はγに対す るダンパー付骨組の Rmeanの応答値である.
また実線は各骨組の応答 値が対数正規分布すると 仮定したときの中央値で ある.ざらに,前報その’
で示した基本骨組の Rmeanの対数正規分布の 中央値を図中の破線で示
している.
実線と破線を比べると ダンパー付骨組は基本骨 組に比べてRmeanが全体 的に小きいことが認めら れる.VtZm=1.5m/sの 場合,ダンパー付骨組は基 本骨組のおよそ40%から
22110000000000000000
0.026 0.022 0.018 0.014 0.01 0.006 0.002 0.026
0.022 0.018 0.014
Rmeani
-ヨーーーーーー----トー---4----剣一一一一一トー
0.01
0.006
0.002 IY
1.01.21.41.61.82.0
(a)1V=4,VUjm=1.5m/s
1.01.21.41.61.82.0
(b)Ⅳ=8,VH"&=1.5m/s
1.01.21.41.61.82.0
(c)1V=12,Va,,`=1.5m/s
0 0.045
0.04 0.035 003 0.025 0.02 0.015 0.01 0.005 0 0.045
0.04 0.035 0.03 0.025 0.02 0.015 0,01 0.005 0
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」几
1.01.21.41.61.82.0
(d)1V=4,Va,〃=2.25m/s
1.01.21.41.61.82.0
(e)Ⅳ=8,VU,,,=2.25m/s 1.01.21.41.61.82.0
(f)Ⅳ=12,V`),,=2.25m/s
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陽-9-悪-9-9-尋-2-樫-幕-§-割
Ⅳ 〃
1.01.21.41.61.82.01.01.21.41.61.8201.01.21.41.61.82.0
50%,VtZm=2.25m/s (9)1V=4,Va,〃=3.0m/s(i)1V=12,Va),`=3.0m/s(h)Ⅳ=8,W,,↓=3.0m/S
の場合では30%から40 図4ダンパー付骨組の各層の最大層間変位角の平均値Emean
%,Vblm=3.0m/sの場1.1 合は40%程度Rmeanは小きくなっている.前述の
よう|こ,ダンパー付骨組は,基本骨組と比べて最大層 1.O
間変位角が小きくなり,Rmeanは基本骨組より小きい.09
また,図4の実線はほぼ横軸に平行で,ダンパー付骨08
組のRmeanは柱梁耐力比の影響をあまり受けない.
図5は図3と同様に,Bmeanの中央値が近い値をo・7 取る基本骨組とダンパー付骨組の応答を比べたもの で,図5の(a)の縦軸は,Vam=2.25m/sのときの ダンパー付骨組の中央値をVam=1.5m/sのときの
1.1
1.0
0.9
0.8
11.21.41.61.8211.21.41.61.820.7 (a)ダンパーVロ"`=2.25m/s (b)ダンパーVH,,!=3.0m/s
 ̄まう-F
基本VU,’8=1.5m/s
図5Rmeanにおける
ダンパー付骨組と基本骨組との比較
-69-
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塑性変形が生じる場合で2.0 あっても,ダンパー付骨組1.8 のRmeanは柱梁耐力比の影1.6 響を受けにくいことが分か14
る. 1.2
図6は,ダンパー付骨組10
-←一一百v----L~_0.8
2.0 2.0
864208●●a●●●111110
864208●■●●●●111110
 ̄ ̄K」.◎
の各層の最大層間変位角のu・・10121.41.61.820L0121.4161.8m・・・LOL2L41、61.82.0
--(b)Ⅳ=8,Va"`=1.5m/s
_(a)Ⅳ=4,VH,,,=1.5m/白(c)Ⅳ=12,VH,"=1.5m/s2222111110 ●●●⑦●●●●●●6420864208
最大値/平均値,Rmax/2.62.4 Rmeanと柱梁耐力比γの関22
係を示したものである、認
中の◇はγに対するダン,6
パー付骨組のRmax/RmeanL214
の応答値である.また実線1.0
0.8
6420864208●●●●●●●●●●2222111110
-1.01.21.41.61.82.0--L01.21.41.61.82.01.01.21.41.61.82.0
は各骨組の応答値力訂対数正 ~(d)Ⅳ=4,Vぜ",=2.25m/s -.(e)jV=8,Va、=2.25m/S~(f)Ⅳ=12,W,几=225m/日222111110 ●●●●●00●。420864208
規分布すると仮定したとき菱
の中央値である.さらに,前20
報その1で示した基本骨組1.81.6
のRmax/Rmeanのズォ数正規L4 分布の中央値を図中の破線’2 で示してし、る. 0.81.0
420864208
●●●●●●●●●222111110
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--1.01.21.41.61.82.0-1.01.21.41.61.82.01.01.21.41.61.82.0
図6より,実線で示すダ(9)jV=4川!=30m/s(hW=8〃`=30m/8(i)Ⅳ=12川'1=30m/8 ンパー付骨組のRmax/ 図6ダンパー付骨組の各層の最大層間変位角の最大値/平均値 Rmeanは,γの増大に伴い減
1.10
少していきγがある値を超えるとほ|ま一定になる. 1.10
Rmax/Rmeanが一定となるのは,4層のダンパー付骨1.05 組では基本骨組とほぼ等しいが,8層,12層のダンパー 1.00 付骨組では,Vam=1.5m/sのとき1.1,Vam=2.25 m/sのとき1.2,Va、=3.0m/sのとき1.4程度で0.95
あり,γが基本骨組の場合より小言い値で一定となる.09。
1.05
1.00
0.95
1121.41.61.8211.21.41.61.820.90
図7は,Rmax/Rmeanにおいて,RmaxやRmeanが(a)ダンパーVH',`=2.25m/s(b)ダンパーVE''1=30m/s
穂認可説~二-1万~I豆「可禾~▽諒~二-百万両7「
近い値を取る基本骨組とダンパー付骨組の応答を比べ
図7Rmax凪meanにおける たもので,図7の(a)の縦軸は,Vam=2.25m/sの
ダンパー付骨組と基本骨組との比較 ときのダンパー付骨組の中央値をVam=1.5m/sの
ときの基本骨組の中央値で除した値である.また(b)るものも減少するものもあり,一定の傾向は認めにく の縦軸はVam=3.0m/sのときのダンパー付骨組のい、このことは,柱や梁に同程度の塑性変形が生じる 中央値をVam=2.25m/sのときの基本骨組の中央場合であっても,ダンパー付骨組の最大層間変位角を 値で除した値である.(a)(b)共に,縦軸の値はおよそ一様化させるための柱梁耐力比は,基本骨組と同程度 1.0程度で,γを小きぐして1に近付けると,増大すでよいことを示唆している.
*熊本大学大学院自然科学研究科大学院生*GraduateSchoolofScienceandTechnology,KumamotoUmv.
**熊本大学工学部教授工博**Prof,FacultyofEng.,KumamotoUniv.,DrEng.
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