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シ ス テ ム ・ダ イ ナ ミ ッ ク ス に よ る
地域経 済社会 の変化 予測
樋 口 透
(序)
本 論 文 は,む つ 小 川原 地 域 の大 規 模 開 発 に伴 う地 域経 済 ・社 会 へ の影 響 を 予 測す るた めに 試 み た,
(1)'
説 で あ る。
シ ス テ ム ・ ダ イ ナ ミ ッ ク ス ・ シ ミ ュ レ ー シ ョ ソ の 概
地 域 開発 に よ るそ の地 域 へ の影 響 を 考 察 す る場 合,従 来 主 と して そ こか ら もた らされ る経 済 効 果,と りわ け就 業 機 会 や 個 人所 得 の増 大,地 方 自主 財源 の拡 大,道 路 ・港 湾 等 公 共 施設 の 拡充 な ど,さ らに諸 々の波 及 効 果等 に つ い て論 義 され て きた 。 また,こ れ らの問 題 を 計 量 的 に 扱 う用 具 と して は,産 業 連 関 分 析 や計 量 経 済 モ デ ルが一 般 に知 られ て い る。 しか し,経 済 的側 面 の み を 重 視 した論 義 は 必ず しも今 日的 問題 点を ふ まえた も の とは い いが た い。 自
(2)
然 環 境 や そ こに生 活 す る人 々の社 会 を充 分 考 慮 し得 な い か らで あ る。
(1)本 研究 は著者がそ の メンバ ーの一 員で あ った,東 洋大学 電子計算機 セ ンターの 研究 プロジェク ト 「社 会 システ ム研 究 グルー プ」 が昭和48年 度及 び昭和49年 度 にわ た る依頼研究 を行 ったが,そ の後 モデルの一 部を変更 し,新 しい デー タを加 えた ものであ る.著 者 は初 年度 はパ イ ロッ ト・モデル の構築 とシステム ・ダイ ナ ミックスの実施 に参 加 し,次 年度 は,各 サ ブシ ステムをそれ ぞれの専門分野 の人 に依頼 し,よ り精緻 なモデル構成 を行 った,ま た既 に開発 の進 んでい る類似 の地 域 と して鹿島地 区の データに よ り検証的 な試 行 も行 った(モ デ ルは簡略 化 され て
い る).こ れ らの成果 の一 部は,日 本地域 学会第10回 大会(48年12月7日,発
表 者一 山内 昭)お よび 第11回 大会(49年9月14日 発表者一桶 口 透)で 発表 さ れ,ま た49年 度の成果 の一 部は著者 に よ り 日本経 営学会北海 道部会 に於 て発表 され た.尚 パ イ 群 ッ ト ・モ デ ル の 目的 は,地 域 の諸 現 象 の 動態 を大 ず か み に 把 握 す る こと,お よび この種 の問 題(特 に地域が 比較的狭 い範 囲に限定 され てい る)
にSD手 法 を適用す ることの可否 を判断 す る ことにあ ったが,充 分 適用 で きる と の見通 しを得 て次年度以 降の研究に進 んだ.
(2)レ オ ンチ ェフは汚染物 質 の発生 とその除去を含 んだ,拡 大 され た産業連関分 析 を試み てい る。産業廃棄物 の問題 は コス トの概念 を導 入す る ことに よ り経 済 のわ
く組 の中で解 決 され る とい う考 えには限界 が あろ う.
26 商 学 討 究 第26巻 第2号
そ こ セ 我 々 は こ の よ うな 問 題 を 一 種 の ソ ー シ ャ ル ・シ ス テ ム と して と ら え,そ こ に 含 ま れ るサ ブ シ ス テ ム の し くみ を モ デ ル 化 し,そ れ らの 総 合 的 な
シ ス テ ム の ダ イ ナ ミッ クな 振 舞 い を 調 べ る こ と を 目的 と した 。 分 析 の 道 具 と
(3)
し て は シ ス テ ム ・ ダ イ ナ ミ ッ ク ス(SD)を 用 い た 。 こ の 手 法 に つ い て は,
くの
そ の理 論,お よび,そ の適 用 結 果 の評価 に 関 して まだ広 く認 め られ るに至 っ て い な い が,一 ・方,我 国 内 で も,地 方 自治 体 な どで 都 市 開 発 等 の 問 題 分 析 の
(5)
手法 と して取 り入 れ て い る例 もか な りみ られ る。SDの 手 法 や そ の問題 点や 展望 につ い ては 別 の機 会 に 論 じた い と思 う。
(モ デ ルの 概 要)
対 象 とな る 地 域 は 図一1に示 す7市 町村 に わた ってい る。 青森 県 第2次 基 本 計 画 骨 子 案 に よれ ば 最 終 的 に は,石 油 精 製160万 バ レル,石 油 化 学250万
トソ/年(エ チ レ ン換 算),電 力620万kwと い う大 規 模 コ ン ビナ ー トが 出 現 す る 筈 で あ る。
一 方 この地 域 の社 会 の特 殊 性 と しては,農 林,水 産 業 の外 に は 特 に み るべ き産 業 もな く,そ の低 生 産 性 を反 映 して全 国 で も有 数 の 出稼 ぎ地 区 と して 知 られ て い る。
(3)J.w.Forrester(MITのsloanschoolofManagement教 授)が1960年 前 後 に 創 始 したIndustrialDynamicsか ら発 展 し.シ ス テ ム ー 般 に 適 用 し う る
と い う こ と か らSystemDynamics(SD)と 改 称 され た.な お,コ ソ ピ ュ ー タ で モ デ ル の シ ミュ レー シ ョ ン を 行 うに 便 利 な 一 種 の 言 語Dynamoが 開 発 され て い る 。 他 に もCSMP(ContinuousSystemModeling・Program)がIBM社
に よ り作 られ て い る.
(4)ロ ー マ ・ク ラ ブ の レ ポ ー ト 「成 長 の 限 界 」 は 多 くの 世 論 の 批 判 を 受 け た が,「 世 界 モ デ ル 」 で は 世 界 を 一 つ に ま と め て い る た め,開 発 途 上 国 に と っ て 都 合 の 悪 い 結 論 が 得 られ る の も当 然 で あ る.多 く の 仮 説 の も と に 行 わ れ た シ ミュ レー シ ョ ン の 結 果 か らた だ ち に これ を 将 来 の 姿 で あ る と考 え る の は 誤 りで あ ろ う.こ の 辺 の 事 情 を あ ま り周 知 さ せ ず に 結 論 だ け が ジ ャ ー ナ リ ス テ ィ ッ ク に 報 道 され た た め に 多 くの 誤 解 を 生 じた が,こ の こ と がSDそ の も の の 評 価 ま で 下 げ た と した ら残 念 な こ とで あ る.
(5)た とえ ば 「兵 庫SDモ デ ル 」,「 広 島 市 の 都 市 機 能 モ デ ル ⊥ 「京 都 土 地 利 用 ダ イ ナ ミ ッ ク ス 」,「 埼 玉 ダ イ ナ ミ ッ ク ス モ デ ル 」 な ど が あ る。 こ れ ら の 研 究 は ForresterのrUrbanDynamics」 が1969年 に 著 わ さ れ て か ら急 激 に 増 加 して い る.
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シ ス テ ム ・ダ イ ナ ミ ッ ク ス に よ る 地 域 経 済 社 会 の 変 化 予 測
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図一1SDモ デル対 象地 域(斜 線部)
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産 第3次
コvビナート ー般 依存 税収 財源
人 口部 門
撹 収 行政 資産
市 町村 財 政 部 門 図 一2SDモ デ ル 概 念 図
が 生 じ一 定 の遅 れ を伴 って コ ン ビナ ー トの生 産 能 力 とな る。
動 は,地 域 内他 産 業 へ 波 及 効果 を もた ら し労 働 需 要 を 通 じて人 口を増 加 させ
27
我 々 は モ デ ル を 大 き く.6つ の
の
部 門 に 分 け,分 析 を 行 っ た 。 (図 一2参 照)
'各 部 門 で 扱 う要 点 を あ げ る と,
・石 油ツ リーズに よる コヒ ビ ナ ー ト活 動
・既存 産 業 と コン ビナ ー トの 波 及 効 果 に よる一般 産業 活 動
・産業 活動 に よって 生ず る労 働需 要
・労働 需 要 に よって起 る人 口 の社 会 増 減 あ よび 自然 増 減
・産業 活 動 ,人 間 生 活 に よっ て生 ず る環 境 汚 染
・地 方 財 政 収 入 と生 活 関 連 資 産 の動 き
まず 各 部 門 ご とに モデ ル ゐ概 説 を して お こ う。
(1)コ ン ビナ ー ト部 門:石 油 精 製,石 油 化 学,電 力 へ の投 資, 産 業 基 盤 投 資 に よ って建 設 活 動
コ ン ビナ ー ト活
(6)パ イ ロ ッ ト ・モ デ ル で は 「地 域 の魅 力 度 」 を 所 得,財 源,汚 染 の 水 準 か ら構 成 し,人 口移 動 の 基 準 に 選 ん だ が,性 質 の 異 な る も の か ら一 つ の 指 標 を つ く る こ と は 現 段 階 で は 無 理 で あ る と の 判 断 か ら,こ れ を は ず す こ と に した.
1
〆
28 商 学 討 究 第26巻 第2号 る。 一 方 環 境汚 染 や 地 方 財 政 に も影 響 を 及ぼ す 。
(2)一 般 産 業 部 門=農 業,コ ン ビナ ー ト以 外 の 第2次 産 業,第3次 産業 よ り構 成 され,農 地 は開 発 に 伴 い減 少す るが 農 地 開 拓 に よ り増 加 させ る こ とも 可 能 で あ る。 第2次 産 業 は 波 及 効 果 に よ り 生 産 能 力が 増 加 し,第3次 産業 は,個 人 消 費,第2次 産業 お よび コ ソ ビナ ー ト活動 に よ る 波 及 効果 を受 け る。
(3)労 働 需 要 部 門:コ ソ ビナ ー ト建 設 お よび 基 盤 整 備 の た め の建 設 需 要, 稼 動 に 伴 う労働 需 要,一 般 産 業 で は 予 測 され る純 生 産 か ら必要 とされ る労働 需 要 が 発 生 す る。
(4)人 口部 門:地 域 の人 口は 年 令階 層別 に4区 分 した。 就 業 率 に よっ て変 わ る労働 供 給力 労 働 需 要 部 門 か ら生 ず る労 働 需 要 との差 に よって労 働 需 給 を バ ラソ ス させ るべ く,人 口の社 会 移 動 が 行 われ る。 そ の際,通 勤 者 の動 き や,建 設 労働 の単 身 赴 任者 に よ って,社 会 移 動 が 変 化 す る。 そ の他,地 域人
口は 自然 増 減 に よって変 わ る。
(5}環 境 汚染 部 門:コ ン ビナ ー ト活 動,一 一般 産業 活 動,住 民 の生 活 に よ り 環 境 汚 染 が 生 ず るが,こ こでは 大 気 汚 染 はSOx,水 質 汚 染 はCODお よび BODに よ りそ の総 排 出量 を も って評 価 した。
(6)市 町 村 財 政 部 門:産 業活 動 か らの税 収 を と りあ げ,住 民1人 当 りの税 収 お よび 生 活 関連 行 政 資 産 を 指標 と して,開 発 に よる影 響 を 考 え た。
こ こに概 説 した 内容 をSDの フ ロ ーダ イ ア ダ ラムで 表 わ した ものが 次 の 図一一3,お よび 図一4で あ る。 図 で 矩形 は レベ ル,実 線 は フ ローを示 し,フ ロ ーを決 定 す るのが バ ル ブ(三 角 形)記 号 で示 され る。 レベ ル は ス トック と同 様 の概 念 で あ る。 各 サ ブシス テ ムを結 合 して い る のが 情報 の流 れ で あ る(情
報 名 は 円内 に示 され て い る)。 また この シ ス テ ム とは 独立 な関 数 関 係 に あ る 情報 は テ ー ブル関 数 で 与 え る こ とが可 能 であ る(円 内 に横 棒 を 引 い て示 す)。
定 数 は 小 円 に て表 示 され てい る。 フ ローは遅 れ を 伴 うこ とが あ るが,こ れ は 一 種 の レベ ル を中 間 に 入 れ る こ とに よ り 表 わ す こ とが で き る。(細 分 され た 矩 形 で表 わ され てい る)。
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シ ス テ ム ・ダ イ ナ ミッ ク ス に よ る地 域 経 済 社 会 の 変 化 予 測 29
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(環境 ・財政部門) ダ イ ア グ ラ ム
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システ ム ・ダイ ナ ミックスた よる地域経済社会 の変化予測31
(モ デ ル の 方 程 式)
フ ロ ー ・ダ イ ア グ ラ ム の 段 階 はSDモ デ ル を 定 性 的 な レベ ル で 図 式 化 した に 過 ぎ な い 。 コ ン ビL一 タ ・シ ミ ュ レ ー シ ョ ン を 実 行 す るた め にDYNAMO
(7)
に よ る表 現 に 置 き換 え る。
SDで は,情 報,レ ベ ル,レ イ トが 時 間 ど共 に ど の よ うに 変 っ て ゆ くか を 追 跡 す る。 した が っ てDYNAMOは これ ら の 変 数 の 間 の 関 係 を 差 分 形 式 で 表 現 した も の とな る。 シ ス テ ムに 存 在 す る フ ィー ドバ ッ ク ・ル ー プ,遅 れ 要 素,そ して 要 素 間 の 非 線 形 関 係 は シ ス テ ム の 動 態 を 知 る 上 で 無 視 し得 な い が,こ れ らを うま く表 わ せ る こ とがSDの 大 き な 特 徴 で あ ろ う。
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こ の モ デ ル で は 全 部 で279個 の 式(定 数 お よ び 初 期 値 を 含 む)が 作 ら れ た が 紙 数 の 都 合 で 全 部 を 説 明 す る こ と は 避 け,一 部 分 だ け を 代 表 的 に 掲 げ よ
う。
DYNAMOに よ る 式(石 油 精 製) (1)RPEINVR.KL=TABDC(PEINVP,TIME・K,1979,1992,1) (2)TPEINvP・=o/20/30/o/o/o/20/30/o/o/0/30/30/0/
(1)式 は 石 油 精 製 投 資(PEINVR:万 バ レ ル)が 時 間(TIME)1970年 か ら 1992年 迄 に 計 画 表(PEINVP)の よ う に 行 わ れ る こ と を 示 す 。 最 終 計 画 案 で は 第1期50万 バ レ ル,第2期50万 バ レ ル,第3期60万 バ レ ル と な っ て い る が こ れ を 上 記 年 次 に 配 分 し た(別 の 配 分 に つ い て も 試 行 し た)。 つ ま り 1980年20万B,1981年30万B,1985年20万B,1986年30万B,1990
年30万B,1991年30万B相 当 が 投 資 さ れ る 。
(3)LPEINvLK=PEINvL.J十(DT)(PEINvR.JK‑一 ・PEEQpR.JK)
建 設 中 の 設 備(PEINVL:レ ベ ル)は 前 期 ま で に 建 設 中 の も の に 新 た な 投 資(PEINVR)と 建 設 完 了 の 設 備(PEEQpR)の 差(つ ま り 今 期 中 に 新 た
(7)こ の 段 階 で は じめ て 数 量 的 表 示 が な さ れ る.数 式 表 現 はFORTRANで も 可 能 で あ るが,式 の 順 序 を 考 慮 し な くて は な ら な い の で や っ か い で あ る.
(8)パ イ ロ ッ ト ・モ デ ル で は70式 弱,次 年 度 の 改 良 モ デ ル で は 約400式 で あ っ た.
改 良 モ デ ル に 比 べ 式 の 数 が 減 っ て い る が,こ れ は,数 式 化 に 無 理 が あ る と 思 わ れ る フ ィ の ドパ ッ ク ・ル ー プ を 断 ち 切 っ た こ と,あ ま り に 変 数 の 数 が 多 い と,モ デ ・ ル の 特 徴 を 把 握 しに く い な ど の 配 慮 が あ っ た.
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32商 学 討 究 第26巻 第2号
くの
に 建 設 中設 備 に追 加 され,あ
̀
るい は差 引か れ る分)を 加 えた ものに な る。(4)RPEEQpR.1(五=DELAY3(PEINvR.JK,DPE)' (5}CDPE=2
投 資(PEINVR)は 一 定 の 建 設 期 間(DPE‑・2年)を 経 て 完 了(PEEQpR) す る 。
(6)L'PEEQpL.K・‑PEEQPL.J+(DT)(PEEQpR.JK‑PEQoF.JK)
今 期 中 新 た に 生 産 能 力 と な っ た,あ る い は 除 外 さ れ た 部 分((DT)(PEEQ・ ・ PR.JK・ 一一PEQoF.JK))が 生 産 能 力 の レ ベ ル(PEEQpL)に 累 計 さ れ る 。
(7)RPEQOF.KL=PEEQpL.K×PEQOFM (8)CPEQOFM=O
(7)式 は生 産 能 力 の一 定 割 合(PEQOFM)減 耗(PEQOF)す る こ とを表 わ
し て い る が,こ こ で は,無 視 し た((8)式)。
くユの
(g)APEPRD.K・‑PEEQPL.K×PEWM×PEMON
石 油 精 製 の 生 産 額(PEPRD:億 円/年)1は 能 力(PEEQPL)と 稼 動 率 (PEwM)と 単 価(PEMoN:億 円/万B)の 積 で 与 え る 。
ao)CPEWM・=O.90
稼 動 率(PEWM)は 実 動330日/年 と し, 00CPEMON=108
は駐 終 規模 の数 字(160万Bな い し15,560億 円)か ら逆 算 した。
以 上 で石 油精 製 の部 分 の記述 が完 了 した わ け で 勿 るが,石 油化 学 と電 力 に つ い て も 同様 に定 式 化 され る。 定 式化 にあ た って は,得 られ るデ ー タは で き る限 り有 効 に 利 用 し,モ デ ル の信 頼 性 向上 に 努 め たつ も りで あ るが,デ ー タ の不 足 か ら類 推,あ るい は 仮定 に基 づ く部 分 もな い とは 言 え な い。
(9)変 数 名 の 後 の ・J,.K,.Lは そ れ ぞ れ 今 期 よ り 一 期 前,今 期,今 期 よ り 一 期 後 の 時 刻 を 示 し,.JKな ど は 時 間 を 示 し,こ の 長 さ はDTで 表 示 さ れ る.
⑩AはAuxiliaryの 略 で こ の 式 が 補 助 方 程 式 で あ る こ と を 示 す 。C,L,R,T に つ い て も 同 様 にConstant(定 数),Level(レ ベ ル),Rete(レ イ ト),Ta1)le (テ ー ブ ル な ど 方 程 式 の 種 類 を 示 す.
シ ス テ ム ・ダ イ ナ ミ ッ ク ス に よ る地 域 経 済 社 会 の 変 化 予 測 33
(シ ミ ュ レ ー シ ョン の 結 果)
こ の シ ミュ レ ー シ ョン は,モ デ ル の性 質 上 一 種 の 政 策 シ ミ ュ レー シ ョソ と 考 え る こ とが で き る。 しか し,前 述 した よ うに デ ー タ の 不 足 な ど の た め に 恣 意 的 に 設 定 した パ ラ メ ー タに つ い て は,感 度 分 析 な ど に よ り,モ デ ル の 動 き
く わ
を 調 べ る 必 要 が あ る。 こ こに まず 示 す 例 は,多 くの 結 果 の うち 比 較 的 安 定 し て い る も の で あ る。 後 で 政 策 パ ラ メ ー タ を 同 一 の 条 件 で 変 え た と き の 同一 変 数 の比 較 も行 っ て い る。
シ ミ ュ レ ー シ ョソ ・モ デ ル の 実 行 され る 期 間 は1970年 か ら2000年 迄 の31 年 間 で,こ の 間 の そ れ ぞ れ の 変 数 の 時 間 変 化 を 各 部 門 別 に グ ラ フ表 示 し, (図 づ,6,7,8,9,10)こ こか ら 読 み 取 れ る い くつ か の 点 を 概 説 して み よ
う。
・産 業 活 動 の 推 移(図 づ 参 照)・
① コ ン ビ ナ ー トの生 産 能 力(ア,イ,ウ):投 資 が こ の シ ス テ ム に 対 す
QO寸OOσつ ア{万B︺イ(万トノ)
1970(年)1975
石油 精 製 生産能 力 石油 化 学 生産能 力 電,力 生 産 能 力
農 地 面 積
コンビナー ト外2次産業生産額 3次 生産純 生 産額
198019851990
図一5産 業活 動の推移
1995 2000
⑪ この ことを もって このモデルが有効 と判定 され る訳で はないが一応 の 目安 と考 えた.
34 商 学 討 究 へ第26巻 第2号
る イ ンパ ク トで あ るか ら,結 果 は時 間 遅 れ を経 て 累 計 され た だ け で あ るが,第1期 分 が フル 操業 に 入 るの が1986年 頃 で1996年 に は最 終 規
く ラ
模 に 到 達 す る。
② コ ン ビ ナ ー ト を 除 く2次 産 業 生 産 額(オ):コ ン ビ ナ ー ト建 設 と生 産 の 波 及 効 果 に よ り1980年 代 前 半 の 伸 び が 大 き くな っ て い る。 最 終 的 に は500億 円 とな り1970年 当 時 の3倍 と な る が,こ れ は た とえ ば 石 油 精 製(160万Bで1兆5,000億 円)に 比 べ30分 の1に 過 ぎ な い 。
③ 第3次 産 業 純 生 産(カ):コ ン ビナ ー ト建 設 期 の影 響 が 大 き く,3期 の 投 資 時 期 に 対 応 して ピ ー クが 現 れ る。
④ 農 地(エ):初 期 の 急 激 な 減 少 は 建 設 用 地 に 転 用 され る 分 を 示 し, そ の 後 の 変 化 は 住 宅 ・産 業 用 地 の 拡 大 に 主 に 依 存 して い る。 最 終 的 な 減 少 分 は 約1割 に 過 ぎな い。
・労 働 需 要 の 推 移(図 一6参 照)
労 働 需 要 合 計 次 産 業 建 設 労 働 コ ン ビナ ー ト コンビナー ト外2次 産業
次 産 業
1970(年)1975 198019851990
図一6労 働需要 の推 移
1995 2000
⑫ 勿論原 油の供給が この ままの条 件で続 くもの として 。
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シ ス テ ム ・ダ イ ナ ミ ッ ク ス に よ る地 域 経 済 社 会 の 変 化 予 測 35
⑤1次 産 業 従 事 者(イ):1970年 に50%を 占 め て い た 就 学 者 は2000 年 に は20%に 減 少 す る。
⑥ 建 設 労 働 者(ウ):投 資 が 行 わ れ る時 期 に ピ ー ク(約2万 人)が 生 ず る。
⑦ コ ソ ビ ナ ー・… ト労 働 者(エ):フ ル 操 業 時 で 約14,000人 で これ は 全 就 業 者 の 約20%に 相 当 す る。
⑧ コ ン ビ ナ ー ト を 除 く2次 産 業 従 事 者(オ):ほ ぼ 直 線 的 に 増 加 し 2000年 で 約1万 人 に 達 す る。
⑨3次 産 業 従 事 者(カ):1970年 に 全 体 の 施 を 占 め て い た が2000年 に は 約50%を 占 め る よ うに な る。
⑩ 総 労 働 需 要(ア):1970年 の 約5万 人 が2000年 に は77,000人 とな り,5割 強 の 増 加 と な る。 た だ し建 設 ピ ー ク時 に は10万 人 を 越 え る 。,
・人 口 の推 移(図 一7参 照)
⑪ 総 人 口(ア,イ):や は り 建 設 労 働 需 要 の影 響 が 強 く現 れ て い る。
2000年 で は 約16万 人 に 落 ち 着 くが これ は1.6倍 の 伸 び で 労 働 者 の伸
864201←1111
人 口 合 計(除 単 身 赴 任) 人 口 〃(含
0〜14歳 人 口
15〜44歳 〃
45〜64歳 65歳 以 上
励 」
嬉
1970(年)1975 198019851990図 一7人 口 の 推 移
1995 2000
36 商 学 討 究 第26巻 第2号
び よ りわず かに上 回 ってい る。
1(13)
⑫ 年 令階 層別 人 口(ウ,エ,オ,カ):生 産年 令 の人 口増 は 明 き らか に 開 発 の影 響 を直 接 受 け て 大 き くな ってい るが,老 令 人 口もか な りの伸
び を示 してお り,老 令 化 社 会 の進 行す る様 子 が み られ る。
・環 境 汚 染 の推 移(図 一8参 照)
(14)
⑬ 水 質 お よび 大気 汚染(ア,イ,ウ):大 気 汚染 は コ ン ビナ ー トに起 因 す る もの が大 部 分 であ るが 水 質 汚染 で はそ れ 以外 の 占め る割 合が 大 き
い 。
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、
3
2
ーイ・ウ(千トンVO
1970
ア:大 気 汚 染 計 イ:水 質 汚 染 計
ウ:コ ンビナー ト外 による水質汚染
198019851990
図一8環 境汚染 の推移
・市 町 村 財 政 の 推 移(図 一9参 照)
⑭ 収 入(ア,イ,ウ,エ):コ ン ビ ナ ー トに よ る 税 収 が1993年 を ピ ー
(u)
クに 減 少 す る こ とを反 映 して,収 入 合 計 もそ の後 少 し低 下す る。
⑬49年 度 の モ デ ル で は15階 層(5年 き ざ み)に 分 け た が.取 り扱 い の 繁 雑 さ を 避 け る た め4区 分 と し た 。 就 学 人 口,労 働 人 口 な どが 明 確 に は 年 令 階 層 で 分 類 さ れ な い き ら い が あ る.
⑯ 現 在 の 汚 染 防 止 技 術 にi基づ い て 評 価 さ れ て い るが,想 定 され る い くつ か の 防 止 技 術 水 準 を 示 す タ イ ム ・テ ー ブ ル に し た が う シ ミュ レー シ ョ ン も実 行 して み た.
⑮ コ ン ビ ナ ー一一・ト設 備 の 償 却(15年 定 率 償 却 と した)に よ る 償 却 資 産 分 固 定 資 産 税 の 減 少 に よ る.