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わが国の水道事業料金
青 函圏主要4都 市 にお け る水 道 事 業 料 金 を中心 と して
藤 田 正
目 次
〔1〕 は じめ に
〔2〕限界費 用料 金形 成論 と二部料 金制 (l) 限界費 用料 金形 成論
(2)二部料 金制
〔3〕水道事 業 の料金体系
(1)わが 国の水道事 業 の料 金体 系 (2)わが 国の水道事 業料 金 の算定方法
〔4〕青函 圏主要 4都市 水道事 業料 金 tll 青森市 水道事 業
〔2)弘 前市 水道事業 (3)八戸 圏域 水道企 業 団 (4)函館市 水道事 業
〔5〕むす びにか えて
〔1〕 は じめに
公益 企業 の料金設定 に際 して は、大 き く分 けて2つ の領域 があ る。 第1の領 域 は、公益企業がすべての利用者 (消章者) か ら料金 を通 じて稼得で きる総収 益 (総括 原価) の大 きさを評定す る領域 であ る。 一般 的に、 この領域 は料金水
・注卜 準 (Rate‑level) ない しは料金設定 と して取 り扱 われてい る。
第2の領域 は、その料金収入総額 (総括 原価) を当該企業 の用役 を享受す る 利用者全体 に どの ように して料金 と して負担 させ るべ きであ るか とい う領域 で あ る。 一般 的 に、 この領域 は料 金構 成 (Rate‑structure)ない し料金体系 と し て取 り扱 われてい る。 しか し、 これ らの2つ の領域 は明確 に区分 され る領域 で
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な く、密接不可分 な領域である。
ところで、 これ までの公益企業の料金設定 についての考察 は、前者 の料金設 定 (料金水準 )に関す ることが多か った。 なぜ な ら、料金設定 (料金水準) は 料金体系 の前提 であるばか りでな く、直接 に利用者 を対象 とす るのではな く、
公益企業が用役 を供給す るに要す る一切 の費用及 び資本 に対す る公正 な報酬 を 賄 うに足 る程度の総収益の大 きさを評定す る とい う会計数値 を主 として対象 と す るので、比較的に客観 的基準 によって対処で きたか らであ る。
一方、料金体系 の場合には、直接、料金 を負担す る利用者 (需要者) を料金 体系の対象 とす るので、客観的基準で対処で きかねる分野が多 くあるが ゆえに、
料金設定 (料金水準) に関す る研究 よ りも少 ない 。 また、わが国で は、一般的 に容認 されるような公益企業の料金設定原則が、現在 、確立 されていない上 に、
この ような料金設定原則 を前提 とす る料金体系については、当該公益企業サ ー ビスの利用者が料金値上げ時 に、多少、関心 を示す にす ぎず、一般的 にそれほ どの切実性 を感 じていないのが硯情 であ り、料金体系 について、ほ とん ど、各 公益企業の判断 にまか されているがゆえに、料金設定 (料金水準) に関す る研 究 よ りも少 ない。
しか しなが ら、変転極 ま りない国内外情勢下で、 日本の文化や経済 を漸進的 に発展 させ てい くためには、公益企業の健全 な発展が不可欠である。 そのため には、公益企業が良質なサ ー ビスの供給 をとうして利用者 (需要者) に信頼 さ れると同時 に、公益企業財務 の基礎 となる料金のあ り方 も利用者 に信頼 されな ければな らない 。 それゆえ、この小論の第1の課題 として、公益企業の料金設 定 において第二義的に取 り扱 われて きた料金体系 について考察す る。 と りわけ、
料金体系 の中での限界費用料金形成論 と二部料金制 について考察す る。 第2の 課題 として、典型的公営公益企業である水道事業 についての現行の一般的な料 金体系の内容 を考察す る。 第3の課題 として、青函圏主要 4都市水道事業料金 の実態分析 をとうして、各水道事業料金 に対す る改善策 について、若干の提言
97 をす る。
(注)
(注l)公益企業の料金設定原則 については、下記 の拙稿 の論文 を参照 していただけ れば幸甚である。
藤 田正一稿 F文経論叢』 第20巻第1・2合併号 、「公営 公益企業 の料金設定 原則」弘前大学 人文学部 、昭和60 (1985)年3月、pp.1‑30.
〔2〕 限界費用料金形成論 と二部料金制
(1) 限界費用料金形成論
公益企業料金体系の中で、限界費用料金形成理論 をわが国において最初 に取 り上げたのは、国弘員人教授である。 国弘教授 は、昭和29年 に公益事業学会編 で出版 した 『公益事業経営
』
「公益事業費用論」の中で、生産販売量が最適操 業度以下の場合 には、平均費用の方が限界費用 よ り大であ り、最適操業度の場 合には、平均費用 と限界費用が等 しくな り、最適操業度以上の場合 には、限界 費用の方が平均費用 より大 となるので、限界費用 は最適操業度 を実現す る上 に おいて、 きわめて大 きな効果 をもつ と主張 した上で、 この限界費用の考 え方 を・注 1I 公益事業の差別価格 に応用すべ きであると述べている。
公益企業料金体系 として、限界費用料金形成論が、わが国において最初 に公 式の場で論議 されたのは、昭和33年、神戸大学で開催 された第8回公益事業学 会において 「公益事業料金制度 に関す る諸問題」 とい う共通論題の下 に行 こな われた共同討論会であった。
限界費用料金形成論 とは、一般的に公益企業の場合、固定費の割合が大 きく、
かつ、逓減費用の営業であ り、平均費用は限界費用 よ り大 きくなるので、限界 費用 をベ ースとして料金体系 (構成)すれば、総収益 は総費用 を賄 うことがで きず に赤字経営 となるが、限界費用 に基づいて供給 される一層大なる公益企業 サ ービスによって受 ける社会的余剰 は、その損失額 を十分 に上 まわるので、公 共団体の補助金等 によって、その損失額 を相殺すべ きであるとい う理論である。
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したが って、公共団体の財政が 恒常的に硬直化 しているがゆえに、総収益が 総費用 を賄 えない限界費用料金形成論 は、一部の近代経済学者 に主張 されて き たが、現実の料金ケースに導入 されていない。 また、限界費用料金形成論が導 入 されない もう一つの理由は、 この理論 は、需要 を促進 させ ることになるので、
現代的課題である資源有限に基づ く自然環境保護や省資源 に反す るようにな り、
結果 として限界費用料金形成論の利点である資源配分効率の最適化 にも反す る ようになるか らである。
(2)二部料金制
二部料金制 とは、消費者が二種類の料金 を支払 う制度である。 一つ は、公益 企業の供給す るサ ービスを利用す る権利 に対 して課せ られる固定料金 (基本料 金)であ り、 もう一つ は、消費 されたサービス量 に課せ られる従量料金 (可変 料金)である。 す なわち、二部料金制 とは、固定料金 と従量料金が合体 された 料金制である。
二部料金制 について、わが国において最初 に理論 として取 り上げたのは、北 久一教授である。 北教授 は、昭和29年 に公益事業学会編で出版 した 『公益事業 経営
』
「公益事業料金構成論」の中で、定額料金制や従量料金制 と比較検討 した上で、公益企業サービスの原価 は、需要 と消費量の双方 に関連す るが故 に、
この二要素の上 に構成 された二部料金制 は、そのいずれかの一つの上 に構成 さ
・Lj;21
れた もの よ りも公正であ り原価構成 に一層正確 に即応す ると論 じている。 そ し て、二部料金理論 として著名なボブキ ンソン需要料金 とライ ト需要料金 を紹介
している。
実務上、二部料金制 は、昭和36(1961)年、第30回 日本水道協会総会で、事 務常設調査委員長か ら提出 された 「水道料金体系の調査研究 に関す る中間報告 書」の中で、わが国では最初 に公 にされた。当時 としては、今 日以上 に各水道 事業のそれぞれの伝統、客観的状勢等か ら統一的な料金体系に纏めることは困
99 難であった。 しか し、同報告書 は、その後の よ りよい理想的な料金体系に関 し ての調査研究の契機 となった。
二部料金制の メリットとデメ リットについて指摘す るな らば、次の ような点 を列挙す ることがで きる。
メリッ トの第 1として、従量料金制 によ り限界費用料金形成論のメ リットで ある資源配分効率 を高めることがで き、固定料金制によ り限界費用料金形成論 のデ メリッ トである公共団体 による補助金の必要性 をな くす ことがで きる。
メ リッ トの第2として、一般的に公益企業 は、巨額で耐用年数の長い固定設 備 に資本 を投下す るので、限界費用料金形成論では、その投下 された資本 を回 収 しえな くなる危険 をともなうが、二部料金制の固定料金は、このような危険 をともなわない。それゆえ、二部料金制の料金体系による公益企業の経営は、
限界費用料金形成論の料金体系 による公益企業の経営 よりも安定 している。
メ リッ トの第3として、一般的に消費者 は、自己の使用量 に関心 を示 しがち である。 それゆえ、二部料金制の従量料金 は、比較的、 1単位 当 り廉価である ので、公益企業サ ービスの需要 を促進 させ る。
デ メリットの第 1として、一般的に、公益企業の二部料金制では、固定料金 の割合が大 きいので、年金生活者の ような低所得層者や少量消費者層 に とって は、極めて重い負担 となる。
デ メリットの第2として、原則 として、公益企業の二部料金制の固定料金は、
ピーク ・ロー ド時の使用量 に応 じて、公正 に消費者 に負担 させ ることが適切で あるが、 ピーク ・ロー ド時の需要者層の使用量測定が不可能であるので、二部 料金制の固定料金 を消費者 に均等 に負担 させている。
デ メリッ トの第3として、二部料金制 は需要 を促進 させ る長所 をもつが、こ の需要促進が真に必要不可欠なサー ビス (財)消費量の増加 と一致 しないよう な場合、不必要 な追加 プラン トを生みだす こととな り、その不必要 なプラン ト が当該公益企業の経営 を圧迫す るようになる。
100
(注)
(注1) 国弘員 入稿 、 『公益 企業経営』「公益事 業費用論」公益事業学会編 、森 山書店 、 昭和29年2月、PP.126‑131.
(注 2) 北久一稿 『公益企 業経営』「公益事 業料金構 成論」公益事 業学会編 、森 山書 店、昭和29年2月、P.206.
(注3) 間島久雄編 『現代 日本の公益 企 業」】山谷修作稿 「公益企 業の料金 と規制」 日 本経 済評論社、1987年4月、PP.13‑14.
〔3〕 水道事業の料金体系 (1〕 わが国の水道事業の料金体系
前述 した ように、限界費用料金形成論が、近代経済学者 に主張 されていたに もかかわ らず、それが経営上、採算が とれない とい う理由で、現実の料金ケー スに採用 されなか った。一方、二部料金制の場合、昭和36年の第30回 日本水道 協会総会での 「水道料金体系の調査研究に関す る中間報告書」 に示 された二部 料金 を契機 として、その後、各公益企業 は当該公益企業の置かれている現状 を 踏 まえなが ら、徐 々ではあるが、二部料金制 を基本 とす る独 自の料金体系 を考 案 し、実施す るようになった。
この ように、二部料金制が次第に各公益企業に浸透するようになった1960年 代の前半 は、 日本が高度経済成長期 に入 り、道路 を中心 とす る産業基盤整備事 業や地域開発等への地方財政の投入が増大 し、地方財政が逼迫 して きた時期で あった。それゆえ、 この地方財政の逼迫 と軌 を一に して、地方公営企業 は経営 危機 に直面 した。そこで、1966(昭和41)年、地方公営企業の独立採算制 を柱
とした地方公営企業法の大改正が行 なわれた。
か くして、上記 の地方公営企業法の大改正 を背景 として、 日本水道協会 は、
昭和42年7月、「原価 を軽視 した低料金は、水道事業の健全 な発展 は もとより、
現状 の維持 さえ困難 にす るばか りでな く、放慢 な水使用 を助長す る結果、給水 サ ー ビスの全般的な低下 を招 くことになる.Jとい う理 由の下 に、料金設定 (料 金水準)の領域 だけでな く、料金体系の領域 までかな り詳細 に言及 された 『水
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道料金の算定 について』 とい う手引書的な小冊子 を公表 した。その後、 この小 冊子 に基づ き、 口径二部料金制の料金体系 に逓増料金制 を強化 した昭和43年度 の東京都宮水遺事業 を皮切 りに、全国の各水道事業 は、改善 を重ねなが ら独 自 に料金体系 した水道料金表 を作成 し、実施す るようになった。 しかるに、 ここ で は、典型的公営公益企業であ り、料金体系の改善に努力 して きた水道事業 に ついての現行 の一般 的な料金体系の内容 について考察す る。
わが国の現行の水道事業 の料金体系 は、個別原価主義 を原則 とす る。 個別原 価主義 とは、個 々の給水 に要す る個別原価 に基づいて料金 を設定す ることであ る。 しか しなが ら、水道事業の個別原価 は総括原価 を使用水量で割 って単価 を 出す とい う単純 な もので ない。すなわち、水道事業 は全ての需要 者が ピーク ・ ロー ド時 にサ ー ビスを享受で きるように施設 されていなければな らない 。 した が って、個別原価 はピー ク ・ロー ド時 を基準 として総括原価 を各需要者 に分賦
r†王l】
した もの でなければな らない。
か くして、上記 の ような特性 をもつ個別原価 に基づ いて水道事業料金 を体系 化す るには、原価差の発生要 因 としての需要の特性 に着 目し、その差異 をもと
注2
に設定す る必要があ ると主張 されるようになった。 この主張 とは、二部料金制 (i3
を前提 としなが ら、個別原価主義の 口径別料金制を加 えた口径別二部料金制 を 意味す る ものであ った。換言す るな らば、二部料金制 を前提 としなが ら、用途
Hi:4)
別料金制ではな く、 口径別料金制 を加味 した口径別二部料金制が適正 な料金体 系 で あ る とい う主 旨 を、昭和42年、 日本水道協 会が 『水道料金 の算定 につ い て
』
に主張 したのである。 そ して、それ以来、第 1表 に示 されているように、用途別料金制 よ りも口径別料金制が、漸次、増加す るようになって きた。
しか し、 この ように口径 別二部料金制が水道料金体系 において一般 的 となっ ているに もかかわ らず、市民の基本的生活水準が保障 されなければな らない と い うシ ビル ・ミニマムの考 え方が、水道事業 の根底 にある。 この シビル ・ミニ マムの考 え方 は、前述の限界費用料金形成論 と軌 を一 に している ところである。
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第1表 全国用途別 ・口径別年間有収水量 とメー ター設置数 年 間有収水量 単位千 ㌦
年 度 用 途 別 口 径 別 合 計
昭和50 5.716.494(61.35%) 3.601.693(38.65%) 9,318,187(100%) 昭和55 5.389.181(52.58%) 4.859.792(47.42%) ■10,248,973(100%)
昭和60 昭和61 昭和62
昭和63 6.6,66..352254898.2,3,3.216919936(4(2(8(55543.4.9.1.75092%)3%)2%) 51%) ,477,095(46.28%) ;ll.835.291(100%) 5.459,898 (45.49%)
6,029.652(48.970/o) 112,2.03102.3,31412(4 (11000%)0%)
メー ター設置数
昭和50 17,836.881(66.04%) 9.173.582(33.96%) 27,010.463(100%) 昭和55 15,200.209(52.13%) 13.958.562(47.87%)i29.158.771(100%) 昭和60 17.218.222(51.93%) 15.94].159(48.07%) 33.159,381(100%) 昭和61 17,464,857(54.45%) 14、608.531(45.55%) 32.073.388(100%) 昭和62 16,907,119(50.61%) 16.500.115(49.39%) 33.407.234 (100%) 昭和63 16,994,077(49.32%) 17,464,431(50.68%) 34,458,508 (100%) (荏) この表 は、水道統計 (厚生 省生活衛生 局水道環境部編 、 日本水道協 会発行 、
昭和50年度、昭和55年 度 、昭和60年度 、昭和61年度 、昭和62年度、昭和63 年度) よ り作成 した ものであ る。
それゆえ、公営公益企業 と しての水道事業 において健全 な社会的規範 として存 在 しているこのシビル ・ミニマムの考 え方 を生かすために、単純 な口径別二部 料金制 に対 しての修正が余儀 な くされて きた。す なわち、単純 な口径別二部料 金制 における二部料金の基本料金 (固定料金)の割合 を小 さ くす ることによっ て、低所得者層 とか小 口需要者 (家計)が負担 とな らない ようにシビル ・ミニ マムの考 え方が生 か される口径別二部料金制が、各水道事業 に よって独 自に考
L王5・ 案 され、実施 されて きている 。
い うまで もな く、水道事業の二部料金 は、基本料金 と従量料金か ら構成 され ている 。
103
基本料金 とは、使用水量 に関係 な く水道事業が給水準備のために必要 な原価 として各使用者 に対 し賦課す る料金の ことであ り、サ ー ビスを利用す る権利 に 対す る支払 い を意味す る。 一方、従量料金 とは、各使用者の使用水量 に対 して (注 6) 必要 とされる原価 として、給水量単位当 りに配賦 される原価 の ことであ る。
(2)わが国の水道事業料金の算定方法
前述のわが国の水道事業の口径別二部料金制 とい う料金体系 を踏 まえて、現 在、具体 的な水道料金算定方法が どの ように実施 されているか を考察す る。
第一段 階
総括原価 を需要家費、固定費、変動費に配賦す る。
需要家費 とは、主 として需要者数 に比例 して賦課 される費用であ り、検針 ・ 徴収関係費、量水器関係諸費等が これに属す。
固定費 とは、給水量の多寡 に関係 な く水道施設 を適正 に維持拡大 してい くた めに固定 的に公益企業 に必要 とされ る維持管理費等の営業費及 び減価償却費や 支払利息等 の資本費用 を意味す る。 ただ し、需要家費 に属す る費用 を控 除 した
ものである。
変動費 とは、薬 品費、動力費、受水費並 びに需要家費 または固定費 に属 さな いその他 の費用であって、概 ね、給水量の増減 に比例す る費用である。
第2段 階
需要家費、固定費、変動費 を基本料金 と従量料金 に配賦す る。
1.需要家費 は、実使用水量 に関係 な く水道事業が給水準備 のために必要 な原 価 とい う意味 をもつ費用であるので、全額 を基本料金 に配賦す る。 そ して、
各使用者 に対す る配賦 は、以下の基準 とす る。
⑦ 検針 ・徴収 関係 費等各使用者 について均等 に要す る費用 は、各使用者 に 対 して均等 に配賦す る。
① 量水器 関係諸費 は、各使用者の量水器の取得価格 に基づいて差別配賦す
104 る。
2のi) 固定 費 は基 本料 金 と従量料 金 に配分 され る。 この配 分 に は、以下 の 2種類 の方法 が あ る。
⑦ 固定 費総額 に対 し、最大 配水量 に対 す る最 大配水量 と平均 配 水量 との差 の比率 を乗 じて得 た額 を基本料 金 と し、残 余 の固定 費 を従量料 金 とす る方 法。
⑳ 固定 費総額 の うち、配給 水部 門費 を基 本料 金 と して、他 は水量料 金 とす る方法。
以上 の2つ の方法 の うち、⑦ の方 法が基 本料 金 と従 量料 金 に配分 す る方法 と し て 、合理 的で あ る。 なぜ な ら、 た とえ使用水量 ゼ ロの需要者 に対 して も、 ピー ク ・ロー ド時 にお け る使 用 可能 に対 し、あ らか じめ水道事 業 は設備 を整 えて お く必 要 が あ るので 、最大 配水量 か ら平均 配水量 を差 し引 い た分 を全 ての需要者 か ら基 本料 金 と して徴 収 すべ きで あ る とい う⑦ の方法が 、合理 的で あ るか らで あ る。
Zのii) 固定 費 の基 本料金 と して配分 された額 を需要種 別 (口径 別) に配賦 l注 7I
す る。 この配賦 に は、以 下 の3種類 の方法 が あ る。
⑦ 理 論流量 比 (口径 の大小 に よる一定 時 間の流量 の差 異 をい う。 これ を理 論 的 に計 算 した 人 がwilliams・Hazen (ウ イ リア ム ス ・ヘ ‑ ズ ン) で あ
る。)と地域 の需要 実態等 を考慮 して配賦 す る方 法 。
④ 理 論流量 比 と断面積 比 を考慮 して配賦 す る方法。
⑳ 理論流量 比 と最大 配水 日、 も し くは最大 配水時 間 にお け る各使 用者群 ご との結合需 要 の比 を考慮 して配賦 す る方法 。
以上 の3種類 の方 法 の 中で 、⑳ の基準 が最 も理想 的で あ る といわれてい る。 し か し、 これ らにつ いての実績 を把握 す る こ とが 困難 で あ る とい う実情 か ら、一 般 的 に各 水 道事 業 は、⑳ の方 法 を採 用 せ ず に、 ⑦ の方 法 を ア レ ンジ した形 で 採 用 してい る。 具体 的 には、理論 流量比 をそ の まま採用せ ず に、理論流量 比 に
105
負荷率 な どの地域 の需要実態等 を考慮す るとい う考 えの下 に、理論流量比 を補 正 した補正流量比 を使用 し、需要種別 に各需要者 に均等 に配賦 している。
しか し、補正流量比 は、客観的、理論的な数値 を理論流量比 に補正 して作 ら れた ものでない。 しかるに、各水道事業 は、今後、最大配水 日もしくは最大配 水時間における各使用者群 ごとの結合需要の比 とい う客観的 ・理論的な数値が 求 め られ るように、過去 のデー タを分析 ・検討 しなが ら、⑳ の方法の シュ ミ
レーシ ョンを実施 して、実態 に適合す るようにモデル化 を して、そのモデルが 現実 に実施 されるようにすべ きである。
2のiii) 固定費か ら従量料金 に配分 された額 は、変動費に合算 される。
3.上記の合算 された変動費 は、従量料金の総額 とな り、給水量単価当 りに均 等 に配賦 される。
しか し、現実 には、「追加的プラン トの必要性 を可能 な限 り回避す ること」
や 「水資源の節約 と効率化」 とい う主 旨か ら、従量料金の単価 は均一単価制で な く、第2表の ような口径別に便用水量の多寡 に応 じて数段階に累進 される累 進差別単価制の需要抑制機能 を包摂 した口径別二部料金制が、一般的に採用 さ れている。
また、シビル ・ミニマムの考 え方が二部料金制 とい う料金体系だけでな く、
現実 にその他 の水道料金算定で も生か されている。 すなわち、第2表 に示 され てい るように、小 口径給 水管 (口径25mm以下) の使用者 に対 しての使用水量 1ケ月当 り10m3まで を基本水量 とし、その基本水量分の料金 を基本料金 とす る 水道事業が、近年、多 くな り、一般化 されている。 さらに、完全 な口径別制 と い うので はな く、第2表の ように 「一般用
」
「公衆浴場 ・水泳プール用」等 と い うように、大 まかに用途別に分類 した上での口径別二部料金制が一般的であ る。か くして、上記の ような一連の算定手続 きを経 た口径別二部料金制 によって、
一般的に、わが国の水道料金が決定 されているのである。
第2表 水道料金表
水 道 料 金
用逮
別 口径 別 . 基本料金 第1段階水道料 金第(12段階 . 第n封こつ き)3電解
般
用 13.m2m0 0‑1m3まで0∃トI一1.45円0 ll‑20m3 21‑40m3Il 41nト
25 】… 1.900., 190円 200円 210円
200 173.800
30 2,100 1‑50m3 51‑200m3 201m3‑
40 3.800 110円 120円 130円
プ1 75 仁 lJbA:t&" 1‑500m3
◎下記 の料金 には消費税(3%)が含 まれてい ます。
水道料金の計算例
メー ターの 口径 が20mm(一般用 )の家庭 で1ヵ月間の使用水量が35m3の場合 水道料金 ‑基本料 金 十水量料金
35m3・‑(基悪霊量)十(第11.慧階) I(第125慧階) 6.350円‑1.450円 + 1.900円 + 3.000円
(10m3×190円) (15m3×200円)
(荏) 第2表 水道料金表 は、弘前市水道事業 の現行料金表 (平成2年5月分 か ら実施)であ る。
107 (注)
(注1)寺尾晃洋著 F日本の水道事 業』東洋経済新報社 、昭和56年、p.108.
(注2)現代公益事業講座編集委員会編 、小原隆吉稿 F現代公益事業講座6公益事業 料金構 成論』「料金算定事例」電力新報社 、昭和50年7月、p.326.
(注3) 給水管 の 口径 別 に よ り需要者群 を区分 した料金制度であ る。 口径別料金制が 適切 であ る とい う理 由 と して、小原隆吉氏 は以下の3点 を指摘 してい る。
1.給 水管 の 口径差 に よ り、各需要者 の固有原価 に格差が認め られ ること。
2.給水管 の 口径差が 、時 間的最大 可能流量 の差異 を示 してい るので、需要 の特 性 もこれ を もとに判別で きるこ と。
3.確実 ・明確 に類別で きるこ と。
現代公益事業講座編集委員会編 、前掲書 、小原 隆吉稿、p.326.
(注4) わが国の水道事業料金制 度 は、従来 、水道需要の用途 を基準 と した一般用、
営 業用 、浴場用 、工場 用 な どに区分 された用途別料金制であ った。 しか し、
用途別料金制 は、近年、以下の よ うな理 由に よ り減少 し、 口径別料金制が増 加 してい る。
1.原価 的裏付 け を伴 わない悪意 的な設定 を排 除で きない こ と。
2.料金差別 の前提 と しての水の用途が、社 会 ・経 済の変化 に伴 い、変革 してい るに もかかわ らず、制度 と しての料金制 の中で は これ に即応 した処理 が必ず
しもと りえない こ と。
財 団法人 電気通信 総 合研 究所編 、 F公益事 業 にお け る新 しい料金体 系 に関す る 研究』 昭和53年3月、P.170.
(注5)小 口径給 水管 (口径25mm以下)の使用者 に対 しての使用水量1ヶ月10m3まで を基本水量 と し、その基本水量分 の料金 を基本料金 とす る水道事業が、近年 、 多 くな って きてい る。
(注6) 寺尾晃洋著、前掲書、p.106.
(注 7) 日本水道協会編 、 『水道料 金の算定 について』昭和42年7月、P.12.
〔4〕 青函圏主要4都市水道事業料金
これ までのわが国の水道事業の料金体系 と算定方法の考察 を前提 として、青 函圏主要4都市水道事業の総収益 と総費用 との関係、給水収益 と原価費用 との 関係 、供給単価 と給水原価 との関係 、給水収益 と供給単価 との関係 、原価費用 と給水原価 との関係 について考察 した上で、各水道事業の料金 に関す る改善策 について検討す る。
一般的に水道料金 を考察する上で基礎 となる数値 は、総括原価の数値の外 に、
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給水収益、原価費用、供給単価、給水原価の数値である。 それゆえ、それぞれ の意味か ら考察す る。
給水収益 とは、営業収益 としての受託給水工事収益、材料売却収益や営業外 収益 (受取利息、加入金、一般会計補助金、下水道料金徴収事務委託収益 (料) など)や特別利益 (固定資産売却益 、過年度損益修正益 など) を含 まない水道 料金収入の総和 をい う。
原価費用 とは、営業費用 としての受託給水工事費、材料売却原価や営業外費 用 としての下水道料金徴収事務委託費や特別損失 としての固定資産売却損、過 年度損益修正損 な どの費用 を総費用か ら控除 した純粋 に水道水 を給水す るため
に要 した費用の原価の総和 をい う。
供給単価 とは、有取水量1m3当 りの給水収益 を示す ものである。 具体的には、
以下の算式 によって算定 される。
供給単価 ‑給水収益 (水道料金の総和) 年間総有収水量
給水原価 とは、有収水量1m3当 りの原価費用 を示す ものである。 具体的には、
以下の算式 によって算定 される。
給水原価 絹 用一厘湖 水工事費+材料完納 価+下水道料金徴収事務委託費十固定資産売却損+週報 損益修正掛 年間総有収水量
ただ し、上記の算式 によって給水原価 を算定す る場合、以下の事項 について 留意 しなければな らない。
④材料売却原価 とい う勘定科 目が費用勘定 に計上 されていない場合で、収益勘 定 に材料売却収益 とい う勘定科 目が計上 されている場合には、材料売却収益 と同額の金額 を総費用か ら控除 しなければな らない。すなわち、材料売却収 益 に相等す る材料売却原価が費用 として、すでに、当該水道事業に発生 して
109 いるか らこそ、材料売却収益が実現 しているのであって、実質的に費用収益 対応の原則が遵守 されているのである。 それゆえ、このような場合、材料売 却収益 の金額 を総費用か ら控除 しなければならないのである。
⑥一般的に水道事業 は下水道事業か ら下水道料金徴収作業 ・事務 を委託 されて お り、水道料金徴収 と同時期 に一括 して、下水道料金徴収作業 ・事務 を実施 している。 そこで、下水道料金徴収事務委託費 という勘定科 目が費用勘定 に 計上 されていない場合で、収益勘定 に下水道料金徴収事務委託収益 とい う勘 定科 目が計上 されている場合 には、下水道料金徴収事務委託収益 と同額の金 額 を総費用か ら控除 しなければならない。すなわち、下水道料金徴収事務委 託収益 に相等す る下水道料金徴収事務委託費が費用 として、すでに、当該水 道事業 に発生 しているか らこそ、下水道料金徴収事務収益が実現 しているの であって、実質的 に費用収益対応 の原則 が遵守 されているのであ る。 した が って、 この ような場合、下水道料金徴収事務委託収益の金額 を総費用か ら 控除 しなければな らないのである。
(1) 青森市水道事業
青森市水道事業の総収益 と総費用の関係 は、第3表の(1)と(2)に示 されている ように、昭和54年度か ら昭和63年度 までの10年間で、総費用が総収益 よりも多 い昭和56・57・58・59年度 は赤字経営であったが、これ らの年度以外 は黒字経 営であった。
同事業の給水収益は、第3表の(1)に示 されているように、料金改定年度 (昭 和54・57・60年度) にかか わ りな く逓増傾 向 を示 し、昭和63年度 の給水収益 (5,176,632.843円)は、昭和54年度 (2,526,981,922円)の約2.05倍である。
同事業の原価費用 も第3表の(2)に示 されているように逓増傾 向を示 し、昭和 63年度の原価費用 (5,354,179,776円)は、昭和54年度 (2,796,968,133円)の 約1.91倍 となった。
第3表の(1) 青森市水道事業の収益 単位 (円) A 稔 収 益lA. 給 水 収 益tB) 又託工事収温 C 加 入 金 D)その他 の収益tET ㈲B 7C‑価 T qDJT 湖E
昭和54年度 3.123,574,136 2,526,981,922 31,662,867 486.220.000 78,709,347 80.9 1 .0 15.5 2.6 55 3.600.857,467 3.008.909.156 29.204.078 407.295.000 155.449,233 83.6 0.8ll.3 4.3 56 3.585.695,292 3,074.424,616 31.835.200 351.945.000 127.490.476 85.7 0.9 9.8 3.6 57 4.280.171.613 3.781.604.688 26.065,545 326.225.000 146.276.38088.4 0.6 7.6 3.4 58 4.558.286,234l4.082.805.185 34.782.635 331.475.000 109.223.414 89.5 0.8 7.3 2.4 59 4.654.527,937 4,165.143.295 66,951,068 336.330.000 86.103.574 89.5 1.4 7.2 1.9 60 5.331,088,578 4.875.813,450 81.521.530 269.140.000 104.613.598 91.5 1.5 5.0 2.0 61 5.450.316.609 4,946.591,462 99.503.371 275.310.000 128.911.776 90.8 1.8 5.1 2.3 62 5.579,703,214 5,084.497,758 42.335.624 313.425.000 139.444,832 91.1 0,8 5.6 2.5
(荏 )その他の収益 は、材料売却収益 、下水道料 金徴収事務委託収益 、受取利息 、 一般会計補助 金、固定資産売却益 、過 年 度損益修正益 の合計 である。
第3表の(2)青森市水道事業の費用 単位 (円)
昭和54年度 2.877,166,580 2.796.968.133 45.384.026 34.814.421 97.2 1.6 1.2 55 3.600.466.786 3.464.409.787 44.645.249 91.411.750 96.3 1.2 2.5 56 4,273.593.570 4,192.049.985 44.335.018 37.208.567 98.i 1.0 0.9 57 4.539.938.921P4.460.625.862 40.126.829 36.186.230 98.3 0.9 0.8
59 4.943706.919 4.814.736.063 80.173.382l 48.797.474 97.4 1.6 1.0 60 5,136.848,120i.4.997.461.709l 89.425.754l 49.960.657 97.3 1.7 1.0
62 5.287.566.234 5.166.132.791 59.619.115 61.814.328 9r7,7 1,1 1,2 63 5,533.080.468I5.354.179.776 116.250.774 62,649.918 96,8 2.1 1.1 (i主)その他 の費用 は、材料売却 原価 、下 水道料金徴収事務委託費、固定資産売却損 、過年度損 益
修正損 の合計 である。
か くして、給水収益 と原価費用の関係 を概観 した場合、上記の ように給水収 益の逓増率が原価費用の逓増率 より大 きか ったに もかかわ らず、第3表の(1)と (2)に示 されているように恒常的に給水収益 は原価費用 より少ない。 この原因は、
第3表の(2)に示 されているように、総費用 に占める原価費用の比率が94.6%〜
98.3%を示 し、その比率が極めて大 きいのに対 し、総収益 に占める給水収益の