はじめに
(1)研究の目的
本稿は、文部科学省科学研究費「アジア・アフリ カにおける民営初等教育の比較研究―質の高い初 等教育保障の視点から―」における在外調査の一環 として、昨年度に引き続き2014年9月上旬に実施し た南アフリカ共和国(以下、南アと略)プレトリア及び ヨハネスブルグ周辺の新規参入チェーン校を中心と した学校・機関訪問調査の際の記録と、その背景調
査を基にした現状報告の続編である。
本報告の目的は、開発途上国における質の高い基 礎教育の普遍化を背景に民営初等教育の可能性と 問題点を検討するため、インドやケニア等の国々との 比較研究を前提とした場合の、南アにおける学校現 場レベルでの近年の事例を記述していくことにある。 ただし、今回訪問した私立学校の中には、初等 学校だけではなく中等学校も併設しているものが複数 含まれていることもあり、本報告では初等学校に焦点 を当てながらも、初等・中等教育を包括的に記述し ていくことにする。
(2)低学費私立学校に関する研究の動向
UNESCOの教育統計によると、1991年から2003 年までの期間、全世界において私立学校の在籍者
数は113%の増加率を記録しており、公立学校の 52%という増加率よりもはるかに速いスピードで増大 し、その多くがアフリカにおけるものであった。そし て、途上国におけるこの様な増加分の大多数をPEP
(Private Education for the Poor:貧困層のための 私学教育)が担っており、現状では「私立学校の雨 後の筍(mushrooming private schools)」状態になっ ている。
近年、貧困層を対象とした私立学校の動向に対 して世界的関心が高まっているが、低学費私立学校
(low-fee private school)に関する研究は、イギリス Newcastle大学のJames Tooley教授が先駆者的役 割を担ってきた。同教授は、その著書であるTooley and Dixon (2005)において、インド、ガーナ、ナイジェ リアのいわゆる英連邦(the Commonwealth)の国々 における事例研究を積み重ね、低学費私立学校の
増加傾向を報告している。
同論文においては、例えばガーナの首都である Accra郊外で低所得地域であるGa District を事例と して、この地区の779校の中で公立学校は25%に過 ぎず、児童・生徒の64%が私立に在籍しており、そ れらの大多数が無登録の学校であったことを明らか にしている。また、ナイジェリアLagos州の貧困地域 においては、540校中公立学校は34%で、児童・生 徒の75%が私立に在籍しており、やはり大多数が無
南アフリカ共和国における低学費私立小学校の現状(2)
―プレトリア・ヨハネスブルグ周辺の新規参入校を中心に―
Report on the Low-Fee Private Primary Schools in the Republic of South Africa (2)
―Focusing on the Newly Established Schools around the Cities of Pretoria and Johannesburg ―
キーワード:アパルトヘイト撤廃、公立から私立への移動現象、私学政策、
私立学校チェーン、地域的事例及び学校段階拡張事例
古川 和人
登録の学校であったことが報告されている。
Tooley 教 授は、Tooley, Pauline and Gomathi
(2007)等における他の研究成果も加味し、公立と比 較して多くの場合私立学校は、教員一人当たりの児 童・生徒数比率(TPR: Teacher-Pupil Ratio)が低く、 より動機の強い教員(more motivated teachers)がい て、公立よりも学業達成度(academic achievement) が高くなることを明らかにしている。そして、このよ うな結果は、公立の教員給与の4分の1から半分
程度で達成されているという、私立学校の効率性
(effectiveness)や説明責任(accountability)の高さ を指摘している。
(3)南アにおける私立学校に関する研究の動向 昨年度も訪問した南部アフリカ地域における私
立 学 校 連 盟であるISASA(Independent Schools Association of Southern Africa)の元理事長のJane Hofmeyrと事業部長(当時)のLindsay McCayが、 南アにおける私立学校の動向に関する先行研究を対 象にメタ研究(1)を行っている。そこで、このメタ研究 を参考にしながら、南アにおける私立学校の動向に
関する先行研究をレビューしていく。
表−1は、南アにおける私立学校に関する先行研 究を、年代別にリスト・アップしたものである。この表 から分かる様に、南アにおいて私学教育にいち早く 注目したのは、人間科学分野のシンク・タンクであ るHSRC(Human Sciences Research Council)(2)で あり、Du Toit, J. (2003)、及び Du Toit, J. (2004) やHofmeyr, J. and Lee, S. (2004)といった研究成果 を報告している。また、世銀グループの一員で、途
期 間 文 献
2001〜 2005
・ Du Toit, J. (2003), “Independent schooling”, Human Resources Development Review. Academy of Human Resource Development: Ch.16. Sage Publications.
・ Du Toit, J. (2004), “Independent Schooling in Post-apartheid South Africa: a Quantitative Overview”.
HSRC (Human Sciences Research Council).
・ Hofmeyr, J. and Lee, S. (2004), “The new face of private schooling”, in Chisholm, L. (ed.) Changing Class: Education and Social Change in Post-Apartheid South Africa. Cape Town and London: HSRC Press and Zed Books, pp. 143-174.
・ Lewin, K. M. and Sayed, Y. (2005), “Non-Government Providers of Secondary Education: Exploring the Evidence in South Africa and Malawi”. London: DFID.
・ CDE (The Centre for Development and Enterprise)(2005), “Private Schooling for the Poor ? ”.
2006〜 2010
・ Motala, S. and Dieltiens, V. (2008), “ Caught in ideological crossfire: Private Schooling in South Africa”, South African Review of Education: Vol. 14. No 3, pp. 122-138.
・ Musker, P. and Du Toit, J. (2009), “Market Survey of the Independent Education Sector in South Africa”, IFC (International Finance Corporation ).
・ Jane Hofmeyr and Lindsay McCay (2010), “ Private Education for the Poor:More, Different and Better ”, FOCUS 56 - On Learning and Teaching , Helen Suzman Foundation, pp. 51-56.
・ CDE (2010), “Hidden Assets: South Africa’s low-fee private schools”.
2011〜 2014
・ Stancy Brewer (2011), “A sustainable financial model for low fee private schools in South Africa”, Gordon Institute of Business Science, University of Pretoria.
・ CDE (2012), “Promoting School Choice for the Poor: Practical ideas from international experience”.
・ CDE (2013), “Affordable Private Schools in South Africa”.
表−1 南アにおける私立学校に関する先行研究リスト
出典:Jane Hofmeyr and Lindsay McCay (2010)を参考に筆者が作成
上国の民間セクター開発に関する国際開発機関であ るIFC(International Finance Corporation)は、南 アにおける私立学校の市場調査を行い、Musker, P.
and Du Toit, J. (2009)において、実際には公式な教 育統計データ・ベースよりも多くの登録校が存在して いることを指摘し、南アにおける私立学校の拡大が、
通常考えられている以上であることを明らかにしてい る。そして、開発系のシンク・タンクであるCDE(The Centre for Development and Enterprise)(3)は、い ち早く2005年にワーク・ショップを開催し、その報告 書である“Private Schooling for the Poor ? ” を刊行 した後、2010年の “Hidden Assets: South Africa’s
low-fee private schools” 以降、低学費私立学校の 動向に焦点を当てた一連の研究報告書を量産してい る。
1
.公立から私立への移動現象(1)南ア初等中等教育における近年の動向 表−2は、南アにおける初等中等教育の基礎統計 を示している。2013年現在、南ア全土の状況として 1,248万9,648人の児童・生徒が公立及び私立(独 立校)に在籍しており、この中で私立の初等中等学 校に在籍している児童・生徒数は51万3,804人で 全体の4.1%であり、公立の児童・生徒数の比率は 95.9%であった。この様な公私比率は、南ア全土の マクロな統計を見る限り2009年度以降大きな変化は ないと言われているが、その状況は州によって全く異 なるのが現状である(4)。
表−3は、南ア各州における私立学校数及び私立 在籍児童・生徒数の状況を示したものである。2013
年現在で、南ア全州の中で私立学校数の比率が 22.4%、私立の児童・生徒在籍比率が10.8%と一 番高いのが、プレトリアやヨハネスブ ルグ がある Gauteng州である。次に学校数比率が11.9%、在 籍比率が4.5%と高いのがWestern Cape州であり、 私立学校数が20校、在籍率は1.1%と一番低いのが Northern Cape州である。以上のことから、公立学 校から私立学校への移動現象は、南ア全土におい て共通した普遍的なものではなく、プレトリアやヨハ ネスブルグがあるGauteng州において特に顕著だと いう地域的な現象であることに注意する必要がある。 つまり、公立学校から私立学校への移動現象を調査 するに当たって、プレトリアやヨハネスブルグの私立 学校を対象とした理由は、まさにここにある。
ここでGauteng州における私立初等中等学校の状 況を確認してみる。表−4は、2010年度を基準として 2013年度までの私立初等中等学校の学校数、児童・
生徒数、教員数の増加の状況を示したものである。 この表から分かる様に、この間公立は微増にとどまっ ているのに対して、私立初等中等学校の2013年度 は2010年度に対して、学校数で1.26倍、児童・生 徒数で1.17倍、教員数では1.20倍の増加を示してい る。
項目
州 私立
学校数 私立学校数 比率 私立
在籍者数 私立 在籍者比率
Eastern Cape 171 3.0% 56,473 2.9%
Free State 69 4.9% 14,702 2.2%
Gauteng 593 22.4% 229,984 10.8%
KwaZulu-Natal 219 3.6% 67,595 2.4%
Limpopo 143 3.5% 52,726 3.1%
Mpumalanga 117 6.2% 26,948 2.6%
Northern Cape 20 3.5% 3,186 1.1%
North West 55 3.4% 15,221 1.9%
Western Cape 197 11.9% 46,969 4.5%
South Africa 1,584 6.2% 513,804 4.1%
表−3 南ア各州における私立初等中等学校数及び 私立在籍児童・生徒数の状況(2013年度)
表−2 南アにおける初等中等教育基礎統計(2013年現在)
出典:The Department of Basic Education (2013), “2013 School Realities”, p. 1.
出典:The Department of Basic Education (2013), “2013 School Realities”, p. 1.をもとに筆者が作成
項目
公私 学校数 児童・生徒数 教員数 私 立 1,584 (6.2%) 513,804 (4.1%) 33,194 (7.8%)
公 立 24,135 11,975,844 391,829
合 計 25,720 12,489,648 425,023
(2)公立から私立への移動現象の背景及び概要 1990年代初頭、私立学校に対する支配的な認識 は、多くの場合、白人のための特権階級に限られた 高学費校というイメージであったが、1990年代のア パルトヘイト撤廃は、南アの私立学校、特に私学在 籍者の動向に劇的な変化をもたらすことになった。つ まり、アパルトヘイト撤廃により、それまで伝統的には 白人の学校であった私立学校が、黒人にも開放され た結果、私立学校における黒人の在籍率は73%に 到達し、それら学校の多くが1990年以降に設立され た比較的歴史の浅い低学費・中学費校であった。
一方、一部の新しい黒人エリート家庭が高学費の 私立学校へ通学させてはいるものの、大多数の私立 学校に在学する黒人家庭は、中産階級、または労 働者階級であり、多くの黒人家庭の経済的な躍進が 低学費・中学費私立学校への在籍を可能とさせてい る要因の一つであると言われている。
Motala, S. and Dieltiens, V. (2008)によると、公 式な学校教育統計において、多くの無登録校や夜 間飛行学校(‘fly-by-night’ schools)(5)等の存在が 把握されないままであったため、私立学校のデータ は現状を正確に反映しておらず、その当時のものは 推計値に頼るしかなかった。この様に私立学校拡大 の全容を把握できないままでいたが、2008年度の政 府統計において初めて私立学校のデータが登場し、 2000年度から2008年度までの期間に、公立学校の 在籍者数の増加率が1.9%であったのに対し、私立
学校の増加率は4.2%であったことが示されている。 ISASAは加盟校の増加傾向に基づき、1994年に は私立の初等・中等学校数が518校であったもの が、初等学校と中等学校を別々にカウントした場合、
2014年現在で州教育局に登録済の初等中等学校は 約2,500校あると推計している。特に、2009年から 2013年の4年間では、新たに127,706人が私立学 校に入学したと見ている(6)。
今後、南ア国内においては、例えばGauteng州で はヨハネスブルグとプレトリアの中間に位置する地域 であるMidrandや、Western Cape州のCape Town の様に、都市が郊外に拡張しており、公立学校の設 置が人口増加に追いつかない地域では、私立学校 の潜在的需要が顕著に見込まれると言われている。
2
.南アにおける私学政策南アには、各州教育局の統制下にある公立校と独 立校(Independent school)の二種類の学校があり、 1996年以前まで独立校は私立学校(Private school) として認知されていた。そのため、本稿では現在の
南アにおける正式名称は独立校であるが、世界的な 通称である私立学校と表記する。
(1)南ア憲法における教育条項及び私学助成政策 教育に関する権利について南アフリカ共和国憲法
(1996年)第29条第1項は、「すべて国民は、成
公 私 私 立 公 立
年 度 2010 2011 2012 2013 2010 2011 2012 2013 学校数(校) 470 519 566 593 2,015 2,040 2,045 2,056
増加数(校) ― 49 47 27 ― 25 5 11
前年度比増加率 ― 10.4% 9.1% 4.8% ― 1.2% 0.2% 0.5%
児童・生徒数(人) 196,272 207,883 216,642 229,984 1,777,794 1,814,167 1,858,745 1,899,542 増加数(人) ― 11,611 8,759 13,342 ― 36,373 44,578 40,797 前年度比増加率 ― 5.9% 4.2% 6.2% ― 2.0% 2.5% 2.2%
教員数(人) 12,877 13,696 14,785 15,466 57,463 57,836 59,175 59,357 増加数(人) ― 819 1,089 681 ― 373 1,339 182 前年度比増加率 ― 6.4% 8.0% 4.6% ― 0.6% 2.3% 0.3%
表−4 Gauteng州における私立及び公立初等中等学校の状況(2010-2013年度)
出典:The Department of Basic Education (2014), “ Education Statistics in South Africa 2012 ”, p. 4. 及びThe Department of Basic Education (2013), “ 2013 School Realities ”, p. 1. をもとに筆者が作成
人基礎教育、継続教育を含めて、州が漸次利用且 つアクセス可能とさせる基礎教育を受ける権利を有 する。」ことを規定している。また、同条第3項におい ては、「何人も人種によって差別されず、州教育局 に登録し、公立学校と比較してもその基準が劣ること なく、自己の費用によって私立学校を設立・維持する 権利を有する。」ことが謳われている。その際、第4項 では、「第3項は、私立教育機関に対する州の補助
金の支出を妨げない。」ことが明文化されている。 私立学校が補助金を受けようとする場合、受給 しようとする一年前に州の教育局に登録する必要が あり、州教育局は補助金の国家ガイドラインである
“Norms and Standards for School Funding” に従っ て受給額を決定していく。私立学校は非営利目的で あり、且つ後述の様にある一定以下の学費である場 合にのみ、補助金を受給することが可能となる。因み に、各州教育局に登録済の私立学校のうち、2013 年現在では約90%が非営利であり、非営利の私立 学校の60%前後が補助金を受給している。
補助金の算定方法としては、受給額の60% が州 の児童・生徒一人当たりの単位費用であるPAEPL
(provincial average estimate per learner)に基づい て算定され、残りは当該学校の学費の程度とその学 校周辺の社会・経済的状況が考慮され決定される。 ただし、学費がPAEPLの2.5倍以上になる私立学 校は、補助金受給対象からは除外される(7)。
(2)南アにおける私立学校設立実務
南アにおいて新たに私立学校を設立するために は、例えばGauteng州の場合(8)、開校希望時期の 前年の8月末日まで、州教育局に登録申請書を提出 する必要がある。そして、申請書が提出されると、当 該私立学校のある地区教育事務所が申請のあった 私立学校を実地で訪問し、最初にその評価結果が 州教育局に報告される。この報告書は州教育局内の School Effectiveness Unit に送付され、この部署の 担当官が地区教育事務所から提出された報告書の 内容を再度実地で訪問して、教育の質、財務的安 定度、法務運用状況、保健・安全面、免許状・資 格等の側面から再検証していく。
その後、この評価報告書は、州教育局内における 幹部行政官の稟議を経たうえで州教育局長の登録 認可の決済を受けることになる。登録が認可される 場合は、登録通知の送付と同時にEMIS(教育経営 情報システム:Education Management Information System)番号が通知されるが、登録が不認可の場 合、その理由が記載された不認可通知を受領するこ とになる。一方、登録が認可された私立学校には、
登録通知書とともに、登録番号、EMIS番号、認可 対象教育段階、認可対象学年、住所等が記載され た登録証書が送付され、通常はこの登録証書を校 長室等に飾っておくことになる。
ISASAは、新たに私立学校を設立しようとする 創設者に対して、手引き書として“Guidelines for Establishing a New Independent School”(9)を発行 している。この指南書によると、教員数と給与水準が 決まると教員給与額が算定でき、この額が学校経営 に必要な総額の70%程度になるとしている。つまり、
大雑把に見積もって学校経営に必要な経費としては、 教員給与(校長を含む)70%、運営経費10%、備品・
書籍・教材費等10%、グラウンド維持管理費7%、そ の他3%、以上合計で100%になり、この見積もり総額 から、学費の設定を導き出すことができるとしている。 そして、学校は大きな空間が必要であり、通常6ヘク タールから12ヘクタールが理想的であるとして、貧 弱だったり不適切だったりする教育施設・設備・プロ グラム・給与である場合、保護者や教員は2年ぐらい までしか我慢しないものであることを肝に銘じている。
3
.南アにおける低学費私立小学校の学校現場レベルでの新規参入の事例
南アには新規参入の低学費私立学校チェーンが 複数あり、例えば年間学費がR12,000からR20,000 程度のMeridian Private Schools、R14,000程度の SPARK Schools等が既に存在している(10)。これ らの既存校に加えて2015年度は、比較的私立学 校の数が少ない南ヨハネスブルグ地域を中心に、 Pioneer AcademiesやPOC Schools等の新たな私立 学校チェーンの開校が予定されており、今後も公立
学校から私立学校へのシフトを牽引するアクターが、 潜在的に広がりを見せているのが現状である。そこで 本章では、低学費私立学校チェーンの事例を中心 に、学校現場レベルにおける低学費私立小学校の 現状を報告していく。
(1)低学費私立学校チェーンの事例
①Meridian Pretoria Private School
Meridian Pretoria Private Schoolは、プレトリアの 北東部地区であるEast Lynnに位置しており、Grade RR から Grade 12 までを対象にした初等中等学校 である。周辺は工業地域であり、また軍関係者の住 宅も多く、その子弟も多数いることから、中等学校に は寮も完備している。同校は、昨年訪問したCurro Hazeldean Primary Schoolとは系列関係にあり、近 年私立学校チェーンとして急成長しているCurro Holdings Ltd.グループの低学費ブランド校であり、
“Better Quality Education in Affordable Price” を モットーとしている。
Curroは、1998年に28人の児童で学校を始めた が、次の年には約100名の児童数に膨らみ、2012 年現在で幼稚園からGrade 12 までの在籍幼児・児童・
生徒数はグループ全体で約21,000人を数え、2020 年までに全国で80校、10万人規模にまで拡大しよう としている。2014年度現在、Curroは傘下に9州32 校の学校を経営しており、同グループには、Curro Select Schools、Curro Castles、Curro Schools、 Curro Academies、Meridian Schools、以上五つの 学校ブランドが存在している。
Curro Select Schools は、昨年訪問したWoodhill Collegeのような有名校で、年間学費がR67,000程 度の有名進学校である。また、Curro Schools は 元々からある中学費校で、これも昨年訪問したCurro Hazeldean Primary Schoolのような、年間学費が R36,000からR54,000程度の学校である。そして、 Curro Castlesは、Group 1(1歳児)からGroup 5(5歳 児)までを対象とする保育園のブランドであり、Curro Academyは年間学費R21,000程度の学校である。 Meridian School ブランドはCurroグループの中で は低学費校に位置づけられ、年間の学費は R12,000
からR20,000 程度である。2014年度現在、Meridian Schoolは南ア国内に4校あり、2015年度には3校、
2016年度には2校が新規開校する予定である。 今回訪問したMeridian Pretoria Private School に は、幼稚部であるGrade RR からGrade Rまでに55 人、初等部のGrade 1 からGrade6までに191人、中 等部のGrade7からGrade12までに307人、合計で553 人在籍している。教員は35人全員が常勤であり、他 に支援職員15人が勤務しており、単純計算では教 員対児童・生徒比率は 1:15.2になるが、同校では1 学級の定員は35人に設定されている。学費は初等部 の場合、Grade 1 からGrade 3 までの年間授業料が R10,500、Grade 4 からGrade 6 までが R12,480 であ り、他に共通で年間登録料がR450必要になる(11)。 この学校は、設立当初プレトリア中心部にキャン パスがあったが、同市の北東部地区である現在の East Lynnに移転してきた。しかしながら、現在半 径3km以内に、私立学校が3校存在する状況にあ る。寮生以外の児童・生徒の多くは地元の子どもた ちであり、大多数が乗り合いタクシーで通学して来 る。現在の同校のキャンパスは、学校施設として建 設されたものではなく、中等部校舎は政府系企業で あるTrans Net社の幹部社員用リクレーション施設 跡地のビルを再利用したものであり、幼稚部・初等 部校舎は敷地内に1クラス毎に1台のトレーラー・ハ ウスを利用して設置したテンポラリーなものになって いる。現在、敷地・施設は、Trans Net社からリース されているものであるが、2年後にはリースではなく自 写真−1 トレーラー・ハウスを利用した幼稚部・初等部校舎