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阪神淡路大震災 における応急仮設住宅の提供 および管理の課題

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(1)

長崎大学工学部研究報告 29 等52 平成11年 101

阪神淡路大震災 における応急仮設住宅の提供 および管理の課題

雄 *・中 合 **

英 *

ConstructionandManagementofLivingEnvironmentofTemporaryDwellings aftertheGreatHanshinAwajiEarthquake

by

KazuoTAKAHASHI*,YuriNAKAMURA * *

andTakahideFUJITA*

Thepurposeofthispaperisanalyzeconstructionandmanagementoflivingenviromentoftemporary dwellingsofRobecityaftertheGreatHanshin‑AwajiEarthquake.Theproblemsoftemporarydwellingsuchas

location,livingenvioromentam shownbyinterviewsandnewspapers

1. まえが き

阪神 ・淡 路大 震 災 に よ って 多 くの住 民 が住 居 を失 い ,応急仮設住宅 におけ る避難生活 を余儀 な くされた.

被災 自治体 は大量の応急仮設住宅 を早期 に捷供 しなけ ればな らな らず ,その設置 までの過程 で さま ざまな問 題 が発生 した.本来 ,設置主体 とな るはずの神戸市で は ,兵庫 県が主体 とに変更 になったため ,設置戸数の 確 定や調整 に時間 を要 す るな どの閉篭 が生 じ,また , 都市部 にお ける大規模 な災害 で あったため ,用地の確 保 も困難 で あった.被災地周辺 で用地 を確保す ること がで きず ,郊外や人工島 な ど交通や買 い物 な ど生活の 便の悪 い地域 に建設せ ざるを得 ず ,入居者 か らは多 く の不満が上 がった.神戸市 は ,設置す るだけで は応急 仮設住宅 で は生活 しに くい と判断 し,これ らの入居者 の不満 に応 えるため ,応急仮 設住宅の改善 を行 った1).

また ,入居者の決定 に使先枠 を設 けた ことか ら生 じた コ ミュニテ ィ喪失の問題 に対 しては ,ふれ あいセ ンタ ーの設置やふれ あい推進 員制度の導 入 など,応急仮設 住宅 団地 内の新 しい コ ミュニ テ ィの形成 に も力 を注 い

)

平成101016日受理

'社会開発工学科 (DepartmentofCivilEngineering)

…名村造船所 (NamuraShipyard,Co.)

本論 文で は ,被災地神戸市の応急仮設住宅の設置 に 関す る対応 につ いて述べ るとともに ,設置 までの過程 において生 じた問題 ,入居後 に発生 した問題 につ いて 神戸市の資料お よび新聞報道記事 を検討 し,応急仮設 住宅の提供 お よび管理 システムにつ いて考察す る.

2.神戸市 にお ける応急仮設住宅の設置および管理 (1)応急仮 設住宅設 置の経捷

神戸市の地域 防災計画2)によ ると,応急仮設住宅の 設置主体 は神戸市で あった. しか し,阪神 ・淡路大震 災で は被害 が広域 にお よんだため ,兵庫県 が主体 とな って応急仮設住宅 の設置 を行 った.兵庫 県 と神戸市 で 役割 を分担 し,用地の選定 ・確保 ,配置計画 お よび入 居 ・管理事務 を神戸市 が ,発注 ・建設 を兵庫 県が行 った.

平成71月29日,神戸市 は倒壊家屋や避 難者数の 調査 な どか ら,市内 ・市外合 わせ て35,(氾0戸の応急仮 設住宅 の建設 を兵庫 県に要請 したが ,当初 は神戸市分

と して これ だけの戸数 を確保で きなかった. この ため , 神戸市 は兵庫 県 と協議 を重ねて追加建設 を要請 し,最 終 的に市内29,178戸 ,市外3,168戸の応急仮設住宅 が確

(2)

102 ・ 高橋 和推 ・中村 百合 ・藤 田 高 英

保 さ′れ た.応急仮設住宅 は早期 に大量供給 す る必要 か ら,当初 は 「2K平屋」の1タイプだけで あったが , 避難所 での生活 が困難 な高齢者や障害者の集団避難生 活 を早期 に改善 す るため ,高齢 者 ・障害者 向 けに風 呂 ・トイ レ,台所 が共用で福祉対応 の2階建 て 「地域 型」 が応急仮設住宅 と して認 め られ た. さらにその後 , 用地不足 と被災者の多様 なニーズに応 えるため ,一般 向 けに福祉対応の ない2階建て 「」 タイプと 「lK 平屋」 が追加建設の際 に認 め られ ,全部で4タイプの 応急仮設住宅 が設置 された. しか し,これ らの公設の 応急仮設住宅 は ,用地不足 か ら被災者が希望す る市街 地 には少 な く,西 ・北神地域 など郊外 に多 く建設 され てい る.

‑ 1は高齢者 :障害者向 け地域型応急仮設住宅の 仕様 をまとめた もので ある1). この タイプの応急仮設 住宅 は ,高齢者や障害者 な ど身体的 ・精神 的に避難所 生活 が困難 な弱者対策 として設置 されてお り,窯災以 前の居住地 か ら近 い地域での生活 を基本 に ,地域 の公 21カ所 に1,500戸 が建 設 され て い る.対 象 が高 齢 者 ・障害者で あることか ら,入居の決定 は希望者 が直 拷 ,福祉事務所 または保健所 に健康状況や 日常の生活 状況 な どを申請 し,決定す るとい う方 法 が取 られ た.

特別仕様 と して ,出入 り口の段差 をな くして手す りを つ けた り,緊急呼び出 しブザーが設置 されてい るほか , 生活支援 サー ビスと して各種相談 や在宅福祉 サ ー ビス な どが実施 されている.

‑ 1 高齢者 ・障害者向け地域型応急仮設住宅の仕 1)

建 設 場 所 ・地域の公園21カ所(1,500室)

主 な 仕 様 ・風呂. トイレ,台所.手洗い 共用

・2階建て (書 6畳または4畳半)

・バ リアフ リーな どの特別仕様 (1)出入口段差なし (2)通路簡易舗装

(3)廊下.階段.浴室, トイレ 手すり付き (4)1階 トイレ,流し台.洗面台 車椅子対応

(5)1階 低浴槽 (6)緊急呼出ブザー対応 (7)自動火災報知器

生 活支援 ・生活支援旦(50室に1人)による各種相軟,安否 確認.緊急時対応

・警備会社による24時間緊急時対応(緊急呼出プ サ ー ビス サー.火災報知器)および夜間巡回

・ホームヘルプサービス,入浴サービス等,在宅

(2)応急仮 綬住宅入居者 に対 する支援

応急仮設住宅 入居者 に対す る各種 支援 サ ービスにつ いて表‑2に まとめ る.神戸市 は ,地域 見守 り活動 と して ,生活支援 ア ドバ イザーやボ ランテ ィアによる訪

間相談のほか ,警察官 によるふれか 一セ ンダ丁へのパ トロール ,警察官OBによる相談 貝の配置 などを行 っ てい る. また ,保健所 による健康相談や健康診査 ,読 問相談以外に も,介護 を必要 とす る高齢者 ・障害者が 必要 な保 健 ・福祉 サ ー ビス を気軽 に利 用 で きるよ う

「あん しんす こや か窓 口」 を設置 し,在宅福祉 サー ビ ス を行 ってい る.

‑2 応急仮設住宅 入居者 に対す る各種支援 サー ビ

& 地 場 見 守 り 等 生 活義 ア ドバ イ ザ 市内100人(兵Jf鼻下149人)

tb 阿 1回以上 兵庫Jtふれあい文書頼義■ 市内 33人(兵庫JtT 60)

兵庫Jtフェニックス撫養員 内 45人(兵庫員T 106人)

併t所儀鳥相t t 審 査 等 雷

雷締導畿 3.162(y9.4.30gLiE)

儀 慮 教 育

. I 6慮 55859回(回(延べ●加1158..531579人)(人)(平成鹿88年度)年度)

t JE響査 (墓 本 t 暮 )52回(費鯵書 2.149人)(平成8年度) 心 の ケ ア セ ン タ tt仰相徽 4,485件 (平成8年度)

奄 宅 稚 祉サ ー ビ ス 等 ホ ー ム ヘ ル プ サ ー ビス 565世帯 (I9.3.31東女) ねた卓 り老人入浴サー ビス 35世帯 (9.3.31gL在) 老 人拙 t 館 の 綬 t 598世帯 (9.3.31早春) ケアライ ン119の鰍t 318世帯 (9.3.31環我)

また ,被災 市 民 の抱 え る同額 の 解 決 を図 るため ,

「あん しんす こやか窓 口」 を充実 させ ,生 活再建担 当 主幹 ・主査の配置 ,生活支携 ア ドバ イザ ーの配置 など 体制 を整備 した. さらに ,これ らを横断的 によ り一層 機能 させ ,処理 困難 ケース等の問題処理 を迅速 かつ的 確 に行 うため ,各区 に生活支携連絡 会 を設置 し,現場 での間鳥把握の ため住人支援チームを絹成 した.図‑

1に応急仮設住宅入居者 に対す る神戸市の支携体制 を 示す.

‑ 1 応急仮設住宅入居者 に対す る神戸市の支摸体

(3)

阪神淡路大東災 における応急仮設住宅の提供および管理の課魔

(3)入居者の決定

神戸市 は当初 ,入居者の決定 につ いては80%を応募 者全体 で抽遷 し,20%を落選者の うち高齢者 ・障害 者 ・母子家庭のみで行 うことを兵庫 県 との協議の うえ 決定 していた. しか し,124,災害弱者 を使先

すべ き」 とい う厚生省 ・建設省の指示 を受 けた兵車県 の強 「指示 があり,抽選方法 を急 きょ変更 し,捷先順 位 を設 けた.1次 募集 で は ,募 集2,702戸 に対 して 59,449件の応募 があ り,健先順位 によ り結果 と して第 1順位の世帯のみでの抽選 となった. このため ,若 い 層か らは不満が上 が り,2次募集以降 は登録制か ら申 し込み制 に した. さらに ,希望区で割 り当てた1次募 集で当選者の辞退が相次 いだ ことか ら,2次募集では 希望す る団地 ごとの募集 ・抽選 に変更 した. また ,既 成市街地城の応急仮設住宅 で倍率 が高 いのに対 し,北 区や西区 といった従前居住地 か ら遠い地域の応急仮設 住宅では定貝割れが生 じるケースもあった. この よう な地域 につ いては先着順 で常時募集 とし,健先順位の 低 い世帯の早期入居 を進め た.最終の5次募集では , 数的にすべての希望世帯 に提供で きるだけの戸数 を確 保 したとい う理由か ら,優先順位 を廃止 し,避難所 に 避難 している世帯 を使先 して抽選 を行 った.

(4)応急仮設住宅の住環境改善

神戸市 は ,応急仮設住宅 を設置 しただけでは住めな いことが判明 したことか ら,応急仮設住宅の建設が一 段落す ると,被災者の入居 を進める一方で ,応急仮設 住宅の屠住環境の改善 を順次行 うとともに ,新 しいコ ミュニテ ィの形成 に も力 を注 いだ.環境改善 と して , 平成74月か ら順次 ,ひ さしや街灯の取 り付 けや , 防音壁や遮光壁 ,排水 ,通路等の工事 に着手 した. さ

らに ,応急仮設住宅の構造上 ,冷暖房 が必要 と判断 さ れたため ,一般の応急仮設住宅 にエアコンを全戸設置

した.応急仮設住宅の改修 につ いては ,車椅子利用者 宅の玄関へ の ス ロープの設 置 や ,希望者 に対す る玄 関 ・風 呂場 などの手す り,踏み台 ,段差解消 などにつ いて ,順次改修工事 を行 った.

災害救助法には応急仮設住宅 を管理す る規定はない が ,神戸市 は約3万戸の応急仮設住宅 を管理す るため , コンピューターによる入居者情報管理 システムを開発 し,関係機 関で情報の活用 を図 っている. また,地域 見守 りシステムとして ,ふれ あい推進貞制度の創設や ふれ あいセ ンターの設 置 など,入居者の福祉の向上や 自立への支援 を行 うとともに ,コ ミュニテ ィの形成 を システム的に行 っている.

‑3はふれあいセ ンターの構造 ・規模等について

103

まとめたものであるl).ふれ あいセンターは ,入居者 間の交流 を通 じて心身の ケアを行い ,入居者の 自立 を 支援す るために設置 され ,コ ミュニテ ィ形成の場や ボ ランテ ィアの活動拠点 として使用 されている.設置当 初 は ,概ね100戸以上の応急仮設住宅 団地 に設置 され たが ,その後50戸以上の団地 に も設置 された.セ ンタ ーの運営 ・管理 は ,入居者の代表やボランテ ィア団体 等によって構成 された「ふれ あいセンター運営協謙会」

によって行 われている. また ,地域見守 りシステムと して ,ふれ あい推進貞制度の創設やふれあいセンター の設置など,入居者の福祉の向上や 自立への支援 を行 うとともに ,コ ミュニテ ィの形成 をシステム的に行 っ ている.

‑ 3 ふれあいセンターの構造 ・規模等l)

佐設住宅100戸以上のセンタ‑ l促静圧宅 50戸以上 のセ ンター

促設プ レハ ブの平鼠建て

lObZ程度 l TOdtZ以下

施 設 内 容 集会所.和室.事務重責相錬士.瀧沸壬, トイ レ (身障者対応) 管:吐遵官費 200万 円/年 l 140万円/辛 負 捜 区 分 建設貴 復興基金)/,.収 )/,

3.応急仮設住宅 に関する行政の対応 と生活上の問題 前章で述べたよ うに ,応急仮設住宅の設置過程では さまざまな問題 が発生 した. しか し,今回の震災では, 設置過程 においてだけでな く入居後において も,構造 上の間庵や居住性の問題か ら応急仮設住宅 を使用す る うえでの 多 くの間鳶 が発生 している2).現在 ,応急仮 設住宅での生活 は3年以上 と長期にわたっていること か ら.入居 当初 と現在 とでは問題が異なって きている と考 えられ る.

このよ うな ,現代の生活用式 に適合 していない応急 仮設住宅 を見直 し,今後 ,災害 が発生 した際 に活用す るためには ,これ らの問題 を時系列 に沿 って考察す る ことが必要 といえる.そこで本章では,応急仮設住宅 に関す る行政の対応 と生活 してい くうえでの問題 を, 新聞の報道記事 をもとに時系列 に沿 って考察 を行 う.

(1)平成7 1〜 6

‑2に平成71‑6月の行政の対応 と生活上 の問題 を示す.

設置にあたって厚生省は ,応急仮設住宅の不足 と居 住地 を離れ た くないとい う被災者心理 を考慮 し,仮設 住宅 を校庭 に建設す ることを授業 した. しか し,文部 省 は これ に対 して授業再開 に支障 が生 じると反発 し た.避難住民の救済 を使先 したい厚生省 と授業再開 を 急 ぎたい文部省が ,住宅問題で思惑の違い を露呈 した 形 となった.

(4)

104 高構 和堆 ・中村 百合 ・藤田 高英

避難住民ア ンケー ト調査で73%が応急仮設住宅 を必 要 としていることが判明 したことか ら,神戸市 は ,兵 庫 県に応急仮設住宅の追加建設 を要望 した.一方 ,北 神地区など郊外では ,応急仮設住宅の空 き家が 目立ち ,

これ を懸念す る兵庫県 と神戸市で建設戸数の確定に時 間 を要 し,最終的に応急仮設住宅の建設 が大将 に遅れ

る結果 となった.

柵雨期 に入 ると,応急仮設住宅の暑 さ対策や雨対策 に住民の要望 が集 中,エアコンの設置 とひ さしの取 り 付 けが行 われ た.エアコンの設置 については ,弱者世 帯 にのみ国賓補助 が適用 されたため ,その他の世帯に ついては市町独 自での設置 となった.ひ さし以外の雨 対策については ,ほ とん どの応急仮設住宅 が未舗装の 上 に設営 されているに もかかわ らず ,通路の簡易舗装 や排水溝の設置 など,各 自治体で対応 は異なった.

この ころになると行動 力の ある中 ・実年層 が入居 し た ことか ら,自治会発足の横運が高 まり,相次 ぐ高齢 者孤独死への対応や住環境改善の要望 などを話 し合 う うち,自治会結成へ と取 り組み始めた. これ と時期 を 同 じくして兵庫県 も,新居住地 におけるコ ミュニテ ィ づ くりの受 け皿 として ,ふれ あいセンターの建設 を行

った.以後 ,高齢者 をは じめ とした応急仮設住宅入居 者の交流 と心身のケアに利用 され ,ふれ あいセ ンター の設置は有効で あったといえる.

また神戸市 は ,相次 ぐ高齢者の孤独死対策 と してふ れ あいセンターを拠点 とした 「救援 ケア」体制の確立 を決定 し,ボ ランテ ィアとタイアップ して ,高齢者 ら の相談や心の ケアへの取 り組み を開始 した.

自力仮設住宅の建設相次 ぐ

(厚)

使1

使2

(2)平成77‑12

平成77〜12月の行政の対応 と生活上の開度 を ‑3に示す.

応急仮設住宅への入居 も一段落 し,住民か らは応急 仮設住宅のぬかるみ対策やバ ス路線の開設 といった住 環境の改善要望 が出始めた.特 に,神戸市の西区や北 区 といった郊外の応急仮設住宅 では ,交連の不便 さに 対す る不満が続 出 した.郊外の応急仮設住宅が設置 さ れた地域 では,周辺のニュータウンが整備 中で早期の バ ス運行 が計画 されていなかった所 もあ り,新規 に路 線 を設置 した場合 ,権益が発生す るため ,応急仮設住 宅撤去後 ,ニュータウンが完成す るまで路線 をどう維 持す るか とい うこと,対距離料金 となるため電車料金 よ り高 くなる可能性 もあることなどが問題 となった.

また ,市街地 など幹線道路や高速道路の側に設置 さ れた住宅 では,車の鼻音問題や排 ガスの問題が生 じた.

多 くの住民 に不眠症や体の不辞が表れてお り,苦情 と 防音壁 など対策の要望が相次いだ.

8月に入 ると,猛暑の影響で高齢者 を中心 に脱水症 状 が増加 した.震災の ショックと暑 さで外出す る気力 を失い ,断熱性の低 い応急仮設住宅 にこもっていたこ と,電気代 が高つ くためクーラーの使用 を控 えたこと などが原因 としてあげ られ ,高齢者 などの低所得者層 に対す る,光熱費の補助 などが必要 といえる.

また兵庫県は ,台風の シーズ ンを控 え,防災 ロープ (トラロープ)によ る台風対策 を実施 し,軽 くて風 水 害 に弱 い と され る応急仮設住宅の被害軽減に努め た.

応急仮設住宅では ,ロープの ジ ョイン ト方法など設置

暑さ深刻化 雨対策 に改善要望集 中 自治会発足の機運高 まる 孤独死相次 ぐ

(神)

「ふ(神)

(兵)「救(神)

(厚)(神)

(兵)(神)(神)

使4

(神)

(兵)

使3

1 2 3 4 5

‑2 行政の対応 と生活上の問題 (平成71‑6月)

6

(5)

阪神淡路大震災における応急仮設住宅の捷供 および管理の課寛 105

(兵) 3

(兵)(神5

(.3 .4

ふれあいセ ンターの運営費 め ぐ り 悩 み 深 ま る

2 3 4 5

‑3 行政の対応 と生活上の問題 (平成77〜12月)

に関す る説 明会が行われ た.

火災発生の可能性 が高 くな る冬 を控 えて ,神戸市 は 応急仮設住宅 に屋外型の非常 ベルの設置 と消 火器の配 付 を決定 した. また ,応急仮設住宅で は ,消防署貝 と 住民 らが参加 して防災訓練 が行 われ た. しか し,冬 に なるとやは り火災 が相次 ぎ,なかには住民 が全身や け どの重傷 を負 うといった事態 も発生 した.冬場 は空気 の乾燥やス トーブ等の使用 によって火災が発生 しやす い季節であ り,自治会の なかには住宅 内での石油 ス ト ーブの使用禁止 を決定 した所 もあった.応急仮設住宅 は ,火の逃 げ場 がな く回 りを早め る構造 となってい る 所 が多い うえ,長屋 タイプで密集 して建設 されてお り 延焼 しやす い.火災が発生 した際 に適切 に対処で きる よ う,住民 参加 によ る防 災訓練 の徹底 が重要 とい え る.

冷 え込み が厳 しく,気密性 が高 い応急仮設住宅 では , 天井裏 に結露 がた まって水滴 となって落 ちて きた り, 結露 による停電 が相次 いだ. また ,ユニ ッ トバ スの照 明 を付 けると換気扇 が回 る仕組みになってい る一部の 応急仮設住宅 では ,入居者 が時間の 中で入浴 した り, 懐 中電灯で照 らす事態 が生 じたほか ,電車 やバ スを使 って銭湯 に行 く人 もいた とい う.

応急仮設住宅 での孤独死 は相変わ らず続 いたが ,こ の時期 においては ,震災で職 を失 って室内に閉 じこも った中年層の単身入居者 に孤独死が発生 し始めた.安 否確認 などの孤独死対策は高齢者 を対象 とされており, 単身者全体 に対す るケアの必要性 が明 らか となった.

(3)平成81〜12

平成81〜12月の行政の対応 と生活上の開度 を 一4に示す.

平成8年 に入 ると,行政側では応急仮設住宅の解消 に向 けての動 きが 目立つ よ うにな り,応急仮設住宅の 統廃合や それに伴 う応急仮設住宅間の移転の際の転居 費補助 につ いて も検討が開始 された.その後 ,特定非 常災害特別措置法案の成立 によって ,応急仮設住宅の 入居期限の延長 が認 め られ るよ うになると,被災各市 町 は応急仮設住宅用地 と して2年契約で借 りている民 有地の貸借期限更新のための交渉 を開始す ることとな った.

また,自宅の再建 や災害復興住宅 の 当選 などによっ て住民の移転が進み ,応急仮設住宅 に空 き家が 目立つ よ うにな ると,コ ミュニテ ィの維持や防犯面での問題 が浮上 し,住民の間に も不安 が広 がった. この間題 に 対応す るため ,兵庫 県や神戸市 など各 自治休 は ,災害 復興住宅 など公的賃貸住宅の早期建設 に取 り組 む とと もに ,公営住宅への特定入居の検討や応急仮設住宅間 の移転 ・集約の計画づ くりを進め ,年末 には ,兵庫 県 が平成10年度上期の応急仮設住宅の解消 を打 ち出す ま でに至 った.

このよ うな行政 による応急仮設住宅解消 に向 けての 動 きが進 む一方 で ,兵庫 県な どが実施 した調査 では , 入居者の65%以上が災害復共住宅 な ど公的賃貸住宅の 希望者で .当選す る以外 に移転のめ どがない ことが明 らか となった.資金の不足や都市計画の遅 れによる再 建の遅れ な ど理由は さまざまで あるが ,行政が考 えて いるほ ど被災者の住宅再建 は進んでいなか った とい え

(6)

i 高橋 和推 ・中村 百合 ・藤 田 高 英

水道,給湯器の破裂続出

(神)

(芦)

9(兵) (神)

(東.

大雨で住宅浸水

.(芦)

(兵)

き仮設の活用要望

(神)

(兵.

(兵)

に苦情台風で

民 自主避難

.(神)

2 (兵調5」減

(厚9.・撤

(亙 夏 至 :垂)

(神)

(兵

(兵10

(神.93

(神

調

(神)

‑4

9 10 11 行政の対応 と生活上の問題 (平成81月〜12月)

る.

一万,2年 目に突入 した応急仮設住宅 は ,長期使用 に伴 う同産 が発生 し始めた.高台に位置す る応急仮設 住宅団地では ,冷 え込みによる水道管や給湯器の破裂 が相次 ぎ,配管 に対す る防寒対策の重要性 が表面化 し た.

公園や造成地 に設置 されている住宅で は ,地盤の軟 軟弱 さや土盛 りの不十分 さか ら,車の連行 などによる 重みで水道管 が破裂 し,通路の一部 が陥没す るといっ た事態 が発生 し,また ,水 はけの悪 い応急仮設住宅で は ,通路 がぬかるんだ り,大雨の時 に排水溝 か ら水が あふれて住宅 が浸水す るな どの被害 が生 じた.地盤の 状況 や立地条件 な ども,応急仮設住宅 を建設す る際 ,

考慮 しな くて はな らない同席 であった とい える.

(4)平成91〜12

平成9年の行政の対応 と生活上の同席 を図‑5に示 す.

平成8年 に行 われ た住宅 復興 プ ログ ラムの見直 し と,それ に伴 う災害後共住宅等の供給の見通 しが立つ につれ ,応急仮設住宅解消 に向けての行政の動 きは一 層活発化 した.被災地では ,学校 グラウン ドをは じめ , 契約更新で きなかった民有地 などに建設 され た応急仮 設住宅の閉鎖決定 が相次 ぎ,応急仮設住宅 の統廃合 が 進行 した.統廃合 に伴 う応急仮設住宅間の移転費用の 助成 が検討 が進 め られたほか ,神戸市では ,その際 に

(7)

阪神淡 路大東 災 にお ける応 急仮設住宅 の提供 お よび管理 の課題

水 道 の 配 管 凍 結

(兵

庫県 )

3

(兵

)

(神

5

鎖決

.4

ふれあいセ ンターの運営費 め ぐ り 悩 み 深 ま る

107

蚊 に

公 営落選,入居 者の 自殺相次ぐ

(兵)

.(神)

(神.(神.

4

(神.

(神. 」新(神)(兵(神1

(神.10

‑ 5

9 10 11 行政 の対応 と生活上 の閉篭 (平成91〜12月)

必要 とな る費用 につ い て市 が負 担 す る こと も決 定 し .

公 的住宅 への 当選 や新居 を取得 した若 い層の入居者 らが次 々 と退去 し,高齢者 な ど弱者 ば か りが取 り残 さ れ る形 となった.人手不足 に よ るふれ あいセ ンターの 閉鎖 や 自治会の解散 が相次 いで ,残 され た入居者の交 流の場 が失 われ たほ か ,ふれ あいセ ンターの運営費の 管理方 法 をめ ぐって トラブル が発生 し運営 しに くくな るな ど,3年 目に突 入 した応急仮設住宅 で は ,形成 さ れ た コ ミュニ テ ィの再 喪 失 とい う事 態 が発生 して い る.

この時期 ,入居者 に とっての問題 は ,住宅 その もの に対 して よ りも公 的住宅 等へ の移転 や今後の住み替 え

な どに集 中 し,行政 に よ る住宅復興の早期 進行 が望 ま れ て い る.

9月に実施 され た災害復興住宅の第4次一元募集 に お いて は ,過去最大の供給計画 が策定 され た.兵庫 県 は事実上 ,最終 と もい える一元募集 と位置づ け ,応急 仮設 住宅 入居者の移転 を促進す るため ,応急仮設住宅 入居者 枠の拡大 をは じめ と した選考方 法の一部見直 し を行 った.

しか し,市街地 の住宅 に希望 が集 中 した ため落選 す る人 も多 く,これ まで に相次 いだ高齢者 や 中年層の孤 独 死 に加 え ,公 営 住 宅 落 選 や病 気 を苦 に した 自殺 が 増 加 した.応急仮設住宅 における長期避難生活 と住 み 替 えの め どが立 たない現状 が ,入居者 に とって精神 的

(8)

108 高稀 和雄 ・中村 百合 ・藤田 高英

に大 きな負担 となっていることがわかる.

兵庫県は平成10年度上期 ,神戸市 も平成10年度内の 応急仮設住宅解消 を示 してお り,住宅の再斡旋 など残

された入居者への対応が急務である.

4.まとめ

本論文では ,被災地神戸市の応急仮設住宅の設置に 関す る対応について述べるとともに,設置 までの過程 において生 じた間摩 ,ならびに被災者が応急仮設住宅 に入居後に発生 した間者について考察 した.応急仮設 住宅での長期生活において生 じる問題 を時間的に把握 す るため ,新聞の報道記事 をもとに,時系列 に沿 った 分析 を行 った.得 られた結果 を要約すると次のよ うに なる.

(1)今回の震災では ,被害が広域 に及んだため ,秤 戸市における応急仮設住宅の設置主体が地域防災 計画に示 されていた神戸市か ら兵庫県に変更 され た. このため ,必要戸数の決定や財源の間顔が発 生 し,早期整備が遅れ る一つの要因 となった.

(2)神戸市 においては ,市街地 における用地不足 と 被災者のニーズに応 え,二階建てで福祉対応のな い寮 タイプと lKタイプが認め られた.二階建て の応急仮設住宅 は土地の高度利用 という点で有効 であり,今後の災害において も,市街地における 用地確保の一つの手段 として期待で きる.

(3)入居者の決定においては,便先順位 を設 けて行 われたため ,高齢者や障害者 などの弱者が集 中入 居 し.コ ミュニテ ィの形成に力を持つ壮年層がい ないとい う事態 と,高齢者の相次 ぐ孤独死への対

応の遅れ という問題 をもたらした. コ ミュニテ ィ の形成に伴 う入居者間の交流は ,入居者の心身の ケアに効果的であることか ら,入居者決定の際に は,従前居住地の コ ミュニテ ィをある程度考慮 し た方法が取 られ るべ きであったといえる.

(4)応急仮設住宅 入居後に発生 した間鳶 としては , 当初 ,狭 さや設備が使 いにくいなど居住性に関す るものであった.避難生活が長期化す るにつれ , 梅雨期の雨 ・湿気対策 ,夏の暑 さ対策 ,冬の寒 さ 対策 ,台風や火災への防災対策など,季節 を追っ て間庵が顕在化 した. また,水はけの悪 さなど地 盤や立地の悪 さが間題 を引 き起 こしていることも 明 らかとなってお り,応急仮設住宅の長期間使用 が予想 され る場合 は,予め ,これ ら季節 ごとの問 題や ,地盤の状況 ,立地条件 を考慮 に入れて対応 策 を講 じるとともに,実際に使用 していく際には 必要 に応 じた対応 が不可欠 といえる.

本研究に当たり,神戸市民生局か ら資料の捷供 を得 たことを付記す る. また ,神戸新聞の記事 をもとに , 応急仮設住宅 を巡 る課題 をまとめた.最後に,本研究 には,重点領域研究 「都市直下型地乗」の援助 を得て 行われたことを付記す る.

1)神戸市民生局 :平成7年度兵庫県南部地震神戸市 災害対策本部民生部の記録,1996.2.

2)神戸市防災会議 :平成6年度神戸市地域防災計画 , 地案対策絹,pp.233‑235,1994.

参照

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