ドイ ツ経
会計体系論の展開
(1)一一Kalkhof経 営会計論への管理会計的視点か らの接近一一
佐 藤 誠 二
目 次
I 問題 の所在
Ⅱ 経営会計体系論の展開
血 経営会計体系論の新しい展開一瓢 khOfを中心に一
KdkllLOfの問題設定 経営会計の任務
財産・財務 ̀成果状態についてのマネージメン ト指向的情報選択
I 問題 の所在
ドイツでは管理会計という用語は存在しない。もともと管理会計という用語 は今世紀の初頭,ア メリカを中心に出現したものであり,文献上はF.A.Cle―
ヽ熱 deの論文 Prmciple bf Budget Making"1907年 において 配 mmiStrative
aさcountingの用語が もちい られた のが は じ め で,Ho W・ Quaintttceの著書 臨
…
al Accounting:´m lntroduction to Finmcial Management"19227 を経て,J・0。 MCKin"yの著書
〔χttagertt Accoutthg"1924年 が発刊 され るにいたつて定着された といわれる。 これに対して, ドイツにおいては経営経 済学の展開に包摂されながら,経営における実践的課題を担 うものとしての経 営会計 (BetFiebliches Rechnungswesell)な いし会計 (R側mullgswesen)に か かわる理論 (以下,経営会計論 と呼ぶ)が,いわゆる財務会計 と管理会計 とい
1 2 3
ドイツ経営会計体系論の展開(1)
う領域的区分を未分化にして,むしろ両者を統一 したかたちで展開されてきた といえる。 したがって, ドィッにおいて用語 としての管理会計は存在 しない。
しか し,経営会計論 のなかに実体 として管理会計的部分 (以下, ドイツ型管理 会計論 と呼ぶ)は存在する。ただし,それをアメリカ管理会計論 と同 一 の 意 味・解釈によって捉えることは困難であるといえるだろう。
では, ドイツ経営会計論において ドイツ型管理会計論 とはどのように位置づ け られるのであろ うか。かつてM.R.Lchmmnは著書 Die industriene K韻 ‐ kuhtion"1929年においてつ ぎのようにのべている。「産業経営 の内部生活 と外 部生活 とを区別す ることによ り,裁々は次のごとき認識に到達する。すなわち,
産業体のもつ二つの機能一詳 しくいえば,内部の醇化,あるいは生産活動にも とづ く価値倉J造のの中にその任務を見出す ところの機能 と,かの商品販売業者 の ごとく市場 との結び付 きを作 ってい く機能を区別すべきものである,と。か く産業経営の内部機能 と外部機能 とを区別すべ きものとすれば,したが ってま
た,産業体の計算制度についても,内部部門 と外部部門 とを分たねばならぬこと は自明である。よって産業体の計算制度につ きその(→内部計算(intemes Rech‐
nungswesen), lbl外部計算 (extemes Rechnungswesen)と を区別せねばなら ない」。 また(2) ,H.NicHおchは著書 Die ltttriebswirtschJt"1932年 において,
経営会計は概念的には経営の価値発展および変動を把握 し,これを系統的に表 示 し,かつ加工す ることによって経営にとって重要な内部的ならびに外部的数 字資料の比較を行わん とす る活動領域および物的領域であ り,これによって経 営意識が明瞭にされるものである,として,経営会計は企業における会計報告 と経営管理との「自覚機能(BewuSStSemsfunktion)Jと しての役割を有すこと
を指摘 している し,K.Mellero宙csも 著書 KosteJll und Kbstenrechnungo II"
1936年において経営会計 は経営者 の 目的意識的な経営管理に とって不可欠 の前 提 を なす ものであ り,それ は「 経営管理 の一手段 (ein mittel der Be籠 ebgth‐
rmg)」 にはか な らない としてい る:経営経済学 の文献上,企業意 思決定 の 基 礎 として経営会計を捉 え る最初 の試み はGo Seichtなどに よれ ば既 に1894年 の
, 法経研究 35巻3・4号 1987
童.Tolkmittの 1と̀Grundri3 der,Fabrik―Geschtttsfilhrung'1に おいてみ られ た とぃゎ″Pが ,こめ ょ うな会計 にたいす る経営管理的視点か らの機能Iの認識 は,その点においてアメリカ管理会計論 との同質性を窺わせるものがある。し かし,反面 ドイツの経営会計論は上のような機能認識をふ くみながら経営会計 制度のいわば自己完結的続一化を目指す点で固有の特徴をみいだすことができ るであろう。Lehmann の先の著書はそれを示 しても、る。「 さて,計算制度を 論理的に区分すれば,商人的計算 と経営計算 とになることは架説をようするこ となく明らかであるけれ ども,実際の組織的根拠から,これらの両部門のいず こに境界線を引 くべきかは明らかでない。いわんや両計算の間に存在するとこ ろの,或は,倉Jり 出されるべきところの結び付きにいたっては,尚更のことで ある。けだし,われわれが実際において,いかなる任務を商人的計算に課し, 経営計算に附するかは,まった く与えられたる諸関係一すなわち産業部門の特 質,経営の規模,企業全体の組織,経営指導者の個性および主義など一に依存 するからである。それゆえここでは純粋に組織上の合 自的性の叩題が問題 とな るL。 かれはこうした視点から簿記・原価計算・統計・経済計画の各計算 手 法 を商人的計算 (外部計算)と経営計算 (内部計算)との相互関係に照応しなが ら体系づけている。もとより,こ うした主張はLehrlllaILnに 限定されるもので ない。1920年代から1930年代にかけて経済管理委員会における会計術語専門委 員会による会計体系化案をめぐって経営会計の任務0術語・体系について活発 な議論がくりひろげられたし,戦後に至っては E.Schneider,H.Virkkunen, E,Kosiol,な どが経営会計の経営管理機能をより明確に認識しながらそれぞれ
の経営会計体系論を展開したという経緯が ドイツにはある。 ドイツでは,経営
会計の会計報告目‐的と経営管理目的との任務領域の存在を意識しつつも,両領 域の結合を内包しながら経営会計制度の統一的把握を企図するものであったと いえる。この点は,財務会計とは区別された形で「標準原価計算・予算統制・
経営分析などの諸技法をあらかじめ指定し,経営管理活動にたいする考れらの 役だちを明らかにすることや,あるいは,それらを駆使して遂行される経営管
ドイツ経営会計体系論の展開(1)
理活動の効率の説明にむ しろウェイ トがおかれ…1:l,管理会計体系論 と し て の展開を第二次世界対戦後までまたなければならなかったアメリカ管理会計論
との異質性を しめす ものであろ う。
ところで上 のような ドイツ経営会計論ないし ドイツ型管理会計論の性格づけ は表見的捉え方であって,その実質的存立の意義を究明するためには ドイツ経 営会計制度の現実的形成過程にそ くして,そしてまた,そこで与えられ る現実 的課題 とのかかわ りにおいて考察が加えられなければならない。言 い 換 え れ ば, ドイ ツにおいて経営会計論がいわゆる財務会計 と管理会計 との領域区分を 未分化に,何ゆえ,また,どのように展開されてきたのか,そして,この点が重 要 と思われ るが,そこにおいて経営会計論はいかなる現実的課題を担 って機能 して きたのかを ドイン会計制度の有 り様にそ くして究明しなければ ドイツ経営 会計論 したが ってまた,実体 としての ドイツ型管理会計論の存立の意義を提え ることはできないであろ う。そ うであるならば,ここで ドイッ型管理会計論 と い う枠組を設定す ることは無用な混乱をもた らす ものか もしれ な い。む し ろ ドイツの本来的用語法にそ くして,経営会計論を とりあげ経営会計論そのもの の形成過程について詳細に跡付けることこそ正当な方法 といえるだろ う。確か に用語そのものの相違はたんなる呼称の相違を意味す るだけでな くして用語す なわち経営会計の基本的理解さらにはその実質的存立 と深 くかかわ りをもつ も のと考えなければならない。 しか し,近年の我が国の ドイツ会計学研究が貸借 対照表論 (商事貸借対照表論および税務貸借対照表論)を中心 とした制度的研 究は別 にして,いわゆる管理会計的側面か らす る研究は原価計算・経営計画・
経済性計算 とい った個 々の会計手法を対象 とし説明・ 検討するに とどまってい ること,また,理論的側面か らす る研究にしても貸借対照表論,原価理論,経
営計画論 といった個別領域研究にかた より会計理論全体にたいする考察が必ず しヽ十分行われていないことを考えるならば,あえてここで経営会計論のなか に管理会計的視点からする枠組を設定して,その考究をつうじてふたたび経営 会計論に回帰することはドイツ経営会計論の全体像を提える上でも,ま た,そ
法経研究35巻304号 1987 の現実的存立の意義を とらえる上でも許されてよいであろ う。
「 管理会計はたんに財務会計 との対立的側面や,あるいはその計算技術的側 面だけに関心を もってはならない。管理会計 の目的は独 占資本の要求である最 大限利潤 の追及,確保にあるので損益計算 とは密接に結合 し,集約的には財務 会計に接着 し,両者は密接な関係を もっている。 したがって,計算技術構造の みに求めても管理会計の本質を究明す ることはで き差筆 」 といゎれるが本稿は 上 のような問題意識のもとに,筆者 自身の今後の研究の端緒 として,最近の経 営会計体系論を手掛か りに管理会計的視点か らその基本的l10組を ドイツ会計制 度 の有 り様に始 くして概括提示す るものである。
注
(1)辻厚生稿,F管理会計論」(松尾憲橘編集,『 理論会計学』 体系近代会計学第14 巻,中央経済社,1981年,184頁参照。 なお, アメリカ会計学会『 管理会計委員 会報告』によると,管理会計の意味を示す用語には,managernent accounungの 他,managerial accollnting;administntive a∝ ounting;accounting for ma―
Ⅸ導ementヵヽあ る とい う。A.A,A., Report of the 1958 COmmtttee on Ma―
nagernent Accounting,''The Ac∞ unting Review,April 1959,p.210.
(2)山 辺 六 郎 訳,『レーマ ン原価 計 算 』, 高 陽 書 院,1941年 (第二 刷), 8頁参 照 。 (Vgl.M・ R.Lchmin, Die hⅢstrielle KallKulation,"1925)。
(3)古川栄一著,『経営経理論』,千倉書房,1949年,4‑5頁参照。
(4)Go Seicht, Die Grenzbetrachtung in der Entwicklung des betrieblichen Rechllungswesens「 '1977, S.12; C. Dor■ , Die Entwicklullg der industrlellen Kostenrechnung in Deutschland," 1961, S.25。
(5)山 辺六郎 前掲訳書, 9頁参照。
(6)津曲直男著,『管理会計論』,国元書房,1977年, 8頁。
(7)なお,学説研究の立場からドイツ会計学について体系的・全面的にその果たす 機能 とのかかわ りで分析を行 っている数少ない成果 として,さしあた り,次を参 照。宮上一男編,『会計学講座6 シュマーレンバ ッハ研究』 および『 会計学講 座7 会計 と学説』,世界書院,1979年および1981年。
(8)松尾憲橘著,『管理会計論序説』,森山書店, 1967年,92‑93頁。ただし,松尾
教授では主にアメリカにおける管理会計論を考究した ものであり, ドイツの経営 会計論をとりあげる筆者 とは,考察対象 とい う点では暴なる。本稿は ドイツ経営
ドイツ1経営会計体系論の,展開(1)
会計論を対象に,その理論(学説)研究=実務ではなく一Q立場か ら,その論理 の果たす機能とo係わ りで管理会計的視点か ら考察を試みるものでぁる。
Ⅱ 経営会計体系論の展開
最近の ドイジ会計用語辞典ではつぎのようにのべられている。「会計は経済 単位(国民経済:国家,企業,家政)の情報システムの部分 として,経済財の価 値(=数量×価格)に関して価値計算したがって貨幣単位による計算により専ら 把握するものである。一中略一ilC営経済の財システムに包括される希少財の有 高 と運動は経済財投入の経済性を確保するために会計によって数量的・価格的・
価値的に把握され,管理され,監視される。価値把握 (もしくは価値模写)は
会計の二つの基本任務すなわち(→財有高と財運動の価値管理,lbl財有高と財運 動 の会計報告のための用具 として役立つ。財システムの価値管理 (もしくは操 縦)は企業指導に義務を持つ。枠れは主に市場経済に内在する貨幣目標たる成 果 と流動性を指向す:る。企業管理者はその場合,指導用具,計画 と統制を利用 す るも:財有高と財運動の会計報告は法規定・商人の慣行・任意の適用に基づ く。
報告の受手は種々の企業内部 と外部の関連集団である。経営経済の会計はした が って財有高と財運動の価値管理を目的 とした経済財の数量的価値的模写およ び内部,外部あ関連集団にたいする財処分についての会計報告の用真であ彎〕。
また,Go Seiぬtも1977年 に公 刊 した著 書 Die Gre彰狭難至mung in der Entwicttullg des betriebHchen Rerhnmgswesens"に おい て のべ て い る。「 現
代経営会計はそれ故,二つの明確に異なる任務を考慮しなければならない。ひと つには要求と論争なく結び付く成果の法的に保証された算定,事象についての 会計報告責任であり,も うひとつは経営意思決定を下すにあたり必要な代替案 を規定する数値見積もりを貨幣もしくはその他の数量単位で表現し確定するこ
(2)
とであるJと。例示されるようにドイツの経営会計論では近年,1経営会計をも
って経営管理 目的,外部報告 目的から二つの機能をはたす ものとす る理解が定
法経研究35巻3,4号 1987 着 した ともいえるだろ う。 もとよりこうした経営会計の機能認識は従来か ら存
していたのであ り,むしろ特徴的なのは「意思決定のための情報提供」の視点 が よ り前面に うちだされ,そこにおいて経営管理 目的のための会計が強 く主張 されていることである。別言すれば経営会計論が情報会計論,意思決定会計論 として展開されるとともに,そこにおいて ドイツ型管理会計論が以前にもまし てよ り明示的に位置づけ られていることが近年の ドイツ経営会計論のひとつの 特徴であると思われ る。ではこうした傾向は一体なにを合意するの で あ ろ う か。 また,それはいかなる現実的課題を担 って機能 しているのであろ うか。 こ の点についての考察が以下の行論の対象 となるのであるが,ここでは,考察へ の前段階 として経営会計体系論の展開過程を大雑把にではあるが概観 し,そこ
において ドイツ型管理会計論が どのように位置づけ られてきたのかについて若 千の確認を してお くことに しよう。
まず,ドイツにおける経営会計体系化の最初の試みはA.mmёsによる Die F茄五kbuchhaltunピ'1922年における簿記・原価計算および統計のいわゆ る経営 計算制度の三分岐説がみ られる。しか し,竹こでは計算手法の相違を基礎 とした ものであ り,計算 目的か らす る分類でなか った。Eo Schmalelllb∝hはこれに対 し て,1927年の論文 Der Kontenrahmen"に おいて計算 目的の観点か ら財務簿記 と経営簿記 との分類を示 した。 この分類はその後版を重ねてい く Grundlagen der Selbstkostenrechnung"な どに受け継がれてい くのだが,そこでは簿記 と はすべての書式・記録制度および統計的記録を包括す る最広義に撮えられ,対
外的な性質を持つ財務簿記に対立す るものとしての経営過程の管理のための経 営簿記が位置づけ られた のであ」だ。 このほかSCh醐 btthとともに経営経 済学者 の第一世代を構成す るE.W』bや F.Leitnerな どに よりそれぞれの体 系論が展開さ五健が,こ ぅした sChmienbachを中心 とす る主張が 当時 の ド イ ツにおける価格凍結命令 (PreiSStOpvenordunめ に よる価格形 成 の 市 場 か
ら経 営 内 部への重点移行, また 帝国経済相命令「経済性布告」(WirtSChaft―
lickettserLtts)に よる経済性原理の追及 とい う状況を背景に, 国家 の経営会計
ドイツ経営会計体系論の展開(1)
にたいす る関心を促す ことか ら生 じた,組織づけられた会計 としての帝国監督 局に よる「 簿記組織基準」あるいは「 帝国 コンテンラーメン」へ と結実 してい き,文献上 の簿記・ 原価計算・計画・ 統計 とい う会計四分類を定着せ しめるこ とになるのであるが,ともあれ,この当時の経営会計体系論では国家主導のも とでの経済性増進を企図した計算手法の統一化に重 きがあ(;lま
た経営管理機 能認識の視点が今 日的意味で考慮されていた とはいいがたい ものであった。 と
ころで当時, 経営会計の体系化に関する論議が より明確に表面化 したのはH.
Nicklischを座長 とす る経済管理委員会における術語専門委員会試案 (1929年)
および確定案(1930年)の発表をめ ぐってであった。確定案では企業に役立つ各 種 の計算方法を統一化 し,そこに用い られる術語の統一を図ることを企図して,
計算客体 と計算 目的 との分類基準のもとに,前者を事前計算・ 事後計算・比較 計算に,後者を全体経営・ 部分経営・給付単位 とに区分 し簿 記・ 原 価 計 算・
予算・統計 の四つの計算方法をそ こに体系づけるものであったが,この体系表 をめ ぐって,また,前年に発表された試案を め ぐ っ て Ko Mdlerowics,E.
Geldm∝her,M.R.Lchmmn,Ho Nicklisch等 か ら批判が よせ られ 計算体系(7)
と術語統一は ドイツ経営経済学における一つの重要課題 となったのである:し
か し,そこでの論議 もLehmttnなどにおいて内部的経営計算 と計算報告 との 機能論か らす る分類を試みはみられるものの,明確 に外部報告 目的 と経営管理 目的 とを区分す る標識をしめす ものでな く,計算手法の特性にもとづ く体系論 に終始 した といえるものであった。
こうした伝統的四分類 (klaSSiSChe Vierteilu13に たいして,経営会計を機 能的視点か ら外部会計・内部会計 とに明確に二大別す る試みは,第二次対戦後 の とくに60年代初期のE.Schndderにおいて典型的にみ られる。SChndderは 著書 Industrielles Rechnungswesen,3.Auflub●e"1961年において「 会計 とは
(→現実の事象数値的写像 とlbl管理に際 しての意思決定のための数値的基礎を獲 得す るために 日標ある企業において着手され るすべての記録お よび計算 (ラテ ン語のXЫkuleに 相当す る)の総称である」として特 に意思決定 とのかかわ りで(10)
法経研究35巻3・4号 1987 外部会計の中心である営業簿記 と内部会計ない し経営計算(Betriebsrechnung)
との結合について詳細に論 じている。かれは,拾こにおいて「会計のそれぞれ の分肢が,会計の他の分肢を妨害することな く,また分肢間の論理的かつ有機 的結合を阻害す ることな く,それぞれが解決 しなければならない課題にてらし て解決P・…・」 とのいわば二元論的立場か ら両者の結合を企図したのであらた。
他方,SChneiderと前後 してまった く新 しい経営会計体系論を 展 開 した の は Virkkunelllである。Virkkunenは1956年にあ らわ した著書 Das Rechnungslvesen im Dienste der Leitung"に おいて会計の内容はその 目的 と計算状況に依存す
るとの命題か ら計画計算・ 統制計算・ 情報計算 との区分をしめした。 ここで計 画計算は一定の行動可能性の目標最適な選択である代替案計算 と将来の資料 も しくは状況の判断のための日標設定たる予定計画の枠での規範 もしくは標準の 設定にや くだつ 目標計算に区分 され る。統制計算は第一義には予定一実績比較 に よる経済性 と収益性の過去関連的統制にや くだつ ものとされる。そ して会計 は この計画 と統制のはかに外部にむけての代表 もしくは結合の堅持にもや くだ ち,それを法規定か ら生ずるとともに他方で個々の企業政策上の目標を達成す るための情報計算 と位置づけたのであった。 こうした Virkkunenの計画・統 制 の区分に よる体系論は後年 のZybonの1969年の著書 Rechnllngsttesen und Organization", Do Hahn の Planun.Os―und Kontrollrechnung(■ s Fthrungs―
instrument"1974年において もみ られるが K.Dellnlannに よって経営管理関
(13)
連的会計考察の抜 きん出た基礎 として評価 され るものである。当時の ドインで は,50年代末の景気激変 と,60年代に至 っての急速 な経済発展 と技術進歩が企 業 における計画化・不確実性下の意思決定の重視を促 し,かかる傾向のもとで
の体系化論が展開された といえるだろ う。
さて, ドイツにおいてはほぼ1960年代後半以降,新たな装いのもとに経営会 計体系論の展開がな られる。例えばH・ Minstermmnは「 企業家的方策に と ってもっとも重要な情報源 として,全体的経営計算の統一ある指導理念 のもと にそれ ら (簿記 と貸借対照表か らなる期間計算,原価計算,計画化)を結ぶ こ
ドイツ経営会計体系論の展開(1)
とによって企業計算(UntemehmЩ呼 cbn呼め によ りはじめて経営計算制度 のまとまった体系がつ くりだされた」 と自ら後述するように,伝統的経営会計 論か ら意思決定指向的企業計算への 展 開 を 企 図 し て Untemehmungsrech―
nung"1969年をあ らわ した。 また,K.ChmidⅣiczは 三分冊か ら な る著 書 Betriebliches Rechnungswesen"を 1973年にあらわし資金計算・貸借対照表計 算・ 成果計算 とを過去計算 と将来計算 とのかかわ りで一体的0有機的に結合せ しめ,そこにマネージメン ト・ インフォーメーシ ョシ0システムた る性格を付 与 しようとの視点か ら経営会計体系論を展開した。Ho Weberも1973年に発表 した著書 Betriebswirtscl臨fthches Rechnungsweseall"に おいて「 経営会計の 部分領域に関 して現在数多 くの公刊物が存在 しているにもかかわ らず,経営経 済会計の全体考察は最近のわずかのものしか示 されてい慇マヽ」 とぃ ぅ批 判 か ら,従来 の簿記・ 原価計算・ 計画・統計の会計分類 とは別の視点か ら経営会計 の体系論を展開 した。
また,Ho Wedenは著書 Gmnolagen des bet五ebs―
wirtschざ uichell RechnulllgsTsens"において「 会計領域に関する一般書 とは異 な り,この研究成果 は経営における全ての認識可能な価値運動を正 しく記帳す ることにはない。む しろ重要なのは経済領域における意思決定担い手の情報欲
(17)
求を例証することにある」として,やや法関連的期間計算たる簿記 と年度決算 に重 きをおきながらも,情報論的立場から経営経済的会計制度の部分領域の体 系に関説 している。
ところで上のような1960年代後半以降の経営会計体系論に共通 してみられる のは,情報論的ないし意思決定論視点が一層明確なものとなり,意思決定のため の情報提供機能を重視した統一会計システムの構想がなされていることである。
こうした情報論的ないし意思決定論的展開は,1966年のASOBATを契機にそ
れ以後のアメリカ会計理論において支配的傾向といえようが ドイツ経営会計論 のアメリカナイズの現象をしめす ものであろう。また,そこにおいて注 目され るのは捨 うした統一的会計システムの構築を企図す る と と もに,Fthrung;
Steuerung;Lenkungi Mttagemellti Leitung等 の用語を用いて経営会計の管
法経研究 35巻304号 1987 理 会 計 的 側 面 が 強 調 され,以前 に も ま して 経 営 会 計 の果 た す べ き経 営 管 理 機 能 が 明 示 的 に 位 置 づ け られ て い る点 で あ る。 で は こ うした 傾 向 は一 体 な に を 合 意 す る の で あ ろ うか 。 も と よ り,その 合 意 は ドイ ツ会 計 制 度 の有 り様 に そ く し て,経営 会 計 に ふ さ れ る現 実 的 課 題 との か か わ りに お い て 捉 え られ な け れ ば な る ま い が,以下, 最 近 の Kdkhofの著 書 に 依 りな が ら若 千 の考 察 を 試 み る こ とに した い 。
注
(1)K.DellIIlann,Rechllungswese■ ,Systematik des,h:̀̀Han赫税terbuch des Rechnungswesens"(2:Auflage),HrSg.vOn E,Kosiol,Ko ChmielewicZ,M.
Schweitzer, Stuttgart, 1981, Spt。 1416.
(2)Go Seicbt, Die Grenzbettachtung in der Entwickhng deS betrieblichen RechIIlungswesens,''aoa。0,, S.13‑14.
(3)古 川 栄一著 ,『経営経 理論』前掲,57頁参照 。
(4)Vgl.F.Leitner, Die Selbstkosten―Berechnung industrielbF Betriebe''9.
Aufl.,Frankfurt,1930;E.ミヽlb,̀̀Kaufmannische Betriebsw■rtschaftslehre,"
Lcipzlg,1938.
(5)K.Dell■unn,Rechnungswesen,Systematik des,a.a.0。 ,Spt.1418。
(6)Vgl.R.Borkowsky, Die Bihnztheorien und ibre wirtsttftlichen Grund‐
lagen,"Zttich,1946,S。,190‑191.(松尾憲橘・ 鈴木義夫 共訳 ,『 ドイ ツ会計学 説 史』,森山書店,1981年,177頁)。
(7)Vgl.E.Geldttcher,Grundbegriffe und systemtiScher Grundri3 des betrie―
blichen Rechnungswesens, h: ZfhF, 1929; K. ・■41ellerowics, Kostelll und KOstelllrechnung II Kosterlrechnung,'' Berlin, 1986.; II, Nicklisch, ̀̀I)ie Betriebsw士tsclnft''7.Aufl.,Stuttgart,1932: M.Ro Lehm・ ann, Die Syste―
■ntik des Rechnungswesens des Betriebs und der Unterllehmullg,In:Z』 Iw.
u:HP,1926; Derselbe,Theorie und Orgallisation der lndustriebuは lbaltung hit besollderer Bricksichtigung der Problenle der ErfolgssPaltung und kurz‐
fristigen Erforgsrechnung,In:ZfB。 1929 und 1930.
(8)古 川 栄一 著,『経 営 計 理 論 』 前 掲,65‑94頁参 照 。
(9)H.K.Web6r, Betriebsw廿tschaftliches Rechnungswesen''(2.Aufhge), Minё hen, 1978, S. 6.
(10)宮本匡章訳,『シュナイダー エ業会計システム』,千倉書房,1079年,序文i
ドイツ経営会計体系論の展開(1)
頁。(Eo Schneider, Industrielles Rechnungswesen"(3.Aufhge),Toわingen,
1961)。
(11)宮本匡章訳,前掲書,210頁。
(1の Ko Delinmin,Rechnungswesen,Systemtik des,a.aoO.,Spt.1418‑1419.
(14)浅羽二郎監訳,『H・ ミュンスターマン 企業計算論』,同文館,1977年,日本 語への序文 6… 7頁 (Ho MinStem鯰 旱n, Unternebmungsrechnung― Untersu―
chungen zur Bilanz,Kalkuhtion,Phnung mit Einfilhrungen in der ttti zellrechnung, Graphentheoric und Linαre Progra・mierung," WieSlttden,
1970)。 なお,括弧内は引用者による。
(15)Ko Chn■ielewiczの本著については,以下の拙稿において検討 した。「 ヒミール ビッツの経営計算制度論」(『経理知識』,第62号お よび63号,1983年お よび1984
年),「シュミーンヴレッツ経営会計論の現実的意義J(『会計』,第128巻 5号,
1985年,「西ドイツ経営会計論あ今日的課題一シュミーンブィッツを手掛か り
に一」 σ鹿 児島経大論集』,第26巻3号 ,1985年)。
(16)H.K.Weber, Betriebs宙 rtsttftliches Rechnungswesen,"a.aoO。 ,Vorwort
VII.
(1つ Ho Wedell, Grundlagen des betriebswむ tschaftlichen Recl■nungswesen"2.
Aufl.,Berlin,1980,S.3.
Ⅲ
経 営会 計 体 系論 の新 しい展 開―一Kalkhofを中″きに一一
W。 珈 khOfは1985年 に Neue Entwicklungen der halldelsrechuichen Rech nurlgskgung oL EG―Richtlinie ulld Gesetzenwllrf Bilanz五 ぬtlinie―Gesetz von 26.8.1983)und managementottmtierte information〔mfbereitung der Vermё ― 静齢‑9 Finttz̲9 md Eゴ olgslage"な る著書をあ らわ した。本著 はそ の題 日か
らしれ るよ うに ヨー ロッパ共同体第四号指令の ドイ ツ会計法への転換過程につ い て 1983.8.26の 貸借対照表基準法案 とのかかわ りで商会会計への論考を試み たものである。その意味では,外部報告会計を考察の対象としたものといえよ
うが,内容の上では,Management―Rechnllrlgssystem という会計領域を設定 し,捨れ と外部会計報告 とを並立して,特に前者の管理会計的な視点から外部
経法研究35巻3・4号 1987 会計報告 したが って商法会計に接近 し,さらには両経営会計領域を結合せしめ た情報能力ある経営会計の体系化を構想 している。また,かれのい うMmage̲
ment―Rechnungssystemな る概念はアメリカの mmagement∝countingに 類 す るものであ り,よ リアメ リカナイズされたかたちで ドイツ型管理会計論が展 開されている点 は最近の傾向と軌を一にす る。そ こで以下においては最新の経 営会計体系論 の一端 として この 回 khOfの著書を取 り上げ, 近年の ドイツ経 営会計論の動 向にアプローチし,その合意す るものに若千の考察を くわえてみ
ることに したい。
1.聰曲ふご の問題設定
それでは翻 k'Ofは どのような問題意識か ら自身 の理論を展開す るのだろ う か。はじめにその点について明らかにしておこう。かれは自身の問題の所在 と
して次のように述べている。
「最近,まさにおおやけの議論において 企業危機 と企業倒産 とをマネニジメ ン トの欠如に結び付け ようとす る傾向を認識 しうる。考えられる原因の一つ と してマネージメン トの『 悪化 した情報状況』が指摘 されている。意思決定の結 果一それは一般妥当する意義を もつ のだが一は本質的に情報を利用する意思決 定基礎の質によって決定される。しかし,情報獲得 と情報選択自体は意思決定 問題である。外部会計の枠組では,立法者が法律上の会計規定の規範化により
この問題解決のための主要な役害Jを担っている。一中略一新法による会計にと っての手掛か りは,年度決算書が『企業の財産・財務・収益状態に関して実質 的関係に合致した写像を提供』しなければならないとする目標規範である。し たがって,外部年度決算書はただ社員 と債権者の保護に役立つだ け で な く,
『一般的観点のもとで正当で』なければならなヽも。また,「財産・財務 0成果 状態についての情報は企業過程の判断 と操縦および企業の継続に関して見過ご す ことのできないパラメーターのひとつである。企業内部の意思決定の基礎は 法律上規範化された情報のみならず,経営経済的基準により確定され,企業内
ドイツ経営会計体系論の展開(1)
部の原則に基づき選択 され る情報でもあ りうる。搭の際,後者 の展 開 は 実 質 的・形式的変化にさらされる過程である。財産̀財 務・成果状態についての情 報選択に とっての構想上の考察の目標 となるのは レリバ ン トな意思決定パラメ ーターを包括 した会計システムを展開し,企業指導の担い手たる企業のマネー ジメン トに意思決定指向的な情報を提供することである。その場合,外部会計 譜言情報の存在価値はその情報関連性および意思決定関連性によって決定され る」 と。そ して,上のような観点か らかれは研究の対象 として次の諸点をあげ ている。
第一に,年度決算書の言明能力に とっての決定的 メル クマールは会計報告 と 結 び付 く目的お よび 目標設定であ り,会計報告構想を明確にす るものである。
そ こでEC第四号指令 と貸借対照表基準法にもとづ く会計報告の構想上の基礎 をつ くりだす ことが以下の議論の目標である。第二に
,EC第
四号指令の規制 は実質的関係への指向を前提(支配的要件)としているが,この 目標設定の転換 が正当か どうか,あるいはどれほ ど正当かが以下の分析の対象 となる。第三に, 貸借対照表作成実務に とって従来の法状態か らの転換が相違を生みだしたか,またあるとすれば どのような相違なのか,そして経営会計の領域においていか なる適合措置が とられるのかを解明する。第四に,会計報告が実質的関係に合 致 した写像を提供 しなければならない とい う商法規定の目標形成の視点か ら外 部報告規定に基づき作成 される情報が,財産・財務・成果状態 の経営内的管理 に とって もひきあげ られるか どうかを吟味しなければならない。第五に情報お よび意思決定指向的な外部報告会計の分析が経営経済的基準により形成され,
経営内の要請をも考慮す る適切な判断尺度を要求するが,それは同時に財産 。 財務・損益状態についてのすべての情報および意思決定関連的分析を包括し, 相互依存性を透明にするために全般的かつ統合的に構想されなけれ ばな らな い。
み られるように 回 khOfにあっては「 企業の財産 。財務・収益状態の実質 的関係に合致す る会計情報」を結合帯 として外部会計 と内部会計 との結合をは
法経研究35巻304号 1987
か り,それ に よ り情報能 力あ る経営会計 の統一 システ ムを構想 しよ うとす る。
つ ま り,かれ のい うところに したが えば「 外部報告 と内部情報要件 との二致が どれほど与えられるかが明らかにされねばならない。外部会議報告の情報関連 性 と意思決定関連性 とによって同時に内部会計の範囲と構成も影響される,内
部会計は本質上,残余の情報を準備するとい う任務を うけもつ。それは管理意 思決定に変更余地のない,しかし外部会計報告によって法規定の決定から提供 されないか,ないしは提供されえないような情報である。外部会計報告が1内部 の要請にどれほどにこたえるか とい う言明に応 じるには新法による会計報告の
(3)
構想上の基礎が情報および意志決定指向的に分析されねばならない。」そして,
「 ■ネージメン ト計算システム(Management―Rechnungssystem)と EC第四 号指令ないし貸借対照表指令との結合は用具の分析を経て情報および意思決定 指向的観点からおこなわれる。その際,マネージメン トの利害 と情報要請が中 心である。 ここでは法的会計報告構想により提起される実質的関係を模写する とい う要請を評価するための尺度 としてマネージメン ト指向的情報選択が基礎 となっている。分析の焦点は貸借対照表論的構想,用具の目的および目標設定 ならびに成果・財務・財産状態 とい う目標パラメーターで あ る」。Kdkhofに よれば成果,財務・財産状態 とい う目標を具体的に担 う用具は経営成果計算・
経営財務計算・経営財産計算であ り,それらは特定の意思決定状況に依存する 情報の受手の要請によって決定されるものとい う。ここで経営成果計算は経済 的給付能力,成果の源泉,企業の給付潜在能力を危険にさらす ことなく企業か ら引き出し可能な利益額にういて情報提供する用具であ り,経営財務計算は財 務領域における短期意思決定に必要な財務的資金の源泉,利用,有り高につい ての流動性指向的情報を提供する用具である。そして,経営財産計算 とは財産
状態の管理意思決定のために必要な経済的資源ないし成果潜在能力についての 情報提供用具である。かれは,これらの情報用具を基礎にして,要請される成 果・財務・財産状態にかかわるマネージメン ト指向的情報に照らして外部会計 報告したがって商法会計 (よ り詳細にいえば貸借対照表基準法)に分析を試み
ドイ ツ経営会計体系論の展開(1)
図1 経 営会計枠 内での用具 と分析重点
̀ 〔出ワi〕 W.Kalkbof,Neue Entwickhng der handelsrechtlichen RechrLu13gslegung und lnanagelllentorientierte lnformation‐
aufbereitung der VFE. a.a.0。 , S。 , 14。
る の で あ る (図 1参照)。
上 のように
,Llkhdは
いゎば管理会計論の立場か ら外部報告会計に接近 し,そ こか ら経営会計の統一化を企図している。 こうしたかれの問題設定が情報論 的,意思決定論的視点か ら理論展開され,よ り明示的に ドイツ型管 理 会 計 論 (マネージメン ト計算システム)を位置づけていることは最近の経営会計論 と 軌を一にす る特徴であるとおもわれる。それではこうした傾向は何を合意する のだろ うか。以下
,翻
khOfの主張をおってみ よう。マネージメント計算システム
法経研究35巻304号 1987
2。 経営会計の任務
さて
,瓢
khOfは上のような問題設定を述べたあ と,続いて経営会計の任務 について関説 している。かれはシステム論的視点か ら企業を捉え,システムた る企業におけるサブシステムである意思決定システムと情報システムとが密接 に関連す ることか ら,まず企業における意思決定システムとその情報欲求を明 らかにし,給の うえで情報システムの構成部分た る経営会計の任務を説 き起 こ している。かれに よれば,こ こでの考察は経営経済的基準により構成され,そして財産・財務・ 損益状態の目標指向的管理を可能にせ しめるマネージメン ト 計算システムに帰着するとい う。そ こで,K韻l血Ofの 経営会計体系論に接近す
る上でなによ りもかれが意思決定システムと経営会計 との関連を どのように捉 えるかについて考察 してお く必要があろ う。
まず,意思決定システムについてのKalkhofの 説明はほぼ次の通 りである。
最近の経営経済学の文献では企業はまさに諸 々の利害集団の連合体 と記述 され ている。社会パー トナーシャフ トの思考に基づ き連合体理論は企業は現実の, そ して潜在的な連合体成員の個々の目標観念の実現のための用具 と定 義 さ れ
る。連合体成員は連合体 との関係および取 り引 きを この意思決定により確定す る。それゆえ,かれ らは意思決定の担い手 と定義され,その意味で意思決定シ ステムの要素 とみなされる。 この意思決定担い手の意思決定プロセスは本質的 に個々の 目標観念 と,日標観念が企業 との協働により達成される可能性 とに依 存す る。個 々の 目標観念 の実現度を数量化す る上で意思決定担い手は情報を必 要 とす る,と。 しか しなが らKttkhofに よれば こうした意思決定担い手のすべ てが 自身の情報欲求を充足す る可能性をもつわけではな く,よ り立 ち入 った分 析には同質 の意思決定担い手集団の同質 の意思決定担い手に区分がなされなけ ればならない とい う。そ こでかれは法規定に基づ き作成 され る情報の提示 され る外部の意思決定担い手 と法規定による情報以外の企業内部情報をも利用 しう る内部の意思決定担い手 とに 区分 して 次のように述べるのである。「個 々の意
ドイ ツ経営会計体系論の展開(1)
図2 経営会計の情報流列とサブシステム 注)矢印は情報の流れを示す
〔出所〕W.Kalu■of,Neue Entwicklung der lnndelsrechtlichen Rechnungslegung und inanagelllentcrientierte lnlorlmation―
a・ll量)ereitung der VFE.ao a。 0.,S。,36.
思決定担 い手 ない し意思決定担 い手集団の種 々の 目標観念 は内部 と外部 だけで な く外部 の連合体成員 の間 での利害衝突 を うみだす ものであ ぎ。」「 こ ぅした状 況 の も とで法的枠 条件 の構想を もつ法設定機 関には特別 の責任が うまれ る。企 業 の外部会計報告 の構成・ 言 明能 力を行使す る法規範 はそれが生産力あ る秩序 あ る政策的枠組 みを形成す る よ う構想 され なければな らない。詳細には法規定 が,内部 お よび外部 の意 思決定担 い手 の要請 と目標設定 とを考慮す る,連合体 システムに内在す る1成員間 の利 害対立 の調整 を可能 とす る,すべ ての連合体成 員 に とって十分 な 目標 達成水準 を保証す る よ うに形成 され る ことをそれ は意味
してぃZLと 。. ―
ところでKakhofによれば会計報告規定をさらに総合経済発展のための管理 計画システム
分析システム
法経研究35巻3・4号 1987 用具 として設定するには,立法者 は法規範のなかに貸 借対照表形式 と評価の選 択権を内包 しなければならない。 この ことは会計上 の統一にたい して会計政策 的意思決定余地つ ま り貸僣寿照装拝蔑薯ボ法畠た夏尊ζれ走行為基遮あ枠 内で 自身の固有 の目標観念を一程度実現す ることを理由づけるものであるとい う。
したが って,外部会計報告は情報 の送 り手 としての貸借対照表作成者たる企業 と諸 々の外部情報受手 との「 目標指向的情報プロセス」(Zie10dentierter lnfo■
卑ationsproz醐
'と
して位置付けられ,個々の連合体成員の諸 々の利害 状 況 の 調整問題は貸借対照表作成 と評価に責任ある企業のマネージメン トに部分的に
(9)
委ねられるとされるのである。
さて以上がKalkhofのい う経営会計と意思決定システムとの関係である。み られるように,かれはとくに外部会計報告 とのかかわ りにおいて経営会計の任 務にういて関説している。 もとより,経営会計では内部意思決定担い手の企業 操縦ないし目標形成に要する内部情報システムも内包するものである(図2参 照)。 その場合, かれが内部情撃ィ不
=台な外疑合計情報以外の残余の情報を 準備するものと捉えることは既に`
みたとこちである。かれは外部会計報告と内 部情報要求との一致がどの程度あたえら‐れるかが内部会計すなわち内部情報シ ステムの構成 と範囲に影響するとのべている。そのため,成果・ 財務・財産状 態のマネージメン ト指̲向的情報選択を外部会計報告の評価基礎 として用いるの である。かれは内部の意思決定担い手つまリマネージメン トの情報欲求を媒介 として,外部会計報告 と内部情報ジステムとを接合し,もって経営会計の「意 思決定指向的な情報提供」とい う任務を果たす ものと捉えるのである。かれは い う。「経営会計あ荏務
'ま
き子̲、意思決定
:?警 ll貴≧F事思決定関連的情 報 を 提供することにある(準備機能)。 この機能を果≒す●ゅ 会 計 とい うシステム は過去および将来指向的デ■夕:を環境か夢把 握Lなければならない (把握 機 能)。 それは価値的に模写し(模写機能),そして,意思決定関連的情報に変形 しなければならない(変形機能)。 この個別情報の総計が『意思決定指向的な経 営会計の情報機能』(entSCheidungso五 entierte lnformationsfunkutioll des be‐
ドイツ経営会計体系論の展開(1)
trieblichen RechnungswesellS)と い う概念で要約され る。」 と。
3.財産・ 財務・ 成果状態についてのマネージメン ト指向的情報選択 マネージメン ト指向的な財産・財務0成果状態 (以下VFEと略称す る)の
情報選択の 目標 と目的は情報の受手の要請か ら誘導される。 さらに
VFEの
管理は個 々の意思決定の列を要請する。1内部会計情報の主たる受手であるマネー ジメン トの機能 と企業関連的 目標に基づ き以下 ンリバン トな意思決定関数が定 義され,意思決定適合的会計用具に とってのプロフィールが形式 化 さ れ る。
Kdkhofはこう述べて
,VFEに
ついての情報選択問題を論 じ,その上でマネ ージメン ト計算システムの構想を具体的に展開している(図3参照)。 われわれ は,このかれの構想を ドイツ型管理会計論の今 日的展開の一端 として位置付け るものである。そ こで,かれの ドイツ型管理会計論の実質的存立の意義を とら える上でも,次にVFЁについての情報選択問題を とりあげなければならない図3 マネージメ ン│卜計算 シス テムの構造
〔出所 〕 W.Kalkhd,Neue Entwicklung der hndelsrechtlichen Rechnullgslegung und llllanage■ lelltOrientierte hfor=ntion‐
aufbereitung der VFE.a.a,0。 ,S,;63.
マネージメント計算システム