都市河川感潮域における水質の変動特性に関する研究
A Study Variability Characteristic of Water Quality in Tidal Area of Urban River
土木工学専攻
42号 山角康樹
Yasuki Yamakado 1.はじめに
都市部の河川では,高度経済成長期を中心に洪水 や高潮から生命や財産を守るため非常に高い治水安 全度を有する河川整備を行ってきた.しかしその反 面,親水性を失い河川に背を向けた町並みが形成さ れ,景観はもちろん水質も悪化し人々の癒しの場や 生物の生息可能な河川環境とはいえない状況にあっ た.近年,河川法改正や下水道の普及率の増加,地 域住民の水質改善意識の向上などさまざまな要因に より,都市河川の水質環境は画期的に改善されてき たといえる.しかし,都市河川においては流水のほ とんどが下水処理場からの放流水であるとともに,
外海からの塩水遡上の影響を受けるなど,非常に複 雑な水質環境を形成している.したがって,複雑な 都市河川の現状を把握することで,将来の水辺開発 の一助となりうるデータを残し,水質汚濁に対する 対策を考えることは非常に重要である.そこで本論 文では,都市河川感潮域である日本橋川を対象とし て,①降雨時の水質の時系列特性,②平水時におけ る浚渫前後の水質変化,③短周期の流速変動の時系 列特性の
3つの観点に着目して現地観測を行った.
2.日本橋川における降雨時の現地観測 2-1.現地観測の概要および方法
現地観測は日本橋川を対象とし,降雨時に溶存酸 素,塩分,水温および流速を鉛直方向
5地点(水面 から
30cm,
3割水深,
5割水深,
7割水深,河床から
30cm)において24
時間連続で
1時間毎に測定した.
これまでに日本橋川において降雨時に実施した計
6回の現地観測概要および分類を表-1 に示す.なお,
各観測を
Ev1〜Ev6とした.
2-2.現地観測結果
著者らは,従来から日本橋川において降雨時の水 質に関する現地観測を行い,現段階までで降雨によ
表-1 日本橋川において実施した降雨時の現地観測の 概要および分類
Ev6 Ev5 Ev4 Ev3 Ev2 Ev1 名称
全層で100%
に上昇 全層で
低下 -- -- 89 16 2008年 14
5/17〜22
全層で100%
に上昇 -- 82.3 84.5 51.5 14 2010年 8
11/1〜6
全層で100%
に上昇 全層で
低下 46.0 54.8 58.5 5.5 2010年 17
10/30〜11/1 大規模降雨
全層で低下 全層で
低下 30.8 37.2 20 10 2007年 2
8/28〜9/5 中規模降雨
降雨前と変 化なし 降雨前 と変化なし 13.6 -- 10.5 4 2009年 7
11/2〜10
降雨前と変 化なし 降雨前 と変化なし 2.6 18.9 19 8 2008年 6
5/10〜17 小規模降雨
降雨後の 溶存酸素飽 和度の変化 降雨後 の塩分 濃度の 変化 流速 (底層) (cm/s) 流速 (表層) (cm/s) 総降 雨量 (mm) 最大 降雨 強度 (mm/h) 降雨 継続 時間 (h) 観測日 分類
Ev6 Ev5 Ev4 Ev3 Ev2 Ev1 名称
全層で100%
に上昇 全層で
低下 -- -- 89 16 2008年 14
5/17〜22
全層で100%
に上昇 -- 82.3 84.5 51.5 14 2010年 8
11/1〜6
全層で100%
に上昇 全層で
低下 46.0 54.8 58.5 5.5 2010年 17
10/30〜11/1 大規模降雨
全層で低下 全層で
低下 30.8 37.2 20 10 2007年 2
8/28〜9/5 中規模降雨
降雨前と変 化なし 降雨前 と変化なし 13.6 -- 10.5 4 2009年 7
11/2〜10
降雨前と変 化なし 降雨前 と変化なし 2.6 18.9 19 8 2008年 6
5/10〜17 小規模降雨
降雨後の 溶存酸素飽 和度の変化 降雨後 の塩分 濃度の 変化 流速 (底層) (cm/s) 流速 (表層) (cm/s) 総降 雨量 (mm) 最大 降雨 強度 (mm/h) 降雨 継続 時間 (h) 観測日 分類
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 20 15 10 5 0
–40 –20 0 20 40
–100 0 100
溶存酸素飽和度 [%]
中層 (5割水深 )
上層 (水面から 30cm)
日本橋川西河岸橋における潮位と溶存酸素飽和度の時系列
中上層 中下層
下層(河床から 30cm )
5月17日
T.P.潮位 [cm]
降雨強度[mm/h]
2008 年5月17日〜 5月22日
(練馬地点)
18日 20日
流速[cm/s] 順流逆流
19日 21日 22日
0 5 10 15 20 25 30 35
塩分濃度 [‰]
日本橋川西河岸橋における潮位と塩分濃度の時 系列 2008 年5月17日〜 5月22日
5月17日 18日 19日 20日 21日 22日
総降雨量:86mm 最大降雨強度:16mm/h
中上層
表層(水面から0.3m) 5割水深
中下層
下層(河床から0.3m) 潮位(気象庁:晴海)
5月17日 18日 19日 20日 21日 22日
100 60 80 40 20 0
0 10 20 20 -200
30 25 20 15 10 5 0 0 100
溶存酸素飽和度(%)塩分(‰)降雨強度 (mm/h)潮位(cm)流速(cm/s) -100
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 20 15 10 5 0
–40 –20 0 20 40
–100 0 100
溶存酸素飽和度 [%]
中層 (5割水深 )
上層 (水面から 30cm)
日本橋川西河岸橋における潮位と溶存酸素飽和度の時系列
中上層 中下層
下層(河床から 30cm )
5月17日
T.P.潮位 [cm]
降雨強度[mm/h]
2008 年5月17日〜 5月22日
(練馬地点)
18日 20日
流速[cm/s] 順流逆流
19日 21日 22日
0 5 10 15 20 25 30 35
塩分濃度 [‰]
日本橋川西河岸橋における潮位と塩分濃度の時 系列 2008 年5月17日〜 5月22日
5月17日 18日 19日 20日 21日 22日
総降雨量:86mm 最大降雨強度:16mm/h
中上層
表層(水面から0.3m) 5割水深
中下層
下層(河床から0.3m) 潮位(気象庁:晴海)
潮位(気象庁:晴海)
5月17日 18日 19日 20日 21日 22日
100 60 80 40 20 0
0 10 20 20 -200
30 25 20 15 10 5 0 0 100
溶存酸素飽和度(%)塩分(‰)降雨強度 (mm/h)潮位(cm)流速(cm/s) -100
図-3 日本橋川における流速,潮位,溶存酸素飽和度,塩分の時 系列(Ev4:2008/5/17-5/22)
総降雨量:20mm 最大降雨強度:10mm/h
0 10 20 30 40 50 60 20 15 10 5 0
–40 –20 0 20 40
–100 0 100
溶存酸素飽和度 [%]
中層( 5割水深)
上層(水面から 30cm )
日本橋川西河岸橋における潮位と溶存酸素飽和度の時系列
中上層 中下層
下層(河床から 30cm )
8月28日 29日 30日 31日 9月1日
T.P.潮位 [cm]降雨強度[mm/h]
2007 年8月28日9:00 〜9月4日21:00
2日 3日
(練馬地点)
4日 流速[cm/s] 順流逆流
0 10 20 30
8月28日 29日 30日 31日 9月1日 2日 3日 4日
60 50 40 30 20 10 0 0 10 20 20 -200
30 20 10 0 0 -100 100
中上層
表層(水面から0.3m) 5割水深 中下層下層(河床から0.3m)
潮位(気象庁:晴海)
溶存酸素飽和度(%)塩分(‰)降雨強度 (mm/h)潮位(cm)流速(cm/s)
総降雨量:20mm 最大降雨強度:10mm/h
0 10 20 30 40 50 60 20 15 10 5 0
–40 –20 0 20 40
–100 0 100
溶存酸素飽和度 [%]
中層( 5割水深)
上層(水面から 30cm )
日本橋川西河岸橋における潮位と溶存酸素飽和度の時系列
中上層 中下層
下層(河床から 30cm )
8月28日 29日 30日 31日 9月1日
T.P.潮位 [cm]降雨強度[mm/h]
2007 年8月28日9:00 〜9月4日21:00
2日 3日
(練馬地点)
4日 流速[cm/s] 順流逆流
0 10 20 30 0 10 20 30 40 50 60 20 15 10 5 0
–40 –20 0 20 40
–100 0 100
溶存酸素飽和度 [%]
中層( 5割水深)
上層(水面から 30cm )
日本橋川西河岸橋における潮位と溶存酸素飽和度の時系列
中上層 中下層
下層(河床から 30cm )
8月28日 29日 30日 31日 9月1日
T.P.潮位 [cm]降雨強度[mm/h]
2007 年8月28日9:00 〜9月4日21:00
2日 3日
(練馬地点)
4日 流速[cm/s] 順流逆流
0 10 20 30
0 10 20 30
8月28日 29日 30日 31日 9月1日 2日 3日 4日
60 50 40 30 20 10 0 0 10 20 20 -200
30 20 10 0 0 -100 100
中上層
表層(水面から0.3m) 5割水深 中下層下層(河床から0.3m)
潮位(気象庁:晴海) 潮位(気象庁:晴海)
溶存酸素飽和度(%)塩分(‰)降雨強度 (mm/h)潮位(cm)流速(cm/s)
図-2 日本橋川における流速,潮位,溶存酸素飽和度,塩分の時 系列(Ev3:2007/8/28-9/5)
図-1 日本橋川における流速,潮位,溶存酸素飽和度,塩分の 時系列(Ev1:2008/5/10-5/17)
0 10 20 30 40 50 60 20 15 10 5 0
–40 –20 0 20 40
–100 0 100
溶存酸素飽和度 [%]
中層 (5割水深 )
上層 (水面から 30cm)
日本橋川西河岸橋における潮位と溶存酸素飽和度の時系列
中上層 中下層
下層(河床から 30cm )
5月10日
T.P.潮位 [cm]
降雨強度[mm/h]
2008 年5月11日23:00 〜5月17日17:00
(練馬地点)
11日 14日 15日
流速[cm/s]
12日
順流逆流
13日 16日 17日
0 5 10 15 20 25 30 35
塩分濃度 [‰]
日本橋川西河岸橋における潮位と塩分濃度の時系列 2008 年5月10日0:00 〜5月17日17:00
5月10日 11日 12日 13日 14日 15日 16日 17日
2008年5月10日〜17日
潮位(cm)
実測潮位(気象庁:晴海)
溶存酸素飽和度(%)
総降雨量:19mm 最大降雨強度:8mm/h
塩分(‰)
5月10日 11日 12日 13日 14日 15日 16日
中上層
表層(水面から0.3m) 5割水深 中下層
下層(河床から0.3m) 50
40 30 20 10 0 30 25 20 15 10 5 0
0 10 20 200 降雨強度流速(cm/s)-20(mm/h)
潮位(気象庁:晴海)
0 10 20 30 40 50 60 20 15 10 5 0
–40 –20 0 20 40
–100 0 100
溶存酸素飽和度 [%]
中層 (5割水深 )
上層 (水面から 30cm)
日本橋川西河岸橋における潮位と溶存酸素飽和度の時系列
中上層 中下層
下層(河床から 30cm )
5月10日
T.P.潮位 [cm]
降雨強度[mm/h]
2008 年5月11日23:00 〜5月17日17:00
(練馬地点)
11日 14日 15日
流速[cm/s]
12日
順流逆流
13日 16日 17日
0 5 10 15 20 25 30 35
塩分濃度 [‰]
日本橋川西河岸橋における潮位と塩分濃度の時系列 2008 年5月10日0:00 〜5月17日17:00
5月10日 11日 12日 13日 14日 15日 16日 17日
2008年5月10日〜17日
潮位(cm)
実測潮位(気象庁:晴海)
溶存酸素飽和度(%)
総降雨量:19mm 最大降雨強度:8mm/h
塩分(‰)
5月10日 11日 12日 13日 14日 15日 16日
中上層
表層(水面から0.3m) 5割水深 中下層
下層(河床から0.3m) 50
40 30 20 10 0 30 25 20 15 10 5 0
0 10 20 200 降雨強度流速(cm/s)-20(mm/h)
潮位(気象庁:晴海) 潮位(気象庁:晴海)
全層で低下 全層で上昇
る溶存酸素の挙動を 3 ケースに分類している
1 ).得 られた各 3 回の観測結果として日本橋川における流 速,潮位,溶存酸素飽和度,塩分の時系列を図-1(
Ev1), 2(
Ev3),3(
Ev4)に示す. 図-2(
Ev3)の観測では溶存酸 素飽和度は全層にて低下している.溶存酸素飽和度 の低下現象の要因として合流式下水道からオーバー フローした流入水の影響が大きいと仮定した場合,
図-1(
Ev1)の観測と図-2(
Ev3)の観測では総降雨量が ほぼ同じであることから,同程度の下水の流入があ り河川内の溶存酸素飽和度は同じく急低下するもの と考えられる.しかし,図-1 の観測では溶存酸素飽 和度の急低下は起きていない.そこで底層の流速を 比較してみると図-2 の観測では時間降水量が大きい ため流速は図-1 の観測よりも大きく,流速増加によ り底泥が巻き上がりやすい状態であるといえる.し たがって,溶存酸素の低下現象は合流式下水道のオ ーバーフロー水の影響よりも底泥が巻き上げられる ことによる影響の方が強いものと考えられ,図-2 の
降雨に伴う合流式下水道からのオーバーフローがな くとも,底層で巻き上げが生じることで溶存酸素飽 和度は減少しその後,徐々に回復していくと考えら れる.一方, 図-3(
Ev4)の観測では降雨後,溶存酸素 飽和度はほぼ
100%まで上昇しており,塩分は1‰以下まで低下している.これは猛烈な降雨により酸素 が飽和状態の雨水が,降雨前の溶存酸素の低い流水 を下流に押し流してしまった
(以下フラッシュ効果と 定義する
)ために生じたものと考えられる.以上の観 測結果を表-1 に示すように,溶存酸素の挙動によっ
て
1)を小規模降雨,2)を中規模降雨,3)を大規模降雨と定義し,図-4 にその現地観測よって得られた
3ケースについての降雨に伴う溶存酸素の変動特性に 関する概念図を示す.小規模降雨の場合には,流速 および溶存酸素はほぼ変化せず,中規模降雨の場合 は流速が増大し,巻上げの発生に伴って溶存酸素が 消費される.また,大規模降雨の場合には,中規模 降雨よりも流速が増大しても流水は溶存酸素が豊富 な雨水
(淡水
)で満たされ溶存酸素は増大する.したが って,溶存酸素が急激に低下する中規模降雨の範囲
(総降雨および降雨継続時間の詳細な降雨状況
)を明 確にすることが重要であると考えられる. 上記の
3回
(Ev1,3,4)の観測後に,さらに詳細な溶存酸素の挙動 特性を明らかにするため以下の観測を行った.図-5 に示す観測では,潮位は小潮から大潮に向かう状況 で,
7時間で
10.5mm,最大降雨強度
4mm/hの降雨が 発生し降雨中に観測を開始した.この観測期間中に,
降雨後の溶存酸素飽和度が全層で低下・上昇する現 象は見られないため小規模降雨に分類できる.また,
溶存酸素飽和度の全層での急低下は見られないが,
表層・中層・下層ともに
7日後には降雨終了時の溶存 酸素飽和度より
20%程度上昇していることが確認で きる.
図-6に示す観測Ev5は,小潮時に17時間で58.5㎜,
最大降雨強度
5.5mm/hの降雨があり,
Ev6では降雨継 続 時 間
8時 間 で 総 降 雨 量
51.5mm, 最 大 降 雨 強 度
13.5mm/hの降雨を対象として行った.Ev5では,降雨図-4 降雨による溶存酸素の変動特性に関する概念図
小規模降雨
flow
底泥 O2
O2
O2 O2
O2 O2
大規模降雨
雨水(淡水) flow
O2
O2
O2
O2 O2 O2
O2
O2 O2
O2
O2
O2
底泥
中規模降雨
flow
O2 O2
巻上げ発生 底泥
O2
流速の変化はなく,塩分の鉛直分布・溶存酸素も変化しない
流速が上昇し,塩分の鉛直分布がなくなり溶存酸素が全層で 低下する
流速が急激に上昇し,塩分の鉛直分布がなくなるとともに全層 にてほぼ0まで低下し,溶存酸素は全層で100%まで上昇する
小規模降雨
flow
底泥 O2
O2
O2 O2
O2 O2
大規模降雨
雨水(淡水) flow
O2
O2
O2
O2 O2 O2
O2
O2 O2
O2
O2
O2
底泥
中規模降雨
flow
O2 O2
巻上げ発生 底泥
O2
流速の変化はなく,塩分の鉛直分布・溶存酸素も変化しない
流速が上昇し,塩分の鉛直分布がなくなり溶存酸素が全層で 低下する
流速が急激に上昇し,塩分の鉛直分布がなくなるとともに全層 にてほぼ0まで低下し,溶存酸素は全層で100%まで上昇する
図-5 日本橋川における流速,潮位,気温,水温,溶存酸 素,塩分の時系列(Ev2:2008/11/2-10)
溶 存酸 素飽 和度 (新三 崎橋 ) 上層(水面か ら10cm ) 中層(5割水深) 下層(河床か ら30cm )
溶 存酸 素飽 和度 (新三 崎橋 ) 上層(水面か ら10cm ) 中層(5割水深) 下層(河床か ら30cm )
降 水 量
[mm/h]流 速
m/s]溶 存 酸 素 飽 和 度
[%]0 2 4
0 -0.2 0.2
40 0 80 120
上層(水面から30cm) 中層 下層(河床から30cm)
0 5 10 15 20 25 30
11/1 11/2 11/3 11/4 11/5 11/6 11/7 11/8 11/9 11/10 塩分濃度(PSU) 上層(水面から10cm) 中層(5割水深) 下層(河床から30cm)
塩 分
[psu]総降雨量:10.5mm 最大降雨強度:4mm/h
中層(5割水深) 下層(河床から30cm) 上層(水面から10cm)(欠測)
上層(水面から10cm)(欠測) 中層(5割水深) 下層(河床から30cm) 上層(水面から10cm)(欠測)
上層(水面から10cm)(欠測) 総降雨量:10.5mm
最大降雨強度:4mm/h
中層(5割水深) 下層(河床から30cm) 上層(水面から10cm)(欠測)
上層(水面から10cm)(欠測) 中層(5割水深) 下層(河床から30cm) 上層(水面から10cm)(欠測)
上層(水面から10cm)(欠測)
溶 存酸 素飽 和度 (新三 崎橋 ) 上層(水面か ら10cm ) 中層(5割水深) 下層(河床か ら30cm )
溶 存酸 素飽 和度 (新三 崎橋 ) 上層(水面か ら10cm ) 中層(5割水深) 下層(河床か ら30cm )
降 水 量
[mm/h]流 速
m/s]溶 存 酸 素 飽 和 度
[%]0 2 4
0 -0.2 0.2
40 0 80 120
上層(水面から30cm) 中層 下層(河床から30cm)
0 5 10 15 20 25 30
11/1 11/2 11/3 11/4 11/5 11/6 11/7 11/8 11/9 11/10 塩分濃度(PSU) 上層(水面から10cm) 中層(5割水深) 下層(河床から30cm)
塩 分
[psu]総降雨量:10.5mm 最大降雨強度:4mm/h
中層(5割水深) 下層(河床から30cm) 上層(水面から10cm)(欠測)
上層(水面から10cm)(欠測) 中層(5割水深) 下層(河床から30cm) 上層(水面から10cm)(欠測)
上層(水面から10cm)(欠測) 総降雨量:10.5mm
最大降雨強度:4mm/h
中層(5割水深) 下層(河床から30cm) 上層(水面から10cm)(欠測)
上層(水面から10cm)(欠測) 中層(5割水深) 下層(河床から30cm) 上層(水面から10cm)(欠測)
上層(水面から10cm)(欠測)
図-6 日本橋川における流速,潮位,気温,水温,溶存酸素,塩分の時系列 (Ev5,Ev6:2010/10/30-11/6)
T.P.潮位[cm] 降雨強度[mm/h]
塩分濃度[PSU]溶存酸素飽和度[%] 流速[m/s]水温[℃]
総降雨量:58.5mm 最大降雨強度:5.5mm/h
総降雨量:51.5mm 最大降雨強度:13.5mm/h
0 10 20 30
14 16 18 20
0 50 100
10/30 10/31 11/1 11/2 11/3 11/4 11/5 11/6 –1
0 10 100 200300 400
30 20 10
水面から30㎝ 中上層 5割水深 中下層 河床から30㎝ 潮位 0
欠測
Ev5 Ev6
T.P.潮位[cm] 降雨強度[mm/h]
塩分濃度[PSU]溶存酸素飽和度[%] 流速[m/s]水温[℃]
総降雨量:58.5mm 最大降雨強度:5.5mm/h
総降雨量:51.5mm 最大降雨強度:13.5mm/h
0 10 20 30
14 16 18 20
0 50 100
10/30 10/31 11/1 11/2 11/3 11/4 11/5 11/6 –1
0 10 100 200300 400
30 20 10
水面から30㎝ 中上層 5割水深 中下層 河床から30㎝ 潮位 0
欠測
Ev5 Ev6
開始から
15時間後に溶存酸素飽和度が全層で
90%ま で上昇し
.塩分濃度は全層でほぼ
0psuまで低下してい る.また,水温も急激に低下し溶存酸素と逆の挙動 を示している.ここで流速に着目するとEv5の降雨発 生後,潮位の変動に関わらず全層で順流を示し,フ ラッシュ効果が起こったと考えられる. 降雨終了14 時間後には溶存酸素は上層と下層で2層化し,逆流は 下層にて生じ塩水が遡上していると考えられる.図 -6の
Ev6においても同様に,降雨後に溶存酸素飽和度 が全層で
90%まで上昇し,水温は下層にて急激に低 下し全層で一定値を示している.また,流速は降雨 開 始 直 後 か ら 上 昇 し , ピ ー ク 時 に は 全 層 で 約
1.0m/s(平水時の約
5倍
)まで上昇し. フラッシュ効果が 確認できる.以上より図‐5(Ev2)は小規模降雨, 図-6 のEv5およびEv6は大規模降雨と定義することができ 降雨による溶存酸素の挙動は
3パターンである可能 性が高いと考えられる,
3.日本橋川における浚渫前後の水質変化
日本橋川において過去に浚渫が行われているにも 関わらず,浚渫が水質へ及ぼす影響が評価されてい ないため,浚渫前後における水質の変化を解明する ことを目的として現地観測を行った.なお,浚渫工 事は
1月
18日〜3 月
26日
2)に実施され,江戸橋地 点[河口から
5.2km(浚渫区間内)]にて浚渫された底泥の量は
9800t2)である.大潮時・小潮時に
24時間連続 で
2回ずつ計
5回,計測を行った.観測方法は河川 の中央から鉛直方向に
3箇所(表層
:水面から
30cm,
5割水深,下層
:河床から
30cm)で採水・分析を行い,
現地で測定できる項目は機材を使用し測定した.図 -7 に大潮時の江戸橋(河口から
5.2km)における定点での浚渫前後の溶存酸素飽和度の時間変化を示す.
浚渫前における溶存酸素飽和度の全層での平均値は
43%を示し,浚渫終了時から2
ヶ月後は溶存酸素飽
和度の全層での平均値は
20%程度減少している.しかし
4ヶ月後には平均値は
25%を示し,浚渫工事終了
2ヶ月後より
5%程度回復している.また,浚渫か ら
1年後には全層の平均値は
39%を示しほぼ浚渫前 と同じ値を示していることがわかる.減少した要因 としては,浚渫による底泥の巻き上げの影響以外に も,①浚渫終了時から
1ヶ月〜2 ヶ月後に現地観測を 行ったことによる季節変動の影響,②水温の上昇に 伴う好気的分解の活発化による影響などが考えられ る.また,浚渫後の観測を行う前の期間に,日降水 量
0.5〜
25mmの降雨が数回発生し,さらには
4月中 に日降水量
79mmの降雨が発生している.そのため,
溶存酸素が減少した要因を浚渫による影響であると 断定することは難しいが,日本橋川において溶存酸 素のみについて評価するのであれば,浚渫によって 改善することは難しいと言える.
大潮時の江戸橋
(河口から
5.2km)における
BOD,総 リン,総窒素および濁度に関する浚渫前後の変化を 図-8に示す.
BODは満潮時・干潮時共に浚渫後に値が わずかに減少しており,総リンは浚渫後に増加して いる.総窒素,濁度については際立った傾向はみら れないが,総窒素は浚渫後に減少し,濁度は浚渫後 に増加する場合が多いことがわかる.しかし,各観 測項目の浚渫前後での差は季節変動の影響も多分に 含まれているため,定量的な評価は困難といえる.
以上の結果より,水質改善という面から日本橋川で 行われた浚渫を評価する場合,溶存酸素,BOD,総 リン,総窒素,濁度いずれの項目も浚渫によって改 善した項目はないため,本論文の結果からは浚渫に 水質改善効果はさほどないといえる.そのため水質 改善効果を期待するならば,下水管網の整備および 広範囲の浚渫を行う必要があると考えられる.
4.日本橋川における流速の現地観測結果
感潮河川では潮位変動以外に,なんらかの外的擾 乱により,潮汐における水面変動よりも周期の短い
河床から1.0m 河床から0.5m 河床から1.5m
0 20 40 60
−500 50 100 150 200 250
300 観測地点:晴海
溶存酸素飽和度[%]潮位[cm]
浚渫期間
1/2 12:00 1/3 12:00 6/1 12:00 8/25 12:00 12/20 12:00 12/21 12:00
浚渫前 浚渫終了時から2ヶ月後 浚渫終了時から4ヶ月後 浚渫終了時から1年後
河床から1.0m 河床から0.5m 河床から1.5m
0 20 40 60
−500 50 100 150 200 250
300 観測地点:晴海
溶存酸素飽和度[%]潮位[cm]
浚渫期間
1/2 12:00 1/3 12:00 6/1 12:00 8/25 12:00 12/20 12:00 12/21 12:00
浚渫前 浚渫終了時から2ヶ月後 浚渫終了時から4ヶ月後 浚渫終了時から1年後
図-7 大潮時の江戸橋[河口から 5.2km]における定点での浚渫前後の溶存酸素飽和度の時間変化
図-8 BOD,総リン,総窒素,濁度の江戸橋[河口から5.2km]
における浚渫前後の変化
0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0
100 200 300 400 500
河床からの高さ(cm)
総リン(mg/l) 浚渫前大潮(干潮時) 浚渫前大潮(満潮時) 浚渫後大潮(干潮時) 浚渫後大潮(満潮時) 大潮時:江戸橋(浚渫区間内)
0 1 2 3 4 5 6 7 8
100 200 300 400 500
河床からの高さ(cm)
総窒素(mg/l) 浚渫前大潮(干潮時) 浚渫前大潮(満潮時) 浚渫後大潮(干潮時) 浚渫後大潮(満潮時) 大潮時:江戸橋(浚渫区間内)
0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 100
200 300 400 500
河床からの高さ(cm)
濁度(度) 浚渫前大潮(干潮時) 浚渫前大潮(満潮時) 浚渫後大潮(干潮時) 浚渫後大潮(満潮時) 大潮時:江戸橋(浚渫区間内)
0 0.5 1 1.5 2
100 200 300 400 500
河床からの高さ(cm)
BOD(mg/l) 浚渫前小潮(干潮時) 浚渫前小潮(満潮時) 浚渫後小潮(干潮時) 浚渫後小潮(満潮時) 小潮時:江戸橋(浚渫区間内)
副振動を誘起する事例がある,既往の研究において は,副振動が底質の巻き上げに大きく影響すること が挙げられており,流速の変動特性を明らかにする ことは重要であると考え,日本橋川においても現地 観測を行った.観測時は小潮であり,9 月
17日に日 降水量
98mm,時間最大降雨量
32mm/hの降雨発生後 に,流速計(
ADCP)を定点に固定し計測を開始した.
図-9 に日本橋川鎌倉橋地点
(河口から
6.4km)におけ る流速と潮位の時系列を示す.上層・下層ともに流 速がほぼ
60分周期で変動しているのがわかる.また,
Ev5
と
Ev6の観測においても同様に定点にて流速を 計測した,図-10 に鎌倉橋地点
(河口から
6.4km)にお ける流速,時間降水量,潮位の時系列,図-11 に
Ev6の降雨終了時から
10時間の流速,潮位および水深の 時系列を抽出した観測結果を示す.図-9 の観測結果 と同様の現象が確認でき,日本橋川において副振動 すなわちセイシュが生じていると考えられる.この 要因としては,台風のような発達した低気圧の影響 で局所的な大気圧変動により海水面が変動し,東京 湾内の水面が侵入波との間に共振を起こしたためと 考えられる.そこで,日本橋川の流速の卓越周期を より詳細に検証するため
Ev6の降雨発生直前から
24時間のデータを用いてスペクトル解析を行った.そ の結果,図-12 に示すように日本橋川の卓越周期は
10hr,2.8h
r,11.2h
rであることが分かる.ここで,
日本橋川感潮域を一方向のみが開いた長方形水域と 考えると,水面の振動周期
Tn[hr]は次式で与えられる.
ここに
g:重力加速度
,l:感潮域の長さ
,h:平均水 深
,n:振動のモードを表すパラメータ
(n=1,2,3…
)である.日本橋川感潮域の長さは
16.8mで平均水 深は
3.5mである.セイシュの振動周期は
n =1に対し
3.2hr,
n=2では
1.1hrであり,観測における流速の周 期およびスペクトル解析による卓越周期と概ね対応 している.
5.結論
1)
降雨継続時間
17時間で総降雨量
58.5㎜,最大降雨 強度
5.5mm/hおよび
8時間で
51.5mm,最大降雨強度 13.5mm/hの降雨では溶存酸素が
90%まで上昇し,溶存酸素の挙動は
3パターンである可能性が高いこと
を示した.
2)浚渫後,溶存酸素飽和度は大潮時に全層 の平均値が
20%程度減少するが,その後,徐々に回 復し,ほぼ浚渫前の値になることを示した.
3)潮位変 動以外に約
60分周期で流速が変動していることを示 した.
参考文献
1)川村理史,岡部真人,山田正:都市河川感潮域における水 質・流動特性に関する研究,中央大学理工学研究所論文集,
14
号, pp.73-83,2008.
2)東京第一建設事務所工事課浚渫工事係から口頭により
図-9 日本橋川における流速と潮位の時系列(2010/9/17)
0 86400 172800 259200
–400 –200 0 200 400 600 800 1000 –100 0 100 200 300 20 15 10 5 0
上層(水面から30cm) 下層(河床から30cm) 観測地点:大手町
観測地点:晴海
T.P
潮 位
(cm)流 速
(m/s)300
100 200
0.8
0 0 0 5 10 15 20
0.4
-0.4 -100
降 水 量
(cm)10/30 10/31 11/1 11/2 11/3 11/4 11/5 11/6 Ev5 Ev6
0 86400 172800 259200
–400 –200 0 200 400 600 800 1000 –100 0 100 200 300 20 15 10 5 0
上層(水面から30cm) 下層(河床から30cm) 観測地点:大手町
観測地点:晴海
T.P
潮 位
(cm)流 速
(m/s)300
100 200
0.8
0 0 0 5 10 15 20
0.4
-0.4 -100
降 水 量
(cm)10/300 10/31 8640011/1 11/2 17280011/3 11/4 25920011/5 11/6 –400
–200 0 200 400 600 800 1000 –100 0 100 200 300 20 15 10 5 0
上層(水面から30cm) 下層(河床から30cm) 観測地点:大手町
観測地点:晴海
T.P
潮 位
(cm)流 速
(m/s)300
100 200
0.8
0 0 0 5 10 15 20
0.4
-0.4 -100
300
100 200
0.8
0 0 0 5 10 15 20
0.4
-0.4 -100
降 水 量
(cm)10/30 10/31 11/1 11/2 11/3 11/4 11/5 11/6 10/30 10/31 11/1 11/2 11/3 11/4 11/5 11/6
Ev5 Ev6
図-10 日本橋川における流速の鉛直分布,時間降水量,潮位 の時系列(Ev5,Ev6:2010/10/30-11/6)
99000 108000 117000
上層(水面から30cm) 下層(河床から30cm) 水深 潮位
水 深
(cm)流 速
(m/s) 300100 200
0 0.4 400 500
0.2
-0.2
11/1 7:00 9:00 11:00 13:00 15:00 17:00
100 200
0
T.P
潮 位
(cm)99000 108000 117000
上層(水面から30cm) 下層(河床から30cm) 水深 潮位
水 深
(cm)流 速
(m/s) 300100 200
0 0.4 400 500
0.2
-0.2
11/1 7:00 9:00 11:00 13:00 15:00 17:00
100 200
0
T.P
潮 位
(cm)99000 108000 117000
上層(水面から30cm) 下層(河床から30cm) 水深 潮位
水 深
(cm)流 速
(m/s) 300100 200
0 0.4 400 500
0.2
-0.2
11/1 7:00 9:00 11:00 13:00 15:00 17:00
100 200
0
T.P
潮 位
(cm)図-11 日本橋川における流速の鉛直分布,潮位の時系列 (Ev6の降雨発生から10時間)
0 10 000
0
2.8(h) 1.0(h)
周期[秒]
潮位変動による周期:11.2(h)
0 4000 8000 12000 16000
10 20 250
40000
Power spectrum[m/s]2
0 10 000
0
2.8(h) 1.0(h)
周期[秒]
潮位変動による周期:11.2(h)
0 4000 8000 12000 16000
10 20 250
40000
Power spectrum[m/s]2
図-12 日本橋川(鎌倉橋:河口から6.4km)における流速の スペクトル解析結果
潮位
–200 0 200 250 300
上層(水面から30cm) 下層(河床から30cm) 水深 水深
9/17 2:00 4:00 6:00 8:00 10:00 12:00
300
200 150
0.2
0 -0.2 水深(cm)流速(m/s)
200
100 150
50
T.P潮位(cm)