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「スピリチュアルケアと宗教・哲学・心理学」報告(2014年度 聖学院大学総合研究所カウンセリング研究センター主催 : 2014年度 第3回スピリチュアルケア研究会) 利用統計を見る

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「スピリチュアルケアと宗教・哲学・心理学」報告

(2014年度 聖学院大学総合研究所カウンセリング 研究センター主催 : 2014年度 第3回スピリチュア ルケア研究会)

著者 佐治 由美子

雑誌名 聖学院大学総合研究所Newsletter

巻 Vol.24

号 No.2

ページ 28‑29

URL http://id.nii.ac.jp/1477/00002769/

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Title

「スピリチュアルケアと宗教・哲学・心理学」報告(2014年度 聖学院大 学総合研究所カウンセリング研究センター主催 : 2014年度 第3回スピリ チュアルケア研究会)

Author(s)

佐治, 由美子

Citation

聖学院大学総合研究所

Newsletter

, Vol.24No.2, 2015.1 :28-29

URL

http://serve.seigakuin-univ.ac.jp/reps/modules/xoonips/detail.php?item_i d=5246

Rights

聖学院学術情報発信システム : SERVE

SEigakuin Repository and academic archiVE

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28

報 告 報 告

 11月24日、紅葉に彩られた聖学院大学上尾キャ ンパスの 4 号館 4 階第一会議室において、スピリ チュアルケア研究会の今年度第 3 回が開催された。

参加者は 8 名で、グリーフケアにかかわる牧師や 医師など臨床体験を積んでこられた方々、そして スピリチュアルケアを学ぶ学部生・大学院生を含 む研究者が同席し、互いの話を聴き合い共に考え 合う貴重な時間がもたれた。

 協議に先立ち、30分ほどの発題が行われた。聖 学院大学教授でありスピリチュアルケア研究室長 でもある窪寺俊之先生による発題であり、そのテー マは「スピリチュアルケアと宗教・哲学・心理学」

であった。以下その概要について記す。

 スピリチュアルケア(霊的配慮)の本質を探る上で 重要となるのは、それが現場からの研究として始 まったという点だと最初に述べられた。シシリー・

ソンダースによって始められたホスピス運動も、

キューブラー・ロスの死の研究も、臨床から死を 捉え直すことだった。

 また、スピリチュアルケアの定義について考え る た め の 資 料 と し て、University of Maryland Medical Centerの“What is Spiritual Care ? ”が引 用された。そこには、霊的必要を求める人の究極 の問いが10通り示されている。

・どうして私にこんなことが起きるのか

・これって何なの

・どう理解したらいいのか

・私の人生をどう受け止めたらいいのか

・どこに慰めや希望があるのか

・何がよくて、何が悪いのか、分からない

・何に感謝したらいいのか

・何を ( 誰を ) 信じたらいいのか

・私の愛していたものとか私を愛してくれていた ものって、何だったのか

・私の信じているものや信じていた人は、本当に

私の人生で大切だったのか

 これらの人生の重大問題は、宗教的、あるいは 哲学的、あるいは心理的な側面を含んでいるとし、

発題者は、一つひとつの問いについてこの三つの カテゴリーをあてはめた上で、このようなカテゴ ライズで十分に問題解決ができるのか、スピリチュ アルニーズを包括できるのか、と参加者に投げか けられた。

 そしてさらに、この三つのカテゴリー (宗教・哲 学・心理)でスピリチュアルケアが成り立っている としたら、それぞれのカテゴリーは人間のどのよ うな能力に働きかけているのかという問いの下に、

以下のような分類がなされた。

 宗教→人間のもつ悟性、信性  哲学→人間のもつ知性、理性  心理学→人間のもつ感情、情緒

 このような観点は、スピリチュアルケアにおい て未だ整理されているとは言い難いが、これから 整理され明らかにされた暁には、スピリチュアル ケアの方法と目標が語られることになるだろう、

という展望として次のように述べられた。

 スピリチュアルケアの方法と目標を一つに重ね てみると、「スピリチュアルケアは、どのような方

2014 年度 聖学院大学総合研究所カウンセリング研究センター主催 2014 年度 第3回スピリチュアルケア研究会

「スピリチュアルケアと宗教・哲学・心理学」報告

  上段:窪寺俊之教授(発題者)

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29 法で、患者の中に何が起きることを期待している

のか(傍線は報告者による)」という問いが生まれる として、それぞれのカテゴリーから生み出される 方法と目標の可能性を発題者は示された。

宗教…紹介・招き  方法 ⇒ 悟り・信じる目標 哲学…納得できる説明方法 ⇒ 生き方変容 目標 心理…聴く・寄り添い方法 ⇒ 気付き・洞察目標

 以上の発題内容を受け、後半は協議の時間がも たれた。以下の内容が、その概要である。

 まずスピリチュアルケアの領域がどこに位置す るのかという問いについて、三つのカテゴリー内 に収まるのか、これらのカテゴリーからは独立し た何か独自の領域をもっているのではないか、と いう意見が出され、三つのカテゴリーでは捉えき れない領域をスピリチュアルケアと名付けること になるのか、といった議論に進んでいった。

 しかし、その一方で、スピリチュアルケアを概 念化し理論化することが可能か、との意見も出さ れ、スピリチュアルケアが宗教との連続性をもっ ているとしたら、言葉で伝わる部分だけでなく言 葉を用いないで伝わる部分も大切にしたい、とい う意見が述べられた。また、患者とのふれ合いに おいても、言葉を超えて相手との間に生まれる何 かが大切になる場合もあるし、子どもたちの生き る世界においても、言葉を超えて分かり合える関 係が生まれることがある。このような意見を受け、

発題者は、スピリチュアリティは人間が生得的に もっているものである、とまとめられた。

 協議の後半は、スピリチュアルケアの方法とし て提示された心理学(カウンセリング)的傾聴をめ ぐっての議論が深まっていった。

 生きる意味を見失いそうな人たちの分かち合い の中にスピリチュアルな気付きの瞬間が訪れるこ とがあるとの報告から、傾聴の意味において一対 一のいわゆるカウンセリングとどのような違いが あるのか、またひたすら聴くだけでなく何らかの カリキュラムがその方法の中にあるのか、などの

問いが提示された。苦悩の中にある大人だけでな く、子ども同士でも交わりによる癒やしがあると したら、癒やしそのものにも多様なケースがある ことになる。そのことを想定すると、限定的な方 法よりも事例の引き出しをたくさん持っている専 門家になることが大事ではないか、という意見も 出され、発題者より、知識を持ちながら無の状態 に立てるのが専門家だろうと補足がなされた。

 子どもとの関わりにおいても寄り添うことが重 視されるが、そこに居合わせることを通して子ど もの側に何かが起こり、子ども自身が世界を開い ていくことになっていく。そこに専門家としての 無の状態が働いているのであり、それをつくり出 しているのが保育者自身の引き出し、つまりそれ は記録を残していることであることを、報告者は 保育学の立場から述べさせていただいた。

 議論はオープンエンドで終了したが、発題者が 最後に、スピリチュアルケアをもう一度現場から 組み立てたいと述べられたことが今も印象に深い。

  質疑応答風景

※出 典:Source: What is Spiritual Care? | University of         Maryland Medical Center

http://umm.edu/patients/pastoral/what-is-spiritual-care#ixzz 3 Fxihew 2 V

(文責:佐治由美子[さじ・ゆみこ]聖学院大学人 間福祉学部児童学科特任講師)

参照

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