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Academic year: 2021

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(1)

鳥取赤十字医誌 第25巻,48−52,2016

(報  告)

ネブライザ付酸素吸入器(EZ-Water

®

)を利用した 低濃度酸素供給システムの作製

萩原 隆之1)  大山 勝士1)  石井 千昭1)  小坂 博基2)

鳥取赤十字病院 医療技術部 臨床工学技術課1)

       循環器科2)

Key words:高流量システム,ベンチュリーマスク,EZ-Water

®

は じ め に

 高流量システムは,ベンチュリー効果を利用し30 ℓ/

min 以上のガス流量を提供でき,患者の1回換気量に左 右されず,吸入酸素濃度が24〜50%の安定した酸素を 投与できる

1)

.高流量システムの代表的なものが,ベン チュリーマスク(図1)であり,「ダイリュータ」と呼 ばれるアダプタを選択することで吸入酸素濃度を24,

28,31,35,40,50%に設定できる

2)

 当院では,平成24年7月より日本メディカルネクス ト社製EZ-Water

®

(以下 EZW)を導入した.EZWは,

加湿された設定濃度の酸素ガスが投与可能な高流量シス テムであり,専用のネブライザアダプタ,ヒーターおよ び滅菌蒸留水入りのユニバーサルボトルを組み合わせ

ることで吸入酸素濃度35,40,50,70,100%のガス と,ヒーターにより加温されエアロゾル化したガスを患 者に投与することが可能なネブライザ付酸素吸入器であ る(図2).

 当院では,主に酸素投与が必要で痰が粘稠な患者,喀 痰排出が困難な患者および術後患者等に対し使用してい る.しかし,吸入酸素濃度35%以上の酸素投与が必要

図1 ベンチュリーマスク

色分けされたダイリュータと呼ばれるアダプタに設定吸入酸素濃 度と30ℓ/minを確保できる酸素流量が刻印されている.任意の吸 入酸素濃度で投与したい場合,ダイリュータを交換し使用する

図2 EZ-Water®

酸素流量計,ネブライザアダプタ,ヒーター,ユニバーサルボト ルを組み合わせることにより加温加湿された35%以上の吸入酸素 濃度のガスが投与可能.構造上4ℓ/min以下の酸素流量であると 滅菌水が吸い上げられず加温加湿されない

24%, 4ℓ

40%, 8ℓ

50%, 12ℓ

28%, 4ℓ

31%, 6ℓ

35%, 8ℓ

酸素流量計

ネブライザアダプタ

ヒーター

滅菌水入り ユニバーサルボトル

(2)

ない患者に対し,加湿目的で使用せざるを得ない場合が ある.汎用されている吸入酸素濃度35%以下が設定可 能なベンチュリーマスクでは加湿性能,ネブライジング が不十分であることから,EZWを利用し吸入酸素濃度 21〜35%で加湿されたガスが投与可能な低濃度酸素供 給システムを作製し評価した.

目     的

 EZWを利用し独自に作製した低濃度酸素供給システ ム(以下 EZW Air-O

2

)の性能を評価し,臨床使用を可能 にする.

方     法

  EZW は通常,酸素流量計を接続し使用するが,圧縮 空気流量計を接続し高流量の空気(酸素濃度21%)を 加湿することも可能である. EZW の蛇管にポート付ア ダプタを接続し,ポートから酸素を投与することで,圧 縮空気と酸素を混合し酸素濃度が調節できるシステム EZW Air-O

2

(図3)を作製した.従来使用していたベン チュリーマスク,EZW,EZW Air-O

2

の各システムにお

いて①吸入酸素濃度(%) ②口元でのガス温度(以下 口元温度)(℃) ③口元でのガス湿度(以下口元湿度)

(%)の測定を行い,比較検討した.

 EZWでは,酸素流量を3,5,7,10,15 ℓ/minに 変化させ,設定濃度と吸入酸素濃度を測定した.

 EZW Air-O

2

では,トータルガス流量30 ℓ/minを確保 するため,圧縮空気側流量を12 ℓ/min ,50%に固定し,

酸素流量と吸入酸素濃度を測定した.

 EZW,EZW Air-O

2

共にヒーターが1〜9まで設定可 能なため,測定①②では,ヒーターを1,5,9に設定 し測定を行った.

結     果

①吸入酸素濃度

 ベンチュリーマスクでは設定酸素濃度よりも6.2%

高く測定された(図4).

 EZWでは,設定酸素濃度40%以下では設定より2

%高値,50%以上では2.2%低値となったがほぼ設定 通りの酸素濃度であった(図5).

 EZW Air-O

2

で は 酸 素 投 与 流 量 に 比 例 し て20.9〜

図3 EZ-Water Air-O2システム 図4 測定結果①吸入酸素濃度 ベンチュリーマスク

酸素流量計 0〜6ℓ/min

酸素配管 圧縮空気配管

圧縮空気流量計 12ℓ/min,50%

ポート付アダプタ

延長管

70 60 50 40 30 20 10 0

吸入酸素濃度[%]

設定酸素濃度[%]

24 28.9

28 31 35 40 50

33.1 35.635.6 39.3 50.0

58.3

図5 測定結果①酸素濃度 EZW 100

90 80 70 60 50 40 30 20 10 0

吸入酸素濃度[%]

設定酸素濃度[%]

酸素流量  3[ℓ/min]

 7[ℓ/min]

 15[ℓ/min]

35 37.0

37.0 36.136.1 39.4

40 40.6 40.0 4444.1.1

50 49.3 47.247.252.2

70 66.3

66.3 64.864.869.8

100 97.6

97.6 97.397.3 96.796.7

(3)

50 . 2%まで,1 ℓ/min あたり2〜3%ずつ測定値が上 昇した(図6).

②口元温度

 ベンチュリーマスクでは,設定酸素濃度を変えても 使用環境に依存するため,測定時室温の24℃前後で あった(図7).

 EZWでは,装置の構造上酸素流量4 ℓ/min以下で は,滅菌水を吸い上げることができないため加温され ず低温となり,4 ℓ/min以上では26℃より高温とな った.しかし,流量の上昇と共に温度の低下が見られ るものがあり,その中で設定酸素濃度が低値である程 温度低下率は高くなる傾向であった(図8).これは,

ベンチュリー効果により外気を取り込む構造のため,

設定酸素濃度が低いと外気の取り込みが多くなり,温 度低下に繋がったものと考えられる.

  EZW Air-O

2

では,添加する酸素流量に従い温度が低 下した(図9).EZW同様ベンチュリー効果による外 気取り込みの影響と考えられる.

 EZW,EZW Air-O

2

共に,ヒーターで温度調節が可 能であり,その範囲は25〜36℃と適温であった.

③口元湿度

 口元温度測定と同様にベンチュリーマスクでは湿 度55〜62 % で あ る の に 対 し( 図10),EZW,EZW

Air-O

2

ではほぼ湿度100%の加湿性能であった(図

11,12).

考     察

 EZW Air-O

2

ではEZWでは設定できない21〜35%の

図6 測定結果①酸素濃度 EZW Air-O2

図8 測定結果②口元温度 EZW

図7 測定結果②口元温度 ベンチュリーマスク 60

50 40 30 20 10 0

吸入酸素濃度[%]

酸素流量[ℓ/min]

0 2 4 6 8 10 12

※Air流量計設定:12ℓ/min 50%固定 y=2.3513x+21.29

39 37 35 33 31 29 27 25

温度[℃]

酸素流量[ℓ/min]

0 2 4 6 8 10 12

35%

40%

50%

70%

100%

39 37 35 33 31 29 27 25

度[℃]

酸素流量[ℓ/min]

0 2 4 6 8 10 12

35%

40%

50%

70%

100%

39 37 35 33 31 29 27 25

度[℃]

酸素流量[ℓ/min]

ヒータ設定【1】

ヒータ設定【9】

ヒータ設定【5】

0 2 4 6 8 10 12

35%

40%

50%

70%

100%

24.5 24.4 24.3 24.2 24.1 24.0 23.9 0

口元温度[℃]

設定酸素濃度[%]

24 28 31 35 40 50 24

24.1 24.2

24.1 24.2

24.4

(4)

図11 測定結果③口元湿度 EZW 100

90 80 70 60 50 40 30 20 10 0

湿度[%RH

酸素流量[ℓ/min]

100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0

湿度[%RH

酸素流量[ℓ/min]

100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0

湿度[%RH

酸素流量[ℓ/min]

0 2 4 6 8 10 12

0 2 4 6 8 10 12

0 2 4 6 8 10 12

35%

40%

50%

70%

100%

35%

40%

50%

70%

100%

35%

40%

50%

70%

100%

ヒータ設定【1】

ヒータ設定【9】

ヒータ設定【5】

図9 測定結果②口元温度 EZW Air-O2 図10 測定結果③口元湿度 ベンチュリーマスク 38

36 34 32 30 28 26 24 22 20

温度[℃]

酸素流量[ℓ/min]

0 2 4 6 8 10 12

ヒーター設定【1】

ヒーター設定【9】 ヒーター設定【5】

64 62 60 58 56 54 52 0

口元湿度[%RH

設定酸素濃度[%]

55 57 58 57

62 59

28

24 31 35 40 50

酸素ガスを供給することが可能である.また,ベンチ ュリーマスクの加温加湿状態は使用環境に依存するが,

EZW Air-O

2

では十分に加湿された酸素ガスを患者に快適 な温度で供給することができる.メーカーが推奨する使 用方法ではなくポート付アダプタなどの物品も必要なた め,今回の結果を基に当院における使用マニュアルを作

成した(図13).問題点として,酸素・圧縮空気配管が

ない病室では使用できないこと,正確な患者吸入酸素濃

度測定には酸素濃度計を使用しての実測が必要なことが

挙げられる.

(5)

図12 測定結果③口元湿度 EZW Air-O2 100

99 98 97 96 口元湿度[%RH 0

酸素流量[ℓ/min]

4 2

0 6 8 10 12

ヒーター設定【1】

ヒーター設定【9】 ヒーター設定【5】

図13 EZW Air-O2使用マニュアル

結     語

 今回作製した EZW Air-O

2

システムは,吸入酸素濃度 21〜35%の酸素投与が可能で,かつEZWと同様の加温 加湿性能を備えたシステムである.使用マニュアルを作 成し,実際に臨床使用も行った.しかし,臨床使用する 場合,適応患者の見極め,酸素濃度の増減,離脱するタ イミングの評価,および病棟看護師がこのシステムの使 用を習熟することが必要である.

文     献

1)日本呼吸器学会 肺生理専門委員会 / 日本呼吸器管 理学会 酸素療法ガイドライン作成委員会:酸素療法 ガイドライン.36−39,メディカルレビュー社,東 京,2006.

2) 飯 島 光 雄: 高 流 量 シ ス テ ム.Clinical Engineering

vol.18 №08 : 839−843, 2007.

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