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Academic year: 2021

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(1)

X線写真のディジタル画像処理について

長崎大学歯学部歯科放射線学講座 大 喜 雅 文

近年、コンビュータを用いた画像処理は画像情報を取り扱う多くの分野で広く利用されてい る。医学・歯学の分野においてもコンピュータ画像処理を利用した画像診断装置は多く使われ ており、 X線に関係するものとしては、 FC R (Fuj i Computed Radiography)、DSA

(Digital  Subtraction Angiography)、

CT 

(Computed Tomography)等が上げられる。これ らの装置には各々必要に応じた画像処理が組み込まれているが、そのような固定化した処理以 外にも、多くの処理法があり、画像処理は画像診断の有力な道具として、更に広い利用の可能 性を持っている。歯科放射線科においても汎用の画像処理装置を導入して、種々のX線写真像 に対する診断目的に応じた画像処理の開発を行っている。ここでは,我々の教室にある画像処 理システムとその利用例について簡単に紹介したい。

1.ディジタル画像処理

画像処理とは、広い意味においては画像から画像への変換だけでなく、画像の性質を数値 的に表すことや、蓄積、伝送、検索など画像情報の管理をも含んでいる。コンピュータ画像 処理を行うには、まず対象となる画像をディジタル化したディジタル画像にしてコンピュータ に入力しなければならない。

X

線 写 真

M

画 素

デ ィ ジ タ ル 化 接度値:

1 xy 

N 画 素

ア ナ ロ グ 画 像 デ ィ ジ タ ル 画 像

図1. X線写真像のディジタル化

35 

(2)

ディジタル化は図lに示すように画像を空間的に縦横

MxN

の画素に分割し、各画素におい てその点での温度に対応した数値を与えること、即ち画素を

MxN

の数の行列に変えることに よって行われる。

つぎにコンピュータ内でこの行列に種々の潰算を加えれば、その画像の持つ特徴を定量化し たり、行列の各数値を変えて画像を別の画像に変換することができる。変換された画像の表示 には、一般に

TV

モニターが用いられる。ディジタル化された画像は、一般の写真のように時 間による画質の低下が起こらない。またディジタル画像処理には従来の写真処理のような頒雑 さもないので、画像情報を取り扱う分野においては、将来的にもディジタル画像処理の利用が 増えて行くと思われる。

2 .  

X線写真画像処理システム

ディジタル画像処理システムは、基本的には、画像を観測しディジタル化する画像入力装置、

画素配列に種々の潰算処理を行う計算機本体、画像データなどのデータを大量に蓄積する外 部記憶装置、処理結果を表示する画像出力装置に大別できる(図2)。

│外部記憶装置│

│画像入力装置│吟│

計 算 機

│吟│画像出力装置│

2 .

ディジタル画像処理システム

当教室で、使用している装置は東芝製汎用画像処理装置TOSPIX‑

l I

(モデル35 0、 カラーシステム)であり、画像入力装置を除いた部分が一体化されている(図3)。ここで画 像処理プロセッサは、基本画像処理機能をハードウェア化したものであり、画像漬算処理時聞 を大幅に短縮している。例えば、 3x3領域の空間フィルタリング(2次元積和演算)も1画 素当たり

O . 3  6 μ s

と高速で実行できる。画像メモリとしては、

l

51  2  x  5  1  2  x  8

ピッ

トの画像メモリを6枚備えている。よってRGB各色につき、 51 2 x 5 1 2画素で256階 調の濃度を持つ画像が取り扱え、組み合わせると約1600万色の発色ができる。画像入力装

ρh u 

qU

(3)

置としては、目的に応じてITV (Industrial  television)カメラまたはドラムスキャナー 写真濃度計を用いている。

剛 像 処 即

│岡像ハードコピー│

(30M s) 

ドラムスキャナー

図3.高速画像処理装置TOSPIX‑II

3.画像処理の利用例

画像情報の管理を除けば画像処理はその手法により画質改善、画像解析、画像再構成の3つ に大別される。画質改善とは、画質をより質の高い、見やすい画像に変換することで画像の鮮 鋭化やコントラストの強調などが含まれる。画像解析とは対象とする画質の持つ特徴を抽出し たり、定量的に表したりすることで、輪郭線の検出や、長さ、面積、濃度の計測が含まれる。

画像再構成については、 X線 C Tにおける一次元データから二次元の断層像の構築が良く知ら れている。

画質改善の例として、図 4~こ口内法 X 線写真にコントラスト強調及びエッジ強調の処理を行 った結果を示す。

この像はTVモニターに表示させた画像を撮影したものでモニター画面を4分割して4つの 画像を表示させている。右上の像がデンタル写真をITVカメラ入力した後の画像(原画像) で左上の像がそれにコントラスト強調を行った像、右下がエッジ 強調を行った像である。左下 の像は両者の処理を行った像である。処理後の画像を原画像と比較すると画質の向上は明らか であろう。 X線検査は患者の被曝を伴うため、撮影条件が悪かったとしても簡単に再撮影を行 うことはできない。よって露出過多もしくは露出不足のため不鮮明な写真が得られた場合にこ のような画質改善が有効に利用できる。

‑37 ‑

(4)

4 .

口内法

X

線写真の画質改善

画像解析の例としては、顎関節断層 X線写真の処理を示す。図

5

l

は顎関節部を側方より 見た断層写真である。上から下顎寓、関節腔、下顎頭の順に見える。このX線検査において観 察されているのは、骨変化と下顎頭一下顎高間の位置関係である。位置関係の定量化のために は、まず下顎高、下顎頭の辺縁を抽出しなくてはならない。辺縁検出は図5に示すように行っ ている。図5の2では濃度勾配を求めるため画像を一次微分し、 3ではこの像を白黒2つの濃 度を持つ像に2値化した後、必要な辺縁の部分を抽出している。 4が最終結果で、その中心線 をもとめる細線化処理を行っている。このように辺縁が検出できれば図6の様に関節腔の面積 を求めたり、下顎寓と下顎頭聞の最短距離をグラフ化させることができる。

uqU

(5)

図5.顎関節部の輪郭線抽出

図6.顎関節部の特徴計測

4.おわりに

X線写真に対するデジタル画像処理の利用について簡単に紹介した。医用画像がデジタル化 されて取り扱われていくことは必至であり、デジタル画像処理は、診断能を一層向上させるた めに十分利用できるものであると考えている。

n Hυ   qt u 

図 4 . 口内法 X 線写真の画質改善 画像解析の例と し ては、顎関節断層 X線写真の処理を示す。図 5 の l は顎関節部を側方より 見た断層写真である。上から下顎寓、関節腔、下顎頭の順に見える。この X 線検査において観 察されているのは、骨変化と下顎頭一下顎高間の位置関係である。位置関係の定量化のために は、まず下顎高、下顎頭の辺縁を抽出しなくてはならない。辺縁検出は図 5 に示すように行っ ている。図 5 の 2 では濃度勾配を求めるため画像を一次微分し、 3 ではこの像を白黒 2 つの濃 度を
図 5 . 顎関節部の輪郭線抽出 図 6 . 顎関節部の特徴計測 4 . おわりに X 線写真に対するデジタル画像処理の利用について簡単に紹介した。医用画像がデジタル化 されて取り扱われていくことは必至であり、デジタル画像処理は、診断能を一層向上させるた めに十分利用できるものであると考えている。 n H υ  qt u  

参照

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