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車椅子ソフトボールにおける練習プログラムの考案

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Academic year: 2021

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車椅子ソフトボールにおける練習プログラムの考案

著者 大西 昌美, 渡部 峻, 江副 翔太

雑誌名 北翔大学北方圏生涯スポーツ研究センター年報

巻 8

ページ 127‑130

発行年 2017

URL http://id.nii.ac.jp/1136/00002727/

(2)

車椅子ソフトボールにおける練習プログラムの考案 Invention of Practice Program in Wheelchair Softball

大 西 昌 美

1)

  渡 部   峻

2)

  江 副 翔 太

3)

Masami O

NISHI1)

  Shun W

ATANABE2)

  Shota E

ZOE3)

キーワード:車椅子ソフトボール,練習プログラム,競技特性,アダプテッドスポーツ,北方圏

I.はじめに

 現在,さまざまな趣味や娯楽があるにもかかわらず,

スポーツに関する人々の関心は高いといえる。それほど 現代社会においてスポーツは欠かせないものとなってい る。また,それは健常者だけではなく,すべての人に当 てはまる。近年はオリンピックに加え,海外で活躍する 選手の活躍が著しく,メディアでの発信の機会が増えて きている。それにより,『アダプテッドスポーツ』(障が い者スポーツ),パラリンピックへの注目も高まってき ている。スポーツ庁が実施した調査によると,成人障が い者の週1回以上のスポーツ実施率のなかでも,車椅子 を用いた車椅子バスケットボールや車椅子テニスなどの

「車椅子競技」は人気が高い

1)2)

 日本においては野球やソフトボールといった「ベース ボール型」の競技の人気は比較的高いといえる。プロ野 球や高校野球,大学野球をはじめとし,日本において野 球は切り離せない「国技」であると言っても良い

3)

。  その中で障がい者スポーツにおいては様々な「ベース ボール型」の球技が開発されている

3)4)

。しかし,全国 的にみても「ベースボール型車椅子競技」は未だ普及率 は低い。つまり,車椅子スポーツ選手が「野球をしたい」

と思っても,「できない」という現実があった

6)

。そも そも競技自体が存在していないことから選択肢すらな かったのである。そこで筆者は日本で人気のあるベース ボール型の車椅子型球技開発・普及を試みた

7)

。  開発・普及にあたり,2012年より北米を中心に普及し ている「Wheelchair Softball」(以下:車椅子ソフトボー ル)」という競技の成熟度が高いことから日本での普及

を推進した。2013年には車椅子ソフトボール協会設立,

国内大会開催,世界大会参戦などの活動を通して競技人 口を増やすことにつなげることができた。また,ルール に関すること,クラス分けに関する研究も進められ,車 椅子ソフトボールは日本でも形になりつつある。しかし,

練習方法についての報告は少ない。そこで,筆者は車椅 子ソフトボールの練習方法を考案し,実施を試みた。

Ⅱ.練習内容について

1.対象者

 対象者は,本学の北方圏生涯スポーツ研究センターを 中心に活動している「ノースランドウォリアーズ」の選 手全42名である(うち23名はゼミ生)。

2.対象期間

 2017年4月から2017年7月の期間とした。なお,7月 には全日本車椅子ソフトボール選手権大会が開催され た。

3.練習頻度・練習時間

 チーム全体で行ういわゆる全体練習は原則毎週土曜日 で練習時間は2時間から3時間となっている。

4.練習意図・練習内容 1)チェアスキル

 車椅子ソフトボールにおいて重要なことはソフトボー ルの技術の前に車椅子を操作する高度な技術(以下:チェ アスキル),「急発進,急停車,急旋回」が必要不可欠と なる。そのチェアスキルなしでは通常のソフトボール

1)北翔大学生涯スポーツ学部スポーツ教育学科 2)北翔大学生涯スポーツ学部共同研究室

3)北翔大学生涯スポーツ学部スポーツ教育学科学生

(3)

車椅子ソフトボールにおける練習プログラムの考案

の「打つ,捕る,投げる,走る」技術は全く役にたたな い。また,ノースランドウォリアーズには健常者の学生 も所属しており,普段から車椅子を操作している選手ば かりではない。また,障がい者スポーツとしての側面も 持つが,健常者と障がい者が共に同じフィールドで楽し めるスポーツとして車椅子ソフトボールを更に普及・発 展させるためには健常者の参加人口を増加させる必要が ある。その観点からも普段,車椅子を操作しない健常者 がチェアスキルを身に着け,競技を楽しめるようにする ためにも基本技術であるチェアスキルの技術を高める練 習に時間を割いた。特に漕ぎ始めは姿勢が整っていない ので急に車椅子を漕ぐとその場でタイヤがスリップして しまう。その為,適切な姿勢で発進に備える(写真1)

(写真2)。また,車椅子ソフトボールは車椅子を主に腕 で漕ぐ動作が必須となる。そのため,車椅子を漕ぐ力を 身につける練習も積極的に取り入れた(写真3)。

2)守備練習

 車椅子ソフトボールにおいて,投手は山なり投球とし,

基本的に打者に打たせることを前提としてルールが形成 されている。このことをスローピッチと言う。そのこと により,野手がいかに守り,失点を少なくするかが勝敗 を左右する大きな要因と考えられている。よって,守備 練習にも力を入れて取り組んだ。車椅子ソフトボールの 守備の特徴として不利な体勢で捕球をせざる得ない選手 に対して周囲の選手が事前にスローイングし易い体勢で スタンバイし,捕球した選手からボールを中継(以下:

パス)して一人で体勢を立て直してから投げる場合のロ スを最小限に抑えることで,走者の進塁を防ぐことが可 能になる。そこで,そういった連携プレーの練習も数多 く取り入れた(写真4)。

3)打撃練習

 守備練習のところで述べたように,車椅子ソフトボー ルにおける投手は打たせることを前提とし,山なりの

写真1 スリップしてしまう姿勢

写真3 漕ぐ力をつける練習の様子

写真2 素早い発進ができる姿勢 写真4 連携プレーの練習

(4)

ボールを投球してくる。よって打者はそのボールを確実 に捉えなければならない。また,車椅子ソフトボールの 独自のルールとしてカウント1ボール,1ストライクか ら開始される。そのうえ,2ストライク後のファールは アウトとなる。つまり,投手が山なりのボールを投げて くるからといってもミスはできない。また,通常のソフ トボールとは異なり,当然の事ながら座った状態でのス イングであり,上肢メインでスイングすることになる。

そのため,長打の確率は低い。その観点からも大ぶりし て長打かファールかを狙うよりも確実にバットの芯に当 てることに徹することが望ましいと考えた。そこで,コ ンパクトなスイングで当てることを心掛けた打撃練習を 行なった(写真5)。

Ⅲ . まとめ

 4月から7月の対象期間において,大きく車椅子操作 の技術「チェアスキル」 「守備練習」「打撃練習」の3つ 柱での練習を重ねてきた。いずれの練習も車椅子ソフト ボール独自の技術が存在し,通常のソフトボールや野球 などのベースボール型球技の練習をベースにした。

8),9)

そのなかに車椅子ならではの技術を意識した練習を行っ た。7月の大会まで上記に記した練習を実施して7月の 全日本車椅子ソフトボール選手権大会に出場した。日頃 の練習の成果が発揮され,随所に良いプレーが見られた 大会であったが,チームとしては優勝という形は残念な がら果たせなかった。その要因として,守備において取 れるべきアウトを確実に取れなかったところが挙げられ る。練習のなかでチェアスキルの練習や味方の連携(パ ス)などの練習に取り組んできたが,各個人のチェアス キルの技術や味方同士の守備の際の連携によるロスの削 減がもう少しできれば良い形になったと考察される。

写真5 打撃練習の様子

Ⅳ.今後の課題

 今回の練習においては健常者も多くチームに所属して いるため,まずは車椅子の基本操作に時間を割く必要性 があった。もちろん,冒頭でも述べたようにソフトボー ルの技術だけでは役には立たない。しかし,大会に出場 し,実際の試合の経験の差が,試合の勝敗に大きく関わっ たと考察する。そこで今後は紅白戦などを積極的に取り 入れ臨機応変で柔軟なプレーが出来る練習も必要となる と考えられた。また,もっと多くの人に『車椅子ソフト ボール』を認知してもらい,障がい者スポーツでありな がらも健常者も一緒になって楽しめる「だれもが楽しめ るスポーツ」であることさらに社会に発信していくこと が我々には求められている(写真6)。

付 記

  本 研 究は 平 成29年度 北 方 圏 生 涯 スポーツ研 究 セン ター・センター選定事業として実施した。

 申告すべき利益相反なし。

文 献

1)矢部京之助:アダプテッド・スポーツとは何か,ア ダプテッド・スポーツの科学〜障害者・高齢者の スポーツ実践のための理論〜,市村出版,pp3‑4,

2004.

2)藤田紀昭:障

アダプテッド

害者スポーツの世界アダプテッド・ス ポーツとは何か,角川学芸出版,2008.

3)笹川スポーツ財団:中央競技団体現況調査,2010.

4)梶正義:ぽれぽれ身体障害者野球チーム「神戸コス

写真6 実際の試合の様子

(5)

車椅子ソフトボールにおける練習プログラムの考案

モス」紹介,さぽーと,56(5):32‑35,2009.

5)和史郎:重度障害者を対象としたアダプテッド・ス ポーツの試み─肢体不自由特別支援学校における野 球指導を通して─,北翔大学北方圏生涯スポーツ研 究センター年報,2:57‑62,2011.

6)内閣府:障害者施策総合調査「生活支援」,「保健・

医療」に関する調査報告書,2008.

7)大西昌美,齊藤雄大:ベースボール型車椅子競技の 開発と普及に関する研究報告,北翔大学北方圏生涯 スポーツ研究センター年報,6:89‑95,2015.

8)利根川 勇:ソフトボール練習メニュー─ぐんぐん うまくなる!─,ベースボールマガジン社,2012 9)宇津木妙子,三科真澄:ソフトボール練習メニュー

200,池田書店,2011.

参照

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