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マイクロティーチングの授業評価

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マイクロティーチングの授業評価

著者 太田 静樹

雑誌名 奈良教育大学教育工学センター研究報告

巻 5

ページ 35‑42

発行年 1982‑03‑10

その他のタイトル Evaluation of Microteaching

URL http://hdl.handle.net/10105/4638

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太 田 静 樹(教育学教室)

Evaluation of Microteaching Shiz u ki Ota {Department of Education)

Abstract

There are two kinds of evaluating microteaching (MT). One is that of MT only in the course of training and the other is in relation with classroom lessons. We adopted the latter and did research on how to use it systematically in the teacher training course in our college.

For that purpose, evaluation scale must be simple enough to find out the effect as soon as possible. Evaluation items are different from subject to subject. In addition to statistical treatment, it is necessary to evaluate MT by using what student‑teachers themselves reflected upon.

As practical methods, the number of student teachers allotted to one classroom must be reduced from 6 ‑ 7 at present to 4 ‑ 5 and their independent training system of MT must be reinforced in a group. This method has a tendency to attach importance to subject matters without paying attention to teaching skills. Therefore, it is desired that a special course for training teacher's skills should be established to make up for its deficiency.

Key words:

Evaluation, Teachers skill, Training course

I 研究の目的

われわれのマイクロティ‑チング(MT)の研究目的は、 MTを本学の教育実習課程の中に、

いかに効果的に導入しうるか、その方法を実証することである。単なる実験室的な研究でなく て、例えば本学の小学校課程の学生130名を対象にMTを教育実習課程に関連させて利用し、現 教育実習の問題点の解決の一助にしようとするものである。

従来のMT研究例を大まかに分類すれば次のようにまとめられる。

・教授スキルについての研究

・教育機器利用スキルについて(テキストの作成)

・授業設計

・実験室的方法(シュミレーション、 MTの研究)

・教育実地指導法(教育実習と関連さして)

・教師数再計画(カリキュラム研究、教科教育カリキュラムを含む)

Jf‑i'‑ill‑:‑!一

実際にはこれらの方法がいくつか組合せられている。われわれは、この中で教育実地指導法

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と評価法を組合せた実証的研究を狙っているのである。

評価法についても、2っの方式が考えられ、1っはMTの訓練課程の中だけで評価する。他 の1っはMTを本番授業との関連の中で評価するものである。

第1の方式はMTの訓練効果を確めるのに適しているが、最終的には本番授業でその成果を 評価しなければならない。第2の方式は訓練的というより予行演習的であるが、すぐ本番授業 で評価することが出来る。われわれの立場は前述のように本学の教育実習中にMTを実践し、

それを本番授業にすぐ関連づけて評価する方式をとる。

そのプロセスは次の通りである。

f−小サイクル「

立案→四三二]→批評→再立案→l本番授墓」→批評

大サイクルく   一一一  」

理想的には小サイクルと大サイクルを繰り返しながら進めていくことであるが、実際にはそ の時問の余裕がなく、教生は1人1回、立案→MT→批評→再立案(本番授業の)→本番授業 のプロセスを行なうのに精一杯である。従来のMT観からすれば、即ち短時間に最小の教授技 術を反復行なう訓練的又は診断的方法からみれば、われわれの実施方式は変則的又は単純なも のである。その実践は未熟であったけれども、MTを本番授業に直接的に関連させる方式には 次のような意義を認めている。

1.MTをすぐ本授業に適用してその結果をみることができる。即時強化ということになる。

2.学級担任教師の指導を常時受けることができる。教生同士の評価ではとかく抽象論に陥 入り易いが、担任教師は子どもの実態をよく知っているが故に、子どもの立場から批判し実践

的な指導を与えられる。

3.学級内において教生ら(6〜7人)は協同分担して指導案の立案一準備一観察一評価一 記録に当ることができ、又そのような共同研究体制が必要である。

4.教生がMTの子ども役になるのに段々適してくる。教生らは子どもらと同じ学習経験を し、又子どもらを観察し続けることによって個々の子どもの実態を把握できるようになるから である。

5.教生にとって直後に行なう本番授業のためのMTであるから真剣に取組まざるをえない。

即ちMTのための動機付けが自然と強く出来ていることである。

しかしこの方法における問題点も考えておかねばならない。

1.教生は本番授業のためという意識が強いために、MTに取上げる内容は予め構想してい る本番授業に拘束され、教材研究が中心となり、教授法として必要な方法技術は軽視される傾 向にある。

2.MTで取上げた内容を本番授業で試みれば、それを再び大サイクルの過程でくり返すこ とはできない。同じ内容の授業を本番授業ではできないからである。小サイクルのMTではそ れが可能なはずであるが、現実には難しい。理由はその時問的余裕がないからである。

3.本番授業との関連から教材内容をMTで重視しているから、MTの時間がどうしても永 くかかりがちである。20分くらいは普通で、又その希望も強い。とても5−10分くらいに区切 ることは難しい。これについては筑波大の研究でも授業内容の観点から従来のMTでいわれて いるよりは、永く考えるべきであるとの論である。(1)教授内容を重視すると、細かい分析は意

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味がなくなる。故に導入段階すら、それだけで1しめておくことはやり易いようで、出来にくい。

又折角いよいよこれからというときに中断して、次は次回のMTでということは不能率でもあ る。

4.子どもをMTの子ども役に折角の教育実習中に使いたいし、使い易いようにみえて、い ろいろ問題のあることは前回に発表した。(2)学生を子ども役に使わざるをえないが、それにも 問題が種々あることはよく知られていることである。

5.現状では学級担任教師にとっても、教生にとっても過重負担であることは免れない。綿 密に組まれている教育実習計画の中にMTを導入し位置づける(システム化)ためには、その 有効性、能率性を実証し納得してもらう必要がある。今はその実験実証の段階でやむをえない。

II 実施方法

昭和55年9〜10月にわたる本学の4週間の教育実習期間中に、上述のMT→本番授業のプロ セスを5人の教生(3回生)に実施した。そのうち正確な記録として、3人分を分析した。

対象は本学付小2年生、教科は算数、理科、社会科。算数のときのみ子どもを子ども役に使 ったが、他は教生を子ども役にした。

教生にとってMTは始めての経験であったが、MTの立案は教生の自由な計画に任せた。

MT、本番授業ともビデオどりして評価の資料とした。

評価に際して留意すべきことは次のことである。MTのみを独立的に取上げて訓練的に行な うのと異なって、われわれの方法は教育実習の中のMTである。前者は内容が技術的に単純化 され、量的に評価し易いが、後者はMTと本番授業と密接に関連させているとはいえ、本質的 に性格が異なることである。(表1、2参照)

表1 従来のMTと本研究のMTの比較

従 来  の M T 本 研 究 の M T   的 教授 スキル訓練 中心 教材 内容構成 中心   象 子 ども   生

  数 5 人 7 人前後   間 5 分 2 0分 くらい   程

と して   式

指 導法

独立 的に 教 育実習に関連 さ して

実験的 実践 的

診断的 個別的 直接指導

小集 団的

自己研修 的

  価 それ 自身について 本番授 業に関連 さ して

表2 MT授業と本番授業の比較

M T 授 業   番  授  業   的 授業者の訓練 (個別的) 子どもの学習指導(集団的)

指 導 目標   純  化   象   ど  も   数   人  数   人  数   間   か  い 指 導 内 容   な  い 指 導 方 法   純  化 雰 囲 気 発 言 (全 体 的 )   な  い

個 人的 )   な  い 他 か らの 刺 戟   な  い 教 師 と の 関 係   復

特にMTは授業者(教生)の個別的な訓練であり、本番授業は集団を対象とした学習指導で あること、前者は対象が少人数の教生であり、後者は多人数の子どもであることは両者の本質 的な相異であり、評価の方法も当然異なってくる。われわれはMT授業のための評価法を求め ているのである。

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III MTの類型

実施したMT授業から次の3っのタイプに類別した。即ち、縮小型、拡大型、部分型(標準 型)である。タイプによってMTの狙いが異なり、縮小型は浅い内容になるが全体的に授業の 問題点の抽出を狙っている。拡大型は授業者の問題とするある内容を、よりふくらませ強調し ているのが特徴である。部分型は本番授業の中のある部分(内容)を、そのまゝMTでも行な うものであるが、その通り本番授業でも展開しえたかをみなければならない。もう少し詳しく 説明すると、

1.縮小型

教生はこの型が多い。その特徴は本番授業の内容を多く取りこむために、それを短時間に、

こなすには無理を生じ易い。授業者にしてみれば本番授業のために用意した教材を出来るだけ 多くやってみたい気が強い。この方法では授業実践上どこに問題があるのかを、内容なり、教 り、教材なり、方法上について探るのには適している。故に授業者自身が問題をまともにぶ つけるというよりも、やってみて問題点(つまずき)を見出すことにあるわけである。その 評価は内容が多いだけに授業分析的な方法で教師の行動なり、子どもの反応を多面的にさぐ ることになる。本番授業でそれをどう評価するか。MTでは教生が子ども役であったのに、

本番授業では本ものの子どもが多人数であるというだけで雰囲気がまるで違い、MTで問題 になったことが本番授業では問題にならず、新しい問題が生起することもある。要するにこ こではMTをやることによって本番授業が多少ともうまく運んだということよりも、授業者 がどれだけ問題を把握できたかの方が重要である。いはば診断的評価ともいえる。

2.拡大型

これは授業者が教材についてかなり問題意識をもってMTをやることになる。指導内容の 一部を取上げて、それにやや多くの時間をかけて重点的にやる。故に評価もそれにしぼって やり易い。例えば理科の授業「糸電話」で、どうして音が伝わるのか、糸がたるむとど

うして伝わらないのか等についての話し合いをMTで取上げた。あとでそのこと中心に批評 され、それが修正指導案に生かされ、本番授業にどう反映したかを評価すればよい。どう有 効であったか、いかなる問題があったかをみることになる。

3.部分型(標準型)

最もMTらしいタイプである。予想される本番授業の或部分を取上げて、そのまゝMTに 試みるものである。例えば導入段階のみを5〜10分程度実施するというものである。しかし 実際はとてもこれで終ることが出来ず皆、次の展開に入った。いよいよこれからというとき に授業を中断することは授業者にとっても学習者にとっても意気をそがれることは好ましい ことではない。故にこの部分型のMTは実際には行われなかったものであるが理論的にあり うるとして考えたものである。もしMTを技術訓練中心の課程で行えば可能性は充分にある のである。この型の評価は授業者の狙いとするところが、いかに実現しえているかをみれば よいし、本番授業においても同様である。

以上の類型別は授業者の立場からMTの授業内容を本番授業との関連から考えたものである から評価もそれ中心にならざるをえない。当然前述したように教授技術、方法上の問題はどう

しても軽視されることになる。勿論内容に関連してそのことが問題にされ評価もされるけれど

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もMTとしては不充分にならざるをえない。この問題については後述する。

Ⅳ 評価の方法と場面

一般的にMT授業の評価についていえば、

1 授業者がMTによって何を狙っているか(目標)、その実践の過程及び結果を評価すれ ばよい。それをすぐ評価して本番授業に生かすには余り複雑な評価項目、方法は不用である。

出来るだけ早くまとめられ集計されうるものがよい。(3)項目としては指導、方法、教師の活動、

子どもの反応についてであろうが、それらの中から重点的に取上げればよい。

2 MT授業及び本番授業から授業者が、どれだけ問題点を抽出できたかが評価の対象とな る。授業がうまく(無難に、問題なく)出来たかということでなく、むしろ授業者が自分の授 業から出来るだけ多くの問題点を抽出できる方が、より深刻に授業を意識し考察していること になる。この種の評価は他者よりかは授業者自身の反省(記録)、自己評価にまたねばならな い。

評価の場面(どのような場面で評価するか、いくつかの場面が考えられる。)

1 MT授業そのものを直後の批評会で評価する。それを再立案に具体化していく。

2 MT授業を本番授業の中で評価する。

(1)MT授業の問題点を本番授業の中でどう処理できたかをみる。それをMT授業の時と 比較する。

(2)本番授業の中でMTの関係した部分と、そうでない部分とを比較してみる。MTの効 果が他の部分に転移しているか否かもみる。

3 小サイクル過程の中で最初のMT授業の問題点を修正し、二回目のMTはその問題点に ついて評価することになる。出来れば子ども役の教生は前回より別のグループがよいが、そう 簡単に得られない。既に分っている者同士(教える者、教えられる者)のなれ合いになる恐れ が多分にあるので警戒を要する。

4 大サイクルの過程の中で、1回目のMT→本番授業の過程をやったとして、次週に同じ 教科の2回目のMTをやるとすれば、その学級の授業は既に何時問も前に進んでいるわけで前

と同じ内容ではやれない。進んだところの内容をMTで取上げることになる。従ってMTの内 容も方法も異なる。故に共通した問題の取り上げ方、処理方法、及びそれに関連した技術につ

いて前回のMTと比較して向上がみられたかどうか評価されることになる。

5 以上のうち、2〜4のMTを事前にもった本番授業と同内容の授業でMTをやらなかっ た教生の授業(多分同学年の2っのクラスで比較)とを比較して、MTの要因による差がみら れるかどうかをみる方法である。何らかの評価尺度を用いる場合もある。

6 教育実習後(直後くらいに)、MTを計画的に何回かやった教生と、MTをやらなかっ た教生について、直接或授業を観察させるか、又は或授業のビデオをみせて、その授業の評価 をさせ、両者にMT経験の有無の要因が表われるかどうかもMTの効果の評価になる。それを 多くの学生(教生)に試みることが望ましい。

7 大学教師及び学級担任教師のMT授業の指導は出来るだけ毎回するのが望ましいが、実 際には難しい。そのため毎回のMTと本番授業のビデオどりをしておき、直接参加出来なかっ

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た場合、あとで教師のみで両方の授業のビデオ、又は前後のビデオをみることによって間接に 評価することが出来る。教生らの自主的なMT共同研究に教師が、このような形で間接的に参 加しても効果的であることは横浜国大の例でも示されている。(4)

以上いろいろの評価の場面を設定したが、これら全体を試みることは容易でないが、いくっ かの場面を関連させながら、その影響効果を実証していくことである。

評価表について

1 MT授業の評価を数量的にまとめる方法として各種の評価尺度が工夫され用いられてい る。われわれにとって必要なものは上述したように簡易なものでよい。余り詳しい授業分析的 な方法は事後処理に時間がかゝり、直接に利用出来ない。われわれの方法はMT授業の翌日又 は翌々日には本番授業をやるのが普通であるから、MT直後の評価及び再立案に間に合わなく てはならない。故に評価尺度も観点をしぼったものにしなければならない。又実際を考えても 授業の評価者は、大学教師、学級担任教師、観察の教生又は学生、子ども役の教生である。し かもこれらがすべていっも出席出来るわけでない。大体7〜8人くらいの人数であろう。この

ことを考慮に入れての評価表であって統計的に数量的に余り期待出来ないとすれば、より中味 のある評価ということになろう。

2 評価として結果的に数量的にまとめるのも全体の傾向として知るには有効であろうけれ ども、授業の過程を、+−=0として評価しても内実は分からない。過程の変化を重視するな らば十及び−がそれぞれ意義があるのである、故に形成的な過程をとらえる評価が必要である。

その評価の項目は教科、学年、指導目標により異なるものであるから画一的に形式化も出来な い。(原則は立てられるのであろうが。)

一般的には教師には次のような項目が含まれるであろう。

・学習者への態度(教師の表情、声、動き、働きかけ等)

・教授の方法・技術(説明の仕方、質問、指示、応答、教材提示法等)

・指導内容・教材(呈、質の適当さ)

・授業過程(各段階について、変化、もり上り等)

もし理科のように実験が入れば、実験の仕方について(回数、時間、内容、方法等)の項目 が加わるだろうし、英語であれば、各種の反復練習方法が問われるであろう。

われわれは以上のような評価項目を試行してみて、なおあいまいな点を見出し修正を加えた。

例えば、説明の分り易さについての5段階評価よりも、(1)声はよく聞えるか、(2)話し方の速さ、

(3)説明の内容(宣、分り易さ)等に分析して、夫々について評価する方が適切である。また応 答のし方についても、単に(1)肯定する、助言する、励ます、ほめる、(2)否定する、叱る、皮肉 いう、無視するという2分類の分け方でなく、夫々の項目について評価した方が、やゝ複雑に なるが確実である。

しかもそれを単に結果的に5段階評価してみても前述したように、形成的評価ができない。

故に5段階評価と共に授業過程中における評価メモの欄を設けて、例えば授業過程の始めの段 階(導入)においては、説明のし方が拙かったとか、否定的態度が多かったことが分かれば、

かなり正確な授業の評価となるであろう。

それについて数学教育の重松氏は次のような数学の授業の評価表をまとめている。(5)

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数学の授業の構成・展開をいくつかのポイントに分け、それを各評価の項目毎に5段階評価 していくものである。そのポイントとは、まず場面設定、課題の焦点化、活動の生起、子ども の目的の生起、仮設の検証、結論、適用、全体とし、評価の項目としては、説明例示、発問(多 様、集中)、活動に対する指示、指導態度、板書、全体とし、これらのマトリックスによって 評価表が成り立っている。これは始めから数学の授業用に作られたもので教科の特質がよく出 ている。評価の項目をもっと細かくしていけば、このような構成ポイントに従った授業の展開 過程に対して、より精細な評価ができるであろう。

Ⅴ 実際的な評価方法

本学の教育実習は3[司生が9〜10月に4週間、ほとんどが(約100人)付小で行なう。(あと 30人は希望で協力学校に行く。)付小における教生の各組への配置は6−7人である。実習指導 のためには、この人数は多すぎるといっも問題にされるが、現状ではやむをえないとされてい る。

1 実習第1週目は講義及び示範授業の観察が主で、教生は1人1時間、授業を担当する。

ここではMTをやる余地はない。

MTをやるとすれば、第2〜4週目にである。毎日放課後1人1回1−1.5時間くらい。無理 すれば1日2人行える。出来れば1人が小サイクルのプロセスを行うのが望ましいが、1クラ ス6〜7人の教生では1週間に1回MTが出来ればよい方である。それが3週間では1人わず か3回行えるのみである。これではいかにも回数が少なくてMTを研修したとはいえない。た だ救いは、子ども役の経験をほとんど毎日するわけで回数にして15回(最大)ある。教育実習 においては教える経験と共に教えられる経験も貴重であって、子どもの立場から授業を考え、

評価する力をつけていくことが出来る。

2 以上をより可能にするには

(1)1クラスの教生の配当人数を4−5人くらいにすることである。これであれば1週間 に確実に最低1人1[軸まMTを実施出来る。しかしそのために協力学校実習者がふえること になり、その者たちの指導(出来ればMTの指導)をどうするかが問題になる。

(2)MTの回数をふやせば、それだけ指導教師の参加もふえるわけであるが、現実には出 席できない場合もある。それを補うためには横浜国大で試みているような、教生らによる 自主的なMTの共同研究体制を整備することである。教師はあとからビデオなどをみて間 接指導することになる。それも効果的であることが例証されている。

Ⅵ 問題点及びまとめ

1 われわれのMTの方法は指導内容については重視するが、技術方法は軽視せざるをえな いと前述した。教授スキルの訓練は付随的には出来ても本来的に取組むことは断念せざるをえ ない。それを行うためには教育実習課程から切り離して、大学において実習の事前又は事後に、

そのための訓練課程を設けることである。(そのための教室、設備を必要とするが。)(6j また教 育実習時の本番授業と関係なしに訓練課程が行えるならば、MTの子ども役に子どもを使うこ

とも、より容易になるだろう。

(9)

2 現実に教育実習時にMTを行うとすれば大学と付小及び協力学校との密接な提携が必要 であるが、大学としては、実習の学級担任教師のために講習会、研修会を事前にもち、指導の 役割を果すことである。

本来MTは実習のための個別的な訓練方法として発達してきたものであるが、われわれのよ うな場合には

1 現実に130人の教生に対して行えるMTの指導法を考えていること。

2 子ども役に子どもを得られないので教生同士のチームで役割分担し、自主的な研修体制 をもつこと。

3 結局小集団の訓練方法としてのMTを現在の教育実習課程の中に導入し、それを核とし て教育実習の改革を図っていくという方法をとらざるをえないことである。

以上は数少ない事例からの考察であって実証化には違いが、あくまで本学の実際に即して考 えており、今後以上の方法で多くのデータをとりたい。

註1.梶哲夫他:教育実習事前指導プログラムの開発−ミニティーチングシステムによる教授技能 養成コースを中心に一。1980、P.8

2.太田静樹:マイクロティーチングにおける役割について、1980、奈良教育大学紀要29巻1号 PP.147−157

3.吉田貞介:授業評価における各種機材の活用、1981、第18回全国国立大学教育工学センター 協議会で発表参照

4.藤岡完治:MTとTTをとり入れた教育実習教育の改善、1981、第18回全国国立大学教育工 学センター協議会で発表

5.重松敬一:算数科におけるマイクロティーチング研究、1981、マイクロティーチング的手法 による教育実習指導法の改善研究、P.57

6.=島崎大学教育学部の実験教室では126人を収容して多数の小グループのMTを同時に実施して いる例もある。

参照

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