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雑誌名 大妻女子大学英語教育研究所紀要

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(1)

する一考察

著者 池頭 純子

雑誌名 大妻女子大学英語教育研究所紀要

巻 3

ページ 1‑23

発行年 2020‑03‑16

URL http://id.nii.ac.jp/1114/00006877/

Creative Commons : 表示 ‑ 非営利 ‑ 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by‑nc‑nd/3.0/deed.ja

(2)

   

英会話クラスにおける UCL インターン生の役割に関する一考察

池 頭 純 子

1.はじめに

大妻女子大学では今年度初めてUCL Global Internship Programを実施 し,University College London(以下UCL)からのインターンシップ生を 2名受け入れた。筆者は短期大学部家政科生活総合ビジネス専攻(以下本 専攻)に所属し,担当する「ビジネスベーシック英会話Ⅰ」(1年生必修)

の授業2クラスで2名の学生を受け入れ授業を行った。本稿はその授業内 容を振り返り,英会話の授業内におけるネイティブスピーカーの役割につ いて分析し,今後の授業運営にどのように生かしていくかを検討するもの である。

現在の「ビジネスベーシック英会話Ⅰ」の授業が抱える問題は大きく以 下の3つがあげられる。

① クラスサイズの問題

② 学生の英語能力差の問題

③ 学生の学習意欲の問題

①のクラスサイズに関しては,2019年度は1年生92名の学生を2クラ

(3)

スに分けており,英会話のクラスであるにもかかわらず1クラス47名と いう規模である。

②の学生の英語能力差に関しては,事務的に2クラスに分けているため TOEIC©L&Rでのスコアが565点の学生や英検準2級をもっている学生が いる一方,基本的な単語や文を使えなかったり動詞の活用を理解できてい なかったりする学生が混在している。

③の学習意欲に関しては,大半の学生が英語の必要性をそれほど感じて いないか,感じてはいるもののできれば学習せずに済ませたいと思ってい る。

上記3つの問題点は早急に解決することは難しいと思われたが,今回の UCLのインターンシップ生の受け入れは,これらの問題の解決に大いに 寄与するものであった。もちろん即座に問題の根本的な解決とはなりえな いが,少なくとも③の動機づけに関しては大いに貢献したといえる。

以下,2節では本専攻の英語授業の現状を振り返り,3節で2019年度の UCLインターン生を受け入れた授業についての報告を行う。4節では UCLインターン生との授業に関する学生アンケートの結果をまとめ,イ ンターン生が学生に及ぼした影響を考察し,5節で今後の「ビジネスベー シック英会話Ⅰ」におけるネイティブスピーカーの役割についてまとめ る。

2.「ビジネスベーシック英会話Ⅰ」の授業展開

2.1 2017年度以前

本専攻は学生が卒業と同時に社会で有用な人材として活躍できるよう,

ビジネスの基礎的な知識やマナーなどを中心に教育を行っている。中でも 国語や数的処理といったビジネスの現場で必ず必要となる科目については

(4)

入学直後から始まる「教養ゼミナールⅠ」で基礎固めを図ってきている。

その中に英語も含まれており,日常会話で使われる表現や単語,動詞の活 用など基礎的な内容について復習を兼ねて全員を対象に授業を行ってい る。しかし,この科目は1年生を4つのゼミナールに分け,4人の教員が それぞれ担当の科目を3回ずつ担当するオムニバス形式をとっており,英 語に関しては英語がかなり苦手な学生も考慮に入れ,ごく基本的な内容に しか触れることができない。

2011年度の本専攻開設時は英語科目として「ビジネス英語Ⅰ」と「ビ ジネス英語Ⅱ」の2科目が設置されていた。この2科目はビジネス実務の 区分に含まれており,同区分にはそのほかに「プレゼンテーション」,「ビ ジネス文書実務」,「ビジネスマナー演習」,「企業実習(含インターンシッ プ)」の4科目を含む合計6科目があった。その6科目の中から2科目が 選択必修とされ,まったく英語科目を取らずに卒業する学生もいた。

2012年度も同様の状況であったが,編入試験を目指し英語の長文を読 む必要のある学生や,TOEIC®受験のための勉強を希望する学生もおり,

学生の希望に対応し,また卒業までにほぼ全員が1つは英語科目を履修す る必要があると考え,2013年度からビジネススキルの区分に「ビジネス ベーシック英会話Ⅰ」,「ビジネスベーシック英会話Ⅱ」を加え,「ビジネ ス英語Ⅰ」,「ビジネス英語Ⅱ」と「プレゼンテーション」の5科目の中か 2科目を選択必修とした。「ビジネスベーシック英会話Ⅰ」,「ビジネス ベーシック英会話Ⅱ」はどちらかというと英語が苦手な学生を対象とし,

簡単な日常会話やオフィスでの外国人応対や電話応対の表現を取り扱い,

一方「ビジネス英語Ⅰ」および「ビジネス英語Ⅱ」はそれぞれTOEIC© L&RListeningおよびReadingの対策講座と位置づけ,より高度で実践 的な英語の学習を行うこととした。ビジネススキルの5科目中4科目が英 語となったことで,すべての学生が少なくとも1科目は英語を学習し,多 くの学生は上記4科目の英語科目の中から2科目を受講していた。

(5)

本専攻の学生は多くの学生が英語にかなり強い苦手意識を持っており,

単位のため「ビジネスベーシック英会話」を受講する学生が多かった。受 講者数は,前期に行っている「ビジネスベーシック英会話Ⅰ」(2クラス)

がそれぞれ30~40名,後期に行っている「ビジネスベーシック英会話Ⅱ」

(2クラス)がそれぞれ20~30名であった。

前述した通り本専攻開設当初はかなり英語の苦手意識が強く,また実際 に英語の能力もかなり低く,基礎的な表現ですら十分には理解できない学 生も多かったが,実際に就職してみると英語が必要とされる機会が多く,

卒業後に英語学習の必要を訴えるものが増え,2018年度からは「ビジネ スベーシック英会話Ⅰ」を1年前期の必修科目とした。

2.2 2018年度

2018年度の「ビジネスベーシック英会話Ⅰ」の必修化に伴い,授業内 容の大幅な見直しを行った。それまでも様々な方法を試み,インプットを 増やし,アウトプットにつなげられるような授業展開を試みたが(池頭・

守田・松岡(2018)),受講生の多いクラスではなかなか機能せず,また大 勢が同時に関与できるようロールプレイを行っても,なかなかうまく全員 に取り組ませることができなかった。

最も大きな課題は,学生が高校までに日常的に必要とされる基本的な表 現(挨拶,日常動作,体調に関する表現など)にほとんど触れてこなかっ たことである。すなわち絶対的なインプットが不足しているため,アウト プットには至らないということである。

そこで2018年度は教員が英語で授業を行うことで音声としての日常表 現のインプットの量を増やし,教材としては歌や絵本など,繰り返しや単 文による表現,日常的な表現がふんだんに使われているものを使用し,文 字としてのインプットを増やす,という試みを行った。それらの絵本など の表現を使って自らのことを伝える活動を行うなど,大人数での授業を展

(6)

開するにあたって,様々な工夫を試みた。

極力英語で授業を行うことを試みたが,こちらの意図するところを正し く理解できた学生は1割にも満たない様子で,場合によってはそれらの学 生が仲介役としてクラス全体の理解につなげてくれることもあったが,多 くの場合は最終的には教員が日本語で内容を伝えることになった。

今回UCLの学生を受け入れて授業実践を行ったのはこの必修の「ビジ ネスベーシック英会話Ⅰ」の2クラスと「ビジネス英語Ⅰ」(TOEIC©

L&RのうちListening対策講座)である。「ビジネス英語Ⅰ」では,通常

CALL教室を使い,録音した音声を聞き取る練習を行っているが,実際に ネイティブスピーカーが会話を行ったりするのを聞き取ることもよい経験 になると思い受け入れた。しかしこのクラスは受講生が8名と少なく,検 証するのは難しいと思われるため,本稿では必修の「ビジネスベーシック 英会話Ⅰ」での実践をもとに分析をおこなう。

3.2019年の「ビジネスベーシック英会話Ⅰ」

2019年度の「ビジネスベーシック英会話Ⅰ」でUCLの学生を受け入れ たのは,水曜日2限のクラス(612日,19日,26日,73日)と金 曜日2限のクラス(614日,21日,28日,75日)である。学生数 はそれぞれ47名ずつである。

412日(金曜クラス),17日(水曜クラス)にそれぞれ1回目の授業 を行い,UCLの学生を受け入れることを通知した。UCLの学生を受け入 れるまでの授業回数は水曜クラスが6回,金曜クラスが7回であった。1 回目のイントロダクションを除くと授業回数はそれぞれ5回,6回となり,

あまり会話の得意ではない学生たちにとっては十分とは言えない準備期間 である。学生数も多く,UCLの学生と自由に会話するということは望め ないため,あらかじめプレゼンテーションを準備し,授業内でプレゼンテ

(7)

ーションを行い,UCLの学生からコメントをもらい会話につなげるとい う方法を考えた。

3.1 プレゼンテーションの準備

UCLの学生が来るまでの6回,7回の授業を使って,4つのプレゼンテ ーションを作成させた。テーマは以下の4つである。

1.Introducing Otsuma 2.Introducing my name

3.Recommending sightseeing spots in Tokyo 4.Recommending sightseeing spots out of Tokyo

1つ目のテーマは大妻を紹介するというもので,47名を大きく2つのグ ループ(A,B)に分け,それぞれを3名から4名の6グループに分けた。

クラスを2つのグループに分けたのは,UCLの学生が2名おり,それぞ れに6グループを担当してもらうためである。A,Bそれぞれの6グループ に以下の6つのテーマを分担させプレゼンテーションを作成させた。

ⅰ.The history of Otsuma

ⅱ.About Kotaka Otsuma

ⅲ.Introducing Otsuma Women’s University

ⅳ.Introducing our major:Business

ⅴ.Introducing recommended places in Otsuma

ⅵ.Introducing recommended places around Otsuma

作成に当たっては,大妻学院から出版されている『教えの道をひとすじ に-大妻コタカ物語』の英語版An Educator for Life – Kotaka Otsuma Tells

Her Storyを国際センターから譲っていただき,必要な部分をコピーして

参考にさせた。また学生は学院のホームページやそのほかのインターネッ トの情報の英語版を参照し,何とか助け合ってプレゼンテーションを作成 した。

(8)

2つ目のテーマは各自の名前の由来などについて紹介するものである。

英語の名前は聖人の名前や伝統的な名前が多いが,日本人の名前はオリジ ナルなものも多く,同じ音であっても漢字が違うと意味するところも違っ ているため,そうした日本の慣習について紹介することが目的である。学 生自身自分の名前の由来について聞くことがなかったものもおり,学生自 身にとっても様々な表現を学び,日本の文化について考えるよい機会とな ったようである。

3つ目,4つ目はそれぞれ東京の観光地,東京近郊の観光地(日帰りが 可能なところ)を紹介するというもので,1つのクラスの中で重複しない ように,グループごとに希望する場所を提案させ調整を行った。

1回の授業の中で1つのテーマについて準備させ,終わらないものにつ いては宿題として提出させ,それぞれ翌週の前半を使ってプレゼンテーシ ョンのリハーサルを行った。

上述したように2018年度にこの科目が必修となってから授業は基本的 に英語で行っているが,今回は準備の時間を確保するため,2回目以降は 指示などを日本語で行うことが多くなった。しかし学生たちは準備のため に多くの英語の情報を集める必要ができたため,インプットとしての情報 量は十分確保できたものと考えている。

3.2 UCLの学生との授業

リハーサルを経て原稿の添削・修正を行い,6月以降のUCLの学生と の授業に臨んだ。UCL2名の学生はとても明るく熱心で,また学生と ほぼ同じ年齢の18歳と22歳ということもあり,初回の授業から学生たち は大変興味を持って授業に臨んでいた。1回目の大妻紹介の授業では,1 グループの中で必ず全員が発表を担当するよう指示し,各自の担当分につ いては暗記して臨むよう伝えておいた。しかしほとんどの学生が原稿を見 ながら発表しており,UCLの学生からはその点について繰り返し指摘を

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受けた。また学生がなかなか大きな声を出すことができず,声の大きさに ついてのコメントも繰り返しなされた。UCLの学生からは適宜質問が出 され,学生たちは何とか答えようと努める姿が見られた。

2回目の名前の紹介は個人で行い,11分程度でUCLの学生も興味深 く聞いていた。学生は自分自身のことであり,暗記するよう指示していた ため,1回目と比べ比較的原稿を見ずに発表する学生が多くなってはいた が,やはり不安が大きく原稿を見たままで発表する学生も少なくはなかっ た。その結果として声も小さくなり,1回目と同様の指摘が繰り返しなさ れた。UCLの学生は2名とも英語の初学者の指導経験があり,英語が苦 手な本専攻の学生に対しても適宜ほめながらやる気を持たせるような指導 を行ってくれていた。個々のプレゼンテーションについて質問をしたり詳 細なコメントをだしたりすることで学生一人ひとりとのコミュニケーショ ンを図り,積極的に学生からの発言を引き出すように努めてくれていた。

学生も少し打ち解けて来て,積極的に話しかける学生もおり,英語が苦手 な学生も質問に対して何とか答えようと努力する姿が見られた。どうして も意思疎通ができない場合は教員が仲介することもあったが,教室の2 所に分かれてプレゼンテーションを行っているため,教員が不在なグルー プもあり,そうした場面では一部の英語に積極的な学生が,UCLの学生 と英語が苦手な学生との橋渡しを行っている姿も観察され,今回の英語ク ラスの効果を実感することができた。また2回目以降は発音,特に語末の 閉鎖音の発音についてわかりやすい指導が行われ,学生たちは改めて発音 の重要性を認識したようである。そのほかにもUCLの学生がそれぞれ簡 単なゲームを用意してくれて,学生たちと楽しみながら英語でのやり取り をしていた。

3回目,4回目の観光案内になると学生たちもかなりUCLの学生達との 距離が縮まり,活発なやり取りも行われるようになった。ただ,まだ原稿 をもって読み上げる形でのプレゼンテーションを行う学生もおり,その点

(10)

については厳しく指導が行われた。またUCLの学生のうちの1人が独自 にメールについての指導を行ってくれた。当該の学生あてにメールを出す ように指示し,来たメールには丁寧に返信をしてくれたようである。最後 の授業ではメールの書き方についてまとめたハンドアウトを作成し,配布 してくれた。学生たちはすべて英語で書かれた資料に驚いていたが,大変 わかりやすい資料で,後日筆者の授業の中で解説を行った。2回目で導入 されたゲームについてはその後の授業でも進行に合わせて実施され,学生 たちは大変積極的に参加していた。

1 学生のプレゼンテーション 2 プレゼンテーション後の質疑応答

3 フリートーク 4 ゲーム

(11)

4.学生アンケート

授業終了後,学生たちに今回のUCLの学生達との授業についてのアン ケートを行った(添付資料)。

1では①英語を聞き取る力,②英語を話す力,③英語を勉強したいと いう意欲,について各自の自己評価を聞いた。「全く聞き取れない」,「全 く話せない」,「全く勉強する意欲がない」を「0」,「ほぼ聞き取れる」,

「ほぼ言いたいことが言える」,「とても勉強したい」を「10」として自己 評価した。表1はその結果である(有効回答数86名)。表1では授業実施 前の自己評価を左列,実施後の自己評価を中列に記入してある。右列はそ れぞれの評価をした人数である(①「聞く力」の表の1行目の0-0-1は授 業前全く聞き取れず,授業後も聞き取れない学生が1人,ということであ る)。

1は学生の主観に基づいた自己評価であり,客観的な判断材料とは言 えないが,少なくとも学生自身が授業の前後でどのように英語に対して感 じ方が変わったのかを知る手掛かりにはなる。

①の聞く力については,今回のUCLの学生との授業を受ける前の評価 5以上(まずまず聞き取れる)の学生は27名であった。大半の学生が 聞き取りに自信がなかったが,授業終了後の結果を見ると5以上の評価を している学生は45名と約半数となっていて,わずか4回の授業だけでも 聞き取る力に関してはかなり自信を持てるようになってきていることが分 かる。注目すべきは授業実施以前に4以下の評価をしていた学生の中に3 段 階(1→4,2→5,3→6,3.5→6.5,4→7( 各1人 )),5段 階(0→5(1 人)),6段階(2→8(1人))という評価をしたものがおり,客観的な実際 の聞き取りの力とは評価できないものの,かなり聞き取ることについて積 極的に評価していることがうかがえる。

(12)

1 イギリスからの先生が来る前と後で英語に対する考えが変わりましたか

① 聞く力 ② 話す力 ③ 学習意欲

0 0 1 0 0 3 0 0.5 1

1 3 1 2 2 1

2 1 2 2 3 1

5 1 1 1 6 1 1 1

1 1 1 2 6 3 4

2 4 3 10 5 1

3 1 2 2 2 7 1

4 1 3 4 2 2 2

2 2 3 4 4 3 1

3 10 5 2 4 2

4 5 2.5 3.5 1 5 2

5 1 3 3 6 6 1

8 1 4 9 3 3 1

3 3 2 5 5 4 2

4 6 4 4 4 5 3

5 5 5 2 6 3

6 2 6 2 7 1

3.5 6.5 1 7 1 4 4 1

4 4 3 5 5 4 5 1

5 5 6 4 6 1

6 1 7 1 7 2

7 1 9 1 8 1

5 5 9 6 6 1 5 3 1

6 4 7 2 5 6

7 3 8 1 6 8

8 1 7 7 1 7 6

6 6 1 8 4

7 3 10 1

8 2 6 7 4

9 1 8 2

7 7 1 10 1

8 1 7 7 1

10 1 8 6

9 1

10 2

8 8 3

9 1

10 1

9 9 2

10 10 1

(13)

一方②の話す力については,授業実施の前と後であまり大きな差が見ら れないが,一部に3段階以上の伸びを感じている学生(2→5(2人),

4→7(1人),5→9(1人))もいる。聞き取ることは比較的短期間に慣れ,

また音声だけでなく身振りなどのノンバーバルな情報も理解の手助けとな るため比較的力がついたように感じやすいが,話すことに関しては,4 では上達を実感できるまでには至らなかったようである。

③の学習意欲については,半数以上(51名)が授業実施以前から5 上の評価をつけている。近年折に触れ英語の必要性を耳にしており,やら なくてはならないと思う学生が多いことがうかがわれる。しかしながら実 際に学習するとなるとなかなか実行に移せないのが実情で,学生自身もあ と一歩のところで学習意欲につながらないが,今回実際にUCLの学生と 話をする機会をもち,かなり英語を学びたいという気持ちが高まったよう である。もともと意欲の低かったグループ(4以下)でも3段階以上

(1→5(1人 ),1→7(1人 ),2→5(3人 ),2→6(1人 ),3→6(3人 ),

3→7(1人),4→7(2人),4→8(1人))意欲が高まったと回答している

学生がいる。意欲が10という学生は6名(うち1人は授業前から10)に もなり,ネイティブスピーカーと話すことでかなり学習意欲が出てきたこ とがうかがわれる。

2UCLの学生との授業でよかったと思うことについては以下のよ うな結果になった。

(14)

「英語で話す機会があった」ことがよかったという意見が51人と最も多

60%におよんでいる。ついで「英語を勉強する気持ちになった」(37

人,43%)「英語の聞き取りができるようになった」(35人,40%)とな っている。時間に余裕のある時にはゲームも行ったが,ゲームができたこ とが楽しかったとする評価もある。

3の授業で大変だったこと,いやだったことに関する質問では以下の ような結果が得られた。

最もいやだったことはプレゼンテーションの暗記と資料作りで,短期間 で多くの作業を要求されたことはかなりの負担になったといえる。またf

2  イギリスからの先生の授業でよかったと思うことは

何ですか (複数回答)

(人)

a.プレゼンテーションについて自信がついた。 18

b.英語の聞き取りが少しできるようになった。 35

c.英語で話す機会があった。 51

d.英語のゲームができた。 20

e.グローバルということを理解できた。 17

f.英語を勉強する気持ちになった。 37

g.楽しかった。 36

3  授業で大変だったこと,いやだったことは何ですか

(複数回答)

(人)

a.プレゼンテーションの資料作りが大変だった。 41

b.プレゼンテーションの暗記が大変だった。 61

c.プレゼンテーションが嫌だった。 15

d.英語が全く聞き取れなかった。 14

e.英語は聞き取れたが言っていることが分からなかった。 33

f.なかなか自分の思うことを英語で言えなかった。 56

(15)

の「なかなか自分の思うことを英語で言えなかった」ということに56

(65%)の学生が不満を抱えている。問1-①で見たように40%の学生が

「聞き取りができるようになった」と感じている一方,自分が発言するとな るとなかなか思うようにいかず,苦労している様子がしばしば観察された。

4のネイティブスピーカーのいる授業の必要性については,86名中 27名(31%)の学生が「ぜひ必要」と答え52名(61%)の学生が「でき ればあった方がよい」と答えており,あった方がよいと考える学生は92

%に及んでいる。7名の学生が「なくてもよい」と答えているが,「ない 方がよい」と答えた学生はいなかった。すなわち,すべて英語で行われ,

活動に関しては困難を覚えるものの,必要性を感じるという実態が見え る。

5の自由記述ではおおむね前向きでよい評価が得られている。

UCLの学生の授業内容については以下のような感想が見られた

分かるように言い換えてくれたり図や具体例で説明してくれてなんと なく理解ができ,理解ができたことで少し楽しいと思うようになっ た。

とても具体的で必要性のあるアドバイスをたくさんくれて本当に良い 経験になりました。

些細な質問でも話を膨らませてくれたので嬉しかった。

すべて英語で授業が行われたことについては以下のような感想があっ た。

・こんなに英語を聞く機会が刺激になりました。

自分が思っている以上に楽しかった。英語を聞き取れたときはうれし かったです。難しく考えず,自分の知っている単語だけでも意外と会 話ができるということを実感した。

分かろうとする気持ち次第で,案外コミュニケーションが取れると知 りました。

(16)

・ CDよりも聞き取りやすかった。怖がらずに勇気を出して積極的に声 を出すこと。

回を重ねるごとに英語を自ら聞き取り,何を伝えようとしているのか 考えられることが増えた。

英語でのプレゼンテーションについては以下のような意見が見られた。

・発表せざる得ない環境はとても自分的に成長する機会となった。

・人前に出る訓練になった。

英語力の身につけかたが大分理解できた。特に英語で発表などをする ことが新鮮でよかった。

ネイティブスピーカーとの授業については以下のような意見が出た。

・彼女たちの人柄が魅力的で外国の方への興味も以前より湧いた。

・11回はイギリスの方と話せたのでとても良かった。

・フレンドリーで個人的に色々な話ができて良かった。

・もっと2人と話す時間が欲しかった。

・好きなものを紹介しあうのも楽しそう。

・プレゼンの後に質問や話をするのが楽しかった。

・日本語を教えるのも楽しいと感じた。

・思っていたより,怖くなかった。

・思っていたより聞き取りや話すこともできた。

・日本人と外国人では積極性がすごく違うと感じた。

1-③で見られたように多くの学生が自分の伝えたいことを思うよう

に伝えられないという思いを抱えていたため,以下のような学習意欲の創 生につながるような意見が多くみられた。

これからもっと英語を勉強し,きちんと聞き取れるようになりたいと 思いました。

もっと英語を知りたい,勉強して会話できるようになりたいと思っ た。

(17)

もっと英語を知っていればこの機会を自分の成長につなげられたのに と思った。

英語はコツコツと努力していくことが大切だと強く実感した。

ネイティブの先生がいることでモチベーションが上がったので,来年 以降も実施してほしい。

言いたいことが言えない悔しさを感じたので,今後勉強をしようと思 った。

・英語の勉強を頑張って将来外国の友達が欲しいなと思った。

自分の普段発音している英語では通じないことが分かった。

辞書などでしっかり調べてきちんとした文章を作れるように心がけた い。

また,英語の得意な学生が数名おり,それらの学生が通訳のような形で UCLの学生と英語が不得意な学生との橋渡しをしていたため以下のよう な意見も見られた。

分からない英語は友達に聞き楽しく授業を受けることができました。

全体としては肯定的な意見が大半を占めていたが,前述のように学生数 と学生の英語力に配慮しプレゼンテーションが中心の授業となったことで 一部以下のような授業内容についての不満も見られた。

・プレゼンよりは英会話を重視した授業の方がいい。

・もっと2人と話す時間がほしかった。

・プレゼンの数も多く飽きてしまった。

・多くの人が(プレゼンの間)無駄話をしていた。

・もっと集中できるような環境づくり,話す内容を簡単にしてもらう。

・通訳を付けてほしかった。

・途中で解説がほしかった。

・もっとプレゼンテーションの準備や練習の時間がほしかった。

・英語のレベル別で分かれて理解して話したかった。

(18)

来年度もUCLからのインターンシップ生を受け入れることを前提とし,

これらの意見を踏まえ,2020年度は「ビジネスベーシック英会話Ⅰ」を レベル別4クラスにし,1クラスが20名程度になるよう改善を図った。

本稿の最初にあげた「「ビジネスベーシック英会話Ⅰ」が抱える問題の① クラスサイズの問題,②学生の英語能力差の問題について来年度は改善が 実現する予定である。一部に日本語を介した授業を希望する学生もいる が,レベル別に分けた指導を行うことで,日本語を使わずともよりわかり やすい授業展開をすることが可能になると考えている。

筆者は20198月に本学で行われたEMI(English Medium Instruc-

tion)programの講習会に参加した。そこで学んだことも踏まえながら

2020年度の授業の進め方についてさらに研究していきたいと考えている。

5.会話クラスにおけるネイティブスピーカーの役割

本稿の最初にあげた「ビジネスベーシック英会話Ⅰ」の抱える問題のう ちの③学生の学習意欲の問題についてはUCLの学生を受け入れることで 大きく改善されることが上記のアンケートの結果から明らかとなった。学 生の感想の中に,「今までは先生が最後に日本語で説明してくれるけれど,

今回の授業では先生がいないので自然と聞きとらないとという気持ちにな りました。」というものがあった。いかに日本人の教員が英語で授業を行 おうとしても,学生の中には最終的には日本語で重要事項の説明があるに 違いない,あるいはわからなければ後で教員のところに聞きに行けばよい という甘えがある。ネイティブスピーカーが中心となり,なおかつ今回に ついては日本人の教員は1名だけで,2グループに同時について通訳の役 割を果たしたり,解説をしたりすることはできないという状況で,学生に 緊張感が生まれたことは,ネイティブスピーカーとの授業での最も大きな 効果であった。また表1にあったように,もともと英語に興味を持った学

(19)

生ばかりでなく授業実施前はそれほど学習意欲の高くなかった学生たちの 中に,大きく興味を持つようになった学生がいることは特筆に値する。

英語に関しての関心や意欲が高まったことは前述の通りであるが,学生 の感想にあったように「日本人と外国人の積極性」の違いに気付く学生も 多かった。特にUCLの学生のうちの1名は18歳で自分たちと同い年であ るにもかかわらず,多くの国際的な経験をしてきており,そうした経験を 聞くことはかなり刺激になったと思われる。今回の2人は2人ともたまた ま親がトルコ出身で,そうした経緯もあり多くの外国語を学ぶことに積極 的で,年長の1人についてはフランスで生まれ育ち,イギリスで学ぶとい う国際的な感覚を持っている。

日本で生まれ育ち,外国出身の人たちと話す経験が少ない本専攻の学生 たちにとって,そうした国際経験の豊かな同年代の人たちと話をすること は英語への関心だけでなく,視野を広げしっかりと国際情勢に目を向ける ことの必要性も感じさせるものであろう。

この授業ではないが,筆者は9月に別のクラスでOxfordからのインタ ーン生2名を受けいれ2回授業を行った。こちらは受講する学生は少人数 であったが,後期最初の2回の授業で,十分な準備ができないまま行われ た。しかしこの授業においても2名の学生の経験を聞くことは大いに学生 にとって刺激となった。Oxfordからの学生は,1名はアメリカからの学

生,もう1名はWalesの出身で,自己紹介の中で様々な国を旅して,様々

な言語を学んでいることが紹介され,日本で生まれ育ってきた学生達には どれも興味深いものであったようである。

国際センター主催でUCLからの2名を含む本学留学生との交流会が6 14日(金)の5限に行われた。多くの学部生が出席する中,本専攻の 学生も6名参加していた。ゲーム等も行われたが,積極的に参加し,また UCLからの2名の学生のところへ積極的に話しかけに行っており,会の 直前のアナウンスであったにもかかわらず,6名の学生が授業後の時間に

(20)

参加したことは驚きであった。これまでは英語に対して非常に悲観的な考 えの学生が多かったが,今回授業内で複数回にわたって英語でのやり取り をすることで,かなり積極性が生まれてきていると感じられる。

そのほか,同じく国際センターの主催で「ビジネスベーシック英会話

Ⅰ」4回目の授業が終わった週の最終日,75日(金)の5限にUCL らの2名の学生のインターンシップ修了式が行われた。この会にも本専攻 2名の学生が参加した。UCLの学生とかなり親しくなり,積極的に話 しかけている様子は大変心強く,直接ネイティブスピーカーと接すること の重要性を再認識させるものであった。

英語の力は一朝一夕に身につくものではなく,地道な努力が必要とされ るが,実際に外国人と接して英語を使う機会を持つことが,大変な努力を してもコミュニケーションを図りたいという意欲につながることが明確に なった。今後も機会をとらえて,学生が英語のネイティブスピーカーと接 触する機会が持てるよう,さらに努力していきたい。

(21)

<参考資料>

Business Basic Conversation I 授業に関するアンケート

July, 2019         1年   組   番 氏名      

1イギリスからの先生が来る前と後で英語に対する考えが変わりました か。

  それぞれの項目について,10段階で評価してください。該当すると ころに○を付けてください。

①英語を聞き取る力(0:全く分からない 10:ほぼ全部聞き取れる)

②英語を話す力(0:全く話せない 10:ほぼ言いたいことが言える)

0 5 10

0 5 10

0 5 10

0 5 10

(22)

③英語を勉強したいという意欲(0:全くない 10:とても勉強したい)

2イギリスからの先生の授業でよかったと思うことは何ですか。以下の 項目で該当することに○を付けてください。(複数回答可)

a.プレゼンテーションについて自信がついた b.英語の聞き取りが少しできるようになった。

c.英語で話す機会があった。

d.英語のゲームができた。

e.グローバルということを理解できた。

f.英語を勉強する気持ちになった。

g.楽しかった。

  具体的に 

h.その他(具体的に書いてください。)

   

3授業で大変だったこと,いやだったことは何ですか。以下の項目で該 当することに○を付けてください。(複数回答可)

a.プレゼンテーションの資料作りが大変だった。

b.プレゼンテーションの暗記が大変だった。

c.プレゼンテーションが嫌だった。

d.英語が全く聞き取れなかった。

e.英語は聞き取れたが言っていることが分からなかった。

0 5 10

0 5 10

(23)

f.なかなか自分の思うことを英語で言えなかった。

g.その他(具体的に書いてください。)

   

4.ネイティブスピーカーのいる授業についてはどう思いますか。

a.ぜひ必要  b.できればあった方がよい   c.なくてもよい  d.ない方がよい

5授業全体に関する感想をお聞かせください。改善点などありました ら,率直に意見をお願いします(期待していた授業内容だったか,授 業の進め方など)。

 

参考文献

Briggs, Jessica G. et al. (2018). English medium instruction: Comparing teacher beliefs in secondary and tertiary education. Studies in Second Language Learn- ing and Teaching, 8(3), 673-696.

Dearden, Julie. (2015). English as a Medium of Instruction – A Growing Global Phe- nomenon. British Council.

―et al. (2016). EMI in Turkish Universities: Collaborative Planning and Student Voices. Oxford University Press.

廣森友人.(2015)『英語学習のメカニズム-第二言語習得研究にもとづく効果的 な勉強法』.大修館書店.

池頭純子・守田美子・松岡みさ子.(2018)「アクティブラーニング設備を活用し た英語ライティング指導」.『大妻女子大学英語教育研究所紀要』第1号,

pp.3-23.

Lasagabaster, David, et al. (eds.). (2014). Motivation and Foreign Language Learn- ing: From Theory to Practice. John Benjamins Publishing Company,

Macaro, Ernesto, et al. (2017). A systematic review of English medium instruction in higher education. Language Teaching. 51(1), 36-76.

ワイマー・メルリン(Weimer Meryelln).関田ほか(監訳).(2017)『学習者中 心の教育-アクティブラーニングを活かす大学授業』.勁草書房.

(24)

*謝辞

今回のUCL Global Internship Programでの授業実施,イベントおよび 国際センターの資料については,国際センター所長 井上美沙子先生をは じめとする所員の方々に大変お世話になりました。この場を借りて厚くお 礼を申し上げます。また学生のアンケート集計については,本専攻の助手 鈴木里奈さん,遠藤きあらさんにご協力いただきました。あわせてお礼を 申し上げます。

表 1 イギリスからの先生が来る前と後で英語に対する考えが変わりましたか ① 聞く力 ② 話す力 ③ 学習意欲 前 後 人 前 後 人 前 後 人 0 0 1 0 0 3 0 0.5 1 1 3 1 2 2 1 2 1 2 2 3 1 5 1 1 1 6 1 1 1 1 1 1 2 6 3 4 2 4 3 10 5 1 3 1 2 2 2 7 1 4 1 3 4 2 2 2 2 2 3 4 4 3 1 3 10 5 2 4 2 4 5 2.5 3.5 1 5 2 5 1 3 3 6 6 1 8 1 4 9

参照

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