水稲の重力成形に関する作物学的研究(?)
著者 石井 滋規
雑誌名 奈良教育大学紀要. 自然科学
巻 27
号 2
ページ 115‑142
発行年 1978‑11‑25
その他のタイトル Studies on Gravimorphogenesis in Rice Plants Made from the Viewpoint of Crop Science (III)
‑Action of auxin on georeaction of rice plants‑
URL http://hdl.handle.net/10105/2495
水稲の重力成形に関する作物学的研究ini
石井滋規
(奈良教育大学農学教室) (昭和53年5月1日受理)
StudiesonGravimorphogenesisinRicePlantsMadefromthe ViewpointofCropScience(III)
‑Actionofauxinongeoreactionofriceplants‑
ShigekiIshii
{DepartmentofAgriculture,NaraUniversityofEducation,Nara,Japan) (ReceivedMay1,1978)
Summary
1. Indoleacetic acid (IAA) applied to the rice plants kept in a vertical position increased the number of roots, but not the total length of roots. On the other hand, IAA applied to the culm pieces with a node and the base of leaf sheath increased the total length of roots as well as the root number ; such effects were also seen in the culms merely horizontally fixed. IAA had effects similar to the gravitational stimulation on the top growth and the inclination angle of lamina; the former was inhibited and the latter enla瑠ed at the upper site in the rice plants horizontally kept.
2. In the rice plants grown in an oligotrophic state, IAA treatment in their booting stage led to acceleration in the growth of tiller buds at the lower nodes of the vertical stem and to retardation in it at the middle and upper nodes. It lengthened the internodes at the middle site of the vertical stem, and it elongated the internodes even at the upper site in the rice plants laminae of which were cut off. IAA applied to the rice plants ver‑
tically kept caused the same effects as those of unilateral stimulation of gravity on the growth of tiller buds and the elongation of internodes.
3. The rice plants grown in poor nutrition and of putting forth the 9th leaf were grouped into two plots, vertical and horizontal. Each of them was allowed to absorb IAA‑14C solution through the 8th leaf for 3 hours, and an amount of unmetabolized IAA‑14C con‑
tained in the stem extending from the 4th leaf node to just below the 8th was compared between the two plots; IAA‑14C was distributed at the ratio of 40 to 60 after 0 hour, and of 32 to 68 after 3 hours between the upper and lower sides of the stem in the horizontal plot, while it was at the equal ratio after each time between right and left sides of the stem in the vertical.
On the other hand, the amount of IAA‑14C contained in the stem examined (it was not
l15
different between the two plots after Ohour) after 3 hours was as much as 1% in the hori‑
zontal plot, while the amount of IAA‑14C metabolites was found more largely in the vertical.
4. The pieces of culms with a node and the base of leaf sheath were, in their upright state, allowed to absorb tryptophan‑14C solution for 3 hours, and then they were grouped into the horizontal and vertical plots which were kept under a dark condition for a some time. The comparison between the two plots was made on the amount of biosynthesized IAA‑14C ; it was larger in the horizontal plot by 23‑ ¥2% through various periods ranging
from 3 to 24 hours than in the vertical, showing the former exceeded the latter in auxin synthesizing capability. In the basal part of the horizontal culms, IAA‑14C was asymmetrically distributed between the upper and lower sides, and such a diだerence diminished after 12 hours.
5. All the results obtained indicate that unilateral stimulation of gravity accelerates biosynthesis of auxin to elevate its concentration in the rice plants, in addition to the effect of bringing about an asymmetrical distribution of auxin between the upper and lower sides of the plants as already con丘rmed. Consequently, in the rice plants laid in a horizontal position with their axes, the auxin concentrations become superoptimal for the grow血in the apical part, thus causing it to retard, whereas they become optimal both for the inter‑
nodal elongation in the middle site and for the rooting and the growth of tiller buds in the basal part.
第3章 水稲の重力反応に関与するオーキシンの樽作
すでに第1章42)および第2章43)で述べたように,主軸を水平にした水稲に認められる根の形成 や分けつ芽の生長の特異性は,体内オーキシンの作用と首の先瑞生長の抑制とが密接に関連し合
ってもたらされていることが推察された.またこれらの現象は,一般に重力反応に関して認めら れている,水平茎の上下側にオーキシンが非対称的に分布するということだけでは説明できず,
より多角的な機作の解明が必要と考えられた.よって本章では,重力反応に主要な役割を果たす とみられるオーキシンの作用を改めて検討することにした.
第1節IAA供与が発根,分けつ芽の生長,および範間伸長に及ぼす影響
ThimannおよびWent92>によりオーキシンの発根促進作用がみいだされて以来, Cooper173, LaibachおよびFishnich49) ThimannおよびKoepfli90) ZimmermanおよびWilcoxonlO43,佐 藤813, CurtisおよびFellenberg.20)ら多数の研究者も同様の事実を認めている.またアデニンの
ようなプリン類に対して,オーキシン含量が高い時は発根がより促進されるという報告もみられ る.
一方分けつ芽の生長に関しては,高濃度のオーキシンは側芽の生長を抑制し48,91,21,89,31,93,98,!
4>3ォ,TIBA(2,3,5‑トリヨード安息香酸)やB‑Nine(N,N‑ジメチルアミノスクシンアミド酸), モルファクチンなどのアンチオーキシン,または生長抑制剤は逆にイネ科作物の分けつ発生を促 進することが報告ぜられている50,18,102,35,68).もっとも,この点に関しては,オーキシン濃度は側 芽の生長にとくに関係ないとするもの11,12,13,14,45)側芽の生長はオーキシンによってかえって促
進されるという報告75,333 も一部にあるが,一般的には,オーキシン濃度は側芽の生長と負の相 関関係にあるというみ方が強い.
また茎の伸長に対しては,側芽や根の生長に対するよりもかなり高いオーキシン濃度が適する といわれるが51),この関係も必ずしも単純なものではない.たとえば,原田および江戸36)は, 2, 4‑D(2,4‑ジクロロフェノキシ酢酸)は散布当時に伸長中の水稲の節間には著しく促進的に作用す
るが,遅れて伸長する節間には抑制的に作用することを認め, Sachs795は,ガーベラの花茎の伸 長はGA3(ジベレリンA3)やIAA針インドール酢酸)の散布によって促進されるが,基部の 古い組織に対しては前者よりも後者の促進効果が著しいことを報告している.
著者は水稲の重力反応に関与するオーキシンの機作を解明するに当たって,まず発根と分けつ 芽の生長,および節問伸長に対するIAA供与の影響を検討することにした.
実験材料と方法
実験1. IAAが水稲の発根に及ぼす影響をみるために, 1968年9月末,葉齢7.0土0.1の水 耕首(品種:水稲農林17号)の根を基部から6cmのところで切り捨ててパイプ型水耕試験器B425 に取りつけ.主軸の方向とIAA濃度差を組み合わせて6試験区を設けた. IAA濃度は0 (無処 理, 20および100ppmの3種類とし,これを実験開始日から連続4日間市に供与した.すなわ ち,第4葉菜身から抽出した第5葉菜輪郭に脱脂綿を巻いてその上をセロテープで渡斗状に止 め,ここに0.5mlの供試液を1日に2回スポイトで与えた(第50図参照). 7日の実験期間中始 めの5日間は, IAAの分解を防ぐために60%の遮光を行った.また水平区では,菓先が下垂す るのを防ぐために首の下側に細い支柱を横たえた. 処理個体数は各区10とし, IAA の濃度は Maeda54'553, SugeおよびYamada875,清水および武田84〕らの研究を参考にして定めた.
以上の実験とは別に, 1968年10月始め,出穂後18日を経過した梓(品種:新金南風)の止菓節 を中心に,上部に5cm 菓鞠部をも含む),下部に3cmの梓をつけた切片をつくり,その発根 と主軸の方向およびオーキシン供与の有無との関係を検討した.この梓切片は,水稲の全個体を 供試した場合に予想される,植物体各部位の生長相関の影響を排除するために用いられたもので ある.まず切片の基部を一定量の脱脂綿に包んで,径3cm,深さ15cmの管ぴんの底まで押し 込み,脱脂綿が十分吸湿するまで供試液を加えた.供試液にはオーキシンとしてIAA 20ppm,
アンチオーキシンとしてTIBA IOppmを当て,無処理には蒸潜水を加えた.乾燥を防ぐため に管ぴんにコルク栓をし,主軸が直立または水平になるようにして29‑Cの暗条件に48時間保っ た.各区の個体数は6である.
実験2.分げっ芽の生長と節間伸長に及ぼすIAAの影響については1966年11月,出菓数9 で穂はらみ親にある稲(品種:水稲農林17号)を供試して検討を行った.この材料は貧栄養下で, かつ基部を機械的に圧迫した状態で水耕されたもので,草丈は極めて低く(約50cm),分げっも 全く発生していなかった.まず根を基部から5cmのところで切り揃えたのち,パイプ型水耕試 験器Bによって直立区と水平区に分け,さらに勇薬の影響をも検討するために,各半数の個体か ら上位2葉の葉身を勢除した(第50図).これら4種の稲にそれぞれIAA IOOppm処理区と無処 理区とを設け,実験1の方法に準じて,第8葉菜鞠部に毎回1.5mlずつの供試液を5日間与え
た.なお実験期間は8日間で, 1区につき10個体を供試した.
第50図 実験2におけるIAA液の供与法 〔注〕水平区の勢葉稲の場合.
実験結果と考察 (1)発根量
実験1の首を供試した実験では,処理開始時に6cm未満の根も若干含まれていたとみられる が,実験後の調査に当たって,根冠を有するものはすべて新根とみなした.その結果IAA無 処理の水平区は直立区に比し根数で10%増加したが,総根長ではほとんど変らず,平均根長では 僅かに減少する傾向があった(第31表).一方IAA 20ppm処理は直立,水平両区の根数には影 響なく,根の伸長には抑制的に作用した.同100ppm処理は直立区の根数を無処理の水平区と 同数まで増大させ,根の伸長にはやはり抑制的に作用した.また, IAA IOOppmの水平区は同 20ppmと同様な傾向を示した.
秤切片を用いた実験では, IAA処理は直立区の根の伸長を抑制したが,発根数は著しく増加 し,総根長も約2倍に増大した(第32表).一方IAAと措抗的に作用するといわれるTIBA25'1013
第31表IAA処理が首の発根に及す影響
は,直立区の発根と同時に根の伸長を強く抑制した.
これに対し,水平区の無処理は直立区の2倍以上の発 根数を示し,総根長も約1.5倍になるが, IAA処理は かえって根数を減じ,根の伸長をも抑制した. TIBA は水平区の発根数には影響なかったが,根の伸長だけ は強く抑制した.しかし,その抑制率は直立区より小 さく,平均根長はこの場合だけ水平区で大であった.
なお,酉を供試した実験の終了時に新薬(第8葉)の 生長量と上位の葉身傾斜角度とを求めてみると(第51 図および第52図),すでに第1章第4節42)および第2 章第3節43)でも述べたように, IAA 無処理では水平 区の新葉が直立区より短縮し,菓身傾斜角度は逆に増 大していた.これにIAAを与えると,直立区は水平 区の無処理に似た傾向を示し,水平区では新薬の生長 と葉身傾斜角度の増大がともに抑えられることが認め ら:Uた.
以上の結果を総合すれば, IAA 処理は直立区の根 や新葉の生長を抑制し,発根数と菓身傾斜角皮とは逆 に増大する傾向があり,これと同様な現象がIAA無 処理の水平区で認められたことになる.このことは水 平区の体内オーキシン濃度が直立区より高位にあるこ
とを示し,ために,水平区へのIAA供与はその濃度
0
3
( o ) 3 5 / h i i t M i r が
蔽:>V: 水 平
第51図IAA処理が新莫(第8業)の生長に 及ぼす影響
■■細無 処 理 E=:コIAA 20ppm
¥71TX IAA l∝)ppm
⊥ rsr m監̲藍j臣
直立 水平 直立 水平 直 立 水平
5 葉 6 薬 7 菜
第52図IAA処理が莫身傾斜角度の増大に及ぼす影響
を過剰にして,根と新葉の生長を一層抑制し,葉身傾斜角度の増大をも抑えるにいたるものと考 えられる.葉身傾斜角度に関しては, IAA供与はこれを増大するが,過剰になれば抑制し,こ の反応が起こる水稲の葉身基部(lamina joint)にはIAA様物質の存在も確認できるという報告 がMaeda55,57>および前田ら56.58,60)によってなされている.さらに前田59)は,この菓身基部が重 力刺激によって内生的オーキシンの供給を受けやすくなるという推測を行っているが,本実験の 結果は,類似の現象が,単に展開葉の葉身基部のみならず,抽出中の新薬や発根部位においても 生じていることを示すものと考える.
(2)分けつ芽の生長
第33表および第34表に示すごとく,実験2において穂ばらみ期の無勢菓稲を水平にすると,下 位の第3‑第5葉節では分けつ芽の生長が促進されたが,上位の第6‑第8葉節では抑制され, かつ上位はどその抑制率が大であった.また勢葉は各分けつ芽の生長を著しく抑制したが,水平 区では直立区に比し下位節の抑制率が小さく,上位節ではやや大となる傾向があった.
第33表IAA処理が分けつ芽の生長に及ぼす影響 (単位mm)
〔注〕カッコ内は無処理に対するIAA処理(100ppm液使用)の指数を示す.
第34表 第33表の直立区に対する水平区の各分けつ芽長の指数
直立区のIAA処理は下位節の分けつ芽の生長を促進し,とくに勢葉稲ではその効果が大であ った.上位節の分けつ芽はIAA処理によって生長を抑制されるが,努菓稲ではその率が小さく なった.一方,水平区の無勢葉稲をIAA処理すると,全般的に分けつ芽の生長が抑制され,と くに上位節ではその傾向が強く現れた.しかし水平区でも,勢菓稲はIAA処理によって下位節 の生長を促され,上位節の生長抑制率は小さくなった.
次に,供試材料と同一の発育段階にあった稲の処理開始時の分けつ芽長を調査し,これに基づ いて,実験期間中の各分けつ芽の生長量を推定してみた.第35表は直立区の無勢葉, IAA無処
第35表 実験2の期間中における各分けつ芽の生長量 (単位mm)
〔注〕 1)実験中の増量は直立・無勢葉IAA無処理の場合. 2)調査個体数は10.
理の値で,第6葉節および第7葉節の生長量が最も大きく,次いで第8葉節のそれが比較的大で あったことが分る.すなわち,本実験の材料では第6‑第8葉節の分けつ芽が急速な生長期にあ り,無勢葉の直立区では,これらがIAA処理によって生長を抑制され,これより下位節の分け つ芽は逆に促進されたことになる.さらに,勢葉した直立区のIAA処理は下位節の生長促進率 を一層大きくしている.これらの事実は,直立区の下位節では元来,内生的オーキシンが分けつ 芽の生長に通した濃度よりも低く,上位節ではそれに通した濃度にあるが,上位葉の努除はその 濃度を全般的に低下させるので,下位節のオーキシン不足が一層顕著になることを示すものとい
える.
一方,無勢葉の水平区は直立区のIAA処理に類似した傾向を示し,前者のIAA処理はどの 分けつ芽の生長も抑制し,とくに上位節でその傾向が強かったことは,水平位の茎では直立位よ りも,内生的オーキシンの濃度が一般に高くなっていることを示唆するものと考えられる.
(3)節間伸長
分けつ芽と同様にして求めた,実験期間中の主要節間と幼穂の推定伸長量を直立区の無勢菓・
IAA無処理について示せば第36表のどとくで,助穂長と第9節間長は実験前の1.6倍に達し,罪 7 ・第8節問長は1.5‑1.2倍になった.このような生長期にある直立・無勢葉稲をIAA処理す ると,幼穂長および第9節間長には変化なく,第7 ・第8節間長が25‑34^増大する結果が得ら
第36表IAA実験2の期間中における主要節間および幼穂の伸長量(単位mm)
第37表IAA処理が節間と幼穂の伸長に及ぼす影響 (単位mm)
計
〔注〕かソコ内は無処理に対するIAA処理(lOOppm液使用)の指数を示す.
れた(第37表).一方,直立・勢葉稲では各節問および幼穂の伸長が抑制され,下低節間はどその 抑制率が大となる傾向があった.しかるにこの直立・努菓稲をIAA処理すれば,節間および幼 穂の伸長が促進され,かつ下位節間ほどその傾向が顕著で,第7 ・第8節間は無勢葉 IAA無 処理よりも長くなった.次に無勢葉IAA無処理の水平区では,最下位の第7節間長は明らか
に直立区より大となったが,他の節間長にはほとんど差がなく,幼穂長では逆に水平区が短縮さ れた(第38表).水平区の無勢莫稲はIAA処理により節間長を増大せず,かえって,上位節間と
第38表 第37表の直立区に対する水平区の節間長および幼穂長の指数
幼穂の伸長が若干抑制された.努葉は水平区の節間および幼穂の伸長をも抑制するが,これに IAAを加えると下位節間長は無処理より大となり,幼穂長のみがやや短縮された.
上記の結果において,直立区の節間伸長に対する努葉の抑制効果とIAA処理の促進効果がと もに下位節間において顔著で,かつ, IAAの促進効果は努葉稲でより大であったことの原因に は,次のような事項が関与しているものとみられる.すなわち,本実験で調査した下位節間は努 除された上位葉と密接に維管束連絡していた40)こと,また下位節間は一般に内生的オーキシンの 濃度が低く91,95,103),さらに,上位葉の勢除はその濃度を一層低下させる結果になったと考えら
れることなどである.
一方,水平区のIAA処理は努菓稲の下位節間にだけ伸長促進作用を現し,無勢菓稲ではもっ ぱら上位節間と幼穂の伸長を抑制する方向にだけ作用が認められたのは,無勢葉の水平区では体
内のオーキシン濃度が十分高いために, IAA供与は茎頚部の濃度を著しく過剰にし,ただ努葉 によってオーキシン含量が低下している時にだけ, IAA 供与が下位節間の伸長を促進するもの と考えられる.原田および江戸363 高橋88)らが報告している,水稲の下位節問の伸長を促す生長 物質の濃度は上位節間には抑制的であるという現象も,上述のような,茎頚部と茎基部における 内生的オーキシンの濃度差に関連して生ずるものと推察される.
次に,節問伸長と他の生長機能,とくに分けつ芽生長との関係を検討すると IAA供与また は主軸の水平保持により,第3‑第5菓節の分けつ芽が生長を促され,第6菓節以上では多くの 場合生長を抑制された.第6 ・第7葉節の分けつ芽はそれぞれ第7 ・第8節間の基部に着生して おり,しかもこの節問はIAA供与や主軸の水平保持により伸長を促される傾向を示した.この
ことは,茎の伸長に適するオーキシン濃度は側芽のそれよりかなり高いという一般的現象89)が, 水稲においても認められることを示している.これらの事実を総合すれば,水平位の水稲では茎
内のオーキシン濃度が直立位より高くなり,これによって下位節の発根と分けつ芽の生長が促さ れるが,これより高濃度の中位部では分けつ芽の生長が抑制され,節問伸長は逆に促進されるも のと考えられる.一方,上位の節間や幼穂,および抽出中の新薬の生長に対しては,水平位の体
内オーキシン量が過剰となって生長を抑制されるものと推察される.
第2節 重力がIAA‑Hcの移動分布に及ぼす影響
Cholodny165およびWent975が提唱した,単子葉類の輪業や双子薬類の茎を直立位から水平位 に移すと,横断面に放射対称的に分布していたオーキシンが重力方向に非対称的に再分布すると いう説は,一部にこれを否定する報告76,15・77)はあっても,現在一般的な事実として認められてい るといってよい.すなわち Dolk245, Dijkman22'2", NavezおよびRobinson713, Boysen‑Jensen83, van Overbeek ら96, GillespieおよびBriggs265, BraunerおよびB6ckォらは,水平位の上下両半 側から拡散あるいは抽出によって得られる内生的オーキシン量を比較し, GillespieおよびThi‑
mann87'283, GoldsmithおよびWilkins29'303, HertelおよびLeopold375, Lyon533らは同様にして得 られる外生的オーキシンについて上記のことを確認している.
しかしながら,水平位の相葉あるいは茎の上下側から得られるオーキシンの総量については, 内生的,外生的の何れを問わず,直立位の総量と変りないとする報告が多く71,26,29,30,9・28,375 水 平位は直立位よりオーキシン含量を増大させるという知見は稀である.この点に関して, van Overbeek ら96)は,水平位のサトウキビの節間基部には直立位の2倍以上のフリー・オーキシン が含まれることをみいだしているが,一方,同一材料ではオーキシンの非対称分布が認められな かったと報告している.
著者はこれまで,重力が水稲の形態形成に及ぼす影響を観察した結果,水平茎ではオーキシン が重力方向に非対称的に分布するとともに,茎内のオーキシン濃度は直立位よりも若干高くなる ものと推測した.本節ではこの推測を裏づけする実験の一つとして,本稲体に与えたIAA‑14C の移動分布の状態を検討することとした.
実験材料と方法
1968年10月,径6cmの小鉢に1個体ずつ育てた稲(品種:水稲農林17号)が草丈約53cm,菓 齢8.5で節間伸長初期にある時実験に供した.この稲はそれまで基部をアルミ箔で包み,時々う すい水耕液を与えて育てたもので,分けつも全く発生していなかった.実験に際して,枯死また は黄変していた第3葉以下は取り除き,先端5cmを切り捨てた第8葉の切口からIAA‑14C水 溶液を吸収させた. IAAの標識化合物には,生体内でC02として遊離する量が少ないとみられ るIAA‑2‑14C3;iを選び,供試液にこれを8.13ォM, carrierとして非標識のIAAを135. 14/iM 含ませた.
IAA液の供与を開始する1時間前に,ガラス室内の台上で主軸の方向を直立と水平に分け, 次いで第8葉の切口がその付近に同定した小菅ぴんの底に接するようにセロテープで止め,さら に管ぴんをアルミ箔で包んだ(第53図).そのうえで管ぴんに一定量のIAA液を滴下し, 3時間 後に葉先を取り出して水洗した.その直後(0時間後)に第1回目の,また3時間後に第2回目の 材料をそれぞれ各区10個体ずつ採取した.
採取した材料を直ちに4。C室に搬入して根と葉を茎部から切離し,茎部を第54図のように解
第53園IAA‑14C液の供与方法
茎 中 位iK
第54園 未代謝IAA‑1JCの検出に供した茎中位部とその各半側
〔注〕半側は水平区の場合を示す.
剖したのち一旦‑20‑Cに貯蔵した.この茎部の第4葉節直下から第8葉節直下まで(これを茎 中位部と称する)は3.0‑3.5cmの長さを有し,発根および節間伸長の中心部を含むとともに, 重力刺激が分けつ芽の生長に影響しやすい部位にも当たっているので,ここに含まれる未代謝 IAA‑2‑"Cの比放射能を直立・水平両区間で比較してみた.そのために,冷凍貯蔵後, 5個体
ごとに同一部位をまとめて磨砕試料を作製し,これを80%エタノールに混じて毎分3,500回転の 遠心沈殿を3回くり返したのち,上澄液を一定容に満たした.上澄液の少量を取って,その放射 能をガスフロウカウンター(windowless)を用いて測定し,残液は減圧濃縮して,その徽量を一 次元ペーパークロマトグラフィにより約25cm展開した.溶媒にはイソプロパノール, 28^ア ンモニア水,蒸潜水の80:10:15(v/v)の混液を用い,展開後渡紙を2cm幅に分割して,各切 片中の放射能を液体シンチレーションカウンター(PackardTri‑Carb. 314‑EX)で測定した.也 お,シンチレーション液には PP04g, POPOPO.1g とトルエン11との混液を用いた.檀 準のIAA‑2‑14Cと同一 Rf値(約0.59)をもつ切片の放射能と全切片中のそれとの比から,当初 のエタノール抽出液に含まれていた末代謝IAA‑"Cの値を求めた.
実験枯果と考察
茎中位部の縦分割から得たエタノール抽出物とその中の未代謝IAA‑14Cの比放射能は第39表 のどとくで,未代謝IAA‑14Cの含有率は0時間後では区間にほとんど差がなかったが, 3時間
等39表 茎中位部の各半側に含まれるエタノール抽出物および未代謝IAA‑14Cの分布畳
時 間
( h ) 試 験 区 半 側
エ タ ノ ー ル 抽 出 物 の 未 代 謝 I A A ‑ " C の 未 代 謝 I A A ー14C の 両 半 側
比 放 射 能 n 比 放 射 能 の 比
(c p m ′g fr w t) (% ) (c p m ′g fr w t) (% )
0
直 立 左 6 ,0 4 2 5 1. 6 0 3 , 1 18 5 0 . 5
右 6 , 1 1 5 5 0 . 0 5 3 , 0 6 1 4 9 . 5
水 平 上 4 , 6 12 5 2 .0 5 2 , 40 1 4 0 . 0
下 7 , 14 9 5 0 . 4 5 3 , 60 7 6 0 . 0
3
直 立 左 1 0 , 2 5 1 5 2 .6 5 5 , 50 0 5 0 .7
右 1 0 , 0 42 5 2 .3 0 5 , 2 5 2 4 9 . 3
水 平 上 5 , 9 0 8 6 3 .0 5 3 , 7 25 3 2 .0
下 1 2 , 4 2 1 6 3 .7 0 7 , 9 1 2 6 8 .0
後では水平区が約10%大であった.また各半側に含まれる未代謝IAA‑14C量は直立区では何れ の時期においてもほぼ等しかったが,水平区では0時間後では上下に40:60, 3時間後では32:
68の比に分布していた.すなわち,水平区ではIAA供与開始後3時間ですでにそれが上下側に 非対称的に分布し,その3時間後にはこの傾向がさらに強くなることがみいだされた.
次に,以上の両半側を一括して,茎中位部全体に含まれるエタノール可溶物質の放射能と未代 謝IAA‑14Cのそれを区間で比較してみた(第40表).その結果,両者とも0時間後ではほとんど 差がないが, 3時間後には前者の放射能は直立区で13%高いにもかかわらず,後者のそれは水平 区で7%高くなることが認められた.すなわち,直立区では第8集から茎中位部‑一定時間内に 移動するIAA量は水平区より大であるが,その代謝産癖の増加度がより大であるために,オー
第40表 茎中位都全体に含まれるエタノール抽出物および未代謝IAA」4Cの分布量
時 間
( h ) 試 験 区
エ タ ノ ー ル 抽 出 物 の 末 代 謝 IA A ‑ " C の 末 代 謝 IA A ‑ i4C の
指 数
比 放 能 >51C 比 放 射 能
(cp m / g fr w t) (% ) (c p m ′g fr w t) (% )
0
直 立 6 , 0 7 9 5 0 .8 3 3 , 0 9 0 10 0
水 平 5 , 8 8 2 5 1 . 2 5 3 , 0 1 5 9 8
3 直 立 10 , 1 3 7 5 2 . 4 8 5 , 3 2 0 10 0
水 平 8 , 9 7 4 6 3 . 3 8 5 , ( 1 0 7
キシン活性を有するIAA量は逆に減少する傾向のあることが示唆された.
Andreaeら1・2),によれば,植物体内におけるIAAの代謝産物としてはインドTルアセチル アスパラギン酸が代表的なもので,その生成には呼吸が関与しているようであるが,今後これら の点と主軸の方向との関係についても検討する必要がある.なおCrafts193, WoodfordlOO3ら,お よびvan Overbeek943が明らかにしているように,本実験の第8葉から吸収されたIAA‑HCは 主に師部を通って茎中位部に移動したとみられるが,このことは,茎の縦断方法によっては, IAA‑14Cの分布状況が異なることを意味する.しかし本実験では,茎部に合流した第8葉の大維 管束がなるべく左右,または上下両半側に平等に分配されるように分割したので(第54図参照), その影響は少なかったと考えられる.以上の結果から,水平位の茎中位部では上下両半側にオー キシンの非対称分布が行われることが明らかで,このことが,第1章43)に述べたように,茎の下 側における根原基の発達や発根を促し,他方では第2章44)に述べたような,茎中位部における背 地的屈曲の促進や,茎の下側に位置させた分けつ芽の生長抑制の原因になったものと考えられ る.
一方,水稲内のオーキシンの移動速度は,トウモロコシの斡葉に関するNaqviおよびGordon の結果6g)と同様に,水平位より直立位で大であったが,供与開始後6時間目の活性オーキシン量 は逆に水平位でやや多くくなる傾向が知られた.しかしながら,増田ら61)によれば,直立位で増 大したIAA代謝産物のすべてがオーキシン不活性とは断定できず,水平位のオーキシン濃度は 直立位より高くなるという推論に対しては,より確かな証拠が必要と考えられる.
第3節 重力がオーキシンの生合成能に及ぼす影響
前節において特定葉から吸収させたIAAは水平茎では供与開始後3時間目にすでに上下側に 非対称的に分布し, 6時間目には未代謝の形で検出される量が直立茎よりやや多くなることを認 めた.この事実は,本章第1節までに述べた,水平茎における形態的特異性をよく裏づけし,また そのことによって,水平茎では直立茎よりもオーキシン濃度が高くなるであろうという推論を, ある程度確かめたものと思われる.しかしながら,前節においてもIAA代謝産物の検討が残さ れており,さらに,外生的オーキシンの動態をもって内生的オーキシンのそれを十分把握するこ とは困難と考えて,生体内におけるオーキシンの合成能力を比較することにした.
実験材料と方法
実験材料. 前節と同様な方法で燥性に育てた稲(品種:水稲農林17号)が出穂始期にある
時,主稗の上から2某日に当たる第8葉の節を中心に,長さ 6cmの稗切片をつくった.そのう ち節上位部は4cmとし,第8莫菓翰基部も含ませておいた.切片採取前の母梓節間長は節下位 部では2.2‑3.0cm,節上位部では4.5‑5.0cmであった.なれ 本実験の実施時期は1969年 11月であった.
インキュベーション・ DL‑トリプトファンー14C水溶液(Sped丘c activity: 25^Ci/3ml)杏 入れた小ビーカーに稗切片を直立させ,切片の基部1.2cmが液中に漬かるようにした.このビ ーカーを3時間 30‑Cの暗条件に保った(プレインキュベーションと称す)のち,洗ぴんでよく すすいだ切片基部を,吸水させた定
量の脱脂綿で包み,径2cm,長さ 9cmの管ぴんの底まで押し込んで, 乾燥を防ぐためにコルク栓をした
(第55図).その後 30‑Cの暗条件で 管ぴんを直立または水平に保って,
3‑24時間のインキュベーションを 行った.
IAA‑14Cの検出.各区から経時的 に10個体ずつ採取し 4‑C室で稗の 屈曲角度を測定したのち,稗切片 を第56図のような5区分に分割し, 10個体の同一部位を一括して分析に 供した.一旦冷凍貯蔵した材料を細 断し,少量のメタノールとともに沸 騰させたのち,第57図に示した操作 を経て定容のメタノール抽出液を 得,これに含まれる放射能をガスフ ロウカウンター(windowless)で測 定した(A値).残液を35。Cで減圧 濃縮し,その0.05mlを,シリカゲ ルGを吸着剤とし,クロロフォルム : 96^氷酢酸‑95 : 5(v/v)を溶媒と した一次元薄層クロマトグラフィー で展開した.同時に展開した標準 IAA‑2‑14Cのスポットを, Ehrlich 試薬と紫外線(約2540Å)照射を併 用して固定し,これとほぼ同‑Rf域 (0.65)にあって,紫外線による蛍光 発色を行うスポットを中心として, 一定幅のシリカゲルをバイアル中に
かき取った.ジオキサン:エチルセ ルソルプ:トルエン‑1:1:l(v/v)
第55囲 トリプトファン‑14C供与後のインキェベーションの方法
〔注〕図は水平区の場合を示し,太い矢印は重力方向を指す.
2an (2) (4)
‑∈≡>‥ ⊥
(3) (5)
I I
第56図 インキェベ‑ション後の梓の分割方法
〔注〕図は水平区の場合を示し, (2)および(4)は上側, (3)および (5)は下側に当たる.また太い矢印は重力方向を指す.
細断試料+メタレール (沸騰)
1
(アフターインキュベーション) (25。C. 12h)
1
摩砕 遠心沈殿
t
(3回)
I
沈殿
1
1ml
(放射能測定)
④
0.
蒲層クロマ IAA域の
1
上澄液+メタノール
(25ml )
t
残液
t
減圧濃縮
1 0 5 1
‑ 1 シ
ml グラフィ‑
リJJ !r'j¥
0.05ml
1
(放射青紬ll定)
◎
(放射能測定)
⑧
第57回IAA‑UCの検出方法 残液
∫
の混液11にPPO4g,POPOPO.1g,ナフタ))ン75gを混合したシンチレーション液3mlを 加えて,試料中の放射能を前節と同じ液体シンチレーションカウンターで軌l定した(B値).別
に,もとの濃縮試料0.05ml中に含まれる放射能を同一の方法で測定し(C値),これらの値を 25×AB/C式に代入して,梓切片の各部位に含まれるIAA‑14Cの比放射能を求めた.
mmmmam詔
(1)樺の屈曲角度
直立区の樺はほとんど角度が変らず,常に約10未満の値を示した.一方,水平区では3時間 後にすでに2.1‑を示し,背地的屈曲の始まっていることが知られた.しかし, 6時間目までの 角度の増大は比較的緩やかで,その後急速に屈曲角度を増大し, 24時間目には17.9‑に達した
(第58図).
12
インキュベーション時間(h)
葛58図 水平区における得の屈曲角度
(2)両半側におけるIAA‑UCの分布景
直立区では節間基部(部位2‑3 および節間頚部(部位4‑5)ともに左右の半側にほぼ等量 にIAA‑14Cが分布していたが,水平区では基部と頚部で異なる分布状況を示し,また同じ基部 でも採取期により若干傾向を異にした(第41表および第42表).すなわち,水平区の節間基部で は, 6時間目までは上下側にはぽ38: 62の比に分布するが, 12時間目以降はこの非対称性がやや 弱くなる傾向があった.このことから,水平区における梓の屈曲はオーキシンの不等分布に随伴
して起こるが,屈曲角度が急増する頃には,その非対称性の緩和が始まっていることが知られ た.節間頚部では,水平区の上下側の分布量に大差なく,ただ24時間目にはある程度非対称的に 分布することが認められた.このことはJacobs443, LeopoldおよびLam523, McCreadyおよび Jacobs60らがみいだしている,オーキシンの極性移動は古い組織では抑制されることと関連ある
ものと考えられる.
(3) IAA‑UCの生合成量
次に,両区のオーキシン合成能を比較するために,切片全体(部位1‑5)と節求頂側の節間 (部位2‑5)について求めたIAA‑"Cの比射放能を第43表に示す.この値は,節の求頂側では 両半側を一括して,全放射能を生体重で除したものである.表によると,切片全体のIAA‑UC
第41表 生合成されたIAA‑14Cの節間基部の各半側における分布量
第42表 生合成されたIAA‑"Cの節間頂部の各半側における分布量
第43表 切片全体(部位1‑5)と節求頂側の節聞く部位2‑5)に 含まれるIAA‑HCの量 (単位cpm/g fr wt)
量は,直立区ではプレインキュベーション終了時が最大で,その後経時的に減少しているが,水 平区ではインキュベーション開始後3時間目に最大となり,その後は直立区と同様に減少した.
したがって,各時期における切片全体のIAA‑14C量では水平区が直立区より常に 大で あった.一方,節求頂側では蝣 3 時間目まで水平区の分布量が直立区より25‑29%大で, 12 時間目には区間差がなくなるが, 24時間目には再び水平区が多くなった.
上記の傾向を,やはり両半側を一括した, 2cmごとの節間区分として検討すると(第44表), 第44表 節の求基側節間(部位1)と,求頂側節間の基部(部位2‑3)および
頚部(部位4‑5)に含まれるIAA‑14Cの量 (単位cpm/gfrwt)
〔注〕指数は直立区に対する水平区のパーセントを示す.
節の求基側(部位1)および求頂側頂部(部位4‑5)では常に水平区が多く,とくに,時間の経 つほどその傾向が強くなった.一方,発根および分けつ芽の生長,さらには屈地反応および節間 伸長に最も直接的な関係を有するとみられる節の求頂側基部(部位2‑3)では, 6時間目までは 水平区が著しく高い値を示した.このことは第42表からもうかがわれるところで,この時間帯で は水平区の下半側はもちろん,上半側でも直立区より高い値を示している.部位2・3における IAA‑14Cの分布量は12時間目以降直立区が大となるが,部位4・ 5では逆の傾向が強くなるため に, 24時間目の節求頂側全体(部位2‑5)では水平区が優ることとなった.
Maeda54)は,コムギ梓の背地的屈曲は薬翰基部の部問生長(intercalary growth)によって生 じ,節および節間は直接関係ないとしている.この報告はオーキシン合成も類似の部位で行われ ることを示唆するようにもみえるが,本実験の結果はむしろ,イネ科植物のオーキシン合成は節 間でも行われることを示している.またすでに第2章第5節43)でも述べたように,水稲梓の屈地 反応には節間基部の部間生長が大きく関与しており,この点からも, Maedaの報告には検討の 余地があると思われる.
次に, StrydonおよびHartman863は,スモモの挿木に与えたIAA」4Cの一部は, 1時間以 内に14C02として放出されることをみいだしているが,本実験でも, IAA‑UCに合成されたの ち, uco2その他の物質へ代謝したために検出されなかったものがあると考えられる.呼吸量に 関してSchley833, Navez703らは,水平位の根は直立位よりもそれが盛んであることを認め, Bon‑
nerやその他の人びと47,10,63は,オーキシン濃度が高いところでは呼吸量も増大することをみい だしている.これらの報告は,本実験で放出された 4CO2量は直立区よりも水平区において大
であることを示唆するが,前節に述べた結果によれば,茎中位部で検出される外生的オーキシン の代謝量は逆に直立区で多いという傾向がある.従って本実験で IAAに合成されたのちに代 謝した量が水平区でより大であったとも断定できない.しかしながら,インキュベーション開始 後3時間の切片全体のIAA‑"Cが,直立区では減少し水平区では増大している事実は,重力刺 激によって水稲茎のオーキシン合成が明らかに増進されることを示すものと考える.
水平位では直立位よりもオーキシン量が多くなることはvan Overbeek ら96)がサトウキビの 茎で認め,またRufelt783はコムギの, AudusおよびLahiri"はソラマメの根のオーキシン合成 量について同様な結果を得ているが,何れも,オーキシンの非対称分布を同時に示すまでにはい たっていない,しかし本研究の結果,重力刺激は水稲茎のオーキシン合成能を明らかに増進し, それによって水平茎のオーキシン濃度を直立茎よりも高くすると同時に,茎の上下側におよそ40
: 60から30: 70の濃度勾配をもたらすことが確認された.
次にこのことを,第1章42)および第2章43)に述べた形態的特徴と結びつけて考えると,水稲の 重力反応は次のようなオーキシン機作によって引き起こされるといえるであろう.すなわち,水 平位の水稲では新葉や幼穂の伸長が抑制されるが,これは,植物体内では求頂的に高くなってい るオーキシン濃度91,953が水平位の頂瑞では過剰になるためであり,その直下位の茎部,とくに茎 の下半側では,直立位よりも節問伸長に適正なオーキシン濃度が与えられるので,節間の伸長や 背地的な屈曲が促進されることになる.しかし,節問伸長に適正な濃度は分けつ芽の生長には適 正域を越えることとなり,その下位部の,オーキシン濃度がやや低下した域で分けつ芽の生長が 促され,同時に発根も促進されるものと考えられる.
なお,一般に水稲首を水平位に置くと,屈地反応は茎頂部からやや下がった,最上位展開葉節 の直下の節問を中心にして起こるが(第2章,第47‑48図参照),これには,茎頂付近ではオーキ
シン濃度の高過ぎることが一因になっていると思われる.オーキシンが過剰になれば,たとえ水 平茎の上下側に非対称分布が起こるとしても,生長に対してはいずれの側も適正濃度を越えるこ とになり,屈地反応が抑制されることはMaeda54),北条および小田38),石井41)らの実験からも 推察されるところである.
第4節 摘 要
第1章および第2章で明らかにしたように,重力刺激は水稲の先端生長を一時抑制するが, 発根や比較的下位節の分けつ芽の生長を促進し,屈地反応や,ある場合には節間伸長を誘起する 原因ともなる.しかしこれらの現象は,従来一般的に認められている,オーキシンが重力方向に 移動するということだけでは説明困難で,新たな機作の解明が必要とみられた.よってまず,外 生的オーキシンに対する水稲の反応を検討したのち,放射性同位元素を用いて,茎部における外 生的オーキシンの分布状況を把起し,さらに,前駆物質から生合成されたオーキシン量を比較す
ることによって,イネ科作物の重力反応に関して重要な知見を得ることができた.
(1)首にIAAを与えると,直立位では根数が10%増加し,平均根長は逆に10%短くなった.
これとほぼ同じ傾向は首を単に水平にするだけで認められ,これにIAAを加えると根数は,変 らず,根長のみが減少した.
この傾向は,節と菓稗基部を含む稗切片を供試する時は一層顕著に現れ,かつこの場合には, IAA処理の直立位とIAA無処理の水平位において総根長の増大も認められた.
(2)首に与えたIAAは直立位の新薬の生長を抑制し,また上位葉の葉身傾斜角度を増大し た・水平位ではIAA無処理がこれと同様の傾向を示し, IAA供与は新薬の生長をさらに抑制 するとともに,菓身傾斜角皮を減少させる結果となった.
以上(1)および(2)の結果は,主軸を水平にした水稲では,オーキシン濃度が直立位よりも高くな ることを示すものと思われた.
(3)貧栄養で育て,穂ばらみ期になお分けつ未発生の状態にあった稲をIAA処理すると,直 立位では比較的下位節の分けつ芽が生長を促進され,上位節のそれは逆に抑制された.とくに努 葉稲では, IAAによる下位節の生長促進が顕著で,上位節の生長抑制も目立たなくなった.
IAA無処理の水平位は直立位のIAA処理に似た傾向を示した.水平位のIAA処理は各分 けつ芽の生長を抑制し,とくに上位節でその傾向が強かったが,勢葉稲では, IAA供与が下位 節の生長に促進的に作用した.
なおIAA供与によって生長を抑制される上位節の分けつ芽は実験中最も急速な生長期にあ り,逆に,生長を促進される下位節のそれは比較的緩やかな生長期のものであることが知られた.
(4)前項と同一の材料について伸長期の節間と幼穂の発育状況を観察すると, IAA処理は直 立位の下位節問長を増大させたが,最上位節間と幼穂の伸長には影響がなかった.しかし,直立 位の努菓稲はIAA処理によって下位節間はもちろん,最上位節間と幼穂も伸長を促された.
無勢菓稲を水平にすると,伸長期の最下位節間のみが直立位に優り,幼穂長は逆に短くなっ た.これにIAAを加えると,最下位節間を除く各部位がやや短縮されるが,努葉稲はIAAに より下位節問の伸長を促進された.
(5)穂ばらみ期の稲を供試した実験において, IAA 供与または重力刺激によって伸長を促さ れる下位節間でも,分けつ芽の生長は抑制され,後者の生長が促進される節位はさらにその下位 にあった.このことから,分けつ芽の生長に適するオーキシン濃度は節間伸長のそれよりも低い レベルにあることが示された.
分けつ芽や節間の生長に関する実験結果も,水平位では直立位よりオーキシン濃度が高くなっ ていることを示した.
(6)貧栄養で煙性に育てた,節間伸長初期の水稲を直立位と水平位に置いて,最上位の展開葉 である第8葉からIAA‑14C液を3時間吸収させた.その0時間後と3時間後に採取した稲の茎 中位部(第4葉節から第8菓節直下まで)に含まれる末代謝のIAA‑14C量は,直立位では何れ も左右両半側に50: 50の比で分布したが,水平位では上下の半側に0時間後では40: 60, 3時間 後には32 : 68の比に分布した.
3時間後の茎中位部に含まれるエタノール可溶の14C量では直立位が13%多かったが,未代謝 のIAA‑14C量は逆に水平位で7%大となり,直立位ではIAAから代謝される物質の多いこと が知られた.
(7)前項と同様な水稲が出穂を始めた時,上から2某日の節と葉斡基部を含む,長さ 6cmの 稗切片を暗条件で直立にし,トリプトファンー14C液を3時間吸収させた.その後,主軸の方向を 直立と水平とに分けて再び暗条件に置いた材料の,体内で合成されたIAA‑14C量を比較した.
その結果,水平区では3‑24時間後の各期を通じて, IAA」4Cが直立区より23‑12^多く, とくに節間基部では3‑6時間後の,節問頚部では12‑24時間後の増量が顕著であった.
なお,水平区の稗の上下両半側におけるIAA」4Cの非対称分布は,主として節間基部で起こ り, 12時間目以降は緩和された.これに対して,梓の背地的屈曲は6時間目までは比較的緩やか
で,その後24時間目まで急増する形で行われた.
第4章 総 括
本研究は,木本植物の主枝を桟に倒すと側枝の発生が促される事実や,トマトおよびコスモス の横位の茎では下側に根原基の形成が促進されるという報告80,825に着目して,水稲首を横植えす れば,発根や分けつの発生が促進され,収量増加に貢献できるのではないか,という考えのもと
に着手された.
1958年と1959年の栽培試験によって,水平に移植した水稲では,普通は休眠しやすいとされて いる4号分けつ62,46,63)が有効茎となり,同時に二次分けつ数も増加して,収量増大の可能性が高 くなることを確認した.また砂耕法によって,苗の水平挿しは直立挿しに比べて, 6‑10日後の 発根数および総根長を著しく増大することをみいだし,この傾向は,菓齢4.0のような若宙では 認められないが 6.0‑8.0の成熟ないし老熟した苗では,品種の早晩と革型に関係なく認められ
ることも確かめた.
これらの傾向は,長野県下で行われていた水稲桟臥栽培の特性65)とも共通するところがあった が,著者はその機作を,水稲の発育に及ぼす重力の影響という観点から追究した.そのために, 1962年から実験方法を改めて,重力に対する主軸の方向変化が水稲の形態形成,とくに発根と分 けつ芽の生育に及ぼす影響を詳しく観察し,併せてその生理的機作についても検討を行った.な お普通,移植に供される首の状況を想定して,供試酉はすべて分けつ末発生の個体とし,また水 平区では原則として,主軸とともに葉序面もほぼ水平位にあるように固定した.
1.発根に及ぼす重力の影響
砂耕法による発根試験では,直立区と水平区の水分条件に若干差のあることが懸念されたの で,この点を根本的に改善するためにパイプ型の水耕試験器を製作した.これは水平に置いた内 径4cmのパイプの側壁に,一定間隔で苗を取りつけ,主軸と重力方向との角度を任意に謝節で きるようにしたもので,パイプ中には培養液が常に満たされるようにした.この方法で調べた6 日後の発根量は,根数では水平区が20‑30^多く,明らかに有意の差を示したが,総根長では若 干増大するにとどまった.すなわち,主軸の側面に作用する重力刺激は根長よりも根数の増加を 積極的に促すことが明らかとなり,砂耕試験ではこれに両区の水分条件の差が加わって,水平区 の発根量が著しく増大したものと推察された.室賀および松田65)は,実際の水稲横臥栽培で根量 が増大することの原田を浅植えの効果から論じているが,浅植えが根の発育を促進する効果はも っと後期に現われると思われる.その裏づけの一つとして,本研究の砂耕試験では,首を直立に 挿す深さが, 8cm までは深いほど発根畳が大であった.
次に,発根に関する重力刺激の作用部位を検討すると,水平区ではまず最大発根節,すなわ ち,抽出中の葉位をnとした時の(n‑4)葉節からの発根が促進され,次いで;n‑3)葉節,すなわち 最上位発根節39)と[n‑5 葉節からの発根が盛んとなり,これらによって初期の発根量,とくに発 根数が直立区に優ることとなった.また水平区では,茎の上半側よりも下半側の発根数が多く,
とくに最上位発根節ではその傾向が強かった.このことに関連して調べた根原基の発達状況は, 水平茎では原基の数および平均の大きさが直立茎に優り,かつ,茎の下側における発育は上側の
それよりも進んでいることを示した.またその際, 10日E]の原基は,水平茎の上側でも直立茎よ り大であることが認められた.
重力に対する主軸の傾斜角皮と発根量との関係については, 10日後の根数は60D>900>30‑>
Oo(直立)の順に大となり,総根長では90‑>60‑≒30‑>0‑の傾向が認められたが,後者には有 意の差がなかった.以上の事実と砂耕試験の結果とを総合すると,実際の栽培では,移植の時に 首を600以上傾斜させることにより,発根数が確実に増加するだけでなく,首の萎凋が防がれる
ことによって,全根長の増大も十分可能になると考えられる.
なお,苗を直立方向から傾斜させる角度が大きくなるに伴い,主軸に対する活動中心裏の葉身 傾斜角皮が増大し,葉身の下垂する現象が認められた.またこの角度の増大は,地上部の屈起が 完全に行われない時は一層原著となり,活動中心裏の受光態勢を劣化することによって,発根に 対する重力刺激の促進的効果を,二次的に減殺する役を果たすものと推察された.
次に,乾田状態の小ポットに直播した水稲を生育の途中でポットごと横倒しにすると, 15日後 の根数は直立区より10%以上多くなるが,根重は逆に約10%減少した.中型のポットを用いて同 様な処理を30日間行った場合には,両区の根数の差がなくなり,根重の差は一層大きくなった.
しかし,直播状態で処理するのではなく,移植によって主軸の方向を変えた場合には, 30日後の 根数,根重ともに水平区が約10%大であった.この原因は,直播の水平区では土壌表面が垂直に なるため,根の伸長に不適当であったことと,地上部の完全な屈起が妨げられて菓身傾斜角皮が 一層大きくなり,光合成に不利な条件がもたらされたことにあると考えられる.逆に,移植によ って主軸をほぼ水平に倒した場合には,地上部は比較的速やかに完全に屈起するので,葉身傾斜 角皮も過度に増大せず,初期の発根促進効果を持続しうるものと思われる.
なお,供試首の勢根と重力刺激の発根促進効果との関係を検討すると,無勢根よりも部分的に 努根した苗の方が,より顕著に発根を促進された.また重力刺激は首の先端生長,すなわち新薬 の生長を強く抑制したが,男根首ではその抑制率がとくに大きくなった.このことは,重力の発 根促進作用が先端生長の抑制と密接に関連していることを示唆している.
2.弛上部,とくに分けつ芽の発育に及ぼす重力の影響
本研究の始めに行った栽培試験によれば,水平に移植した水稲は直立植えに比べて草丈では10
‑20日間,主得業数では5‑10日間劣るが,その後草丈では差がなくなり,葉数においてはやや 優る傾向があった.茎数においては移植後15日目頃から水平植えが優り始め,最高分けつ期には 普通期栽培で14% 晩期栽培で75%多くなり,穂数では前者で1396,後者で40‑55^増となっ た.この結果,水稲の水平植えは茎数増加に有効で,とくに晩期栽培では,必要以上に分けつを 多発する傾向のあることが知られた.株の分解調査により,直立植えでは欠けることもある5号 分けつが,水平植えでは確実に有効化し,前者では稀に見られる4号分けつが,後者では多数発 生するうえに, 3号分けつまで有効化する可能性があり,また,これに伴う二次分けつの増発も 加わって,水平植えの穂数増がもたらされることを確認した.株当たり聴重は,晩期では虫害の ために調査できなかったが,普通期では水平植えが9%大で,施肥その他の管理法を改善すれ ば,さらに増収の可能性があるものと推測された.
以上の現象に関しても,移植直後に主軸の側面に作用する重力の影響があずかっているものと 考え,主に前記のパイプ型水耕試験器を用いて,種々の角度から検討を行った.その結果まず,
主軸を水平またはそれに近く傾斜させた稲では,最大, (n‑3)‑(n‑6)葉節の,最小(n‑5)葉節の 分けつ芽が直立位より生長を促進されることが明らかにされた.より具体的に述べると,主軸を 櫨にした場合に分けつ芽の生長が促される最も一般的な節位は(n‑5)菓節であり,次いで(n‑4) 葉節がしばしば生長を促進されるが,酉の状況によっては(n‑3)葉節および[n‑6)莫節にもそ の効果の及ぶことがある.一方,これらの上位節にあって,処理期に急速な生長を行っていた分 けつ芽は,重力の刺激によって逆に生長を抑制されることが認められた.その節位も処理開始時 の首の状況によって決まるが,一般的にはIn‑2 菓節,または(n‑3)菓節である場合が多く, 時にはIn‑4)葉節となることもある.なお,水平区の下位節の分けつ芽が生長を促される度合 は,無勢根首よりも一部男根した首の方が顕著で,逆に,後者では前者よりも強く首の先端生長 が抑制された.すなわち,発根現象と同様に,水平区にみられる下位分けつ芽の生長促進は,首
の先端生長と,上位の分けつ芽の生長を一時的に抑制することによってもたらされるということ ができる.
以上のような,水平区の分けつ芽が生長を促進される節位を,環境条件の改善,例えば,密植 苗の間引きによって分けつ芽の生長が促される節位32)に比べると,前者が著しく下位にあること が分る.しかしながら(n‑6)菓節あるいは n‑5 菓節のような下位では,直立区に比べ著しく 生長を促されながら,なお発育の悪い分けつ芽が比較的多く見られ,これらがその後完全な分け つに発達する可能性は極めて少ない.このことは栽培試験の結果にも示されているところで,水 平区の有効茎の下限は(n‑5)葉節であり,しかもこの節より, (n‑4)葉節の有効茎出現率は著し く高くなっている(ただし,晩期栽培の移植期の菓齢7.0は第8菓抽出始めと見なす).したが って,重力刺激によって下位節の分けつ芽が実際に有効化を促進される確率は!n‑4)葉節におい て最高になる,ということができる.また中田66,673によれば,高温下では水稲の先端生長がとく に促進されるために (n‑3 菓節の分けつ芽は天折しやすいということであるが,重力刺激はこ れを確実に有効茎となす働きのあることが,晩期栽培の結果からも示さされた.横植えにした水 稲に対する以上のような重力の影響は,西内72,73,743が省力栽培の面から提唱している,植苗紙に よる桟植えでも同様な効果をあげていると思われる.
次に,パイプ型試験器によって,水平区の葉序面を水平および垂直の2方向に分けて固定する と(n‑2)‑(n‑5)葉節の間では,菓序面が垂直位で茎の上側にある分けつ芽は,葉序面が水平位 で茎の横側にある同節位の分けつ芽よりも生長を促進されたが,前者の下側にある分けつ芽は, 後者よりも生長を抑えられた.このことや,発根に際して水平区の茎の下側で根原基の発達が促 進されていた事実は,重力刺激により茎の上下両半側にオーキシンが非対称的に分布されること を示すと考えられるが,直立区と水平区の問にみられる生長の差は,さらに別の生理的機作によ ってもたらされているものと恩われる.
ポットによる乾田直播栽培と水耕栽培の両方を通じて,水平区では一時草丈の伸長が著しく抑 制されるが,地上部が屈起する7‑10日目頃からその差は漸減した.別に,乾田状態で30日間処 理した実験によると,水平区の草丈は直立区の,直播では‑サ2%,移植では94%まで回復し,圃場
および枠試験では20日目頃から区間の差がなくなるか,水平区が若干優る場合もあった.これら の事実から,両区の草丈の差は,最終的にはほとんどなくなるものと推察された.
上記のポット試験において,処痩開始後1週間日頃までは直立区の出葉数がやや優るが, 2週 間日頃からは逆の傾向を示し, 30日後の薬齢も,直播および移植の両方において水平区がやや進 んでいることが認められた.これに関して,パイプ型試験器で処理した苗の主茎および分けつ芽