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先天奇形は妊娠初期の器官形成期の高血糖が原因となる. 妊娠前から厳格な血糖コントロールを行うことにより児の転帰が改善することが報告されており, 妊娠前管理の有無と胎児奇形発生率との関連を検討したメタアナリシスでは, 奇形の発生率は妊娠前管理あり群では 2.1%, 管理なし群では 6.5% と妊娠前か

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(1)

「平成 24 年国民健康・栄養調査」(2012 年)では,平成 19 年(2007 年)と比較して「糖尿病

の可能性を否定できない者」の数は減少したものの,

「糖尿病が強く疑われる者」の割合は,

全女性人口の 9.2%と増加している

a)

.さらに,近年日本において,20 歳代の出生率が大きく

低下し,30 歳代の出生率が上昇傾向になるなど女性の晩婚化・晩産化が進んでいる

b)

.その

ため,今後糖代謝異常妊婦は増加すると予想される.

糖代謝異常妊娠では,正常妊娠と比較して母児合併症のリスクが高い

1〜14)

.すなわち,母体

合併症としては妊娠高血圧症候群,流産,早産などの産科的合併症や,網膜症,腎症などの

糖尿病合併症が増悪するリスクが高くなり,児合併症としては,胎児死亡,先天奇形,巨大

児,肩甲難産,新生児低血糖,高ビリルビン血症などのリスクが高くなる

1〜14, c)

表 1

).

17

妊婦の糖代謝異常

CQ17-1

妊娠前,妊娠中の血糖コントロールは妊婦や児の予後を改善するか?

【ステートメント



妊娠前および妊娠初期の血糖コントロール不良により先天奇形および流産の頻度が増加する

が,妊娠前からの厳格な血糖コントロールを行えばこれらの頻度は減少する

1)

【推奨グレード A】

(合意率 95%)



妊娠中の血糖コントロール不良により巨大児を含む周産期合併症のリスクが増大するが,妊

娠中に厳格な血糖コントロールを継続することで,これらのリスクは減少する

2)

【推奨グレード A】

(合意率 100%)

表 1 糖代謝異常妊娠における母児合併症

母体合併症 児合併症 1)糖尿病合併症  血糖コントロール悪化  糖尿病ケトアシドーシス  糖尿病網膜症の悪化  糖尿病腎症の悪化  低血糖(インスリン使用時) 1)周産期合併症   胎児仮死,胎児死亡   先天奇形   巨大児   肩甲難産   新生児低血糖症   新生児高ビリルビン血症   新生児低カルシウム血症   新生児多血症   新生児呼吸窮迫症候群   肥大型心筋症   胎児発育遅延 2)産科合併症  流産  早産症  妊娠高血圧症候群  羊水過多  巨大児に基づく難産 2)成長期合併症   肥満   IGT/ 糖尿病 (文献 c より改訂)

(2)

先天奇形は妊娠初期の器官形成期の高血糖が原因となる.妊娠前から厳格な血糖コントロー

ルを行うことにより児の転帰が改善することが報告されており,妊娠前管理の有無と胎児奇

形発生率との関連を検討したメタアナリシスでは,奇形の発生率は妊娠前管理あり群では

2.1%,管理なし群では 6.5%と妊娠前からの血糖コントロールの有用性が示されている.この

ように,妊娠前からの血糖値を正常化し計画妊娠を指導することが肝要となる

1, 6)

妊娠経過中の母体高血糖は胎盤を経由して胎児に高血糖をもたらすが,それを是正するた

めに胎児膵

β

細胞の過形成,高インスリン血症が引き起こされる.胎児の高インスリン血症

は,巨大児や新生児低血糖の原因となる

10)

.その一方で,胎児の臓器は未成熟であるため,

新生児黄疸,呼吸障害などの原因ともなる.GA(glycoalbumin)が 15.8%以上では新生児低

血糖,多血症,heavy for date(HFD)などの頻度が増加することが報告されている

11)

.妊娠中

に厳格な血糖コントロールを継続することで,これらの合併症のリスクが減少することが示

されている

2, 12〜14)

(3)

GDM の定義および診断基準の変遷

日本の以前の GDM の概念では,

「妊娠時に耐糖能低下をきたすが,分娩後に正常化するも

の」とされてきた.しかし,この定義では分娩後まで診断が確定しないことなどの問題を認

めたため,日本産科婦人科学会では 1995 年に「妊娠中に発症したか,またははじめて認識さ

れた耐糖能低下」と定義された

d)

.同様に,日本糖尿病学会でも 1999 年に「妊娠中に発症し

たか,はじめて発見された耐糖能低下」と定義された

e)

.しかし,これらの定義では,軽度の

GDM

から妊娠時にはじめて発見された糖尿病患者までが GDM と診断されるという問題があ

り,後者ではすでに細小血管症が進行している例も含まれるおそれがあった

16)

また,日本では GDM の診断基準としては,1984 年に日本産科婦人科学会が提案した診断

指針が使用されてきたが

f)

,GDM の診断基準は国際的に統一されていなかった.そのため,

周産期合併症に基づく,世界共通の診断基準の作成を念頭において HAPO が行われた.これ

により,母体の血糖値と HFD,児体脂肪量,臍帯血 C ペプチドとが強く相関することが明ら

かとなった

15)

.国際糖尿病妊娠学会(International Association of Diabetes and Pregnancy

Study Groups:IADPSG)では HAPO の結果をもとに検討を行い,75g OGTT で得られた各

時点での平均血糖値における児の出生体重,体脂肪量,臍帯血 C ペプチド値が 90 パーセンタ

イルを超えるリスクを 1 とし,そのそれぞれについてオッズ比が 1.75 となる血糖値を求め,3

つの平均値をカットオフ値とした.その結果,負荷前血糖値 92 mg/dL 以上,負荷後 1 時間

値 180 mg/dL 以上,負荷後 2 時間値 153 mg/dL 以上となり,75g OGTT の各血糖値の独立性

を重視し,このうちの 1 点以上を満たすものを GDM と診断し,妊娠時の明らかな糖尿病は

GDM

から除外するとした新しい診断基準を勧告した

g)

.それに併行し,日本でも 2010 年に

診断基準が変更となり,上記基準値を取り入れた.しかし,本診断基準制定時に最後のすり

合わせが不十分であったため,日本糖尿病学会の診断基準と,日本糖尿病・妊娠学会および

日本産科婦人科学会の診断基準との間に一部不一致点があった

h)

.すなわち,GDM の診断基

準はすべて同じであったが,GDM から除外される日本糖尿病学会の「臨床診断で糖尿病と診

断されるもの」と日本糖尿病・妊娠学会および日本産科婦人科学会の「妊娠時に診断された

明らかな糖尿病」との間には違いがあった

h〜k)

.また日本糖尿病・妊娠学会は HbA1c 6.5%未

満,かつ 75g OGTT 負荷後 2 時間値 200 mg/dL 以上の場合はハイリスク GDM とし,妊娠中

は糖尿病に準じた管理を行い,分娩後も厳重なフォローアップが必要であるとしたが,日本

糖尿病学会ではこれに関する記載はなかった

i〜k)

.このため,日本糖尿病学会と日本糖尿病・

妊娠学会との間で合同委員会を立ち上げ,診断基準の統一化を検討し,両学会,および日本

産科婦人科学会の三学会の合意を得て 2015 年 8 月に統一案が作成された(

表 2

).統一案では

GDM

の定義は,「妊娠中にはじめて発見または発症した糖尿病に至っていない糖代謝異常で

Q17-2

妊婦の糖代謝異常をどのように診断するか?

【ステートメント



妊娠中に取り扱う糖代謝異常(hyperglycemic disorders in pregnancy)には,①妊娠糖

尿病(gestational diabetes mellitus:GDM),②妊娠中の明らかな糖尿病(overt

dia-betes in pregnancy),③糖尿病合併妊娠(pregestational diadia-betes mellitus)の 3 つ

があり,75g 経口ブドウ糖負荷試験(oral glucose tolerance test:OGTT),HbA1c,

(4)

あり,妊娠中の明らかな糖尿病,糖尿病合併妊娠は含めない.」と定義された

h)

.また,75g

OGTT 2 時間値 200 mg/dL 以上のみをハイリスク GDM と規定することは,周産期の一般的

なハイリスクの概念との間に齟齬を生じさせているおそれがあることより削除された.

劇症 1 型糖尿病

妊娠に関連して発症する糖尿病に劇症 1 型糖尿病がある

17, l)

.劇症 1 型糖尿病は,膵

β

細胞

の急速な破壊により急激に高血糖,ケトーシスあるいはケトアシドーシスをきたし,母児に

とって致命的となることが少なくない.そのため,妊娠経過中に口渇,多飲,多尿など高血

糖に伴う症状や悪心,嘔吐,腹痛などのケトーシスに伴う症状を認めたときは本症を念頭に

入れて検査を行う必要がある.

表 2 妊娠糖尿病の定義と診断基準

定義 妊娠中にはじめて発見または発症した糖尿病に至っていない耐糖能異 常である.妊娠中の明らかな糖尿病,糖尿病合併妊娠は含めない. 妊娠糖尿病

(gestational diabetes mellitus) 診断基準 75g OGTT において次の基準の 1 点以上を満たした場合に診断する. ①空腹時血糖値 ≧ 92mg/dL(5.1mmol/L) ② 1 時間値 ≧ 180mg/dL(10.0mmol/L) ③ 2 時間値 ≧ 153mg/dL(8.5mmol/L) 妊娠中の明らかな糖尿病

(overt diabetes in pregnancy)注 1) 診断基準 以下のいずれかを満たした場合に診断する. ①空腹時血糖値≧ 126mg/dL ② HbA1c ≧ 6.5% *随時血糖値≧ 200mg/dL あるいは 75g OGTT 2 時間血糖値≧ 200mg/dL の場合は,妊娠中の明らかな糖尿病の存在を念頭に置 き,①または②の基準を満たすかどうか確認する.注 2) 糖尿病合併妊娠

(pregestational diabetes mellitus)①妊娠前にすでに診断されている糖尿病②確実な糖尿病網膜症があるもの

注 1.妊娠中の明らかな糖尿病には,妊娠前に見逃されていた糖尿病と,妊娠中の糖代謝の変化の影響を受けた糖代謝異常, および妊娠中に発症した 1 型糖尿病が含まれる.いずれも分娩後は診断の再確認が必要である. 注 2.妊娠中,特に妊娠後期は妊娠による生理的なインスリン抵抗性の増大を反映して糖負荷後血糖値は非妊時よりも高 値を示す.そのため,随時血糖値や 75g OGTT 負荷後血糖値は非妊時の糖尿病診断基準をそのままあてはめることはで きない. (参考資料 h より)

(5)

妊娠前の血糖コントロール目標

妊娠前からの血糖コントロールの目的は,妊娠初期の血糖コントロール不良による先天奇

形,胎児死亡,流産を予防することにあり,妊娠が判明してから血糖コントロールを開始し

ても不十分である

1, 3〜6, 18)

.そのため,妊娠前から低血糖を回避しつつ,厳格な血糖コントロー

ルを維持することが肝要であることについて,挙児希望のある糖尿病女性に対して十分に説

明を行う

m, n)

.妊娠前の血糖コントロールとしては,HbA1c 6.5%未満を維持することを目標と

する

o, p)

.日本産科婦人科学会では 7.4%未満,理想は 6.4%未満としており

j)

,アメリカ糖尿病

学会(American Diabetes Association:ADA)およびイギリス国立医療技術評価機構(National

Institute for Health and Care Excellence:NICE)でも先天奇形を防ぐため,問題となるような

低血糖を避け,正常な血糖コントロールに近づけるように HbA1c 6.5%未満を目標とするよう

推奨している

o, p)

.また,妊娠前から後述する食前および食後の血糖コントロール目標値を維持

することが求められる.

妊娠前の薬物療法

妊娠を希望する糖尿病患者の血糖コントロールは,経口血糖降下薬ではビグアナイド薬の

報告などがなされているが

19, 20)

,現時点で安全性が確立されていないため,インスリン治療へ

の切り替えを行う.同様に,GLP-1(glucagon-like peptide 1)受容体作動薬の安全性について

も確立されていないため,インスリン治療への切り替えを行う.

妊娠中のインスリン治療は,頻回注射療法あるいは持続皮下インスリン注入(continuous

subcutaneous insulin infusion:CSII)療法が有用である.日本では,添付文書上すべてのイン

スリン製剤は妊婦に対しては慎重投与となっており,今まではアメリカ食品医薬品局(Food

and Drug Administration:FDA)分類で分類 B に該当する速効型インスリン,インスリンア

スパルト,インスリンリスプロ,中間型インスリン,インスリンデテミル,混合型インスリ

ンが使用されてきた(

表 3

).その一方で,インスリングルリジンおよびインスリングラルギ

ンは FDA 分類 C であった.しかし,FDA は同分類が胎児へのリスクの程度の差を正確に伝

達するものではなかったこと,誤って解釈・使用されてきたことなどを受けて 2015 年 6 月よ

Q17-3

糖尿病患者の妊娠前管理・治療はどのように行うか?

【ステートメント



妊娠初期の血糖コントロール不良による先天奇形・胎児死亡・流産を予防するため

1)

,挙児

希望のある糖尿病女性に対しては妊娠前からの厳格な血糖コントロールの重要性について十

分に説明を行う.



妊娠前から低血糖を回避しつつ,可能な限り正常に近い血糖コントロールを目指す必要があ

1)



挙児希望の糖尿病女性には経口血糖降下薬を推奨できないため食事療法でコントロールが不

十分の場合にはインスリン治療を行う

1)



母体の糖尿病合併症は,母体の予後および妊娠結果に影響を与えるため妊娠前から合併症の

評価および管理を行っておく

8)



先天奇形・流産を予防し,児の健全な発育と母体の糖尿病長期予後を損なわないために妊娠

前から十分に管理する計画妊娠を勧め,避妊の必要性についても説明する

1)



妊娠前の降圧薬や脂質異常症治療薬内服の有無,種類を再考する.

(6)

り廃止した

q)

追加インスリン補充には速効型インスリンと超速効型インスリンアナログ製剤とが用いら

れる.超速効型インスリン製剤のなかでも,インスリンアスパルトはランダム化比較試験(ran-domized controlled trial:RCT)により,リスプロはメタアナリシスにより,それぞれ速効型

インスリンとの比較により児転帰に差がないこと,重症低血糖の頻度が減少すること,生活

の質(quality of life:QOL)が改善することなどが示されている

21〜24)

.その一方で,妊娠中の

インスリングルリジンの有用性を示した RCT はない.

基礎インスリン補充には中間型インスリンと持効型溶解インスリンとが使用される.イン

スリンデテミルは中間型インスリンと比較した RCT によって低血糖頻度を増加させずに空腹

時血糖値が改善することなどが報告されている

25)

.インスリングラルギン 100 単位/mL 製剤

表 3 各種インスリンと旧 FDA 分類および妊婦への安全性についての添付文書上の記載内容

分類名 一般名 一般的商品名 旧 FDA 分類 (妊婦への安全性に添付文書上の記載 ついての記載) 速効型 インスリン ヒトインスリン ノボリン Rヒューマリン R BB 慎重投与慎重投与 超速効型 インスリン インスリンアスパルト ノボラピッド B (本剤の妊婦への使慎重投与 用経験は少ない) インスリンリスプロ ヒューマログ B 慎重投与(※) インスリングルリジン アピドラ C 慎重投与(※) 中間型 インスリン ヒトイソフェンインスン水性懸濁 ノボリン Nヒューマリン N BB 慎重投与慎重投与 中間型インスリンリスプロ ヒューマログ N (米国未発売) 慎重投与(※) 混合型 インスリン ヒト二相性イソフェンインスリン水性懸濁 ノボリン 30Rヒューマリン 3/7 BB 慎重投与慎重投与 二相性プロタミン結晶性 インスリンアナログ水性懸濁 ノボラピッド 30 ミックス B 慎重投与 (※) ノボラピッド 50 ミックス (米国未発売) 慎重投与(※) ノボラピッド 70 ミックス (米国未発売) 慎重投与(※) インスリンリスプロ混合 ヒューマログミックス 25 B 慎重投与(※) ヒューマログミックス 50 B 慎重投与(※) 配合溶解 インスリン インスリンデグルデク / インスリンアスパルト配合 ライゾデグ (米国未発売) 慎重投与 (※) 持効型溶解 インスリン インスインデテミル レベミル B 慎重投与 (※) インスリングラルギン ランタス C 慎重投与(※) インスリングラルギン ランタス XR (米国 2015 年 3 月 発売) 慎重投与 (※) インスリングラルギン インスリングラルギン BS (米国 2015 年 12 月発売) 慎重投与 (※) インスリンデグルデク トレシーバ (米国 2016 年 1 月 発売) 慎重投与 (※) ※:妊娠中の投与に関する安全性は確立していない. (2016 年 3 月現在)

(7)

は十分な規模の RCT は行われていないものの,メタアナリシスで中間型インスリンと比較し

て周産期合併症に差がなかったことが報告されている

26)

.妊娠中のインスリングラルギンバ

イオ後続品(バイオシミラー),インスリングラルギン 300 単位/mL 製剤およびインスリンデ

グルデグの有用性を示した報告はない.

今回の FDA 分類廃止に伴い,医療従事者が各インスリン製剤の利点・欠点を評価し,イン

スリン治療を必要とする妊婦や家族に対して十分なインフォームドコンセントを行ったうえ

で治療方針を決定する.妊娠中のインスリン製剤の変更や CSII への切り替えは思わぬ母体の

高血糖やケトーシスのリスクとなりうるため,挙児希望のある糖尿病女性には妊娠前から血

糖変動の評価を行い,治療方針を決定しておくことが重要となる.

妊娠前の糖尿病合併症および併存症管理

糖尿病女性では,妊娠前から合併症の評価および管理が重要である.糖尿病自律神経障害

である胃不全麻痺を有する症例では妊娠悪阻が強く出る可能性がある.また,妊娠前に糖尿

病網膜症が進行している例では妊娠経過中に糖尿病網膜症が悪化する可能性が高いため,妊

娠前から緩徐に血糖コントロールを行い,さらに,網膜症が安定化してからの妊娠を許可す

ることが望ましい

27, 28)

.糖尿病腎症合併妊娠は,母体では妊娠高血圧症候群,早産,腎機能悪

化,胎児では発育不全などのリスクが高い

8)

また,高血圧や甲状腺疾患などを合併している例も少なくない.妊娠経過中にこれら疾患

が増悪することもあるため,妊娠前からの厳重な管理が必要となる.また,糖尿病腎症を認

める例や高血圧合併例では,レニン・アンジオテンシン系阻害薬であるアンジオテンシン変

換酵素(angiotensin-converting enzyme:ACE)阻害薬やアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬

(angiotensinⅡ receptor blocker:ARB)が投与されるが,両薬剤は妊娠中の服用に関して安全

性が確立していないため投薬を中止する必要がある.その他脂質異常症に対する HMG-CoA

(hydroxymethylglutaryl-coenzyme A)還元酵素阻害薬やフィブラート系薬剤も妊婦に対して

禁忌となるため,糖尿病治療薬のみならず患者の服薬内容を正確に把握する必要がある.

以上のように母児合併症の発生を予防するためには,妊娠前から糖尿病合併妊娠に対する

知識や経験が豊富な医師,看護師,栄養士,薬剤師などがチーム体制を整え,患者本人のみ

ならずパートナーや家族を含めて生じ得る母児合併症について十分な情報提供を行い,厳格

な血糖コントロールおよび安定した糖尿病合併症の管理を維持する計画妊娠を実現する必要

がある.

(8)

糖尿病網膜症は成人の中途失明の原因となる.無治療の糖尿病網膜症は妊娠経過中から分

娩後 1〜2 ヵ月にかけて悪化するリスクがある

27, 28)

.また,妊娠中の蛍光眼底造影検査は胎児へ

の安全性が確立していないため避ける必要がある.そのため,糖尿病患者が妊娠を希望する

場合には妊娠前から血糖コントロールの評価のみならず,糖尿病網膜症の評価および管理を

行っておくことが必要である.

妊娠に伴う糖尿病網膜症の悪化は一過性のことも多く,単純網膜症では妊娠を避ける必要

はない.妊娠前に前増殖期以降まで糖尿病網膜症が進行している例では,急激な血糖コント

ロールの改善で網膜症が悪化する可能性があるため,妊娠前から緩徐に血糖コントロールを

行っておく必要があり

27)

,網膜症が安定化してからの計画妊娠を指導する.糖尿病網膜症以

外にも緑内障や白内障を合併していることもあり,眼科医による評価が必要である.

特に,罹病期間の長い糖尿病患者,妊娠初期に HbA1c が高値であった患者,急激に血糖コ

ントロールが改善した患者,高血圧を合併した患者,糖尿病腎症や神経障害が進行している

患者では糖尿病網膜症の発症および進展リスクが高い

27)

.また,健康診断を受診したことが

なく,妊娠の際にはじめて糖尿病を指摘された症例のなかには網膜症がすでに進行している

こともあるため

16)

,そのような症例では可及的速やかに眼科受診が必要である.妊娠中の眼

底検査の頻度や治療は網膜所見の程度によって異なるが,網膜新生血管,黄斑浮腫などが指

摘された場合においては網膜光凝固など厳重な眼科での管理が必要となる.また,糖尿病網

膜症進行例で経腟分娩を行うと重大な眼底出血のリスクを伴うことがあるため,帝王切開を

行うことも検討する.

分娩後においても糖尿病網膜症が進行する可能性があるが,多くは一過性であるとされる

28)

最良の結果を得るためには,妊娠前からの分娩後にかけて血糖コントロールおよび網膜症の

管理が不可欠であり,内科,眼科,産科の連携が不可欠である.

Q17-4

妊娠前・妊娠中の糖尿病網膜症をどのように管理・治療するか?

【ステートメント



糖尿病網膜症は妊娠経過中から分娩後にかけて悪化するリスクがある.そのため,糖尿病患

者で妊娠を希望する場合は妊娠前から血糖コントロールの評価のみならず,糖尿病網膜症の

評価および管理を行う.特に前増殖・増殖網膜症は悪化しやすいため,眼科治療で網膜症が

安定化してからの妊娠を指導する

27)

(9)

糖尿病腎症の病期は,GFR,尿中アルブミン排泄量,尿蛋白排泄量によって評価する

r)

.糖

尿病腎症合併妊娠は,母体では妊娠高血圧症候群,早産,腎機能悪化などのリスクがあり,

胎児では発育不全などのリスクともなるため,両者にとってハイリスクである

8, 29〜31)

.これら

の合併症で妊娠継続が困難となることがあるため,妊娠前から腎機能の評価を行うことが求

められる.さらに,妊娠経過中に,尿中アルブミンおよび尿蛋白は増加するリスクが高いた

め定期的に測定することが重要である.

糖尿病腎症 1 期(腎症前期)は,尿中アルブミン排泄量が 30 mg/g・Cr 未満の症例である.

腎症 1 期でも,妊娠経過中に尿中アルブミン排泄および尿蛋白排泄を認めることがある.糖

尿病腎症 2 期(早期腎症)は尿中アルブミン排泄量が 1 日 30〜299 mg/g・Cr の症例である.

この時期には,妊娠中に尿中アルブミン排泄量や尿蛋白排泄量が増加することがあるが,分

娩後には妊娠前のレベルに戻ることが報告されている

29)

.糖尿病腎症 3 期(顕性腎症)は,顕

性アルブミン尿(300 mg/g・Cr 以上)あるいは,持続性蛋白尿(0.5 g/g・Cr 以上)の症例であ

る.腎症 3 期以降では,尿蛋白量の増加,腎機能の悪化,妊娠高血圧症候群,早産,胎児発

育不全など母児ともにリスクが高く,尿蛋白量の程度や高血圧の有無など病態や経過により,

妊娠継続の可否を慎重に検討する必要がある

29)

.また,腎症 3 期以上ではたんぱく制限が必

要となるが,児の栄養管理にとって不適切となる可能性もある.妊娠前や妊娠中に腎症 3 期

以降であることが明らかとなった場合は患者やその家族に対して十分なインフォームドコン

セントが必要であり,新生児科のある専門施設への転院が推奨される.

妊娠中の腎症の悪化を防ぐためには,妊娠中の厳格な血糖および血圧の管理が必要であり,

糖尿病と妊娠の専門チームを持つ施設で管理することが望ましい.妊娠前から高血圧もしく

は糖尿病腎症を合併した糖尿病女性に対しては,血圧コントロールのみならず糖尿病腎症進

展予防のために ACE 阻害薬や ARB が使用される.しかし,両薬剤は胎児発育不全,先天奇

形などのリスクがあるため妊娠前から中止する必要がある.日本妊娠高血圧学会では,妊娠

前から降圧薬を内服している場合は妊娠中も同様の薬剤を服用してもよいが,ACE 阻害薬や

ARB

やアテノロールなどの

β

遮断薬は中止するように勧告している

s)

.また,軽症高血圧合

併妊娠であれば,妊娠初期から中期ごろまで生理的血圧低下を期待して妊娠初期に降圧薬を

減量,または中止してもよいとしているが,必ずしも血圧低下を示さない症例もあり,厳重

な管理が必要である

s)

Q17-5

妊娠時・妊娠中の糖尿病腎症をどのように管理するか?

【ステートメント



糖尿病腎症合併妊娠は,母体では妊娠高血圧症候群発症,早産,腎機能悪化などを,胎児で

は発育不全などを引き起こし,両者にとってハイリスクである

8)



妊娠前から尿中アルブミン,尿中蛋白,糸球体濾過率(glomerular filtration rate:GFR),

クレアチニンクリアランス(creatinine clearance:Ccr)などを用いて腎症の評価を行って

おく

29)



腎機能低下例では妊娠によって腎機能がさらに悪化するリスクがあり,周産期予後も不良で

あるため,妊娠前に十分な情報提供を行う必要がある.妊娠に至った場合には,妊娠継続に

(10)

Q17-6

妊娠糖尿病のスクリーニングをどのように行うか?

【ステートメント



GDM のスクリーニングは糖尿病家族歴,肥満,巨大児出産の既往,加齢などのリスクファ

クターだけでは見逃される症例が多いため,一律に随時血糖値,空腹時血糖値,glucose

challenge test(GCT)などの血糖検査を行うことが望ましい.検査時期は初診時および妊

娠 24~28 週が勧められる

32)

表 4 GDM のスクリーニング方法の違い

日本産科婦人科学会, 日本糖尿病・妊娠学会 日本糖尿病学会 国際糖尿病妊娠学会(IADPSG) 妊娠初期 対象 全妊婦 全妊婦 全妊婦 or ハイリスク妊婦 方法 随時血糖 随時血糖 空腹時血糖,HbA1c, 随時血糖のいずれか 妊娠中期 対象 初期スクリーニング陰性者 初期スクリーニング陰性者 初期スクリーニング陰性者 方法 随時血糖 or 50g GCT 随時血糖 75g OGTT

GCT:glucose challenge test,OGTT:oral glucose tolerance test (参考資料 c, g, j より作成)

GDM

のスクリーニングは糖尿病家族歴,肥満,巨大児出産の既往,加齢などのリスクファ

クターだけでは見逃される症例が多いため,随時血糖値,空腹時血糖値,GCT などの血糖検

査によるスクリーニング法を併用することが望ましい

32)

.スクリーニングを行う時期に関し

ては,国際的にはインスリン抵抗性が悪化する妊娠 24〜28 週が推奨されている

g)

.その一方

で,日本は人種的に GDM に対するハイリスク群であり,妊娠初期に GDM と診断される症

例が多いこと,妊娠前から 2 型糖尿病を発症している例があること,妊娠初期の高血糖によ

る母児への悪影響を避ける必要があることなどから妊娠初期から前述したスクリーニングを

行うことが必要である.

IADPSG

では,初診時に全妊婦あるいはハイリスク妊婦に対して随時血糖値,空腹時血糖

値のいずれかを測定し,初期スクリーニング陰性者では妊娠中期に全例に 75g OGTT を施行す

るように推奨している

g)

.日本糖尿病学会では,GDM のスクリーニング法に関しては,初診

時およびインスリン抵抗性の高まる妊娠中期に随時血糖検査を行い,100 mg/dL 以上の陽性

者に対して 75g OGTT を施行するとしている

c)

.日本産科婦人科学会,日本糖尿病・妊娠学会で

は,GDM のスクリーニング法についての多施設共同研究である JAGS の結果をもとに

33)

,1 回

目は妊娠のできるだけ早い時期に随時血糖値(施設ごとに決定,ただし,JAGS の結果よりカッ

トオフ値は 95 あるいは 100 mg/dL のいずれかを使用することが推奨される),2 回目は妊娠

中期(妊娠 24〜28 週)に随時血糖値(カットオフ値 100 mg/dL)もしくは 50g GCT(カットオフ

値 140 mg/dL)を用い,カットオフ値以上の場合は 75g OGTT を実施することとしている

j)

このように現状では,学会ごとに GDM のスクリーニング方法が異なっている(

表 4

).

(11)

妊娠中の血糖コントロール目標

妊娠は母体のインスリン抵抗性増悪など血糖コントロールに大きく影響する.妊娠中の血

糖コントロール悪化は母児合併症のリスクとなるため,厳格な血糖コントロールが求められ

2, 12〜14)

.一般的に血糖コントロール指標としては,血糖値,HbA1c および GA が使用される.

正常耐糖能妊婦における妊娠末期の平均血糖値は 74.7 ± 5.2 mg/dL と報告されている

36)

.ま

た,CGM(continuous glucose monitoring)を用いた正常耐糖能妊婦の報告では,妊娠末期の

平 均 血 糖 値 は 83.7 ± 18 mg/dL, 空 腹 時 血 糖 値 75.0 ± 12 mg/dL, 食 後 1 時 間 値

105.3 ± 12 mg/dL,食後 2 時間値 97.2 ± 10 mg/dL と報告されている

37)

母体血糖値については,平均血糖値が 105 mg/dL 以上では巨大児,平均血糖値が

86 mg/dL 以下の患者では低出生体重児の頻度が増加したとする報告や

38)

,空腹時血糖値が

95 mg/dL 以上で巨大児の頻度が増加したとする報告がある

39)

.また,食後 1 時間血糖値

140 mg/dL 以下を目標に血糖コントロールを行うほうが,空腹時血糖値 60〜105 mg/dL を目

標にコントロールする群よりも周産期合併症の頻度が低下したことが示されている

39)

.この

ように糖代謝異常妊婦では,低血糖のリスクを最小限にとどめ,可能な限り健常妊婦の血糖

日内変動に近づけることが求められる.その基準値は学会ごとに異なるが,空腹時血糖値 70

〜100 mg/dL,食後 2 時間血糖値 120 mg/dL 未満を目標とする(

表 5

c, n, t)

糖代謝異常妊婦の中長期的な血糖コントロール指標としては HbA1c および GA が使用され

る.日本糖尿病・妊娠学会は周産期合併症と HbA1c および GA との関連を検討し,正常妊娠

の基準値として HbA1c 4.4〜5.7%,GA 11.5〜15.7%と定めた

40)

.HbA1c は鉄代謝の影響を受

けるが,妊娠の進行とともに母体はしばしば鉄欠乏状態となる.また,HbA1c は半減期も約

Q17-7

糖代謝異常妊婦の血糖コントロールをどのように行うか?

【ステートメント



妊娠時の血糖コントロールは,低血糖を避けつつ可能な限り健常妊婦の血糖日内変動に近づ

けることを目標とする.その基準値は,空腹時血糖値は 70~100mg/dL,食後 2 時間血

糖値 120mg/dL 未満とする.



食事療法は妊婦に必要十分な栄養を付加し,胎児の健全な発育と母体の厳格な血糖コント

ロールおよび適正な体重増加を目指すものとする

34)



食事療法で目標血糖値が達成できない場合はインスリン療法を開始する.厳格な血糖コント

ロールを維持するためには血糖自己測定を併用した強化インスリン療法が望ましい

35)



運動療法の有用性を示す根拠は少ないが,母体の血糖コントロール改善,過度な体重増加抑

制,気分転換など健康増進に有用である可能性がある.

表 5 学会ごとの母体血糖コントロール目標値

日本糖尿病学会 日本産科婦人科学会 空腹時(mg/dL) 70∼100 ≦ 95 食前(mg/dL) − ≦ 100 食後 1 時間(mg/dL) − − 食後 2 時間(mg/dL) < 120 ≦ 120 HbA1c(%) < 6.2 ≦ 6.2 (参考資料 c, n, t より作成)

(12)

30 日と長く,妊娠経過中の血糖変動を正確に評価できない可能性がある.GA は半減期が約

17 日と HbA1c より短く,鉄代謝の影響も受けにくい.周産期合併症と HbA1c および GA と

の関連を調査した研究では,HbA1c 5.8%未満の群と 5.8%以上の群では周産期合併症の発生に

両群で有意な差を認めなかった一方で,GA 15.8%以上の群では 15.8%未満の群と比較して,

新生児低血糖,多血症,呼吸障害,HFD の発生頻度が有意に増加したことが示されている

9)

このように,妊娠経過中では GA のほうが HbA1c よりも血糖コントロールの評価において有

用となる可能性があり,GA 15.8%未満を目標とする

c)

.ただし,GA は肥満者では低値となる

可能性が報告されており,その評価には注意が必要である.

妊娠中の食事療法

母体の肥満や妊娠経過中の体重増加は巨大児のリスクとなる

34, 41)

.糖代謝異常妊婦に対する

栄養管理の目標は,健全な児の発育と母体の良好な血糖コントロールを維持し,過度な体重

増加をきたさないようにすることなどである.非肥満妊婦の摂取エネルギーに関しては標準

体重 × 30 kcal を基本とし,妊娠中に増大するエネルギー需要量の増大に対しては付加量を加

える.付加量に関しては,厚生労働省「日本人食事摂取基準」(2015 年)の妊婦に対するエネ

ルギー付加量(初期+50 kcal,中期+250 kcal,末期+450 kcal)に準拠する方法と

c, u)

,妊娠期

間中一律に 200 kcal とする方法とがあるが

t)

,その優劣に関しては日本糖尿病・妊娠学会で検

討予定である.一方で,肥満妊婦に対しては標準体重 × 30 kcal を基本とし,エネルギー付加

は行わない

c, t)

表 6

).ただし,極端なエネルギー制限は母体ケトーシスの原因となり,さら

に,妊娠中の母体の低栄養に伴う子宮内環境の悪化は,低出生体重の増加や児の将来の生活

習慣病の発症リスクを高める可能性が指摘されている.そのため,母体および胎児の体重変

化やケトン体を参考に状況に応じて摂取エネルギーを調節することが求められる.妊婦の適

切な体重増加量に関しては,厚生労働省「妊産婦のための食生活指針」での推奨体重増加量

を参考とし,非妊娠時 BMI(body mass index)が 18.5 未満で 9〜12 kg,BMI 18.5〜25 未満で

7〜12 kg,BMI 25 以上で個別対応(およそ 5 kg を目安)を参考に母体および胎児が過度な体重

増加をきたさないように調節する

v)

表 7

).また,ミネラルやビタミンなど栄養素が不足し

ないように指導する.

適正な食事エネルギー,栄養素の配分によっても食後血糖値が抑制できない場合は,1 回

表 6 糖代謝異常妊婦における食事エネルギー量

妊娠時期 日本糖尿病学会 日本産科婦人科学会 妊娠初期 非肥満(非妊時 BMI < 25):  標準体重× 30 + 50kcal 肥満(非妊時 BMI ≧ 25):  標準体重× 30kcal 普通体格の妊婦(非妊時 BMI < 25):  標準体重× 30 + 200kcal 肥満妊婦(非妊時 BMI ≧ 25):  標準体重× 30kcal 妊娠中期 非肥満(非妊時 BMI < 25):  標準体重× 30 + 250kcal 肥満(非妊時 BMI ≧ 25):  標準体重× 30kcal 妊娠末期 非肥満(非妊時 BMI < 25):  標準体重× 30 + 450kcal 肥満(非妊時 BMI ≧ 25):  標準体重× 30kcal (参考資料 c,t より作成)

(13)

あたりの食事量を減らし,食事回数を増やす分割食も有用である.

妊娠中の運動療法

妊娠中に運動療法を行うことは,血糖コントロール改善,過度な体重増加抑制,気分転換

などよい影響を与える可能性がある

w, x)

.ただし,切迫早産・流産,子宮頸管無力症,妊娠高

血圧症候群など産科的に問題がある場合や,糖尿病合併症進行例,整形外科的問題がある場

合では運動が禁忌となるため,妊娠中の運動療法に関してはメディカルチェックを受けるこ

とが必要である.また,仰臥位を保持したり,不動のまま長時間立位を保ったりするような

姿勢をとる運動,落下あるいは外傷のリスクのある運動は避け,非妊時と同様に適切な心拍

数の範囲を守り,有酸素運動を行うことを指導する

x)

妊娠中の薬物療法

食事療法や運動療法で十分な血糖コントロールが得られない糖代謝異常妊婦では薬物療法

が必要となる.日本における糖代謝異常妊婦に対する経口血糖降下薬や GLP-1 受容体作動薬

のエビデンスは不十分でありインスリン治療を行う.糖代謝異常妊婦のインスリン治療では,

厳格な血糖コントロールを行うために頻回注射療法や CSII が有用である.個人差が大きいも

のの必要インスリン量は妊娠末期にかけて増大し,分娩後は急激に減少するため慎重な調節が

必要となる.糖尿病妊婦における頻回注射療法と CSII の有用性についての比較では,血糖コン

トロールおよび母児合併症においては同等であると報告されている一方で,CSII のほうが血糖

コントロールに有用とする報告や,CSII で糖尿病ケトアシドーシスのリスクが高くなるとす

る報告もある

42,43)

.ただし,CSII では頻回注射療法と比較して夜間の低血糖を避けつつ暁現象

が抑制できるなど血糖変動が制御されることが報告されており,症例ごとに適応を検討する.

糖尿病妊婦に使用するインスリン製剤については前項で述べたように,医療従事者が各イ

ンスリン製剤の利点・欠点を評価し,インスリン治療を必要とする妊婦や家族に対して十分

なインフォームドコンセントを行ったうえで治療方針を妊娠前から決定する.

妊娠中の血糖コントロール評価方法

母体の血糖コントロールを評価するうえで,HbA1c や GA はあくまで中期的な血糖コント

ロール目標であるため,特に児転帰に関与する食後血糖値が十分に評価されないおそれがあ

9, 14, o, p)

.そのため,血糖自己測定(self-monitoring of blood glucose:SMBG)を用いて食前血

糖値のみならず,食後血糖値の評価を行い,適切な治療方針を構築する必要がある

14, 35)

.また,

GDM

に対して SMBG のみの群と SMBG に加えて CGM を施行した群で血糖コントロールお

よび周産期合併症の発生について比較した検討では,SMBG と CGM 併用群では血糖変動が改

善し,巨大児出生も減少したことが示されている.このように,CGM は糖代謝異常妊婦にお

ける血糖変動の評価に有用である可能性がある

44)

表 7 母体適正体重増加

体格 適正体重増加 BMI < 18.5 9∼12kg 18.5 ≦ BMI < 25 7∼12kg 25 ≦ BMI 個別対応(およそ 5kg を目安) (参考資料 v より作成)

(14)

正常分娩と同じく,糖代謝異常妊婦の分娩においても経腟分娩が基本である.日本産科婦

人科学会ガイドラインでは,胎児 well-being を適宜評価するとともに,40 週 6 日まで自然陣

痛発来管理と 41 週 0 日以降の分娩誘発(待機的管理),あるいは頸管熟化を考慮した 37 週 0

日以降の分娩誘発(積極的管理)のいずれかを行うように推奨している.積極的管理の目的は

巨大児の発症率を低下させ,肩甲難産と帝王切開を回避することであるが,新生児呼吸窮迫

症候群や頸管未成熟に伴う誘発分娩不成功などのリスクがある

t)

.GDM における待機的管理

と積極的管理とを比較した RCT では,積極的管理で HFD の発症は有意に低下したものの帝

王切開率,周産期死亡などの頻度において差は認めなかったことが報告されている

45)

.また,

母体血糖コントロール不良例,糖尿病合併症悪化例,巨大児疑い合併例では分娩時期,分娩

様式を個別に検討するとしている

t)

分娩時の母体血糖値と新生児仮死や新生児低血糖との関連性が報告されているが,様々な

報告があり明らかな閾値は認めない

46〜48, y)

.分娩時の母体血糖値と合併症の程度の差などにつ

いて検討した報告は不十分ではあるが,分娩時の母体の血糖コントロールは 1 時間ごとの血

糖測定を基本とし,低血糖を避けつつ 100 mg/dL 以下の血糖コントロールを維持するように

する

46, q)

.日本産科婦人科学会ガイドラインでは 1 から 3 時間おきに血糖測定を行い,70 から

120 mg/dL の管理を目標とすることが推奨されている

t)

その一方で,分娩時は必要なエネルギーを供給する必要がある.陣痛発来や帝王切開など

で食事摂取が不能となった際に,糖質を含まない輸液のみで管理を行うと容易に母体はケトー

シスをきたし,胎児アシドーシスの原因となる.糖代謝異常妊婦で補液が必要な場合はブド

ウ糖加補液を行い,母体血糖値 100 mg/dL 以下が維持できないときは経静脈的にインスリン

投与を行う.

インスリン必要量は分娩後急速に減少するため,インスリン量を妊娠前の投与量に戻す,

分娩直前の 1/2〜2/3 程度のインスリン量に減量する,あるいは中止する必要がある.

Q17-8

糖代謝異常妊婦の分娩時管理をどのように行うか?

【ステートメント



正常分娩と同じく,糖代謝異常妊婦の分娩においても経腟分娩が基本であるが,胎児発育や

胎児 well-being を評価し,個別に検討する.



母体高血糖が新生児低血糖などのリスクとなるため,分娩時の母体血糖値は 100mg/dL 以

下を維持する.

(15)

授乳は母子関係確立のため重要である.さらに,授乳は将来の母体の 2 型糖尿病発症を抑

制することが報告されている

50)

非肥満症例の分娩後の食事療法は,標準体重 × 30 kcal を基本とし,授乳によるエネルギー需

要量の増大に対しては,厚生労働省「日本人食事摂取基準」

(2015 年に改訂)を参考に,+350 kcal

を付加量とする

c, u)

.一方で,肥満症例に対しては標準体重× 30 kcal を基本とし,エネルギー付

加は行わない

c)

分娩後インスリン必要量は急激に低下するため妊娠経過中にインスリン注射を行っていた

GDM

症例では分娩後インスリンは不要となることが多い.糖尿病妊婦においては妊娠前のイ

ンスリン量に戻すことや,分娩直前のインスリン量の 1/2 から 1/3 へ減量することが必要と

なる.授乳期間中においても経口血糖降下薬の安全性を示した根拠は少ないため使用しない.

インスリン治療中の母体においては,授乳の際に低血糖を生じることがあるため,授乳前の

補食などを指導する.

GDM

既往女性は,将来の 2 型糖尿病発症のハイリスク群であり

49, 51)

,産後数年以降のみな

らず,産後早期より耐糖能異常を発症する頻度が高い.675,455 人の女性を対象にしたメタア

ナリシスでは,フォローアップ期間の 6 週から 28 年の間で,GDM 既往女性における 2 型糖

尿病発症リスクは正常血糖女性の 7.43 倍であることが示されている

49)

.さらに,GDM 既往

女性では次回妊娠時においても GDM を発症する可能性がある.したがって,GDM 既往女性

においては,産後早期および次回妊娠時早期の耐糖能の評価が必要となる.特にハイリスク

GDM

や妊娠中の明らかな糖尿病症例は将来の 2 型糖尿病発症リスクがさらに高いと考えら

れ,厳重なフォローが必要である.

妊娠中に GDM および妊娠中の明らかな糖尿病と診断された場合,産後 6〜12 週時に 75g

OGTT

を行い,耐糖能の再評価を行うことが推奨されている

j)

.さらに,GDM 既往女性は耐

糖能異常のみならずメタボリックシンドロームの発症リスクが高いことが知られており

52)

分娩後初回の OGTT で正常型と判断された場合であっても定期的なフォローアップが望まれ

る.さらに,ライフスタイルの改善により 2 型糖尿病発症率が低下したことが示されており,

食事療法・運動療法などの指導が重要となる

53, 54)

しかし,患者本人,家族および医療従事者の認識不足,フォローアップ体制の不備などか

ら GDM 既往女性の産後耐糖能検査の受診率はいまだ高くない.今後,フォローアップ体制

の確立が望まれる.

Q17-9

妊娠糖尿病および妊娠中の明らかな糖尿病患者の分娩後の評価・管理

をどのように行うか?

【ステートメント



妊娠糖尿病では分娩後も耐糖能異常を発症するリスクが高く

49)

,分娩後早期からの糖代謝の

再評価が必要である.産後 6~12 週時に 75g OGTT を行い,初回の OGTT 以降も定期

的なフォローアップを行い,併せて食事・運動療法などの指導を行うことが必要である.

(16)

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(19)

m)日本糖尿病学会(編・著):ライフステージごとの糖尿病―妊娠と糖尿病.糖尿病治療ガイド 2014-2015, 文光堂,東京,p89-91,2014

n)日本糖尿病学会:糖尿病と妊娠.糖尿病専門医ガイドブック,第 6 版,診断と治療社,p342-347,2014 o)American Diabetes Association:Management of diabetes in pregnancy. Diabetes Care 39 (Suppl 1):

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p)National Institute for Health and Care Excellence (NICE) guideline http://www.nice.org.uk/(最終アク セス日 2016 年 1 月 19)

q)U.S. Food and Drug Administration. Pregnancy and Lactation Labeling Final Rule

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参照

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