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『竜図公案』編纂の意図

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Academic year: 2022

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(1)九州大学学術情報リポジトリ Kyushu University Institutional Repository. 『竜図公案』編纂の意図 根ヶ山, 徹 九州大学大学院修士課程. https://doi.org/10.15017/9738 出版情報:中国文学論集. 14, pp.110-141, 1985-12-31. The Chinese Literature Association, Kyushu University バージョン: 権利関係:.

(2) 中國文學論集. 第十 四號. ﹃龍 圖 公 案 ﹂ 編 纂 の意 圖. 根. ケ. 山. 徹. (1 ). ﹃龍 圖 公案 ﹄ は︑ 北 宋 の包 迷 を 裁 判 官 に擬 す る短 篇 小 説 集 であ る︒ 該 書 の成 立 に つ いて は︑ 天啓 ︑ 崇 頑 年 間 に雛. Ming. kung‑an. Fiction:A. Study. of. Asiatic ) Sな tど ud のi 論e 文sに ,指 V摘 oさ lれ .3 る5 よ, う1に9︑7大 5部 分 が 萬 暦 年 間 以 降. of. 版 に附 さ れ た のが 最 も 早 いと 推 測 さ れ る にと ど ま り︑ 絶 樹 的 年 代 を 知 る こと はでき な い︒ さ ら に該 書 に牧 めら れ る. of. Tradition Journal. 作 品 は︑ 馬 幼 垣 氏"The (Harrard. に相 前 後 し て上 梓 さ れ た 公 案 小 説 集 か ら 直 接 に採 録 さ れ たも の であ り ︑ 創 作 性 には乏 し いと言 わ ざ るを 得 な い︒. し か し なが ら ﹃龍 圖 公 案 ﹄ が ︑ 樹 偶 構 成 を と る よう に作 品 を 配 列 した 後 に評 語 を 附す ︑ と いう 形 態 を と る こと か. らす れ ば ︑ 既 成 作 品 の援 用 は決 し て無 批 判 に 行 わ れ て い る の で はな く ︑ 作 品 の選 揮 ︑配 列 にあ た って の編 者 の意 識. 10 1. Lung‑t'u.

(3) が 強 く 反 映 さ れ て いる こ と を豫 測 せ し め る︒ 特 に評 語 にお いて は ︑ 作 品 の 内 容 に即 し た︑ あ る い はそ こ から 投 影 さ. れ る現 實 社會 に封 し て の警 抜 な る時 詳 が 襲 せら れ て いる ︒ す な わ ち ︑ 評語 か ら見 れ ば ︑ ﹃龍 圖 公案 ﹄ は ︑ 當 時 の 社. 會 現 象 と 不 可 分 に から みあ ってお り ︑ 明 末 の時 代 精 紳 を 如 實 に 示 す 一つの典 型 であ る と 考 え ら れ る ︒. 本 稿 は︑ 先 學 に よ る諸 論 考 の示 唆 を 受 け なが ら ︑ ﹃龍 圖 公 案 ﹄ と 先 行 す る 公案 小説 集 と の比 較 を 行 い︑ 同時 に 編. 纂 の意 固 を 解 く 關 鍵 と し て 重 要 な 位 置 を 占 め る にも か か わ らず ︑ 從 來 全 く 顧 み ら れ な か った 評語 にも 注 目 し て︑ 該 書 の編 纂 意 圖 を 探 ろ う と す る も ので あ る ︒. 二. (2 ). (3 ). 萬 暦 年 間 以 降 に刊 行 さ れ ︑ ﹃龍 圖 公 案 ﹄ に素 材 を 提 供 し た 公案 小 説集 に つい て は︑ 前 掲 馬 氏 論 文 のほ か ︑P.D.. 氏 の論 H考 a︑ na 大n塚 秀 高 氏 の諸 論 考 な ど に詳 述 さ れ て い る︒ こ こ で は︑ 詳 細 に つ いて は右 にゆ ず るも のと し ︑ 所 見 も 加 え て ﹃龍 圖 公案 ﹄ に 至 る 公案 小 説集 の流 れ を 概 観 し てみ た い︒ A︑百家公案. 朱仁齊 與墾 梓行 の萬暦甲午 二 五九 四)刊本 ( 名古 屋市蓬左文庫)・ 書林景生楊文高梓 行の萬 暦刊調 )( 山昊. (5 ). 學 棲 息 堂 文 庫 ) が 存 す る︒ 編 者 はと も に銭 塘 散 人 安遇 時 ︒ ま た︑ 萬 巻 棲 梓 行 で︑ 萬 暦 丁 酉 (一五 九 七) 刊本 と 思 し き 薔 朝 鮮 纏 督 府 藏 本 の存 在 が 知 ら れ る︒. 本 書 は︑ 全 篇 包 極 に纒 わ る 小 説 集 で ︑ 全 百 回九 十 七則 (六則 が 二 回 に分 け ら れ る ) を 牧 め る︒ 男P.D.Hanは an ﹃龍圖公案 ﹄編纂 の意圖 ( 根 ヶ山). m.

(4) 中國文學論集. 第十四號. 本 書 の編 者 を 三 人 であ ると 想 定 し︑ aの編 著 にか か る 作 品 ( 第 30 回〜 40 回︑ 第 72 回〜 ㎜ 回 ) と ︑ b の編 著 に か か る. 作品 ( 第 41 回〜 71 回) に︑ c︑ つま り 安 遇 時 自 らが 編 著 し た作 品 (第 1 回〜 第 29 回 ) を 付 加 し ︑ 同 時 に 全 禮 の編 輯 に も 携 わ った ︑ と す る ︒. これ ら作 品 は︑ 白 話 小 説 や 文 言 小 説 ︑ ま た 元來 包 公 説話 であ ったも のな ど 既 成 の作 品 を 翻案 し︑ 改 攣 を 加 え て取. 込 んだ も の であ り ︑ 内 容 も ︑ 動 物 の精 な ど の超自 然現 象 に よ って引 起 さ れ た 事 件 を 裁 く も の︑ 冤罪 を 裁く も のな ど. を 牧 め て おり ︑ 多 様 性 に富 む ︒ と り わけ 奪 卑 を 問 わず 官 吏 に纒 わ る断 獄 は︑ 本 書 の原 擦 の 一端 を澹 う ﹁成 化 説 唱 詞 話 ﹂ の包 公 も のと 同 様 に︑ 官 吏 批 判 の意 圖が 著 しく ︑ 重 要 覗 さ れ てし かる べ き で あ る ︒. 作 品 の配 列 は︑ お お む ね封 偶 構 成 をと る︒ し か し嚴 密 な も ので はな く ︑ 時 折 こ の法 則が 崩 れ る︒ これ は︑ 多 方 面. にわ た る 先 行 作 品 を 積 極的 に採 取 し たが た め に︑ 野 偶 と いう 基 準 を 設 け なが らも ︑ そ れ に準 じ た作 品 の配 列 が 困 難 であ った た めと 考 え ら れ る︒. 巻 九 以 降 の作 品 の最 後 に︑ ﹁且看 下 回説 出 甚 説 文 來 ﹂ ( 第 73 回)︑ ﹁且看 下 節 如 何 分 解﹂ (第 74 回)︑﹁只 因 此 件 公. 案 ︑ 又 判 出 二 冤柾 來 ︑ 下 回便 見 ﹂ (第 76 回 )︑ ﹁且看 那 一回公 案 ︑ 下 節 便 見 ﹂ ( 第 80 回)︑﹁且看 後來 因甚 復 取 用︑ 下 回. 公案 便 見﹂ (第 82 回)︑ ﹁且 看 接 何 公案 ﹂ (第 83 回)︑ ﹁且 看後 來 如 何 ︑ 下 回 公案 便 見﹂ (第88 回)︑ ﹁且 看 後 節 公 案 如. 何 ︑ 下 回便 見﹂ (第 89 回 )︑ ﹁且看 如 何 ︑ 下 回 公案 便 見 ﹂ ( 第 93 回) と ︑ さ な が ら 章 回 膣 を 思 わ せ る語 を 用 いる の は︑. ﹁成 化 説 唱 詞 話 ﹂ の ﹃新 刊全 相 説 唱包 待 制 出身 傳 ﹄ が ﹃百 家 公 案 ﹄ で は ﹁包 待 制 出 身 源 流 ﹂ と 第 79 回 から 第 81 回 ま. で に︑ ﹃新 刊 全 相 説 唱包 龍 圖陳 州 羅 米記 ﹄が 第 舩 回 か ら第 85 回 ま でと ︑ 第 72 ︑ 73 回 に︑ ま た ﹃新刊 全 相 説 唱 足 本 仁 宗. m.

(5) 認 母 傳 ﹄ が 第 74 ︑ 75 回 に 分割 し て牧 め られ る こと にも よ ろ う ︒ 大 塚 氏 に よれ ば ︑ 明代 中 期 以 前 の包 公 説 話 は︑ 掲 立. し た いく つか の シリ ー ズ か ら な って い たと 思 わ れ ︑ そ れ ら を 取 込 んだ ﹃百家 公案 ﹄ は︑ 章 回小 説 の膣 裁 を と る た め. の回 数 の水 増 し に迫 ら れ ︑ ま た シリ ーズ 内 で の連 績 性 を 無 硯 し た排 列替 えが 行わ れ た︑ と す る︒ P・ U● 踏9コ9昌氏 も ︑. 巻 九 以 降 の作 品 の 元來 の配 列 順序 を︑ 第 86 回︑ 第 79 回〜 85 回 ︑第 72 回〜 75 回 ︑第 87 回〜 ㎜ 回︑ 第 76 回 〜 78 回 の順 で あ った ︑ と 推 定 す る︒. さ て ﹃龍 圖 公案 ﹄ は ︑ こ の ﹃百家 公案 ﹄か ら 五 十 一回 四十 八則 を 採 録 す る︒ ﹃龍 圖 公 案 ﹄ の編 者 が 如 何 な る 基 準 に. (6 ). 則 り 作 品 を 選 澤 ︑ 配 列 し た か ︑ 一概 に論 ず る こと は でき ぬが ︑ ﹃百家 公案 ﹄ で の作 品 配 列 の序 次 は無 視 し て︑ 野 偶 を 作 り 得 る内 容 を も つ作 品 を 二 則ず つ採 録 し た こ と は確 か であ る︒ B︑詳刑公案. (8 ). 京 南 蹄 正 寧 静 子 輯 ︑ 呉 中 匡 直 淡 薄 子 訂 で ︑ 潭 陽 劉太 華 の 明徳 堂 梓 行 にか か る 版が ︑ 日光 慈 眼堂 ︑ 棘 田喜 一郎博 (7 ). 士 ︑ 大 連 圖 書 館 に 藏 さ れ る ︒ ま た 大連 圖書 館 藏 本 にも と ず く 油 印 本が 存 す る︒ 十 六類 四十 則 を 牧 め ︑ 十 二 則が ﹃龍. (9 ). 圖 公 案 ﹄ に 採録 さ れ て いる ︒ C︑律條公案. 金 陵 陳 玉 秀 選 校 で ︑書 林 薫 少 衝 師 倫 堂 梓 行 本 が ︑ 内 閣 文庫 に藏 さ れ る︒ 十 四総 類 四十 六 則 を 牧 め ︑ 十 三 則が ﹃龍 圖 公 案 ﹄ に採 録 さ れ ︑ そ の 十 三 則中 十 則 はB から 採 録 さ れ る も のと 重複 す る︒. こ のB ︑ C 間 で は︑﹃龍 圖 公 案 ﹄ に 牧 め ら れ る作 品 をも 含 め て︑ 三 十 二則 を 共有 す る︒ 馬 氏 は︑ B ︑ C 間 に 文 字 ﹃龍 濁公案﹄編纂 の意圖 (根 ヶ山). 3 1 1.

(6) 中國文學論集. 第十 四號. 上 の異 同が ほと んど 認 めら れ ず ︑ 作 品 の末 尾 に 附 さ れ る按 語 が ︑ 共有 の三 十 二則 内 で は全 く 同 じ で あ る ほ か ︑ さ ら. にB で は 五則 に︑ C で は二 則 に も 附 さ れ る こ と ︑B ︑ C 雨 本 に施 さ れ る 音 註 に は︑ 一方 に 明 ら か に筆 誤 と 思 しき 箇 庭 が 見 ら れ る こと な ど か ら ︑ B ︑ C には 租 本が 存 在 し た 可能 性 を 指 摘 す る︒ D ︑ 詳 情 公案. 臨 川 毛 伯 丘 兆 麟 訂 で ︑ 建 邑 の陳懐 軒 の存 仁 堂梓 行 本が ︑ ④ 名 古 屋 市 蓬 左 文 庫 ︑ b 内 閣 文 庫 ︑cい 東 京 大學 東 洋 文化. 研 究 所 に架 藏 さ れ る︒ 本 書 が 複 雑 な 成 立 過 程 を経 た こ と は︑ 大 塚 氏 が 詳 しく 論 考 さ れ て いる ︒④ b ω 三 本 を通 じ た. 十 七 門 四十 七 則 中 ︑ ﹃龍 圖 公案 ﹄ と は九 則 が 一致 し︑ 九 則 全 て が B ︑ C か ら採 録 され る作 品 に含 ま れ る︒ し か し ︑. 10 ). 本 書 の 成 立 は︑ 天啓 ・崇 頑 年 間 と 推 定 さ れ ︑ ﹃龍 圖 公 案 ﹄ に素 材 を 提 供 し た 可能 性 は 極 め て少 な い︒ E ︑廉 明 公案. (名 古. e 萬 暦 乙 巳 (一六〇 五) 刊 の隻 峯 文 毫 余 氏 梓 行 本 (富 岡 氏)︑ ⑤ 萬 暦 戊 戌 (一五 九 八) の叙 ︑ 木 記 を 有 す る 建 泉 (11 ). 堂 文 毫 堂 梓 行 本 (北 京 圖書 館 ︑ 周 越 然 氏 ) と ︑ 林 羅 山 によ る そ の紗 本 (内 閣 文庫 )︑ CW 三壷館隻峯堂梓行本. 屋 市 蓬 左 文 庫 )︑ ④ 葦 英 堂 宗 文 堂 梓 行 本 (内 閣 文 庫 ) の 四 本が 知 られ る︒ 本 書 の成 立 事 情 に つ い ても ︑ 大 塚 氏が 詳. し く 論 じ ら れ て いる ︒ω ④ は 目録 に は 十 六 類 百 五則 を 記 す が ︑ 實 際 に は百 三 則 し か牧 め られ ず ︑ ⑤ の紗 本 のみ 百 五. 則 を 牧 める ︒ 馬 氏 は︑ こ のう ち 六 十 一則 が 小 説 と呼 ぶ に ふさ わ し い規 模 を 備 え て いな い︑ と す る が ︑ そ れ に は關 係 な く 全 百 五 則 か ら 二 十 二 則が ﹃龍 圖 公案 ﹄ に採 録 さ れ て いる ︒ F︑諸司公案. 鵬.

(7) 山 人 仰 止 余 象 斗 編 述 で ︑ 書 林文 壷余 氏 三毫 館 梓 行 本 が ︑ 國 立 國 會 圖 書 館 に 藏 さ れ る ︒封 面 に ﹁全 像 績 廉 ﹂ 明 公 案. 傳 ﹂ と 記 す こと か ら ︑ E の績 篇 と し て 上梓 さ れ たも のと 思 わ れ る ︒ 目 録 に は 六 類 五 十 八 則 を記 す が ︑ 實 は五 十 九 則 を 牧 め て い る︒ ﹃龍 圖 公案 ﹄ は本 書 か ら作 品 を 採 録 しな い︒ G ︑ 明鏡 公 案. 葛 天 民 .呉 流 泉 彙 編 で ︑ 三 椀 堂 王 毘 源梓 行 本 が ︑ 内 閣 文 庫 に藏 さ れ る ︒ 各 巻 末 の記載 か ら︑ F 同様 にE 系 統 の書. であ る こと を 窺 わ せ る ︒ 目録 によ れば ︑ 全 七巻 ︑ 十 類 五十 八則 から 成 る ︒ 現 存 す る 巻 四 ま で は︑ 六類 二十 八則 を 記. す が ︑實 際 に は 二十 五 則 し か 牧 め て いな い︒ ﹃龍 圖 公 案 ﹄ と は 一則が 一致 し︑ これ はE から 探 録 さ れ る 作 品 に含 ま れ る︒. E ︑ F ︑ G の三 書 に つ いて 纒 め る と ︑﹃龍 圖 公 案 ﹄ の素 材 は︑﹃廉 明 公 案 ﹄ 一書 の み であ る と考 え ら れ る︒. さ てB ︑ C ︑ D ︑ E ︑ F ︑ G に お け る スト ー リ ー の展 開 は︑ ま ず 事 件 内 容 を 記 し ︑ つい で訴 状 ︑ 裁 判 の過 程 を 叙. べ︑ 最 後 に判 決 文 で 結束 す る ︑ と いう形 態 を と り ︑ 實 在 し た か否 か は別 と し て ︑ い わゆ る名 公 諸 司 に よる 裁 判 記 事 の集 成 であ る︒. これ は︑ 林 羅 山 手紗 本 ﹃廉 明 公案 ﹄ ( E のb ) のみ に附 さ れ る 余 象 斗 の叙 か らも 明 ら か であ る︒. 乃 取 近 代 名 公 之文 巻 ︑ 先 叙 事情 之 由 ︑ 次 及訂 告 之 詞 ︑ 末 述 判 断 之 公 ︑彙 輯 成帳 ︑ 分 類 編 次 ︒ 大 都 研 窮 物情 ︑辮. 雪 冤 滞 ︑察 人 之所 不能 察 者 ︑ 非 如 包 公案 之 捕 鬼 鎮 神 幻 妄 不経 之 説 也 ︒ ⁝ ⁝ 且執 法 者 鑑 往 轍 之 成 敗 ︑ 而 因 此 以識 彼 ︑ 識 細 民 之情 偽 ︑ 而推 類 以壼 籐 ︒ ﹃龍 圖 公 案 ﹄ 編 纂 の意 圖 (根 ヶ山 ). 恥.

(8) 中國文學論集 第 十四號. ﹁鬼 を 捕 え 紳 を 鎮す ﹂ 作 品 ︑ 例 えば 狐 狸 の精 を 断 じ (第3 回 ︑第 13 回 など )︑ 城 陛 神 の 悪業 を裁 く ( 第31 回︑ 第 33 回. な ど ) ﹁幻 妄 不経 の説 ﹂ を 牧 め る ﹃包 公案 ﹄︑ つま り ﹃百家 公 案 ﹄ と は異 な り ︑ ﹁近 代名 公 の文 巻 ﹂ か ら 取 った 名 裁. 判 の判 例 を 集 めた ︑ 執 法 者 は鑑 と せ よ ︑ と 言 う の であ る︒ こ の言 説 は︑ 他 の五 種 類 の公案 小説 集 にも 愛 當 す る も の と 言 え よ う︒. 作 品 の配 列 は︑ ﹁類 ﹂ あ る い は ﹁門 ﹂ を た て て ︑ そ れ ぞ れ の標 題 に概 括 さ れ る内 容 にし た が って 作 品 を 分類 す る と いう 形 態 を と る ︒. ﹃龍 圖 公案 ﹄ が B ︑ C ︑ E の三 書 か ら ど のよ う な作 品 を 選 揮 し た か に つ いて は ︑ そ れぞ れ の ﹁類 ﹂︑ ﹁門 ﹂ に固 執. す る こと なく ︑ 多 種 多 様 の内 容 を網 羅 すべ く 選 揮 が なさ れ て い る こと ︑ し か も ﹃百 家 公案 ﹄ から の探 録 と 同 様 に︑ 封 偶 構 成 を と り得 る こと を 條 件 に行 わ れ て いる ことが わ か る︒. 以 上 のご と く ﹃龍 圖 公案 ﹄ は︑ 來 源 を 確 定 でき な い作 品 を残 す も の の ︑﹃百 家 公 案﹄︑ ﹃律條 公案 ﹄ と ﹃詳 刑 公 案 ﹄. の二 書 ︑も しく は この 二書 の租 本 ︑ そ し て ﹃廉 明 公案 ﹄ か ら︑ 少 な く と も 八十 五 則 を 採 録 し て いる ︒残 る十 五則 の. う ち十 二 則 は︑ 冥間 断 獄 を テ ー マと し てお り ︑ 他 の作 品 と は別 趣 であ る︒ これ に つ いて は ︑ 馬 氏 ︑大 塚 氏 共 に ﹃龍 圖 公案 ﹄ 編 者 の自 作 と推 定 す る ︒. 三. こ のよう に︑ 先 行 す る公 案 小 説 集 から ﹃龍 圖 公案 ﹄ に牧 録 さ れ な い作 品 も あ る も の の︑ 牧 録 さ れ た作 品 に つ いて. 珊.

(9) は︑ 文 章 に刷 省 を 施 し ︑ あ る いは 裁 判官 の名 前 を 包 極 に攣 え たり ︑ 新 た に包 極 を 登 場 さ せ た り し て ﹃龍 圖公 案 ﹄ が 成 立 し た︒. ・ (12 ). さ て ︑ 現 在 目 観 し 得 る ﹃龍 圖 公案 ﹄ に は︑ お よそ 二系 統 の版 が 存 す る ︒ 百 則 を 牧 め る繁 本 と︑ 六十 二則 を牧 める 簡 本 が そ れ であ る︒ 繁 本 はさ ら に二 系 統 に分 け ら れ る ︒. 一つは ︑ 二 則 ご と に ﹁賄 五 齋 評 日﹂ と いう 評 語 を 附 す 評 定 本 で あ る ︒ 山 口大學 棲 息 堂 文 庫 に は こ の評 定 本 を 藏 す. る︒ こ の版 は︑ 封 面 は敏 く が ︑ 目録 ︑ 及び 各 春 の内 題 を ﹁新 評 龍 圖 神断 公案 ﹂ に作 り ︑ 半 葉 五 行 ︑ 行 十 字 の序 文 ︑. 目録 ︑ 圖 と題 詞 を 附 す ︒ 十 巻 本 で各 巻 十 則 を 牧 め る ︒ 本 文 は 半葉 九 行 ︑ 行 十 九 字 ︒ 天 啓 刊 と さ れ る︒ こ の評 定 本 に. は︑ 四美 堂 梓 行 の乾 隆 丙 甲 (一七 七 六 ) 刊 本 (早稻 田 大學 ︑ 静 嘉 堂 文 庫 ) ︑ 貴 文 堂 梓 行 の道 光 辛 巳 (一八 二○ ) 刊 本 (東 洋 文 庫 )︑ 盆智 堂 梓 行 本 (東 北 大 學 ︑ 内 閣 文 庫 ) な どが 知 られ る︒. いま 一つ は︑ 評 語 を 附 さ な い無 評語 本 であ る︒ 京 都 大 學 人 文 科 學 研 究所 藏 本 は︑ 封 面 に ﹁百 噺 奇 観 ﹂ 繍像 龍 圖 公. (13 ). 案 ﹂ 雨 籐 堂 藏 板 ﹂ と 題 し︑ 半 葉 八行 ︑ 行 二十 四字 の序 文 ︑ 目録 ︑ 圖 を 附 す O 八巻 本 O 本 文 は 半葉 十 二行 ︑ 行 二十 六. 字 ︒ 九 州 大學 文 學 部 藏 本 は︑ 封 面 に ﹁新 錆繍 像 善 本﹂ 龍 圖 公案 ﹂ 金 間 種 書 堂 校 梓 ﹂ と 題 し ︑半 葉 七行 ︑ 行 十 七 字 の 序 文 ︑ 目 録 ︑ 圖 を 附 す ︒ 全 十 巻 で ︑ 本 文 は半 葉 十 行 ︑ 行 二十 二字 ︒. ま ず 評 定 本 と 無 評 語 本 とが 如 何 な る 關係 にあ る か に つ い て︑ 巻 一 ﹁鎖 匙﹂ を 例 に比 較 し てみ る ︒素 材 は ﹃詳 刑 公 案 ﹄ 巻 四 ︑ ﹃律 條 公 案 ﹄ 巻 九 の ﹁戴 府 サ 断婚 姻 誤賊 ﹂ ( 婚 姻 類) であ る︒ ﹃龍圖公案﹄編纂 の意圖 (根 ヶ山). m.

(10) 中國文 學論集. 第 十四號. 誤. 賊 定. 鎮 本. 匙 無. 評. 語. 共 船 往 京 ︑會 試. 姻. 共船 過 京 ︑ 會 試. 是 一男 一女 結 爲 夫 婦. 断 婚. 共船過京︑會 試. 是 一男 一女 結 爲 夫 婦. 病 重 ︑遣 書 一紙 干 龍. サ. 一男 一女 結 爲 夫 婦. 病 革 ︑遣 書 一紙 干 龍. 錐過 小聴︑未嘗納采. 府. 病 革 ︑遣 書 一紙 干 龍. 錐過小聰︑未當納采. 戴. 錐過小聰︑未嘗納練. 必行人禮. 必要 六 禮. 必行 六禮 一. 一. 朝 棟 過 干 培 外 ︑碑 指 道. 後彼錐前言猫在. 再作理會 但彼 不能 螢 運 致 此 ︑ 彼 父 錐 亡 ︑ 前言 猫 在. ﹁. 使安能斬乎. 朝 棟過 干 培 外 ︑ 環 玉 間 道 ︑ 培 外. 他安能斬乎 但 彼 不能 螢 運 ︑故 至 此 耳 ︑ 彼 父 錐亡︑遺書猶在. 何 人 ︑ 碑 指道. [. 人︑ 碑 日. 朝 棟 過 干 培 外 ︑ 玉 問 日︑ 培 外 何. 本. =. 囎.

(11) 練 紬 三 疋 ︑臨 別 ︑ 令 生 又 來 是 以. 欲悔親別嫁. 至 花 園 小 門 ︑ 備 言其 父 ︑ 與 母 議 ︑. 像今 此 言 合 理 ︑. 玉 日 ︑ 像 既 無 衣 ︑晩 下 可在 此來. 如 何 這 等 鑑襖 ︑ 生 日︑ 其 奈 無 何 ︑. 終 久 團 圓 ︑ 身 上 急 不穿 些 好 衣 服︑. 親決 不違 父命而退. 朝棟因見女子星眸月貌. 去 明 回︑ 毎 夜 丹桂 候 門 ︑ 以 至 干. 練 紬 三 疋︑ 臨 別︑ 令 生 又來 是 夜. 議 ︑ 欲悔 親 別嫁. 至 花 園 小 門 ︑備 言其 父︑ 與 母 商. 像今言合理︑然. 既 無 衣 ︑ 侮 晩 下 可在 此來. 朝 棟道 ︑ 其 無 奈 何 ︑ 環 玉道 ︑ 像. 終 久團 圓 ︑ 身 上 急 不穿 些 好 衣 服 ︑. 親決 不違 父命 而退. 朝 棟因見女子星眸 月貌. 綜 紬 三 疋︑ 偶 因手 迫 無 銀. 別嫁. 至 花 園 ︑ 備 言 其 父 ︑ 與 母 欲悔 親. 像錐如此. 終 久 團 圓︑ 像晩 下 可在 此來. 親決 不退. 朝棟因見女星眸月貌. さ. 夜去明來︑毎夜丹桂候門︑以至. 生未 及去 ︑ 不知 何 賊 鍛 知 ︑ 故 遭. 今 ︑前 十 一夜 ︑ 因 母有 慈 ︑ 是 夜 此 攣 ︑偶 因 手迫 無 銀. 今安在哉. 干 今 ︑ 前 十 一夜 ︑ 因 母 有 慈 ︑ 是 故遭 此 攣︑ 偶 因手 迫 無 銀. 今何在哉. 晩縫身不得未去︑不知何賊轍知︑. 今何在哉. ﹃龍 圖 公 案 ﹄ 編 纂 の意 圖 ( 根 ヶ山). 囎.

(12) 鯨 未 鑑 述 ︑ 総 來 顯 晦 ︑豊可以論. 第十 四號. 英雄哉. 中國文學論集. 予観戴公詳施審察︑能襲姦於意. 絵 未暇論 外︑郷公暗干知人︑不能逆料於 將 來 ︑朝 棟 一時 遇厄 ︑ 幸青 天 而 剖 断 無 私 ︑ 漸 爾 清 貧際 風 雲 ︑ 而 終 成 大 用 ︑観 人者 ︑ 豊 可 以 顯 晦 論英雄哉. 籐 未壷述. 評 定 本 ﹃龍 圖 公 案 ﹄ は ︑ 事 柄 を 詳密 に叙 述 す る ﹃詳 刑 公 案 ﹄ も し く は ﹃律 條 公案 ﹄ を ︑ あ る い は踏 襲 し ︑ あ る い. は刷 省 を 施 し て 採 録 し ︑ 無 評 語 本 ﹃龍 圖 公案 ﹄ は︑ そ れ を さ ら に 胴改 し た版 であ る こと を 看 取 で き る ︒ こ こで は 一. (14 ). 部 分 を 掲 げ た に過 ぎ ぬ が ︑ ﹃龍 圖 公 案 ﹄ の ほぼ 全篇 にわ た って右 のご と き 事 例 を 得 る ︒ し たが って︑ 評定 本 上 梓 の. 後 ︑ 評 語 を 創 除 し ︑ 文 章 に 側改 を施 し た無 評語 本 が 行 わ れ た と の推定 が 可能 であ り︑ 荘 司 格 一氏 の所 説 のご と く ︑. 無 評 語 本 にお け る 説 明 不 足 の箇所 を補 う べく 増 刷 を 加 ︑ 兄︑ 二 則 ご と に評語 を 附 し て評 定 本 が 刊 行 さ れ た と は 考 ︑ 兄ら れ な い︒. さ て ︑ 六 十 二 則 を 牧 め る 簡 本 は 天 理 圖 書館 に藏 さ れ る︒ 十 巻 本 で︑ 封 面 は ﹁李 卓 吾 先 生 評 ﹂ 繍 像 龍 圖 公 案 ﹂ 本 坊. 藏 板 ﹂ と 題 し ︑ 天 頭 に ﹁嘉 慶 壬 戌 年 二 八 〇 二) 多 錆 ﹂ と 記 す ︒ 目 録 ︑ 及 び 各巻 の内 題 は ﹁新 評 龍 圖 紳 断 公案 ﹂ に. 作 り ︑ 半 葉 六 行 ︑ 行 十 六 字 の 序 文 ︑ 目録 ︑圖 を 附す ︒ 本 文 は半 葉 九 行 ︑ 行 二 十字 ︒ 封 面 に は ﹁李 卓 吾 先 生 評 ﹂ と 記. 20 1.

(13) す が ︑ 本 文 で は ﹁聴 五 齋 評 ﹂ であ る︒. ・. こ の簡 本 は ︑ 二 十 四 則 に の み評 語 が 附 さ れ ︑ そ のう ち ﹁窓 外 黒 猿 ﹂﹁港 ロ漁 翁 ﹂ の評語 は︑ 詐 定 本 の評 語 の 前 半 部 分 のみ で あ る こと ︑ ま た ﹁阿 彌 陀 佛 講和 ﹂ ﹁観 音 菩 薩 托 夢 ﹂ の評語 に 首 敲 彌 陀 観 音 感 鷹 ︑ 而 結 以 玉 福 三官 経 之 敷 験. と 言 う に も か か わ らず ︑﹁玉 橿 経 ﹂ ﹁三官 経 ﹂ の 二則 は牧 め ぬ こと か ら ︑ 簡 本が 評定 本 のダ イ ジ ェス ト版 と し て 上梓 さ れ た こと ︑ 荘 司 氏 の所 説 の ご と く であ る︒. 以 上 のご と く ﹃龍 圖 公案 ﹄ で は︑ 評 語 を 附 し た 百則 本 が 最 初 に 刊 行 さ れ ︑ 本來 の 形態 を傳 え て い ると 考 え ら れ る ︒ し た が って本 稿 で は ︑ 評 定 本 ﹃龍 圖 公案 ﹄ を底 本 に考 察 を 進 め てゆ く も のと す る ︒ 四. さ て ︑ ﹃龍 圖 公 案 ﹄ に は 二則 ご と に評 語 が 附 さ れ て いる こ と︑ す で に述 べ たと おり で あ る ︒ こ の評語 は︑ 版 本 の. 先 後 を 考 謹 し た際 に述 べ た よ う に ︑﹃龍 圖 公案 ﹄ が 最 初 に 上梓 さ れ た時 に は附 さ れ て いた も のと 考 え られ る︒. 冒 頭 の ﹁阿 彌 陀 佛 講 和 ﹂﹁観 音 菩 薩 托 夢 ﹂ ( 巻 一) に附 さ れ る 評 語 に は次 のご とく 言 う︒. 著 述 此 書 ︑ 大 有 深 意 ︒ 初 覗 皮 毛 ︑若 止爲 刑 名 家 作 津 梁 ︑ 而 叩 其 精 微 ︑ 實 念 念 慈悲 ︑言 言 道 徳 ︒ 治 世 可 ︑ 度 世. ︒. 可 ︑ 超 世 亦 可 ︒ 蓋儒 而参 之 以輝 玄 者 也︒ 首 叙 彌 陀 観 音 感 鷹 ︑ 而 結 以 玉 櫃 三官 脛 之 敷 験 ︒ 且特 附 孝 烈貞 節 干後 ︑ 以 補其 所 未 壷 ︒ 此 可見 種 種 勧 善 苦 思 ﹃龍 圖 公案 ﹄ 編 纂 の意圖 ( 根 ヶ山). 縦.

(14) 中國文學論集. 第十四號. こ の ﹃龍 圖 公 案 ﹄ 全 膣 を 展 望 し た 評 語 に は ︑編 者 が 治世 を 第 一義 と し て希 求 し た こと ︑ そ し て そ れ と 並 列 的 に讃 者 に野 す る 勧 戒 を 意 圖 す る も ので あ る こと の 二貼 が 言 明さ れ て い る ︒. 以 下 ︑ 二 則 ご と に 展 開 さ れ る 言 説 は︑ 右 の評 語 で の稜 言 を 中 心 に据 え ︑ 個 々 の作 品 に 即 し た内 容 を有 す るも の で. あ る ︒ そ こ で は ︑作 品 に 登 場す る 人物 に倫 理 的 な 虚 断 を 下 す のみ な らず ︑作 品 中 の 事柄 を現 實 社 會 にま で引 伸 し て の評 言が 護 せ ら れ て い る︒ し かも そ れ は︑ 編 者 の個 人 的 な 経 験 が 反 映 さ れ て いる ︒. も ち ろ ん︑ 編 者 と 評 者 が 同 一人 物 であ る こと ︑ 右 に掲げ た 評語 に︑ 作 品 の配 列 に言 及 し て いる こと か ら窺 知さ れ る であ ろう し︑ ﹁玉 福 経 ﹂ ﹁三官 経 ﹂ ( 巻 十) の 評語 に. 男 子婦 人 ︑ 白 隻 黄 童 ︑ 止 信 得 佛 道 雨 門 ︑ 説 了 念佛 看 経 ︑ 無 不洗 心易 慮 ︒ 然 則 菰 編 ︑ 用佛 菩 薩 開 場︑ 而以 玉 櫃 三 官経結束︒意在斯乎︒ と 言 う こ と から も 明ら か であ る︒. さ て︑ こう し た評 語 を 附 す た め の︑ 先 行 作 品 の選 揮 ︑﹃龍 圖 公 案 ﹄ にお け る 作 品 の配 列 ︑ 序 次 は︑ 意 圖 的 に行 わ れ て い る︒. 例︑ 兇ば ︑ 巻 六 ﹁移 椅 侮 桐 同 翫 月 ﹂ ﹁龍 騎 龍 背 試梅 花 ﹂ の 二則 は︑ そ れ ぞ れ ﹃百 家 公 案 ﹄ の ﹁判貞 婦 被 汚 之 冤 ﹂ (第. 10 回)︑﹁獲 學 吏 開 國 材 獄 ﹂ ( 第 23 回) を 素 材 に す る︒ ﹃百家 公案 ﹄ で は︑ ﹁判貞 婦 被 汚 之 冤 ﹂ は ﹁判 姦 夫 霧 盗 銀爾 ﹂. (第 9 回 ) と ︑ 姦 夫 と貞 婦 の封 比 を な す よう に配 列 さ れ ︑ 友 人 の許 嫁 を奪 おう と し て碑 女 を 殺 し た 士 人 の話 ﹁獲 學. 吏 開 國 材 獄 ﹂ は︑ 自 分 の妻 を捨 て て 別 の 女 性 と結 婚 し自 分 の妻 を 殺 そ う と し た士 人 の話 ﹁判 停 妻 再 婆充 軍 ﹂ (第 24. 搬.

(15) 回) と 共 に︑ 不 義 を 働 いた 士 人 の話 と し て封 偶 に配 列 さ れ て い る︒ と こ ろが ︑ ﹃龍 圖 公案 ﹄ で は︑ 夫 であ り 許 嫁 で. あ る士 人 に︑ そ の友 人 の悪 辣 な る 士 人 に よ って累 が 及び ︑ 最 終 的 に は包 極 が 夢 に 見 た詩 句 か ら事 件 が 解 決 す る︑ と. いう 内 容 に テ ー マを 求 め て 封 偶 構 成 を と って い る︒ ま た ︑巻 十 ﹁玉椹 経 ﹂ ﹁三 官 経 ﹂ は ︑道 教 の輕 文 を 念 諦 す る こと. に よ って解 厄 が か な う ︑ と いう テ ー マのも と に樹 偶 構 成 を と る︒ し か し︑ ﹁玉福 経 ﹂ の素 材 ﹁鄭 知 府 告 神 除 蛇 精 ﹂. は︑ ﹃律條 公案 ﹄ で は除 精 類 二則 のう ち の 一則 と し て︑ ﹁三官 経 ﹂ の素 材 ﹁曇 代 巡 夢 黄 龍 盤柱 ﹂ は ︑﹃詳 刑 公案 ﹄ で. は威 逼 類 ︑ ﹃律 條 公案 ﹄ で は淫 僧 類 のう ち の 一則 と し て 牧 め ら れ て お り︑ あ く ま でも 妖 蛇 の精 を 除 き ︑ 淫 曾 の 悪 行 を描 く と いう 事 件 の内 容 に よ る分 類 が な さ れ て いる ︒. ﹃百家 公 案 ﹄ と ﹃龍 圖 公 案 ﹄ の封 偶が 大幅 に異 な る の は︑ 四十 八則 も の作 品 が 授 受 さ れ ︑ とも に裁 判 官 が 包 握 で. あ る た め︑ 新 し い組 み 替 え で 新 機 軸 を 出 し て ︑讃 者 の 目 を 一新 さ せ よう と し た ため と 考 え ら れ る ︒. ﹃百家 公 案 ﹄ 以 外 の公 案 小 説 集 か ら の採 録 にも 同 じ こ とが 言 え る︒ つま り︑ 右 に掲げ た ﹁玉 橿経 ﹂ の 場合 ︑ 素 材. の 段階 で は鄭 知 府 が 一切 を と り しき るよ う に描 か れ て いる け れど も ︑ ﹃龍 圖 公 案 ﹄ で は鄭 知 府 に加 え て包 丞 も 登 場. す る よう に仕 立 てら れ て お り︑ ま た︑ ﹁三 官 経 ﹂ の場 合 ︑ 曼 代巡 の断 獄 が 包 極 のそ れ に改 攣 さ れ て いる ︒ いず れも. 翻 案 改 作 し た作 品 であ る にも か かわ ら ず ︑ 新 た な 編 纂 手 段 を 用 い て︑ あ た かも 自 作 のよ う に思 わ せ る 巧 術 であ る︒. ﹃龍 圖 公案 ﹄ の各 作 品 の 題 目も ︑ 原 擦 と な った 作 品 のそ れ と は 異 な って い る︒ 先 行 作 品 で は︑ 作 品 の展 開 を 概 括. 的 に 示 すも のであ る のに樹 し︑ ﹃龍 圖 公 案 ﹄ で は︑ 事 件 の内 容 ︑解 決 の端 緒 を暗 示 す る題 目 に改 攣 し て いる ︒ し か (15 ). も ︑ 趙 景 深 氏 によ って指 摘 され るが ご と く ︑ 同 字数 の詩 句を も って封 句 にな る よ う に配 慮 さ れ て いる ︒ 例 えば ︑ ﹃龍 圖 公案 ﹄ 編纂 の意 圖 (根 ヶ山). 鵬.

(16) 申 凶久 学調 朱. 第 十四號. 巻 四 ﹁耳 畔 有 聲 ﹂ (﹃百 家 公案 ﹄第 訂 回 ﹁阿柳 打 死 前 妻 之 女 ﹂ ) は︑ 本 文 中 の ﹁忽 聞 身眸 有 人 低聲 道 ﹂ に︑ そ れ と. 樹 偶 に配 列 さ れ る ﹁手 牽 二 子 ﹂ (同 第6 回 ﹁判妬 婦 殺 妾 子之 冤 ﹂ ) は︑ ﹁爾 手 牽 引 二 子﹂ に よ り︑ そ れ ぞ れ 事 件 が. 解 決 へ導 か れ る こと を 暗 示 し ︑ 巻 九 ﹁冤戴 帽 ﹂ ( ﹃詳 刑 公 案 ﹄ 謀 害 類 ﹁魏 憧 刑 因 鴉 呪鳴 冤﹂ ︑ ﹃律 條 公 案 ﹄ 同 上 ). は︑ ﹁夢 見 一冤 戴 了 帽 ﹂ か ら 冤 罪 のあ る こ と を察 知 し︑ ﹁鹿 随 璋 ﹂ (﹃詳 刑 公案 ﹄ 槍 劫 類 ﹁呉 推 府 断 僻 山 槍 殺 ﹂ ︑. ( ﹃廉 明 公 案 ﹄ 争 占 類 ﹁金 州 同 剖断 孚傘 ﹂ ) と ﹁隔 刀還 刀﹂ (﹃廉 明 公 案 ﹄ 孚 占. ﹃律 條 公 案 ﹄ 強 盗 類 ︑ 同 上 ) は ︑ ﹁前 有 一璋 ︑ 後 鹿 随 之 ﹂ か ら 犯 人 の姓 氏 を 知 り得 た こと を 暗 示 す る題 目 が 附 さ れ て い る︒ ま た巻 六 ﹁奪 傘 破 傘 ﹂. 類 ﹁武 署 印 判 隔 柴 刀 ﹂ ) の 二 則 は︑ 事 件 解 決 の方 法 を 暗 示 す る 題 目 と な って い る︒ こ の よう な 題 目 の改 攣 も ︑ 作 品 の組 み 替 え と 同 様 に︑ ﹃龍 圖 公 案 ﹄編 者 に よ る 意圖 的 な 操 作 であ る︒. こ のよ う に ︑ ﹃龍 圖 公案 ﹄ の編 者 は︑ 先 行 作 品 集 か ら採 録 し た作 品 を 再編 集 し て︑ 五十 組 の封 偶 を作 る よ う に該. 書 を構 成 し て い る ︒も ち ろ ん︑ 既 成 作 品 を 編 集 し た も のであ る 以 上︑ 當 然 ︑ 作 品 の配 列 ︑ 作 品 と 評語 の間 に は︑ 不. 齊 が 生 じ て いる 場 合も あ る︒ し か し ︑ 基 本 的 に は︑ 一つの主 題 に集 約 さ れ る作 品 を 二 則ず つ配 列 し て主 題 を強 調. し ︑ さ ら に こ の 二 則 ご と に評 語 を 附 し て編 者 の言 説 を 披 涯 す る ︑ と いう 形 態 に攣 り はな い︒ 五. で は 個 々の作 品 の評 語 に は如 何 な る言 説 が 附 さ れ て い る の であ ろう か︒ 次 に作 品 と 評語 と の關 連 に留 意 し な が ら 編 者 の 主張 を検 討 し てみ よ う ︒. 聰.

(17) 巻 八 ﹁江 岸 黒 龍 ﹂ ﹁牌 下 土地 ﹂ は︑ そ れ ぞ れ ﹃百 家 公案 ﹄ の ﹁判 曾 行 明前 世 冤 ﹂ (第 63 回 ) ︑ ﹁失 銀 子 論 五 里 牌 ﹂ (第 32 回) を 素 材 にす る. ﹁江 岸 黒 龍 ﹂. 江 西 の程 永 は 客 商 相 手 に店 を 開 いて い た ︒あ る 日成 都 の江 龍 と いう 僧 が 投 宿 し た ︒ 程永 は江 龍 が 銀 を 持 って い. る の に目 を つけ ︑ これ を 殺 し て銀 を奪 い︑ そ れ を 元 手 に商 責 を し て 大金 持 に な った︒ そ の後 ︑ 程 永 は許 二 の娘. を 婁 り息 子 をも う け た︒ あ る 日息 子 の程 惜 が 程 永 の友 人 嚴 正 の所 に や って來 て︑ 父 は賊 だ から 殺 す ︑ と 刀 を ち. ら つか せ た︒ 嚴 正 は妻 と 相 談 し 包 極 に 訴 え 出 た ︒ さ てそ の夜 ︑ 包 極 は江 を 渡 ろ う と す る と 黒龍 に坐 し た神 君 が. 現 わ れ ︑ 程 惜 が 不省 な のは 二 十 年 前 の こ と に よ る︑ と 告 げ る夢 を 見 た ︒ 翌 日 ︑ 程永 に問 い正 し て 二十 年 前 に僧 を殺 し た こと を 白 状 さ せ罰 し た ︒ ﹁牌 下 土 地 ﹂. 鄭 州 王 家 村 の王 一兄弟 は商 費 に出 かけ る途 中 ︑小 張 村 の五 里牌 で湖 南 の鄭 才 に出 會 った ︒ 王 一兄弟 は 鄭 才が 銀. を持 って い る こと を 知 ると ︑ 彼 を 殺 し て松 の樹 の下 に 埋 め︑ 奪 った銀 は 五里 牌 の下 に埋 め た ︒ 六年 後 ︑ 二 人が. 牌 の 下を 掘 起 し てみ るが 銀 は見 あ た らず ︑ 包 握 に訴 え出 た︒ 包 極 は陳 青 に命 じ て 五 里 牌 に 出 向 か せ る︒ 陳 青 は. 香 銭 を捧 げ て眠 ると ︑ 夢 に 一老 人が 商 人謀 殺 の 一件 を述 べ る︒ 目 が 畳 め て 松 の樹 の下 を 掘返 す と死 膣 と 銀 が 出 て來 た︒ かく し て王 一兄弟 は罪 に伏 し た ︒. こ の 二則 は︑ 人 を 殺 し て 銀 を奪 う が 数 年 後 に獲 毘 し て捉 え ら れ る ︑ と いう 主題 のも と に配 列 さ れ てお り ︑ 評語 に は ﹃龍姻公案﹄編纂 の意圖 ( 根 ヶ山). 塒.

(18) 中國文學論集 次 のよ う に言 う︒. 第十 四號. 嘗 言 莫 道 善 悪 無 報 ︑ 只因 來 遅 來 早 ︒ 今 観 一報 干 二 十 年 後 ︑ 一報 干 六年 後 ︒ 且問 報 的 是 遅 是 早 ︑ 但 是 有 報 遅 亦是 早︒. こ こで は ﹁江 岸 黒 龍﹂ で 程永 の江 龍 謀 殺 の 一件 が 二 十 年 後 に登豊 し ︑ ﹁牌 下 土 地﹂ で王 一兄 弟 の鄭 才 謀 殺 の 一件 が 六年 後 に獲 畳 し た こと を も と に︑ 因 果鷹 報 を説 い て い る︒. ﹁江 岸 黒 龍 ﹂ の素 材 ﹁判 信 行 明前 世冤 ﹂ は︑ ﹃百家 公 案 ﹄ で は︑ ﹁決 淫 婦 謀害 親夫 ﹂ (第 64 回) と ︑ ﹁牌 下 土. 地 ﹂ の素 材 ﹁失 銀 子 論 五 里 牌﹂ は︑ ﹁鎮 大 王小 兇 還 魂 ﹂ (第 31 回) ︑ ﹁枷 城 陛 掌 捉 妖 精﹂ (第 33 回) と 並 べ ら れ て い る︒ 巻 二 ﹁黄 菜 葉 ﹂ ﹁石 獅 子 ﹂ は地 位 のあ る 者 の横 暴 を描 く ︒ ﹁黄 菓 葉 ﹂. 皇 親 の趙 王 は師 官 受 の妻 劉 都 餐 を 誘 拐 し た 上︑ 事 の露 見 を 恐 れ 官 受 を はじ め 師 家 の者 を皆 殺 し に し た︒ 危 く 難. を 逃れ た師 家 の侍 女 張 氏 は事 件 を 官 受 の弟 馬都 に知 ら せ た︒ と こ ろが 開 封 府 に訴 え に 行 った 馬都 も 趙 王 の手 の. 者 に殺 さ れ て し ま った︒ 趙 王 の部 下 が 馬 都 の死農 に黄 菜 の葉 を 被 せ て捨 て に行 く と こ ろ を ︑ た ま た ま包 捧 に見 餐 め ら れ 事 件が 護豊 し た︒ 包 極 は説 計 を 用 いて 趙 王 を 誘き 寄 せ︑ 趙 王を 罰 し た ︒ ﹁石 獅 子 ﹂. 崔 長 者 は 侶侶 に東 街 の 石獅 子が 血 の涙 を 流 し た ら 大洪 水が 起 る と言 われ 大 船 を 作 ら せ た ︒ これ を聞 い た 二 人 の. ㎜.

(19) 屠 夫 は 故 意 に 石獅 子 に猪 の 血を つけ た︒ そ の夜 僧 侶 の豫 言 ど お り に 大洪 水が 起 き ︑ 崔 一家 は大 船 に乗 って助 か. る ︒ 途 中 ︑猿 ︑鴉 そ し て劉 英 を 助 け て やり ︑ そ の後 劉 英 は 崔 家 の養 子 に な った︒ さ て折 しも 國 母 張 皇 太 后が 玉. 印 を無 く し獲 見 し た者 に は官 位 を 授 け ると の鰯 が 出 た ︒ 玉 印 の所在 を 夢 に見 た崔 長 者 は劉 英 を 都 に赴 か せ た ︒. かく て 劉 英 は尉 馬 を授 か ったが ︑ 消 息 を 尋 ね て來 た 崔 長 者 の息 子慶 を捕 え た︒ 崔 長 者 は息 子 か ら 音 信が 無 い の. を 心配 し て い た所 ︑ 飛 來 し た鴉 の足 に結 び つけ ら れ て いた 手 紙 で崔 慶 の捕 え られ て い る こと を 知 り ︑自 ら都 に のぼ り ︑ 包 極 に 訴 え 出 ︑ 劉 英 は 罰 せ ら れ た ︒ こ の二 則 に 附 さ れ る 評 語 は ︑ 特 に ﹁石獅 子﹂ を樹 象 に し たも ので あ る ︒. ︒ 頭顔 如 故 ︑ 補 報 何 時 ︑ 中 心藏 之 ︑ 何 日忘. 近 來 人 家 ︑中 了 一鮎畢 人 進 士︑ 便 要 大 聲呼 広 喝 六 ︑ 學 得 謀 人 田房 子 女 ︑ 那裏 顧 人奮 恩 ︒ 今 日之 爲 包 公 者 誰 ︑ 臆︒ 殺 人 可 恕 ︑ 忘 恩 者 難 恕 ︑ 十 悪 可赦 ︑負 義者 難 赦 ︒ 余 少 時 讃 書 家 祠中 ︑ 一族 叔 將 傭 値 三銭 ︑ 助 余 油 薪 ︒ 余 年 二 旬 奇 之︒此情不報︑願随逝者︒. つま り ︑劉 英 が 崔 長者 の恩 義 に背 い た行 爲 を ︑ 現 實 社會 に お け る 畢 人 進 士 に ま で敷 術 し てお り ︑ ﹁黄菜 葉﹂ の趙 皇. 親 の 行爲 と 比 べ ても ︑ や はり そ の負 恩 を 責 め て いる ︒ こ こ に は ︑編 者 の生 立 の経 験 から 來 た 恣 意 的 な見 方 が 歴 然 と 窺 え る︒. こ の 二 則 は ︑そ れ ぞ れ ﹃百家 公 案 ﹄ の ﹁東 京 判 斬 趙 皇 親 ﹂ (第 48 回) ︑ ﹁東 京 決 判 劉 鮒 馬 ﹂ (第59 回) を 素 材 にし ﹃龍圖公案﹄編纂 の意圖 (根 ヶ山). 卿.

(20) 中國文學論集. 第十四號. て い る︒ ﹃百家 公 案 ﹄ で は︑ ﹁東 京 判斬 趙 皇 親 ﹂ は︑ 曹 國舅 の專 横 を 描 いた ﹁當 場 判 放曹 國 舅﹂ (第 49 回 ) と 繋 偶. を 作 る よう に︑ ﹁東 京 決 判 劉 尉 馬 ﹂は︑ 猿 ︑ 鴉 の報 恩 に主 眼 を置 いて︑ 蝿 の報 恩 を 描 いた ﹁究 亘 蝿 井 得 死 屍 ﹂ (第 60 回) と封 偶 に配 列 さ れ ︑ ﹃龍 圖 公 案 ﹄ と は編 纂 時 の観 黙 が 異 な る︒ 因 み に ﹁東 京 制 斬 趙 皇 親﹂ に は ︑安 遇 時 の手 に成 ると 思 し き 評 語 が 附 さ れ て い る︒. 論 日 ︑劉 都 奏 以貌 美 ︑ 渦 及漏 門 ︒ 趙 王 残 虐 之甚 ︑ 竜 遭 虐 死 ︒孫 文儀 阿 窯 助 勢 ︑ 己 身莫 保 ︑ 而 師 門 良 賎無 遺 ︑ 而. ︒. 留 張 公 抱 五 歳孜 兜︑ 出 外 得 冤 ︑ 蕨 後 冤 伸 恨 雪 ︑ 師 氏 不 絶 ︒ 此 錐 由 包 公之 明︑ 使 師 門 死 者 ︑ 得 以 瞑 目 ︑ 誠 亦 天 公 報 雁 ︑ 歌 取 而 不 昧者. こ こで は ︑ 趙皇 親 の残 虐 な行 爲 も ︑ 包 極 の明 察 によ って 返 報 さ れ た こ と を言 う ︒ ま た︑ 巻 三 ﹁裁 縫 選官 ﹂ ﹁厨 子敬 酒﹂ も 櫂 勢 家 の專 横 を 主 題 と す る ︒ ﹁裁 縫 選 官 ﹂. 山 東 の監 生 彰 鷹 鳳 は妻 許 氏 を 件 って 上 京 し 王婆 の店 に宿 し て いた ︒ 陳 留 の知 縣 に赴 任 す る こと にな った 畢 人 の. 銚 弘 禺 は許 氏 を 見 初 め て︑ 王婆 と 一計 を案 じ これ を 拐 帯 す る ︒ 懸 鳳 は如 何 と も し難 く ︑ 生 計 のた め 郡郎 中 に雇. わ れ た ︒ そ の後 郡 郎 中 の 世 話 で 陳 留 の縣 丞と し て任 官 し ︑ 妻 に再會 でき た︒ かく し て包 極 によ り 挑 弘 禺 と 王婆 は罰 せら れ た︒ ﹁厨 子徴 酒﹂. 孫 都 監 の息 子 仰 は 櫂 勢 家 と し て 人 々に 恐れ られ て いた ︒ 仰 は友 人 張虚 の妻 呉 氏 を 奪 おう と し て︑ 張虚 に毒 を 混. 鵬.

(21) ぜ た 酒 を飲 ま せ て殺 し た︒ た ま たま 陳 州 の鰻 民 を 賑濟 に來 て いた包 極 は︑ 呉 氏 の訴 え を聞 いて自 ら内 偵 し︑ 開. 元寺 の厨 子 の謝 が 毒 を 混 入 し た こと を つき と めた ︒ かく て 孫仰 は謝 と 共 に罰 せ られ た︒ こ の 二 則 に は次 の よう な 評語 を 附す ︒. 帯 一頂 紗 帽 ︑ 便 像 老 虎 進 城 ︒ 陳 留 畢 人 是 也 ︒ 畢 人 如 此 ︑ 進 士 可知 ︒ 或 又 日︑ ﹁如 孫 公 子 者 ︑ 老 虎 進 城 ︑ 就 養 出. 虎 子來 ︒ ﹂ 爲 語 今 之 老 虎 ︑ 擁 頭 看 看 ︑ 有 包 猟 戸 在 ︒ 錐 然 ︑今 天 下之 肯 入虎 穴 以 得 虎 子者 ︑ 有 幾 ︒. こ こ に掲 げ た評 語 も ︑ いず れ も 作 品 で の出 來 事 を 敷 術 し て ︑廣 く 畢 人︑ 進 士 階 層 一般 を 誹 諦 す るも のと 受 け と め ら れ ︑ 現 實 社 會 で包 極 に匹 敵 す る 人 物 の出 現を 希 求 す る 語 と 考 え られ る︒. こ の二 則 は︑ そ れ ぞ れ ﹃百 家 公 案 ﹄ の ﹁配 銚 弘禺 決 王婆 死﹂ (第 25 回) ︑ ﹁答 孫 仰 雪 張 虚 冤 ﹂ (第4 7 回) を素 材 に. し て い る︒ ﹃百家 公 案 ﹄ で は︑ ﹁配 挑 弘 禺決 王婆 死 ﹂ は︑ ﹁秦 氏 還 魂 配 世 美 ﹂ (第2 6 回) と︑ 悪 行 を裁 かれ 充 軍 に. 配 さ れ る 士 人 ︑ と いう 内 容 で 封偶 に配 列 され て い るけ れ ど も ︑ ﹁答 孫 仰 雪 張 虚 冤 ﹂ は ︑ 冤罪 と いう内 容 か ら︑ ﹁除. 悪 僧 理 索 氏 之 冤 ﹂ (第 45 回) ︑ ﹁断 謀 劫 布 商 之 冤 ﹂ (第 46 回) の 二則 と 一括 し て 並 べ ら れ て いる︒ こ のう ち ︑ ﹁答 孫 仰 雪 張 虚 冤﹂ の末 尾 に のみ 附 さ れ る 評 語 に は︑. 論 日︑ 宋 酢 隆 而 賢 輔 出 ︑ 包 公 於 國 有 光 之 語 ︑眞 所 謂商 湯 而高 陶 伊 サ也 ︒ 呉 氏 爲 夫 訴 冤 ︑ 而 得 名節 ︒ 孫某 横 強︑ 而 遭 刑 死 ︒ 此 錐 天 理 之 昭 昭 ︑ 誠 亦 賢 侯 之智 明 也︒ 千 載 之 下︑ 其 盛 也 哉 ︒ と 言 って︑ 貞 烈 な る呉 氏 ︑ ひ いて は︑ 賢 侯 た る包 極 を推 賛 し て い る︒ こ の ほ か にも ︑ 巻 二 ﹁亀 入 塵 井﹂ ﹁鳥 喚 孤 客 ﹂ の評 語 に ﹃龍圖公案﹄編纂 の意圖 (根 ヶ山). 9 2 1.

(22) 中國文 學論集 第 十四號 在包 公 ︑尤 可謂 善 禮 物 情 ︒ と 言 い︑巻 五 ﹁割 牛 ﹂ ﹁騙 馬 ﹂ の評 語 に 今之嚴然坐虎皮者︑知牛乎︑知馬乎︒. と 言う が ご とく ︑ ﹃龍 圖 公案 ﹄ の 評語 に は士 人 階 暦 誹 諺 ︑ 包 麸 賛 美 の語 敷 例 を 見 出 し得 る︒ こ れ ら は 全 て 清官 の到 來 を 願う 獲 言 と 見 傲 し得 よう ︒. 六. と ころ で ﹃龍 圖 公案 ﹄ に お い て裁 判 に重 要 な位 置 を 占 め る べく 名 を 擬 さ れ る 包 握 と は 如何 な る 人物 であ った の か︑ 簡 輩 に鰯 れ てお こう ︒. 包 握 は ︑ 周 知 の ご と く實 在 の 人物 であ り︑ 北 宋 の眞 宗 ・威 平 二 年 ( 九 九 九 ) 盧 州 合 肥 に生 ま れ ︑ 仁 宗 ・嘉 砧 七 年. (一〇 六 二 ) に病 残 し た︒ 事 蹟 は ﹃宋 史 ﹄ (巻 三 一六 ) に 詳 しく ︑ 清 廉 な る 人物 であ った こと. 握 立 朝 剛 毅 ︑貴 戚 宙官 爲 之 敷 手 ︑ 聞 者 皆 揮 之 ︒ 人 以 包 握 笑 比 黄 河清 ︑ 童 稚 婦 女 ︑ 亦 知 其 名 ︑ 呼 日 ﹁包 待 制﹂︒京 師 爲 之 語 日︑ ﹁關 節 不 到 ︑ 有 閻 羅 包 老 ︒﹂ と 記 す が ご と く であ る︒. こ の ほ か包 麸 に纒 わ る逸 話 は ﹃卸 掃 編 ﹄(巻 中 )︑ ﹃夢漢 筆 談 ﹄( 巻 二 二)︑ ﹃墨 客 揮 犀﹄( 巻 一)︑ ﹃凍 水紀 聞 ﹄( 巻九)な ど にも 見 え ︑ ﹃績 夷 堅 志 ﹄( 巻 一)﹁包 女 得 嫁 ﹂ のよ う に. 30 1.

(23) 世 俗傳 包 希 文︑ 以 正直 主 東 嶽 速 報 司 ︒ 山 野 小 民 無 不知 者 ︒ と 記 す も のさ え あ る ︒. こ の よ う に︑ 宋 代 か ら 人 々の筆 に のぼ せら れ た包 極 に つ い て︑ ﹃龍 圖 公案 ﹄ の序 文 にも. 今 世 遇無 頭 没 影 事 ︑ 必 日 ﹁待 包 龍 圖 來 ﹂︒ 童 稚 婦 女 ︑ 亦 知其 名 ︑ 不知 龍 圖 之 爲 官 也 ︑ 亦 不知 龍 圖 之 爲 諦 與 號. 也 ︒ 愈 日 ﹁龍 圖 龍 圖 ﹂︑ 甚 之 列 以 閻 羅 ︑ 比 以 天 師 ︒ 萬 世 而 下 ︑其 謂龍 圖爲 人乎 ︑ 爲 神 乎 ︒ と ︑ 人 々 に敬 仰 さ れ る 清 廉 な る 人 物 に封 し て賛 辭 を 贈 る ︒ ま た ︑ 末 尾 に は︑. 願 爲 民 父 母 者 ︑ 請 焚 香 讃 龍 圖 公 案 一過 ︒ 龍 圖 其 龍 眞 龍 也︑ 其 眞 紳 人也 ︒ 具 知 在 生 爲 龍 圖 ︑ 在陰 爲 閻 羅 ︑ 自 是 實 話︑非誕非誕︒. と言 って︑ 軍 に清 官 と し て で はな く ︑ そ の超 人 的 な 才 能 を も って︑ 陽 間と 陰 間 と を 往 來 し 得 た こと をも 示 し て い る︒ こ の序 文 に は 江 左 陶 娘 元 乃斌 父︑ 題 於 虎 丘 之 悟 石 軒. な る刊 記 が 附 さ れ て いる ︒ 陶 娘 元 に つ いて は 詳 細 を 知 る こ と は でき ぬが ︑ お そ ら く 編 者 であ り 評者 であ ろう と 推 定 される︒. ﹃龍 固 公案 ﹄ に裁 判 官 と し て包 丞 の名 が 擬 さ れ る のは ︑包 径 と いう 人 物 が ︑ 宋 代 以 來 ︑清 官 と し て シ ンボ ル化 さ ﹃龍圖公案﹄編 纂 の意圖 (根 ヶ山). 搬.

(24) 中國文 學論集. 第十 四號. れ た傳 説 的 な 形 象 であ り ︑ 讃 者 の嗜 好 を 基 盤 にも つ ﹃龍 圖 公案 ﹄ と いう 小 説 にと って甚 だ好 都 合 であ った こと に起. 因 し よう ︒ 包 極 の よう に過 去 に存 在 し ︑ 人 々に あ ま ねく 清 官 と し て敬 仰 さ れ てき た 人物 の美 化が ︑ 同時 に當 代 の人. 物 ︑ こ こ で は裁 判 官 と し て民 衆 と 少 な か ら ぬ接 燭 のあ った 士 人階 層 の批 判 に つなが る こと は︑ 言 を侯 つま い︒ 事 實 ︑ 謝 肇 澗 の ﹃五 雑 組 ﹄ に は. 國 家 於 刑 獄 一途 ︑ 倦 倦 留 意 ︑ 不蕾 三講 五覆 ︑ 而往 往 有 負 屈 以 死者 ︒如 往 歳 荷 花 之 冤︑ 甚 與 宋 墨 荘 所 載 沈 香 事 相. 類 ︒ 此 皆 初 問 之 官 ︑ 不能 用 心 細 察 ︑ 而 草 草 下 筆 ︒其 後 途 一成 而 不 可 攣 耳︒ ( 巻 十 四 ︑ 事 部 二). と 言 い︑ 冤罪 が 裁 判官 の 不手 際 に よ って往 々 にし て 生 み 出 さ れ て いた こと を 指 摘 し て いる ︒ 因 み に ︑﹁往 歳 の 荷 花. の 冤 の 如き は︑ 宋 の墨 荘 に載 す 所 の沈 香 の事 と 相 類す ︒ ﹂と は︑ 張邦 基 の ﹃墨荘 漫 録 ﹄( 巻 八) に見 え る ﹁煕 寧 五 年 ︑. 杭 州 の 民装 氏 の妾 夏 沈 香 が ︑嫡 子 を 井 戸 に墜 と し て殺 し た︑ と いう 嫌 疑 を か け ら れ ︑ こ れ を推 當 し た裁 判 官 が みな. 凡 庸 で︑ 夏 沈 香 を 冤死 に 至ら し め た︒﹂ と いう 故 事 と ︑ 近 年 の ﹁荷 花 の 冤﹂ と が 非常 に 類似 し た事 件 であ った こと を指す︒. ︒. ﹃龍 圖 公 案 ﹄ の評語 にも ︑ こう し た 冤罪 に つい て︑ 例 え ば ﹁囎 舌 吐 血﹂﹁咬 舌 拍 喉﹂ (巻 一) に は 造 訟 者 ︑ 恣無 情 之 口︑ 聴 訟者 ︑ 狗 一面 之 詞 ︑ 亦 大 不 足 愚. と 言 って︑ 必ず しも 公 正 な 裁 判 が 行 わ れ な か った こと を ︑作 品 に假 託 し て誹 諺 し て いる ︒. ま た ︑前 節 で見 た 評 語 か ら す れ ば ︑ 皇 親 ︑ 士 人 の登 場 す るも の から ︑ 商 人 や僧 侶 ︑ は て は屠 殺 業 者 の登 場 す る も. のま で ︑ 士庶 を 問 わ ず あ ら ゆ る階 層 の人 物 が 登 場す る話 は︑ ﹃龍 圖 公案 ﹄に牧録 さ れ る に 至 って︑ 現 實 社 會 にも 起 り. 耽.

(25) 得 べき 話 題 と し て扱 わ れ て い る︒ つま り ︑﹃龍 圖 公 案 ﹄ に牧 め ら れ る 作 品 は︑ 現 實 社 會 の諸 相 を 描 爲 し ︑ そ の 背 後. に映 る社 會 の本 質 を 典 型 化 し よ う と し た も のであ る︒ 編 者 は︑ 從 來 の公 案 小 説 集 の作 品 を ︑ 新 た に甥 偶 構 成 で再 編 輯 し な お し て ︑そ れ を 一層 明確 な も の に しよ う と し て いる ︒. 序 文 に ︑﹁民 の父 母 た る 者﹂︑ つま り は士 人 階 暦 ︑ さ ら に具 膣的 に は裁 判 官 に︑ ﹃龍 圖 公案 ﹄ を 讃 ん で ほし い ︑ と. 言 う のは ︑傳 統的 儒 教 倫 理 の 理念 のも と で民 衆 を 教 化 す る 立 場 にあ る士 人 階 層 に封 し て︑ 同 じ 立 場 にあ り なが らも. 背 理 的 要 素 を有 す る者 が 存 在 す る こ とを ︑ 作 品 に腐 敗 し た 士 人 の話 柄 を も 積 極 的 に取 込 む こと に よ って 認識 さ せ︑. 同 時 に封 立 的 批 評 を 加 え て綱 紀 の崩 正 を求 めた た めと 考 え ら れ る ︒ ま た教 化 さ れ る側 の民 衆 には ︑ さ まざ ま の 事件. を 示 し た 上 で ︑ 編 者 の 讃 書 人 と し て の 立 場 から 教 戒 の語 を も って の講 論 を試 み て い る の であ る ︒. "Judge 學 藏本 と 同 一版 と 思 わ れ る ・. Bao's. Hundred. うとする︒因みにこの書影を見 る限り にお いて︑山 口大. いず れ も ︑ 奮 來 の社會 秩 序 の崩 壌 の危 機 に瀕し て いた と 言 わ れ る 明末 にあ って の︑ 理 想 的 な 治 世 の 再來 を 願う 編 者 の警 世 意 識 に源 を 獲 す る こと にほ か な ら な い︒ 註 上村 幸 次 氏編 著 ﹃毛 利 元次 公所 藏 漢籍 書 目﹄ (う九 六 五). Pao‑kung‑an. 公案 小説 生 成 史 の 一. 塒. Lに u占 ng t位 '置 uーku g﹃ ‑ "學 ,﹄O ns, 話 本 研(究 め‑る ﹂n( 集a 列n 東)洋 四r 七i ︑e一. Case. (. ﹀ol. 23‑24. n集 aへ li of﹃丙A i説 a之 t末 ic tudies, ﹁公案 話 本 からJ 公o 案u 小r説 部s小 流 ﹄Sの. 所 載 の ﹃龍 圖 公 案 ﹄ ( 現 山 口大 學 棲 息 堂 文 庫 藏 )には ﹁明 of the 'Criminal Cases of Master Pao' 天 啓 年 刊 ﹂と 記 し ︑'Wolfgang Bauerlig"The Tradition. にはFar. 側 面ー 1・ ﹂ (﹃東 方 學 ﹄ 六 六︑ 一九 八 三 ). 所 藏 の ﹁新 評龍 圖 E岬 a断 s公 t案 er ﹂n ( 内題 Li )brary九 八 二)︑ ﹁ 包 公説 話 と 周新 説 話 f を 書 影 と共 に掲 げ 一六四 0 年 頃 (崇 頑 年 間 ) の版 であ ろ ﹃龍 圖 公案 ﹄ 編 纂 の意 圖 ( 根 ヶ山 ).

(26) ﹃北 京 圖 書 舘善 本 書 目 ﹄ 巻 八集 部下 小説 類 (中 華 書 局 ︑. (﹃書 誌 學 ﹄ 三 ‑ 三 ︑ 一九 三 四 ). 中國文學論集 第 十四號 前 掲 註 ① 上村 氏 書 目 ︒ 阿 英 氏 ﹁明 列 ︽包 公傳 ︾ 内 容 略. 學 圖 書 供 鷹 社 ︑ 一九 六六 ). 一九 五 九)︑ 周越 然 氏 ﹁古 之 到 語 ﹂ (﹃書 書 書 ﹄︑ 香 港 漢. 述 ﹂ ( ﹃小 説 三 談 ﹄︑ 上 海 古 籍 出 版 社 ︑ 一九 七 九 ) にも 著 録 され る ︒ ﹁績 修 四庫 全 書 提 要 ﹂ 子 部 (毫 湾 商 務 印 書 舘 ︑ 一九 七. 伎 藝 雑 考 ﹄︑ 上 雑 出 版 社 ︑ 一九 五 三 ) にお いて ︑ 簡 本 六. 34 1. 経 出 版 事 業 公 司︑ 一九 八 二) に著 録 さ れ る ︒. 十 二則 であ る旨 訂 正 さ れ た ︒. る ︒後 に劉保 縣 氏 ﹁關 子 龍 圖 公 案 ﹂ (李嘱 倉 氏編 ﹃宋 元. 長 澤 規 矩 也 博 士 ﹁日光 山 ﹃天 海 藏 ﹄ 主 要 古 書 解 題 ﹂ (日. Librarystern 前 掲 註 ①Wolfgang B氏 a論 u文 eで rは︑ F a r E a とBibliotheque N 所a 藏t 本iに oつ nい al てe ︑封. 孫 楷 第 氏 ﹃中 國 通 俗 小 説 書 目 ﹄ には ︑簡 本 六 十 三則 にす. 光 山 輪 王寺 ︑ 一九 七 一)︑ 豊 田 穰 氏 ﹁某 山 法 庫 ︹日 光山. 面を 敏 く 以 外 饅 裁 が 酷 似 す る こと から ︑ 爾 絵 堂藏 板 と推. B 氏a 論u文 e︑ r馬 幼 垣 氏 ﹁﹃ 全. 慈 眼堂 ︺ 観 書 録 ﹂ (﹃書 誌 學 ﹄十 六ー 六︑ 一九 四 一). 定 し ︑ 一八0 0 年 前 後 の版 と す る ︒. 二)︑ 前 掲 註 ①Wolfgang. 神 田喜 一郎 博 士 ﹁家 藏 明 版 戯 曲 小 説 目 録 ﹂( ﹃書 誌 學 ﹄ 十. 像 包 公演 義 ﹄ 補 繹 ﹂ ( ﹃中 國 古 典 小 説 研 究 專 集 ﹄ 5 ︑ 聯. 二ー 五 ︑ 一九 三九 ). 中 國 の言語 と 文 化 ﹄︑ 一九 七 二 ). 趙 景 深 氏 ﹁包 公 傳 説 ﹂ (﹃中 國 小 説叢 考﹄︑, 齊魯 書 社 ︑ 一. ﹁龍 圖 公案 に つい て﹂ (﹃鳥 居 久 靖 先 生 華 甲 記念 論集 ー. 大塚秀高氏 ﹁﹃ 油印 明清善本小 説叢書﹄ に つ いてi 蕾 大連圖書舘藏本 の行く 方 1 ﹂(﹃中 哲文學會報﹄七︑. 九 八0 ). ( 補 記 ) 本 稿 を 草 し完 え て後 ︑ 黄 岩 柏 氏 の﹁︽ 龍 圖公 案 ︾ 新論 ﹂. 一九 八 二) に中 國 人 民 大學 所 藏 の油 印 本 の調 査 記 録 が あ. 荘 司 格 一氏 ﹁律 條 公 案 に つい て﹂ ( ﹃東 洋 文 化 ﹄ 復 刊 二. 五) を 讃 む 機 會 を 得 た ︒ 本稿 と重 複 す る 部 分も あ る の. (﹃明 清 小 説 論 叢 ﹄ 第 三輯 ︑ 春 風 文 藝 出 版 社 ︑ 一九 八. る ︒本 稿 では 山 東 大 學 圖書 舘所 藏 の油 印 本 を用 いた ︒. 五 ︑ 一九 七 二)︑花 登 正宏 氏 ﹁明代 通 俗 小 説 ﹃律條 公 案 ﹄. で ︑紹 介 し てお く ︒. の音 注 に つ いて ﹂ ( ﹃均 社 論 叢 ﹄ 一〇 ︑ 一九 八 一) に論 考があ る︒ 長 澤 規 矩 也 博 士 ﹁現 存 明 代 小 説 書 刊 行 者 表 初 稿 (上)﹂.

(27) =. 素. 材. 3. ウ". ‑(. 咬舌拍喉. 鞠 舌吐血. 観 晋菩薩托夢. 阿彌陀佛講和. ○ ( 婚 姻 ) ○ (婚姻 ) O (婚 姻 ). ○ ( 姦 情 ) ○ (強姦 ) ○ (姦 情 ). ○ ( 威逼). ○ ( 人命). 裏 公案 詳刑公呈 篠 公皇 詳情公案 ﹁廉明公案 冨 司公墨 明鏡公案. 4. 鎮匙. 案. 5. 包祇 ○ ( 謀 害) 0 ( 謀 害 ) ○ (謀 害 ). 公. 6. 葛葉 瓢來. ○ (拐 幣 ). 圖. 7. 招帖牧去. ⁝. ○ (騙 害 ). 8. 0 ( 謀害) ○ ( 謀 害 ) ○ (謀 害 ). 爽底船 =. 56. 20. 59. 48. 9. 龍. ︿附表 ﹀. ﹁. 接跡渡 黄菜葉. 10. 11. 石獅 子. ﹃龍 圖 公案 ﹄編 纂 の意 圖 ( 根 ヶ山 ). 供衣. 倫鮭. 12 13 14. 燭.

(28) 二. 巷. 三. 一. ㎜. ﹁. 76. 60 21 52 ・ 77 42 19. 25 47 36 45. ○ ( 人命). 9. 16. ﹁. ︒ ( 族表)}. 試假反試 眞. 一﹁. O ( 人命). 甕套客 陰溝賊 三寳殿. =. 死酒實死色. 巧拙顯倒. 忠節 隠匿. 費 眞靴. 殺假僧. 厨子倣酒. 裁縫選官. 青錠記穀. 血杉叫街. 白塔巷. 臨江亭. 鳥喚孤客. 象 入慶井. 中國文學 論集 第 十四號 15 16 17 18 19 20. 21 22 23 2 4 25 26 27 28 29 30. 31. ︻. お 1.

(29) 巻. 四. 巻. 五. 32 33 34 3 5 36 37 38 39 40. 41 42 43 44 45 46 47 48. 二陰筈 乳臭 不瑚. 二 ㎜ 71 61 69. 妓飾無異 遼東 軍 53 =. =. 一 ⁝. = 二 = 二 =. ︑ ヂ リ. 37. 岳 州屠 久鰹 絶嗣 耳畔有聲 手牽 二予. 50. 67. 港 口漁翁. 蕊. 窓外黒猿. 紅衣婦. 87. 繍履 埋泥. 12. 66. 18. 贔蛙葉. 86. 牙管括地. 烏盆子. ー. 唖 子棒 ﹃龍 圖 公案 ﹄編 纂 の意 圖 (根 ヶ山 ). ・ ○ (腔 表 ). 訂 1.

(30) 巻. 六. 91. 第十 四號. 割牛. 中國文學論集 49 15. 10. 58. 44. 騙馬. 金鯉 玉猫 移椅俺桐同翫月 23. ○ ( 争占). 龍騎龍背試梅花 奪傘破傘. 28. 68. 8. 7 4 ・ 75. 49. 6 5. ・ 94. ○ ( 争占). 地穿. 毒姓走東邊. 斗粟 三升米. 桑林鎭. 獅見巷. 獣公私嬉. 悪師誤徒. 廣花園. 紅牙毬. 瞳刀還刀 93. 50. 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60. 61 62 63 64 65. 33 1.

(31) 七. 巻. 八. 6 6 67 68 69 70. 7 1 7 2 73 7 4 75 7 6 77 78 79. 龍窟 善悪 岡報. 磁. 0 (人 命). 壽夫不均 三娘子. 脇. ○ ( 盗 賊) =. 32 64 11. ○ (争 占). ○ (争占 ). 賊総甲 江岸 黒龍 =. 一 =. 一. 牌 下土 地 木印 石牌 屈 殺英 才 侵冒大功 批書軸 =. ○ ( 威 逼). 味遺囑 箕帯帯 入. ( 槍 劫 ) ○ (強盗 ) O ( 槍 劫). ○ ( 姦 情) こ. ○ ( 謀害) ○ ( 謀害) ○ ( 謀害). す. 房 門誰開 ニ. 80. 兎戴帽. ニ. ー 一. 81. 鹿随狸. ﹃龍 圖 公 案 ﹄ 編 纂 の意 圖 (根 ヶ山 ). 82. ○ (盗 賊 ). 一. 39 1.

(32) 巻. 九. 巻. 十. ○ ( 姦情). ○ ( 姦情). ○ (謀 占 ) ○ (混 争 ) ○ ( 謀占). 一 〇 (姦 情 ). 0 ( 威逼). 0 (拐 帯). 黒癒. 和尚搬 眉. 一. ○ ( 除精) 0 ( 除精). 一. 一 〇 ( 姦情). ﹁. 0 ( 盗賊). ○ (人 命 ). ○ (拐 帯). =. [. =. ○ (拐 幣 ). 西瓜開花 銅 銭播壁 蜘蛛食巻 屍数橡 鬼推磨 栽貯 扮戯 盗 器燈 蓋 床 被什物 玉橿継. O (強盗 ). ○ (謀 占 ) ○ (混 争 ) ○ ( 謀占). =. 青糞. 櫓上得穴. 壁隙窺光. 借衣. 遺柏. 中國文 學論集 第 十四號 8 3 8 4 85 86 87 88 89 90. 91 92 9 3 94 95 96 97 98 99. 40 1.

(33) ㎜. 三官経. ﹁ ○ ( 威逼)﹂ ○ (淫 曾 ) ㎜ つ ( 威逼)﹁. 註 一︑ こ の表 は︑ ﹃ 龍 圖 公案 ﹄ の各 作 品 が ︑ 先 行 小 説 集 のど の作 品 を素 材 に し た かを 示 す も ので あ る ︒ 二︑﹃百家 公 案 ﹄ 欄 の数 字 は︑ 各 作 品 の牧 め られ る ﹁回 ﹂を 示 す ︒. る︒. 三 ︑﹃詳 刑 公案 ﹄ 以 下 の公 案 小 説 集 の欄 にお いて ︑ ○印 の下 の括 弧 内 の表 記 は ︑ 各 作 品 の牧 めら れ る ﹁類 ﹂ ﹁門 ﹂ の標 題 で あ. ﹃龍 圖 公 案 ﹄ 編 纂 の意 圖 ( 根 ヶ山 ). 41 1.

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