判 例 理 論 と し て の 民 主 的 正 統 化 論
⎜
⎜ ド イ ツ 連 邦 憲 法 裁 判 所 判例 研 究
⎜
⎜
田 代 滉 貴
は じめ に 第 1章
判例 理 論 の確 立
⎜⎜ 一 九九
〇 年代 の 三 判決 第1 節 三 判 決 の概 要 第2 節 若 干 の 検討 第 2章
判例 理 論 の転 換 点
⎜
⎜水 利 組合 決 定 第1 節 決 定 の 概要 第2 節 検 討 第3 節 本 章 の まと め 第 3章
水利 組 合 決定 以 降の 裁 判例
⎜
⎜精 神 病 院判 決
・映 画 助成 判 決 第1 節 精 神 病 院判 決 第2 節 映 画 助 成判 決
第3 節 検 討 第4 節 本 章 の まと め 第 4章
総括
⎜
⎜ 判例 理 論と し ての 民 主的 正 統 化論 第1 節 判 例 理 論の 全 体像 第2 節 考 察 第3 節 総 括 お わり に
は じ め に
ドイ ツ連 邦憲 法 裁判 所は これ ま で︑ ある 制度 が 基本 法二
〇条 二 項に 適合 する か 否か を 判断 する 際の 判 断枠 組と して
︑ 民主 的正 統化
︵
d em o k ra tis ch e L eg it im a tio n
︶論
﹂と い う理 論 を用 いて きた
︒ 本稿 は︑ 主要 な 判例 を 手掛 か りと して
︑ ド イツ 連邦 憲法 裁 判所 の裁 判例 に おけ る 同 理論 の分 析・ 検 討を 試 みる もの であ る︒ 以 下︑ 本稿 の問 題意 識︵ 1
︶︑ アプ ロ ーチ
︵2
︶︑ 意義 と 射程
︵3
︶に つ いて
︑そ れぞ れ 詳述 する
︒
1 本 稿 の 問 題 意 識
⎜
⎜ 連 邦 憲 法 裁 判 所 の 裁 判 例 に 着 目 す る 必 要 性
民主的正 統化 論 とは
︑基 本法 二
〇条 二項
⎜⎜ す べて の国 家権 力 は︑ 国民 に由 来 する
︒ 国家 権力 は︑ 国 民に より
︑選 挙
お よび 投票 によ っ て︑ なら びに 立 法︑ 執行 権お よ び裁 判の 特別 の 機関 を通 じて 行 使さ れ る1
⎜︶
⎜を 基点 と して
︑と りわ け 行 政に よる 国家 権 力の 行使 を正 当 化︵
R ec h tf er tig u n g
︶す る ため の法 学的 な 諸条 件を 明ら か にす る理 論で あ る︒ 筆 者は 以 前︑ 大要 次の よ うな 問題 意識 の 下︑ 主要 な論 者 の見 解を 基に
︑ 学説 にお ける 同 理論 の 展開 過程 を検 討 した2
︒︶
す なわ ち
︑ わ が国 の公 法学 で は︑ 参加
︑公 私 協働
︑さ らに は 政策 実現 過程 の グロ ーバ ル化 と いっ た
﹁議 会に よる 意 思決 定と 行政 に よ るそ の実 施︑ と いう 代表 民主 政 の通 常の プロ セ スか ら逸 脱し た 形で 社会 全体 に 関す る 事項 が実 質的 に 決定
・実 施さ れ る3
﹂︶
現象 を どの よ うに 評価 すべ き か︑ とい う問 題 を論 じる うえ で
︑し ばし ば民 主 的正 統 化論 が重 要な 手 掛か りと され て き た︒ もっ とも
︑ 同理 論の 内容 は 論者 の問 題関 心 によ って 多種 多 様で あり
︑そ の 点に 留 意し ない 限り
︑ 実り ある 議論 が で きな い可 能性 が ある
︒ま た︑ 同 理論 を規 定す る 民主 政の 理解 に もか なり のバ リ エー シ ョン があ り︑ こ の点 を看 過す べ き では ない
︒に も かか わら ず︑ わ が国 の公 法学 で は︑ これ らの 点 が十 分に 考慮 さ れな い まま
︑同 理論 が 参照 され てき た よ うに 思わ れる4
︒︶
本稿 は︑ 以上 の 問題 意識 を引 き 続き 前提 とし つ つ︑ 同理 論の 内 容整 理 を行 う一 環と し て︑ ドイ ツ連 邦 憲 法裁 判所 の裁 判 例の 検討 を試 み るも ので ある
︒ 民主 的正 統化 論 の内 容整 理を 行 うう えで
︑学 説 のみ なら ず裁 判 例に も着 目す べ き理 由 は︑ 次の 二点 に ある
︒一 つは
︑ 両 者の 相互 関連 性 であ る︒ 後に 検 討す る通 り︑ 連 邦憲 法裁 判所 が 判決 中で 示し て きた 同 理論 は︑ 学説 上 の議 論に 少な か ら ず影 響を 受け た もの であ った5
︒︶
一方 学説 にお い ても
︑自 説を 補 強す るた めの 論 拠と し て︑ ある いは 批 判の 対象 とし て
︑ 連 邦憲 法裁 判所 の 裁判 例が 積極 的 に参 照さ れて き た︒ この よう に
︑学 説上 の議 論 と連 邦 憲法 裁判 所の 裁 判例 は︑ それ ぞ れ 独立 して 存在 す るの では なく
︑ 互い に影 響を 及 ぼし あい なが ら 展開 して きた 関 係に あ る︒ だと すれ ば
︑同 理論 の全 体 像 を把 握す るた め には
︑連 邦憲 法 裁判 所の 裁判 例 にも 着目 する こ とが 必要 不可 欠 であ ろ う︒ いま 一つ は︑ 民 主的 正統 化論 が 実際 に問 題と な る場 面の 明確 化 であ る︒ 同理 論 の内 容 は非 常に 抽象 的 であ るた め︑ 学 説 上の 議論 のみ に 着目 して いて は
︑同 理論 の適 用 場面 や有 用性 が
︑十 分に 共有 さ れな い 可能 性が ある
︒ この 点︑ 具体 的
な 事例 を前 提と し た裁 判例 を検 討 する こと で︑ 同 理論 が必 要と さ れる 問題 状況 を より 明 確に する こと が でき るよ うに 思 わ れる6
︒︶
2 ア プ ロ ー チ
とはいえ
︑ 民主 的 正統 化﹂ とい う 文言 を用 いる 裁 判例 は 数 多く 存在 し︑ こ れら を 本稿 です べて 取り 上げ る こと は困 難 であ る︒ そこ で 本稿 では
︑民 主 的正 統化 論が 体 系的 に示 され
︑ なお かつ 後の 裁 判例 の リー ディ ング ケ ース とな って い る 主要 な裁 判例 の みを 取り 上げ
︑ そこ から
﹁判 例 理論 とし ての 民 主的 正統 化論
﹂ の全 体 像を 素描 する こ とと した い︒ 具体 的な 考察 の 手順 は︑ 以下 の 通り であ る︒ ま ず︑ 一九 九〇 年 代に 出さ れた 三 つの 判 決を もと に︑ 従 来の 裁判 例に お け る民 主的 正統 化 論の 原型 を示 す
︵第 1 章︶
︒次 に︑ 判 例理 論 の﹁ 転 換点
﹂と さ れる 二
〇〇 二年 それ ぞれ の﹁ 水利 組合 決 定﹂ と
︑そ の後 に出 され た二 つ の裁 判例
︵ 精神 病院 判 決・ 映 画助 成判 決︶ を と り あ げ︑ 判 決 の 内 容を 検 討 す る︵ 第 2
・3 章︶
︒以 上を 踏 まえ
︑最 後に 判 例理 論と して の 民主 的 正 統化 論の 全体 像を 示し
︑そ の内 容に 若干 の検 討 を加 える
︵第 4 章︶
︒
3 本 稿 の 意 義 と 射 程
連邦憲法 裁判 所 の裁 判例 につ い ては
︑わ が国 で もす でに 数多 く の紹 介お よび 検 討が な され てい る7
︒︶
し たが って
︑本 稿 の 試み は︑ これ ら 先行 研究 に屋 上 屋を 架す もの の よう にも 見え る かも しれ ない
︒ しか し なが ら︑ 以下 の 点に かん がみ れ ば
︑連 邦憲 法裁 判 所の 裁判 例を 改 めて 検討 する 意 義は なお も失 わ れて いな いよ う に思 わ れる
︒
第一 に︑ わが 国 の先 行研 究で 主 に取 り上 げら れ てき たの は︑ 一 九九
〇年 代に 出 され た 三つ の判 決と 水 利組 合決 定で あ る
︒一 方で
︑連 邦 憲法 裁判 所は そ の後 も︑ 民主 的 正統 化に 関す る 重要 な判 断を 示 して い る︒ 判例 理論 と して の民 主的 正 統 化論 の全 体像 を 把握 する ため に は︑ こう した 最 新の 裁判 例も フ ォロ ーす る必 要 があ る
︒ 第二 に︑ 学説 と 裁判 例の 両面 で 展開 を続 ける 民 主的 正統 化論 の うち
︑特 に後 者 の動 向 に焦 点を あて る 試み は︑ 先行 研 究 の中 でも 未だ ご くわ ずか にと ど まる8
︒︶
し かし
︑ 上述 した 学説 と 裁判 例の 相互 関 連性 を 前提 とす れば
︑ ドイ ツ公 法学 に お ける 民主 的正 統 化論 の全 体像 を 把握 し︑ その 構 造を 考察 する た めに は︑ 裁判 例 に特 化 した 検討 も必 要 不可 欠で あろ う
︒ より 実質 的な 理 由と して 第三 に
︑わ が国 の先 行 研究 では
︑連 邦 憲法 裁判 所は 水 利組 合 決定 をも って 自 身の 民主 政の 理 解 を︵ より 多元 的 な方 向へ
︶転 換 した
︑と する 見 方が 一般 的で あ る︒ しか し以 下 で述 べ る通 り︑ 同決 定 とそ れ以 前に 出 さ れた 三判 決の 関 係︑ また 同決 定 とそ れ以 降に 出 され た判 決の 関 係の いず れに か んが み ても
︑か かる 理 解の 妥当 性に つ い ては 疑問 の生 じ ると ころ であ る
︒本 稿は
︑裁 判 例の 整理 を通 じ て︑ 水利 組合 決 定の 位 置づ けの 再考 を 試み るも ので あ る
︒ 一方
︑上 述し た アプ ロー チと の 関係 で︑ 本稿 の 射程 は以 下の よ うに 画さ れる
︒ 第一 に︑ 本稿 の 問題 関心 はあ く まで
︑連 邦憲 法 裁判 所の 裁判 例 に現 れた 民主 的 正統 化 論の 構造 を明 ら かに する こと で あ る︒ した がっ て
︑各 裁判 例そ れ 自体 の評 価は
︑ かか る問 題関 心 に関 係す る限 り での み 行う
︒ 第二 に︑ 先述 の 通り
︑本 稿で は 民主 的正 統化 に つい て言 及が な され た裁 判例 の うち 主 要な もの のみ を 取り 上げ るに と ど まる
︒し たが っ て︑ 判例 理論 と して の民 主的 正 統化 論を より 詳 細に 明ら かに す るた め には
︑本 来な ら 他の 裁判 例も 検 討 対象 とし たよ り 包括 的な 検討 が 必要 であ ろう
︒ この 点に つい て は︑ 今後 の検 討 課題 と した い︒
第 1 章 判 例 理 論 の 確 立
⎜
⎜ 一 九 九
〇 年 代 の 三 判 決
連邦 憲法 裁判 所 が民 主的 正統 化 論を 明確 に示 し たと され るの が
︑一 九九
〇年 代 に出 さ れた 三つ の判 決 であ る︵ 以下
︑ こ れら をま とめ て
﹁三 判決
﹂と 呼 ぶ︶
︒し たが って 本 稿で も
︑ま ずこ の三 判決 の内 容 を整 理す るこ とか ら始 め るこ とと し たい
︒具 体的 に は︑ まず 各判 決 の概 要を 簡単 に 示し たう えで
︵第 1節
︶︑ 従 来の 学 説お よび 裁判 例と の関 係 にお ける 三 判決 の位 置づ け と三 判決 に対 す る学 説上 の評 価 につ いて 若干 の 検討 を行 う︵ 第 2節
︶︒
第 1 節 三 判 決 の 概 要
三判決の うち 二 つは 外国 人選 挙 権に 関す るも の であ り︑ いま 一 つは い わゆ る﹁ 労 使 共同 決定
︵
M it b es tim m u n g
︶﹂ に 関 する もの であ る
︒三 判決 につ い ては すで に数 多 くの 紹介
・検 討 があ るの で︑ 以 下で は 各判 決の 事案 の 概要 と判 旨の 要 点 を述 べる にと ど める
︒ 1
シュ レ スヴ ィ ヒ⎜ ホル シュ タ イン 州外 国人 選 挙権 判決 三判 決の うち 一 つ目 は︑ 一定 の 外国 人に ゲマ イ ンデ およ びク ラ イス の代 表機 関 の選 挙 権を 付与 する ラ ント 法の 基本 法 適 合性 が争 われ た 事案 の判 決で あ る︵ 以下
︑ シュ レ スヴ ィッ ヒ⎜ ホ ルシ ュタ イン 州 外国 人選 挙権 判 決﹂ と呼 ぶ9
︶︶
︒シ ュ レ ス ヴィ ッヒ
⎜ホ ル シュ タ イ ン 州 は
︑一 九 八 九 年 二 月 二 一 日 ゲ マ イ ン デ お よ び ク ラ イ ス 選 挙 法 を 改 正 す る 法 律
︵
G es et z zu r A ̈
n d er u n g d es G em ei n d e u n d K re is w a h lg es et ze s v o m 21 . F eb ru a r 19 89 (G V B l. S ch l.- H . S .1 2)
︶に よ り︑ 一 定の 要件10
を︶
満た す外 国人 に対 し て選 挙権 を認 め た︒ これ に対 し
︑ド イツ キリ ス ト教 民 主同 盟︵ CD U
︶お よび キリ ス
ト 教社 会同 盟︵ C SU
︶に 所属 す る連 邦議 会議 員 二二 四人 とバ イ エル ン州 政府 は
︑当 該 法律 の定 めが 基 本法 の諸 規定 に 違 反す るこ とを 申 し立 てた11
︒︶
本判 決は
︑基 本法 二
〇条 二項 およ び 地方 自治 につ い て定 め た二 八条 一項12
に︶
おけ る﹁ 国民
﹂ が ドイ ツ国 籍保 持 者を 意味 して い るこ と︑ 基本 法 二八 条一 項は 有 権者 の範 囲を ド イツ 国 籍保 持者 以外 の 者に も拡 大す る よ うな 立法 権は 認 めら れて いな い こと を理 由に
︑ 上記 法律 が基 本 法に 違反 して い ると 結 論付 けた13
︒︶
本判 決の 第一 の 意義 は︑ 国家 権 力の 担い 手で あ る﹁ 国民
﹂が 具 体的 に誰 を指 す かを 明 示し た点 にあ る
︒す なわ ち︑ ド イ ツ連 邦共 和国 に おけ る国 家権 力 が由 来す ると こ ろの 国民 は︑
ド イツ 国籍 保持 者及 び 基本 法一 一六 条一 項 に従 っ てそ れ に同 置さ れる 者14
﹂︶
によ っ て構 成 され る︒ した がっ て︑
ド イ ツ連 邦共 和国 の国 民へ の 帰属 は︑ 原 則と して 国 籍に より 媒 介さ れる15
﹂︶
︒ また
︑ 基本 法二
〇条 二 項お よび 二八 条 一条 一文 によ れ ば︑
連邦 の 諸ラ ン トに 認め られ る 国家 権力 もま た
︑ 基 本法 一一 六条 一 項の 意味 にお け るド イツ 人に よっ て のみ 担わ れ得 る﹂
︒そ の限 りで
︑ラ ント レベ ルで の正 統 化の 主体 は
﹁そ れぞ れの ラ ント の領 域内 に 生活 する ドイ ツ 人の 地 域的 に限 定さ れた 団 体︑ す なわ ち︵ ラ ント
⎜︶ 国 民︵
(L a n d es
) V o lk
︶﹂ であ る16
︒︶
さら に
︑① 基 本法 二八 条一 項 二文 の文 言︑
② 同規 定の 意味
・ 目的
︑
③同 規定 の構 造
︑④ 選挙 権に 関 す る規 定の 伝統 の いず れに かん が みて も︑ クラ イ ス・ ゲマ イン デ のレ ベル にお け る国 民 は︑ 連邦 やラ ン トに おけ るそ れ と 同様 に解 され な けれ ばな らな い17
︒︶
本判 決の 第二 の 意義 は︑
消 極的 な 形で はあ れ︶ 基 本法 上 の 民主 政原 理の 内容 を明 示 した 点で ある
︒外 国 人 選挙 権に 肯 定的 な論 者は か ねて より
︑ 国民
﹂ がド イツ 国籍 保 持者 に 限 られ ない 根拠 とし て︑ 民主 政は 基本 法一 条一 項 の規 定す る 人間 の尊 厳と の 関係 から
﹁国 家 支配 の正 統化 が 国家 権力 に服 す る者 によ って 行 われ る
﹂こ とを 本質 と する もの と解 さ れ るべ きで ある こ と18
︑︶
また ドイ ツ が事 実上 の移 民 国と なり
︑定 住 する 外国 人の 数 が急 増 して いる こと に 鑑み れば
︑選 挙 人 団の 境界 を従 来 のよ うに 国籍 に よっ て区 切る の は︑ もは や現 状 と適 合し ない こ と19
を︶
主 張し てき た20
︒︶
一 方本 判決 は︑ 次 の よう な判 示に よ り︑ かか る考 え 方を 明示 的に 否定 して いる21
︒︶
すな わ ち︑
基本 法二
〇 条二 項一 文は
︑国 家 権 力の 諸決
定 がそ の都 度の 利 害関 係者 から 正 統化 され なけ れ ばな らな い︑ と いう こと を内 容 とす る ので はな い︒ そ うで はな く︑ 国 家 権力 は︑ 統一 体 へと 結び つけ ら れた 人間 の集 団 とし ての 国民 を その 主体 とし て 持た な けれ ばな らな い22
﹂︶
︒ 連邦 の領 域 内 にお いて 全人 口の う ちの 外国 人の 割合 が著 し く増 加し たた めに 国 民と いう 憲法 上の 概 念が 意味 の変
sw a n d el
遷︵B ed eu tu n g -
︶ を経 験し た︑ とい う見 解は 不適 当 であ る﹂
︒こ う し た見 解の 背景 には
﹁民 主的 政治 的権 利の 所有 者 と特 定の 国 家支 配 に永 続的 に服 する 者と の 一致 を確 立す るこ と が︑ 民 主的 理念
︑と り わ けそ れに 含ま れる 自 由の 思考 に 適合 す る
﹂と いう 考え 方 が存 在す る︒ し かし この 考え 方 は︑
民 主政 の
‖訳 者注
︶出 発 点に お いて は適 切で あ るも のの
︑ド イ ツ 人と して の資 格 と国 家権 力の 所 有者 とし ての 国 民へ の所 属の
﹁ 結び つ き︵
Ju n k tim s
︶﹂ を分 解 する には 至り 得な い︒ そ のよ うな 方法 は 基本 法に よっ て 遮断 され てい る23
﹂︶
︒ 本判 決の 第三 の 意義 は︑ 機能 的 自治 行政 にお け る外 国人 選挙 権 の問 題を 射程 外 とし た 点で ある
︒す な わち
︑基 本法 二 八 条 一 項 二 文 は 機 能 的 自 治 行 政 を 含 む す べ て の 自 治 行 政 に 特 有 の﹁ 構 成 員 的⎜ 参 加
iz ip a to ri sc h e
的︵m it g lie d sc h a ft lic h p a rt -
︶ 要素
﹂ では な く︑ 国家 構造 に おけ る民 主的 正 統化 の基 盤の 統 一性 を保 障し て いる ので ある
︒ した がっ て
︑ 機 能的 自治 行政 に おけ る外 国人 参 政権 の問 題は
︑ 以上 の問 題と は 別異 に検 討さ れ なけ れ ばな らな い24
︒︶
2 ハン ブ ルク 市 外国 人選 挙権 判 決 二つ 目は
︑自 由 ハン ザ都 市ハ ン ブル クに おけ る 区議 会︵
25︶
B ez ir k sv er sa m m lu n g
︶の 選挙 にお い て外 国 人に 選 挙権 を認 め た法 律の 基本 法 適合 性が 争わ れ た事 案の 判決 で ある
︵以 下︑
ハン ブル ク市 外国 人 選挙 権判 決﹂ と 呼ぶ26
︶︶
︒同 市 にお い て は︑ 一九 八九 年 二月 二〇 日区 議 会へ の外 国人 選 挙権 の導 入に 関 する 法律
fu r A u sl a n d er z u d en B ez ir k sv er sa m m lu n g v o m 20 . F eb ru a r 19 89 (H m b G V B l. I, S .2 9)
︵G es et z zu r E in fu h ru n g d es W a h lr ec h ts
︶が 制 定さ れ たこ とに より
︑ 一 定の 要件27
を︶
満た す外 国人 にも 選 挙権 が認 めら れ るこ とと なっ た
︒そ こで
︑シ ュ レス ヴ ィッ ヒ⎜ ホル シ ュタ イン 州外 国
人 選挙 権判 決の 原 告で あっ たC D Uお よび CS U に所 属す る連 邦 議会 議員 二二 四 名は
︑ 上記 法律 が基 本 法の 諸規 定に 違 反 する とし て抽 象 的規 範統 制訴 訟 を提 起し た28
︒︶
本 件に おい ても シ ュレ スヴ ィッ ヒ
⎜ホ ル シュ タイ ン州 外 国人 選挙 権と 同 様
︑上 記法 律の 諸 規定 が基 本法 に 違反 する 旨の 判 示が なさ れて い る29
︒︶
本判 決の 意義 は
︑民 主的 正統 化 論の 骨格 を体 系 的に 示し た点 に ある
︒本 件で は
︑シ ュ レス ヴィ ッヒ
⎜ ホル シュ タイ ン 州 外国 人選 挙権 判 決で 争わ れた 基 本二
〇条 二 項お よび 二八 条一 項 にお ける
﹁国 民
﹂の 意 味 如何 に加 えて
︑ 区議 会﹂ と い う特 殊な 組織 の 活動 がそ もそ も 国家 権力 の行 使 に該 当す るか 否 か︑ とい うこ と が問 題 とさ れた30
︒︶
そこ で本 判決 は︑ 区 議 会が 国家 権力 を 行使 する 主体 で ある こと31
を︶
論証 する 前提 とし て
︑以 下の よう に 基本 法 二〇 条二 項の 民 主政 原理 の内 容 を より 包括 的な 形 で示 した ので あ った
︒ まず
︑基 本法 二
〇条 二項 二文 が 規定 する 民主 政 原理 の基 本構 造 につ いて
︒こ の 規定 は
︑国 民主 権の 原 則を 具体 化す る も ので ある
︒こ の 原則 は︑ 国民 が 国家 権力 を選 挙 およ び投 票と は 別に
︑立 法・ 執 行権
・ 裁判 の特 別の 機 関を 通じ て行 使 す るこ とを 定め る
︒も っと もそ の 際︑ 国民 は︑ こ れら 機関 によ る 国家 権力 の行 使 に実 効 的な 影響 力を 持 つ必 要が ある
︒ し たが って
︑先 述 した 各機 関の 行 為は
︑国 民の 意 思へ と還 元可 能 であ り︑ また 国 民に 対 して 責任 を負 う もの でな けれ ば な らな い︒ この よ うな 国民 と国 家 支配 の間 の帰 責 連関
︵
Z u re ch n u n g sz u sa m m en h a n g
︶は
︑と りわ け議 会 の選 挙︑ 議会 に よっ て 制 定さ れた 法律
︑政 府 が 行う 政治
︵
P o lit ik
︶ に対 する 議会 の影 響 力行 使︑ 並 びに 政府 に 対す る行 政の 原則 的 な 指揮 命令 従属 性 によ って 確立 さ れる
︒⁝
⁝そ し て︑ 民主 的正 統 化の 十分 な量 が 達成 さ れた か否 かは
︑ 制度 的︑ 機能 的
︑ 事 項的
⎜内 容的
︑ そし て人 的正 統 化の 共同 作用
︵
Z u sa m m en w ir k en
︶に よ って 一定 の正 統化 の水 準 が保 障さ れ たか 否 か
︑と いう こと に より 判断 され る
︒憲 法上 の観 点 から して 決定 的 なの は︑ 国家 活 動の 民 主的 正統 化の 形 式で はな く︑ そ の 実効 性で あり
︑ 必要 なの は一 定 の正 統化 の水 準 であ る32
︒︶
続い て︑ 以上 の 基本 構造 から 帰 結さ れる 民主 的 正統 化の 定式 に つい て︒ 行政 機 関や 公 務員 は通 常﹁ 国 民を 出発 点と し
︑
こ れに よっ て選 出 され た代 表を 経 て︑ 国家 任務 を 委託 され た諸 機 関及 び職 務担 当 者へ と 続く 途切 れる こ との 無い 正統 化 の 連鎖 によ って 確 立さ れた
︑間 接 的な 正統 化の 連 関で 事足 りる
﹂︒ そ の際
︑ 職務 担当 者 の任 命が
⎜⎜ 人 的正 統化 を媒 介 す る形 で⎜
⎜国 民 へと 還元 可能 で あり
︑ま た職 務 担当 者自 身の 活 動が 十分 な事 項 的⎜ 内 容的 正統 化を 獲 得し てい る﹂ こ と で︑ 国家 権力 の 行使 は民 主的 に 正統 化さ れる33
︒︶
さら に︑ 民主 的 正 統 化が 必 要 な﹁ 国 家 権 力 の 行使
﹂と は︑
決 定 の性 格 を 有 す る職 務 上 の すべ て の 行 為﹂ で あ る︒ も っと も︑ 職務 担 当者 の任 務が
﹁ 特に 僅か な決 定 内容
︵
ei n e b es o n d er s g er in g en E n ts ch ei d u n g sg eh a lt
︶﹂ しか 持 たな い 場合 は︑ 個々 の 正統 化要 素が 後 退し た民 主的 正 統化 で足 りる34
︒︶
また
︑単 に準 備 的な
︑ ある いは 純粋 に 助言 的な 活動 は
︑ 原 則と して
︑民 主 的に 正統 化さ れ るべ き活 動か ら 除外 され る︒ し たが って その 限 りで
︑ 共同 決定 権限 を 持た ず助 言的 な 任 務を 行う に過 ぎ ない 審議 会や そ の他 の専 門家 委 員会 の活 動は
︑ 国民 によ る民 主 的正 統 化を 必要 とし な い35
︒︶
最後 に︑ シュ レ スヴ ィヒ
⎜ホ ル シュ タイ ン州 外 国人 選挙 権が 示 した 通り
︑連 邦 およ び ラン トレ ベル で の正 統化 の主 体 は それ ぞれ のレ ベ ルで の連 邦あ る いは ラン ト国 家 国民
︵
d a s je w ei lig e B u n d es - o d er L a n d es st a a ts v o lk
︶で ある
︒ま た
︑ 基 本法 二八 条一 項 二文 は︑ ゲマ イ ンデ およ びク ラ イス につ いて も
︑国 民が 正当 化 の主 体 であ るこ とを 規 定し てい る36
︒︶
3 共同 決 定判 決 三つ 目は
︑労 使 共同 決定 につ い て定 めた 法律 の 基本 法適 合性 が 争わ れた 事案 の 決定 で ある
︵以 下﹁ 共 同決 定判 決﹂ と 呼 ぶ37
︶︶
︒本 件で 問題 と なっ た﹁ 職員 協 議会 の 共同 決定 に関 す る法
so n a lr a te v o m 11 . D ez em b er 1 99 0 (G V O B l. S ch l.- H . S . 57 7
律︵G es et z u b er d ie M it b es tim m u n g d er P er -
以下﹁ 共同 決定 法﹂ と 呼ぶ
︶︶
﹂は
︑ 官署
︵
D ie n st st el le
︶ の 勤務 者全 体︑ そ のグ ルー プ︑ ま たは 個々 の勤 務 者に 関係 する
︑ もし くは それ ら の者 に 影響 を及 ぼす す べて の人 事的
・ 社 会的
・組 織的
・そ の他 職場 内の 措置
﹂ につ いて
︑労 働 者の 代 表た る職 員協 議 会︵
P er so n a lr a t
︶ が関 与 すべ きこ とを 定
め てい る︵ 五一 条 一項 一文
︒た だ しい くつ かの 例 外規 定 があ る︶
︒官 署の 長と 職員 協 議会 との 間に 合意 が成 立 しな い場 合 には
︑統 一委 員会
︵
E in ig u n g st el le
︶が 最 終的 に決 定を 行う
︵五 三条 一項
︶︒ こ の 委 員会 は
︑両 者 から 選 ば れ た各 二 名 とそ れら 代表 か ら選 ばれ た一 名 の五 名か ら 構成 され
︑指 示 には 服 さな い︵ 三 項︶
︒ま た同 法は
︑官 署 の措 置 に関 する 職 員協 議会 の発 議 権も 規定 して い る︵ 五六 条一 項
︶︒ 本件 は
︑以 上の よう な共 同決 定 法の 諸規 定が 基本 法二
〇 条二 項と 結 びつ いた 二八 条 一項 に基 づく 民 主政 原理 の要 請 に違 反す るこ と を理 由と して
︑ CD U およ びC SU 所 属の 連邦 議会 議 員 が抽 象的 規範 統 制訴 訟を 申し 立 てた 事案 であ る
︒裁 判所 は︑ 職 員協 議会 の関 与 でき る 事項 があ まり に 包括 的で ある こ と や統 一委 員会 が 最終 決定 権限 を 有し てい るこ と 等を 根拠 に︑ 上 記諸 規定 が民 主 政原 理 に違 反す ると 結 論付 けた
︒ 本判 決の 第一 の 意義 は︑ ハン ブ ルク 市外 国人 選 挙権 判決 で示 さ れた 判断 枠組 の うち
︑ 特に 正統 化の 方 法に 関す る部 分 を さら に具 体化 し た点 であ る︒ す なわ ち一 つ に︑
職務 担当 者 の任 命が
⎜⎜ 人 的正 統化 を媒 介 する 形で
⎜
⎜国 民へ と還 元 可能 であ り︑ ま た職 務担 当者 自 身の 活動 が十 分 な事 項的
⎜内 容 的正 統化 を獲 得 して い る﹂ こと で︑ 国 家権 力の 行使 は 民 主的 に正 統化 さ れる
︒そ して こ のこ とは
︑ 職 務 担当 者が
︑政 府 の委 託 を受 け︑ ま た政 府の 指 揮命 令に 従っ て
⎜⎜ 議 会 に対 する 責任 を 負わ ない 者に よ る意 思決 定に 拘 束さ れる こと な く⎜
⎜活 動可 能 であ り
︑ま たそ れに よ って 政府 が︑ 国 民 及び 議 会に 対し て実 質的 責任
︵
S a ch v er a n tw o rt u n g
︶ を引 き受 ける 立場 に おか れる こ と﹂ を前 提 と す る38
︒︶
二 つ に︑ 職 務担 当者 が﹁ 憲 法に 従い
︑国 民 かあ るい は議 会 によ る選 任︑ あ るい は自 身も 人 的に 正 統化 され
︑ま た 議会 に対 して 責 任 を負 う形 で活 動 する 職務 担当 者 によ る 選 任に よっ て
︑あ る いは そ の者 の同 意に よっ て
︑職 務を 獲得 した 場合
﹂︑ 当該 職 務担 当者 は﹁ 完 全な 人的 正統 化
︵
u n ei n g es ch ra n k te p er so n el le L eg it im a tio n
︶﹂ を有 する
︒完 全な 形 で人 的に 正統 化 さ れた 職務 担当 者 が構 成員 の一 部 にと どま る合 議 制機 関の 場合 は
︑完 全な 人的 正 統化 を 有す る構 成員 の 過半 数が 決定 を 担 う多 数派 を構 成 し39
︑︶
また 人的 に 正統 化さ れた 構 成員 が議 会に 責 任を 負う 形で 活 動す る こと によ って
︑ 民主 的正 統化 が 獲 得さ れ る40
︒︶
三 つに
︑ 国家 権力 は その 作用
︵
F u n k tio n
︶ご と に正 統化 が必 要で ある
︒途 切れ るこ との 無い 正 統化 の連
鎖 によ って 根拠 付 けら れる 正統 化 の連 関は
︑当 該 連関 によ って 正 統化 され た職 務 のみ に 及ぶ ので あっ て
︑そ れ以 上の 効 果 は有 さな い41
︒︶
第二 の意 義は
︑ ハン ブル ク市 外 国人 選挙 権判 決 で示 され た正 統 化の 対象 の理 解 を出 発 点に
︑民 主政 原 理の 観点 に基 づ く 労使 共同 決定 の 憲法 上の 限界 を 次の よう に明 ら かに した 点で あ る42
︒︶
すな わち
︑ 国家 が その 勤務 者に 対 して
︑勤 務者 自 身 の利 益を 擁護 し
︑ま た自 らの 雇 用条 件を 共に 形 成す るた めの 関 与を 容認 する こ とは
︑ 民主 政原 理に よ って 許容 され て い る︒ もっ とも
︑ 国 家権 力に 服す る すべ ての 者は 国 家権 力に 対 し平 等な 影響 力を 持 たね ばな らず
︑そ れ ゆ え︑ 国 家権 力 の一 定の 行使 に 対し て個 別的 に 関わ りを 持つ 市 民に
︑特 別な 共 同決 定権 限が 認 めら れ ては なら ない
﹂ ので あっ て︑ こ の 観点 から 労使 共 同決 定の 限界 が 設定 され なけ れ ばな らな い43
︒︶
具 体的 には
︑
﹁ 重点 と して は︑ 勤務 者 に対 しそ の勤 務 関 係に おい て関 わ り︑ しか し典 型 的に は︑ 市民 に 対す る職 務の 実 施に は関 わら な いか
︑ 取る に足 らな い ほど にし か関 わ ら ない
﹂措 置︑
﹁職 務関 係の 内 部領 域に 関わ り
︑し かし 典型 的 には
︵市 民に 対 する
︶ 職務 の実 施に と るに 足ら ない ほ ど しか 関わ らな い とは いえ ない
﹂ 措置
︑
﹁重 点 とし ては
︵市 民 に対 する
︶職 務 の処 理 に関 わり
︑し か しま た不 可避 的 に 勤務 者の 利益 に も関 わる
﹂措 置 の三 つに 分類 が 可能 であ る︒ こ のう ち につ い ては
︑ 原則 とし て広 範 な協 力が 許容 さ れ
︑統 一委 員会 の 多数 が何 らか の 民主 的正 統化 を 有し てい るな ど の弱 めら れた 民 主的 正 統化 の要 請を 満 たせ ば︑ 統一 委 員 会の 決定 に拘 束 力を 与え るこ と も許 され る︒
につ いて は︑ 拘 束力 を持 った 最 終決 定 権が
︑国 民及 び 議会 に責 任を 負 う 行政 の担 い手 に 常に 留保 され て いな けれ ばな ら ない
︑と する
︒ 最後 に につ い ては
︑ そも そも 議会 及 び政 府に 責任 を 負 わな い機 関に 決 定を 委ね ては な らな い44
︒︶
第 2 節 若 干 の 検 討
以上︑三 判決 そ れぞ れの 概略 を 示し た︒ そこ で 本節 では
︑ま ず 三判 決で 示さ れ た民 主 的正 統化 の判 断 枠組 を素 描し た う えで
︵1
︶︑ 従来 の 学説 およ び連 邦 憲法 裁判 所の 裁 判例 と三 判決 の 関係
︵2
︶︑ 三判 決 が示 した 判断 枠 組に 対す る学 説 上 の評 価︵ 3︶ に つい て簡 単に 検 討す る︒ 1
判断 枠 組の 基 本的 骨格 前述 した 三判 決 の内 容を ごく 大 雑把 にま とめ る と︑ 連邦 憲法 裁 判所 は︑ 民主 的 正統 化 につ いて 以下 の よう な判 断枠 組 を 念頭 にお いて い ると 考え られ よ う︒
①基 本法 二〇 条 二項 二文 に基 づ けば
︑国 家権 力 の行 使は
︑国 民 の意 思へ と還 元 可能 で あり
︑ま た国 民 に対 して 責任 を 負 うも ので なけ れ ばな らな い︒
②民 主的 正統 化 が必 要な
﹁国 家 権力 の行 使﹂ と は︑
決定 の 性格 を 有す る職 務上 の すべ ての 行為
﹂ であ る︒
③民 主的 正統 化 の主 体は
︑連 邦
・ラ ント
・ク ラ イス
・ゲ マイ ン デの 各レ ベル に おけ る
︑ド イツ 国籍 保 持者 の総 体と し て の﹁ 国民
﹂で あ る︒
④民 主的 正統 化 を媒 介す る具 体 的方 法と して
︑ 人的 正統 化と 事 項的
⎜内 容的 正 統化 の 二つ が挙 げら れ る︒ より 具体 的 に は︑ 国民 から 職 務担 当者 へと 連 なる
﹁途 切れ る こと の無 い正 統 化の 連鎖
﹂が 必 要と さ れる
︒ かか
る判 断枠 組 は︑ その 帰結 と して
︑正 統化 の 主体 たる 国民 か ら︑ 議会
︑政 府
︑行 政 各部 を経 て国 家 権力 を行 使す る 者 へと 至る
︑単 線 的な 正統 化の 連 関を 志向 する も ので ある
︒そ し て︑ かか る連 関 から 逸 脱す る者 が国 家 権力 の行 使に 関
与 する ラン ト政 府 内で の労 使共 同 決定 につ いて は
︑国 家権 力に 対 する 国民 の平 等 な影 響 力と いう 観点 か ら一 定の 限界 が ひ かれ てい た︒ 2
従来 の 学説 お よび 裁判 例と の 関係 すで に数 多く の 紹介 があ る通 り
︑学 説で は三 判 決が 出さ れる 以 前か ら︑ 民主 政 原理 の 観点 から 国家 権 力を 如何 に正 統 化 すべ きか
︑と い うこ とが 問題 と され てお り︑ 様 々な 考え 方が 示 され てき た45
︒︶
中 でも 同 理論 の出 発点 と され るの が︑ 民 主 的正 統 化論 を基 本法 二〇 条二 項 のド グマ ーテ ィク と し て明 確 か つ 体 系的 に 整 理 した
E rn st -W o lf g a n g B o ck en fo rd e
の 見解 であ る46︒︶
三 判決 で示 され た 上記 判断 枠組 は
︑彼 の理 論と 相 当程 度類 似す る こと に 加え
︑実 際に 判 決中 で彼 の理 論 が 参照 され てい る こと47
︑︶
さ らに は 彼自 身が 連邦 憲 法裁 判所 第二 部 会の 判事 とし て 三判 決 に関 わっ てい る こと48
も︶
あ って
︑ 彼 の理 論の 強い 影 響力 がし ばし ば 指摘 され る︒ もっ とも
︑連 邦 憲法 裁判 所は こ れま でに も︑ 基 本法 二〇 条二 項 の文 言に 則り
︑ すべ て の国 家権 力は 国 民に 由来 しな け れ ばな らな いこ と
︑当 該国 家権 力 は国 民に よっ て 選挙 およ び投 票 を通 じ︑ また は 三権 の 各機 関を 通じ て 行使 され なけ れ ば なら ない こと を 夙に 強調 して き た49
︒︶
また 上記 の 判断 枠組 の内 容 につ いて も︑ 正 統化 の 対象 を決 定の 性 格を 有す る活 動 に 限定 する 考え 方
︵上 記②
︶や50
︑︶
正統 化の 方法
︵ 上記
③︶ にお け る制 度的
⎜機 能 的正 統 化51
︑︶
さら には 途 切れ るこ との 無 い 正統 化の 連鎖 等 の考 え方52
等︶
は︑ 比較 的早 い段 階 から 判例 上示 さ れて いた とこ ろ であ る53
︒︶
これ ら の点 に かん がみ れば
︑ 上 記判 断枠 組で 示 され た考 え方 自 体は
︑あ くま で 断片 的に では あ るも のの
︑三 判 決以 前 の裁 判例 でも す でに 示さ れて い た こと にな ろう54
︒︶
その 点に おい て
︑三 判決 で示 さ れた 上記 の判 断 枠組 は︑ 関連 す る従 来 の裁 判例 の集 積 の上 に確 立し た も ので ある とも い い得 るよ うに 思 われ る55
︒︶
3 学説 上 の評 価 一方
︑ 三判 決に 対し て は︑
B o ck en fo rd e
の 理論 と併 せ て学 説上 数多 くの 異 論が 提起 され てき た56
︒︶
批判 の対 象 やそ の ト ーン は論 者に よ って さま ざま で あっ たも のの
︑ 特に 批判 が集 中 した のは
︑次 の 二点 で ある
︒ 第一 点は
︑上 記 の判 断枠 組の 構 造そ れ自 体に 関 わる もの であ る
︒す なわ ち︑ 連 邦憲 法 裁判 所の 判断 枠 組で は︑ 結局 の と ころ 人的 正統 化 の連 鎖か ら逸 脱 する か否 かの 審 査の みし か意 味 を持 ちえ ない こ と57
︑︶
そ の点 で︑ 上記 の 判断 枠組 は人 的 正 統化 を偏 重し た もの であ るこ と が指 摘さ れた58
︒︶
第二 点は
︑上 記 の判 断枠 組が も たら す帰 結に 関 する もの であ る
︒学 説で は︑ 上 記の 判 断枠 組が
︵明 言 こそ して いな い も のの
︶階 層制 の 行政 組織 構造 を 理念 型と して い るこ と59
︑︶
しか し
︑階 層制 の組 織 構造 か ら逸 脱す る組 織 が多 数存 在す る 今 日に おい てか か る理 念型 を維 持 する のは 非現 実 的で ある
︑と い うこ とが 指摘 さ れた60
︒︶
もっ とも
︑こ の うち 特に 第一 の 批判 につ いて
︑ 共同 決定 判決 は まさ に人 的正 統 化の 断 絶が 問題 とな る 労使 共同 決定 に つ き︑ 一定 の限 界 の下 これ を許 容 する 判断 を示 し てい た61
︒︶
その 点 で連 邦憲 法裁 判 所は
︑ 人的 正統 化の 欠 損を 一律 に民 主 政 原理 違反 とみ な して いた わけ で はな いこ とに 留 意す る必 要が あ ろう
︒と はい え
︑同 判 決は あく まで 労 使共 同決 定と い う 特殊 な制 度に つ いて 判断 した も ので あり
︑他 の 諸制 度に つい て も同 様に 逸脱 か 許容 さ れる のか
︑上 記 の判 断枠 組か ら な おも 不明 確で あ るこ とは 否定 し 難い
︒
第 2 章 判 例 理 論 の 転 換 点
⎜
⎜ 水 利 組 合 決 定
次に 取り 上げ る のは
︑い わゆ る
﹁機 能的 自治 行 政の 民主 的正 統 化﹂ とい う問 題 が争 わ れた
︑二
〇〇 二 年一 二月 五日 の 決 定で あ る︵ 以 下﹁ 水 利組 合決 定﹂ と呼 ぶ62
︶︶
︒機 能 的 自治 行政
︵
fu n k tio n a le S el b st v er w a lt u n g
︶ と は︑ 特 定 の 任務 の
遂 行を 目的 とし た
︑当 該任 務の 利 害関 係者 によ っ て構 成さ れた 団 体の こと を指 す63
︒︶
本決 定は
︑上 記の 問 題に つい て連 邦 憲 法裁 判所 がは じ めて 判断 を示 し たも ので あり
︑ 民主 的正 統化 論 の展 開過 程に と って 重 要な 意義 を有 す る︒ 本決 定に つい て も︑ すで に数 多 くの 紹介
・検 討 が存 在す る︒ し かし
︑連 邦憲 法 裁判 所 の裁 判例 にお け る民 主的 正統 化 論 の全 体像 を把 握 する ため には
︑ 本決 定の 詳細 な 検討 を避 けて 通 るこ とは でき な い︒ そ こで 本章 では
︑ まず 本件 の事 案 の 概要 およ び本 決 定の 内容 をや や 詳し く紹 介し た うえ で︵ 第 1節
︶︑ 本決 定の 意義 お よび 三判 決と の関 係に つ いて 検討 す るこ とと した い
︵第 2節
︶︒
第 1 節 決 定 の 概 要
1事案 の 概要 本決 定 は︑ ラ イ ン 川 の支 流 で あ る リッ ペ 川 と エム シ ャー 川 の 各 流域 に 所 在 する
﹁リ ッ ペ組 合
︵
L ip p ev er b a n d
︶﹂ と
﹁エ ム シャ ー組 合︵
E m sc h er g en o ss en sc h a ft
︶﹂ につ き︑ それ ぞ れの 組合 の組 織
・所 掌事 務等 を 規律 する ラン ト 法の 諸規 定 の合 憲性 が争 わ れた 事案 に関 す るも ので ある
︒ 両水 利組 合は 二
〇世 紀初 頭に 設 立さ れて 以降
︑ それ ぞれ につ い て規 律す るラ ン ト法 に 基づ き︑ 流域 内 にお ける 水の 管 理 の任 務の ほと ん どす べて を引 き 受け てき た団 体 であ る︒ この うち 前者 の根 拠 法で ある リッ ペ 組合
sg es et z v o m 7. F eb ru a r 19 90 (G V . N W S .1 62 )
法︵L ip p ev er b a n d -
︶ によ ると
︑組 合 は組 合の 領域 に 全部 ま たは 一部 が存 在 する 市︑ ゲマ イ ン デ︑ クラ イス の ほか
︑組 合の 事 業に 利害 関係 を 有す る者64
か︶
ら構 成さ れる
︒水 利 組合 の 機関 は︑ 組合 総 会︑ 組合 評議 会 及 び理 事会 であ る
︵一
〇条
︶︒ この う ち組 合の 主要 な 事項65
を︶
決 定 する 組合 総会 は︑ 上 記 の各 構成 員グ ルー プ か ら派 遣さ れ た代 表︑ およ び 州の 商工 会議 所 から 派遣 され た 一名 の代 表に よ り構 成さ れる66
︒︶
組合 評 議会 は︑ 後述 す る理 事会 の監 督
機 関で あり
︑一 五 人の 構成 員か ら 構成 され る︵ 一六 条一 項︶
︒評 議会 の構 成員 のう ち 一人 は︑ ノ ルト ライ ン
‖ヴ ェ スト フ ァー レン 州の 代 表と して
︑所 轄 の大 臣に よっ て 派遣 され る︒ そ の他 の一 四人 の 構成 員 は︑ 組合 総会 に よっ て選 出さ れ る
︒こ のう ち九 議 席は 法律 上の 規 定に 従っ て組 合 の構 成員 に割 り 当て られ67
︑︶
残り の五 議 席は 組合 の労 働 者の 代表 に付 与 さ れる
︒こ の労 働 者代 表は
︑組 合 の職 員協 議 会の 提案 にし たが って 選出 され る︵ 一 六条 二 項︶
︒そ の 際︑ 組 合 で雇 用さ れ てい る三 人の 労 働者 と︑ 組合 で 雇用 され てい な い二 人の 労働 者 が選 出さ れな け れば な らな い︒ 理事 会 は︑ 理事 長の ほ か
︑少 なく とも 一 人以 上の 構成 員 から 構成 され る
︒理 事会 の構 成 員の うち 一人 が
︑と り わけ 人事 に関 す る事 項お よび 社 会 的な 事項 を管 轄 する
︵一 九条 一 項︶
︒こ の理 事は
︑ 組合 にお ける 労 働者 の職 務上 の 上司 であ り︵ 二
〇条 二項 四文
︶︑ 労 働 者代 表 の過 半数 か ら 反対 を 受 け る こと は 許 さ れな い
︵七 条二 項 二 文︶
︒な お︑ エム シャ ー組 合 の 根拠 法 で あ るエ ム シ ャー 組合 法︵
E m sc h er g en o ss en sc h a ft sg es et z v o m 7. F eb ru a r 19 90 (G V . N W S .1 44 )
︶も
︑組 合の 組 織構 造・ 決定 構 造 につ いて ほと ん ど同 様の 規定 を 定め てい る︒ かね てよ り上 記 の労 使共 同決 定 制度 につ いて 憲 法上 の異 議を 唱 えて いた 両組 合 の構 成 員は
︑組 合評 議 会及 びと りわ け 人 事・ 社会 的事 項 を担 当す る理 事 の選 挙の 無効 確 認を 求め て訴 訟 を提 起し た︒ 当 該事 件 につ いて 上告 を 受理 した 連邦 行 政 裁判 所は
︑一 九 九七 年一 二月 一 七日
︑基 本法 一
〇〇 条一 項68
に︶
基 づい て手 続を 中 止し
︑ 関係 する 諸規 定 の合 憲性 につ い て 連邦 憲法 裁判 所 に判 断を 求め た
︒そ の際
︑連 邦 行政 裁判 所は
︑
①﹁ 重要 な公 共 の利 益 ない し第 三者 の 利害 にか かわ る 事 務﹂ を担 う限 り にお いて
︑機 能 的自 治行 政に も 民主 的正 統化 の 要求 が妥 当す る こと
︑
②両 組合 に委 託 され てい る水 の 管 理の 任務 は︑ ま さに こう した 性 格を 持つ もの で ある こと
︑③ に もか かわ らず
︑ 評議 会 の選 任等 につ い ての 総会 の決 定 が
︑常 に人 的な 民 主的 正統 化を 得 た代 議員 の多 数 によ りな され る こと が法 律上 確 保さ れ てお らず
︑法 律 によ る規 律も こ う した 人的 正統 化 の欠 損を 補償 す る程 度の もの で はな いこ とを 指 摘し た69
︒︶
2 判旨 連邦 憲法 裁判 所 は︑ リッ ペ組 合 法と エム シャ ー 組合 法そ れぞ れ の諸 規定 がい ず れも 基 本法 に違 反し な い︑ とし た︒ 以 下
︑一 般論 と具 体 的判 断︵ 労使 共 同決 定に つい て の判 示部 分︶ そ れぞ れに つい て
︑判 旨 の内 容を 明ら か にす るこ とと し よ う︒
︵1
︶一 般論
︵ⅰ
︶ 従来 の 裁判 例の 整理 まず 本決 定は
︑
①民 主的 正統 化 に関 する 従来 の 裁判 例の 整理 お よび
②基 本法 と 機能 的 自治 行政 の関 係 の明 示の 二点 を 行 う︒ まず
①に つ いて
︑基 本法 二
〇条 二項 およ び 二八 条 一項 の規 定 する 民主 政原 理は
︑ 決定 の性 格を 有す る 職務 上の す べて の行 為﹂ に 対し て﹁ 国家 国 民︵
S ta a ts v o lk
︶た る市 民の 総 体へ と還 元可 能 な民 主 的正 統化
﹂を 要 求す る︒ 従来 の 裁 判例 では
︑ 直接 的 国家 行政 およ び 市町 村行 政﹂ に つき
︑人 的正 統化 と事 項的
⎜内 容的 正統 化の 二点 から 正 統化 の水 準 を判 断す る︑ と いう 判断 枠組 が 確立 して きた
︒ しか しそ の一 方
︑こ れら 裁判 例 は︑
機能 的 自治 行 政の 領域 にお い て︑ 例 えば 外国 人の よ うな
︑国 民に 属 さな い者 の選 挙 権が 憲法 上許 容 され るか とい う 問題 を 別異 に取 り扱 う か否 かに つき
︑ 判 断を 示し てこ な かっ た70
﹂︶
︒ 続い て② につ い て︑ 本件 で問 題 とな って いる 類 の水 利組 合は
︑ 歴 史的 に発 展し
︑ また 憲法 上原 則 とし て認 めら れ た︑ 非
⎜市 町村 自治 行 政の 領域 に属 す るも の﹂ であ り
︑包 括し て機 能 的自 治行 政と 呼 ばれ る もの であ る︒ 基 本法 は機 能的 自 治 行政 とい う概 念 こそ 用い てい な いも のの
︑機 能 的自 治行 政の 組 織形 態を 了知 し
︑ま た 原則 とし て憲 法 と両 立す るこ と を 認め てき た71
︒︶
ま た過 去の 裁判 例72
も︶
︑水 利 組合 を はじ めと する 機 能的 自治 行政 の 諸類 型 につ いて
︑そ の 存在 が憲 法上 許 容 され るこ とを 前 提と して きた73
︒︶
︵ⅱ
︶ 基本 法 二〇 条二 項の 民 主政 原理 と機 能 的自 治行 政の 関 係に つい て 以上 の前 提を 踏 まえ
︑本 決定 は
①基 本法 二〇 条 二項 にお ける 民 主政 原理 と機 能 的自 治 行政 の関 係︑
② 機能 的自 治行 政 へ の任 務移 譲に 関 する 立法 者の 形 成余 地︑
③機 能 的自 治行 政が 拘 束力 を持 つ決 定 を行 う ため の条 件と い う三 つの 点に つ い て判 示す る︒
︵ア
︶基 本 法二
〇条 二項 に おけ る民 主政 原 理と 機能 的自 治 行政 の関 係 まず 本決 定は
︑ 基本 法二
〇条 二 項の 性格 およ び 同項 の規 定す る 民主 政原 理と 機 能的 自 治行 政の 関係 に つい て︑ 次の よ う に判 示す る︒ す なわ ち︑ 基本 法 二〇 条二 項は
﹁ 原理 とし ての 性 格︵
P ri n zi p ch a ra k te r
︶﹂ を有 し
︑ 発 展に 開 かれ てい る
︵
en tw ic k lu n g so ff en
︶﹂ もの であ る︒ した が って
︑ 直接 的 国家 行政 およ びゲ マイ ン デの 自治 行政 とは 別 に︑ 基 本法 二
〇条 二項 の規 定 する 民主 政原 理 は︑ すべ ての 決 定権 者は 欠缺 な く人 的に 民主 的 正統 化 され てい なけ れ ばな らな い︑ と い う要 請か ら逸 脱 する 組織 およ び 国家 権力 行使 の 形態 が存 在す る余 地 を認 めて いる
﹂︒ さら に︑ 同 項の かか る 解釈 を前 提 とす れば
︑ 民主 政 原理 に根 差す 自 治行 政お よび 自律 の原 則を 適切 な 形で 実現 する こと も可 能﹂ とな る︒ す なわ ち︑ 代表 制と して 規定 さ れた 国民 支配 の 枠内 にお いて
︑ 基本 法 は︑ 公的 任務 を実 現す る 際に 利害 関係 者を 関与 さ せる 特別 の 形式 をも 許容 し てい る﹂ ので あ る74
︒︶
続け て曰 く︑
その 限り にお いて
︑ 機能 的 自治 行政 は︑ 民 主 政原 理を 補完 し︑ ま た 強化 する
︒機 能 的自 治 行政 は︑ す べ ての 者の 自由 な 自己 決定 とい う 上位 の目 的に 仕 える 限り にお いて
︑民 主政 原理 を具 現化 す るも の︵
A u sp ra g u n g
︶と し て理 解さ れ得 る
︒民 主政 原理 と 自治 行政 は︑ 基 本法 の 下で は相 対 立し ない
﹂︒ 人 的 正統 化の 連鎖 を基 調と し た従 来の 民 主的 正統 化の 形 式も
︑決 定の 利 害関 係者 が当 該 決定 に 関与 する 機 能的 自治 行政 も︑
自 由な 秩序 にお いて 自 ら決 定す る 個人
︑と いう 両 者を 結び 付け る 理念
︵基 本法 一 条一 項︶
﹂を 実現 す るも ので ある
︒ そ れゆ え︑ 基本 法 二〇 条二 項に お け る民 主政 原理 は
︑法 律に よっ て
⎜⎜ つま り︑ 国 民に よっ て選 出 され
︑そ れゆ え 古典 的 に民 主的 に正 統 化さ れた 議会 と
い う立 法者 の行 為 によ って
⎜⎜
︑ 公的 任務 の処 理 のう ち限 られ た 領域 につ き︑ 自 治行 政 とい う特 別の 組 織形 態が 創設 さ れ るこ とを 許容 し てい るの であ る
︒そ れに より
︑ 一方 で は 利害 関係 者の 実効 的 な発 言権
︵
M it sp ra ch re ch t
︶を 創 設 し︑ 行 政外 部の 専門 的 知識 を活 用す る こと が許 され る
︒他 方で 立法 者 は︑ 自治 行政 と いう 形 で公 的任 務の 遂 行を 委譲 する こ と によ り︑ 事柄 に 即し た適 切な 利 害調 整を 容易 に する
︑と いう 目 的を 追求 する こ と︑ そ れに よっ て自 ら が決 定す る諸 目 的 や諸 目標 のよ り 実効 的な 達成 に 貢献 する こと が 許さ れる75
﹂︶
︒ ただ し︑ 立法 者 はか かる 組織 形 態を 任意 に形 成 する こと が許 され て いる わけ では ない
︒ 立法 者た る議 会 は︑ 特 定の 公 的任 務に つい て 自治 行政 の組 織 形態 を選 択す る 際︑ 一方 では 諸 利益 を適 切に 反 映し た 自律 的な 自治 行 政︑ 他方 では 公 的 任務 の実 効的 な 遂行
︑と いう 基 本思 想と 両立 し ない
︑い かな る 形態 をも 定め て はな ら ない
︒そ のた め
︑自 治行 政単 位 の 組織 構造 につ い ての 規律 は︑ 利 益関 係者 の利 益 が適 切に 考慮 さ れ︑ 個別 の利 益 が優 遇 され ない よう
︑ 十分 な制 度上 の 予 防措 置を も含 ま なけ れば なら な い76
﹂︶
︒
︵イ
︶機 能 的自 治行 政へ の 任務 移譲 に関 す る立 法者 の形 成 余地 次に 本決 定が 言 及す るの が︑ 機 能的 自治 行政 へ の任 務委 譲に 関す る 立法 者の 形成 余地 に つい てで ある
︒曰 く
︑ 自治 行 政の 組織 単位 に 委譲 すべ き任 務 の選 択︑ 及び 構 造や 決定 プロ セ ス⁝
⁝の 規律 は
︑立 法 者の 広い 裁量 に 委ね られ てい る77
︒︶
主 とし て問 題と な るの は︑ 自治 行 政の 組織 単位 に よる 処理 が歴 史 的に 伝承 され て おり
︑ 伝統 的に 実証 さ れて きた
︑一 連 の 任務 領域 であ る
︒国 家自 身が 自 らの 官庁 によ っ て︑ 狭い 意味 で の国 家任 務と し て遂 行 しな けれ ばな ら ない よう な公 的 任 務は
︑委 譲か ら 除外 され る78
﹂︶
︒し か しそ れ以 上に
︑ どの よう な 任務 が狭 義の 国家 任 務と して 国家 に留 保さ れ るべ きか は
︑基 本法 二〇 条 二項 の民 主政 原 理か らは 明ら か とな らな い︒
と りわ け︑ 生 存配 慮 の領 域に おけ る任 務も し くは その 他 の任 務が
︑そ れ らが 公共 の利 益 にと って 本質 的 な意 味を 有す る とい う理 由だ け で︑ 直 ちに 直接 国家 に よっ て処 理さ れ な けれ ばな らな い
︑と いう こと は
︑基 本法 二〇 条 二項 から 読み 取 るこ とは でき な い︒ こ のこ とは
︑本 件 で問 題に なっ て
い る水 の維 持と 保 護と いう 任務 に も当 ては まる79
﹂︶
︒
︵ウ
︶機 能 的自 治行 政が 拘 束力 を持 つ決 定 を行 うた めの 条 件 さら に本 決定 は
︑機 能的 自治 行 政が 拘束 力を 持 つ決 定を 出す た めに 憲法 上必 要 とさ れ る条 件を 以下 の よう に提 示す る
︒ す なわ ち︑
自 治行 政 の組 織単 位を 創 設し
︑ま た詳 細 に形 成す るう えで 立 法者 が有 する 形成 の 自由 は︑
︵立 法 者が
‖訳 者 注︶ 決定 の性 格 を有 する 拘束 的 活動 を自 治行 政 の担 い手 に授 権 する こと も許 容 して い る︒ この こと は
︑限 られ た範 囲 で はあ るも のの
︑ 第三 者︑ つま り 非構 成員 に 対す る活 動に つい て も妥 当す る﹂
︒も っ とも
︑ 当該 決定 権限 は︑ 基本 法二
〇 条二 項に 適合 し てい なけ れば な らな い︒ しか し この こと は︑ 途 切れ るこ との 無 い人 的 正統 化の 連鎖 の 要求 が機 能的 自 治 行政 の領 域に お いて も妥 当す る こと を意 味し な い︒
決定 の 性格 を有 する 拘束 的活 動 は︑ 国 民が 当該 活動 に 決定 的な 影 響力 を持 ち続 け るこ とで 自ら の 自己 決定 権限 を 保持 する が故 に
︑ま たそ の限 り にお い て︑ 機能 的自 治 行政 の担 い手 に 憲 法上 の次 元で 許 容さ れて いる に 過ぎ ない
︒こ の こと は︑ 機関 の 任務 及び 活動 権 限が 国 民代 表に よっ て 議決 され た法 律 の 中で 予め 十分 に 規定 され てい る こと
︑ま た︑ か かる 任務 の実 現 が人 的観 点か ら 民主 的 に正 統化 され た 公務 員の 監督 に 服 する こと を要 求 する80
﹂︶
︒
︵2
︶具 体的 判 断⎜
⎜労 使共 同 決定 の民 主的 正 統化 以上 の一 般論 を 踏ま え︑ 本決 定 は︑ 組合 の組 織 構造 なら びに 決 定構 造お よび 組 合に 対 する 監督 の方 法 が法 律で 十分 に 規 律さ れて いる こ と81
︑︶
労使 共同 決 定の 規定 も民 主 政原 理に 違反 す るも ので はな い こと82
を︶
理由 に︑ リッ ペ 組合 法お よび エ ム シャ ー組 合法 の 諸規 定が 基本 法 に違 反し ない
︑ とし た83
︒︶
具体 的判 断の う ち注 目に 値す る のは
︑労 使共 同 決定 につ いて の以 下 のよ うな 判断 であ る︒ すな わち
︑ 自 治 行政 にお け る労 働者 の共 同 決定 は︑ 公的 任 務の 遂行 に対 す る利 害関 係者 の 関与
︑と いう 民 主政 原 理の 根幹 にあ る 思考 と︑ 原則 と し て符 合す る﹂
︒労 働 者は
︑自 治行 政 の任 務遂 行に 対 して 直 接 的に は責 任を 負わ ず︑ また 構成 員が 負う べき 義 務の 名宛