『就実教育実践研究』第13巻 抜刷
就実教育実践研究センター 2020年 3 月31日 発行
2019年度養護実習の現状と今後の課題
Current Status and Future issues of Practical Training Program at Shujitsu University for Yogo Teachers in 2019
加 納 亜 紀 ・ 森 口 清 美 ・ 森 宏 樹
就実教育実践研究 2020,第 13 巻
2019年度養護実習の現状と今後の課題
加納亜紀(教育心理学科)、森口清美(教育心理学科)、森宏樹(教育心理学科)
Current Status and Future issues of Practical Training Program at Shujitsu University for Yogo Teachers in ₂₀₁₉
Aki KANO(Department of Educational Psychology) , Kiyomi MORIGUCHI(Department of Educational Psychology) , and
Hiroki MORI(Department of Educational Psychology)
抄録
₂₀₁₉年度養護実習の現状を把握するために、実習生に実習環境や実習内容について、実 習校に養護実習に関する考えについて調査を行い、その結果を整理して検討した。
実習生への調査から、実習生を取り巻く実習環境として、原則母校実習である本学養護 実習生は岡山県内に限らず西日本を中心に様々な学校に赴き実習を行っており、校種は小 学校:中学校= ₃ : ₁ の割合で、学校規模は小規模校と大規模校に ₂ 極化していた。約₇₀%
の実習生は学級配当があったが、小学校では各学年に配当されていたのに対し、中学校で は ₁ 年生への配当が多かった。実習内容としては、小学校、中学校ともに、大学で学んだ 知識や技術を実践として確認しやすい「保健だより・掲示物の作成」「特別活動等における 保健教育」「救急処置」「健康観察」は、₆₀%以上が実践していた。一方で、「健康診断」「環 境衛生」「保健情報の収集・整理」「個別保健指導」「健康相談」「保健室経営」は回答にばら つきが見られ、校種や実習時期など様々な要因によって差が生じているものと推察された。
実習校への調査では、『養護教諭自身の状況』、『実習指導の計画や内容・方法』、『実習 生の準備性・態度・行動』、『大学の事前の取組み』についてそれぞれ回答があった。「養護 教諭自身の指導力」や「実習を受入れるための準備性」といった指導する養護教諭自身の 課題の他、養護実習の計画立案に当たっての校内連携の難しさや、実習受入れ時期によっ て実習生に体験させられる実習内容が制限されること、一方で養護教諭としての通常業務 と実習指導とを両立させるための負担感があることなどがあげられていた。また実習生の 態度やマナーについての指導の在り方や大学としての実習校と連携をとるための体制作り についての示唆を得た。
キーワード 養護教諭 養護実習 現状 課題
Ⅰ はじめに
近年の教員養成を取り巻く大きな動きとして、₂₀₁₅年₁₂月に、教員の資質向上
₁ )、チー
ム学校
₂ )、地域と学校の連携・協働
₃ )に関する ₃ つの答申が出された。₂₀₁₆年 ₁ 月には、
この ₃ つの答申を強力に推進するために「次世代の学校・地域」創生プラン
₄ )が策定され た。これらの答申を受けて、教育公務員特例法、教育職員免許法、独立行政法人教員研修 センター法、学校教育法、地方教育行政法などの一部が改正され、それぞれ₂₀₁₇年 ₄ 月よ り施行された。これに伴って、大学においても様々に取組みや対応の必要に迫られている。
特に、教育実習については、₂₀₀₆年 ₇ 月の中央教育審議会答申
₅ )で、教職課程での質的 水準の向上に向けた具体策の ₁ つとして、教育実習の改善・充実が提言された
₂ )。その中 で、教育実習は、学校現場での教育実践を通じて、学生自らが教職への適性や進路を考え る貴重な機会であるという従前からの考え方には変わりないものの、課程認定大学と学校、
教育委員会が共同して次世代の教員を育成する機会として、大学には、学内外の関係者・
関係機関と共同・連携しながら責任を持って指導に当たること、教職課程全体の中で体系 的な教育実習の実施に留意すること、教育実習と教職実践演習との関係を整理することが 求められた。さらに、学生への指導にあたって、履修に際して満たすべき到達目標をより 明確に示すとともに、事前に学生の能力や適性、意欲等を適切に確認すること、教育実習 に出さないという対応や実習の中止も含め、適切な対応に努めること、母校実習について はできるだけ避ける方向で見直しを行うことが言及されている。
さらに前述の₂₀₁₅年の中央教育審議会答申
₁ )では、教育実習は ₅ 単位のままで、うち ₂ 単位は学校インターンシップに充ててもよいとするなど、学校インターンシップの導入も 含めて、今後の教育実習の在り方について提言がなされた。
これらの施策が行われる中で、今日の教育実習は、完成された教員を送り出すための準 備教育の総仕上げとしての意味合いが大きかったかつての教育実習とは異なり、一度に完 結するものではなく、継続的・部分的に大学での学びを学校現場で確認する実践的授業科 目の一つと捉えられるようになってきている
₆ ) ₇ )。
一方、学校現場では教員の大量退職・大量採用の時代を迎え、ベテラン教員が若手教員 に置き換わってきていることや少子化による学校の統廃合、学校規模の縮小の進行によっ て、実習の指導ができる中堅・ベテラン教員が不足している状況が生じている。養護実習 の場合は、さらに養護教諭の多くが各学校 ₁ 名配置の ₁ 人職であることから、異動直後で あったり、新規採用者や臨時教員であったりしても実習指導者となる可能性があるが、そ れにも関わらず指導者研修が十分に行われているとは言えない。実際に実習指導にあたる 養護教諭の負担はかなり大きい状況がある。
就実大学教育心理学科(以下、当学科)が開設され、養護教諭養成課程をおいて₂₀₁₉年 度で ₉ 年目、養護教諭を学校現場に送り出すようになって ₅ 年が経過しようとしている。
以上のような教員養成を取り巻く状況の変化に対応し、地域で活躍する心を支えケアでき る養護教諭を育成し続けていくために、当学科での養護教諭養成の現状を整理・総括した 上で、今後の課題を明確にし、実現可能で継続可能な取組みにつなげていく必要がある。
そこで、₂₀₁₉年度の養護実習の現状を把握するために、養護実習終了後に二つの調査を
実施したので、その結果を報告する。一つは、₂₀₁₉年度に養護実習を履修した学生(以下、
実習生)を対象に、実習校や保健室の状況も含めた実習生を取り巻く実習環境及び実習生 が体験した実習内容を、もう一つは、実習校を対象に、実習指導の計画・内容・方法と実 習生の学習の準備性・態度・行動についての考えを調査したものである。
Ⅱ 大学カリキュラム上の養護実習の概要
1 養護実習及び養護実習指導のカリキュラムデザイン
当学科の「養護実習」は、大学 ₃ 年次の ₉ ~₁₀月にかけて、母校の小学校もしくは中学 校を原則実習校として約 ₄ 週間行うことになっており、 ₄ 単位を設定している。「養護実 習」の目標は、①学校の教育計画や教育環境の実態及び児童生徒の生活を知る、②多様な 児童生徒との関わりを通じて、児童生徒の心身の特性や健康問題を理解する、③養護教諭 としての基礎的・基本的な教育実践力を身につける、④教育目標、教育課程、学校保健計 画、学校安全計画などと保健室経営の関係を理解するという ₄ つを設定し、事前に大学と して実習校向けの実習要項を作成・配布した上で、各実習校の実情に応じた計画の立案・
実施・評価を依頼している。
学校現場で養護実習を行うに当たっては、学内での事前事後指導にあたる「養護実習指 導( ₁ 単位)」を必ず履修する必要がある。「養護実習指導」は、「養護実習」をまたいで 開講し、実習前(以降、事前指導)に ₁ 授業₉₀分として₁₁回、実習後(以降、事後指導)
に ₄ 回の計₁₅回の構成で現行のカリキュラムでは授業を展開している。授業の概要は表 ₁ に示すとおりである。₂₀₁₉年度の履修者は₄₂名であった。
表 1 .授業概要
科 目 名 養護実習指導 養 護 実 習
免許法上の
位置づけ 教職に関する科目「養護実習」
単 位 1 単位 4 単位
対 象 教育心理学科で教職課程を選択した学生 開講時期・期間・
授業回数など 事前指導; 3 年次(前期)11回
事後指導; 3 年次(後期)4 回 3 年次( 9 ~10月)4 週間
履修人数 42名
2 2019年度養護実習指導の授業内容と展開
前述したように、養護実習指導は、 ₁ 科目を養護実習の事前(₁₁回)と事後( ₄ 回)に
分けて開講している。事前指導では、①養護実習の意義や内容を理解し、養護実習に備え
具体的な準備ができる、②養護実習への心構えや教師としての自覚を持ち、実習の目標を
明確にできる、③演習に積極的に取り組み、養護活動の基本的な知識のもとで実践ができ
るという ₃ つを目標に、養護教諭に最低限必要とされる基礎基本の定着を図りつつ、養護
実習に向けた具体的な備えができる内容としている。また、本学は、原則母校実習として
おり、実習生個々に必要となる実習校や実習校を所管する教育委員会との文書を大学が取
り交わした上で、実習生は実習に向かうことになる。養護実習に関わる事務手続きに関し ても、授業時にその流れを説明し、実習生自身に手続きを一部担わせることにより、実習 生の社会人としての自覚を促し、見通しを持って行動できるような取組となるよう配慮し ている。事前指導の内容と担当者は、表 ₂ に示すとおりである。
事後指導は、①養護実習での学びを整理し、的確な発表にまとめることができる、②養 護実習報告会の企画・運営を行うことができる、③今後の課題を明確にし、目標を設定で きるという ₃ つを目標に実施している。養護実習の成果を報告にまとめ発表することに よって実習での学びを他者と共有して総括するとともに、今後の課題を明確にできること、
実習生自ら報告会を企画・運営することにより、養護教諭としての企画力・運営力を養う ことをねらいとして行っている。事後指導の内容と担当者は、表 ₃ に示すとおりである。
表 2 .事前指導の内容と展開
回 授 業 内 容 授業担当
1 オリエンテーション (授業の学修方法、養護実習の目的と内容、実習までの事務手続きの流れ) 加納 2 就実中学・高校における学外授業に関する概要の説明と諸注意、検診記録練習 加納 3 就実中学・高等学校における学外授業 (健康診断運営への参加/主として会場の場の設定及び検診の記録) 加納・森口
4 学外授業における学びの振り返り 加納
5 養護実習における目標の設定(実習の抱負) 実習記録の書き方について 加納 6 実習校との事前打ち合わせについて 実習における留意事項と心構え、服装・携行品の確認 加納 7 模擬保健指導の実施と評価
(各自10分の保健指導案を考え、割り当てられた制限時間で実施・評価する) 加納・森口・森 8
9 養護実習に向けた心構えと準備、児童生徒との関わり方ー指導養護教諭から- (ゲストスピーカー;岡山市指導主事) ※森口
10 事後指導の進め方について お礼状の書き方 加納
11 学校環境衛生検査の測定演習、測定結果の評価と事後措置 ( 2 グループに分かれて実施) 森 表 3 .事前指導の内容と展開
回 授 業 内 容 授業担当
1 実習報告会実施に関する担当者会議 (各担当ごとに集まって、会の円滑な実施のための打ち合わせを行う) 加納・森口・森
2 養護実習報告会の実施・運営・発表 加納・森口・森
3
4 振り返りと反省、今後の課題の明確化 加納
Ⅲ 2019年度養護実習の現状 1 対象と方法
対象は、₂₀₁₉年度に養護実習指導及び養護実習を履修した₄₂名のうち、実際に養護実習
に行くことができた学生₄₀名( ₃ 年生₃₇名、 ₄ 年生 ₃ 名)である。
調査は、実習生が体験した養護実習の内容だけではなく、実習生を取り巻く実習環境を 把握するために、実習校や保健室の状況も含めて調査した。調査内容は、実習校の状況と して校種、児童生徒数・クラス数、特別支援学級の児童生徒数・クラス数、教員数を、保 健室の状況として養護教諭の複数配置の有無、 ₁ 日あたりの保健室来室者数、保健室来室 児童生徒の主訴(内科 ₈ 項目、外科 ₈ 項目)ごとの対応頻度を調査した。養護実習の状況 としては、学級配当の有無と配当学年、養護教諭の職務として養護実習中に体験できると 考えられる養護実習内容₁₁項目(保健室経営、健康観察、健康診断、救急処置、健康相談、
個別保健指導、特別活動等における保健教育、教科における保健教育、保健だより・掲示 物の作成、環境衛生、保健情報の収集・整理)の実習形態、さらに実施した保健教育の概 要として題材・テーマ、対象、指導時間、指導単位、指導の機会、指導回数を調査した。
調査方法として、質問紙は、養護実習の事前指導最終授業回に、事前配布し、養護実習 を終えた後に各自で回答、提出してもらった。倫理的な配慮として、質問紙配布の際に、
調査の趣旨や意義、データ活用の範囲についての説明をした上で実施した。
2 結果と考察
₁ )実習校の状況
実習校が所在する都道府県の分布は、表 ₄ の通りである。岡山県が最も多く全体の₄₀%
を占めていた。次いで、広島県(₁₇.5%)、愛媛県(₁₂.5%)の順で多く、西日本を中心に 実習校が分布している状況であった。
実習した校種は、小学校₇₅%(₃₀/₄₀校)、中学校₂₅%
(₁₀/₄₀校)で、小学校での実習が多かった。実習校の平 均児童生徒数は、全体で₄₃₀.7±₂₇₁.1名で、小規模校₄₅%
(₁₈/₄₀校)、中規模校₁₇.5%( ₇ /₄₀校)、大規模校₃₇.5%
(₁₅/₄₀校)で、実習校は、小規模校か大規模校かで ₂ 極 化していた。実習校の属性については、表 ₅ にまとめた。
表 5 .実習校の状況
N=40(100%) 全 体 mean ± SD
N=30(100%) 小学校 mean ± SD
N=10(100%) 中学校 mean ± SD 実習した校種
小学校
中学校 30 (75.0)
10 (25.0) 30 (100)
0 (0.0) 0 (0.0)
10 (100)
実習校の児童生徒数 小規模校(~299人)
中規模 (300~499人)
大規模 (500人~)
430.7 ± 271.1 18 (45.0)
7 (17.5)
15 (37.5)
427.4 ± 268.6 13 (43.3)
6 (20.0)
11 (36.7)
440.7 ± 278.2 5 (50.0)
1 (10.0)
4 (40.0)
実習校のクラス数 16.6 ± 9.7 17.5 ± 9.5 13.8 ± 9.7 特別支援学級の児童生徒数 18.8 ± 14.6 21.4 ± 15.1 11.2 ± 9.3 特別支援学級のクラス数 3.9 ± 2.1 4.2 ± 2.1 2.9 ± 1.6 教員数(養護教諭を含む) 41.7 ± 17.6 42.3 ± 18.2 39.9 ± 15.5
表 4 .養護実習を行った都道府県 都道府県 N=40(100%)
岡山県 16 (40.0)
広島県 7 (17.5)
愛媛県 5 (12.5)
香川県 3 (7.5)
高知県 2 (5.0)
鹿児島 2 (5.0)
島根県 2 (5.0)
沖縄県 1 (2.5)
鳥取県 1 (2.5)
徳島県 1 (2.5)
₂ )保健室の状況
実習校の保健室の状況として、養護教諭が複数配置されていた実習校は、全体で₁₇.5%
( ₇ /₄₀校)であり、小学校は ₄ 校、中学校 ₃ 校だった。
₁ 日あたりの平均保健室来室者数は、全体で₁₄.1±₁₀.2名で、小学校は₁₅.2±₁₀.5名、中 学校は₁₀ . 9±8 . 2名で、小学校の方が保健室を利用する子どもが多かった。
保健室に来室する児童生徒の内科的な主訴として、小学校(図 ₁ )では、「だるい・しん どい」で₅₃.3%(₁₆/₃₀名)、「腹痛」で₄₀%(₁₂/₃₀名)、「気持ち悪い」で₃₆.7%(₁₁/₃₀名)
の実習生が、頻繁にあったと回答した。中学校(図 ₂ )では、「頭痛」で₅₀%( ₅ /₁₀名)、
「だるい・しんどい」₅₀%( ₅ /₁₀名)、「腹痛」₅₀%( ₅ /₁₀名)、「熱中症」₅₀%( ₅ /₁₀名)
の実習生が頻繁にあったと回答した。
保健室に来室する児童生徒の外科的な主訴として、小学校(図 ₃ )では、「擦り傷・切 り傷」で₈₆.7%(₂₆/₃₀名)、「鼻出血」で₃₆.7%(₁₁/₃₀名)、「頭部・眼部以外の打撲」で
₃₀%( ₉ /₃₀名)の学生が頻繁にあったと回答した。小学校・中学校ともに「擦り傷・切 り傷」での来室が最も多かったが、中学校(図 ₄ )では、小学校と比べ比較的軽微なケガ での来室は少なくなっていた。
実習が ₉ 月のまだ暑い時期で、運動会と重なっている実習校が多かったため、運動会の 練習や運動会当日にかけて、一時的にケガや熱中症での保健室の来室が増加したとの回答 もあった。
図 1 .小学校保健室来室児童の主訴(内科) 図 2 .中学校保健室来室生徒の主訴(内科)
頻繁にあった 時々あった たまにあった ほとんどない 1
1 4
9 10
11 12
16
1 4
7 6
16 7
11 6
5
15 13
6
1 9
7 4
23 10
6 9
3 3 4
0% 20% 40% 60% 80% 100%
アレルギー様症状 感染症様症状 発熱 熱中症 頭痛 気持ち悪い 腹痛 だるい・しんどい
内科的主訴
頻繁にあった 時々あった たまにあった ほとんどない 1
2 3
5 5 5 5
1 1
2 3
2 3 3 4
3 4
5 3 1
2 1
6 4
1 1 2
1 1
0% 20% 40% 60% 80% 100%
アレルギー様症状 感染症様症状 発熱 気持ち悪い 熱中症 腹痛 だるい・しんどい 頭痛
内科的主訴
図 3 .小学校保健室来室児童の主訴(外科) 図 4 .中学校保健室来室生徒の主訴(外科)
頻繁にあった 時々あった たまにあった ほとんどない 頻繁にあった 時々あった たまにあった ほとんどない 1
4 4
9 11
26
4 7 7
3 6
4
9 10
12 13 11
9
21 30
15 7
6 7
4
0% 20% 40% 60% 80% 100%
眼部打撲 骨折 突き指 ねんざ 頭部打撲 頭部・眼部以外の打撲 鼻出血 擦り傷・切り傷
外科的主訴
1 1 1
5
1 2
5 1
2 5
3
1
3
3 6 4
2 2
9 9
5 2 2 3
2
0% 20% 40% 60% 80% 100%
眼部打撲 骨折 頭部打撲 鼻出血 突き指 頭部・眼部以外の打撲 ねんざ 擦り傷・切り傷
外科的主訴
以上から、時候や学校行事の影響を受けて、保健室の来室頻度や子どもの主訴の内容が 変化するため、校種だけでなく実習時期によっても体験できる救急処置の内容は変わると いえる。
₃ )養護実習の状況
養護実習の状況として、実習生が学級に配当された割合は、全体で₆₇.5%(₂₇/₄₀名)
であり、小学校は₆₆.7%(₂₀/₃₀名)、中学校₇₀%( ₇ /₁₀名)と校種による違いはなく、お よそ ₇ 割が学級に配当されていた。実習生が配当された学年は、小学校は、 ₁ 年生に₂₀%
( ₄ /₂₀名)、 ₂ 年生₁₀%( ₂ /₂₀名)、 ₃ 年生₂₅%( ₅ /₂₀名)、 ₄ 年生₂₀%( ₄ /₂₀名)、 ₅ 年生₁₅%( ₃ /₂₀名)、 ₆ 年生₁₀%( ₂ /₂₀名)で、中学校は、 ₁ 年生に₅₇.1%( ₄ / ₇ 名)、
₂ 年生₂₈.6%( ₂ / ₇ 名)、 ₃ 年生₁₄.3%( ₁ / ₇ 名)であった。小学校では、どの学年にも まんべんなく配当されていたが、中学校では ₁ 年生に配当されていることが多かった。
実習生が体験した実習内容で、「実習できた」と₆₀%以上が回答したのは、小学校、中 学校ともに「保健だより・掲示物の作成」「特別活動等における保健教育」「救急処置」「健 康観察」だった。これらの実習内容は、大学で学んだ知識や技術を実践として確認しやす い内容といえ、先行研究
₇ )とも共通する結果を示した。また、「特別活動等における保健 教育」については、実際にできなかったという回答する実習生もいたが、教科における保 健教育と合わせて見てみると全員が何らかの保健教育に取り組んでいた。
一方で、「健康診断」「環境衛生」「保健情報の収集・整理」「個別保健指導」「健康相談」
「保健室経営」は回答にばらつきが見られた。「健康診断」は、学校行事として年間計画に 位置づけられているため、実習時期がずれると体験しづらい内容であると考えられる。「保 健室経営」「健康相談」は、実習校独自の実情や児童生徒の実態等を踏まえて、長期的視 野に立って多角的に活動や支援が行われるため、限られた実習期間中に実習生が実際に体 験するというよりも講話や観察によって学ぶことが多い内容といえる。
ただ、「環境衛生」「保健情報の収集・整理」「個別保健指導」は、比較的実習期間中に 取り組みやすい実習内容と考えるが、実際には「実習した」と回答した実習生は₅₀%以下 で校種による差も大きかった。
図 5 .養護実習の内容(小学校) 図 6 .養護実習の内容(中学校)
6 7
11 12
14 16
20 20 24
25 26
9 3
10 4
2 3
6 4
1
3 8
2 4
7 3
6 2 1
1
12 9
7 9
4 7
1 4 2
1
3 1 3 4
2 1
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
保健室経営 健康相談 環境衛生 保健情報の収集・整理 個別保健指導 教科における保健教育 健康観察 健康診断 救急処置 保健だより・掲示物 特別活動等における保健教育
実習できた 参加できた 観察できた 話を聞けた できなかった 実習できた 参加できた 観察できた 話を聞けた できなかった
1 2
3 5 5 5 5 6
7 8
9
2 1
1 1 2
3 2
1 1
1
4 4 4
2 2
2 2
3 3 2
3 2
1 2 2 1
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
保健室経営 健康相談 個別保健指導 健康診断 教科における保健教育 保健情報の収集・整理 環境衛生 健康観察 特別活動等における保健教育 保健だより・掲示物 救急処置
養護教諭の職務や活動の対象は広い。養護教諭の職務は、救急処置、健康診断、疾病予 防などの保健管理、保健教育、健康相談、保健室経営、保健組織活動に大別される
₈ )が、
養護教諭は、これらの職務内容を年間通して多角的に展開している。一般教諭と異なり、
学級単位に限らない集団あるいは個人にアプローチしており、校種、学校規模や学校行事、
時候によっても活動の展開が大きく変わってくる。今回の実習内容に関する調査項目は、
養護教諭の職務内容に基づいて設定したが、 ₁ 年間のうち特定時期を実習期間としても、
養護教諭の職務の一部を切り取った体験になるのは否めないのかもしれない。
実習生が行った保健教育について、 ₁ 回あたりの平均指導時間は、小学校₂₉.3±₁₃.4分
(平均値± SD 、以下同じ)、中学校₂₉ . 8±₁₈ . 6分であった。₄₅分もしくは₅₀分の授業を行う こともあれば、₁₀分以内のミニ指導を行うこともあるなど、柔軟に保健教育の機会を捉え て実施されていた。実習期間中の総指導回数は、小学校では ₅ 回未満₇₀.0%(₂₁/₃₀名)、
₅ ~₁₀回₂₃.3%( ₇ /₃₀名)、₁₀回以上6.6%( ₂ /₃₀名)で、中学校は ₅ 回未満₆₀%( ₆ /₁₀ 名)、 ₅ ~₁₀回₄₀%( ₄ /₁₀名)であった。最も指導回数が少ない実習生で ₁ 回、最も指導 回数が多い実習生で₂₀回という結果で、実習生によって指導の機会に大きな差が見られた。
特に、実習期間中 ₁ 回のみという学生の割合は、小学校₁₆.7%( ₅ /₃₀名)、中学校₄₀%
( ₄ /₁₀名)という結果で、中学校は、小学校よりも保健教育の機会を得ること自体が難し いことがわかった。
特別活動における保健教育として取り組んだテーマは、小学校では、生活習慣を₃₆.6%
(₁₁/₃₀名)が、生活安全(けがを含む)は₃₀%( ₉ /₃₀名)、熱中症は₂₆.7%( ₈ /₃₀名)、目・
耳・鼻の健康は₁₃.3%( ₄ /₃₀名)、性は6.7%( ₂ /₃₀名)、生活習慣病(肥満を含む)、歯・口 の健康、メディアはそれぞれ3 . 3%( ₁ /₃₀名)
が実施していた。中学校では、生活習慣は₄₀%
( ₄ /₁₀名)、メディアは₃₀%( ₃ /₁₀名)、熱中 症は₂₀%( ₂ /₁₀名)、心の健康、歯・口の健康 はそれぞれ₁₀%( ₁ /₁₀名)が実施していた。
子どもの発達段階に応じながら、時候を問 わず年間を通じて比較的取り組みやすいテー マ、時候や学校行事に応じて必要になるテー マが設定されていた。教科における保健教育 は、小学校は ₅ 名、中学校では ₃ 名が実施し ていた。
Ⅳ 実習校の養護実習に対する考え 1 対象と方法
対象は₂₀₁₉年度養護実習の実習校₄₀校である。₂₀₁₉年₁₁月 ₈ 日の事後指導終了後にお礼 状とともに無記名式質問紙を郵送し、₁₁月₂₅日までに回答があった ₇ 件(回答率₁₇ . 5%)
0 2 4 6 8 10 12
生活習慣 生活安全/けがを含む 熱中症 目・耳・鼻の健康 性 その他 生活習慣病/肥満含む 歯・口の健康 メディア 心の健康 教科における保健教育
小 学 校 中 学 校 名
図 7 .取り組んだ保健教育のテーマ
について、その内容を整理した。調査への回答は Google Drive フォームで作成した Web ア ンケートを活用し、依頼文書に添付したQRコードをスマートフォンで読み込むことによ り行うものとした。Webでの回答が難しい場合はFAXでの回答を依頼した。調査は、属性
(校種、学校規模、回答者、養護教諭の経験年数、複数配置の有無、養護実習の指導経験 の有無、過去指導回数)を選択肢で、実習指導の計画・内容・方法と実習生の学習の準備 性・態度・行動についての考えを自由記述で求めるものとした。
倫理的配慮として、調査の趣旨や目的、調査結果の活用について文書で説明した上で依 頼し、調査への回答を持って同意するものとした。
2 結果と考察
₁ )実習校の属性
回答があった実習校 ₇ 校の属性は、表 ₆ の通りである。小学校 ₅ 校、中学校 ₂ 校から回 答があった。回答者は、 ₁ 名が管理職、 ₆ 名が直接指導にあたる養護教諭だった。経験年 数₂₀年以上の養護教諭は全員過去に養護実習の指導経験があった。
表 6 .実習校の属性
学校種 学校規模 回答者 複数配置 養護実習の 指導経験 過去
指導回数 経験年数
小学校 小規模 養護教諭 なし なし 5 年未満
小学校 小規模 副校長・教頭 なし なし 5 年未満
小学校 小規模 養護教諭 なし あり 2 5 ~10年
小学校 中規模 養護教諭 なし なし 5 ~10年
小学校 大規模 養護教諭 あり あり 6 20年以上
中学校 大規模 養護教諭 あり あり 2 20年以上
中学校 小規模 養護教諭 なし あり 1 20年以上
₂ )実習校の養護実習に対する考え
実習指導の計画・内容・方法と実習生の学習の準備性・態度・行動についての考えを表
₇ に整理した。『養護教諭自身の状況』、『実習指導の計画や内容・方法』、『実習生の準備性・
態度・行動』、『大学の事前の取組み』に関することについて記述があった。
『養護教諭自身の状況』、『実習指導の計画や内容・方法』については、養護実習を受け 入れるに当たり、指導上の悩みや困難が記述されていた。経験年数の浅い養護教諭からは
「養護教諭自身の指導力」や「実習を受入れるための準備性」の課題があげられている他、
養護実習の計画立案に当たっての校内連携として「養護実習のコーディネートの難しさ」
や、養護教諭の職務は学校行事によっても左右されるため、「実習時期やその時期に体験 できる実習内容に対するジレンマ」として、実習受入れ時期によって実習生に体験させら れる実習内容が制限されること、一方で養護教諭としての通常業務と実習指導とを両立さ せるための負担感があることなどがあげられていた。
『実習生の準備性・態度・行動』としては、【養護教諭の動きを見て技術等を身につけよ
うと努力していた】、【事前にこちらが要望したことに対して、しっかり準備していた】な ど実習生の準備性や心構えなどを好意的に受け止める意見がある一方で、【生徒に慣れて きた時に、生徒との会話が友達感覚になっていた】【講話の際によく居眠りをしていた】【緊 張感があまりなかった】などの意見もあった。実習生への要望・意見として、【生徒では なく先生の立場できているので立場をわきまえてほしい】という教員としての心構えに対 する要望もあったが、それ以上に実習生自身の健康管理や挨拶やマナー、素直に学ぶ姿勢 など、社会人として基本的な事項についての要望が多かった。
『大学の事前の取組み』については、「実習校用養護実習要項」と「実習の抱負」につい ての記述があった。
表 7 .実習校の養護実習に対する考え 大カテゴリ 中カテゴリ
養護教諭自身
の状況 養護教諭自身の指導
力 ・養護教諭としての経験年数が浅いため、実習の受入れに不安があった
・自分が指導することで、学生さんの養護教諭を目指す意志が揺らいでし まわないか心配だった
実習を受け入れるた
めの準備性 ・現任校 1 年目のため、実習校の受入れに不安があった 実習指導の計
画や内容、方 法
養護実習のコーディ
ネートの難しさ ・配当学級や講話担当教員の予定と実習計画の調整が大変だった
・学校・生徒が忙しくて、保健指導の時間の確保がなかなかできなかった 実習時期やその時期
に体験できる実習内 容に対するジレンマ
・養教としての本領発揮する時期は 1 学期の健診時なので、その時期の方 が良いのではないか
・本当に忙しい時期に仕事の説明をしながら指導をするのは負担が大き過
・実施時期の設定を考えた方がよいのではないか ぎる
・今回( 9 ~10月)の実習では、養護教諭の仕事のわずかな部分しか実習で きていないのが残念
・定期健康診断の時期ではなかったので、健康診断の実際について説明の みに終わってしまった
実習で行った工夫 ・実習生が子どもの名前がわかるよう普段使っていない名簿(来室者名簿)
を用意した 実習生の準備
性・態度・行 動
実習生の準備性・態
度・行動への評価 ・養護教諭の動きを見て技術等を身に付けようと努力していた
・事前にこちらから要望したことに対して、しっかり準備していた
・心構えができていた
・しっかりした態度で実習に臨んでいた
・不登校生徒との理解に努めていた
・不登校生徒とコミュニケーションをとることで登校に繋がった
・生徒に慣れてきた時に、生徒との会話が友達感覚になっていた
・講話の際によく居眠りをしていた
・緊張感があまりなかった 実習生の準備性・態
度・行動への要望・
意見
・担当教員の指示に対して分からないときはその場で聞くこと
・挨拶などが正しくできると偏見を持たれない
・学ぼうとする姿勢が大切
・素直に学ぼうとする人は同じ実習日数でも実習後の成長に違いがある
・生徒ではなく先生の立場できているので立場をわきまえてほしい
・睡眠を充分とるなど、体調をととのえてきてほしい
・実習前にマナー講座的なものを実践したほうがよい 大学の事前の
取組み 実習校向けに事前配 布した指導要項につ いて
・養護教諭を目指す実習生の割合が多くなっているので、今後の指導計画 の改善に生かすよい機会だった
・実習の手引きが具体的に書かれており、計画を立てやすかった 実習生が事前に書い
た実習の抱負につい て
・実習生の目標を事前に知ることができ、準備がしやすかった
「実習校向けに事前配布した指導要項」について、【今後の指導計画の改善に生かすよい 機会だった】【実習の手引きが具体的に書かれており、計画を立てやすかった】と記述され ており、好意的に受け止められていた。これまでは、学生用の実習の手引きを実習年度の
₄ 月に事前に実習校に配布送付していたが、実習生を通じてまたは実習校から直接、実習 の方法や内容などに対する問い合わせや要望をいただいていた。そこで、今年度より実習 校に向けて、実習生の既有経験、養護実習の意義・目的、養護実習で到達したい目標、実 習の方法と内容、実習指導や実習生の学校での過ごし方への対応について、簡単にまとめ た養護実習要項を作成し、実習生用の手引きとともに事前に配布するようにした。この基 本事項の情報提供が、実習の受入れに際して、実習校の負担感や戸惑いを軽減することに つながったと考える。
実習生が事前に書いた「実習の抱負」については、【実習生の目標を事前に知ることがで き、準備がしやすかった】との記述があった。毎年、実習の抱負は実習生が書いたあと、複 数の養護実習担当教員で分担して、添削指導を個別に実施した上で、実習前に実習校に持 参させている。ただこれまでは₄₀名もの実習生を実習に送り出すにあたり、実習の抱負に 記述すべき内容や文章の構成などを教員間で共通認識することなく指導を進めていた。今 年度は、実習の抱負に書くべき内容として、①実習に臨むにあたっての決意や目標、②その ように考えるに至る背景として、これまでの経験や学び、培ってきた考え、③目標を達成 するための具体的な行動目標を書くことを教員間で共通認識した上で、個別指導にあたっ た。例年していることを見直し、ささやかな改善ではあるが大学として行った取組みを、
実習校が知らず知らずのうちに受け止めてくれている様子が感じられた。継続して行って いることも定期的に見直すことの必要性を感じた。
Ⅴ まとめと今後の課題
₂₀₁₉年度養護実習の現状を把握するために、実習生に実習環境や実習内容について、実 習校に養護実習に関する考えについて調査を行い、その結果を整理して検討した。
実習生への調査から、実習生を取り巻く実習環境として、原則母校実習である本学養護 実習生は岡山県内に限らず西日本を中心に様々な学校に赴き実習を行っており、校種は小 学校:中学校= ₃ : ₁ の割合で、学校規模は小規模校と大規模校に ₂ 極化していた。約₇₀%
の実習生は学級配当があったが、小学校では各学年に配当されていたのに対し、中学校で は ₁ 年生への配当が多かった。実習内容としては、小学校、中学校ともに、大学で学んだ 知識や技術を実践として確認しやすい「保健だより・掲示物の作成」「特別活動等におけ る保健教育」「救急処置」「健康観察」は、₆₀%以上が実践していた。一方で、「健康診断」
「環境衛生」「保健情報の収集・整理」「個別保健指導」「健康相談」「保健室経営」は回答 にばらつきが見られ、校種や実習時期など様々な要因によって差が生じているものと推察 された。
実習校への調査では、『養護教諭自身の状況』、『実習指導の計画や内容・方法』、『実習
生の準備性・態度・行動』、『大学の事前の取組み』に関することについてそれぞれ回答が あった。「養護教諭自身の指導力」や「実習を受入れるための準備性」の指導する養護教 諭自身の課題の他、養護実習の計画立案に当たっての校内連携の難しさや、実習受入れ時 期によって実習生に体験させられる実習内容が制限されること、一方で養護教諭としての 通常業務と実習指導とを両立させるための負担感があることなどがあげられていた。また 実習生の態度やマナーについての指導の在り方や大学としての実習校と連携をとるための 体制作りについての示唆を得た。
日本養護教諭教育学会では、養護実習を「養護教諭としての資質能力の育成において、
養護教諭養成教育の中核に位置するものである。養護実習は大学で学習した知識や技術に ついて実際の教育現場で体験することにより、養護教諭の職務・役割や学校保健活動を理 解し、養護教諭としての実践的基礎的な資質能力を身に付ける場となる。また、養護実習 は現職養護教諭にとっては実際の活動の中で後輩を育てる場である。…(中略)…養護実 習は学校での実習と大学での事前・事後指導が一体になったものであり、両者の関連が重 要である。」
₉ )としている。
当学科では、教育職員免許法の改正に伴う再課程認定において、いくつかのカリキュラ ム変更を行い、新カリキュラムとして₂₀₁₉年度から運用を始めた。その変更点の一つが養 護実習に関することである。
これまで養護実習については、事前・事後指導として「養護実習指導」 ₁ 科目で対応し ており、その内容については、先述した通りである。新カリキュラムでは、事前指導と事 後指導をそれぞれ「養護実習指導Ⅰ」、「養護実習指導Ⅱ」の ₂ 科目で対応することになっ た。養護実習での学びをより効果的なものとするためには、実習前に、養護実習の意義や 目的を理解すること、それまでの学修状況を踏まえた上で、実習での取組みの課題を明確 にすること、実習のための準備ができることが大切である。同様に実習後は学びを共有し、
振り返りを充実させて、さらに深い学びにつなげられるようにする必要がある。今回の変 更で事後指導により時間を割くことが可能になったことで、事前指導・養護実習・事後指 導を一体として取り組むことを可能にし、養護実習での学びの深化や教職実践演習との接 続を以前より容易にすることなどが期待される。一方で、実習時期や期間の設定など大学 のカリキュラムと実習校の状況との調整など、容易に行き来することができない母校実習 による連携・協力体制、ないし実習そのもののあり方については、今後継続した検討を要 するものと考えられる。
今回の養護実習の現状に関する調査を足がかりに、今後の当学科における養護教諭養成
教育をより充実させ、学生がよりよく学べる環境や条件を提供することと、実習校の負担
を軽減しつつ実習校との円滑な連絡・協力体制を構築することとが両立できるように、取
り組んでいきたい。
引用・参考文献
₁
中央教育審議会 (₂₀₁₅) 「これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について~学 び合い、高め合う教員育成コミュニティの構築に向けて~ (答申) (中教審第₁₈₄号)」
(URL) http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo₀/toushin/₁₃₆₅₆₆₅.htm (参照 日₂₀₁₉ . ₁₁ . ₂₆)
₂
中央教育審議会 (₂₀₁₅) 「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について (答申)
(中教審第₁₈₅号)」
(URL) http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo₀/toushin/₁₃₆₅₆₅₇.htm (参照 日₂₀₁₉ . ₁₁ . ₂₆)
₃
中央教育審議会 (₂₀₁₅) 「新しい時代の教育や地方創生の実現に向けた学校と地域の連携・
協働の在り方と今後の推進方策について (答申) (中教審₁₈₆号)」
(URL) http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo₀/toushin/₁₃₆₅₇₆₁.htm (参照 日₂₀₁₉ . ₁₁ . ₂₆)
₄
文部科学省 (₂₀₁₆) 「「次世代の学校・地域」創生プラン~学校と地域の一体改革による地 域創生~」
(URL) http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/₂₈/₀₁/₁₃₆₆₄₂₆.htm (参照日₂₀₁₉.₁₁.₂₆)
₅
中央教育審議会 (₂₀₀₇) 「今後の教員養成・免許制度の在り方について」
(URL) http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo₀/toushin/₁₂₁₂₇₀₇.htm (参照 日₂₀₁₉.₁₁.₂₆)
₆
大谷尚子・中桐佐智子 (₂₀₁₅) 「改訂養護実習ハンドブック」.東山書房.pp₁₁
₇
高田恵美子・治部哲也 (₂₀₁₆) 「養護教諭の経験年数からみた養護実習の現状と課題」関 西女子短期大学紀要.₂₆.pp₁-₁₆
₈
「子どもの心身の健康を守り、安全・安心を確保するために学校全体としての取組を進め るための方策について (答申)」
( URL ) http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo ₀ /toushin/ ₁₂₁₆₈₂₉ _ ₁₄₂₄ .html
(参照日₂₀₁₉.₁₁.₂₆)
₉