平成 20 年(2008 年)4月 22 日 拓殖大学客員教授/軍事評論家 江畑謙介
情報セキュリティ政策会議 第17回会合
議事内容意見書 1:暗号利用の促進
関係者に対する現代の暗号の概要についての説明が必要
電子暗号の一般的な基本知識がまだ不足しているために、暗号使用の重要性、そ れに伴う負担などへの理解が足りず、利用普及を妨げるのではと懸念される。
ごく基本的な暗号の仕組み、意義、それに伴う負荷などについて、できるだけ可視化 して説明し、知識を普及させる努力が必要なように思われる。
2:セキュア・ジャパン 2008 の方向性
(1)第 1 次情報セキュリティ基本計画で行なうべきことはほぼ実施された 国際連携分野を除き、関係者の努力で 2007 年度まですべきことはほぼ実施された。
(2)2008 年度はこれまでの総括と整理に当て、第 2 次計画へ結びつける ①第 1 次基本計画はセキュリティ上の穴をパッチワーク的に塞ぐのが目的で、道路に 例えれば、既存の一般道で信号を設置する、ガードレールを設けるなどの安全上不備 な点の是正であった。この目的はほぼ達成されたか、達成されつつあるように思える。
②第 2 次基本計画は、高速自動車道路のような、より安全で高速通信ができるネッ トワークの整備で、IPv6の実用化や光通信のさらなる普及などが考えられる。本年度は その方向への下地作りを進めるべきだろう。第3次基本計画では、ドライバーがいなくて も目的地に到達できる道路交通網のような、完全に安全な新しい(技術の)ITネットワー ク網の建設を目指し、そこに日本が主導的、ないしは中心的役割を果たすべきだろう。
③ここから、今後NISCは技術面での役割を基本とすべきである。安全で利便性の良 いIT社会を作るための人材育成やキャリアパスの必要性は第1次計画で明確化された から、後は総合的な政策として、今後 e-Japan(IT戦略本部)が担うべき役割であろう。
④第2次以後の基本計画でNISCはその役割を技術分野に特化し、平時にはセキュ リティ技術の研究開発実用化で、非常時にはNATOのサイバーディフェンス・センターの ような緊急対応の中心組織(緊急対応センター)、つまり重要インフラ連絡協議会(CEP TOR)としての機能を強化した機関としての役割を基本とすべきだろう。 (了)
資料9