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電磁鋼板の残留応力測定に関する研究

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Academic year: 2021

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電磁鋼板の残留応力測定に関する研究

池田哲*・沓掛暁史*・下地広泰*

*電磁力担当

Residual Stress Measurement of Electromagnetic steel

Tetsu IKEDA*・Akifumi KUTSUKAKE*・Hiroyasu SHIMOJI*

*Electromagnetic Section

要 旨

モータの基幹材料である電磁鋼板に対する高精度残留応力測定への産業界のニーズに対応するため,X線残留 応力測定装置での測定条件因子の測定結果への影響因子を明らかにし,高グレード材の測定は,コリメータ径,

揺動角度,測定点数,X線電圧電流,測定時間の順で測定条件出しを行うことで,信頼限界値を±10MPa 以下程 度まで最小化することができた.今後は,この研究結果を EV モータやドローンモータの残留応力測定に適用し ていく.

1. はじめに

当センターでは,電磁鋼板の磁気特性測定を主とした 電気機器の開発支援をおこなうなかで,電磁鋼板の残留 応力がその磁気特性を劣化させることから,電磁鋼板や モータコアの残留応力測定の依頼試験を受託している.

近年,モータの効率規制や自動車の EV 化の進展によ り,高グレード材の測定依頼が増えてきた.電磁鋼板を 高グレード化するにあたり,鉄鋼メーカーは電磁鋼板の 粒径を肥大化させており,X線を照射した際に多結晶の うち一部が回折する原理を利用するX線回折では,結晶 サイズが大きくなると,照射領域での結晶数が少なくな り,残留応力測定精度が落ちる問題がある.

そこで本研究では,結晶粒が肥大化した高グレード電 磁鋼板を対象とした測定条件の確立を目標とし,測定条 件因子の測定結果への影響を明らかにする.

2. 測定条件 2.1. X線残留応力測定装置

本研究で使用した(株)リガク製 AutoMATE の外観を Fig.1 に,仕様を Table 1 に示す.本装置は,オプショ ンとして回転機構を有しており,モータコアの周方向と 径方向の測定に対応している.また電磁鋼板の肥大化し た結晶粒の測定に対応できるようにコリメータはφ4mm 径まで各種揃えてある.

X線回折を利用して測定するため,試料表面から約 10μm までの残留応力測定となる.そして,残留応力は X線回折から求められる格子面間隔と sin2ψ 法から求 められる結晶粒の向きの関係から算出される.

2.2. 測定試料

本研究で使用した電磁鋼板は EV モータコア 3 種であ るが,鋼種などの材料データは開示せずに,本報では材 料 A,B,C とする.

Fig. 1 装置外観

Table 1 装置仕様

型式 リガク製 AutoMATE

X線管球 Cr

最大出力 2kW 測定方法 並傾法,側傾法

2θ設定範囲 98~168°

試料サイズ φ320mm×120mmt 試料重量 20kgまで コリメータ径 φ0.1,0.5,1,2,4mm 残留応力計測 sin2ψ法

平成29年度 研究報告 大分県産業科学技術センター

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2.3. 測定条件

これまでの測定経験から,電磁鋼板の残留応力測定で は,できるだけ大きなコリメータを用い,揺動しながら X線を照射することが基本となる.本研究では,この経 験則を確認することも含めて,結晶粒が肥大化した高グ レード電磁鋼板を対象とした測定条件の確立を目標とし,

測定条件因子の測定結果への影響を明らかにする 測定 条件の可変因 子はコリメー タ径,揺動角 度,

sin2ψ 数,X線電圧電流,測定時間とし,測定結果へ の影響度合いは,1 標準偏差である信頼限界で判断した.

3. 測定結果と考察 3.1. 測定結果

測定条件因子を変化させた時の測定結果は,Fig.2 に 示す.(a)コリメータ径を 1,2,4mm と大きくすると,

信頼限界は 54.37MPa から 9.77MPa と測定精度は大きく 向上した.これは,コリメータ径の中に含まれる粒子数 が増えることで,信頼性が増すことによる,(b)揺動 角度を 5,10°と大きくすると,信頼限界は 26.3MPa か ら 14.16MPa と測定精度は向上した.揺動すると,その 分測定範囲内の粒子数が増えるからである.(c)X線 電圧電流を 30kV30mA から 20kV20mA に小さくすると,信 頼限界は 13.75MPa から 4.89MPa と測定精度は大きく向 上した.X線電圧電流が大きすぎると,X線検出器の K

α1 データがオーバーフローして,測定精度が低下する ことによる.(d)sin2ψ 数を 10,15,20,40 と大き くすると,信頼限界は 26.3MPa から 6.52MPa と測定精度 は大きく向上した.これは,最小二乗法でのプロット数 が多いほど正確になることによる.(e)計測時間を 30,

50 秒 と 大 き く す る と , 信 頼 限 界 は 13.28MPa か ら 10.93MPa と測定精度は少し向上した.計測時間は長け れば長いほど測定精度は向上するが,ある程度の測定強 度があれば,計測時間の影響は小さい.

3.2. 考察

前項の測定結果から,測定条件因子の測定結果への影 響の大きさは,コリメータ径,揺動角度,測定点数,X 線電圧電流,測定時間の順となることが明らかになった.

従って,結晶粒が肥大化した高グレード電磁鋼板を対 象とした測定条件は,揺動角度 10°,X線電圧電流 20kV20mA を固定として,コリメータ径,測定点数で信 頼限界を確認する手順となる.

4. まとめ

本報では電磁鋼板の残留応力測定について,その測定 条件設定について報告した.今後はこの研究結果を,EV モータやドローンモータの残留応力測定に適用する.

0 20 40 60

0 2 4 6

信頼限界[±MPa]

コリメータ径 [mm]

(a) コリメータ径(材料 A)

0 10 20 30

0 5 10 15

信頼限界[±MPa]

揺動角度[deg]

(b) 揺動角度(材料 B)

0 10 20 30

0 10 20 30 40

信頼限界[±MPa]

X線電圧電流[kV/mA]

(c) X線電圧電流(材料 B)

0 10 20 30

0 20 40 60

信頼限界[±MPa]

sin2ψ数 (d) sin2ψ 数(材料 B)

0 10 20 30

0 20 40 60

信頼限界[±MPa]

計測時間[sec]

(e) 計測時間(材料 C)

Fig. 2 測定結果

平成29年度 研究報告 大分県産業科学技術センター

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参照

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