日本中央競馬会特別 振興資金助成事業
畜産振興助成事業
先端技術を活用した畜産技術研究開発推進事業
畜産先端技術を用いた BSE 対策技術開発実用化事業
(うち次世代個体識別システム実用化事業)
平成 15~17 年度 事業報告書
平成 18 年3月
社団
法人 畜 産 技 術 協 会
目 次
はじめに
1.事業の概要と実施経過
畜産先端技術を用いたBSE対策技術開発実用化事業
(うち次世代個体識別システム実用化事業)の概要
...1 事業実施の経過
...2 2.電子耳標をとりまく情勢について
(1) 国際的な情勢
...5 (2) 国内の情勢
...8 3.電子耳標実証試験
(1) 電子耳標の装着及びデータ読み取り試験
...11 (2) データ収集・管理試験
...33 4.成果のとりまとめと活用について
(1) 耳標の特性と利用
...51
(2) データ収集のための整備(アンテナ特性と場所等その他)
...51
(3) その他の活用
...52
(4) データ収集・管理システムの開発及び現地実証試験
...52
参考資料
オーストラリアにおける牛の電子標識による
個体識別システムに関する実態調査報告(概要)
...54
は じ め に
社団法人畜産技術協会では、平成15年度から平成17年度までの3ヵ年事業として、JRA日本中 央競馬会特別振興資金事業により財団法人全国競馬・畜産振興会からの助成を受けて「先端技術 を活用した畜産技術研究開発推進事業(畜産先端技術を用いたBSE対策技術開発実用化事業) 」を 実施し、その中の「次世代家畜個体識別システム実用化事業」において、将来の家畜個体識別技 術として期待される電子耳標について、これをわが国で導入する場合の技術的課題の検討を行い ました。
本書には、3年間にわたる事業の実施、実証試験の成績、成果の活用を総括的に取りまとめま した。
さらに別途、家畜の個体識別について解説的に記述した「家畜の次世代個体識別に向けて」を 作成しました。
なお、当協会は、平成5年1月以降ISO(国際標準化機構)のRFID(Radio Frequency Identification:
非接触型ICカード)開発審議団体となっており、動物用電子識別コード体系や技術要件に関する表 決権の行使等を行っております。平成15~17年度の本事業においてもドイツ、英国、オランダで 開催された累次のISO国際会議に出席し、さらにEUの中で特に先駆的に電子式家畜個体識別シス テムの導入に向け取組んでいる関係各国を訪問して先進事例についての現地調査を実施し情報 を収集しました。これらの海外調査については、別途報告しました。
本事業の実施に当りましては、農林水産省生産局畜産部畜産振興課をはじめとして、独立行政 法人家畜改良センター、財団法人全国競馬・畜産振興会ほか関係各位に多大なご指導・ご協力を 賜り厚く感謝申し上げる次第であります。
平成18年3月
社団法人 畜産技術協会
1.事業の概要と実施経過
畜産先端技術を用いた BSE 対策技術開発実用化事業
(うち次世代個体識別システム実用化事業)の概要
1 事業の目的
近年の BSE 発生及び食肉偽装の発覚等を契機に 消費者から食の安全・安心が強く求められている 中で、畜産物のトレーサビリティの導入など BSE 関連対策が推進されてきているものの、畜産関連 の先端技術をめぐっては、なお解決すべき技術的 課題も多い。
このうち、次世代個体識別システム実用化事業 として将来の個体識別技術として期待される電子 耳標を導入する場合の技術的課題についての検討 を行う。
2 事業の内容
(1) 技術検討委員会
技術検討委員会委員
伊藤 稔 社団法人 農林水産技術情報協会 技術主幹 鵜飼 昭宗 社団法人 日本食肉市場卸売協会 専務理事 風間 辰也 社団法人 家畜改良事業団
電子計算センター部長 鈴木 一男 独立行政法人 家畜改良センター 個体識別部長 新山 陽子 京都大学大学院農学研究科
生物資源経済学専攻 教授 信國 卓史 地方競馬全国協会 理事
(座 長)
林 孝 独立行政法人 農業・生物系特定 産業技術研究機構
中央農業総合研究センター 農業情報研究部 上席研究官
(2) 電子耳標実証試験
電子耳標を導入するにあたっての技術的課 題の調査・検討を行うため、乳用牛、肥育牛、
子牛について電子耳標を装着し、形態による 脱落等の耐久性、自動読み取りのための施設、
アンテナの検討、模擬センターによるデータ 収集・管理等の実証試験を実施し、技術の改 良・改善を行う。
(3) 海外調査
電子耳標に関する海外の技術開発動向及び 電子耳標導入を検討している諸外国の事例調 査を行い、わが国に導入するための情報収集 を行う。
(4) 活用マニュアルの作成
実証試験成績及び海外情報をもとに、電子 耳標導入のためのマニュアルを作成する。
3 事業主体及び事業の一部を委託 する団体
(1) 事業主体 社団法人 畜産技術協会 (2) 委託団体 畜産用電子技術研究組合 富士平工業株式会社 有限会社ベルワイドアイ (3) 協力機関
独立行政法人 家畜改良センター 有限会社 関東肉牛肥育
さいたま市食肉中央卸市場株式会社 全農とちぎ矢板家畜市場
-2-
事 業 実 施 の 経 過
1.技術検討委員会の開催
(1) 平成 15 年度「第 1 回技術検討委 員会」
(出席者敬称略)
日 時:平成15年8月5日(火)
場 所:畜産技術協会会議室(緬羊会館303号)
出席者:(委員)伊藤 稔、鵜飼 昭宗、
風間 辰也、鈴木 一男、
新山 陽子、信國 卓史、
林 孝
(農水省)奥地 弘明、葛谷 好弘、
鈴木 学
(全国競馬・畜産振興会)大谷 清澄 (畜産技術協会)山下 喜弘、林 茂昭、
安田 侃也、針生 程吉、
杉村 正司
(畜産用電子技術研究組合)
富士平工業:中村 雄有 沖電気工業:広田 真一郎 議 題
1.次世代家畜個体識別システム実用化事業の 概要について
1)技術検討委員会の開催 2)電子耳標実証試験の実施
3)電子耳標システムに関する情報の収集及 び国内及び海外の現地などの調査 4)国内コード(ISO 規格に基づく)体系委
員会の開催
2.次世代家畜個体識別システム実用化事業実 証試験実施計画案
1)実証試験
2)実証試験モデルシステム機器等
①電子耳標 貼付札型耳標、札型耳標、ボ タン型耳標
②読み取り装置(リーダ) 据え置き型、
ハンディ型
③データ集積・分析・送信システム 農場、
登録センター 3)実証試験の場所
3.効果的な事業の推進方策等の検討について
(2) 平成 16 年度「第 1 回技術検討委 員会」および現地視察
日 時:平成16年7月21日(水)
会議場所:大宮ソニックシティー701号会議室 現地視察:埼玉県行田市
㈲関東肉牛(斉藤 三郎農場)
出席者:(委員)伊藤 稔、鵜飼 昭宗、
風間 辰也、鈴木 一男、
新山 陽子(欠)、信國 卓史、
林 孝
(農水省)太鼓矢 修一、鈴木 学、
小野寺 健一、池田 正樹 (畜産技術協会)山下 喜弘、
赤松 勇二、福川 一郎、
針生 程吉、杉村 正司 (畜産用電子技術研究組合)
富士平工業:坪井 正規、麻生 博、
中村 雄有、
ベルワイドアイ:鈴木 伸之、
広田 真一郎 議 題:
1.15度事業の実施状況について
1)次世代家畜個体識別システム実用化事業 の概要について
2)次世代家畜個体識別システム実用化事業 進捗状況について
3)平成15年度実証試験報告書 2.16年度事業の実施計画について 3.その他
現地視察:肥育農場(関東肉牛肥育)における 実証試験
1)実証試験:
① 耳標読取試験
ボタン型耳標、札型耳標及び貼付耳標 装着耳標装着牛の据置きリーダ及びハ ンディリーダによる読取り
② データ管理試験
据置きアンテナ、ハンディリーダから のデータ転送、
農家 PC 及び携帯端末(PDA)から模擬 センターへのデータ登録、
農家 PC 及び携帯端末(PDA)から模擬 センターの登録データ呼出
(3) 平成 17 年度「第 1 回技術検討委 員会」
日 時:平成17年9月1日(木)
会議場所:(独)家畜改良センター会議室 現地視察:(独)家畜改良センター
出席者:(委員)伊藤 稔、鵜飼 昭宗、
後藤 秀幸、鈴木 一男、
信國 卓史、林 孝
(農水省)太鼓矢 修一、日田 吉則 (家畜改良センター)伊藤 敦、伊藤 論 (畜産技術協会)山下 喜弘、
赤松 勇二、福川 一郎、
針生 程吉、金沢 真紀子 (畜産用電子技術研究組合)
富士平工業:坪井 正規、麻生 博、
中村 雄有、守田 まさみ、
後藤 充弘
ベルワイドアイ :鈴木 伸之、広田 真一郎、
中島 義和、伊藤 勝 議 題:
1.16年度事業の実施状況について 1)実証試験の実施状況
2)海外調査の実施状況
3)国内コード委員会の実施状況 4)平成15年度実証試験報告書 2.17年度事業の実施計画について
1)実証試験の実施状況 2)海外調査の実施計画
3)国内コード委員会の実施計画 4)報告書取りまとめ方針
現地視察:搾乳パーラーにおける実証試験 1)実証試験
①ボタン型、札型及び札型貼付耳標の据置 リーダによる読み取り試験
2.実証試験実施の経過 (1) 平成 15 年度
1)福島県西郷村、家畜改良センター
センター内搾乳パーラー出口に電子耳標読 取り(アンテナ)システムを左右に2基設置し た。読取りデータは無線で事務所に設置した PC を経由し模擬登録センターに送信するシ ステムを構築した。
搾乳牛45頭に貼付型電子耳標を取付けた。
なお、貼付耳標はペルタック耳標の交換時期 であったためこれに貼付し牛に装着する事と した。テストの結果、牛の歩行中にその電子 耳標が読み取れる事が確認されたが、アンテ ナの読み取り範囲で待機中の牛の耳標も読ん でしまうことが判明したため、1基には電波 反射板を取付けた。
また装着時の確認作業などに使用するため ハンディリーダを用意した。非読み取り検出 システムは組み込みのみ行った。
データ送信システムはデータベースへの取 り込みまでは確認できたが、電話回線が不備 のため模擬登録センターへのデータ通信は実 施できなかった。
2)埼玉県、(有)関東肉牛肥育(斉藤農場)
出入荷用の積み降ろし口への通路右側にア ンテナシステムを設置し、試験実施のため、
通路・扉・柵などを大幅に改良した、また作 業用小屋も設置した。耳標は札型・ボタン型・
貼付型の3種をそれぞれ10頭、計30頭に装着 した。
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上記改良センターも含め装着は全て右側と し、これに合わせアンテナシステムも通路の 右側に構築した。
データ送信システムは確認試験を行い、読 取れる事を確認した。模擬登録センターまで の試験は現場農場にインターネット環境が無 く実施できなかった。
(2) 平成 16 年度
1)福島県西郷村、家畜改良センター
前年度43頭に電子耳標を装着したが乾乳・
治療・入替えなどで減少したため、46頭に再 装着を行った。前年の貼付耳標は脱落が多い ため札型・ボタン型のみの利用とした。デー タ収集は月1度の体重計測日に行った。
模擬登録センターへの通信は公衆電話回線 接続については工事費を検討の上とりやめ、
携帯電話による受送信のシステム構築とした。
2)埼玉県、(有)関東肉牛肥育(斉藤農場)
出荷等で電子耳標装着牛が減少したため再 装着を行った。計測通路の幅が広く直線とな っており、計測牛が団子状でアンテナ範囲に 入ることが見受けられた。これを防ぐため通 路手前に分離用可動柵を設置し、読取り率の 向上を図った。
なお、「16年度技術検討会」現地実証試験を 技術検討委員出席の上行った。
3)さいたま市、食肉中央卸市場
当市場に斉藤農場から上場する電子耳標装 着牛を、市場内に設置したアンテナとハンデ ィリーダで読み取り、電子耳標による農場か ら市場(と場)までの流れの実証実験を行った。
(3) 平成 17 年度
1)福島県西郷村、家畜改良センター
電子耳標牛が減少したため追加装着を行っ た。貼付耳標は15、16年度で脱落などが多く 発生したため、ボタン型及び札型のみ実施し た。
2)埼玉県、(有)関東肉牛肥育(斉藤農場)
読取りアンテナの経年変化による読み取り 性能の変化を確認するため、読み取り距離の 再測定などを行った。また、電子耳標の再装 着を行った。ボタン型10頭、札型10頭である。
3)さいたま市、食肉中央卸市場
昨年に引き続き実証試験を実施した、繋留 中の牛10頭に札型及びボタン型の耳標を装着 し、と殺前の繋留場で読み取り試験を実施し た。バーコードの読み取りは読み取り困難な ため目視に変更していたため、赤外線バーコ ードリーダとの比較試験は実施できなかった。
4)栃木県、全農とちぎ矢板家畜市場
牛のトレサビリティのなかで、所有者の異 動の発生する機会の多い子牛市場に着目し、
子牛の搬入から購買、搬出に至る過程で、電 子耳標の読み取りに適した箇所を選定するた め、現地聞取り調査を実施した。
(1) 国際的な情勢 1)各国の動き
EU では家畜に対する電子標識の実行可能 性を確認するために、1998年3月から2001年 12月まで100万頭の牛、羊、山羊を対象とした IDEA ( Identification Electronique des Animaux)プロジェクトと称する大規模な実証 プロジェクトが行われた。このプロジェクト の参加国(地域)、家畜および電子標識を表2 -1に示す。
2003年5月5日にこのプロジェクトの最終 報告書が発表された。それによると、IDEA プ ロジェクトは家畜に電子識別を使用すること によって、トレーサビリティが大きく改善さ れること、牛、バッファロー、羊、山羊にこ のシステムの導入にどんな技術的な障害もな いことを立証したとしている。
さらに、次のような声明が記載されている。
すなわち、EU 内において家畜個体識別、登録、
管理システムを確立するための見地から、牛、
バッファロー、羊そして山羊のために電子的 個体識別を導入すべき適切な時期である。
この IDEA プロジェクトの結果を受けて、EU 理事会はでは2003年12月17日、家畜の疾病の 拡大を防止する対策の一環として、羊、山羊 の 個 体 識 別 に 関 す る 規 則 ( 理 事 会 規 則 No.21/2004)を承認した。
これによると、2008年1月1日からはすべて の羊と山羊は電子標識の装着が義務化される。
但し、羊および山羊の総数が60万頭未満の加 盟国では自国内に流通する羊、山羊に対して は任意、山羊の総数が16万頭未満の加盟国で は自国内に流通する山羊に対しては任意とな る。また、適用日については2006年6月までに 委員会から発表される個体識別の実施結果の レポートを踏まえて再検討にされることにな っている。
ここで適用される電子標識について規則の 付属書には ISO11784と11785に従った HDX ま たは FDX-B の技術を適用したリードオンリー の受動的なトランスポンダでなくてはならな いと規定されている。これは EU の畜産の分野 で初めて公に ISO11784と SO11784が記載され たものである。
表2-1 IDEA プロジェクトの家畜と電子標識
家畜(頭) 電子標識(個)
参加国(地域)
牛 羊 山羊 ボーラス 電子耳標 埋込型
ドイツ 50,000 10,000 20,000 20,000
スペイン 49,000 176,000 20,000 245,000 イタリア(Aosta) 58,000 10,000 2,000 70,000 イタリア(Lazio) 29,700 83,325 2,000 11,5025
イタリア(M.Sanita) 70,000 10,000 10,000 70,000
オランダ 80,000 34,000 34,000 12,000
ポルトガル 21,000 122,000 5,000 148,000
フランス(Sud-Est) 99,600 500 99,100
フランス(Bourgogne) 12,000 3,000 9 000 フランス(Bretagne) 16,800 4,500 12,300
合計 386,500 500,925 29,000 640,025 244,400 32,000
2.電子耳標をとりまく情勢について
-6-
EU における牛に対する電子標識装着の義 務化の時期については現在どこからも公表さ れ て い な い 。 イ ギ リ ス の NFU (National Farmers Union ) の EID 担当者は、牛への義 務化は羊、山羊の電子標識の義務化の成功を 見てからになるから、2008年の4年後、つま り2012年になるのではないかと2004年に推測 していた。
一方、オーストラリア・ヴィクトリア州で は全国家畜個体識別制度(NLIS)により2002 年1月1日以降に生まれた牛に対して世界で 初めて家畜に電子標識の装着を義務化した。
さらに、2005年7月1日からは一部の例外を除 き、全州の牛に電子標識の装着を義務化した。
ここでは NLIS の技術規格にて適用する電 子標識は ISO11784および ISO11785に準拠の 電子耳標およびボーラスとし、通信方式は HDX のみと規定している。ボーラスは装着を 明示するために‘R'または‘RUMEN'の文字を
明示した耳標と組み合わせて使用される。図 2-1に現在承認されている二種の電子耳標 とボーラスの一例を示す。
NLIS で適用されている個体識別番号は電 子耳標の表面に印字されている NLIS 番号(16 桁)および電子標識の中に記憶されている RFID 番号(15桁)で構成されている。NLIS 番 号 で は Property Identification Code
(PIC)(始めの8桁)を与えられたプロパティ が唯一性を保証するシリアル番号を作り、
RFID 番号では製造者コード(始めの3桁)を 与えられた電子標識のメーカがそれを作るこ とになっている。
NLIS 番号の例:3ABCD123LBA00002 RFID 番号の例:951000005667748
図2-1 承認されている電子耳標二種(左)とボーラスの一例(右)
2002年から義務化を実施したヴィクトリア 州の農場、家畜市場、と畜場などでは、電子 標識はデータベースへの移動報告のためだけ ではなく、牛の管理のために非接触で個体識 別ができるという特性を活かした利用が広く 実用化されており、経営上無くてはならない ものになっている。右の写真は家畜市場にお いて牛房単位でセリ落とされた10~20頭の牛 の電子標識を遅滞なく読み取るために考案さ れたマルチ・リーダシステムを示す(図2-2)。
図2-2 家畜市場に設置されている
マルチ・リーダシステム
なお、詳細は巻末に添付されている「オー ストラリアにおける牛の電子標識による個体 識別実態調査報告(概要)」を参照のこと。
2)ISO の取り組み
①ISO11784の改訂
2003年10月30、31日のフランクフルトで開 催された国際標準化機構第23技術委員会第19 分科会第3分科会(ISO/TC23/SC19/WG3)にお いて、ISO11784(動物用電子識別コード体系)
の改訂内容が審議された。この改訂は先に実 施された EU の IDEA プロジェクトの経験に基 づいて EU から要求されたものである。
改訂内容:
ア RFID を脱落等で再発行する場合の Retag counter(3ビット)の新設
イ 現行の National ID Code(38ビット)では 動物に対する情報量が少ないので、User
information field (5ビット)を新設する。
これは Country Code との組合せでのみ使用 される。
この審議結果に基づき、DRAFT AMENDMENT ISO 11874: 1996/DAmd 1(ISO 11784 修正案)
が作成された。2003年2月にそれに対する投票 が行われ、我が国は賛成の投票を行った。
現行の ISO11784のコード体系と AMENDMENT ISO 11874のコード体系を表2-2に示す。
さらに、2005年9月13、14日のオランダで 開 催 さ れ た 会 議 で は ビ ッ ト 番 号 15 を
「RUDI-Bit」(Reference to User Data Inside the transponder memory トランスポンダがア ドバンスドトランスポンダであることを示す ビット)に使用する改訂案が承認されている。
②国内 ID コード(National ID code)
2002年10月に Wageningen(オランダ)で開 催された国際標準化機構第23技術委員会第19 分科会第3分科会(ISO/TC23/SC19/WG3)で、
多くの国では、各国で整備するよう ISO11784 にて規定されている National ID code 体系が 整備されていないため、国コードを使用せず、
製造者コードを使用して RFID が製造され、流 通 し て い る こ と に 鑑 み 、 各 国 の 委 員 は
National ID code の体系を整備するよう国内 の関係機関に働きかけることを求められた。
現在、National ID code を整備している国は フランスのみである。
2005 年 9 月 に フ ラ ン ス 家 畜 改 良 協 会
(INSTIUT DE ELEVAGAE)を訪問し、調査の結 果、次のようなコード体系であることが判っ た。(表2-3)
表2-2 ISO11784のコード体系
< 現行のISO11784のコード体系>
ビット番号 1 2~15 16 17~26 27~64
組合せ数 2 16384 2 1024 274,877,906,944
内容
Applicationbit
Reserved field
Extra datablock
Country
code
National ID code
<AMENDMENT1のコード体系>
ビット番号 1 2~4 5~9 10~15 16 17~26 27~64 組合せ数 2 8 32 64 2 1024 274,877,906,944
内容
Application bitRetag counter
User information field
Reserved field
Extra data block
Country
code
National ID code
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表2-3 フランスにおける National ID Code 体系
上記の表においてフランスの National ID Code は国コード3桁(ここでは FR と書かれ ている)の次からの12桁で書かれている。最 初の二桁が「種別コード」となっている。例 えば牛については「00」、羊/山羊に対しては
「01」から「05」、馬に対しては「25」が割り 振られている。
③アドバンスドトランスポンダ
(Advanced transponder)
現在の ISO11784/11785で規定されている 動物用トランスポンダはリードオンリである が、次世代の動物用トランスポンダとしてリ ードライトが可能なアドバンスドトランスポ ンダの規格が下記のように一部は完成され、
一部は準備中である。
ISO 14223-1 (2003): Radio frequency ident ification of animals- Part 1: Air inter- face.
ISO 14223-2 ( 準 備 中 ) :Radio frequency identification of animals- Part 2:Code and command structure
ISO14223-3(準備中):Radio frequency ide-n tification of animals- Part 3:Application
(2) 国内の情勢
1)産業界における電子タグの取り組み
国内の工業界や流通業界においては商品管 理の面から電子タグへの関心は非常に高く、
近い将来バーコードを利用している業務の多 くを電子タグがとって代わるだろうと期待さ れている。とくに、電子タグの利点は、バー コードに比べて情報量が飛躍的に多くできる こと、小型化できること、読み取り能力が高 いことにある。電子タグ素子の小型化は著し く進展し、1mm 角以下のチップも開発されて おり、普及すれば大幅な低コスト化が期待で きるという。これら電子タグは、政府が推進 している誰でもどこでもコンピューターが利 用できる「ユビキタス社会」の中で大きな役 割を果たすと期待されている。 現段階にお ける電子タグの利用は、工場内、スーパーマ ーケット内、農場内などの閉鎖系における商 品管理やトレサビリティであり、未だ実験段 階のものが多い。その多くは読み取り距離が 極めて短くても利用可能で有ることから、ア ンテナの小さい貼付型電子タグである。
電子タグが本格的に普及するためには生産 段階、流通段階を通じた利用が求められるが
電子タグのチップや読み取り機器の低コスト 化はもちろんであるが、データの標準化や情 報管理のソフト面の整備も重要である。
データの標準化については ISO(国際標準 化機構)と IEC(国際電気標準会議)が共同 して国際標準規格の策定を検討している。デ ータ管理の面については、個人情報保護との 関係について総務省の「ユビキタスネットワ ーク時代における高度利活用に関する調査研 究会」でも指摘しており、今後の検討課題で ある。
農畜産物については、実用化されているも のはバーコードによる牛のトレサビリティシ ステムであり、電子タグについては、青果物、
食品、加工食品、養豚農場などについて農林 水産省その他が行っている実験事業段階であ る。
2)家畜における電子タグの取り組み
牛については、現在 BSE 対策として始まっ たバーコード耳標によって個体識別とトレサ ビリティーが実用化されており、電子タグに ついては本事業により次世代個体識別技術と して耳標型の形態や耐久性、自動読み取り技 術等が、データ管理については農場と模擬登 録センターによる携帯端末等による実証試験 が実施されている。養豚についてはユビキタ ス事業の一環として農場内の個体管理につい て耳標型の電子タグ実証試験が実施され、一 部実用化されている。
競走馬については、国際的に電子タグ装着 の動きがあり、わが国においても平成19年産 馬から電子タグの装着が義務付けられること となり、埋め込み型電子タグをたてがみ近く の皮下に装着することとしている。
3)家畜以外の動物における電子タグの 取り組み
愛玩動物については、平成17年6月に改定さ
れた動物愛護管理法において個体登録の推 奨・体制支援を行うこととなっている。犬猫に ついてはすでに埋め込み型電子タグの装着・登 録が始まっており、平成17年度末現在で約1万 頭に装着されている、予防注射、病歴、迷い犬 の保護等に役立つと期待されている。
外来生物法による特定外来生物及び動物愛 護管理法による、特定動物(危険動物)につ いては、個体識別のため電子タグ等の装着が 義務付けられ、環境省によって電子タグ装着 のためのマニュアル作り、装着のための研修 会など具体的取り組みが行われている。
4)動物電子タグのデータ標準化の取り 組み(ISO 規格動物用電子タグ協議会)
動物用電子タグのデータ標準化については、
国際的の情勢の中で紹介したが、ISO の中の ISO/TC23/SC19/WG3「動物用電子タグワーキン ググループ」が検討を進めており、既に ISO11784/11785によって利用周波数帯、コー ド体系が決められている。
上記 ISO 動物用タグワーキンググループに は、(社)畜産技術協会が日本における登録団 体として参加している。国内の動物が ISO 規 格のコード体系を利用する意義は、メーカー が異なっても読み取り等の互換性が確保され ること、競走馬やペット類のように海外から の導入や渡航した場合にそれぞれ個体識別で きること等にある。
国内の ISO 規格動物用電子タグの利用につ いて関係者で協議するため、平成17年6月に
「ISO 規格動物用電子タグ協議会」が設立さ れた。この協議会は、電子タグを利用する団 体、供給するメーカーまたは代理店、普及に 係わる団体等が会員として、農林水産省等関 係機関がオブザーバーとして、事務局を(社)
畜産技術協会が担当している。
協議会では、主として ISO 規格の国内コー ドについて協議することとしており、動物用
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コードの割り当てについて、牛用コードを10 番、馬用コードを11番、ペット用コードを14 番とすることを申し合わせた。牛については、
現在バーコードによる個体識別を行っている が、データベース上では ISO 規格に対応した コード体系を採っており、動物用コードとし て10番を用いている。外来生物法による特定 外来生物及び動物愛護管理法による特定動物 についても装着する電子タグは ISO 規格によ ることが明記されており、ペット用コードの 14番を適用することとなっている。
この動物用コードの情報は ISO 登録団体の
(社)畜産技術協会を通じて、ISO に報告さ れることにより国際的に認知される。
今後、他の動物に ISO 規格の電子タグを導 入する場合には、この協議会に諮っていくこ とが必要であり、広く関係者の参加が望まれ る。
(1) 電子耳標の装着及びデータ読み 取り試験
1)目 的
現行の牛個体識別で利用されているバーコ ードシステムに代わる電子耳標の実用化に向 けて、電子耳標の装着方法、牧場等における 自動読み取り施設等にについて実証試験を実 施し、利用のための指針作成に向けたデータ を収集する。
2)試験方法
① 実施期間
平成15年度~平成17年度の3年間 ② 実施場所
対象とする牛と環境の異なる下記の場所で 実施
ア 酪 農 場 :独立行政法人 家畜改良 センター内搾乳パーラー イ 肥 育 農 場 :有限会社 関東肉牛肥育
(斉藤農場)
ウ と 畜 場 :さいたま食肉市場株式会 社 さいたま市食肉中央 卸市場
エ 子 牛 市 場 :全農とちぎ矢板家畜市場 オ 模擬登録センター:
サーバー上の模擬的な情報登録センター ③ 適用する電子耳標
貼付型、札型、ボタン型の3つのタイプ の電子耳標について実証試験を実施した。
①貼付型電子耳標 ②札型電子耳標 ③ ボタン型電子耳標
外観
特徴
既装着の札型耳標に貼 り 付 け で 付 加 で き る RFID タグ(黒丸型部)
現行の家畜個体識別シ ステム用耳標とほぼ同 一寸法
小型の電子耳標
寸法 45mmφ 73×58×2.2mm 33mmφ
質量 2.1g 11.7g 8.2g
表面印字 内蔵 ID の下4桁 内蔵 ID の下 4 桁または 5 桁 内蔵 ID の下4桁
読取距離* 47cm 47cm 44cm
準拠規格 ISO11784/11785
通信方式 FDX-B
内蔵コード 試作コード(999+12 桁の個体識別番号)
装着 牛の右耳に装着する。
注)*:DATAMARS 製ハンディリーダ ISO MAXIII(磁界強度=122db μV/m at 3m)による読取距離を示す。
図3-1 実証試験に供した電子耳標
3.電子耳標実証試験
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3)酪農場における実証試験(家畜改良 センター内搾乳パーラー)
① 試験計画
乳牛に電子耳標を装着し「フリーストール 牛舎→待機場に集合→パーラーで搾乳→フリ ーストール牛舎に戻る」の朝夜1日2回の搾 乳作業の流れ(図3-2)の中で、電子耳標の脱 落等の耐久性、読み取り性能、アンテナの位 置等の検討を行う。読み取りデータの PC への 無線転送データ収集・管理、さらに模擬セン ターへの登録を実施し実用技術の開発を行う。
実証試験の年度計画
平成15年度:電子耳標装着、読取アンテナの 構築、ID 無線転送システムの構 築
平成16年度:電子耳標再装着、非読取検出装 置試験、模擬登録センター構築 平成17年度:電子耳標再装着、読取アンテナ
改良、読取試験
牛導入口 アンテナ B 事務所内 PC(アンテナから無線でデータ転送)
体重計 追込み可動柵 アンテナ A 待機場 搾乳パーラー
・アンテナ寸法:1500×800mm ISO11784 準拠
・無線仕様:周波数 449.715~449.825MHz 各 10 チャンネル 形式 FID 変調 FSK 送信電力 10mW
図3-2 実証試験機器配置図
② 平成15年度実証試験 ア 試験方法
a 搾乳牛43頭に貼付型電子耳標を装着。テ ストの結果、牛の歩行中にその電子耳標の ID を読み取れることが確認された。
b 搾乳パーラー通路左右に2箇所アンテナ システムを設置。アンテナを支える金属柵 部を木製に変えることが出来ず、柵から前 方に10cm 離した位置に設置した、金属柵パ イプの影響が懸念されたが読み取りは可能 であった。無線通信装置を組み込み事務所 内に設置した PC に無線でデータを送り込 めることを確認した。(図3-3)
目的牛以外の誤読み取りを防ぐためアン テナAに電波反射板を取付けた。
イ 試験結果
a 貼付電子耳標の読み取り性能は実用に耐 える事が確認できたが、今回のペルタック への装着には無理があることが確認出来た。
装着方法は検討が必要である。
b 実験場がパーラー内であり各種機器のノ イズ、搾乳器自体の無線電波など条件は過 酷であったが、ISO 規格電子機器システム の対環境性の高さは確認できた。
c アンテナ等新設機器に強い興味を持つ牛 が前で立ち止まり、同じ ID が何10回も記録 される例が多く、PC 記録上での対応が必要 である。
アンテナ設置前の通路 牛の動き アンテナ B
事務所内データ処理用 PC:アンテナ A、B より
無線でデータが毎日蓄積される、また別場所に設置されている模擬登録センター
(サーバー上)にデータが自動送信される。
図3-3 搾乳パーラーにおける実証試験
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表3-1 平成15・16年度 電子耳標(貼付型)読み取り率と脱落率試験
日時・場所 平成 16 年 3 月 10 日~7 月 29 日 家畜改良センター 搾乳パーラー及びフリーストール 試験牛 ホルスタイン42頭、ジャージー1頭 計43頭試用耳標 貼付型耳標をペルタック(薬液含浸)耳標に接着して牛に装着
表の解説: 不在 乾乳・乳房炎などで他牛舎へ移動してしまって、パーラーに入場せず 1 アンテナで読取れた時(データ有)は 1
0 アンテナで読取れなかった時(データ無)は 0
読取り率 1ヶ月後は 92%、3 ヶ月後は 27%まで低下 貼付型のペルタックからの剥れ落が多い ハンドリーダー
調査
9月2日のハンドリーダーの読取り調査では、対象牛21頭中、12頭脱落、4頭故障し、5頭が正常に読取 れた。このときの貼付型の脱落率は57%であった。
→調査
3/10 3/11 3/17 3/17 4/10 7/10 7/28 7/29 9/2 IDの
PM AM AM PM AM AM AM AM ハンド読取り 有無
1 342 1 0 1 1 1 不在
2 786 1 1 不在
3 2766 1 1 1 1 不在
4 3831 1 1 1 1 1 0 0 0 0 無 脱落
5 3855 1 1 1 1 不在
6 3961 1 1 1 0 1 不在 0 無 脱落
7 4180 1 1 1 0 1 不在
8 4203 1 1 1 1 1 不在 0 無 脱落
9 4210 1 1 1 1 1 0 0 0
10 4227 1 1 1 1 不在 0 0 0 0 無 脱落
11 4241 1 1 1 1 1 不在
12 4388 1 1 1 1 1
1
1 0 0 無 脱落13 4418 1 1 1 1 0 0 不在 0 有 故障
14 4593 1 0 1 1 1 不在
15 4746 1 1 1 1 1 不在
16 4760 1 1 1 1 1
1
1 1 0 無 脱落17 4791 1 1 1 1 1
1
1 1 1 有18 4821 1 1 1 1 1
1
0 0 0 無 脱落19 4906 1 1 1 1 0 0 0 0 0 有 故障
20 4951 1 1 1 1 1 不在
21 5118 1 1 1 1 1
1
1 1 1 有22 5125 1 1 1 1 1
1
不在23 5170 1 1 1 1 1 不在
24 5194 1 1 1 1 1 不在
25 5231 1 1 1 1 1 0 0 0 0 有 故障
26 5309 1 1 1 1 1 0 0 0 0 無 脱落
27 5316 1 1 1 1 1 0 0 0 0 有 故障
28 5354 1 1 1 1 1
1
1 1 0 無 脱落29 5491 1 1 1 1 0 不在 0 無 脱落
30 5569 1 1 1 1 1 不在 1 有
31 5590 1 1 1 1 1 不在
32 5637 1 1 1 1 1 不在
33 5651 1 1 1 1 1 不在 1 有
34 5675 1 1 1 1 1 不在
35 5712 1 1 0 1 1 不在
36 5798 1 1 1 1 不在
37 5811 1 1 1 1 1 0 0 0 0 無 脱落
38 5835 1 1 1 1 1 不在
39 5842 1 1 1 1 1 0 0 0 0 無 脱落
40 5934 1 1 1 1 1
1
不在 1 有41 4616 1 0 1 1 1 不在
42 5552 1 1 1 1 1 不在
43 5644 1 1 1 1 1 不在
読取り数 43 40 41 40 35 8 5 4読取り数 5 貼付型ID脱落率 57%
非読取り数 0 3 1 2 3 10 10 11非読(ID有り) 4 (ID無/対象頭数) 対象頭数 43 43 42 42 38 18 15 15対象頭数 21
読取り率 100% 93% 98% 95% 92% 44% 33% 27%ID「有」 9
ID「無」 12
牛No 備考
③平成16年度実証試験 ア 試験方法
電子耳標再装着は札型・ボタン型のみ使用。
貼付型は15年度試験において耐久性などの問 題が出た(表3-1)、主原因はペルタック耳 標に貼付した事があげられる、薬液で表面が 濡れた状態であり接着が効かず特殊ホチキス 針でのみ装着している状態であった。装着前 の通常耳標に貼付すればこの点は改善される。
アンテナ関係では読み取り確認システムを 追加可動させた。模擬登録センターへのデー タ送受信は、公衆電話回線の工事費検討の上 取りやめ、携帯電話によるデータ送受信シス テムのみ行った。
読み取り確認システム概念図
牛が、個体識別アンテナの前に来て正常に ID を読み取ることが出来た場合と ID を読み 取れなかった場合を識別する。
ID を読み取れ無かった牛には:
a:電子耳標を装着していない場合 b:電子耳標を装着していても、機能しな
い場合(故障、外部ノイズ等)
c:電子耳標は正常であっても牛の挙動等 で読み取れなかった場合が有る。
構成はセンサーで牛の存在を確認し読み取 り指令を出す、このとき ID が読めなければ、
牛は入場したが ID は読めなかったので NO ID である、のち入場牛一覧表と比較しセンサー のみで確認した NO ID 牛の耳標などの状況を チェックすることにより、当 ID 耳標の脱落、
故障などの状況・原因を追究できる。(図3- 4、表3-3)
イ 試験成果
新たに46頭に、札型・ボタン型耳標を追加 装着した。
データ収集は、毎日朝夕の搾乳時に行なっ た (表3-3)。札型・ボタン型耳標において は、耳切れ等による脱落以外は目立った非読 み取りは見られず、実用に使用できる可能性 は高い。
貼付型の電子耳標は、擦りつけ等によると 思われる、破損や剥離による損傷の発生が多 かった(図3-5)。
読み取り確認システムは実証試験を行ない ながら改良を加え、作動確認を実施した後、
据置型読取装置に組み込んだ(図3-4)。
誘導柵 牛検出センサー パソコン
コントローラ 無線ユニット 無線ユニット
図3-4 読み取り確認システム概念図
アンテナ
非読取検出用 警報表示
Power Max
-16-
表3-2 パソコン内のデータのイメージ
時間 ID 牛番号 非読取
1 2003/xx/xx xx:xx:xx Xxxxxxxxxxxxxxx Xxx
2 2003/xx/xx xx:xx:xx 1
3 2003/xx/xx xx:xx:xx Xxxxxxxxxxxxxxx Xxx 4 2003/xx/xx xx:xx:xx Xxxxxxxxxxxxxxx Xxx
再装着後ハンドリーダによる確認
通信不可となった貼付電子耳標 表面が擦れコイルが一部破損、ベース耳標はペルタック(薬液付耳標)
図3-5 貼付型耳標の損傷例
表3-3 平成16年度 電子耳標(札・ボタン型)読み取り率試験
日時・場所 平成16年11月25日~12月25日・家畜改良センター搾乳パーラー 表の解説 試験牛 ホルスタイン46頭
試用耳標 札型・ボタン型23頭×2種=46頭
不在 乾乳・乳房炎などで他牛舎へ移動してしまって、パーラーに入場せず。
1 アンテナで読取れた時(データ有)は 1 0 アンテナで読取れ無かった時(データ無し)は 0 平均読取り率 札型=86.9%ボタン型=84.5%と大差は無い。
装着電子耳標: 札型
11/25 11/26 11/26 11/27 11/30 12/1 12/1 12/5 12/5 12/6 12/6 12/7 12/7 12/25 12/25
PM AM PM AM PM AM PM AM PM AM PM AM PM AM PM
1 441 0 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 0 1 1
2 442 1 1 1 1 0 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1
3 458 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 0 1 0 1 1
4 466 0 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 0
5 471 1 0 1 1 1 0 1 1 1 1 1 1 1 1 1
6 487 0 1 1 1 0 1 1 1 1 1 1 0 1 1 1
7 493 1 1 1 1 0 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1
8 498 1 0 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 0 1
9 507 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 0 1
10 511 0 0 0 1 0 1 1 1 1 0 1 0 1 不在
11 523 1 1 1 1 1 1 0 1 不在
12 528 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1
13 544 1 1 1 1 1 1 1 1 0 1 1 1 1 1 1
14 549 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 0 1 1 1 1
15 563 1 0 1 1 1 0 1 1 1 1 1 1 1 1 1
16 576 1 1 1 1 0 1 1 1 1 1 1 1 0 1 1
17 578 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 0 1 0 1 1
18 582 1 1 1 1 1 1 1 0 1 1 1 1 1 1 0
19 585 1 1 1 0 1 1 0 0 1 1 1 0 1 1 0
20 586 1 0 1 1 1 1 0 1 1 1 1 0 1 1 1
21 590 1 1 1 1 1 1 0 0 1 1 1 1 1 1 1
22 591 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1
23 592 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 不在
対象頭数 23 23 23 23 23 23 23 23 22 22 22 22 22 21 20 22
非読取り数 4 5 1 1 5 2 4 3 1 1 3 4 4 3 3 3
読取り数 19 18 22 22 18 21 19 20 21 21 19 18 18 18 17 19
読取り率 82.6% 78.3% 95.7% 95.7% 78.3% 91.3% 82.6% 87.0% 95.5% 95.5% 86.4% 81.8% 81.8% 85.7% 85.0% 86.9%
平均読取り率
装着電子耳標: ボタン型
11/25 11/26 11/26 11/27 11/30 12/1 12/1 12/5 12/5 12/6 12/6 12/7 12/7 12/25 12/25
PM AM PM AM PM AM PM AM PM AM PM AM PM AM PM
1 81 1 1 1 1 1 1 1 0 1 1 1 1 1 1 1
2 83 1 1 1 1 1 1 1 0 1 1 1 1 1 1 1
3 84 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1
4 85 1 1 0 1 1 1 1 0 1 1 0 1 1 0 1
5 90 0 1 1 1 1 1 1 1 1 0 1 1 1 不在
6 94 1 1 1 0 0 1 1 0 1 0 1 0 1 0 1
7 96 1 1 1 1 1 1 1 0 1 1 1 1 1 0 1
8 97 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1
9 98 1 1 1 1 0 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1
10 99 1 1 1 1 1 0 1 1 1 1 1 1 1 1 1
11 103 1 1 1 1 1 0 1 1 1 1 1 1 1 1 1
12 105 1 1 1 1 1 1 1 0 0 1 1 1 1 0 0
13 107 0 1 1 1 1 1 1 0 1 1 1 1 0 1 1
14 108 1 1 1 0 1 1 1 0 1 1 1 1 1 1 0
15 111 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 0
16 113 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1
17 119 1 1 1 1 1 1 1 1 1 0 1 1 1 1 1
18 445 1 1 1 1 0 0 1 0 0 0 1 0 1 1 1
19 594 1 1 1 1 1 1 1 1 1 0 0 1 1 1 1
20 595 0 0 1 0 1 1 1 0 0 1 0 0 1 0 0
21 596 1 1 1 1 0 1 1 1 0 0 1 1 1 1 1
22 599 1 1 1 1 1 1 0 1 1 0 1 1 1 1 1
23 600 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1
対象頭数 23 23 23 23 23 23 23 23 23 23 23 23 23 22 22 23
非読取り数 3 1 1 3 4 3 1 10 4 7 3 3 1 5 4 4
読取り数 20 22 22 20 19 20 22 13 19 16 20 20 22 17 18 19
読取り率 87.0% 95.7% 95.7% 87.0% 82.6% 87.0% 95.7% 56.5% 82.6% 69.6% 87.0% 87.0% 95.7% 77.3% 81.8% 84.5%
平均読取り率 牛No
牛No
- - 18 ④ 平成17年度実証試験
ア 試験方法
搾乳パーラーにおいて、朝夕の搾乳時に電 子耳標の自動読み取りを実施した結果は表3 -6のとおりである。
牛の ID 番号毎に、"1"は牛が通過したこと が記録された場合、"0"は牛の通過が記録さ れなかった場合である。搾乳パーラーでは必 ず通路を通過することから、なんらかの原因 で読み取りできなかったことになる。
表3-6を見ると、読取率は札型耳標では80
~100%であり、ボタン型耳標では70~95%で ある。据置型のアンテナの指向性や設置位置、
周辺の金属による電波障害、アンテナの受信 範囲に同時に複数頭が侵入したための読み取 り不能等が考えられた。したがって、通路の 構造の改善について搾乳作業に支障が起こら ない範囲で対策を講じてみた。すなわち、A
アンテナは現状のままで、B アンテナをセン サー検知方法・位置等を読み取り率の改善を 目指し変更改良を行った。(表3-5) a アンテナを前(内側)に出す。通路幅を狭
くする。
b アンテナの感度調整
c 読み取り確認システムの位置変更。 横位 置から上部に変更
d 焦電センサーを設置
e ID 情報受信のパソコンの設定変更
イ 試験結果
自動読取装置のアンテナ設置方法及び関連 設備の改良を行い、アンテナを読み取り試験 を行った結果、アンテナは正常稼動しており、
読み取り距離は80cm まで可能であることを 確認した。
改良前
改良後
(写真内○印のところが上記a~dの改良箇所)
図3-6
表3-6 平成17年度 電子耳標(ボタン・札型)読み取り試験結果
装着ID:札型
12/9 12/10 12/10 12/11 12/11 12/12 12/12 12/13 12/13 12/14 12/14 12/25 12/25 1/20 1/20 2/1 2/1 2/27
PM AM PM AM PM AM PM AM PM AM PM AM PM AM PM AM PM AM
1 563 04.11/25 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1
2 582 04.11/25 0 0 1 1 1 1 1 0 1 1 0 1 1 1 1 1 0 1
3 88 05.07/20 1 1 1 1 1 1 1 1 1 0 1 1 1 1 1 1 1 不在
4 92 05.07/20 1 1 1 1 1 1 1 1 1 0 1 1 1 1 1 1 1 1
5 101 05.07/20 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 不在
6 109 05.07/20 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 0 0 0 0 0 不在
7 168 05.12/07 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 0 1 1 1
8 170 05.12/07 1 1 0 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 0 1 1 1 0
9 175 05.12/07 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1
10 461 05.12/07 1 1 0 1 1 1 1 1 1 1 1 1 0 1 1 不在
11 498 04.11/25 1 1 1 1 1 1 1 0 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1
12 523 04.11/25 0 1 1 1 1 1 1 0 1 1 1 1 1 1 1 1 1 不在
13 530 05.07/20 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 不在
14 549 04.11/25 0 0 1 1 1 1 1 1 1 1 1 0 1 1 1 1 1 1
15 571 05.07/20 1 1 1 1 1 1 0 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1
16 593 05.07/20 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 不在
読取り数 13 14 14 16 16 16 15 13 16 14 15 14 12 12 12 11 10 8 241
非読取り数 3 2 2 0 0 0 1 3 0 2 1 1 2 2 2 1 2 1 25
対象頭数 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16 16 15 14 14 14 12 12 9 266
読取り率 81.3 87.5 87.5 100.0 100.0 100.0 93.8 81.3 100.0 87.5 93.8 93.3 85.7 85.7 85.7 91.7 83.3 88.9 90.6%
平均読取率 装着ID:ボタン型
12/9 12/10 12/10 12/11 12/11 12/12 12/12 12/13 12/13 12/14 12/14 12/25 12/25 1/20 1/20 2/1 2/1 2/27
PM AM PM AM PM AM PM AM PM AM PM AM PM AM PM AM PM AM
1 81 04.11/25 0 1 1 0 0 1 1 1 0 0 1 0 0 不在
2 93 05.12/07 1 1 0 1 1 1 1 0 1 1 1 0 0 1 1 1 1 1
3 94 04.11/25 0 1 1 1 1 1 0 0 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1
4 95 05.12/07 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 不在
5 106 05.07/20 1 0 1 不在
6 111 04.11/25 1 1 0 0 1 1 1 0 0 1 1 1 1 1 0 1 1 1
7 122 05.07/20 1 1 1 1 0 1 1 0 1 1 1 不在
8 126 05.07/20 1 1 1 1 1 1 1 0 1 1 0 1 1 不在
9 127 05.07/20 1 1 1 1 1 1 1 0 0 1 1 1 1 1 1 1 1 1
10 134 05.07/20 1 0 1 1 1 1 1 0 0 1 1 0 1 不在
11 135 05.07/20 0 1 0 1 1 1 1 0 1 1 1 1 1 1 1 不在
12 136 05.07/20 0 1 1 0 1 1 1 1 1 1 1 1 0 不在
13 138 05.07/20 1 1 1 1 0 1 1 1 1 1 1 1 1 1 0 1 1 0
14 139 05.07/20 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 不在
15 140 05.07/20 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 0 1 1 1 1 1 1 不在
16 141 05.07/20 1 0 1 1 1 1 0 0 0 0 0 0 0 不在
17 142 05.07/20 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 0 1 1 1 1 1 0
18 144 05.07/20 1 1 1 0 1 1 1 1 1 1 0 1 1 1 1 1 1 不在
19 145 05.07/20 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 0 1 1 1 1 1 1 1
20 148 05.12/07 0 1 0 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 0 0 1
21 149 05.12/07 1 1 0 1 0 0 1 1 1 1 0 1 1 1 0 1 1 1
22 150 05.07/20 1 1 1 0 0 1 1 1 1 0 1 1 1 1 1 1 1 0
23 151 05.07/20 0 1 0 1 1 1 1 1 0 1 1 1 1 1 1 1 1 1
24 152 05.07/20 1 1 1 1 1 0 1 1 1 0 0 1 1 1 1 1 1 1
25 153 05.07/20 0 1 1 1 0 1 0 1 1 1 1 1 0 1 1 1 1 1
26 154 05.07/20 1 1 1 0 1 1 1 1 1 0 0 0 1 0 1 1 1 1
27 155 05.12/07 0 1 0 0 0 1 1 1 1 0 1 1 1 1 1 1 1 1
28 159 05.12/07 0 1 1 1 0 0 1 1 1 1 0 0 0 0 0 1 1 1
29 167 05.12/07 1 1 0 0 0 1 1 1 1 1 1 0 1 1 1 1 1 1
30 594 04.11/25 1 1 1 1 1 1 1 1 0 1 1 1 1 1 0 1 1 1
31 599 04.11/25 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 0 0 0 1 1 1
読取り数 22 28 23 22 21 27 27 21 23 24 21 21 22 21 18 21 21 16 399
非読取り数 9 3 8 8 9 3 3 9 7 6 9 8 7 3 6 1 1 3 103
対象頭数 31 31 31 30 30 30 30 30 30 30 30 29 29 24 24 22 22 19 502
読取り率% 71.0 90.3 74.2 73.3 70.0 90.0 90.0 70.0 76.7 80.0 70.0 72.4 75.9 87.5 75.0 95.5 95.5 84.2 79.5%
平均読取率 計
計
No. 装着日
No. 装着日
日時・場所 平成17年12月9日~平成18年2月27日・家畜改良センター、搾乳パーラー及びフリーストール
試験牛 31頭
試用耳標 札型16頭 ボタン型31頭 計47頭
不在 乾乳・乳房炎などで他牛舎へ移動してしまい、パーラーに入場せず 1 アンテナで読取れた時(データ有)は、1
表の解説 0 アンテナで読取れなかった時(データ無)は、0
読取り 率比較平均読取り率=ボタン型79.5% 札型は90,6%である 約10%札型が良い。
昨年のデータでは差がなかった。
- - 20
システム稼動状態説明 実証試験
図3-7 平成17年度「技術検討委員会」現地視察状況
表3-5 自動読み取り装置の改善結果
ウ 改善方向
a 読み取り確認システムについて
ⅰ.「NO ID」はデータ上だけではどの牛の ID を読み取ったのか判断がつかない。
ⅰ)前牛と繋がって通った
ⅱ)2頭以上が両センサーを塞いだ
ⅲ)逆行し戻った、などの場合にもNO ID表 示が確認された。
ⅱ.対応策:
ⅰ)当牛自動確認表示システム(ID対応自動 ペイント吹付け装置)の組み込み
ⅱ)画像自動モニタリングシステム
ⅲ)作業者の目視による確認等が必要であ り、省力化・コスト面からは再検討が必 要であろう。
ⅳ)改善例を図3-8に示した。
b ID システムが正常に作動する条件
ⅰアンテナの周囲の金属柵等を排除する。 (特にアンテナ取り付け部は木柵がよい)
ⅱアンテナ前通路に牛を重複入場させないため脚基を狭める等する。
ⅲ同様に逆行させない工夫を施す (参考資料のオーストラリア調査レポート参照)
図3-8 通路の工夫による複数頭の侵入防止改善例
⑤結果のまとめ
・貼付型電子耳標は、家畜の擦りつけ等による と思われる剥がれ落ちや破損があり、長期的 な利用には不向きであり、一時的な装着にの み利用可能である。
・札型電子耳標はボタン型と比較すると、表面 積が大きいので読み取り距離は長く、読取り 率もよかった。また個体識別番号も併記でき ることから目視による確認ができる利点があ る。
脱落率は、現状の札型のバーコード耳標の脱 落率と同等と想定されるが、コスト面から現 状のバーコード耳標のように両耳装着は困難 と思われることから、脱落による個体確認が できないトラブルは高くなると予想される。
・ボタン型電子耳標は札型と比較すると、表面 積が小さく牛の耳に隠れる為、故障・脱落は 札型に比べやや少なかった。しかし読み取り 距離はやや劣った。
・電子耳標の導入には、札型、ボタン型の特長 と利便性の面から判断して選択する必要があ る。
・自動読み取りにおいては、アンテナの形状や 設置方法による改善効果は限定されているこ と、アンテナの受信障害の原因となる金属類 の存在や、受信範囲に複数の個体が侵入する 場合など、施設の構造等の要素が、読取り率 などに影響を大きく影響した。とくに、複数 の牛がアンテナの受信範囲に進入することを 防止することは施設改善を含むことから、導 入に当って充分検討する必要がある。
・自動読み取り施設は、省力化、迅速化の面か ら効果的であるが、付帯施設の改良を伴う場 合が多いと予想されることから、ハンディリ ーダとの得失を充分検討する必要がある。
逆行防止弁 一頭しか通れない
下を狭めた通路
アンテナ取付け部は木製とし して周囲も金属柵をなるべく く避ける。
アンテナ 取付け部は 木製とする。
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4)肥育農場における実証試験
(有限会社 関東肉牛肥育 斉藤農場)
① 実証試験の目的
肉牛(肥育牛)に電子耳標を装着し、畜舎 内肥育環境における電子耳標の有効性を試験 する。
入出荷用通路に自動読み取り装置を設置し 月1回の電子耳標の読み取り計測、及び脱落等 の耐久性を調査を行い、電子耳標の有用性を 実証する。
② 実証試験の年度計画
平成15年度:電子耳標装着、読み取りアン テナの構築、ID 有線転送シス テムの構築、読取り試験 平成16年度:電子耳標読み取り、読み取り
確認システム試験、模擬登録 センター構築、分離可動柵構 築、自動読み取り試験 平成17年度:電子耳標再装着、自動読み取
り試験
③平成15年度実証試験結果
平成15年度は、主として電子耳標の自動読 み取りシステムの整備を行い、装着した耳標 の読み取りは予備試験として実施した。耳標 は札型・ボタン型・貼付型それぞれ10頭、計 30頭に装着した。装着はすべて右耳とした。
出荷出口へ通路右側に自動読み取りシステム を設置し、電子耳標読み取り試験のため既存 の通路・扉・分離柵など大幅に改造した。金
属の柵による電波障害を回避するため、アン テナ装着部周辺の通路のみ金属パイプを撤去 し、木製の柵に改造した。
読み取り確認システムは基本設定のみ行い 稼動は次期とした。データ送信システムに関 しては、装着した耳標の読み取り試験を実施 し読み取れることを確認した。プレハブの PC 作業室を新設し、同所までの場内回線を設置 した。(図3-10~18参照)
牛房約 10 頭 アンテナ 通路 新設可動柵 入路
出荷口
既存柵 新設可動柵
可動1頭分離柵
スタンチョン・分離ゲート
図3-9「斉藤農場機械設置図」
図3-12 設置したアンテナ 図3-13 スタンチョンシステム、耳標装着時に使用 (緑色)奥が読み取り通路
④ 平成16年度実証試験結果
電子耳標装着牛が出荷・移動などにより減 少したため、追加装着を行った。
平成16年度「技術検討委員会」の現地視察 として、当農場において試験設備を用いた実 証試験のデモンストレーションを実施した。
自動読み取りシステムを設置した通路は、
直線で幅が広いため計測時に複数頭の牛が侵 入することによりアンテナで読み取り不能に
なることを避けるため、アンテナの手前に分 離可動柵を設置した結果、有効に分離できる ことが確認された(図3-14、15、16、17、18)。
これは、既存施設の電子耳標の自動読み取 りシステムを導入する場合に有効な方法とな る。形状寸法等については、通路の幅だけで なく、牛の管理作業との兼ね合いがあり今後 検討を要すると考えられた。
「16年度技術検討委員会実施試験」
開催日時:平成16年7月21日
図3-10 斉藤農場牛飼養状況 1牛房に約 10 頭
図3-11 牛の耳に装着した貼付け型電子耳標。
既存の耳標の裏側に粘着及び特殊ホチ キスで装着。
図3-14 ハンドリーダでの読み取り実証 図3-15 読み取った ID を PC へ表示、模擬センターへ転送
- - 24 ⑤ 平成17年度実証試験結果
平成17年6月から札型耳標10頭及びボタン 型耳標10頭について自動読み取り試験を実施 した。アンテナを設置後3年経過していること
から、アンテナの再チェック性能試験及びそ の他設備機器も点検を行った後、試験を開始 した。(表3-10)
表3-10 設置したアンテナの受信範囲と指向性
図3-16 アンテナ部(外側より) 図3-17 委員の質問に答える斉藤農場主
図3-18 可動分離柵。電子耳標読み取り時に複数頭が侵入しないよう分離するために直
線通路をクランク状にし、通常作業時は引き込んでおく
。⑥ 肥育農場における実証試験の成果 ア. 斉藤農場の肥育形態は1牛房に約10頭の牛
を収容している。牛房は肥育牛が自由に動き 回れる広さがあるので耳標番号を確認すると きなど、牛が動き回り非常に困難を伴う。番 号の目視はある程度可能であるが、バーコー ドリーダによるバーコードの判読は牛を保定 しないと不可能である(図3-19)。
一方、電子耳標であればハンドリーダを利 用すれば、20cm 程度までならば読み取り可能 であり、光学読み取りに比べて指向性も広い ため、耳標番号の確認作業の効率化は大きな 意義がある(図3-20)。また、ハンドリーダ には、写真のような円形型だけでなく、ステ
ィック型もあるため、牛房内に入らなくても 牛にアンテナを近づけて読み取ることも可能 である。
また、ハンドリーダは少数頭の農家におけ る牛の搬入・搬出時において個体識別し、そ の番号をセンターへ直接送信することも可能 である。
現在、多くの現場で行われているファック ス・電話通信を使ったセンターへの報告作業 では避けられない人為的ミスを解消するため にも有効である。現在のバーコード方式でも、
読み取ったデータの携帯端末によるセンター への送信は導入可能な技術である。
イ.複数の牛の同時進入を避ける分離用可動柵
は有効に機能した。通路で自動読み取りを行 う場合には、牛が団子状に連なり頭が反対側 に隠れたり、またセンサーが確実に個体を認 識できない場合が多い。
参考資料として示したオーストラリアの例 では、1頭分離を確実にするためアンテナ前
通路に至る手前から進むほど下側が狭くな る曲線壁や逆行防止用スプリング作動柵な どを設け、電子耳標・アンテナ類が電子的性 能を完全に発揮できるようにしている。(図 3-21)