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(1)

「印刷エレクロニクス先端技術の 国内外技術動向とプロジェクト調査」

委託調査報告書

2010年3月

社団法人新化学発展協会

The Association for the Progress of New Chemistry

(2)

印刷エレクロニクス先端技術の 国内外技術動向とプロジェクト調査

20103

監修 DKN Research, LLC

62 Adams Street, Haverhill, MA 01830, U.S.A Phone 1-978-372-2345/Fax 1-978-469-0188

URL www.dknresearch.com

協力 エヌワイ工業株式会社 Hickman Associates, Inc.

合同会社 DKN リサーチ・ジャパン

(3)

印刷エレクトロニクス先端技術の 国内外動向とプロジェクト調査

委託調査の要約

 この数年、従来のシリコンウエーハー半導体や銅箔プリント基板をベースとしたエレク トロニクス技術とは基本コンセプトが異なる、印刷エレクトロニクス技術が新しい機能 による新しい用途で今後の市場を創造するものと期待されている。

 現在、すでに 1000 を超える企業、大学および研究開発機関が、最終的なデバイスはもと より、材料・加工プロセス・製造装置などの面から、印刷エレクトロニクスに関する新 しい技術、製品の実用化及び事業化を試みている。

 事例が増えるに従って、印刷エレクトロニクスの技術コンセプトと、経済的な価値への 理解が進んでいる。

 スクリーン印刷をベースにした厚膜回路印刷技術は着実に進歩しており、印刷エレクト ロニクスの主要構成技術として発展を続けている。

 インクジェット印刷やグラビア印刷などのプロセスは、一部の量産用途に採用されてい るものの、汎用性のある技術には至っていない。

 印刷による電子回路形成能力は、半導体を除いて、拡大している。多層回路、受動部品、

発光デバイス、表示デバイス、バッテリー、太陽電池、センサー等。

 微細パタン印刷能力は向上しており、実験室レベルでは、10 ミクロンのライン形成能力 が実現している。しかし、量産レベルでは 50〜100 ミクロンとなっている。

 従来の厚膜技術の延長線上にある製品(メンブレンスイッチ・RF タグ・医療用使い捨て センサーなど)では、量産が始まっており、成長し続けている。

 北米を中心に印刷法によるフレキシブル太陽電池の量産が始まっているが、厳しい価格 競争にさらされており、個々のメーカーの採算は取れていない。

(4)

 印刷プロセスで形成される一次電池、二次電池は、基本構成が確立され、欧米を中心に 量産が始まっている。

 e ペーパーや EL 発光体を使ったディスプレイ及び面状光源などの実用化が進んでおり、

市場を形成しつつある。

 他の回路技術に付加的に組み合わされた印刷エレクトロニクス技術は、有効に機能して おり、着実に用途を増やしている。PDP、埋込受動部品回路など。

 印刷エレクトロニクスに基づく画期的なアイデアの開発プロジェクトは数多くあるもの の、汎用性のある技術となるためには、まだ多くの時間を要する。

 印刷半導体の開発プロジェクトは、まだ様々なアイデアが実験室レベルで試みられてい る段階であり、技術的コンセプトが確立されるまで、まだかなりの時間を要する。

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-INDEX-

はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1

第1部 印刷エレクトロニクスの技術開発動向 ・・・・・・・・・・・・・・・ 3 1 基本技術の動向 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3

1.1 印刷エレクトロニクスの位置付け・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 1.2 フォトリソグラフィ・エッチングとの比較及び役割分担・・・・・・・・ 4 1.3 高機能厚膜回路技術・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6 1.4 高機能厚膜回路技術の比較・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8 1.5 印刷エレクトロニクスの構成要素・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10 1.6 高機能厚膜回路技術の精細パタン形成能力・・・・・・・・・・・・・・ 11 1.7 高機能厚膜回路技術の多層化能力・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13 1.8 高機能厚膜回路技術の受動部品内蔵能力・・・・・・・・・・・・・・・ 19 1.9 高機能厚膜回路技術の能動部品・機能部品形成能力・・・・・・・・・・ 25 1.10 フレキシブル・エレクトロニクスとの関係・・・・・・・・・・・・・・ 33 1.11 他の電子回路技術との融合・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33

2 材料技術の開発動向・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 35

2.1 導体材料(微細回路用、高導電率用、シールド用)・・・・・・・・・・ 35 2.2 接点材料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 40 2.3 絶縁材料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 40 2.4 誘電体材料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 41 2.5 抵抗材料(印刷抵抗用)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 42 2.6 磁性材料(印刷コイル用)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 42 2.7 光学材料・発光材料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 43 2.8 半導体材料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 44 2.9 ピエゾ材料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 45 2.10 電池材料(印刷一次、二次電池)・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 45 2.11 太陽電池用材料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 46 2.12 透明電導性材料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 46 2.13 接合用材料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 47 2.14 サブストレート材料と表面処理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 47

(6)

3 プロセス技術の開発動向・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 50

3.1 印刷法の比較・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 50 3.2 高性能スクリーン印刷・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 51 3.3 インクジェット印刷・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 52 3.4 その他の印刷技術 (グラビア、フレキソ印刷など)・・・・・・・・・・ 54 3.5 RTR 生産システム ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 56

4 応用技術の開発動向・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 57

4.1 RFID タグ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 57 4.2 メンブレンスイッチ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 58 4.3 各種ディスプレイ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 58 4.4 太陽電池・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 63 4.5 一次電池・二次電池・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 65 4.6 医療用途 (使い捨てセンサーなど)・・・・・・・・・・・・・・・・・ 66 4.7 埋め込み電子部品用 (受動部品、能動部品、機構部品)・・・・・・・・ 67

5 主要メーカー、研究機関の動向・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 69

5.1 日本 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 69 5.2 アジア諸国(韓国、台湾、シンガポール)・・・・・・・・・・・・・・ 69 5.3 欧米諸国(米国、カナダ、EU)・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 69 5.4 主要団体・イベント・メディア ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 69

6 市場成長予測・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 71

7 結語・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 72

第2部 印刷エレクトロニクス関連企業団体一覧・・・・・・・・・・・・・・ 73

(7)

はじめに

この数年エレクトロニクス分野で印刷エレクトロニクス技術(プリンタブル・エレクトロ ニクス、あるいはプリンテッド・エレクトロニクスとも呼ばれている。)が大きな技術テーマ として取り上げられているようになっている。

印刷エレクトロニクスとは、様々な電子回路を、全て、あるいは一部を印刷プロセスで形 成しようというものであり、これまでのフォトリソグラフィやエッチングのプロセスでは実 現が難しかった様々な新しい機能を創造できる可能性があると期待されている。このため、

世界中で多くの企業、大学、研究開発機関が、様々な分野で印刷エレクトロニクスの実用化 及び事業化を目指して邁進している。 印刷エレクトロニクスは非常に広い概念の技術コンセ プトであり、適用されうる用途も多様である。

本レポートでは、印刷エレクトロニクスについて、最終的な電子デバイスのみならず、印 刷プロセス、材料、装置などについても、その技術動向、事業化動向について調査分析した ものである。さらに本レポートでは、1000 社以上あると考えられる印刷エレクトロニクス関 連メーカー、団体などの中から、業界のリーダーシップをとっている約 70 社を取り上げて、

その活動内容を紹介する。

本レポートは第1部と第2部から構成されている。

第1部では、印刷エレクトロニクスに関する技術動向、事業動向について調査分析を行っ ている。調査方法としては、各企業、団体からの直接、間接的聞き取りと、DKN リサーチ社 内のデータベースを主体とし、それに独自の分析を行った。必要に応じてネットワークを通 じて得た情報を追加している。技術的な比較のためには、実際にプロセスでの実験を行った 他に、各メーカーから提供されたサンプルや技術資料により技術評価を行っている。

第2部の個別企業の印刷エレクトロニクスに関する活動の紹介は、基本的に各企業から提 供された情報をまとめたもので、第三者的に見た客観性は尐ない。したがって、個々の企業 情報が、第1部の技術分析結果と矛盾するケースがありうる。紹介企業は各々の分野から満 遍なく選別するようにしたが、情報提供が得られなかったために取り上げていない企業があ ることを了解されたい。ここでは、限られたスペースでできるだけ多くの企業活動を紹介す るために、一般企業情報の掲載は最小限度にとどめている。さらに詳しい企業情報が必要な 場合には、企業ごとのホームページアドレスを掲載しているので、各自ネットを通じて閲覧 されたい。ホームページに掲載されていないような詳細情報については、個々の要請にDK Nリサーチにて別途対応する。

(8)

本レポートで扱う対象は、ポリマー(有機)厚膜回路技術をベースにしたエレクトロニク ス技術、エレクトロニクス製品に関するテーマを主体とする。尚、厚膜印刷技術を重要な製 造プロセスとして使っていても、部分的で主要プロセスとはいえない場合は取り上げない。

(プラズマディスプレイ・ソルダマスク付き多層電子回路基板及びソルダペーストを印刷す る電子部品方面実装プロセスなど)。また、無機材料(セラミック)厚膜回路技術については、

特に関係がある場合を除いて触れないことにする。

(9)

第1部 印刷エレクトロニクスの技術開発動向

1. 基本技術の動向

1.1 印刷エレクトロニクスの位置付け

近年、新しいエレクトロニクス技術として、印刷エレクトロニクスが話題になってい る一方で有機(オルガニック)エレクトロニクス、ポリマー・エレクトロニクス、フレキシ ブル・エレクトロニクスなどの類似の用語がつかわれるようになってきている。現在こ れらの用語の定義について、しかるべき業界団体や学術団体が明確な定義を出している わけではないが、相互の関係を概念的に示したのが「図1.1様々な新しいエレクトロニ クスの関係」である。

上図で、Si/Cu・エレクトロニクスとしているのは、現在のエレクトロニクス産業の根 幹をなしているシリコンウエーハーを主体とした半導体技術と、導体として銅を使うプ リント基板や電線を主要材料とする電子回路形成技術である。(実際の電子回路形成にあ たっては半導体以外の電子部品も必要になる。) これに対して、新しいエレクトロニク ス技術は全く異なる材料系を適用することにより、これまでのSi/Cu・エレクトロニクス では実現できなかった機能、あるいは技術的な障壁が高く、コスト高になっていた機能 を低コストで量産提供しようとしている点で共通している。印刷エレクトロニクスにお いてはすでに量産レベルで実績があるのに加え、近年の関連技術の向上によって大きく 可能性を広げている。その他の有機(オルガニック)エレクトロニクス、プラスチックエ レクトロニクス、ポリマー・エレクトロニクスなどは、完全に重なるものではないにし

Si/Cu・エレクトロニクス

プリンタブル(印刷)・

エレクトロニクス

フレキシブル・

エレクトロニクス

有機(オルガニック)・

エレクトロニクス

ポリマー(高分子)・

エレクトロニクス

プラスチック・

エレクトロニクス

↑図1.1 様々な新しいエレクトロニクスの関係

(10)

ても、加工プロセスとして印刷技術を使うことを前提にしており、この分野の主要な部 分が印刷エレクトロニクスの範囲に含まれるものと考えてよい。

一方フレキシブル・エレクトロニクスは、フォトリソグラフィ・エッチング技術を使 うフレキシブル基板として大きな実績があり、その技術の延長線上で検討が進んでおり、

応用例が尐なくない。しかしながら、これまでのフレキシブル基板の材料技術、設計技 術、製造技術に印刷技術を加えることにより、これまでできなかった機能を生み出し、

新たな応用分野を創造し、そして大きな市場を形成する可能性を秘めているといえる。

1.2 フォトリソグラフィ・エッチングとの比較及び役割分担

電子回路を印刷プロセスで形成する考え方自体は決して新しいものではない。導電性 インクをスクリーン印刷プロセスによって回路形成するいわゆる厚膜回路技術は、1970 年代には基本的な技術が確立され、これまでに 30 年以上の歴史があり、現在ではパーソ ナルコンピュータのメンブレンスイッチ、電子レンジのタッチパネル、その他の事務機 器、家庭用電化製品の操作パネルのほとんどが、プラスチックフィルムをベースにした 銀厚膜印刷で構成されている。(図 1.2・図 1.3 参照)

(注記:厚膜回路という用語は、蒸着やスパッタリング、めっきなどの物理化学的プ ロセスを使って形成される電子回路が薄膜回路と呼称されたのに対して、スクリーン印 刷プロセスによって形成される回路が相対的に厚かったために使われるようになった。

最近のインクジェット印刷プロセスでは、100 ナノメートル未満の厚さで回路を形成でき るようになっているので語感としては適切ではなくなってきている。しかしながら、本 レポートでは、従来用語との混乱を避けるために、印刷プロセスを主体としたアディテ ィブプロセスで形成される電子回路を、厚さに関わりなく厚膜回路と呼ぶことにする。)

↑図 1.2 パーソナルコンピュータのメンブレンスイッチ

(11)

従来のスクリーン印刷プロセスによる厚膜印刷回路技術の能力は限られたものであり、

フォトリソグラフィ・エッチングプロセスで加工される銅箔をベースとしたプリント基 板と、フレキシブル基板とはほぼ住み分けができていると言ってよい。従来の厚膜印刷 回路技術は、表1.1に示されているように、生産性が高くてコストを抑えられ、受動部 品内臓が容易という点を除けば、銅箔回路に比べてほとんどの技術性能において、大幅 に劣っていると言ってよい。

表1.1銅箔回路と従来の銀厚膜印刷回路の比較

従来の厚膜回路 銅箔回路

最小回路ピッチ 300ミクロン 50ミクロン

導体層数 1~2 10以上

体積抵抗率 10-6Ω㎝ 10-8Ω㎝

はんだ付け性 困難 可能

埋め込み受動部品 可能 難しい

生産性 高い 低い

厚膜印刷回路の生産性が銅箔エッチング回路に比べて生産性が高く、製造コストを低 く抑えられるのは、図1.4に示されているように工程が単純で、自動化や高速化が容易 で、設備投資が小さいことによる部分が大きい。またベースサブストレートの選択肢が 広く、安価な材料を使えることも大きな要因となっている。

↑図1.3 電子レンジのタッチパネル

(12)

1.3 高機能厚膜回路技術

従来の厚膜回路技術は、主にスクリーン印刷によるものであり、その性能は印刷用ス クリーン版や印刷インクの精細パタン描画能力が限られていたために、適用できる範囲 は低密度の片面回路に限られていた。しかしながら、この数年間の印刷技術の進歩は目 覚ましく、また新規に高性能印刷材料の開発も相まって、まったく新しいパタン形成技 術と言ってよいほどの様相を示している。表 1.2 はその例として、従来のスクリーン印 刷と新しいスクリーン印刷との比較を示したものである。スクリーン印刷の能力は、イ ンク自体の能力の他に、印刷機の能力とスクリーン版の能力の両者に依存するところが 大きい。しかしながら、印刷の精細度、寸法精度、厚さ範囲などは、スクリーン版の性 能に依存するところが大きい。印刷エレクトロニクスで各種電子デバイスを形成するに あたっては、導体材料の他に、各種機能材料を複数回数印刷することが必要であるが、

新しいスクリーン印刷プロセスはこの面での能力向上がめざましい。

レジスト塗布

パターン焼付 現 像

銅箔エッチング レジスト剥離 銅箔&ベース材料

銅張積層板

銅箔回路のエッチングプロセス

↑図 1.4 厚膜回路と銅箔エッチング回路の加工プロセスの比 較

厚膜回路印刷プロセス ベース材料

乾燥 ベーキング スクリーン印刷

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表 1.2 新旧スクリーン印刷技術の比較

従来のスクリーン印刷 新しいスクリーン印刷

最小線幅 >80μ m <20μ m

寸法精度 ±0.5% ±0.2%

パタン位置合わせ精度 ±300μ m ±20μ m

重ね印刷回数 2~3 回 10 回以上

印刷可能材料 レジスト材料 導体材料 保護材料 抵抗材料(低精度)

レジスト材料 導体材料 保護材料 抵抗材料(高精度)

誘電体材料 磁性材料 発光材料 電池材料 光電(太陽電池)材料 (上記の印刷能力は単一メーカーのものではなく、主要メーカーの代表値から 高いものを集めたものである。)

新しい厚膜印刷回路形成技術の主体は、高機能スクリーン印刷技術であるが、新たに 加わった技術としてインクジェット印刷、さらにはグラビア印刷、フレキソ印刷などの 輪転機タイプのプロセスを使うケースも考えられる。また、印刷プロセスに加えて、マ イクロパンチングプロセス、レーザードリリング、レーザートリミング技術等を組み合 わせることにより、ビアホール構造、多層回路構造、埋め込み部品形成などが、簡単な プロセスで行えることになる。

特に新しい高機能厚膜印刷技術の大きな特徴として上げられるのが、既存の電子回路 に対して、付加的に回路や部品を付け加えることができることである。これらの特徴を うまく使えば、電子回路メーカーとしては、設計の自由度が大幅に広がることになり、

新製品への初期投資を小さく抑えられるだけでなく、製造コストを小さくすることがで きる。

高機能厚膜印刷技術に使われるインクの性能の向上もめざましい。表 1.3 は従来の印 刷銀導体インクと、新しく開発されてきている印刷銀導体インクを比較したものである。

(※いわゆるナノインクは含まれていない。)導体回路の微細パタン形成能力で比べれば、

高機能厚膜印刷技術は銅箔エッチング回路と同等のレベルまできているということがで きる。

新しい導体インクでは、微細パタン形成能力だけでなく、導電率、サブストレートと の密着性、耐熱性、はんだ付け性などの能力も大幅に向上してきている。ただし、これ らの印刷能力が単一のインク材料によって達成できるわけではなく、目的に応じて多様 なインクが調整されているといった方がよい。

(14)

従来の導体インク 新しい導体インク

最小線幅 >80μ m 20~30μ m

最小厚さ >5μ m 1~2μ m

体積抵抗率 10-5から 10-6Ωcm 10-7Ωcm

はんだ付け 不可 可能

(上記の印刷能力は単一メーカーのものではなく、主要メーカーの代表的な値 を集約したものである。最小線幅は印刷プロセスと対象となるサブストレート により大きく変化する)

1.4 高機能厚膜回路技術の比較

回路形成技術の能力は微細導体パタン形成能力だけで評価されるべきではない。

高機能厚膜印刷回路の要因ごとの能力を従来の厚膜印刷回路技術および銅箔エッチング 回路と比較しているのが図1.5である。従来の厚膜印刷回路技術は、銅箔エッチング回 路に比べて多くの点で劣っていたのに対して、高機能厚膜回路では大幅に技術の向上が あり、銅箔エッチング回路技術に近くなっており、中には上回るレベルになっている。

しかも、高い生産性や低コストなどの従来の厚膜印刷回路技術の長所は維持している。

前節でも述べたように、新しい高機能厚膜回路技術では、微細パタン形成能力が大幅 に向上しており、メーカーによってはスクリーン印刷、インクジェット印刷、グラビア 印刷などのプロセスで10ミクロンの導体回路パタンの形成が可能になっている。導電性

↑図1.6 各種回路形成技術の比較

表1.3 新旧導体インクの比較

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の向上もめざましい。通常の銅箔エッチング導体に比べて、従来の厚膜回路導体が体積 抵抗率で、二桁から三桁大きかったのに対して、高導電率のインク材料を使った新しい 高機能厚膜回路技術で形成した回路導体は一桁以内まで差が縮まってきている。

新しい高機能厚膜回路技術では、いくつかのビアホール形成技術、積層技術を組み合 わせることにより、多様な構成の多層回路を高い生産性で生産できるようになってきて おり、同じ層構成の銅箔エッチング回路に比べて、大幅にコストダウンが可能になって いる。

銅箔エッチング回路が使えるサブストレート材料は、ラミネートメーカーの銅張積層 板製品の品揃えの範囲に限定されるのに対して、厚膜印刷回路は制約が尐なく、多様な 選択肢を持っている。回路メーカーは、用途に応じて安価な汎用材料から高機能材料ま で高い自由度で選ぶことができる。 新しい高機能厚膜回路技術ではその範囲がさらに広 がっている。

これまではんだ付けができないことは、従来のポリマーバインダー系厚膜回路の主要 な欠点のひとつであった。しかしながら新しい高機能厚膜回路技術では、適用範囲に限 定はあるものの、直接はんだ付けを行うことが可能になっている。また銅箔エッチング 回路で使われる各種接合技術も、大きな変更をほどこさずに適用できるようになってい る。

高機能厚膜回路技術は、回路の大きさの制約が小さいことも大きな特徴である。銅箔 エッチング回路で構成できる大きさが、銅張積層板と加工設備のワークサイズの制約を 受けるのに対して、スクリーン印刷では 3 メートル角の印刷が可能であるほか、一般に 厚膜印刷回路は重ね印刷が可能であり、RTR プロセス技術を組み合わせることにより、実 質的に無限長の回路形成が可能である。

従来の銅箔エッチング回路でも、特殊なラミネート材料を積層することにより、多層 回路の中に電子部品機能を、直接埋め込み形成する試みがなされているが、技術的、製 造コスト上の障壁が高く、民生用として実用に供することができるレベルではない。一 方、新しい高機能厚膜回路技術では、多様なインク材料と部分印刷機能を組み合わせる ことにより、様々な電子デバイスを、安価に直接形成することができるようになってい る。受動部品については、基本的な部品機能構成は確立されており、適用できる範囲が 広がっている。発光部品も、印刷可能なインクが実用化してきているために、直接形成 が可能になってきている。太陽電池の他に、一次電池、二次電池の印刷形成も実用化し ている。印刷可能なダイオードやトランジスタのような半導体は、現在基礎技術の開発 が進められている段階である。

製造の生産性、コストに関しては、高機能厚膜回路技術は、銅箔エッチング回路技術 に比べて圧倒的に優位にあるといってよい。多層銅箔回路を製作するには、エッチング 工程の他に、ドリリング、スルーホールめっき、フォトリソグラフィ、積層、各種化学 処理工程が必要であり、全体のプロセス構成は極めて煩雑なものになっている。一方、

新しい高機能厚膜回路技術では、サブストレートの穴開けに若干の機械設備が使われる 以外は、印刷とベーキングの繰り返しだけであり、必要な設備は印刷機と熱処理オーブ

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ンだけである。またプロセス自体も単純である。したがって、小さい設備投資で高い生 産性が得られることになり、銅箔エッチング回路に比べて製造コストが大幅に小さくな る。

厚膜回路の加工工程は、基本的にドライプロセスだけで構成されており、エッチング プロセスのように有害な廃液を出さないので、薬液タンクや廃液処理装置が必要なく、

環境に優しいプロセスということができる。(工程中で若干の溶剤が気化、排出されるの で、ダクトに溶剤回収装置は必要になる。)

以上説明してきたように、新しい高機能厚膜回路技術は、従来の銅箔エッチング技術 に比べて、特に多層回路の形成、埋込部品の形成で優位な位置にあり、今後実用化が進 む印刷エレクトロニクス、フレキシブル・エレクトロニクスを構成するための主要技術 になるものと考えられる。

1.5 印刷エレクトロニクスの構成要素

印刷エレクトロニクスを構成する要因の関係を示しているのが図1.7である

関係する要素としては、大きく分けてアプリケーション側の要素と製造側の要素に分け られる。アプリケーション側は用途ごとに設計技術、システム化技術、評価技術が必要 である。一方製造側は、ある程度の汎用性を持った技術の構築が可能と考えられる。 (導 電性インク材料、スクリーン印刷プロセスなど)。それでも、規模の大きなアプリケーシ ョンについては、専用の材料技術、製造プロセス技術の構築が必要である。

↑図1.7 印刷エレクトロニクスの構成要

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1.6 高機能厚膜回路技術の精細パタン形成能力

従来のスクリーン印刷を主体とした厚膜回路形成プロセスで得られる導体回路の最小 幅は、150~200 ミクロンで、銅箔エッチング回路に比べるとかなり見务りする。一方、

この数年間での高機能厚膜回路技術の微細回路形成能力は確実に進歩してきており、50

〜80 ミクロンの線幅が、量産レベルで得られるようになってきている。試作レベルでは、

スクリーン印刷、インクジェット印刷、グラビア印刷などで 10 ミクロン幅の導体回路が 印刷形成できているといわれている。ただし、これらの値は限られた条件下で、歩留ま りや製造コストを度外視して得られたものであり、工業レベルで実用化されるまでには、

いずれの工法でも、年単位での技術開発努力が必要と考えられる。

原理的な観点でみれば、最新の装置に最新の版技術を組み合わせれば、スクリーン印 刷、インクジェット印刷、グラビア印刷など、いずれの印刷法でも 10 ミクロンの線幅が 出せることが示されている。(図 1.8)しかしながら、これらの工法を使って、実際に微 細な導体パタンを描き出すのは別な次元の技術的な障壁を乗り越えなければならない。

実際に導体の微細パタンを描き出すには、印刷装置、印刷版、インク材料、サブスト レート、印刷条件などが全てそろっていなければならない。個々の要因の能力を個別に 評価してみると、いずれも 10〜20 ミクロンの線幅形成能力をもっており、現状でボトル ネックとなっているのは、導体インクとサブストレート表面との相性である。これは表 面張力のようなひとつの数値で表わせるものではない。強いていうとすれば、両者の密 着性と濡れ性を合わせたようなもので,それぞれ大き過ぎても小さ過ぎてもいけない。大 き過ぎると、インクがサブストレート上で滲んでしまい、微細パタンが描けないし、小

図 1.8 スクリーン印刷による微細パタン

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さ過ぎると、サブストレート表面でインクがはじかれてしまい、シャープな細線になら ないか、パタンエッジの凹凸が大きくなってしまい、微細回路が描けない。これは、ど の印刷法にも共通することで、装置側の微細パタン描画能力を上げても、インクとサブ ストレート間の相性が良くならなければ、実際の導体微細パタンを形成することは難し いことを意味する。印刷に際して、サブストレートに特殊な表面処理を施すことにより、

微細導体パタン形成能力を向上させようとする試みがあるが、効果は限定的であり、汎 用性のある技術には至っていない。なお、微細導体パタンを形成するためには、いわゆ るナノインクとインクジェット印刷の組み合わせが前提であるかのように理解する向き があるが、上記のインクとサブストレートとの相性の問題を解決しない限り、あまり意 味のないアプローチである。特に回路製品の生産性や製造コストが重要なケースにおい ては、この組み合わせは市場競争力に欠けているといわざるを得ない。

一方、微細導体パタンを形成することに平行して問題になるのが、厚膜導体の導電性 の向上である。従来の厚膜導体の体積抵抗率が、金属銅に比べて二桁以上大きかったの にたいして、高機能厚膜印刷回路技術で採用されているインク材料系では、一桁以内ま で差が縮まってきている。現在厚膜導体の導電率を上げるために、大きく分けてふたつ のアプローチがなされている。ひとつは、導体パウダーの大きさを極限まで小さくする、

いわゆるナノパウダー、ナノインクの採用である。このアプローチは導体の単位体積あ たり(あるいは導体の単位断面積あたり)で考える、導体粒子間の接触面積を大きくし、

さらには単なる導電性粒子間の接触から、より電流容量の大きい金属/金属結合を生じ させるものであり、一定の成果を出している。ただし、現状ではナノパウダーのコスト が極めて高価なものになっているために、実用的な観点ではコストパフォーマンスが悪 く、実際の用途が得られないのが実情である。また導電性、微細パタン形成能力以外の 性能を犠牲にしていることが多く、ほとんど量産レベルの実需に結びついていない。も うひとつのアプローチは、導体粒子表面に予め特殊な化学処理を施しておき、印刷後の ベーキングプロセスの化学反応により、導体粒子間に金属/金属結合を生じさせると同 時に、実質の粒子間接触面積を増やそうというものである。ここで使われる導体インク のコストは、それほど高くなっていないので、結果的に高いコストパフォーマンスを得 ており、一定の需要を獲得するまでに至っている。それでも、導体材料としての性能の いくつかを犠牲にしていることに変わりはなく、汎用的に採用されているわけではない。

上に述べたように、高機能厚膜印刷回路技術では、50〜80 ミクロンの導体回路を、量 産レベルで製造できる能力を持っているといえるが、実際の電子機器への採用はあまり 進んでいない。これは、電子機器メーカー側の高機能厚膜印刷回路技術への理解が不十 分なためであるが、一方で高機能厚膜印刷回路メーカー側では、ユーザーがその価値を 理解し、採用を決断するための十分な情報を提供できていないという実情がある。特に、

ユーザーが採用するにあたって必要な基礎技術データ、プロセス条件、回路デザインガ イド、コスト情報については、銅箔回路に比べて未だに貧弱であるといわざるを得ない。

高機能厚膜印刷回路技術による電子回路製品の実需を産み出すには、このような情報を 整備すると同時に。その情報をユーザーである電子機器業界に認識させていくことが必

(19)

要である。

1.7 高機能厚膜回路技術の多層化能力

従来の厚膜印刷技術では、高い信頼性のビアホール形成技術がなかったために、形成 できる回路は殆どが単純な片面回路に限られていた。しかしながら、高機能厚膜回路技 術では、導体の積層能力、微細なビアホール形成能力が格段に向上し、多層回路や多層 リジッド・フレックスが高い生産性で製造できる能力が示されている

 両面スルーホール回路

高機能厚膜印刷プロセスで両面スルーホール構造のフレキシブル基板(図 1.9)を製作 するプロセス(図 1.10)は、銅箔をエッチングするプロセス(図 1.11)に比べて極めて 単純である。銅箔をエッチングするプロセスでは、煩雑な銅箔ラミネーション、フォト リソグラフィ、エッチングに加えて、NC ドリリング、スルーホールめっきなど生産性が 低く、単価が高いプロセスを経なければならない。これが銅箔をエッチングして製造す る両面スルーホール構造フレキシブル基板の製造コストを上げる大きな要因のひとつに なっている。一方高機能厚膜印刷プロセスで両面スルーホール構造フレキシブル基板を 製作するのに必要なのは、印刷機と乾燥炉の他には穴開け装置だけである。

図 1.9 に示されているように、まずサブストレートフィルムの片面に第一導体層を印 刷する。次いで適当な方法でスルーホール用の穴を開ける。穴をあける方法としては、

プリント基板用ドリリング装置の他に、マイクロパンチング装置、各種レーザードリリ ング装置などが使える。いずれの装置においても RTR 化された装置が市販されており、

銅箔回路に比べて高い生産性が期待できる。またいずれのプロセスも量産レベルで 50 ミ クロンの穴開け加工が可能になっているが、それより小さな穴となると、YAG レーザー、

エキシマレーザー、ファイバーレーザーなどが選択肢となる。

次いで反対側の面に第二導体層を印刷し、必要に応じて孔埋め印刷を行うと、両面ス ルーホール構造フレキシブル基板の完成である。なお、穴開け工程を最初に行うプロセ スも可能である。穴埋め印刷では膜厚を厚くする必要があるので、実質的に使えるのは スクリーン印刷プロセスだけであるが、それも厚い膜厚印刷用の特別なスクリーン版が 必要である。さらに穴の埋込性をよくするために、真空印刷機が開発されている。一方、

サブストレートの厚さが 50μm 以下の薄いフレキシブル基板の加工工程においては、穴 開けプロセス、導体インク材料、印刷条件などをうまく組み合わせて、穴埋め用の印刷 は省略できる可能性がある。

高機能厚膜回路技術によるスルーホール加工プロセスは、銅箔エッチング回路に比べ て、はるかに生産性において優れており、低コスト化がはかれることは確実であるが、

まだ生産実績が多くはなく、そのスルーホール信頼性について十分に確認が行われてい るとはいえない。今後、各メーカーにおいて、印刷スルーホールの構造、使用材料、使

(20)

用する設備、プロセス条件について幅広いデータの集積を行うことが期待される。なお、

ここでいうスルーホール信頼性の試験条件や仕様は、基本的な設計コンセプトが違って いるのであるから、銅箔エッチング回路のそれとは自ずと違ってくることに留意すべき である。 新しい高機能厚膜回路技術では、新しい材料系で新しいスルーホール構成を、

多様な用途に使うのであるから、目的に応じて信頼性の仕様と試験方法が設定されるべ きである。

ベース基材 第一導体層印刷

ドリリング

第二導体層印刷

ビアホール穴埋

↑図1.10 厚膜印刷プロセスによる両面スルーホールの加工プロセス

↑図1.9 両面回路の構成(2種類の構造が可能)

基材に開けられたビアホールの穴

最小穴径 : 直径80(50) ミクロン 最小パッドサイズ : 直径200 ミクロン 位置合わせ精度 : ±20 ミクロン

(21)

導体層数が2つ以上になり、印刷回数が増えてくると、工程の歩留まりを高くするた めには、穴位置と印刷パタン間のアライメント(位置合わせ)が重要になってくる。と くにサブストレートに薄いプラスチックフィルムを使うフレキシブル基板の場合は、熱 プロセスでの寸法安定性が悪いために、得られるアライメント精度は低くなってしまう。

CCDカメラを使った自動アライメント機能を持った印刷機を使ったとしても、得られる位 置合わせ精度は、サブストレート材料、回路パタン、ワークサイズ、熱工程の条件など に左右される。今後、回路の微細化、多層化が進む中で、熱安定性の高いサブストレー ト材料、低温焼成型のインク材料(導体インク以外の材料も含む。)の実用化が望まれる ことになる。図1.12、図1.13に示した例では、サブストレートとして、厚さ50ミクロ ンの高寸法安定性ポリイミドフィルム、あるいはPENフィルムを使い、±20ミクロンの アライメント精度を得ている。この場合、精細回路形成のために、焼成条件の高い導体 インクを使用しており、合計の熱処理条件は180℃で1時間におよんでいる。

↑図1.11 サブトラクティブ法による両面回路の加工

(22)

高機能厚膜印刷回路技術では、サブストレートにドリリング穴開けが必要な貫通スル ーホール構造の代わりに、印刷ビアホールを使うビルドアップ方式による2層、さらに は多層回路の形成が可能になっている。(図 1.14~図 1.16)この方式では、専用の穴開 け工程が不要になるために、プロセスはさらに単純なものになり、主要設備としては印 刷機と焼成用の熱オーブンだけで足りることになる。ラインの RTR も比較的容易である。

ただし、ビアホールの最小径は 0.3〜0.5mmとなるので、回路の集積度には限界がある。

また、この構成を実現するには、ピンホールなどの欠点のない信頼性の高い絶縁層の形 成が前提になる。現状では、汎用的使える絶縁材料は限られたものであり、適用できる 範囲を制約している。

ベースは厚さ 50 ミクロンのポリイミド。ビアホールの径は 80 ミクロン。

穴あけはマイクロパンチング

↑図 1.13 厚膜印刷プロセスで形成されたスルーホールの断面

(エヌワイ工業)

↑図 1.12 マイクロビアホールの構成(エヌワイ工業)

線幅 80 ミクロン、穴径 80 ミクロン(マイクロパンチング)、

パッド径 150 ミクロン、位置合わせ精度±20 ミクロン

(23)

この積み上げ(ビルドアップ)プロセスを繰り返えしていけば、印刷だけで多層回路 が構成できることになる。ただし、層数が増えるにしたがって技術的な難易度は高くな り、上の導体層ほど回路密度は小さく設定することになる。

印刷ビアホール 最小穴径:直径0.3mm

最小パッド径:0.8mm 位置合わせ精度:±100ミクロン

↑図1.14 2層の回路構成

ビアホール ビアホール

第一導体層印刷

絶縁層印刷

第二導体層印刷

↑図1.15 厚膜積み上げプロセスによる2層ビアホール回路の形成

第三導体層印刷 絶縁層追加印刷

2層回路

↑図1.16 ビルドアッププロセスによる多層回路の形成

(24)

多層の導体層に加えて、高い回路密度も確保したい場合には、貫通スルーホールと印 刷ビアホールを組み合わせることになる。(図1.17)製造プロセスはやや複雑になるが、

それでも同じ層構成を持つ銅箔エッチング回路のプロセスに比べればはるかに単純であ り、製造コストも低く抑えることができる。多層回路の薄型化にも有利である。

先に述べたように高機能厚膜印刷回路技術の特徴のひとつは、部分的に回路を付け加 えることが容易なことである。(図1.18)通常の銅箔多層回路の製造において同様の部分 多層回路を製作しようとすれば、同じ層数の多層回路以上のコストがかかることになる。

最終的に捨てられてしまう材料の割合も大きくなってしまう。

絶縁層印刷 両面回路

追加導体印刷

↑図1.17 貫通スルーホールと印刷ビアホールを組み合わせた

プロセスによる多層回路の形成

2層回路

部分絶縁印刷

部分導体印刷

↑図1.18 厚膜印刷プロセスなら多層回路の形成

(25)

このような高機能厚膜印刷回路技術の部分多層化技術を、多層フレキシブル基板に適 用すれば、割高といわれる多層フレックスの製造コストを大幅に低減できることになる。

図1.19はその部分積層プロセスの例を示したものである。

1.8 高機能厚膜回路技術の受動部品内蔵能力

厚膜印刷技術による受動部品内蔵回路を形成する試みは1970年代から行われてきてい るが、印刷形成できる受動部品の低格範囲や大きさが限られていたために実際に適用さ れる範囲も限定されたものに留まっていた。しかしながら、高機能厚膜回路技術では微 細な多層パタンを高い信頼性で形成できるようになり、受動部品を印刷形成する能力が 格段に向上したために、適用範囲が大幅に広がっている。

 印刷抵抗

プリント基板上にスクリーン印刷により抵抗体を形成するアイデアは決して新しいも のではない。図1.20、図1.21に示したように、カーボンインクなどの抵抗体を長方形パ タンに印刷し、乾燥するだけなので、特別な設備投資も必要なく、プリント基板製造工 程の一部として広く使われてきている。

1980年代からテレビ用などの大型片面プリント基板で印刷抵抗として大量に使われて

きている。しかしながら、スクリーン印刷の寸法精度、使える低個体インクの抵抗範囲 や熱安定性などに限界があったために、応用範囲は自ずと限定されたものになっていた。

↑図1.19 ビルドアップ方式による多層フレックスの形成

(26)

銅箔エッチングを多層基板に精度や熱安定性の高い抵抗体を埋め込み形成するには、

特殊な金属箔と組み合わせた特殊な銅張積層板をラミネートとし、エッチング加工する 方法が取られていた。このプロセスは、材料が高価で、カバーできる抵抗範囲が限られ、

しかも加工工程が煩雑なために、完成品のコストが極めて高いものになってしまい、一 般民生品に使われることはなかった。

一方、この数年でスクリーン印刷の微細パタンの形成能力、寸法精度、印刷信頼性な どが著しく向上し、合わせて抵抗体インクの抵抗値範囲が広く、かつ熱安定性が高くな ったために、 印刷抵抗を小さい形状で、しかも高い信頼性で形成できるようになってき ている。図1.22は、異なる体積抵抗率のカーボンインクを印刷して形成した抵抗体抵抗 値の幅依存性の例を示したものである。現在の高性能スクリーン印刷技術であれば、抵 抗体の幅を0.2〜2.0mmの範囲で制御することが可能になっており、ひとつの抵抗体イン

導体 導体

R= a x

(W X T) L

a :材料の定数 W :幅

L :長さ T :厚さ 抵抗体

↑図1.20 厚膜プロセスで形成する埋め込み抵抗と計算式

印刷抵抗: 100~10MΩが実現

ベースフィルム

電極層印刷

乾燥ベーキング

抵抗 印刷

乾燥ベーキング 抗

↑図1.21 厚膜印刷法による埋め込み抵抗体の形成フロー

(27)

クで一桁以上の抵抗範囲をカバーできることになる。さらに適当な抵抗率のインク材料 を選べば、4種類ほどのインク材料で、3桁の抵抗値範囲を2.0×1.5mmの大きさのス ペースでカバーできることになる。この程度の抵抗値範囲であれば、民生用電子機器に 使われている個別抵抗器の大半はカバーできることになる。現在スクリーン印刷で得ら れている抵抗値の精度は±10%程度であるが、これを±5%まで向上させるには、何がし かの加工技術のブレークスルーが必要と考えられる。

現在得られている印刷抵抗の温度係数は300ppm程度であり、個別部品の一般グレード と同等になっている。

 印刷コンデンサ

プリント基板上に印刷プロセスでコンデンサを形成する技術コンセプトはかなり以前 から出ており、1990年代末ごろには携帯電話端末のRFモジュール基板などに採用され

ている。(図1.23、図1.24)しかしながら、当時使われたスクリーン印刷技術の精度が

低く、印刷された誘電体インクの誘電率も低かったために、形成された印刷コンデンサ

の容量は200〜300pFぐらいが限界であった。一方、新しい高機能厚膜印刷技術では、印

↑図1.22 厚膜印刷法による埋め込み抵抗体の抵抗範囲

(エヌワイ工業)

(28)

刷精度が上がったのに加えて、高い誘電率のインク材料が利用可能になり、10mm角のス ペースで、10000pFの印刷コンデンサの形成が可能になっている。(図1.25)しかしなが ら、現在民生用電子機器で使われている個別部品としての汎用コンデンサの容量が0.1 μFに及ぶことを考えると、現在使用可能な印刷コンデンサの容量はまだ一桁小さい。印 刷コンデンサに必要なスペースを考慮すると、単位面積あたりの容量で少なくとも一桁 以上の向上が望まれる。これを誘電体の誘電率だけで改善するのは難しく、構造上、プ ロセス上でブレークスルーとなる技術が必要である。さらに現状の印刷コンデンサは、

誘電損失が大きい、耐電圧信頼性が低い、誘電体材料の相性が良くないなどの問題点を 抱えており、汎用性を持つためには、項目ごとにかなりの改善が必要である。

↑図1.23 厚膜回路技術による印刷コンデンサ

印刷コンデンサ:~2000pFが実現

↑図1.24 印刷コンデンサの形成プロセス

(29)

 印刷コイル

プリント基板回路中にコイルを形成すること自体は以前からあるアイデアであり、実 際に銅箔エッチング回路、セラミック厚膜回路で多くの実績がある。これは高機能厚膜 回路でも同じであり、同じスペースであれば、より多くの巻き数を形成することができ る。(原則として2層以上の回路層数が必要。)いいかえれば、より高いインダクタンス を得ることができる。(図1.26.図1.27)しかしながら、平面上に形成されるコイルパ タンはスパイラル状にせざるをえず、設計段階においてシミュレーションだけで正確な インダクタンスを得るのは難しい。現実的なアプローチとしては、試作を繰り返して希 望するインダクタンスを得ることになる。しがって効率良く精度の高い印刷コイルを得 るには、実績に基づいたデータの蓄積が必要である。

0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500

0 10 20 30 40 50

Capacitance (pF)

Area sizes (square mm)

Printed Capacitors on Flexible Substrates

1kHz 10kHz 100kHz 1MHz 5MHz

↑図1.25 印刷コンデンサの特性例(エヌワイ工業)

(30)

さらに信頼性の高い印刷コイルを形成するには、適切な磁気シールド構造を設けるこ とが必要になってくる。残念ながら、この方面の技術的な検討は十分進められていると はいえない状況にある。印刷可能な磁性材料を積極的に開発するメーカーも多くない。

図1.28に示したのは、印刷で形成する磁気シールド層の構造である。印刷自体の難易度 は高くないが、適切な材料の選択と構造設計について十分なデータの蓄積がなされてい ない。また、図1.29に示したのは、磁性材料を印刷コイルの内側にコアとして印刷形成 する構造の例である。

ベースフィルム コイル

貫通ビアホール 引き出し線

↑図1.26 印刷コイルの形成 印刷コイル:6層コイルが実現

↑図1.27 印刷ビアホールを使ったコイルの例

(31)

1.9 高機能厚膜回路技術の能動部品・機能部品形成能力

高機能厚膜回路技術に適切な材料を組み合わせれば、様々な電子デバイスが安価な印 刷プロセスだけで形成されうるものと期待されている。具体的な例としては、トランジ スタ、発光素子、ディスプレイ、一次・二次電池、太陽電池などがある。

 印刷トランジスタ

印刷でトランジスタを形成するためにいくつかのアイデアが提案されているが、もっ とも具体性があると考えられるのが TFT タイプの構成を持ったトランジスタである。図

↑図 1.28 磁気シールドの印刷

↑図 1.28 磁気シールドの印刷

↑図 1.29 フェライトコアのまわりへの印刷コイル 形成

(32)

1.30 は、想定される印刷トランジスタの構成例である。TFT タイプ印刷トランジスタの 実現のキーとなるのが、印刷可能な半導体材料の開発である。ただし、材料の開発とい っても、その性能は最終的にトランジスタデバイスでの評価になるため、ひとつの材料 メーカーの手に負えるものではない。実際に印刷プロセスによるトランジスタや各種半 導体デバイスの開発に取り組んでいるのは、大学、研究機関、大手企業の基礎研究所が 主体となっており、現状では、実験室レベルでの基礎検討の域を出ていないものがほと んどである。一部ではアクティブマトリックスタイプのディスプレイの制御用のトラン ジスタアレイを実現したとしているが、これとてもデモンストレーションのための試作 品のレベルで、実用化がスケジュールに上っているとはいえない。

現在開発が進められている材料は、有機材料系、無機材料系、炭素材料系(カーボン ナノチューブ、グラフェンなど)の3つに分類されるが、いずれもトランジスタの形成 にあたっては、100 ナノメートル以下での膜厚制御が必要である。既存の標準的な印刷プ ロセスでは、このような膜厚領域はカバーできない。このために、現在行われている開 発プロジェクトにおいては、特殊なインクジェット印刷、スタンピング、トランスファ ープロセスのように、特別に開発された技術を使っている。従って、実際の応用までに は、解決しなければならないプロセス上の課題は多い。

現在開発が進められている印刷トランジスタは、通常のモノリシックICのトランジ スタや薄膜系ポリシリコンのトランジスタに比べて、駆動速度、集積度の面で数桁务っ ている。(カーボンナノチューブを使ったものは二桁ほど改善しているといわれる。)こ のギャップを埋めるのは、極めて困難であるといわざるをえない。モノリシック IC の集 積度は、いわゆるムーアの法則にしたがって現在でも進んでいる。トランジスタ素子一 個あたりの製造コストでも、印刷トランジスタが、従来技術のトランジスタに競合でき る見通しはたっていない。したがって、印刷トランジスタを、従来型トランジスタの低 コスト代替品とするアプローチは、ビジネスレベルでは成立しないことになる。印刷ト ランジスタの実用化のためには、まず実用レベルで価値がでるような技術コンセプトの 構築が必要と考えられる。

↑図 1.30 印刷で形成する TFT トランジスタ

(33)

<主要メーカー>

産業技術総合研究所 東京大学

富山大学

University of Lisbon Fraunhofer Institute 日本電気

Kovio(米国)

 印刷 LED

個別部品としての LED は、一種の半導体部品といえるが、これを印刷プロセスで形成 することができれば、二次元の広がりを持った面状発光体を構成することができる。面 状 EL 発光体の基本的な層構成は極めて単純であり(図 1.31、図 1.32)、形状パタンを自 由に変えられるだけでなく、ドットマトリックスのディスプレイを構成することもでき る。サブストレートとして、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)や PEN(ポリ エチレンナフタレート)のような透明フィルムを採用することにより、フレキシブルな 面状発光体を形成することもできる。既にある程度の量産実用化が進んでいるといって よい。

面状 EL に使える発光体材料としては、無機系の材料と有機系材料とに分類することが できる。無機系の発光材料は、スクリーン印刷低温焼成が可能で、赤、青、緑の三原色 がそろっており、携帯電話のサブディスプレイ、フレキシブル面状光源などに使われて いる。無機系の発光材料を使ったELデバイスは、駆動に高電圧が必要(10〜数十V)

なことと、寿命が短い(1000〜2000.時間で輝度が落ちてくる)ことが欠点である。また、

発光体原料の粒径が大きく不揃いであるために、微細でシャープな発光パタンを描くこ とができない。現在利用可能な材料では 0.5mm程度の線幅かドットサイズが限界である。

これらの問題点の改善が進めば、無機系の材料を使った印刷 LED の用途が大幅に広がる ものと考えられる。

有機系の発光体材料は、OLED での実績が示すように、無機系材料の問題点を克服でき る可能性を持っているが、膜厚を 100 ナノメートル以下で制御しなければならないため に、通常の印刷プロセスでは処理できない。特殊なインクジェットプリンタを使う試み もなされているが、印刷速度が遅く、既に量産となっている CVD/フォトリソグラフィに 比べて、生産性やコスト面で優位性が出せないでいる。これに対して、スクリーン印刷 が可能な有機系発光材料を実用化しようとする動きがでてきいぇいる。既に、赤、青、

緑、白色などの発光に成功している。分解能などについてはまだ十分な出せるところま でいっていないが、サイネージなどの用途には使えるレベルに達している。ただし、現 状ではコスト上の課題が残っている。

(34)

<主要メーカー>

ADD-Vision(米国)

Novaled(ドイツ) Plextronics(米国)

マナスクリーン エヌワイ工業 東京工芸大学

セイコープレシジョン 三星電子(大韓民国)

LG電子(大韓民国)

保護層 裏面電極

蛍光体層 誘電体層

ITOフィルム

↑図1.31 印刷で作るEL

↑図1.32 発光したフレキシブルELパネル(エヌワイ工業)

大画面RBGが可能に

現時点で最小ドットサイズは0.5mm程度 サイネージ用途などはすぐにでも

(35)

 印刷バッテリー

これまで、一次電池、二次電池といえば、個別の標準構造電池で、それぞれ標準的な ソケットを介して、電子回路に接続される形になっており、原則として交換されるよう になっていた。(最近の携帯機器、コードレス家電ではカスタム設計が多くなっている.)

電池は携帯電子機器に使われる電子部品の中では、体積、重量とも群を抜いて大きく、

機器を設計する際の大きな負担となっていた。しかしながら、一次電池、二次電池をフ レキシブルなサブストレートの上に印刷形成できるとなれば、機器ごとのカスタム設計 が可能になり、スペース効率の良い電池をつくることができることになる。電池はプリ ント基板や筐体の一部に付加的に形成するだけでよく、電池のための専用のスペースを 最小限度に抑えることができる。使い捨てデバイスの電源として、サブストレートの上 に一次電池を印刷形成するような場合には、コスト削減効果も大きくなることが期待さ れる。このため、特に欧米では一次電池、二次電池を印刷形成する技術を開発しようと いうプロジェクトが数多くあり。実用化も進んでいる。

具体的には、印刷で形成する一次電池、二次電池の構造は図 1.33、図 1.34 のようにな ってくる。構成上印刷パッテリーは全てがソリッドステート化されていることが必要で あり、効率の良い電解質材料と信頼性の高い電極材料の開発が鍵になってくる。また、

印刷バッテリーの容量は、電極面積に比例するので、スペース効率を上げるためには、

こんご多層構造も検討課題として上がってくるものと考えられる。

↑図 1.33 スクリーン印刷で形成する一次電池の構成

(36)

 印刷太陽電池

環境問題への対応として、太陽電池の市場が急拡大してきているが、印刷プロセスで 形成される太陽電池が注目されている。これまで太陽電池の主流といえば、単結晶シリ コン、多結晶シリコン、アモルファスシリコンであり、煩雑な工程と、高価な原材料の ために、これ以上の大幅なコスト削減は難しいものと考えられている。一方、印刷プロ セスで太陽電池が形成できるとなると、高価なシリコン材料を使う必要がなく、さらに フレキシブルサブストレートと RTR プロセスを組み合わせることにより、大幅なコスト 削減が期待で切る。また、フレキシビリティと軽量性を活かした新しい用途での新しい 市場の可能性も出てくる。このため、主に欧米メーカーが技術開発プロジェクトをすす めており。すでに大型量産工場を稼働させているメーカーも何社か出てきている。

これまでに、多くの印刷太陽電池の構成が提案されてきているが、その使用材料によ り、シリコン、色素増感タイプ、CIGS タイプ(銅/インジウム/ガリウム/セレン)、有 機化合物系などに分類される。サブストレートとしては、材料の特性、プロセス条件に より、金属箔、プラスチックフィルムが使い分けされている。図 1.35〜図 1.37 にそれぞ れタイプの基本構成を示す。残念ながら、量産レベルで光から電気への変換効率は、ほ とんどのメーカーで 10%未満となっており、シリコン系太陽電池を大きく下回っており、

単位発電量あたりのコストで务っている。印刷太陽電池が、大容量発電用モジュールと して採用されるには、さらなるコスト削減と、エンドユーザーに対するエンジニアリン グサービスが必要と考えられる。

↑図 1.34 スクリーン印刷で形成する二次電池の構成

(37)

↑図 1.35 スクリーン印刷で形成する色素増感タイプ太陽電池

(ペクセルテクノロジー)

↑図 1.36 印刷で形成する CIGS 系太陽電池(米国 Nanosolar)

↑図 1.37 印刷で形成する有機化合物系太陽電池

(米国 Konarka)

(38)

 圧電素子(ピエゾ素子)

機械的な動きから起電力を得るピエゾ効果は以前から良く知られた現象で。既に個別 の圧電素子(ピエゾ素子)という形で実用化されている。図 1.38 はその動作原理を示す。

図に示されたように、シート状のピエゾ材料の両面に電極を形成しておき、機械的な応 力を加えると電極間に電位が生じる。この電位を測定すれば、機械的な動きを検出する センサーを構成することができる。起電力が大きければ、微小メディカルセンサーなど の電源として使える可能性がある。逆に、ピエゾ素子に電位をかけると、機械的な歪み を生じる。これを積極的に活用すれば、電気信号を機械的な動きに変換するアクチュエ ータを形成することができる。この機能は、すでに平面スピーカのような形で実用デバ イスに使われている。(図 1.39)

原理的には、ピエゾ素子、あるいはピエゾ素子アレイを印刷プロセスで形成すること は可能である。しかしながら、現在利用可能な有機化合物系のピエゾ材料は限られてお り、今後実用性の高いピエゾ材料の開発が期待されている。

↑図 1.38 ピエゾ素子の原理図(クレハ)

表 1.2  新旧スクリーン印刷技術の比較  従来のスクリーン印刷  新しいスクリーン印刷  最小線幅  >80μ m  <20μ m  寸法精度  ±0.5%  ±0.2%  パタン位置合わせ精度  ±300 μ m  ±20 μ m  重ね印刷回数  2~3 回  10 回以上  印刷可能材料  レジスト材料  導体材料  保護材料  抵抗材料(低精度)  レジスト材料 導体材料 保護材料  抵抗材料(高精度)  誘電体材料  磁性材料  発光材料  電池材料  光電(太陽電池)材料  (上記の印
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