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基礎工学研究科の果たすべき役割

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Academic year: 2021

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生 産 と 技 術  第60巻 第2号(2008) 

 20 世紀の後半から始まった主として自然科学分 野における知識の爆発的な増加は,従来の学問分野 を無意味なものとし,新たな学術の体系を生むとと もに社会にも大きな変革をもたらした.期せずして 行われた国立大学法人化はこのような変革と無関係 ではなかったように思われる.法人化後,大学やそ の部局の教育研究目標を明確にし,独自性を発揮す ることがますます強く求められている.一方,教育 再生会議では大学院改革を重要課題の一つと捕らえ,

従来の学部・研究科組織の枠組み撤廃や修業年限の 改変,学生の流動性確保策,グローバル化推進策な どが次々と打ち出され,大学は再び大きく揺れ動こ うとしている.このような背景のもとで,理,工と 基礎工という全国で唯一の理工系3研究科体制をも つ大阪大学において,基礎工学研究科の果たすべき 役割は何か,その意味を考えてみたい. 

 大阪大学基礎工学研究科は,創設以来「科学と技 術の融合による科学技術の根本的な開発」をその基 本理念としてきた.しかし,時代の要請にしたがい,

理学と工学の間の学際領域だけでなく,人文社会系 まで含めたより幅広い学際領域にまで研究領域を拡 張するため,平成 15 年に改組を行った.具体的には,

「物理と化学の融合」,「機械科学と生物工学の融 合」 ,「文理融合」をキーワードとする3専攻に再

編し,新しい科学技術や新学問領域を創出するとと もに,専門能力と幅広い素養に加えて鋭い時代感覚 と国際感覚をもつ人材を養成することが,基礎工学 研究科の果たすべき役割と位置づけた.さらに,専 攻の再編だけでなく,一歩も二歩も先を見越した学 際領域研究を生み育てる仕組みとして「未来研究ラ ボシステム」という専攻横断型の研究教育組織を設 けた.ここから,「基礎工らしい」といわれるよう なユニークな研究の芽が出て大きく育つことを期待 している. 

 一方,研究科内にとどまることなく全学的な部局 横断型研究教育組織の核となって時代の要請に応え る学際領域を開拓することも,大阪大学における基 礎工学研究科の重要な役割だと考えている.実際,

部局横断型教育研究センターやバーチャルな研究組 織の立ち上げやその運営に対する主体的な取り組み に始まり,2007 年度グローバル COE プログラムに 採択された臨床医工学融合研究教育センターの「医・

工・情報学融合による予測医学基盤創成」事業(代 表:野村泰伸 基礎工学研究科教授;生産と技術,

60 (1) ,  110 (2008)参照)など,目に見える形で 成果が現れつつある.このような部局間横断型組織 の活動や研究科間連携は今後ますます活発になると 考えられ,基礎工学研究科の果たすべき役割が大き くなるだろう.編集参画部局に医学系研究科に続い て歯学研究科が加わり,購読範囲が広がるだけでな くその内容も学際的になりつつある「生産と技術」

誌が,そのような活動に対するメディエーターのひ とつとして機能することを期待したい. 

     

− 1 −  巻 頭 言 

基礎工学研究科の果たすべき役割 

The Role of Graduate School of Engineering Science  Key Words : Graduate School of Engineering Science,  

Interdisciplinary Research and Education

戸 部 義 人 * 

*Yoshito TOBE 1951年10月生 

大阪大学大学院 工学研究科 石油化学  専攻 博士後期課程修了(1979年) 

現在.大阪大学大学院 基礎工学研究科  長,基礎工学部長,物質創成専攻新物質  創製講座教授,工学博士,構造有機化学  TEL:06-6850-6225  

FAX:06-6850-6229 

E-mail:[email protected]

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