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予防的取組方法 (Precautionary Approach)と 予防原則 (Precautionary Principle)

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(1)

予防原則とは何か

予防原則とは何か

--

早い警告、遅い教訓

早い警告、遅い教訓

-

-2004.6.23 於 弁護士会館 東京 大竹千代子 化学物質と予防原則の会 環境省「環境政策における予防原則研究委員会」委員 http://www.ne.jp/asahi/chemicals/precautionary/ index.html

(2)

内  容

内  容

Ⅰ 予防原則とは   1.予防、予防原則について   2.予防を含む条約・協定等   3.国際地域、国、NGOのルール   4.日本の現状  Ⅱ なぜ予防原則が必要か  Ⅲ どのように予防原則が適用されているか 

(3)

1.予防、予防原則について

予防による利害の対立の解決にはルールが必要 個人 家族 町会 会社 政策として予防原則が必要とされる 条例/法律/協定/条約 自治体/国家/地域/世界 (様々な利害関係者に よって構成される社会) 小 利 害 の 対 立 の 大 き さ 消費者 団体 大 コミュニティーの拡がり

(4)

安全な生活の予防における

安全な生活の予防における

利害関係者(

利害関係者(

Stakeholders

Stakeholders

例;製品中の化学物質

製造者/ 生産者 消費者 行政(監督) 専門家 流通 業者 販売 業者 廃棄物 処理業者 行政(サービス) 安全ではない ので販売を中 止してほしい NGO/NPOグループ そんなことは ない、安全だ 製品 の 流れ 裁判所 意見の対立 周辺 住民 A B 環境

(5)

予防(原則)の適用対象

予防(原則)の適用対象

検討されている(された)分野

検討されている(された)分野

z 化学物質 – 身の回りの化学物質、食品・製品中の化学物質 – 環境に放出される化学物質 z 新技術 – 遺伝子組み替え生物・食品 – バイオテクノロジーによる医薬品/添加物 – クローン牛の肉 z 生態系 – 漁業・捕鯨行為、−絶滅危惧種の指定 – 予防的屠殺(BSE牛、羊、鳥) z 感染症;HIV,SARS z 電磁界  放射線  学問領域; —国際環境法 —環境倫理学 —生態学 —リスク学 —環境政策 —予防医学

(6)

用語

用語

について

について

z Precautionary Principle;

z The Principle of Precautionary Action;

z Precautionary Approach; z Precautionary Measures; z Precautionary Action; 類似の用語

Preventive Action;

予防原則        予防原則 予防的方策、予防的アプローチ 予防的取組方法 予防的措置、予防的対策  予防的対策、予防的活動 未然防止

(7)

予防原則(

予防原則(

precautionary principle

precautionary principle

は、

は、

予防的取組方法、予防的方策、予防的措置、予防的 行為(precautionary approach, measures, action)など

の表現の背景にある共通の広い概念であって、その 実践において手順や制度が異なると、(大竹は)考 えている。 予防原則の定義(大竹) 「潜在的なリスクが存在するというしかるべき理由 があり、しかしまだ充分に科学的にその証拠や因果 関係が提示されない段階であっても、そのリスクを 評価して予防的に対策を探ること」   応用倫理学講義 2環境 セミナー3 鬼頭秀一 リスクの科学と環境倫理 p130,岩波書店

(8)

EUによる区別(PRECAUPRI、2002.12)

z Precautionary Principle ;脅威の深刻さや不確実 性の特性をスクリーニングする際に用いられる一 般原則(その後の取り扱いを決定するために) z Precautionary Approach ;スクリーニングによっ て科学的確実性の欠如が明らかになった場合に採 用される、規制のための評価に対する特定のアプ ローチ z Prevention;脅威が深刻で確実であると確認され た場合にとられるアプローチ

(9)

原案作成、開発および 監督                      評            価 推論的過程 (discursive) 評価 YES 未 然 防 止 ( prevention) の可能性   未 な対 様 々 な マ ネ ー ジ メ ン ールの範 ( 深 刻 な 脅 威 が 明 確 にあるか? 然防止的 策 YES NO 予防的評価 ( Precautionar y appraisal) 科 学 的 に 不 確 実 で あ る か? そ の 脅 威 は 複 雑 か あ る い は 規 模 が 大きいか? そ の 脅 威 は あ い ま い か ? YES ト ツ 囲 予防原則に 基づく予防的 措置) 拡 大 リ ス ク ア セスメント YES 規制されな い活動 標 準 的 リ ス ク アセスメント NO スクリーニング マネージメント 図1 EUによる予防的リスク規制の一般モデル

(10)

マネージメントにいたる流れ( マネージメントにいたる流れ(EUEU)) リスクマネージメント リスクアセスメント 産業界がデータを提供する CAsがRA結論を採用 MSがRAを用意する CSTEEの意見 RAはTMによって賛同さ れる MSがRM戦略を用意する CAsが議論しRMを採用 委員会はRMを公開し、実行 する TM: 産業界、 MSおよびのNGOのRA 専門家 MS: Member States; EU加盟国 CA: EU加盟国の政策専門家

CSTEE:Scientific Committee on Toxicology and Ecotoxicology(EUの委員会の一つ)

(11)

Principle

Principle

の用語を

の用語を

嫌う

嫌う

理由

理由

1)定義;国際的にコンセンサスを得られているもの がない。あいまいである。広義でありすぎる。 2)海洋環境法関連の場合; ‹  Principleであるため、適用範囲が著しく広く及 ぶのではないか。 ‹  Principleという用語が、条約や法律・条例など のような著しく拘束力の強いものと恐れる向きも ある。 ‹  Principleを用いると、漁業では、モラトリアムを 意味している印象を与え、影響が大きい。  したがって、Approachを用いる。

(12)

       

       

2.

2.

予防を含む

予防を含む

条約・協定等

条約・協定等

緑; 緑;PAPA  赤;赤;PPPP  黄;黄;PMPM

      

      

a)North Sea 会議(1984,1990,1995) b)オゾン層破壊防止モントリオールプロトコル (1987) c)OSPAR/PARCOM 勧告 (1992) d)UNCEDの15原則(1992)/WSSD(ヨハネスブルグ)(2002) e)気候変動枠組み条約(1992) f)EUのマーストリヒト条約、EU憲法       (1992,1994,04) g)ウィングスプレッド声明/ローウェル声明  (1998,2001) h)CEFIC(欧州化学工業協会)の政策文書(1999)

(13)

予防を含む条約・協定等 予防を含む条約・協定等((続き続き)) 緑; 緑;PAPA  赤;赤;PPPP  黄;黄;PMPM

      

      

i)Canada EPA、政府(1999,2001,2003) j)EUコミュニケーションペーパー(2000.2) K) EUによる予防原則ワークショップ(2001、   2003.2) l)POPs条約 (2001.5) m)San Francisco 市と郡の予防原則(2003.3)

n)WHO EMF Project(1996-2006)ワークショップ

  (2003.2)

o) WHO 公衆の健康保護への予防的枠組みの適用案

 (2003.6)

p) EU REACH 新化学物質管理法(2003.10最終案)

(14)

UNCED

UNCED

Rio

Rio

宣言の

宣言の

原則第

原則第

15

15

における記述

における記述

(1992)

(1992)

「Principle 15

 In order to protect the environment, the

precautionary approach shall be widely applied by States according to their capabilities. Where there are threats of serious or irreversible

damage, lack of full scientific certainty shall not be used as a reason for postponing cost-effective

(15)

リオ宣言原則第15 予防的取組方法*(precautionary approach) は、環境を保護するため、各国の能力に応じ て広く適用されなければならない。深刻な、 あるいは不可逆的な危害の脅威のある場合に は、完全な科学的確実性の欠如を理由に、環 境悪化を防止するための費用対効果の大きな 対策を延期してはならない。 (*環境省が外務省等と協議の上、Rio宣言の 訳として用いることになった)

(16)

欧州

欧州

の 

の 

Precautionary Principle

Precautionary Principle

3.国際地域、国、NGOのルール

z 欧州でのルーツと歴史 – ドイツの大気汚染法のなかにVorsorgeprinzip(’74); 民有地の森林の保全、交渉をバックアップ;予防は義務 (倫理的)、技術的裏付け – スウェーデンの化学物質政策(1969,1973);政策の先見性 – Precautionary Principle (1980年代)

z ローマ条約(1987 Single European Act(SEA))

欧州の環境政策は未然防止(preventive action)に基づかな くてはならない z マーストリヒト条約( EC条約改正1992, EU条約1994) – 欧州の環境政策は「予防原則」および「未然防止対策の原 則」、「環境被害は発生源で最優先に改められるべき原 則」、さらに「汚染者負担の原則」に基づいている

(17)

予防原則のルーツ;ドイツ 予防原則のルーツ;ドイツ ((OO‘‘Riordan,1994)Riordan,1994) ‹ 1959年;工場の大気汚染も、削減対策は健康被害理由のみ で、経済的に実行可能でなくてはならなかった。 ‹ 1969年;民主党( FDP )は非常に野心的な環境上のプ ログラムおよび「Vorsorge」の公約によって勝利した。 ‹ 1974/1976年;酸性雨/光化学スモッグから民有地の森林を 守るための交渉をバックアプする目的の大気汚染防止法; Vorsorgeprinzipが含まれた。 ‹1980年代;「Vorsorge」は、「注意」ではなく「予防は義務である」  という概念に進化し、立証責任の逆転へとなった。 ‹予防原則は、1980 年代初頭の間に英語に翻訳された。 ‹「予防の概念」はドイツ政府によって国際関係及び、環境上の  交渉に関わる国家に影響を及ぼし、1992年リオ宣言で「予防   原則」になった。

(18)

Vorsorgeの定義(1984年 BMI;連邦内務省)

Vorsorgeの原則は予めかつ可能な限り自然界の損傷 を避ける。健康と環境のリスクを早期に発見し、特に 科学による因果関係の最終的な知見がまだ入手で きない時に、対策の行動をとることを意味する。・・・ 技術的な工程の開発を意味する。 ドイツ政府がVorsorgeを採用する要件 ・リスクを早く検出するために研究は不可欠 ・不可逆的なおそれがあるとき、完全な知見の前に行 動し、被害の証拠は必要ない ・汚染の負荷を現在より低減させる技術の開発 ・よりクリーンな工程と技術の導入に貢献する     Sonja Boehmer-Christiansen

(19)

Vorsorge をMoltkeが英政府のために「precaution and foresight」と訳した(1988)。Precautionがドイツ語に 訳されてドイツに戻ってきた時は、vorsorgeではなく、 vorsicht(before-sight、attention)および、verhutung あるいはvorbengie(避妊あるいは病気の予防の概 念)になっていた。今注意することではなく、計画す ることを要求するVorsorgeではなかった。 ドイツ議会が「preventive policy」と間違って訳した、 とMoltkeは不平を言った(1991)。 Sonja Boehmer-Christiansen

(20)

Draft

TREATY ESTABLISHING A

CONSTITUTION FOR EUROPE

SECTION 5 ENVIRONMENT Article III-129

1. Union policy on the environment shall contribute to pursuit of the following

objectives:(a) preserving, protecting and improving the quality of the

environment;(b) protecting human health;(c) prudent and rational utilisation of natural resources;(d) promoting measures at international level to deal

with regional or worldwide environmental problems.

2. Union policy on the environment shall aim at a high level of protection taking into account the diversity of situations in the various regions of the Union. It shall be based on the

precautionary principle and on the principles that preventive action should be taken, that environmental damage should as a priority be rectified at source and that the polluter should pay.

In this context, harmonisation measures answering environmental protection requirements shall include, where appropriate, a safeguard clause allowing Member States to take provisional steps, for non-economic environmental reasons, subject to a procedure of inspection by the Union.

(21)

EUの予防原則に関する考え方

予防原則に関する欧州委員会ガイドライン(2000COM)(2000.2)より z z 予防原則は、リスクアセスメント・予防原則は、リスクアセスメント・リスクマネージメントリスクマネージメント・・ リスクコミュニケーションの枠組みの中でマネージメント リスクコミュニケーションの枠組みの中でマネージメント に位置付けられる。 に位置付けられる。 z z 予防原則に基づくアプローチは、可能な限り完全な予防原則に基づくアプローチは、可能な限り完全な科学的科学的 リスク評価 リスク評価から始めるべき。から始めるべき z z 許容できないリスク、科学的不確実性、公衆の不安に直面許容できないリスク、科学的不確実性、公衆の不安に直面 したとき、これに対する答には、 したとき、これに対する答には、対策を対策をとらないことも含とらないことも含 まれる。 まれる。対策を対策をとる場合も、法的拘束力のある措置から研とる場合も、法的拘束力のある措置から研 究プロジェクトや勧告といったものまで 究プロジェクトや勧告といったものまで広範な内容広範な内容がありがあり 得る 得る。 z z 対策が対策が必要な場合は、特に以下のような必要な場合は、 予防原則に基づいた 対策がとられなくてはならない。。

(22)

予防原則適用の要件(EU)

①入手できる最良の知識とデータを得るための科学 的専門的技術の利用、新たな科学的知見に応じた新たな科学的知見に応じた 修正、 修正、 ②提案する開発者への立証責任の移行の可能性、 ③提案された予防規制と既存のリスクアセスメント /リスクマネージメントとの一貫性、 ④予防的措置の非差別性、 ⑤潜在的リスクの高さに応じた予防的措置の比例性、 ⑥予防的措置のとられた場合とそうでない場合のコ ストベネフィットの試算 リスクアセスメント:どんなリスクがどのくらいあるか リスクマネージメント:そのリスクをどのように管理するか

(23)

米国

米国

政府の予防の歴史

政府の予防の歴史

– 1920年代に四エチル鉛の導入に際して予防原則の考えで 反対があったが、四エチル鉛を導入。 – 1970年代、四エチル鉛の規制、訴訟(1976、エチル社) – 1980年初、ベンゼンの産業衛生基準1ppmに対して、明ら かなリスクが証明されなければ規制できない、という判決 – リスクアセスメント手法の確立(1983) – 化学物質の導入やその継続的な使用に予防は基本(カナ ダとの越境汚染問題 1994) – 科学的不確実性があっても、対策をとる(1996) – WTOにEUの成長促進剤の禁止を提訴(1998) – WTOにEUのGMO輸入制限を提訴(2003) 予防の思想はTRIやFIFIRA、FDAの法に生かされて いる。Precautionary principle の用語は用いない

(24)

EU EUのの20002000COMCOMにみるにみる

米国の同様の視点(

米国の同様の視点(

Graham,2003

Graham,2003

1. 予防は必要で有益な概念であるが、主観的で、政策立 案者による貿易目的に乱用されやすい。 2. 科学的で、かつ手続き上のセーフガードが必要がある。 3. 予防対策の採用はリスクアセスメントとベネフィットコス ト分析を含む、客観的な科学的評価によって、先行さ れるべきである。 4. 予防対策には、製品の禁止・規制、教育、警告ラベル など広範囲なものがある。 5. 一般の人の参加の機会は、充分なリスクマネージメント を告知させるために不可欠である。

(25)

予防原則を嫌うアメリカ 予防原則を嫌うアメリカのの本音(本音(GrahamGraham,,2003.102003.10))  予防の極端なアプローチに関連して二つの主な危険 (peril)が存在する。 ‹ 技術革新が滞り、技術革新がこれまで世界中の経済の 進展に大きな役割を演じてきたことに気が付くだろう。 ‹ 公衆の健康と環境は規制官の指導という名目で悪くな り、規制が行われた社会は、「既知の危険あるいはもっ ともらしい危険」から、「推論的で正当な理由の無い危 険」に注意を逸らされるに違いない。 John Graham; Administrator 

  Office of Management and Budget

  Regulatory Forum  The Heritage Foundation   Washington, DC, October 20, 2003

The Peril of the Precautionary Principle:Lessons from The American and European Experience

(26)

EU

EU

US

US

RA,RM

RA,RM

の違いの例

の違いの例

--

成長

成長

促進剤としての

促進剤としての

飼料用ホルモン剤

飼料用ホルモン剤

-

-z EU議会による1985,1988年の禁止は、専門家委員会* や、JECFA**にサポートされたものではなかった。物質 の安全性を確定する科学的根拠が充分ではない状況 で予防原則が適用された。委員会はリスクアセスメント における不確実性の性質や大きさの説明を要求されな かったので、オリジナルのEUの禁止は実際に、政治的 なリスクアセスメントによるものであった(Wiener & Rogers,2002) 。 z しかし、最近の更なる科学的研究は、EUが予防原則に 禁止の実施を継続することを正当化している, (EEA,2001) 。

(27)

背 景

z USは1972年にはじめにDES*を添加物として禁止 し(1958年のデラニ-条項)、1974年に復活。1976 に規制。1979発がんレベルが決められず再び禁 止。(DESの妊婦への投与は1971年に禁止。) z EUは、エストラジオール-17β、テストステロン、プ ロゲステロン、ゼラノール、トレンベロンアセテート、 メレンゲストロルアセテートを加盟国で製造禁止、 1989年に輸入も禁止。 z この6種類の成長促進剤としてのホルモン剤は USは認可した。USの提訴により、1998年、WTO は、年間約1億ユーロの損害がEUの禁止により生 じていることを是認した。 *ジエチルスチルベストロール

(28)

予防(原則)関連文書 発表年月 リスクの概念 従来のリスクア セスメント Precautionary Principle 立証責任の 記述 文献 WHO健康保護の予防的枠組 み(案) 2003.5 基づく 基礎とする 用いず(解説あり) 記述なし a US大統領諮問委員会* 1997 基づく 基礎とする 用いず 記述なし b EUコミュニケーションペーパー 2000.2 基づく 基礎とする 用いる 記述あり c ウィングスプレッド会議の声明 1998.1 含まず 基礎としない 用いる 記述あり d ローウェル会議の声明 2001.9 部分的に含む 基礎としない 用いる 記述あり e サンフランシスコ市&郡法令 2003.3 含まず 基礎としない 用いる 記述あり f カリフォルニア州環境正義 (案) 2003.7 基づく 基礎とする 用いず 記述なし g カナダ政府 2003.7 基づく 必ずしも基礎と しない approachと同義 あり(企業と 政府) h

その他予防原則文書等を含め、

リスクアセスメントの扱いとクライテリア ・ ・stakeholdersstakeholdersとの関わり方の記述はすべての文書にあるとの関わり方の記述はすべての文書にある..   ・

・costcost--benefit(effective)benefit(effective)の議論がないのはの議論がないのはdd、、eeであるである.. *

(29)

ウィングスプレッド会議声明(

ウィングスプレッド会議声明(

1998

1998

① 有害物質や資源・自然開発は、人の健康と環境に非 意図的に重大な影響を及ぼした。 ② 既存の環境規制や特にリスクアセスメントを基礎とし たものによって、人間の健康および環境を守ること が出来なかったと我々は考える。 ③ ④新しい原則が必要である。有害物質の取り扱い や人間活動自体をさらに注意深くする必要があ り、予防原則が必要である。 ⑤ 立証責任は公衆ではなく、開発の提案者にある。 ⑥ 予防原則は対策を行わない場合も含めたすべての 代替案について審査をすべきである。

(30)

  

  

Commonwealth of Massachusetts House

Commonwealth of Massachusetts House

B

B

ILLILL No. 3140, 1997No. 3140, 1997 ((法案)法案)

RaffenspergerRaffensperger & & TicknerTickner,1999,1999))

z この州の環境政策と質的基準(quality standards)を開 発するためのガイドラインとして、the Principle of Precautionary Action を確立するための法律 z 深刻で不可逆的な環境への影響の脅威を防ぐために、予 防原則は当局のすべての政策と規制の決定に適用されな くてはならない。 z 手続きや開発が州の大気、土壌および水に影響を与える かもしれないという、筋の通った状況があるとき、PPは導 入されなければならない。 z 十分な科学的確実性がないことを理由に、環境破壊の保 護のための費用対効果を延期してはならない。

(31)

z ( a) 原 材 料 の 選 択 、 製 品 の 代 替 ( product substitution)、および汚染のない生産技術及び過 程,そして社会全体の廃棄物の最小化を含む、汚染 のない生産の方法の適用によって、発生源における 汚染の未然防止を、推進すべきである。 z ( b ) 長 期 的 結 論 を 含 む 、 代 替 手 段 ( alternative methods)、環境と経済の結論を評価すべきである

z (c)長期的政策の選択(long-term policy option)

に基づく一つの改善された協定を完成させるために、 科学的かつ社会経済的な研究は、可能な限り充分 に推進し、用いるべきである。

これに先駆けてMassachusetts Toxics Use Reduction Act 

(32)

4.日本の現状

4.日本の現状

環境省研究委員会の発足

環境省研究委員会の発足

環境政策における予防的方策・予防原則のあり方に関す る検討について(第1回(12/2)-第5回(6/16)) 目的 z 予防的方策・予防原則に関する国際合意の情報収集 z 環境分野における予防的方策・予防原則に関する諸 外国の取組状況 z 我が国の環境分野における予防的方策・予防原則の 適用状況  

(33)

日本の法令などに見る予防の扱い

日本の法令などに見る予防の扱い

(環境省研究会における解説を中心に) (環境省研究会における解説を中心に) 環境基本法(H6(1994));「予防的な方策」 環境基本計画法(H12(2000)) 第2部 21世紀初頭における環境政策の展開の方向   第2節持続可能な社会の構築に向けた環境政策 1.基本的な考え方、(3)環境指針となる4つの考えかた  ウ予防的な方策  環境問題の中には、科学的知見が十分に蓄積されていないことなどから、 発生の仕組みの解明や影響の予測が必ずしも十分に行われていない が、長期間にわたる極めて深刻な影響あるいは不可逆的な影響をもた らすおそれが指摘されている問題があります。このような問題について は完全な科学的証拠が欠如していることを対策を延期する理由とはせ ず、科学的知見の充実に努めながら、必要に応じ予防的な方策を講じま す。 環境省の説明;H6よりH12がより積極的にこの概念を取り入 れている、リオ宣言より前向き

(34)

環境基本計画法以降の

環境基本計画法以降の

新しい法律

改正化審法(2003年)  改正法では、「動植物への毒性」を審査項目に加え、審 査制度を再構成した。特に、「第1種監視化学物質」で は、毒性の有無が明らかでない既存化学物質について、 届出義務と毒性調査の指示を定める。   「第3種監視化学物質」が新たに設けられ、生活環境動 植物への毒性があり、被害の恐れが認められる、環境 残留物質の場合、届出義務と有害性の調査を指示を定 める。

新しい法律

環境省の解説;「予防的取組方法」として位置付けられるもの として、事前審査と上記2項目がある。 大竹の印象;アセスメントをしなさい、という段階。新規物質の 事前審査項目以外の潜在的リスク、複合物質によるリスクな どに関した不確実性に対応できるマネージメント条項が必要

(35)

PRTR(特定化学物質の環境への排出量に把握等及 び管理の改善の促進に関する法律)(1999) 国際的協調の動向に配慮しつつ、化学物質の化学物 質の科学的知見及び製造、使用、状況を踏まえ、環 境への排出等の把握、情報の提供・・化学物質の自 主的管理の改善・・・環境の保全上の支障を未然に防 止することを目的とする。 環境省の解説;予防の概念が含まれる 大竹の印象;予防の概念が含まれるなら、なぜ、「予 防」の表現がなく、「未然防止」を用いているのか。削 減計画を立てて実行させるなど積極性に欠ける

    

    新しい法律

新しい法律

(36)

新しい法律

新しい法律

食品安全法(内閣府)(2003年)   食品安全基本法12条は、食品健康影響評価の 結果に基づき(答弁では、仮に明確な結論が得 られなかった場合も含む)、リスク管理機関が必 要な措置を講じうる。同11条では、「緊急を要す る場合」、リスク評価を行うことなく必要な施策を 策定することを定めた。 (アマメシバの例) 大竹の印象;最も予防原則らしい法律

(37)

国際条約に対応した国内法

カルタヘナ法(2003年)

 遺伝子組換え生物(LMO:Living Modified Organism)に

ついて、特に環境中の利用(栽培など)の輸出入手続の 場合、それに先だって「事前の情報に基づく合意の手続 (AIA手続:Advanced Informed Agreement Procedure)」

を義務づけている。そして輸入国には、事前通告をうけ てリスク評価を行い、拒否の権限を与えている。  ;生物の多様性を損なうおそれ  (議定書;RIO宣言を引用)

国際条約に対応した国内法

・地球温暖化対策の推進に関する法律「気候変動枠組み条    約京都・議定書(1997);RIO宣言の引用   ・オゾン層保護条約(1988);おそれのある物質の規制措置

(38)

予防原則関連国会質問から

予防原則関連国会質問から

z

予防原則と予防的取組方法

z

予防原則と未然防止の違い

z

食品安全法11条は予防原則か

z

予防原則のガイドライン作成の要求

z

ワーキンググループの設置

z

水俣病発生の厚生省対応

(39)

Ⅰのまとめ

Ⅰのまとめ

1.「予防原則」の異なる二つの手順

z  特定の脅威の存在の可能性が疑われた場合   リスクの概念で、リスクアセスメントに基づいて科学的 に検証し、透明性を持って不確実性を議論し、要件が 満たされれば予防原則に基づいてマネージメントを行う     EUのDEHPなどの可塑剤、PBDE、MTBE、家畜飼料 添加物の抗生剤、GMO(食品)、牛肉(BSE関連)な どで、実践された。

(40)

z 不特定な未知の脅威(複合した脅威も含む)が 潜んでいることを前提にした場合、   可能な限りの有害性を削減あるいは回避する ために、長期的な視野で予防原則に基づいた 社会システムを構築する   スウェーデンの政策がEUの環境政策やアメリカ のNGOに反映されつつある; マサチュセッツ州化学物質削減計画で実践 EU REACH の実践を今後見守る必要がある

(41)

2.日本における「予防(原則)の枠組み」の構築

z 定義のないこと、用語の煩雑なこと、を理由に、 予防原則の議論を延期させてはならない z 予防原則を導入することによって、更なるリスク が生じるという詭弁を駆逐する z 未然防止で対応し切れなかった問題に道筋をつ け、早期解決が可能になる z 多省庁横断的ワークキンググループ設置の必要 性

(42)

以下、簡単に紹介

以下、簡単に紹介

Ⅱ なぜ予防原則が必要か 

  

早い警告ー遅い教訓

Ⅲ どのように予防原則が適用されているか

 1.科学者が行わなくてはいけないこと

科学的リスクアセスメントに基づくこと 用量-反応が特定されていない場合の疫学調査 予防原則に基づき予防的措置を行ったEUの事例

 2.科学者だけでは出来ない法制化

– EUの裁判の判例に見る予防原則 

(43)
(44)

水俣病発症の因果関係、物質の検出

水俣病発症の因果関係、物質の検出

1950年頃; 水俣湾の汚染→魚介類大量浮上、鳥類異変 (51;反応母液中のメチル水銀量が6倍に増加(助触媒変更)) 53;水俣湾の魚介類→猫の狂死増加 53;水俣病発症(56年に発表)(56年,5歳と3歳の姉妹,猫,隣の5 歳娘、大人で既に発病していたことが分かった) 56;水俣湾の魚介→重金属中毒(人)(熊本大医)   59;水俣湾の底質から水銀検出 59; 工場内精留塔排水→水俣病発症(猫)(チッソ細川・市川) 59-60;アセトアルデヒド工場排水→水俣病発症(猫)(同上) 59;水俣湾の魚介類からメチル水銀 63; 工場廃水にメチル水銀が含まれる 63; 水俣湾産魚介類を摂取→発症、毒物はメチル水銀化合物 68; チッソ水俣工場のメチル水銀を含む排水→水俣湾の魚介 摂取→人水俣病、胎児性水俣病発症(法的因果関係解明) 操業自主規制 ↓

(45)

水俣病の発生と科学的因果関係/予防の可能性の検証          数字は因果関係が考えられた年()内は検出年 水俣湾の汚染 魚介類の汚染 魚介類メチル水銀汚染(60) 水、底質の水銀汚染(59) 人の重金属汚染 1953 1959 猫の水俣病発症(実験) 1953-57 1960 1956 人の奇病(56) 魚介類大量浮上、鳥類異変 1951-57 排水停止 1965 工場廃液 1963 1968 53年(1) 54年(18) 55年(25) 56年(30) (新潟水俣病 1965) 人の有機水銀汚染 1958 排水 工場廃液中 メチル水銀 (63) 胎児性水俣病発 症(認定62) 人のメチル水銀中 毒(水俣病)発症 (公式に発表56) 猫の狂死

(46)

早い警告/遅い教訓

子どもの例を中心に(○とりあげた事例) – ①DES(妊婦への使用禁止) – ②成長促進剤としてのホルモン剤(EU;6種類予防原   則で使用禁止) – ③MTBE(EU;予防原則で使用規制へ) – 五大湖の汚染(DDT,HCH,PCB等規制) – X線(以上EEAレポートによる) – 鉛 – ④水銀 – ⑥内分泌かく乱物質(EU;一部予防原則で使用規制) – ⑦PBDE (EU;予防原則で一部製造・使用禁止) – ⑧電磁界(WHO;予防原則で防止策) 環境/⑤生態系 ⑤‘オゾン層破壊 地球温暖化 アラル海の   環境破壊

(47)

Ⅲ どのように予防原則が適用されているか

Ⅲ どのように予防原則が適用されているか

表 IUCNの絶滅危惧種リストのクライテリアの一例 CRITICALLY ENDANGERED (深刻な危機CR) ; 入手可能な最良の証拠が以下のA∼Eまでのクライテリア のいずれかに適合した時、分類群はCRとなり、それゆえ 野生における高い絶滅リスクに直面していると考えられる。 A. 個体数の減少が条件を満たせばよい;90%,10年3世    代 80%,10年3世代など B. 生息域面積が条件を満たせばよい; B1 (生息域) あ  るいは B2 (分布域) あるいは両方;<5km2,<100km2nなど (IUCN, 2001)

(48)

EUにおけるリスクアセスメント結果の

結論ⅲ)と対策の例 Strategy Worke rs Consu mers Enviro Aquat ic Terre strial AT SP STP acrylaldehydeNo need

nonylphenol v v v v Need not more

NP-branch v v v v Need not more

MTBE v v v Restriction

Alkanes, C10-13, chlor v v Restriction

PeBDE derivative v v v v v v Restriction

OctaBDE derivativeRestriction

STP;SawageTreatment Plant SP;Secondary Posoning AT;Atmosphere Enviro;Man via Environment

Human Health Environment

結論ⅲ):リスクを制限する必要がある;すでに採用されている以上のリス ク削減対策が採られるべきである  

(49)

EU

EU

の乳児の

の乳児の

PBDE

PBDE

PeBDE

PeBDE

MOS

MOS

   EU    日本(大竹)

PBDEのMOS    12000   84000  

PentaのMOS    47000   401000

 種差、個体差、試験期間の短さ、授乳期の感受 性の高さによる不確実係数をそれぞれ10とする と,更に正確な情報が必要である。  EUではMOSが10000以上であっても対策を必要と する、している。  

(50)

小児の寝室の磁界によるリスク

小児の寝室の磁界によるリスク

小児急性リンパ性白血病(小児急性リンパ性白血病(ALLALL)ー)ー ( (急性骨髄性白血病急性骨髄性白血病AMLAMLを除くを除く)) 小児の寝室の  症例   対照     オッズ比 磁界レベル   (251)   (495)  (95%信頼区間) (μT) <0.1    223 447 1.00 0.1-0.2 14  29 0.89(0.46-1.75) 0.2-0.4 8 16 1.03(0.42-2.52) > 0.4   6(2.4%)  3(0.6) 4.73(1.14-19.7)        0.4μT以上の暴露の子どもは全体の1%。WHO予防原則に 基づいてコストパフォーマンスの良い対策は行う       兜真徳、生活環境中電磁界による小児の健康リスク評価に関する研究より

(51)

バージニアマイシンの判例

バージニアマイシンの判例

(亜鉛バシトラシンも同様の結果) z バージニアマイシン;抗生物質、成長促進剤、飼料 用添加物として使用 z 原告;ファイザー・アニマル・ヘルス社が唯一世界で 製造 z 被告;欧州理事会 z 訴訟;欧州理事会が新しい規則のもとで使用許可を 取り消したことについて、ファイザーがその違法・無 効を争って欧州第一審裁判所に提訴した z 判決;欧州理事会の予防原則の適用に基づく予防 的規制措置を正当と認め、ファイザーの請求を棄却 蓄積する化学汚染と見えない人権侵害,日本弁護士連合会,2003より

(52)

z デンマーク;バージニアマイシンを暫定的に使用禁止、他 の加盟国およびEUに通知した。 z EUの「動物飼料に関する化学検討委員会(SCAN)*」の結 論;  ・ストレプトグラミンとバンコマイシンへの耐性菌(動物が起 源)が人間の消化器官へ移行して将来、抗生物質の人へ の利用に支障が生じることを裏付ける新しい証拠はない。  ・また、デンマークはストレプトグラミンの人への使用は現在、 ほとんど実績が無いため、バージニアマイシンの家畜への 使用によって、デンマークの公衆衛生に直ちに重大な危険 は生じないから、   即時に使用禁止を行う必要性はない。 *欧州委員会が設置した専門家審議会

(53)

z ところが、欧州理事会はバージニアマイシンを含 む4物質*に対する使用許可を取り消す新規則を 制定した(1998年12月29日)。 z そこで、ファイザーは欧州理事会を相手とって訴 訟を提起した。 *亜鉛バシトラシン(アルファーマ社)、  スピラマイシン、  チロシンフォスフェイト **アルファーマ社も同様に訴訟を起こした。

(54)

判例のまとめ

判例のまとめ

1. データの獲得を待ってから規制をしたのでは、耐性 菌の蔓延という公衆衛生上の大問題を引き起こす 恐れがある。そこで予防原則の適応となるが、具 体的にどの程度の科学情報に基づいて規制が行 われるべきかは、まさにケースバイケースであり、 一般化は難しい。しかも、どのレベルのリスクを許 容するかということは、本件判決が指摘するとおり、 科学的情報を基礎としつつも、それは社会的、政 治的な判断である。裁判所としては、本件のように 公正なリスクアセスメントが行われたかどうかの手 続き的チェックを中心に、裁量権の逸脱の有無といっ た限定的な司法審査をすることにならざるを得ない。

(55)

2.逆にいえば、行政機関が予防原則の適用にお いて消極姿勢をとっていたとしても、司法機関が それを違法だとすることも容易ではない。 3.したがって、行政機関において予防原則に基づく 措置を積極的に行っていくことが最も重要であ り、そのための予防原則を盛り込んだ法規制の システム作りと、その具体的な事案への適用の 審理過程に、ステークホルダー(利害関係者) がすべて参加できることが必要である。ことに、 既得権を有している産業界のみならず、予防が 破綻した場合に被害を蒙る一般市民を代表す る政府関係機関やNGOとその専門家の役割が 重要といえるだろう。 蓄積する化学汚染と見えない人権侵害,日本弁護士連合会,2003より

(56)

Ⅱ、Ⅲのまとめ

Ⅱ、Ⅲのまとめ

1.苦い経験と教訓を生かさなくてはいけない 2.科学者が行わなくてはいけないこと   科学的リスクアセスメントは信頼性があり、独立性が あり、かつ、透明性があり、利用可能な最良の科学 的情報と最新の国際的な研究成果に基づいて行わ れなくてはならない。アセスメントにおいて、科学の役 割と限界を知らなくてはいけない。 3.科学者だけでは出来ない法制化   予防原則の適用は、科学的情報を基礎としつつも、 それは社会的、政治的、経済的な判断でもあり、行 政機関に幅広い裁量権がゆだねられている。重要な ことは積極的に予防原則を取り入れられる法的なシ ステム作りである。

参照

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